どろろ(PS2)

登録日:2019/03/06 Wed 08:03:17
更新日:2024/04/05 Fri 18:07:01
所要時間:約 30 分で読めます




俺を返せ!




どろろ

どろろ』とは、2004年9月9日にセガから発売されたPlayStation2用、3Dアクションアドベンチャーゲーム。
CEROレーティングC(15歳以上対象)
基本的には1人プレイだが、もう1人が2Pコントローラーを利用してどろろを操作することも可能となっている。実は初期状態の百鬼丸より使い勝手が良かったり。

手塚治虫の『どろろ』を題材に、単純明快な戦国時代を舞台とした妖怪退治物にアレンジされているのが特徴。
『どろろ』を題材としたゲームは、これ以前には1989年にPC-8801mkllSR以降の機種対応で発売されたアドベンチャーゲームがあっただけで、本作発売以降には登場していない。

アクションがメインながら、ストーリーも重厚な原作を参考にしている為に評価が高く、更には独自展開として、予想外の人物に重要な役が与えられていたりといった意外性も。

発売された当初は、原作漫画は間違いなく名作で「手塚ファンなら知っていて当然」クラスの作品なのだが古い作品だし、一般的には…という程度の原作知名度であり、大きな話題とはならなかったようだが*1、プレイした人間からの評価は以前より高く、隠れた名作と呼ばれていた。

2019年現在、新アニメが大きな話題となっていることもあってか、以前に動画サイトに投稿されていた本作のプレイ動画が再び脚光を浴びる等、本作への新たな注目と再評価が高まっている。

キャラクターデザインは『無限の住人』で知られる漫画家の沙村広明。
魔神・妖怪のデザインはアニメーターの前田真宏。
タイトル題字や美術デザインは映画監督の雨宮慶太。
…等が、それぞれに担当しており、その豪華な面々の描いた元のデザインが損なわれずに美麗なCGとモデリングでゲーム中に落とし込まれているのも注目。


【物語】


果てることのない争いが続く、戦乱の世。
人々は嘆き悲しみ、絶望の中で生きていた。
この乱世を操るものが、魔神たちであるとは露も知らずに…。

ある時、天に異変がおこった。空に二つの太陽が表れたのだ。
一方の太陽は以前にも増し明るく輝き、もう一方は、その影であるかの如く、黒く鈍い輝きを放っていた。
あさましい乱世を見るに見かねた天の神が闇の神と分かれたかのようであった。

闇の神……すなわち魔神たちは、その現象を不吉と恐れた。
魔神の存在を脅かす能力を持った人間が、この世に誕生する前兆であると悟ったからであった。
だが、天から遣わされた光の子に、魔神が直接手を出すことはできない。
しかし、生みの親と契約を結べば、それも可能になると気付くのであった。
魔神たちは、その子の父親となる地方の侍、醍醐景光に甘い言葉を持って近づいた。
夢の中で「乱世を治める力を与える」というお告げを聞いた醍醐景光。天からのお告げを賜ったと思った景光は、自らの手で世を平和に出来るなら、と決意しひとり地獄堂へと向かった。
四十八体もの不気味な魔神像に囲まれた醍醐景光。乱世を治める力を与える代償として、生まれくる子を要求された景光は、驚き、おびえ、戸惑った。
そして、地獄堂に響き渡る魔神像の笑い声が景光の判断を狂わせた。
景光は、魔神と契約を結んでしまった。

数日後、景光に初子が生まれた。
魔神に捧げてしまったはずの子がよもや生まれてくるとは…。思いもよらぬ朗報に景光は喜んだ。
しかし、その喜びは次の瞬間、絶望に変わる事となる。
生まれたばかりの赤ん坊の周りに次々と黒い影が現れた。禍々しい漆黒の霊体が渦巻き始めると見る間に赤ん坊を包み込む。

『お前の子の体、われら四十八の魔神がしかと受け取った。
約束通り、お前には乱世を治める力を与えてやろう。
この後、お前はどんな戦にも勝てる。
そうだ、戦に勝って勝ち続けて、塁々と積み上げられた屍の先にお前の望む平和な未来があるのだ。』

四十八の体の部位を魔神に奪われてしまった赤子。
景光は、大声でわめき、泣き叫んだ。
そして、何かを決意した景光は、その赤子を抱えると必死に止める妻を振りきり、愛馬ミドロ号に飛び乗った。
景光は一直線に川へと向かった。

語り・小林清志


【二人の主人公】

※以下の項はネタバレあり。

百鬼丸


どろろ



【その他の登場人物】


■醍醐景光


■多宝丸

声-草尾毅

■賽の目の三郎太

声-関智一

■ミオ

声-牧島有希

■田之介

声-立木文彦

■美咲

声-鶴ひろみ

■万代

声-幸田夏穂

■金小僧


■寿海/ナレーション

声-小林清志


【魔神・妖怪】

原作では醍醐景光が祈りを捧げた四十八の魔物は、魔神に妖怪に妖魔、等と呼ばれており、一定していなかった。
しかし、本作では百鬼丸の肉体を奪った四十八の強大な魔物については魔神の呼称のみが用いられており、
それ以外の低級な魔物や配下の魔物である妖怪とは明確に区別されている。
なお、本作の後に作られたリメイクアニメ版では十二体の「鬼神」という上位の妖怪とされ、この方向性を踏襲している。

魔神は、その名の様に邪悪な神と呼ぶべき者であり、人々の負の心を糧にして戦乱を呼んでいる……というのが、本作での『どろろ』の世界観の解釈であり、
その支配を終わらせる為に、天から送り込まれた百鬼丸を恐れた魔神達は、直接の妨害が不可能であることから、策略を立てて父親の景光を利用して力を奪ったのであった。
百鬼丸がそれ自体では機能しないような細かい部位や、チャクラまで奪われているのは、何としても百鬼丸に死んで欲しかったからの模様。無駄な努力だったがな!

手塚治虫は、本編未登場の妖怪(魔神)についてもかなりの数のデザインは残しているのだが、
本作では本編に登場した妖怪以外のデザインについてはオリジナルになっている。
一方、モデリングの使い回しが多い魔神も多く、本作の不満点として挙げられることもあるものの、
細かなモデリングの手間を考えると、ちゃんと四十八体出るだけでも評価出来るとの声も。ラスボスなんか後のモンハンやワンダの巨像ばりの大物だし。

雑魚敵として出てくる妖怪に関しては、餓鬼や河童や塗り壁、等のお馴染みの妖怪が多い。
出現数も多く、無双シリーズばりの爽快なアクションも楽しめる。


■四十八の魔神



■妖怪

本作では、各魔神に使える手下・眷属となっている。
百鬼丸にバッタバッタと斬り伏せられていくが、デザインもモデリングも細かく作り込まれている。
先述の様に、かなりの数が出現する。



【余談】


  • 高い原作再現も注目された本作だが、アクションゲームとしてのテンポを考えてか、項目内でも触れた要素の他、百鬼丸が教えを請うた存在である琵琶丸やどろろの両親、更に百鬼丸の母親(お縫い)が僅かに触れられる程度にしか登場しないことは重ね重ね惜しがられている。





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最終更新:2024年04月05日 18:07

*1 豪華キャストで話題となった映画版や、大胆過ぎる改変に賛否が起こった『どろろ梵』よりも以前の発売。

*2 後述の設定から神通力が働いていたと思われる。

*3 どろろでも回収出来るが一部を除いては使用出来ない。