ナスカ級高速戦闘艦

登録日:2019/02/04 mon 22:34:51
更新日:2024/10/30 Wed 12:49:51
所要時間:約 12 分で読めます




ナスカ級とは、『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する宇宙用戦闘船舶。

『宇宙戦艦ヤマト』シリーズにおける白色彗星帝国の宇宙空母とは無関係なので注意。
ちなみに、そちらには「高速中型空母ナスカ/ナスカ高速中型空母」(プラモデルゲーム等)もしくは「ナスカ級打撃型航宙母艦」(リメイク版『2202』)という名がつけられている。


概要

【諸元】
全長:255m
装甲:不明
武装:
120cm単装高エネルギー収束火線砲×2
66cm2連装レールガン×2
450mm多目的VLS×4
沈胴収納式58mmCIWS
MS搭載数:6機

ザフトがローラシア級に続いて2番目に開発した宇宙用艦艇。
「高速駆逐艦」、「高速巡洋艦」とも称され、劇中では"DDMH Nazca Class"と連合側が表記しているシーンも確認できる。
ネームシップはナスカ文化に由来し、同型艦の艦名は多くのザフト艦と同様に歴史上の学者に由来する。
地球連合軍の宇宙戦艦ネルソン級よりも大型ながら、ザフト屈指の速力を自慢とする高速艦である。
作中ではその速力が輝くような場面は特に無かったがヘリオポリス脱出時にムウが「かなり高速らしいアークエンジェルならヴェサリウスを振り切れないか?(要約)」と提案したのに対し、マリューは「高速艦のナスカ級が相手だと逃げ切れる保証は無い」と反論しておりナスカ級の快速振りは地球軍でも有名な模様。
後にザフト最速の座はエターナルに奪われるが、エターナルがザフトを脱走したため、再び「ザフト 軍内 最速」の座には返り咲いていると言える。

船体は三叉槍の穂先の様な形状となっている。船体色は水色。
他の多くのザフト製艦艇と同様、艦橋は船体と一体化した様な形状であり、あまり目立たない。
船体中央部にMSデッキを持ち、ローラシア級と同等に6機のMSを搭載・運用可能としている。
中央ハッチの側面からリニアカタパルトを展開し、MSを高速で射出する事ができる。
なおリニアカタパルトの形式はアークエンジェルのMSをレールの上で走らせるそれとは異なり、MS自体をレールガンの弾丸の如く直接加速させる事で射出する「非接触式」とでも言うべきものである*1
前級とも言えるローラシア級や、地球連合軍のアガメムノン級のカタパルトもこの形式なため、コズミック・イラではこちらの方が標準的とも言える。


武装


  • 120cm単装高エネルギー収束火線砲×2
船体中央前部に装備されるビーム砲。
おそらくはナスカ級の主砲で、地球軍の宇宙艦艇を容易く撃沈せしめる威力を持つ。

  • 66cm2連装レールガン×2
艦橋の両側面に装備。
大昔の要塞砲の様な丸い形状をしている。
劇中ではほとんど使用された事がない

  • 450mm多目的VLS×4
ミサイルや信号弾等を発射するVLS。
長らくどこに装備されているのかが不明だったが、『DESTINY』で船体側面の白い円形のハッチがそれである事が判明した。
劇中描写の限り、4基のVLS一斉射で56発のミサイルを発射する事ができる。
一方、『SEED FREEDOM』では船体両側面ユニットと本体の間にディティールが追加され、そこにVLSが設置されている。

  • 沈胴収納式58mmCIWS×10
ザフトの戦闘艦では幅広く採用されている、近接防御兵器。いわゆる対空機関砲。
こちらの装備箇所は未だに詳しく分かっていない。

本来は核分裂反応を阻害する事で核兵器(を含む原子力関連技術全般)を無力化する装置。
電磁波の進行を妨げる副次効果を利用し、ECM装置代わりに搭載している模様。


同級艦

名称は不明で直接的には登場もしていないが、ミネルバに配属される前のハイネ・ヴェステンフルスの母艦がナスカ級である事が語られている。
また、地球連合艦のネルソン級やドレイク級ほどではないが、ナスカ級もザフト側のやられ役モブ艦としての役割が回されている感があり、
SEED・DESTINYを通じてクサナギの4連ローエングリンの直撃というオーバーキル甚だしい攻撃で轟沈した艦がいくつか存在する。

『SEED』

  • ヴェサリウス
艦長はフレデリック・アデス。
クルーゼ隊の旗艦として『SEED』序盤に登場、ストーリーを通して劇中で最も長く活躍したナスカ級である。
第一話でヘリオポリスを強襲、4機のGAT-Xシリーズを強奪後はイージスを艦載機とする。
一時はAAとの戦闘の最中、ローエングリンが右舷舷側を掠めた事で小破し、クルーゼのザフト中央評議会への出頭もありプラントでドック入りするも、
AAのヘリオポリス脱出から低軌道会戦*2まで、僚艦のローラシア級ガモフと共に執拗にAAを追撃した。
地上編を挟んで劇中終盤、コロニー・メンデルでの戦闘に於いてザフト艦隊の一部として投入され、エターナルとクサナギの集中攻撃により轟沈した。
艦名の由来は16世紀の解剖学者アンドレアス・ヴェサリウスと思われる。

  • ヘルダーリン
  • ホイジンガー
コロニー・メンデルでの戦闘で投入されたザフト艦隊を構成する艦の一つ。
艦名の由来はそれぞれ、18世紀の詩人フリードリヒ・ヘルダーリンと、19世紀の歴史家ヨハン・ホイジンガー*3と思われる。


『DESTINY』

  • ハーシェル
  • フーリエ
序盤、アーモリー・ワンの警備を行っていた艦。
ガーティ・ルーの奇襲攻撃により轟沈した。
艦名の由来はそれぞれ、18世紀の天文学者ウィリアム・ハーシェルと、18世紀の数学者ジョゼフ・フーリエと思われる。

因みに「ハーシェル」の名前は『Δ ASTRAY』の主人公の名前にも使用されている。

  • ボルテール
イザーク率いるジュール隊旗艦。
ヴェサリウスにアデス艦長が居た様に、こちらにもイザークとは別に艦長が存在する様であるが、
イザークの性格が性格なので、ボルテール艦長は少々彼に振り回されがちな印象。
ユニウスセブン落下事件に際し、僚艦ルソーを伴いミネルバの応援に現れる。
その後はしばらく出番が無かったが、劇中終盤、レクイエム中継ステーションでの戦闘や更に終盤の最終決戦でもジュール隊旗艦として大戦を戦い抜いた。
艦名の由来は17世紀の哲学者ヴォルテールと思われる。

  • ルソー
ボルテールの僚艦。ユニウスセブン落下事件の際にボルテールと共に増援に来た艦。
特にこれといった活躍は無いが、こちらも大戦を生き残っている。
艦名の由来は18世紀の哲学者ジャン=ジャック・ルソーと思われる。

  • ニュートロンスタンピーダー搭載艦
艦名不明。
自由中性子の運動を暴走させて強制的に核分裂反応を起こすための電磁波を前面広範囲に照射する機能を持つ大型特殊装備 ニュートロンスタンピーダー を装備したナスカ級。有効半径内に存在するMSを含めた核兵器をその場で自爆させる。
要となる「量子フレネル」と呼ばれる12枚のフィン状装置は一度の使用で蒸発してしまう上、搭載したナスカ級自体も使用後はブレーカーが落ちて機能停止してしまう。
また、NJCに連なる技術の産物であり、それに使用するベースマテリアルを大量に消費するのも難点。作中での使用でも、新規供給源を持たないザフトは隠匿していた核動力MS47機を解体することで用立てている。それでもたった一発分が限度であった。
地球軍の核攻撃に対しギリギリで1機だけ間に合った虎の子的装備であり、劇中ではたまたま一度の使用で核攻撃隊を全滅せしめたものの、
もし核攻撃隊に第2波があった場合はプラントを守り切れなかったという意味で不安定な装備。

とはいえ、これ以降地球軍は本装備を警戒してか核攻撃を行っておらず、その意味では十分役目を果たしたと言える。


  • グラスゴー座乗艦(仮称)
  • ホルスト
  • カーナヴォン
メンデルからエターナルへの帰艦中にダコスタ君がしくじった事でザフトに発見されたエターナルを追撃したグラスゴー隊の所属艦。
エターナルに激しい攻撃を加えるも、直後に初出撃したストライクフリーダムのドラグーンにより武装と推進機関を破壊され行動不能になった。
この時推定30機以上のザクとグフを展開していたが上記の通りナスカ級のMS搭載数は6機なので、ペイロードの倍近い数のMSを運搬してきたことになる。
なおグラスゴーの座乗艦もナスカ級だが艦名は不明。
艦名の由来はそれぞれ、19世紀の作曲家グスターヴ・ホルストと、19世紀の考古学者ジョージ・ハーバート(カーナヴォン卿)と思われる。

  • マルベース
  • プルトン
最終話にて、デュランダルの発射したネオ・ジェネシスによって轟沈した。
「射線上から下がらせろ」と形ばかりの退避命令の直後の発射指示により逃げる間もなく宇宙の塵となる。
劇中描写の限り味方に沈められたのはこの2隻のみで、タリアやアーサーも蒼白となる。
「味方を巻き添えにしてまで敵軍を攻撃する」という、穏健派の皮を取り繕う事すらしなくなった終盤のデュランダルの象徴とも言える行為であった。
艦名の由来は不明。
「プルトン」については「ルトン」であれば20世紀のフランスの詩人アンドレ・ブルトンが存在する(同名のウルトラ怪獣の由来でもある)。誤表記なのだろうか?


『SEED FREEDOM』

  • ブルクハルト
中盤クーデターを起こした当時の国防委員長ジャガンナート中佐が座乗した。
艦名の由来は19世紀のスイスの歴史家ヤーコプ・ブルクハルトと思われる。






「追記照準、左舷前方ナスカ級」
「修正と同時に『タイムスタンプを更新しない』を解除。入力最大! さーて、ようやくちょっとは面白くなるぞ、諸君」

「エンターキー、撃ぇ!」

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最終更新:2024年10月30日 12:49

*1 『DESTINY』の時代で改造された地球連合軍ドレイク級が備えるMSカタパルトもこれと同様の、MSそれ自体を加速させる形式を取っている。

*2 第八艦隊との決戦。アークエンジェルが地球に降下する際の戦闘。

*3 アドルフ・ホイジンガーというドイツの軍人も存在するが、ザフト艦艇の命名則は文化人であり、軍人はどちらかと言えば地球軍艦の命名則であるためおそらくこちらではない。