シャクティ・カリン

登録日:2019/10/05 Sun 02:39:20
更新日:2025/03/27 Thu 23:28:26
所要時間:約 10 分で読めます


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11歳 Vガンダム 「シャクティがまた病気を起こしたんだよ!」 お姫様 ひなげしの旅のむこうに カテ公の命名者 ガンダム ガンダムメインヒロイン ガンダム登場人物項目 サイキッカー サンスクリット ザンスカール帝国 シャクティ・カリン トラブルメーカー ニュータイプ ヒロイン ポエマー ヤナギラン リガ・ミリティア 不遇 世界名作劇場 世間知らず 君だけ優しく輝いている 宇宙世紀 宇宙世紀キャラクター項目 市原由美 平和主義者 幼さ故の過ち 幼なじみ 戦わないヒロイン 戦争の被害者 数奇な運命を背負った女 森田涼花 機動戦士Vガンダム 次回予告担当 死神 母親 無能な働き者 田舎娘 空から落ちてくる系のヒロイン 苦悩の連続 行動力の化身 複雑な家庭事情 褐色娘 見てください! 超悲劇丸出し少女 隠し子 電波系 黒富野 黒田由美





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概要

機動戦士Vガンダム」のヒロイン。

CV:黒田由美(現:市原由美)、小林愛(一部のGジェネシリーズ)*1、森田涼花(U.C. ENGAGE以降)

やや薄い褐色の肌をした11歳の少女。
主人公のウッソ・エヴィンとは幼少期からの付き合いであり、
お互いの親が行方をくらました後は共に生活を送る「パートナー」となっている。
趣味は犬のフランダースとの散歩、花の世話。特技はカルルの好きなミルクの温度がわかることらしい。

東欧のカサレリアにて育ての「母」の帰りを待ち続けていたが、これは“育ての母”のことであり、血の繋がりはない。

彼女の本当の母親は写真として持たされていた「マリアおばさん」こと「マリア・ピァ・アーモニア」。なんとシャクティの母は細やかな平穏を壊した侵略者であるザンスカール帝国の女王だったのである。


人物

10歳に満たない頃から1人暮らしをしていたせいか非常に家庭的で、
炊事や洗濯といった家事全般を難なくこなし、スージィやカルルマンといった年下の子供たちの面倒もよく見ている。
まだ赤子であるカルルをおぶっている姿は全編通してよく見られ、幼いながらも母性を感じさせる人物である。

物語序盤は育ての「母」やカサレリアに精神を大きく依存していたが、
自身の秘められた出生を知って以降はそれらを取り払って芯の強さを備えるようになっていき、戦争や恐怖政治を否定する意思を最後まで保ち続けている。
戦いそのものを否定し、最後まで平和的な方法を模索し続けたのが彼女の特徴といえる。

その一方で場当たり的な発想で独断行動に出る悪癖があり、幾つもそんな行動を取っている他、それが巡りめぐって死人が出ることに繋がることもあった。

顕著に表れているのが第31話であり、モトラッド艦隊が月に来ているかもしれないという情報を聞くや否や護衛もつけずに衝動的に飛び出し、案の定秘密警察に連行されてしまっている。当然ウッソたちは救出しようと奔走するが、それが元でウッソの母であるミューラ・ミゲルが連れ去られてしまった。彼女がさらわれたことは後にVガン屈指のトラウマイベントに繋がっている。

その後もこうした行動は続いており、第44話では捕虜として捕らえたベスパのキスハールを独断で解放し、マリアのいるエンジェル・ハイロゥに自分を連れていくよう命じている。言うまでもなく無謀な行為であり、仲間の命を危険にさらす危険な賭けであった。
周囲の面々もこうした一面には辟易としており、この時は仲間であるオデロをして「シャクティが『また』病気を起こしたんだよ!」とまで言わしめている。
運良く死ななかった面々に関しても、当然シャクティ救出やそれに付随する攻防によって敵味方共に命懸けなので…。

「敵国の女王の娘」という複雑かつ重い立場に置かれたことで強い責任感が生まれ、それに幼さゆえの判断力や認識の甘さが加わってあのような行動に走らせたのだと考えられる。また、モトラッド艦隊の司令官であるクロノクルはシャクティの叔父にあたり、彼個人としては優しさを持った人物であるため、クロノクルに会って話し合いができればなんとかなるという思考が生まれてしまったのも要因である。

また最終的には予想もしなかった効果を発揮して結果オーライになっただけで、カガチの思惑通りなら知らぬ間にエンジェル・ハイロゥで人類虐殺の手助けをするところだった。実際に人類の退行現象も確認されているので(直接の死因にならないだけでこの時点でかなりの災害が発生していると思われる)、エンジェル・ハイロゥが欠陥品だったとは言えない辺り、繰り返しになるが本当に結果オーライになっただけである。

庶民として慎ましく生きていただけの少女に「女王の娘」という大きすぎる肩書きが加わったことによる歪みがこうした悲劇を引き起こしたのである。一個人の働きかけでどうにかなる問題であればこの行動力はむしろ賞賛すべきかもしれなかったが…。
ザンスカール帝国の所業は彼女も実際に見知っているので「知らなかった」というフォローは効かないため、判断力が甘い上に悪い意味で行動力もあったと言わざるを得ないだろう。

女王マリアの娘であるためかニュータイプやサイキッカーとして高い素養を秘めており、優れた感知能力と意思伝達能力を有している。

特に感知についてはウッソをも大きく上回る鋭さで、大気圏突入シークエンスに入ったピピニーデンのトムリアット隊や、アイドリング態勢にあるザンネックを補足するという、驚異的な範囲と精度を示している。



生い立ち


サイド1のアルバニアンにて娼婦と占い師の兼業で生活していたマリアのもとで産まれる。
当時のマリアは娼婦の不安定な収入でかなり貧しい生活をおくっていたのだが、シャクティを妊娠した辺りから治癒能力が開花し始め、3年後には自身を教祖とする宗教団体を立ち上げるまでに至る。

実の父親については特に詳細な描写はされていないが、
小説版ではマリアが娼婦としてとっていた客の一人であることと、有色人種ではないことだけは確かである。
それなのにどうして母や叔父と違って褐色の肌で生まれてきたのかというと、宇宙世紀以降の人類となると様々な人種の血が混ざりまくっているので隔世遺伝で親子でも全く人種の特徴が違う子供が生まれてくるというのもままあるから、ということであるらしい。

TVアニメ本編では幼児期のシャクティを抱きかかえるマリアと、父親らしき男性、クロノクルらしき男性が映った写真を持っており、
シャクティも写真の女性を知っていたが実母ではなく「マリアおばさん」と記憶していた。
詳細は不明ながらクロノクル曰く「安全のため」にマリアと離されたが、マリアやクロノクルも所在を全く知らなかったあたりカガチが一枚嚙んでいたものと思われる。

小説版では経緯が明確にされている。矛盾を避けるためか上記の写真は登場しない。
こちらではマリアを政治利用するにあたってフォンセ・カガチが事故に見せかけて行方不明にさせ、
カガチ自身にもあえて行方を伏せられたまま"養父母"に連れられてカサレリアに移住した。
だが"父"は程なくして病死、"母"もシャクティが8歳になる頃に依頼金を持ち逃げしてカサレリアから失踪している。
この失踪の真実に勘づいていたハンゲルグ夫妻(ウッソの両親)は自分たちとの同居をシャクティに提案するが、"母"の帰りを諦めきれないシャクティはあくまでも元の家に留まり続けた。

そして来る宇宙世紀0153年4月5日、紆余曲折を経ながらも平穏に暮らしてきた彼女の運命は戦争の荒波に呑まれていく――



劇中にて

ザンスカール帝国軍(以下ベスパ)の地球侵攻に巻き込まれる中でなし崩し的にリガ・ミリティアに合流。
当初は戦場という混乱した状況についていくことができず、ウッソがヴィクトリーのパイロットになることも快く思っていなかった。

その後、ウッソやオデロ等仲間達が宇宙に上がったことを受けて自らも宇宙に上がることを決意。
カルル、スージィ、フランダースといった面々を引き連れてリーンホースに密航するが、ベスパとの交戦中に起きたトラブルで真空空間に投げ出されてしまう。

宇宙漂流する中でベスパのパトロール艇に助け出されると、身辺を調査されたことで先述の女王の娘という生い立ちが判明。
ザンスカール本国にて実の母と久方ぶりの再開を果たす。

カサレリアで育ての母を待ち続けていたこともあってマリアを本当の母だと受け入れることができずにいたが、
マリアのシャクティに対する愛情は本物であり、シャクティ自身も徐々にマリアを母親として受け入れていく。

しかし、なまじ生い立ちを知ってしまったことと、戦争の激化を目の当たりにしたことが重なってか自分の手ですぐにでも状況を変えたいという意識が芽生える。ここから場当たり的な軽率な行動が目立つようになるのである。

一方で女王の娘として内に秘めた芯の強さを見せるようになっていき、終盤には歴戦の軍人であるタシロ・ヴァゴがたじろぐほどの貫禄を見せている。

母マリアは戦場でタシロに射殺されてしまうが、その意思を継ぐ形でそれまで持っていた素養を開花させ、エンジェル・ハイロゥで祈りを捧げる。
最終的にはサイキッカーたちの能力を最大限に引き出してエンジェル・ハイロゥを自壊させ、戦争を終結に導いた。

ザンスカール戦争終結後は、地球のカサレリアに戻り、ウッソ達と共に日常を過ごしている。

ラストシーンでは故郷であるウーイッグに向かうカテジナ・ルースと再会する。視力を失った状態でひどく貧相になり、かつての面影は感じられない様子であった彼女に対し、あえて他人として振る舞っている。

誰に会ったのかと尋ねるウッソには「道に迷った旅人よ」と伝えている。これは文字通りの意味もあるが、カテジナの生き様を端的に表現した言葉でもあり、隠れた名台詞である。

何人もの仲間を殺してきたカテジナに自らの名を告げず、ウッソにも憧れであった女性の変わり果てた姿を知ることのないようにしたのは、彼女なりの思い遣りだといわれる。

そしてカテジナとシャクティの涙をもって『機動戦士Vガンダム』の物語は幕を閉じる。






余談

  • 次回予告は主人公のウッソではなく、シャクティが担当している。最後の決め台詞は「見てください!」。なんということのない言葉ではあるが、妙に力強く言われるので印象に残ってしまう。後半になるにつれてシリアスな展開になっていくのに反比例して「見てください!」の掛け声がどんどん明るくなっていくのが特徴的。

  • 「シャクティ」とはヒンドゥー教において女性原理或いは女神を指す。肌が褐色なのもそういうところから来ているのであろう。

  • 小説版では本名はシャクティではなくアシリアとされている。アニメ版ではマリアもシャクティと呼んでいることから独自の設定の模様。

  • 彼女の行動によって結果的に死人が出ることを揶揄し、視聴者から「死神」扱いされることも多々ある。シュラク隊のメンバーには「所属した部隊の仲間が次々に戦死してしまうことから死神と呼ばれる」という公式設定を持つユカ・マイラスがいるが、Vガンで「死神」といえばシャクティを指すことが圧倒的に多い。

  • ことぶきつかさのギャグ漫画『いけ!いけ!ぼくらのVガンダム』では、カテジナ・ルース「カテ公」呼ばわりしてゲス顔で爆殺するという快挙暴挙に出た。ギャグ漫画とは言え多くの視聴者が望んだあんまりな描写ではあるが、本編中でのカテジナさんの暴れっぷりに眉をひそめていた視聴者からすれば痛快な絵面かもしれない。



主な台詞

  • ウッソが戦争に取られていくの? 戦争が、ウッソを持っていくの?

  • ここにいたら、皆おかしくなっちゃう。

  • カサレリアのお母さんだけが私のお母さんです。

  • これが素晴らしいこと?お恵みなの?

  • ジュンコさんやマヘリアさん達の分も幸せになってもらいたいから、お花、一生懸命に探したんです。

  • 人と人を結びつけるモビルスーツなら、私、好きよ

  • あたし達はクジラやアザラシと同じなんですよ。こうやって血が出るってことはそうでしょ?死んだら腐るんです。

  • 愛しあってる人達が殺し合うなんて、どうして?

  • カテジナさんも、カガチに取り憑かれておかしくなったんですか!?

  • 私に従って、このように疲れる祈りをなさるみなさまがた。もともとの平和とは、魂がそれぞれの家にもどることでありましょう。父が、母が、そしてそれぞれの連れ合いが、よりそうことのできる世の中でありましょう。

  • 優しさに包まれた深い悪意が、ウッソを狙っているわ

  • 道に迷った旅人よ




  • カ…カテ公!! この野郎、あんだけ悪事働いといてまだ生きてたか!

    そんな事はスタッフが許してもこの私と視聴者が許すもんですか








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最終更新:2025年03月27日 23:28

*1 ガンダムシリーズではリリ・ボルジャーノ、富野作品では『キングゲイナー』のサラ・コダマを演じている。