X・HERO

登録日:2019/06/27 Thu 00:47:16
更新日:2025/07/29 Tue 00:52:07
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X・HERO(エクストラヒーロー)とは遊戯王オフィシャルカードゲームに存在するカード群の1つ。
アニメ・漫画では未登場のOCGオリジナルのカード群。

【概要】

現在登場しているのは全てリンクモンスター
おそらくリンクモンスターのHEROはすべてX・HEROにしたいのだろう。

時は第10期、新マスタールールによりEXデッキのモンスターを主軸としたデッキは大幅な弱体化を余儀なくされた。
E・HERO】をはじめとした【HERO】は影響の大きいデッキタイプの1つだった。

後に過去のカテゴリに所属した展開を補助するリンクモンスターが登場し、X・HEROもその1つ。
ある程度どのHEROカテゴリでも使えるリンク召喚条件と効果になっているのが特徴。

OCGのHEROシリーズとしては、2025年現在最も新参者で、E・HEROから数えて6番目になる。
特例かつ公式デュエルでは使用不可能なE☆HERO(エンターテインメント・ヒーロー)を含めば7番目。
現在X・HEROを名指しで指定するカードはないため、カテゴリ化はされていない。



【カード紹介】

現状4種類のみ。内3種類がリンク2で、残る1種類はリンク3。
  • 《V・HERO ヴァイオン》で《D-HERO ディアボリックガイ》を墓地へ送る。
  • 《V・HERO ファリス》で場に置いた《V・HERO インクリース》を特殊召喚し、リクルート効果を発動する。
といったごく簡単な手順で、リンク2のリンク素材を揃えられる。
《E・HERO ソリッドマン》や《E・HERO リキッドマン》で戦士族HEROを展開した場合も、3種全てのリンク召喚に繋がる。

いずれも《E・HERO アブソルートZero》を素材にできるのが隠れたメリット。全体除去効果を能動的に発動できるのは要注目だろう。

  • 《X・HERO ワンダー・ドライバー》
リンク・効果モンスター
リンク2/光属性/戦士族/攻1900
【リンクマーカー:上/下】
「HERO」モンスター2体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのリンク先となる自分フィールドに「HERO」モンスターが召喚・特殊召喚された場合、
自分の墓地の、「融合」魔法カード、「フュージョン」魔法カード、「チェンジ」速攻魔法カードのいずれか1枚を対象として発動する。
そのカードを自分フィールドにセットする。
(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
手札から「HERO」モンスター1体を特殊召喚する。

「PREMIUM PACK 20」で登場した初のX・HERO。
同パックでは、同じく過去の主人公を意識したリンクモンスターである《アルカナ エクストラジョーカー》《ジャンク・コネクター》が登場している。

(1)はリンク先である自分フィールドに「HERO」が特殊召喚された場合、墓地の特定の魔法カードをセットする効果。
対象は「融合」魔法カード、「フュージョン」魔法カード、「チェンジ」速攻魔法のいずれか。つまり融合HEROの特殊召喚に使うカードを再利用できる。
まずEXモンスターゾーンにこいつを出し、その次に融合HEROをリンク先に出すことで、その時に使った魔法をそのままセットする形になるだろう。
《D-HERO ディアボリックガイ》でも簡単にトリガーでき、他のリンクモンスターへ繋ぐことができるので相性はいい。

可能ならば、発動に1ターンに1度の制限がないカード、中でもディスアドバンテージを抑えられる《ミラクル・フュージョン》を対象としたい。

ただし強制的に発動するため、暴発して本命をセットし損ねることもある。モンスターを出す場所には気を付けたい。
また、融合HEROを呼び出す魔法は大方対応しているが、《ミラクル・コンタクト》《ダーク・コーリング》など「融合」でも「フュージョン」でもないものもあるので注意。

あくまでもセットなので《超融合》のような速攻魔法はそのターンには発動できない。
M・HERO」を出す「チェンジ」速攻魔法もセットしたターンに使えず、M・HEROの特殊召喚で条件を満たして、バトルフェイズ中の発動で追加攻撃ということはできない。
一応、相手ターンでも《M・HERO ダーク・ロウ》は強力なため、闇HEROを場に残しておくことでプレッシャーをかけられる。

また、この効果自体は相手ターンでも発動するので、相手ターン中に「M・HERO」を出すことで魔法をセットしておき、自分のターンになってから発動ということはできる。

(2)の効果は戦闘か相手の効果で破壊され墓地へ送られたら、手札からHEROを1体特殊召喚できるというもの。
受動的な上に消耗が激しい効果で使い難いが、レベルの制限はなく、上級HEROを出す事も可能。オマケのようなものだが一応覚えておきたい。
E・HERO エアーマン》を出して《E・HERO オネスティ・ネオス》をサーチすれば、そのターン中の攻撃を喰い止めるのに役立つ。

かつてはリンクマーカーの位置が真上と真下というのがネックだったが*1、2021年のルール変更で、この点はあまり気にならなくなった。

(1)の効果を使用したらさっさとリンク素材にして、《聖騎士の追想 イゾルデ》や他のX・HEROにしてしまうのがよい。
《ミラクル・フュージョン》をセットした場合、効果の発動に用いたHEROとこのカードを素材にしてリンク召喚を行えば、墓地リソースも供給できる。

単純にアドバンテージを稼いでくれる訳ではないが、効果自体は魅力的なので、使い方次第では輝いてくれるだろう。


  • 《X・HERO ドレッドバスター》
リンク・効果モンスター
リンク3/闇属性/戦士族/攻2500
【リンクマーカー:左下/下/右下】
「HERO」モンスター2体以上
(1):このカード及びこのカードのリンク先の「HERO」モンスターの攻撃力は、
自分の墓地の「HERO」モンスターの種類×100アップする。
(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

海外で先行登場し、「LINK VRAINS PACK 2」で来日した2体目のX・HERO。通称はお注射ガイ
効果は打点増強と貫通でビートダウンを志向する【HERO】とは実際相性が良いのだが、HERO縛りでリンク3の割に性能が低い。

(1)は攻撃力上昇効果。条件が枚数ではなく種類を指定するので地味に厳しく、1体につきわずか100と効率も悪い。

(2)の効果は戦闘ダメージの貫通。あって困るものではないが、アドバンテージに結びつく類のものでなく、守備表示にならないリンクモンスターの登場で衰退気味であった。

噛み合わせはいいもののどちらも前時代的な効果であり、登場して2年目のリンクモンスターにもかかわらず「これ何年前のカード?」と言われてしまう羽目になった。

海外での情報が判明した時点で産廃確定的な扱いをされていた後、LVP2では「HERO」の新規リンクモンスターの枠で登場。枠潰しとして各地でヘイトと嘲笑を集めてしまう。
評価点はリンクマーカーが下向き3つであることと《V・HERO ヴァイオン》や《D-HERO ディアボリックガイ》などの優秀なHEROが再録されるきっかけを作ったぐらいしかなかった。

そんなボロボロの状態で来日した訳だが、2019年1月に「DARK NEOSTORM」が発売すると下記の《X・HERO クロスガイ》が登場。大幅に出しやすさが改善され、状況は一変した。

闇属性「HERO」ということで、《X・HERO クロスガイ》や《V・HERO ファリス》《フュージョン・デステニー》の「HERO」*2しか特殊召喚できなくなるデメリットを潜り抜けて出せる貴重な存在。
評価自体はされていた「下向き3つのマーカーが優秀でそこそこ打点がある」という点を遂に活かせるようになった。

特に《フュージョン・デステニー》のデッキ融合により、先攻で妨害として使える《D-HERO ディストピアガイ》*3が出しやすくなったことで、発動条件を満たす補助役として評価が急上昇した。
さらには【HERO】そのものの回転力が大幅に向上したことで、3000打点も狙えるようになった。《M・HERO ダーク・ロウ》をパンプアップしてやると非常にいやらしい。

現在では一定の地位を得て産廃卒業組の1人となっている。
弱いとされたカードでも他のカードとの組み合わせ次第で輝けることを示す具体例となった。


  • 《X・HERO クロスガイ》
リンク・効果モンスター
リンク2/闇属性/戦士族/攻1600
【リンクマーカー:左下/右下】
戦士族モンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、
このカードの効果を発動するターン、自分は「HERO」モンスターしか特殊召喚できない。
(1):このカードがL召喚した場合、
自分の墓地の「D-HERO」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
(2):自分フィールドの「D-HERO」モンスター1体をリリースして発動できる。
リリースしたモンスターとはカード名が異なる「HERO」モンスター1体をデッキから手札に加える。

「DARK NEOSTORM」の「D-HERO」新規カードと一緒に登場した3体目。
効果が「D-HERO」を指定したものであり、名前にガイが入っていることから実質「D-HERO」と言っても差し支えない。

当然「D-HERO」ではないのでサポートは受けられないが、D-HEROは汎用性が高いため、他のHEROと混合した構築で使う事も可能。
ただ効果を発動するターンはHEROしか特殊召喚できない縛りのせいで実質【HERO】専用のカードである。

素材はHEROではなく戦士族と緩くなったように見えるが、効果の縛りの関係でHERO以外の戦士族は絡めるのが難しい。
むしろ一部のE・HEROとE-HEROが使えないため、実質素材縛りが厳しくなっている。

(1)はリンク召喚時のD-HERO1体の蘇生。
生きた《強欲な壺》こと《D-HERO ディスクガイ》をはじめ、切り札である《D-HERO ドレッドガイ》など釣り上げたいモンスターは多い。
融合モンスターでも可能なので、《D-HERO ディストピアガイ》《D-HERO ドミネイトガイ》《D-HERO デストロイフェニックスガイ》となんでもござれ。

特殊召喚モンスターである《D-HERO Bloo-D》は無理だが、こればかりはさすがに仕方ないだろう。

また地味に効果を無効化してないので、《D-HERO ダイヤモンドガイ》や《D-HERO ドレッドガイ》などの効果を使ってからリンク素材にしてもいい。

(2)は「D-HERO」1体をリリースすることで好きな「HERO」1体をサーチする効果。(1)で蘇生した「D-HERO」をそのままリリースして発動できる。

リリースできるのは「D-HERO」だけだが、サーチするのは他の「HERO」でも構わない。
《V・HERO ファリス》から繋いで《E-HERO アダスター・ゴールド》をサーチすれば簡単に《E-HERO マリシャス・ベイン》を出せる。

自身の素材になれ、効果使用後に他のX・HEROへ繋げられる《D-HERO ディアボリックガイ》とは相性が良い。

効果使用後は棒立ちになるので大体《X・HERO ドレッドバスター》の素材になる。

HEROしか特殊召喚できない縛りが中々にきつく、先攻で構えられるものは《M・HERO ダーク・ロウ》《D-HERO Bloo-D》《D-HERO ディストピアガイ》《D-HERO デストロイフェニックスガイ》辺りになる。

とはいえ、このカードにより「D-HERO」を採用した【HERO】の展開力が驚異的に増した。
【HERO】に新たな可能性を生み出してくれたカードの1つだろう。


  • 《X・HERO ヘル・デバイサー》
リンク・効果モンスター
リンク2/闇属性/悪魔族/攻1700
【リンクマーカー:左下/下】
「HERO」モンスター2体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがL召喚した場合に発動できる
(この効果を発動するターン、自分は「HERO」モンスターしか特殊召喚できない)。
EXデッキの「HERO」融合モンスター1体を相手に見せ、
そのモンスターにカード名が記された融合素材モンスターを2体までデッキから手札に加える(同名カードは1枚まで)。
(2):このカードのリンク先の悪魔族モンスターの攻撃力・守備力は自身のレベル×100アップする。

LINK VRAINS PACK 3で登場した4体目。
現状X・HERO唯一の悪魔族である。
先立ってのパックで強化されたE-HEROを強く意識した見た目と種族、そして効果を持つ。

(1)は「HERO」のサーチ効果。
見せた融合HEROに素材として名指し指定されているという条件はあるが、なんと2枚までサーチできる。

融合用のカードさえ用意できれば、アニメ産融合HEROを始め、漫画版の属性融合やOCGオリジナルの融合HEROなど、融合召喚を幅広くサポートできる。
《ミラクル・フュージョン》をサーチする《E・HERO サンライザー》を融合召喚すれば、2体の融合HEROを並べられる。
また、場に1体・手札に2体のHEROが揃うので《V・HERO トリニティー》も出せる。

何気にサーチ効果は「2枚まで」なので、素材の片方を素引きしてしまったせいで効果を発動できない、なんて事態にはならない。
サーチ後に融合召喚をスムーズに行うためにも《E・HERO ブレイズマン》や《V・HERO ヴァイオン》から《融合》をサーチしつつこのカードをリンク召喚したい。

(2)の効果はリンク先の悪魔族モンスターの強化。(1)の誓約と合わせると、ほぼE-HERO専用効果。
そのE-HEROには、高いレベルと攻撃的な効果の持ち主が揃っており、この恩恵をたっぷりと享受できる。
  • 貫通ダメージを与えられる《E-HERO マリシャス・エッジ》や《E-HERO インフェルノ・ウィング》
  • 自身を含めた自分の「HERO」が戦闘で相手モンスターを破壊すると、2100ものバーンを飛ばす《E-HERO インフェルノ・ウィング-ヘルバック・ファイア》
  • 攻撃を誘導する《E-HERO マリシャス・デビル》
  • 攻撃力が自分以下の相手モンスターを殲滅しながら自己強化を行う《E-HERO マリシャス・ベイン》
  • 相手を大幅に弱体化させながら、自身は2回攻撃が可能な《E-HERO ダーク・ナイト》
など、サポート先はより取り見取り。
ただし、強化を行うこのカード自身には耐性がなく、ステータスも平凡なので、長期の活躍はあまり期待できない。


追記・修正はドレッドバスターのシクを引いてハズレと嘆いて手放してしまい、後悔した人にお願いします。


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最終更新:2025年07月29日 00:52

*1 新マスタールールの施行中は、効果そのものよりもリンク先が自分の方に1つしか向いていないのが問題で、EXデッキのモンスターの展開先が1つしか広がらず、メインモンスターゾーンに出すと一切広がらない。せっかくセットした魔法カードをうまく活用できないことも多々あった。

*2 《フュージョン・デステニー》の場合はさらに闇属性まで限定される

*3 自身の攻撃力が元々の数値から変化していると、フリーチェーンで場のカード1枚を破壊し、攻撃力を元々の数値に戻す。