矢張政志

登録日:2010/05/03 Mon 16:35:14
更新日:2024/04/15 Mon 19:04:47
所要時間:約 11 分で読めます





矢張(やはり)政志(まさし)とは、『逆転裁判』シリーズの登場人物である。


■概要

声:小野坂昌也(『逆転検事2』ドラマCD・特別法廷・パチンコ版・『逆転裁判6』)/奈良徹(テレビアニメ版『逆転裁判』)
演:鳳翔大(宝塚版)/中尾明慶(映画版)


成歩堂龍一御剣怜侍小学校以来の親友であり、弁護士になったばかりの成歩堂が初めて弁護をした人物である。


性格はとても軽く、かなりの女好きという三枚目を地で行くキャラ。
おまけに短気でキレやすく、たとえ自分が裁かれていても平気でキレて、裁判長の心証を害するほど。
このように根っからのトラブルメーカーであり、《事件のカゲに、ヤッパリ矢張》と言われるほど、なぜかキツいトラブルによく巻き込まれている。


『逆転裁判』シリーズの法廷パートで何度か証人として現れるが、本質をちゃんと理解していないため、彼の《証言》はいつもトンチンカンな内容になる。
しかし、その証言の中には決まって重要な手がかりが潜んでおり、それが幾度となく弁護側の突破口となった。


ちなみに、『3』の第2話「盗まれた逆転」1回目の法廷パートのあるシーンで、矢張の人物データを裁判長につきつけた際、裁判長は

ダレですか‥‥この、たよりなさそうな青年は
なぜか、見ているとイヤな汗がニジんできますな

‥‥と、コメントした。
どうやら、矢張のコトはなぜかハッキリとはおぼえていなかったようだが、やっかいな人物であるコトは認識しているようである。
その反応を見て、成歩堂は「キオクを封印しちまったのかもしれない」と考えた。


会う度に彼女にフラれており、そのたびに、

もうオンナなんか信じられねェ!

と泣きわめくが、すぐにどこぞの女を見ては、

彼女とならやり直せる気がするんだ(キリッ

と、すぐにホレ出す、なかなか懲りないやつである。
ちなみに、彼が付き合ってきた元カノの名前は“しりとり”になっている。
また、“はみちゃん”こと綾里春美は対象外のようだが、その理由は「元カノと同じ名前の女とは付き合わないから」とのこと。
‥‥それはつまり、“同じ名前”でなければ、幼女でも対象となるということだろうか‥‥。


■略歴

第1話「はじめての逆転」で、殺人事件の“被告人”として初登場。
状況証拠が揃っているうえに、上記の通り裁判長からの心証も最悪だったが、成歩堂の必死の弁護により無実が証明され、無罪判決となった。
しかし、弁護の依頼料は成歩堂には払っていないようだ。

その後、第4話「逆転、そしてサヨナラ」で再登場。
殺人事件の現場となった《ひょうたん湖》付近で、非公認商品「トノサマンジュウ」を売っており、そこでもまた一つポカをやらかしていた。
しかし、そのお陰で事件の決定的な証人となり成歩堂と御剣の窮地を救う。
証言台に駆け込むシーンは彼が一番輝いていた瞬間かもしれない。


この頃は女を追いかけてチベットまで行っていたらしく、ゲーム中には名前すら登場しない。
ただし、原作『2』の最終話に当たるテレビアニメ版の「さらば、逆転」では大沢木ナツミの代わりに登場しており、バイトでジャーナリストをしているという設定になっている。
ナツミと異なり成歩堂達と近しい関係であることから真宵が誘拐された事を把握しており、裁判中も傍聴人としてオバちゃんにツッコミを入れたり、他の傍聴人に一喝するなど一般人の立場から成歩堂達を見守るという中々の役得をもらっている。


第2話「盗まれた逆転」、第5話「華麗なる逆転」で登場。
第2話では警備会社でアルバイトをしており、事件の重要な証拠を提供してくれる。
真犯人による証拠隠滅を防いだ‥‥と思いきや、実はそんなことではつり合いが取れないほどシャレにならない問題行動をとっており、流石に本人もいい加減な性格を自覚したのか、更生するために姿を消す。

第5話「華麗なる逆転」では被害者・天流斎エリスの弟子にして絵本作家のタマゴ《天流斎マシス》として登場。
師匠の選択は間違っていなかったのだが、付き添っていた時間が短すぎたせいか、まるで成長していない。
一応、成歩堂の入院を受けて即座に御剣を呼び出した点について、「人を動かすのは得意」と評されていた。
‥‥「自分は動かない」とも思われていたが。
例によって事件の重要な場面を目撃し、それを描いたスケッチを証拠品として提出する。
エピローグでは《メイちゃんのムチムチ大冒険》なる絵本を執筆して、絵本界に革命を起こすという目標を立てたようだ。

なお、この際の弁護士は御剣が行っていたのだが、入院中の成歩堂は矢張を指して「考えられる限りこの世で最もタチの悪い証人」と称している。
それもそのはずであり、通常の尋問では「証言の中に紛れ込んでいるムジュンを探し当てて証拠品を突き付ける」べきなのだが、彼の場合は「ムジュンだらけの証言の中から正解となるムジュンを選択して証拠品を突き付ける」と言う、逆の意味で難しい攻略をしなければならないのである。
例えば「星を見ていた」などとほざいていたからと、当時雪が降っていたことを記録した「気象データ」の情報を突き付けても何の意味もない。これはゆさぶることで本人がそのムジュンを独白してしまうからである。


最終話「燃え上がる逆転」で満を持して“トノサマン”の中身として登場。
オバチャンと二人そろって登場し、悪夢のような競演を果たす。


第3話「受け継がれし逆転」で《マシス》として登場。
いとも簡単にロジックチェスでやり込められた後は、例によって、重要な場面を描いたスケッチを証拠品として御剣にくれる。
また、水鏡秤に《ハカリちゃんのカンカン大行進》なる絵本のモデルになってほしいと頼み込んだが、軽く受け流された。

名前は出ていないが、第1話「逆転の標的」ではトノサマンバルーンをセレモニー関係者に貸していた模様。


この2作品では残念ながら矢張は登場しておらず、彼の動向は描かれていない。


本編の後日談にあたる特別編「時を越える逆転」で久しぶりに登場。
なんと絵本作家《天流斎マシス》として上記の《メイちゃんのムチムチ大冒険》でプロデビューしており、絵本作家として名の知れた人物になっている。
ただし、それ以降はあまり売れていないらしく世間的には“一発屋”として認識されている。
しかし、絵本に興味のなさそうな人物も名前を知っているくらいには有名であり、細々ながらも新しい絵本やサイン会の仕事をしていたりする。
また、副業でウェルカムボード制作をしていて、それがネットで好評らしく、成功している人物といっても過言ではないだろう。
以前に比べると身なりもセンスは悪いが小美麗になっている。

特別編では矢張が成歩堂に弁護の依頼を持ちこんでくる。
成歩堂とは数年ぶりの再会となったようだが、惚れっぽく勘違いしやすいトラブルメーカーという本質は全く変わっておらず、法廷パートで証人として登場した際はやはりトンチンカンな証言をし、成歩堂たちを混乱の渦に叩き落とした。

さらに、今回も例によって彼の描いたスケッチが事件の証拠品になったが(地味に上手になっている)、満場一致で「矢張のことなので何かを見間違えたに違いない」というセツない結論となった。
しかし、彼がいなければ特別篇の事件は真犯人によって闇に葬られていた可能性は高い。
なんだかんだで今作でも大活躍をしているのだ。
ちなみに、成歩堂・御剣・矢張・真宵の4名がそろって登場するのは『逆転裁判3』以来となった。また、初代メンバーである宝月茜と共演するのも今回が初である。*1

■特別法廷、その他の出演

  • 『TGS特別法廷2008』
ボイスチェンジャーの状態で少しだけ登場するが、そのためだけに個別の声優が割り当てられたかは不明。
ちなみに、小野坂昌也氏が初めて声を担当したのは『検事2』の2010年のボイスドラマ(2011年にドラマCDとして発売)。


  • 『逆転裁判10周年 特別法廷』
2012年のイベント『逆転裁判10周年 特別法廷』の映像にも登場しており、パンフレットにも小野坂氏の名前がある。


  • 『逆転裁判6 完成披露会 特別法廷』
2016年にYouTubeで公開された映像で、久々に登場。
DLC特別編「時を越える逆転」で結婚するキャラのイニシャル「M」が自分と考え、成歩堂たちに手紙を送り法廷に呼んだ。
絵柄がオバチャンと違って3Dモデルになっており、この映像で『6』の特別編にも登場することが確定した。


ゲーム本編には登場しないが、ラフイラストにて彼が描かれている。


■余談

押すと現時刻をアナウンスする《考える人》の置き時計を2つ作ったり、
(ちなみに2つとも殺人事件の“凶器”となった)
描く絵がなかなかに上手かったりと、どういうわけか美術方面の才能があるようである。
ただ、油絵のパレットを持っているのに描いているのは色鉛筆画など、謎な部分もあるが。


なお、『逆転裁判6』終了時点では、

成歩堂‥‥大学卒→弁護士→ピアニスト→弁護士界の有名人
御剣‥‥全戦全勝の記録を持つ伝説の検事に弟子入り→若手エリート検事→検事局長
矢張‥‥「オレだって中学は出てんだ!」=中卒or高校中退→まんじゅう売り(→ジャーナリスト*2)→警備員→スーツアクター→絵本作家

という経歴になっており、同じクラスだったのにかなりの格差社会を形成していた。
尤も、何かと思いつめやすい2人と異なり、お気楽ながらもどこか達観した部分もあるため、ある意味3人の中では一番大人なのかもしれない。

デッドライジング』に彼のそっくりさんが登場しており、同じように非常事態にもかかわらずKYでチャラいので多くのファンに「矢張」と呼ばれる。
ただしこちらは救いようのない屑であり、最終的にフランクさんにSATSUGAIされた。


■ネタバレ

以下、小学生時代のエピソードのネタバレあり。


+ オイオイ、本当に見ちゃうのかよォ!?
成歩堂たちが小学生4年生のとき、当時同級生だった御剣の給食費が何者かに盗まれる事件が起こり、犯人として成歩堂が疑われてしまうが、実は、御剣の給食費を盗んだ真犯人は‥‥矢張だった。
矢張としては風邪で学校を休んでいたため容疑者から外れていたが、「そうでなければ絶対に自分が疑われていた」と語っている。
(ちなみに、御剣本人は犯人が矢張であるとだいたい察していたが、結局言わなかった)*3

おかげで、成歩堂は濡れ衣を被せられたが、この件が無ければ、弁護士としての彼は存在しなかっただろう。
ちなみに、この時の給食費は『1』の御剣の裁判終了後に無罪判決祝いとして御剣に返している。

テレビアニメ版ではこの給食費関連の下りが変更されており、アニメオリジナルエピソードであるSeason1第13話で詳細が描かれた。
登校途中に御剣が落とした給食費を矢張が偶然拾い、
(封筒ではなく中身のお札だけが落ちていたため、御剣が落とした物とは知らない)、
一度はネコババとしようとしたが犬に見られていたことで良心が働き、一度は交番に届ける。
その後、学級裁判で原作通り成歩堂を御剣と共に庇い、3か月後、落とし主が現れなかった給食費は合法的に矢張の物となり、そのお金で成歩堂や御剣と遊んだという。
なお、こちらでは御剣は無罪判決祝いで返される時まで真犯人を知らなかった。





追記・修正は世界中の殺人事件に自首して迷宮入りにした後でお願いします。

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最終更新:2024年04月15日 19:04

*1 矢張と茜が2人共登場した作品は、『裁判』『検事』『検事2』の3作品あるが、いずれの作品も2人が同じエピソードで共演することはなかった

*2 アニメ版のみ

*3 御剣曰く「いつもの矢張なら成歩堂を庇うのはおかしい。皆と一緒になってここぞとばかりに責め立てた」とのこと