勇者システム(結城友奈は勇者である)

登録日:2018/08/26 (Sun) 22:33:24
更新日:2025/04/05 Sat 02:08:35
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樹 海 化 警 報

Forestize Warning

バーテックスが壁を通過しました。人類保護のため出動してください。


勇者システムとは、『結城友奈は勇者である』を含む『勇者であるシリーズ』における戦闘システムのことである。

概要

神世紀の四国を守護する神樹を祀っている組織である大赦が開発した対バーテックス用呪術的&科学的戦闘システム。
適応する少女にのみ使用可能。
神樹の力を利用しており、その絶大な力で少女をバーテックスに対抗する唯一無二の「兵器」とする。

基本的にはスマートフォンに専用のアプリをインストールしておき、有事の際は神樹に選ばれた少女が画面をタップすることで勇者システムが起動。
本人に適した形態の特殊戦闘服で身を包み、バーテックスと正面きっての戦闘をする事が可能になる。
しかし精神が不安定だと霊的回路が形成できず変身できない。

適応者は選ぶものの、勇者になれる資質を持つものならば他の勇者のために作られたシステムの流用も可能。
ただし相性があるほか、他人のシステムを流用したものだと満開の継続時間の短縮など悪影響が出るとされる。


スマートフォン

初期の友奈達は自身が持っていたスマホに専用アプリNARUKOをインストールし使用していた。
勇者の章では大赦が用意した特別製の物を使用。
普段から使えるSNSとしてのNARUKOや、樹海内のナビゲーションシステム、バーテックス出現情報アラームなど、様々な機能を秘めた専用アプリ「NARUKO」がインストールされている。
勇者システム起動もスマホにインストールされたアプリを介して行うなど、勇者としての活動に必要不可欠なものである。
結城友奈の章5話ですべてのバーテックスを倒した時は回収され通常のスマホと交換。NARUKOも使用不能になっていた。

精霊

勇者のしもべ。武器の制御やバーテックスからの攻撃の防御を担当している。
神世紀298年、『鷲尾須美の章』後半から実装された。
一匹一匹が異なる能力を秘めており、追加により武器が増えたり、また攻撃に火を纏わせるなどの特殊能力が身に付くこともある。
実体化して現実世界に現れることができるが、極力そうしないようにされている*1
また彼等の力を利用することで致命傷となり得る攻撃を自動で防ぐ「精霊バリア」が実装。
これにより防御性能が大幅に上昇、バーテックスの猛攻を受けても通常であれば大した影響も残さず、また日常生活の中であっても勇者に危険が迫った時にはオートで実体化し、自殺も防ぐ
後述する満開を行うと、使役できる精霊が増え戦闘力がプラスされる。

封印の儀

『鷲尾須美の章』における最終決戦の記録から、バーテックスの内部に存在する急所にして核「御魂」が発見されたことで追加された機能。

勇者システムによりようやく戦えるバーテックスだが、ただ殴るだけでは基本的には倒せない。
この封印の儀を行い、バーテックス内にある御魂を引きずり出し、それを叩く必要がある。
本来であれば長い詠唱が必要となるが、勇者は気合で詠唱破棄が出来るらしい。
しかし、バーテックスも動きこそ止まるが御魂だけになったあとも無数のダミーで幻惑するなど抵抗してくる上、ミタマを分離しておける時間には限りがある。
更に封印可能なのは一回きりで、ここでミスると世界滅亡というシビアなものである。

満開

勇者の切り札。
攻撃を受ける・敵を撃破するなど、勇者としての経験値を積むことで満開ゲージが点灯。
5つの花びらの数全てが溜まることで発動が可能になる*2
勇者装束の意匠が変化、圧倒的な力と超強力な兵装を得る。
以下はその例。

  • 結城友奈:パンチ力を強化する身の丈を超えるサイズの腕型の強化外骨格が追加。小惑星サイズのミタマをも砕くほどの力を発揮する。



  • 犬吠埼樹:ワイヤー射出装置が巨大化し背中に装着。ワイヤーの最大射出本数・強度が上昇し、大気圏外から落ちてくる勇者を編み上げたネットで受け止めるほどに。結果的に攻撃バリエーションや汎用性も強化されている。

  • 三好夏凜:阿修羅を思わせる四本腕の大型アームにサイズアップした刀を装備。攻撃速度や機動力が大幅に強化され、また雨のように刀を降り注がせることも可能に。


いずれも封印の儀なしでミタマや大型バーテックスを撃破可能なほどの火力を発揮可能。
ただし満開や精霊バリアなどの機能には神樹の力を大きく消費するため、同時に戦える勇者の数は5、6人が限界とされている。
とはいえその力はまさに神威の顕現とまで言われる。しかし…






散華



そんな…。それじゃ、あの子たちはまるで…

『生け贄』じゃないですか!!



満開になった花がいずれ散るように、満開を使うたびに身体機能の一部を失うという強烈なバックファイアが存在する。
厳密には神樹が力を与える代わりに本人にとって大切なもの、感覚や手足、記憶などを奪うという形になる*5。つまり勇者は神に捧ぐ供物でもある。

勇者システムとの適合性などで継続時間が変動するらしく、他者のシステムを受け継いでいた夏凛は満開継続時間が短いため、通常より満開を繰り返さねばならず、短い間に重篤な反動を負う事になってしまった。
園子が悲惨な事になっていたのは、20回もの満開を繰り返した影響である。


当然、日常生活に多大な支障をきたす事になり、散華を繰り返すと最終的にはある勇者のように植物人間状態*6になる。
また、精霊達が増加するのも、戦闘時に欠損した身体機能を補う意味合いが大きく、自殺すら防ぐ強固なセーフティも相まって勇者は死ねない。故に一生『戦い続けることを強いられる』過酷な呪いになっている*7

力を手に入れてから徐々に理性を制御できなくなる
力の源と一体化することで超人に"なってしまう"
元来制御するのが難しい力を無理矢理制御しようとした結果、暴走する
など、強大な力にはそれに則するリスクが伴うのは以前から様々な媒体が描いてきた。
だがこの場合、開発者サイドが危険性を知悉していながら一切通知しないというのが大きな問題とされている。
もっとも、通知したらしたで志願者が間違いなくいなくなるし、誰もやらないなら世界滅亡は確定事項になるのでおそらくは苦渋の決断なのであろう。
事実として本編でも満開抜きでは一部のバーテックスへの勝利は厳しく*8、躊躇っていた場合間違いなく神樹に接触=世界崩壊になっていただろう事態もちらほら見受けられる。
また、大赦側も勇者に選ばれるような貴重で尊い人材を戦いで犠牲にしていく事に心を痛めた結果であるという向きもある。

ただ、その隠蔽体質のせいで結城友奈の章後半では風の大赦襲撃未遂と東郷の壁破壊という「勇者の暴走」を招き、
最強の抑止力として当て込んでいた園子にも「ふざけないでよ」と反抗された事で、大赦は徐々にその隠蔽体質を改善していくこととなる。

『勇者の章』においての勇者システム

『結城友奈の章』最終話での決戦の後、勇者システムは全て回収され、更なるアップデートが施された。
前のバージョンと比べ大きく異なるのは満開ゲージが最初から最大まで貯まっている事と、散華が無くなっている事。
かつての物と同じく満開が可能だが、満開ゲージを全て消費することが条件となっており、変身解除後も消費したゲージは回復しない。
また精霊バリアによる防御には満開ゲージを消費するため、一度でも防御システムを使用すると満開は不可能になる。
満開ゲージを全て使うという事は精霊バリアも無くなるという事なので、1期に比べ弱体化…というよりは扱いが難しくなっている*9
ただ、満開ゲージを全て使い切っても精霊は消えず、日常の小間使い程度ならこなしてくれる。
またこの新満開ゲージは精霊バリアだけでなく攻撃にも転用する事が可能になっており、風はこれを利用して得物を超が付く巨大な大剣へと強化していた。

ビジュアルファンブック内にて書き下ろされたエピソード「その後の園子」ではこのバージョンアップに関しての補完が入っており、
園子曰く「勇者は弱くなるけど、このアップデートで勇者は量産化される」予定だった模様。
後の「防人システム」の伏線になっている。

『乃木若葉は勇者である』における勇者システム

友奈達の時代より300年前、西暦時代に大社*10が神樹の力を元に開発した対バーテックス用の戦闘装束。
スマートフォンで変身、常人を遥かに上回る力を持った姿になる、樹海化を知らせるといった基本的なシステムはこの頃には既に存在していたが、武器は別個に存在しているため常に常備しておく必要がある。
しかも初期型故に戦闘力は低く、星屑なら散らせるが、進化体には苦戦するレベル。
そのため、最後の切り札として身に精霊を宿らせて爆発的な戦闘力を発揮する機能が搭載されているが、精霊との融合は心身共に疲弊が激しく、精神的にも不安定となってしまい、この事が後にある少女の悲劇に繋がった。
加え極一部の超強力な精霊を除けば十二星座型一歩手前の進化体には精霊を宿してなお攻撃が通らないこともあり、当時の勇者の戦いは非常に厳しいものだった。
なお、この切り札に関しては当初から大社によって「非常に危険だから不用意に使うな」と釘を刺されていた。
また、当時は万が一勇者がその力を間違えた方向に使おうとした際には神樹の意思で強制的に変身解除させることも可能だったが、ある事情により後に廃止された。

『白鳥歌野は勇者である』における勇者システム

上記の「のわゆ」とは同じ時系列だが別の地域…諏訪で孤軍奮闘していた勇者のシステムは一言で言えばアナログなものであった。
勇者アプリはそもそも存在せず、有事の際は諏訪大社に祀られている勇者装束に直接着替えて変身する
土地神の加護が宿っているとはいえ、西暦組の勇者システムに比べると攻・防ともに貧弱と言わざるを得ず、精霊の加護もない。

『鷲尾須美は勇者である』における勇者システム

鷲尾須美(東郷美森)、乃木園子、三ノ輪銀が使っていた2年前のシステム。
戦闘力は西暦に比べ大幅に強化されており、回復能力を向上させる能力もあるものの、十二星座型相手ではまだまだ分が悪く、生傷の絶えない戦いを強いられていた*11。また西暦時代のシステムから一部機能がオミットされており、満開システムも未実装。
封印の儀もできず、御魂の破壊が出来ない為完成体の十二星座型に対しては撤退させるのが精一杯。
物語終盤に起きた一人の少女の悲劇を鑑みてシステムを大幅に改良。樹海化警報とバーテックスレーダーの再実装に武器の高性能化、そして精霊バリアと切り札である満開を搭載した、「結城友奈の章」時代のシステムへとアップデートされた。
しかし2年後と比べるとまだ未調整な部分が見受けられ、「封印の儀ができない」為完全に殲滅するには満開前提、にもかかわらず「満開時間が非常に短い*12」為、短時間での乱発を余儀なくされる*13
当然散華も実装されており、この事を知らされず満開を使ってしまった須美と園子は…
これが、2年後の結城友奈の章へと繋がっていくこととなる。

『楠芽吹は勇者である』における防人システム

「勇者の章」の前日談に当たる時系列…ゴールドタワーに集められた32人の元勇者候補生たちが変身する「量産型勇者」とも呼べる存在、それが防人である。
「戦衣」と呼ばれる耐熱性に優れた装束と遠近両用の銃剣、あるいは十字型の大楯を基本装備とする。
「壁の外」を調査するために作られたシステムで勇者以上の耐熱性を誇るが、戦闘力は西暦の勇者システムレベルで、安全に戦えるのはせいぜい星屑止まり。当然精霊の加護もない。
よって、綿密な連携を前提とした集団戦が防人の基本戦術となる。

余談

『花結いのきらめき』の日常パートでは、勇者たちが嫉妬や怒りをあらわにした時や恐怖心に駆られた時に瞳のハイライトが消えるシーンが多々あるが、
それを上記のデメリットに引っ掛けて「目が散華した」とファンから言われる。

追記・修正は何回も満開を行った後でお願いします。

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最終更新:2025年04月05日 02:08

*1 牛鬼など例外的存在もいる

*2 満開するタイミングはある程度任意で調節可能

*3 劇中描写を見る限り防御方面が大きく強化される模様

*4 複数人を搭乗させる事が出来るほど広い面積を持っている

*5 肉体的な欠損はなく、例えば手足が使えなくなる場合は手足の感覚が消えるといった形で奪われる

*6 体を捧げる=新樹に近づくという状態なのか、自身の状態を「樹木」と例えていた

*7 あくまでも精霊は死を妨げるだけであり、本人に戦う気が無ければ『戦いの放棄』は可能。だが勇者に選ばれるような精神性を持つ彼女達が戦いを放棄できるかは……

*8 5話のレオ・スタークラスターなど

*9 勇者の章開始時には既に神樹の寿命が残り少なくなっていた事も関係していると思われる

*10 後の時代での大赦

*11 「ゆゆゆ」で夏凛が瞬殺していた山羊座型に対し、三人がかりで辛勝レベル

*12 ゆゆゆ11話の夏凛以下

*13 乱発の結果結界の力が一時的にガタ落ちし、未完成体ながら大量のバーテックスの侵入を許してしまう悪循環に陥った