M・HERO ダーク・ロウ

登録日:2014/07/29 Tue 10:08:00
更新日:2025/04/26 Sat 16:38:52
所要時間:約 6 分で読めます





《M・HERO ダーク・ロウ》とは遊戯王オフィシャルカードゲームの登場モンスターの一つ。

カテゴリーM・HEROに属するカードの一枚。


【概要】

M・HERO ダーク・ロウ
融合・効果モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2400/守1800
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
相手の墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。
(2):1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外で
デッキからカードを手札に加えた場合に発動できる。
相手の手札をランダムに1枚選んで除外する。

ストラクチャーデッキHERO's STRIKEで登場したM・HEROの一枚。

「チェンジ」カードの効果でのみ特殊召喚できる特殊な融合モンスターである。
漫画には登場したものの音沙汰なかった新規の「M・HERO」であり、《M・HERO カミカゼ》や《M・HERO 光牙》と同じタイミングでカード化された。
登場当初のインパクトと様々な環境デッキへの出張から2022年現在でも私恨めいた恨みの声や苦手意識がガチ・ネタ問わず見受けられるカードである。

第一の効果は「相手の墓地に送られるカードは墓地に行かず除外される」永続効果。
相手だけ縛り付ける《マクロコスモス》であり、これだけで敵の墓地利用を丸ごと叩き潰す事ができる。
いつの時代でも墓地を活用するデッキは多く、つまりいつの時代でも有力な対抗手段になりえるだろう。

妨害のための《エフェクト・ヴェーラー》や《禁じられた一滴》など、「墓地に送る」ことがコストのカードも、墓地に送ることができなくなるのでこの効果で封じることができる。

モンスターだけでなく魔法・罠も吹っ飛ぶため、墓地の魔法を参照する【閃刀姫】や、《ジェムナイト・フュージョン》を使いまわす【ジェムナイト】にも刺さる。
暗黒界】に至っては、除去カードか《スキルドレイン》を引けないなら即サレンダーするしかないレベルである。

総じて攻めにも守りにも長けた優秀な効果と言える。


第二の効果は「1ターンに一度ドローフェイズ以外で相手がデッキからカードを手札に加えた場合、
ランダムに相手の手札を除外する」ハンデスの誘発効果。

ランダムなので、中々都合良く狙ったカードは落とせないが、それでも手札を強制的に捨てさせるのは手痛いダメージを敵に与えられる。

なお、この手のハンデスにしては珍しい「除外」なので再利用すら出来ない事も多々ある。
せめて「墓地送り」だろ…と思うかもしれないが、第一の効果で墓地に送っていた場合でも結局除外ゾーンに吹っ飛ぶ。


この手の強力なメタ効果を持つモンスターは大抵自分にも被害を及ぼすのが相場である。
自分もサーチできなくなる《ライオウ》《ドロール&ロックバード》とか、自分も墓地利用がしにくくなる《閃光の追放者》《ディメンション・アトラクター》とか、自分も特殊召喚出来なくなる《大天使クリスティア》とか。
だが、《M・HERO ダーク・ロウ》の場合は自分には一切被害はない
相手が墓地送り封じられサーチもやりにくくまともに動けない中、出してる側は墓地利用もサーチもそれからの大量展開もやり放題。

このカードの弱点はやや攻守のステータスが低い事であり耐性も持たない点だが、ステータスの面では《E・HERO オネスティ・ネオス》の登場によりダメージステップに一度打点を2500あげられるようになった。
自分ターンで《E・HERO シャドー・ミスト》を特殊召喚できれば①の効果で《マスク・チェンジ》をサーチし、相手ターンで《マスク・チェンジ》を行えば②の効果で《E・HERO オネスティ・ネオス》をサーチできるので、必要とするカードも少なくて済む。

耐性はないため適当な除去なら何をぶつけても倒れるが、対象を取る除去であれば《マスク・チェンジ》で2枚目の《M・HERO ダーク・ロウ》を出すことで回避できるケースもあるだろう。


【まさかの出張】


マスク・チェンジ・セカンド
速攻魔法
「マスク・チェンジ・セカンド」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札を1枚捨て、自分フィールドの
表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを墓地へ送り、
そのモンスターよりレベルが高く同じ属性の「M・HERO」モンスター1体を、
「マスク・チェンジ」による特殊召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。


……ん、つまりどういう事だってばよって?

要するに、手札コストを払えばHERO以外のモンスターからも《M・HERO ダーク・ロウ》を出せるということ。
もっといえば「レベル5以下の闇属性を利用するデッキは全部《M・HERO ダーク・ロウ》を使える」ということです。


通常の《マスク・チェンジ》に比べたら手札コストとレベル制限が辛いとは言え、闇属性デッキはこの手のリカバリが得意。
比較的ドローソースやサーチカードが多いテーマが数多いと言う事で、あらゆる【闇属性+HERO】が生まれた。

例として【インゼクHERO】【インフェルニティHERO】【墓地BFHERO】【ゴストリHERO】etc…
最早「ごらんの有り様だよ!」といわんばかりの出張で、若干乾いた笑いすら出てくるレベル。
特に【インフェルニティHERO】は大会で多大な結果を残した。


更に【シャドールHERO】についても触れておく。
シャドールはその切り札である《影依融合(シャドール・フュージョン)》の汎用性の高さから登場してすぐに研究が重ねられる。
その結果、【光天使】と《ソウル・チャージ》、【ライトロード】や《マスマティシャン》等相性の良いカードが続々見つかった。
その結果、瞬く間に環境トップに君臨した。

そんな中での《M・HERO ダーク・ロウ》と《マスク・チェンジ・セカンド》の登場によりシャドールの強さは超加速する。

元々EXデッキに頼らない【魔導】や【暗黒界】や【征竜】等に上手く《影依融合》の強みを生かせなかったシャドール。

しかし、《M・HERO ダーク・ロウ》の圧倒的な墓地利用メタにサーチメタ効果を使う事で、これらのデッキを根こそぎ死滅させる事すら可能になる。

《影依融合》で《エルシャドール・ミドラーシュ》SS、更に適当なシャドールや《終末の騎士》辺りを《マスク・チェンジ・セカンド》で《M・HERO ダーク・ロウ》にする事で、「特殊召喚・墓地利用・サーチ」を制限すると言う、アホみたいなメタを張る事すら余裕。
下級シャドールを変身させれば効果で墓地に送られるので、失ったコストの分を取り戻せる。

登場時は墓地利用封じという意味でシャドールメタがはかどるかと思われたのだが、むしろ逆になってしまった。

後には【彼岸】にも入れられて同系メタとなった。

とまあ、ごらんの通りの強カードどころか凶カードである。
良くも悪くもM・HEROの恐ろしさを知らしめた功罪は大きいと言えるだろう。

あまりの凶悪さに2016/4/1には《マスク・チェンジ・セカンド》は制限カード化。
これによってHEROデッキ以外で彼の姿を見る事は少なくなった。


+ 以下、相性のいいカード
【通常魔法その一】
  • 暗黒界の取引・一時休戦・墓穴の道連れ
手軽に発動できる1枚捨てて1枚ドロー系の効果
自ターンで発動し手札交換しつつ相手に2枚除外を強いる基本形
先行で使用すれば相手憤慨な上墓穴の道連れはピーピングも兼ね備える。


【速攻魔法】
  • 手札断殺
手札除外効果は1ターン1度なため上記の通常魔法を先攻で発動した後
次の相手のスタンバイフェイズでこちらを発動すれば相手はメインに移行する頃には激萎えしてるだろう…。


【カウンター罠】
  • 魔宮の賄賂
《M・HERO ダーク・ロウ》の除去を狙う魔法・罠を無効に出来る上手札除外効果で実質デメリットなし
流石正義のHEROは賄賂なんて不正を許さない!って納得できるかい。
またこれに限らず《M・HERO ダーク・ロウ》の効果は重複する為、ドローやサーチした場合に場の《M・HERO ダーク・ロウ》の数だけ除外を強いる事になる。


【通常魔法その二】
  • 手札抹殺
  • 王家の生け贄
ほぼ手札全捨て系、特に生け贄はピーピングでき全モンスターを捨てたあとにドローもないため相手のデッキによっては手札全除外もありうる、
《王家の生け贄》は墓守デッキ以外ほぼ入れられないが、何の因果か大半の墓守が闇属性なため、《マスク・チェンジ・セカンド》で《M・HERO ダーク・ロウ》に変身できる。
先行でこれをやる場合サレンダーどころかリアルファイトに発展する可能性も視野に入れねばならないかもしれない…。



【対策】

手っ取り早いのが特殊召喚された《E・HERO シャドー・ミスト》に《灰流うらら》を使って「チェンジ」のサーチを封じること。
サーチはされるが《幽鬼うさぎ》で変身前に割ってしまってもいい。

出された後には《無限泡影》などで対処しよう。
効果を無効にしてしまえばさすがの彼も怖くない。現在のカードプールで対処に困ることはあまりないだろう。壊獣などでリリースしてしまうのもアリ。

《M・HERO ダーク・ロウ》が致命傷になるデッキではこれらメタカードをサイドに忍ばせておくのが無難だろう。


【余談】


《M・HERO ダーク・ロウ》の除外効果は、同僚である他のHEROと相性が悪い。

戦闘でモンスターを墓地に送ることが前提の《M・HERO カミカゼ》《M・HERO 闇鬼》《M・HERO ダイアン》の効果は使えなくなってしまう。
E・HERO ノヴァマスター》は墓地に送る必要が無いので問題ないが。

散々相手のヘイトを集めた挙句、味方からもいやな顔をされる彼の気持ちはいかなるものなのだろう。正義とは時に非情であり、孤独をもたらすものなのかもしれない。


また、2015年の世界大会ジュニアの部のとあるアメリカ代表選手は《M・HERO ダーク・ロウ》のことをいたく気に入っており、インタビューでは「デュエルの秘訣は《M・HERO ダーク・ロウ》を使うこと」「デュエル中に重視しているのは《M・HERO ダーク・ロウ》をいかに素早く出すか」という旨のコメントを残している。

まあ、当時の環境にいた【クリフォート】【影霊衣】【テラナイト】をはじめ、多くのデッキに対して効果があるので、この惚れ込みようも理解できるだろう。
「デュエルで勝つには相手にデュエルをさせないこと」というのはこのゲームにおける真理である。


環境での活躍が認められた結果、2017年に発売された「20th ANNIVERSARY PACK」で再録を果たした。

これで《M・HERO ダーク・ロウ》を気軽に入手できるようになるだろう。え、ストラク3箱買ったから余ってる?聞こえないな!

ただし、収録されたのは、
5D's(ファイブディーズ)」「ZEXAL(ゼアル)」「ARC-V(アーク・ファイブ)」に登場したカードが集結」と公式で謳われている
2nd Wave」の方である。たしかにこいつが登場したのは「ARC-V」が放映中だった2014なわけだが、妙な感じがしたプレイヤーも多いだろう。

というか、こいつを出すためのカードである《マスク・チェンジ》と《マスク・チェンジ・セカンド》はどちらも再録されていないため、別に集める必要がある。
なんでや……。メインデッキに積む分むしろそっちの方が欲しいのに……。

その代わりなのかは不明だが、《E・HERO シャドー・ミスト》と相性がいい《ヒーローアライブ》は再録されている。
いや……嬉しいけど……そうじゃなくて……

ちなみに同じパックに収録された儀式モンスターの《神光の宣告者(パーフェクト・デクレアラー)》も専用儀式魔法が収録されていないという憂き目に遭っている。
こちらは「1st Wave」で収録された《高等儀式術》で出すことはできるけど……うん……。両方買えということか

このパックの担当者は何を考えていたのだろうか……


【原作での活躍】


漫画のGXではアモン戦で登場してフィニッシュを決めた。



以上である。





……え?





書くことが他に無いのかって?

なんと、原作ではバニラである。




本当は効果があったのかもしれないが、《E・HERO エアーマン》を見る限り隠された効果である。


OCGの彼がここまで強化されたのは、まさにKONAMIのテコ入れの産物だろう。


なお、同じことは《E・HERO シャドー・ミスト》にも言える。



追記・修正は相手の墓地を除外しハンデスしつつお願いします

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