パーティー(RPG)

登録日:2018/04/06 Fri 03:52:42
更新日:2024/03/13 Wed 14:27:09
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概要

パーティ(英:Party)とは、「一行」「集まり」というような意味。
ここではコンピューターロールプレイングゲーム(CRPG)、要はドラゴンクエストシリーズとかファイナルファンタジーシリーズとかにおける「パーティ」を解説する。
ここで言うパーティとは、「主人公および一緒に戦闘する味方キャラクター」を指す。

そもそも最初期のTRPGの頃から、RPGというのは「複数人で分業して冒険を進めるもの」だった。
そのため、『ウィザードリィ』をはじめとしたCRPGも「自分でパーティメンバーを作る」ことが重要視された設計になっている。

一方日本では、このようなシステムが複雑で受け入れられにくい、という判断もあってか、初代『ドラゴンクエスト』は完全な一人旅、『ドラゴンクエストII』ではあらかじめ用意されたキャラクターによる固定パーティーとなっており、『III』でようやくウィザードリィに近いキャラメイク方式が採用されている。

その後もJRPGはシナリオ重視の作品が多かったこともあり、『II』型の「ゲーム内であらかじめ用意されたキャラクターでパーティを組む」方式が主流になっている。

基本的には、プレイヤーが操作する主人公にピッタリと追随して動くため、 金魚の糞 というありがたくない揶揄をされることも。
また、多くのゲームでは1つのパーティーを操作するが、FF6の瓦礫の塔のように複数のパーティーを編成してパーティーを切り替えながらの操作を要求される事も。

パーティにおける主な役割


バランス型

ドラクエの勇者に代表される、物理攻撃・魔法攻撃・回復呪文などを幅広く使いこなせるキャラクター。
器用万能(ゆうしゃ)になるか、器用貧乏(サマルトリア)になるかはそのゲームのバランス次第。
主人公はパーティから外すことができないので、このタイプに設定されているゲームが多い。
なんとなくMPがもったいなくて物理で殴ってばかりになりがちなのはご愛嬌。

例:勇者、赤魔道士、魔法戦士など。

物理アタッカー

呪文を使わず、物理攻撃で敵を殴るキャラクター。
ひたすら「たたかう」コマンドを選んでいるだけで戦い続ける事ができ、MP切れや敵の耐性等を心配する必要がないので、使い勝手が良い。
初期のコンピューターRPGでは通常攻撃しかできない事が多かったが、ゲームシステムが複雑化するにつれ、物理アタッカーも様々な特技を使用できる作品が増えていった。

その反面、「ダメージを与える」以外の行為、例えば敵の弱体化や味方の強化、回復などはできない事が多い。
また守備力や回避率が極端に高い敵が出現すると何もできなくなってしまう。
DQの「ぐんたいガニ」や「よろいムカデ」、FFの「プリン」系など、やたらと固い敵が出現して
「物理で殴るだけじゃなくて魔法キャラも使ってね!」とアピールしてくるのはよくある話。

大まかに、重い武器や防具を身につけられる「戦士」タイプ、軽装しかできないがすばやさに長ける「武闘家・モンク」タイプが存在する事が多い。
世界観によっては超能力を持たない代わりに光線銃と科学力で戦うキャラなんかも居る。
一般的にHPは高く、戦士系であれば防御力も高い。
前衛・後衛といった概念のあるゲームでは、敵の攻撃を受けやすい所に配置するのが定石である。

例:戦士、ナイト、武闘家、モンクなど。

魔法アタッカー

MPを消費して呪文を唱え、魔法攻撃で敵にダメージを与える事を得意とするキャラクター。
魔法は物理攻撃より火力が高い、物理アタッカーにできない複数体への攻撃が可能、
物理攻撃と異なり外れない、敵の弱点属性を突くと大ダメージを与えられる…といった特長を持つことが多い。
また敵を眠らせたり混乱させたりといった状態異常を引き起こす呪文、味方の攻撃力や防御力などを上げる呪文なども覚える。
うまく活用できれば、パーティの戦闘力を大幅に引き上げられるポジションである。

反面持てる武器はなどに限られ攻撃力はからっきし。
HPが低いのに防具も貧弱で、は持てないか弱い盾に限られる。
よって、敵に殴られると呪文を唱えるどころか返事もしないただのしかばねになってしまう事が多い。
また攻撃呪文や状態異常呪文は大半が何らかの属性を持っており、属性攻撃に耐性のある敵には通じないため、新しい敵が出るたびにまずはその耐性を調べなければ適切に戦えない。
更に、その性質上、魔法を唱えるためのMPが切れるとマトモに攻撃すらできないただのカカシと化してしまう。
MPが回復できるアイテムが店で買えたり、ダンジョン内やフィールドでMP回復ができるシステムがある作品ならまだマシなのだが、基本的に街の宿屋以外に回復ポイントが無く、MP回復アイテムも手に入りにくい作品だと通常戦闘時はお荷物になりやすい。
ダンジョンでは最奥にボスが控えている事も多く、ボス戦のためにMPを温存した結果、道中はMPを使わずに済む「使うと呪文と同じ効果が発動するアイテム」を振っているだけになる事もしばしば。

「ダメージを与える」という最終目的が同じである以上、各種特技の習得などで物理アタッカーが強化されると立場が苦しくなる傾向にある。
MPを使わずに魔法より強力な攻撃を放ったり、範囲攻撃したり、状態異常を引き起こしたりされてしまっては、
レベルを上げて物理で殴ればいい という結論になってしまい、魔法アタッカーの立場がない。
物理アタッカーの特技もMPを消費するようにしたり、魔法アタッカーのMPを回復しやすくして呪文を使いやすくしたりと、魔法キャラの地位向上に苦心している作品は多い。

例:魔法使い、黒魔道士、召喚師
魔法使いタイプ(RPG)も参照。

回復役

回復呪文で味方の体力を回復することを得意とするキャラクター。
毒や呪文封じなどの状態異常の回復も担う。
攻撃力・防御力および武器防具の質は魔法アタッカー以上前衛未満、もしくは魔法アタッカーと同程度。
補助系の呪文も多数覚えるが、攻撃呪文は全く覚えないか、覚えてもその数は少ない。
唯一の攻撃呪文が即死呪文なせいでそればかり唱えるザラキ神官で有名。

魔法アタッカーが物理の強化に怯える一方、「回復呪文に匹敵する回復特技」は中々出現しないので、割と確固たる地位を保っている。
パーティ構成の自由度が高いゲームの場合、バッファーやタンク等のキャラにも軽度の回復魔法を習得可能にすることでパーティ構成の幅が狭くならないようにしていることが多いが、そうでない場合は専職のヒーラーは必須。
これが居ないと、唯一の回復役となったバランス型キャラへの負担がえらいことになったり、暇があればひたすら「やくそう」をはみ続ける超草食系プレイを強いられたりと、苦労が多い。

例:僧侶、白魔道士

また、パーティが無傷の時に完全な置物となってしまうことを避けるために他の役割も持たされていることが多く、
  • それなりの物理攻撃力を持っているパターン(聖職者が戒律からメイスを持たされていたことから)
  • バフ、デバフ役を兼ねているパターン(神の加護)
  • 魔法アタッカーと同一のジョブとなっていて、魔法であれば攻撃回復問わず使えるパターン
等がある。

特殊技能

戦闘力では本職に劣るが、何らかの特殊な技能を持つキャラクター。
代表的なのが「盗賊」で、敵からアイテムを盗んだり、宝箱の罠を見破ったり、隠しアイテムを見つけたりと、アイテムに関する様々な技能を持つ。
お金稼ぎに特化した商人や、敵を勧誘して仲間に加えられる魔物使いなどもここに該当するだろう。
敵の技をコピーして戦う青魔道士だの、敵の肉を食べて変身するモンスターだの、作品によって色々なヤツが居る。

ギャグキャラ

まともに戦おうとしないネタキャラ。行動自体がコントロール不能。運がよかったらとてつもない力を発揮する…かも。

例:遊び人(ドラゴンクエスト)、貧乏神(桃太郎伝説)など

MMORPGにおける主な役割


RPG型のネットゲームをMMORPGと呼ぶ。
Massively Multiplayer Online Role-Playing Game(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム)の略で、要はすんげー沢山のプレイヤーが繋がってRPGやるよ、といった意味合いである。

こうしたゲームでもオーソドックスなRPGと同様、キャラクターは就いている職業(ジョブ)によって得手不得手が分かれることになる。
ただし、「勇者」のような万能型の職業は採用されないことが多い。
「各プレイヤーが自分の好みに応じて職業を選び、プレイヤー同士で協力してゲームを進める」形式上、バランス調整が難しいためだと思われる。
「もう全部あいつ1人でいいんじゃないかな」となってはゲームコンセプトが成り立たないのだ。
仮にあったとしても、「物理も魔法もできるが防御面がピーキー」だったりと何かしらのデメリットは負わされる。

タンク

「戦車」、つまり重装備をして最前線で敵の攻撃を受け止める物理職である。
黎明期のRPGではあまり意識されず、MMORPGから使われ出した用語。
ただ、それ以前でも「戦士系職業は攻撃が飛んできやすい前衛に置く」というのは定番の配置であった。
挑発」などの専用スキルで敵の注意を引き寄せ、後衛に攻撃が飛ばないようにするのが主な役目。
ヒーラーと並ぶパーティーの要であり、基本的にタンクが崩れるとパーティーは崩壊する責任重大な立場。
武器を持っての攻撃ももちろん行うが、攻撃に関しても「相手の注意を引き寄せる」ことが主目的なので、ダメージよりは挑発効果が優先*1
攻撃にやっきになって後衛を殴らせてしまうようなタンクは失格 である。

また壁役と言っても大まかに分けて2種類ある。
とにかくHPと防御力第一!耐えて耐えて耐えまくる!という『肉壁』タイプと
当たらなければどうということはない!と素早さ(と、運のパラメーター&プレイヤーのリアルラック)で回避しまくる『回避壁』である。
一般的に肉壁タイプはダメージは少ないが数が多い(雑魚などの)タイプに向き、回避壁は高ダメージだが敵の数が少ない(主にボス)タイプに向くと言われている。

自らの肉体で敵の攻撃を受け止めるのが典型的なタンクだが、
「味方にシールドを貼る」「敵の進路上に障害物を置く」などして間接的に攻撃の被害を軽減するユニットも作品によってはタンクと呼ぶ。
こうしたタンクはサポーターの要素が大きいと言えるが、厳密に分かれているわけではないので作品ごとの呼称に従うのが無難か。

「タンカー」とも呼ばれるが、元々「Tank」単体で「攻撃を受け止める人」という意味があるので、わざわざ「er」を付ける必要はない。戦車から石油輸送船にランクダウンしてるし
国内のゲームなら特に気にされないだろうが、海外ともつながるゲームで使うと馬鹿にされるので注意。

例:戦士、騎士など

ヒーラー

パーティーのHPを管理する重要職。
タンクと同じく、ヒーラーが崩れるような事態に陥るとまず負けは確定する。
MMORPGにおけるヒーラーは、先述の「回復役」の中でも特に回復技能に特化したものといえ、その分攻撃・防御が貧弱になっている事が多い。
耐久力は非常に低いので、タンクがしっかり攻撃を引き付けてくれないとヤバイ。
瞬間的にHPを回復するタイプと、継続的にHPを回復するタイプ(リジェネ型)がある。
後者は、ダメージを予測して回復していく必要があるので運用難易度が高い分、回復力は上であることが多い。
上述の通りタンクが攻撃を引き付けていないと崩れやすくなってしまうため、そのタンクが落ちないようにすることが重要になることが多い。
「タンクはヒーラーを守り、ヒーラーはタンクを助ける」といった感じか。
当然他のメンバーも回復しないといけないので、場合によっては作業量がものすごいことになることも。

基本的に攻撃は捨てている関係上、 ソロプレイにものすごく向いていない という重大な欠点がある。
攻撃しないと育たないシステムなどでは「ヒーラーで殴るゲーム」などと呼ばれてしまうことも…。低火力・紙装甲のヒーラーにソロで殴り合いをさせる訳で、どうなるかは想像がつくだろう。

例:僧侶、神官など

アタッカー

役割は名前の通り、「とにかくダメージを稼いで相手を殲滅する」こと。素早く敵に攻撃して戦闘を終わらせる、パーティーの花形と言える存在。
「DPS(Damege Per Second、秒単位のダメージ期待値)」が重要視され、「一撃は軽いが手数で勝負!」が信条の「メレー(Melee=「乱闘」の意味)」と「一撃必殺!どでかいのドカンとぶちかます!」のが得意の「ヌーカー(Nuker)」もしくは「ダイレクトダメージ(Direct Damage)」の2種類に分類される。
ただし、どちらにしても活躍するためには周囲のサポートが必須であることを忘れてはいけない。
「殺られる前に殺る」を徹底すれば、ソロプレイには比較的向いている方である(作品次第ではあるが)。

サポーター

味方をサポートするための職業。
MMORPG黎明期において、味方の強化を「バフ」、敵の弱体を「デバフ」と呼んだことから、味方を強化して戦闘を有利に運ぶ「バッファー」型と、敵を弱体・妨害して戦闘を有利に運ぶ「デバッファー」型に分けられるようになった。
バフ・デバフの効果が切れるとそのまま壊滅したりするため、残り時間とクールタイムを考えて行動しなくてはならないなど、やはり作業量は多い。
一方でパーティー内の貢献度が目に見えにくいという難点から、どうしても地味になりがち。

例:吟遊詩人、錬金術師、エンチャンターなど

その他

アイテム関連

アイテム入手率を上げるタイプの職業。基本的に戦闘力は低い。
しかし通常のRPGに比べMMORPGでは金回りがピーキーなため、重宝される事は珍しくない。

例:盗賊、商人など

テイマー型

ペットを呼び出して一緒に戦う職業。
召喚者自身の戦闘力は低めだが、ペットと合わせた総合力では他の職業に引けを取らず、さらに「安全な場所からペットだけをけしかけて高みの見物」といった他の職業ではマネできない戦法を行えたりする。

例:召喚士、人形遣い、魔獣使いなど

サブアタッカー

明確な定義はないが、よく役割の一種として使われる言葉。
文脈によって意味は変化するが、「本家アタッカーほどのDPSは発揮できないが、状況に応じて攻撃に回れるユニット」のことか。

他の役割と兼任し、「サブアタッカーもできる○○」のようなタイプや、
例:仲間を守りながら攻撃もするタンクのサブアタッカー
「アタッカーを援護するアタッカー」のようなタイプがこう呼ばれることがある。
例:単体攻撃でボスを倒すメインアタッカーと、全体攻撃でザコを散らすサブアタッカー
例:炎属性で攻撃するメインアタッカーと、炎属性が効かない敵の弱点を突くサブアタッカー

他の役割と兼任しない「サブアタッカー」と呼称する場合は、ソーシャルゲームRPGで言われることが多いか。
限られた職業の中でバランスを取っているMMOと違い、レア度の格差やユニットの多さで アタッカーともその他とも言い難いバランス型キャラが発生しやすい からだと思われる。
ただし、もちろん器用貧乏と決まっているわけではなく、ゲームバランスによっては強力なサブアタッカーは存在する。

原神では4人PTで出場できるキャラが1人なので、「設置物や持続する攻撃を置いてチェンジし、非出場のサブ状態からダメージを与えるキャラ」をサブアタッカーと呼称する。
そのようなシステムなので一番DPSを稼いでいるのはサブアタッカーで、メインアタッカーはサブアタッカーがダメージを稼ぐ起点として援護に回っているようなPTになることも珍しくない。

背水アタッカー

アタッカーの一種。「HPを削る、あるいは減ることにより発動する効果」で戦うアタッカー。
語源はことわざの「背水の陣」だと思われ、「底力」「火事場の馬鹿力」など作品によってさまざまな名称を持つ。
トレーディングカードゲーム(TCG)でいう「スーサイド(自殺行為)カード/デッキ」に相当する。

リスクの代わりに攻撃能力を盛られやすいが、戦闘不能になりやすいので注意する必要がある。
また、瀕死で強くなるのを生かすためにダメージを受けるような技を習得したり、
アタッカーの基本である攻撃力ではなくHPや防御力を盛るなど、特殊なビルドが求められることも。
HP1で耐える能力との組み合わせは特に強力。



僧侶は回復、勇者と戦士で追記と修正をお願いします。
魔法使いはいかずちの杖でも振ってなさい。

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最終更新:2024年03月13日 14:27

*1 いわゆる「ヘイト稼ぎ」である