登録日:2011/02/07(月) 01:11:41
更新日:2025/01/04 Sat 23:20:29
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『FINAL FANTASY Ⅸ』は2000年7月7日に発売された『FFシリーズ』の9作目。
『
Ⅶ』『
Ⅷ』と続き、ゲーム界に数々の変革をもたらして来たPSでの『
FINAL FANTASYシリーズ』の最終作。
シリーズの生みの親である坂口博信が
仕事として携わった最後の『ファイナルファンタジー』でもある。
同じく、初期からの中核スタッフである植松伸夫が久々に全曲の作曲に挑んでいたり、ゲーム内グラフィックが明確にされるようになった3D時代にもかかわらず天野喜孝のコンセプトアートを前面に押し出すなど“懐かしい作り”なのも特徴。
そのためか、この時点までのシリーズの集大成といった趣が強く、新体制で作られた前2作とは主要スタッフを変えていることもあってか、リアルな世界観へと以降しつつあったシリーズ全体の流れからは
逆行した印象となっている。
当初は、開発時期的にも発売を控えていた
PS2での発売すら見据えていたこともあってか、前2作よりも更に3Dモデルが進化しているのにもかかわらず、ドット絵時代を彷彿とさせるディフォルメされたキャラクターデザインとなっており、如何にも戯画的な亜人種(特にケモノ人間)が存在する等、ある意味で
SFC時代には既に『FF』が離れはじめていたと言ってもいい
王道的ファンタジー世界が展開される。
【概要】
前述のように、シリーズの生みの親である坂口博信が原案とコンセプトデザインを担当している。
ディレクターはATBの発案者でもある伊藤裕之。
これも前述のようにFFの音楽の祖である植松伸夫が単独での全曲作曲に(使用される楽曲がめっちゃ増えたのに)挑んでいる。
コンセプトアートはお馴染みの天野喜孝だが、
メインキャラクターデザイナーとして「
新機動戦記ガンダムW」等で名を上げて、
あの「FINAL FANTASY」に参加していた村瀬修功氏が皆葉英夫氏にスカウトされる形で参加した。
村瀬氏はオリジナルデザイン以外にも、皆葉氏・板鼻利幸氏等を中心としたデザインチームから提出された原案を元にコスチュームを微調整したり、
更にはキャラクターの性格等ビジュアル以外にも踏み込んだ設定の構築にも関わった。
前述のように、過去のシリーズ(そして、坂口時代)を意識したネーミングや小ネタを盛り込み、初代プレイステーション最後のFFとして企画を立て直したこともあってか、より「集大成」を意識した作風となっている。
黒魔道士のデザインの復活や、お馴染みの“シド”以外にも過去シリーズと共通した名前を持つキャラクターの登場、クリスタルをストーリーの主軸に据える……等がある。
また、イベント中にて過去作でのイベントが“物語”として語られるなど、シリーズを長く遊んできた古参ファンに刺さる要素も多い。
つまり、本作独自のテーマとして掲げられた「生命讃歌」と並ぶ、もうひとつのテーマとしてスタッフが掲げた「原点回帰」とは、初期FFが目指していたもののハードの限界で叶えられなかった、3D技術を用いての
ハイ・ファンタジーの実現に今こそ挑戦してみるという意味合いだった。
それが、前述のようにディズニー映画のような明るく華やかなヴィジュアルで
ネズミ・鳥・
カバなど多種多様な種族が共存してイキイキと動き回るという、リアリティ志向が強いと見られていたFFシリーズとしては異色な世界観となったのである。(実は王道ファンタジーをやりたかったのに出来なかったからこそのリアリティ志向だったとは。)
本作で、7からの反響を受けシリーズを重ねるごとに加速度的に『映画』と称される作風を突き詰めていくFFシリーズに『演劇』という一石を投じ、
古き良きRPGの底力を見せつけた。
……一方で、前2作とは大きく世界観が変わったことによる戸惑いと、それに伴う批判が出てしまったことも確か。
前述のように、本作のみは前2作と逆行するような体制に対しても、新しい世代のファンからは理解を得られずにディフォルメされたキャラクターに忌避感を抱く層も存在していた。
ちなみに、そうしたデザインが受け入れられずに前2作に比して売上が落ちた、と否定派から言われる向きもあるが、これについては疑問もある。
実際、PS初のFFということで注目を浴びた『Ⅶ』や、その成功を受けてFF史上で見ても最高の宣伝を受けた『Ⅷ』に比べるとひっそりと発売された感はあったものの、国内では、その『Ⅶ』と『Ⅷ』に続く歴代3位の売上を記録していた。
可愛らしいキャラクター達の織り成す世界観にありながらも、未来や記憶の引き継ぎと云った正の面のみならず、戦争の悲惨さや虐殺と云った負の面も描かれる深い物語が展開される。
主人公となるキャラクター達には、キャラクター毎の職業や特技となるアビリティと云った要素が復活、設定されており、非常に個性豊かな彼らが「命」を守るべく……、或いはその意味を探す為に戦う姿が描かれる。
一方で、当初は攻略情報をサイト上のみに記載する等の“新たな”手法には批判も集まり、やや正当な評価を受けるまでに時間がかかった一面もある。
この方針を決めたのは坂口博信自身だったというが、余りにも当時のネット環境の広まりやファンの口コミに期待しすぎていたというか……。
それを反省したのか、発売から2年後に情報が解禁されると共に漸く発売された“アルティマニア”は、攻略サイトや攻略情報がネット上に残されている現在でもファン必携のアイテムとなっている。
現在、2021年にアニメ化企画と共にリメイクを考えているとの旨が発表されたが続報が途絶えている。
【物語】
〝……嵐の海の中、木の葉の様に翻弄される小船の上の母娘の姿……。〟
……夢から覚めたガーネット・ティル・アレクサンドロス17世は、窓の外に待ち望んでいた劇場艇の姿を見る。
自らの16歳の誕生日を祝うこの日、決意の旅立ちの刻を胸に秘めて。
同じ頃、アレクサンドリアに到着した劇場艇プリマビスタでは「タンタラス」のメンバーが舞台劇に見せかけたガーネット姫の誘拐計画の打ち合わせに臨んでいた。
相も変わらず余裕の態度で軽口を叩くメンバーの一人、ジタンはまだ知らない。
自分とガーネット姫の出会いが、多くの人を巻き込み、やがては世界を救う戦いへと発展して行く事を……。
その旅が、自分の知りたかった過去の真実を知る契機となる事を……。
そして、ジタンとガーネットの運命に惹かれる様に集まった運命の者達の物語もまた、刻を同じくして始まろうとしていた……。
果たして、彼らが知る事になる「霧の大陸」に迫る不穏な影の正体とは…?
【主要キャラクター】
「誰かを助けるのに理由がいるかい?」
CV:
朴璐美
16歳。
本作の主人公。金髪碧眼と長い尻尾と軽口が特徴。
少年ながら優れた行動力、判断力に富む。
可愛い女の子を見れば取りあえず口説くと云う行動に出る為に軽薄と受け取られがちだが、その実は他者に本当の意味で心の内側に踏み込まれる事を畏れている。
「生きてるってこと証明できなければ死んでしまっているのと同じなのかなぁ…」
CV:
大谷育江
9歳(見た目)。
劇場艇の芝居を見る為にアレクサンドリアにやって来た変わった姿の少年。
ある意味で本作を象徴する人物であり、気弱な性格ながらも自らの過酷な運命に立ち向かう姿は、物語でも特に比重を置かれている要素でもある。
「王女らしくではなく本当の自分を確かめたいの…でも…」
CV:
能登麻美子
16歳。
本作のヒロイン。アレクサンドリア王国始まって以来の美姫と称えられる。
母ブラネの行動に不振な物を感じ、自らの誕生日を祝う祭りの混乱に乗じて城の脱出を試みる。
世間知らずで思い込みが強く、正しい事は判断出来るが熟慮に欠け、それが混乱を呼ぶ事もある。
「…人の為に生きることは真に自分の為なのか教えて欲しい 何のために人は生きるのか」
CV:
広田みのる
33歳。
ブラネ女王に仕えるプルート隊の隊長。
堅物で、常に王家の為…を口にし、当初はジタン達とも反発しあう。
一方で、いざ自分一人だけになると何も判断出来なくなると云う面がある。
「思い続けることの辛さより…忘れられることが怖いのじゃ」
CV:
折笠愛
21歳。
ネズミ族の国ブルメシアの女竜騎士。
恋人フラットレイを探す道中でジタンと行動を共にしており、今回も自らの祖国と恋人を救うべく戦いに加わる。
容姿端麗ながら古式ゆかしい喋り方をする。
「好きなことやってて悪いアルか!!だけど…たまには叱って欲しいアルよ…」
CV:宮田幸季
70~90歳?
謎多きク族の若者。
食の道を極めるべくジタンらの旅に加わる。
「大丈夫だなんて思わないで…一人でいるとさみしさがいっぱいやってくるの…」
CV:
金元寿子
6歳。
伝説の召喚士の生き残りで、滅び去ったマダイン・サリでモーグリ達と共に暮らしていた。
ちなみに本気で育てたら最強キャラになる。
「自分が何をしたいか…何が出来るのか…今…その答えを出せというのか…」
CV:咲野俊介
26歳。
「焔色のサラマンダー」と恐れられる孤高の闘士だが、自らに匹敵する実力を持ちながら戦いを好まないジタンを理解する為に戦いに同行する。
【
タンタラス】
バクー率いる「リンドブルム」に本拠地を置く盗賊団。
主人公ジタンが所属する。
詳細は項目にて。
【アレクサンドリア王国】
39歳。
ガーネットとは似ても似つかぬ強烈な外見のアレクサンドリアの女王。
以前は名君だったが、現在は秘密裏に戦争の準備をしているのでは?との噂が囁かれる。
基本的に悪役として描かれるが、最期のセリフに泣かされたプレイヤーも多いのでは。
CV:小松由佳
28歳。
「霧の大陸」最強を謳われる美しき女将軍。
ブラネ女王に仕え、彼女の命の下でジタンらに立ち塞がるが、後に真実に気付き協力してくれる。
「おじゃ~る」
「ごじゃ~る」
共に88歳。
宮廷道化師の双子の老人。
高い魔力を持つ。
「弱きをくじき強きにへつらう」をモットーとする。
スタイナーの部下達。
今イチ評判が良くないボンクラ揃いだが、適材適所に配置するとかなり有能な力を発揮する。
元ガーネット姫付きの学者。
かなりの博識で、現在は「トレノ」に居る。
19歳。
サラマンダーと共に雇われた自称「美の狩人」
貴族の様な生活をするのが夢だった……が。
「アレクサンドリア」や「トレノ」をたむろする謎の男。
偽名を使い分けるが、どうにも小物臭が消えないのはご愛嬌。
【リンドブルム公国】
35歳。
「霧の大陸」最大国家の大公にして飛空艇作りの天才……なのだが。
どんな時でも失われない、立派なヒゲがトレードマーク。
27歳。
怒らせると怖い、魔術を極めた美しきリンドブルム王妃様。
【ブルメシア王国】
49歳。
ブルメシアの落城後、かつて袂を分けた「クレイラ」に救いを求める。
14歳。
ビビの最初の友達となったネズミの子。その正体は……。
25歳。
「一騎当千」を謳われる竜騎士の中でも最強の男。
フライヤの恋人だったが現在は生死不明。
【モーグリ】
放浪癖があり、行動や博識に富んだアニキ的キャラクター。
アイテムを売ってはそれを旅費の足しにしている。
「モグネット」の配達人。
ある目的の為に「大事な物」を使ってしまい、大混乱を引き起こしてしまう。
エーコと同じ年、月、日に生まれた臆病なモーグリ。
はぐれチョコボのチョコと、彼と共に「幻の楽園」を目指すモーグリのメネのコンビ。
協力する替わりにチョコを成長させる事を持ち掛けて来る。
【その他】
CV:
石田彰
24歳。
「霧の大陸」に混乱をもたらそうとする謎の男。
芝居がかった台詞や大仰なポーズを好むナルシストでもある。
その正体は……。
【余談】
コカ・コーラとのコラボCMが放送された。
内容は、コカ・コーラのボトルキャップをジタンが追い掛けていくというもの。
2016年2月にiOS/Android、4月にWindows PC(
Steam)、2017年9月19日に
PlayStation4、2019年2月14日に
Nintendo Switch/Xbox Oneにてダウンロード専用ソフトして配信された。
グラフィックが高解像度化された他、高速モードやエンカウントゼロ、ゲージMAX化といったブースト機能が追加されている。
特に戦闘開始時のロード時間を稼ぐためのぐるぐる回るカメラワークを飛ばせるようになっているので、ロード時間の短縮も合わせて劇的にテンポが改善されている。
そして…
2021年6月、テレビアニメ化が決定。スクウェア・エニックス監修の元、フランスのアニメ制作会社「サイバーグループスタジオ」が制作する。
その時点での情報は「配信権・商品ライセンス権はサイバーグループスタジオが取得」「家族向け、主なターゲットは8~13歳」とのこと。
続報を待とう。
「追記、修正よろしく頼むブリ…コホン。」
「…頼むケロよ!」
「…………あり?」
- せめてトランスの頻度を上げるか任意コマンドかにしてほしかった -- 名無しさん (2014-01-15 23:52:28)
- 女祭りってなんだ? 兵士のケツか? -- 名無しさん (2014-05-24 00:03:19)
- ゲーム業界では極めて稀な当初の予定より発売日が早くなったゲーム -- 名無しさん (2014-12-15 23:32:31)
- 正直FFの中で一番好きなんだ…次は6だ… -- 名無しさん (2015-01-04 08:40:44)
- グラフィック上ではディフォルメされてるものの、キャラデザイラスト見るとそれぞれ普通の身長なんだよなぁ。ディシディアでどうしてジタンだけあんなちっこいキャラにしたし -- 名無しさん (2015-01-10 08:40:40)
- ↑そう? 普通に低頭身なきがするけど(天野画ですら普段より低い) あとクジャも原作だと高身長 -- 名無しさん (2015-01-10 08:53:03)
- ↑ミス あとクジャも原作だと高身長だけどだいぶ縮んでいる。 -- 名無しさん (2015-01-10 08:56:07)
- スタイナーがとっつあんに似ていると思った自分。 -- 名無しさん (2015-01-10 09:05:42)
- 今の時代では考えられないが攻略本の発売がめちゃくちゃ遅かった -- 名無しさん (2015-07-05 15:12:37)
- EDのビビの子供は黒魔導士達がビビのミームを受け継いだって事なんじゃないか? -- 名無しさん (2015-11-14 09:37:32)
- ↑2 もともとネット上のアルティマニアで何とかする予定だったしね。 -- 名無しさん (2016-08-30 12:43:58)
- そろそろ8もだがリメイクしないかな? -- 名無しさん (2018-10-23 00:58:18)
- 元々はPS2級の企画なのを頑張ってPS1にしたんだよね。戦闘要素を増やしたり声ありでリメイクはいいかも。 -- 名無しさん (2019-01-01 13:45:40)
- クイナとサラマンダーはいつになったらオペラオムニアに来るんや… -- 名無しさん (2022-02-04 13:21:04)
- ↑FFOのキャラの様に、いい宣伝になりそうなタイミングを伺っているんだよ…きっと。 -- 名無しさん (2022-02-04 22:09:48)
- ド王道のファンタジーでエンディングの大団円感ほんと好き -- 名無しさん (2023-06-09 23:04:23)
- 発売当時、ゲーム用語辞典のサイトが同人誌の形で攻略本出してたな -- 名無しさん (2023-12-23 00:40:10)
- 7のマテリア・8のジャンクションでややシステム疲れしたところに原点回帰のこの作品は嬉しかった当時のおもひで -- 名無しさん (2024-06-26 12:36:52)
最終更新:2025年01月04日 23:20