ゾイドワイルド ZERO

登録日:2019/11/07 Thu 13:33:56
更新日:2025/05/31 Sat 19:08:01
所要時間:約10分で読めます





ゾイドの未来はZERO(ここ)から始まる




概要

「ゾイドワイルド ZERO」とはタカラトミーが発売している玩具「ZOIDS」を題材としたアニメである。
2019年10月からテレビ東京系列にて金曜夕方17時55分から放送開始。

ゾイドのアニメシリーズとしては『ZOIDS』、『新世紀/0』、『フューザーズ』、『ジェネシス』、『ワイルド』に続く6作目。
登場機体は本作初出以外の物は全て前作「ワイルド」からのものとなっている。
但し、前作が低年齢層を意識したギャグ調かつ野性味溢れる作風となっていたのに対して、本作は「共和国軍」と「帝国軍」の二大勢力が対立する近未来的かつミリタリックで堅実なものとなっており、無印のメインスタッフが復帰した為か原点回帰を意識した作風が特徴。
登場ゾイドやワイルドブラストの要素こそ前作から引き継いでいるものの、ストーリー面の繋がりは一切無い為、今作から見ても問題は無い(この点は無印とスラゼロの関係性と似ている)が、監督が言うには『(前作ゾイドワイルドとの)関連がある』とのことで、『ゾイドワイルドZERO』というタイトルもキャッチコピーの通り『ゾイドワイルドの原点』という意味で、作品の世界観としては前作と繋がっている。
時系列的にはコロコロ公式の説明上、前作の遥か昔となっている。

ある程度従来のシリーズに近い作風となったため、賛否両論が強かった前作に比べると、路線変更に懐疑的だった古参勢からは概ね高評価となっているが、逆に前作の強烈な個性を好んでいたファンからは「せっかく新世代のゾイド像を打ち出したのにまた戻すのか」という困惑の声も一定数見られた。
また、

  • 武装と『ワイルド』の本来のコンセプトの食い違いが目立つ
  • 進化解放と兵器解放と原始解放の差別化が徹底されていない
  • コクピットを復活させたせいで玩具のスケールが番組と一致していない
  • 前作と関わりがある割には設定の齟齬が多い

…といった点を指摘する声も。
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって商業的にも苦戦気味であり、結果として前作ほどの支持を得るには至らなかった。

アニメーション制作は前作と同じOLM。
原作でも評価の高かったCGにより磨きが掛かっており、更に旧作では技術的、予算的な問題から不可能だった超巨大ゾイドの大暴れも随所に盛り込まれている。
特に中盤のジェノスピノ対オメガレックスや、最終章のジェノスピノ&オメガレックス対ゼログライジスによる超大型機同士のガチンコ勝負はまさに怪獣大決戦といった趣であり、本作最大の見どころと評する声もある。

本来ならこの後更なるTVシリーズを放送する予定もあったのだが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されてしまった*1
その代わりということか、2020年秋より続編となるショートアニメ『ゾイドワイルド戦記』がタカラトミー公式YouTubeチャンネルで配信開始された。
全6話での完結となったが、最終回もまだ続きがありそうな幕引きとなっており、作品そのものの高評価もあって現在でも第7話以降の配信を待ち望むファンは多い。
その他、スピンオフとして『ゾイドワイルド列伝』『ゾイドワイルド戦記外伝』が玩具展開されたが、以降は細々とコラボ商品が展開されるだけの時期が続き、シリーズ40周年と無印の放送25周年を迎えるまで、ゾイドシリーズの展開はしばしの沈静化を迎えることとなった。

あらすじ

今から遥かな未来。
後に「ゾイドクライシス」と称される未曽有の大災害によって地球は一度荒廃してしまう。
しかし、宇宙から帰ってきた者達の手で地球は息を吹き返しつつあり、現在ではゾイドと人間の共存する社会が出来ていた。
一方で共和国と帝国の二国がゾイドによる軍備拡大を進め、常に一触即発の雰囲気が漂っていた。

そして新地球暦0030年。
相棒ゾイドのライガーやビジネスパートナーのバズと共に運び屋を営む少年レオはひょんなことから帝国から追われている少女サリーを助けたことがきっかけで、地球を救う為の冒険の旅に出るのだった。

世界観説明

少々複雑な為予めここで解説しておく。

1.遥かな未来、地球が環境汚染によって荒廃してしまう。
2.そこで地球人は地球を脱出し、幾つもの宇宙船に乗って宇宙を彷徨った末にゾイドが住まう惑星ziに移住する。
3.しかし惑星ziも寿命を迎え、人々は地球への帰還を決意。それにあたって科学者のボーマン博士がゾイドの力で地球を再生させる「ziフォーミング」を発案した。
4.人々は再び大量の宇宙船に乗って地球へ向けて出発すると同時にコールドスリープについた。博士の目算では、ziフォーミングの要である「科学船」が太陽系に入ると自動でziフォーミングが発動し、自分たちが地球で目を覚ました際には地球産のゾイドが生まれ、既に元の自然が豊かな惑星に戻っているはずであった。
5.しかし、科学船に乗っていた博士とサリーがコールドスリープにつこうとした直前に、地球再生にあたって自分たち以外の人間を否定する反乱分子が船に侵入してくる。
6.博士は咄嗟に科学船の航路を変更し、サリーと共にカプセルで脱出。一方の科学船はワームホールに飲み込まれ、21世紀の荒廃前の地球に不時着する。
7.結果不完全なziフォーミングによる天変地異と誕生したゾイド達の暴走によって地球は荒廃し、生まれたゾイドも環境に適応出来ずに死滅してしまう(これが後の「ゾイドクライシス」である)。
8.そして、本編開始30年前に地球に到着した人間たちによって地球は今に至るが未だ完全な復活には至っていない。

因みに惑星ziから帰ってきた世代は「入植第一世代」と呼ばれており、マスク型の呼吸器が日常生活に必要不可欠となっているが、再興後の地球で生まれ育った世代は「入植第二世代」と呼ばれ、呼吸器無しでも生活できる。

登場人物

主人公一行

  • レオ・コンラッド
CV:野上翔
入植第二世代
相棒ゾイド:ビーストライガー→ライジングライガー
本作の主人公。
ライガーやバズと共に運び屋を営む傍ら廃墟からレアメタルを持ち出して換金しながら日々細々と暮らしていたが、サリーを帝国軍から守ったことを切っ掛けに仲間たちと共にサリーを祖父に会わせる旅に出ることとなる。
一つの目的に熱中すると周りが見えなくなるような思慮浅さこそあるものの、基本的には前向きかつ正義感の強い人物で、会ったばかりのサリーにも手を差し伸べるような心優しさも持つ。
ワイヤーを射出できるピストル型の万能武具を所持しており、本人の高い身体能力も相俟って帝国軍の一般兵士程度となら渡り合える。
また、手先も器用で機械に強く、ライガーの発掘から復元まで全て自身の手で行った他にも21世紀の映像機器を中の記録映像も含めて完璧に修復して見せたこともある。
第1話にてサリーのペンダントの光を浴びたことで左腕・腹部・左足等の体の一部が機械化し、生身でもワイルドブラストの衝撃に耐えられるようになった。
今のところ体質変化による日常生活への支障は無いが、服から露出する腕部分はグローブや包帯で隠してある。
父親は有名な地球考古学者のジョシュア・コンラッドだが、10年以上行方不明となっていた。ゼログライジスが出現した後、父の資料を元に地下水道跡の入口を見つけ、その奥を進んでいったことで金属まみれになった父を見つけて動揺する。イレクトラ・ゲイトと接触したばかりにこうなったと知ることになるが、同じくイレクトラ・ゲイトと接触して身体を金属化され昏睡状態に陥る。サリーのゾイド因子、父がレオの精神に現れ激励されたことで金属化状態から解放され、ゼログライジスのゾイド因子を無効化させられるようになった。決死の覚悟でゼログライジスの体内に特攻し、ゼログライジスのゾイドコアを破壊。全ての端末を正常にさせたことで地球を救った。その後は父のような地球考古学者に冒険に出るが、これまで通りサリー、バズも同行することになった。
中の人は今作が初主演となった。

  • サリー・ランド
CV:千田葉月
入植第一世代
本作のヒロイン。
ziフォーミングの中心人物であるボーマン博士の孫娘。
実年齢はレオ達よりも上だが、コールドスリープについていたため、外見及び精神年齢はレオより年下となっている。
一年前に祖父と共に地球に帰還し、その研究を手伝っていたが、それに気付いた帝国軍から逃げる際中祖父とはぐれてしまい、以後孤独に逃亡生活を送っていたところをレオ達に助けられた。
物静かで少し天然なところもあるが使命感と芯の強い性格で、レオ達を巻き込んでしまったことには内心罪悪感を感じている。
また、ゾイドが道具扱いされることをよく思わないなど、心優しい人物でもある。
祖父の研究を手伝っていたこともあって、ゾイドの内部構造にはある程度精通している。
祖父から託されたペンダントには彼の研究成果が込められているらしく、第1話で光を放った際にはその力で不完全だったライガーをビーストライガーに完全覚醒させ、レオの肉体を変化させたほかにも彼女自身も呼吸器無しでも平気になった。
また、ペンダントにはホログラムでziフォーミングの端末「リジェネレーションキューブ」の位置が記されており、一行の旅の指標となっている。
レオ達や共和国軍の協力もあり帝国軍から何とか逃げ延びてきた彼女だが、22話でのライガーとファングタイガーの戦いのどさくさに紛れ、帝国軍に捕らわれてしまうが、ハンナ・メルビルに逃がされる。祖父と再会を果たし、オメガレックスの荷電粒子砲を無効化させる装置を作るのを手伝った。
レオが金属化してしまった際には、彼女の中に流れるゾイド因子が彼を救うことになった。
ゼログライジスが倒された後は祖父の手伝いをする予定だったが、祖父の勧めもあり、これまで通りレオと冒険していくことになった。

中の人は本作がアニメ初出演作となった他、今作のEDも歌っており、歌手デビューも果たした。

  • バズ・カニンガム
CV:保村真
入植第二世代
レオのビジネスパートナー。こちらは成年済み。
ノリの軽い態度の持ち主だが、前向きなレオに比べると事なかれ主義で商売優先なところがあり、当初は帝国軍を敵に回すこともあってサリーと関わることを良しとしなかった。
また、現実主義者故に間違っていないが少々辛辣な物言いも多く、レオやジョーと揉めることも多々ある。
しかし、根は悪い人間では無い為、結局は何だかんだ言いつつもサリーを祖父のところまで送り届けることを決めた。
ゾイドは持たず、21世紀製の自動車を乗り回す他船舶の操作もできる等、レオとは別の方向で器用な人物。
また、口八丁手八丁で機転も効く一面もあり、レオやサリーにとっては頼れる兄貴分である。

  • ジョー・アイセル少佐
CV:日笠陽子
入植第二世代
相棒ゾイド:ラプトリア
第4話から登場。
共和国軍の女性軍人兼地球考古学者。
長身でスタイル抜群な女性で、厚い唇と大きなモノが特徴的。
知的な見た目や肩書に反して常にハイテンションでパワフルな人物であり、スキンシップもいささか過剰で興奮すると誰それ構わず抱き着いてくる。
但し、軍の規約等には生真面目で、融通の利かない面もある。
レオの父親を尊敬しており、その著書に感銘を受けてゾイド科学者を目指した過去を持つ。
相棒のラプトリアを「ラプちゃん」と呼んで溺愛している。
レオと共に共和国の発掘中のゾイド遺跡を守ったことがきっかけで、彼らに興味を持ってというのは名目上で、実際は監視の為に送り込まれて彼らの旅に勝手に同行するようになる。
サリーを気に入っている。
何故か名前よりも名字で呼ばれることが多い。

共和国軍

シンボルカラーは青。
主人公一行には帝国軍に襲われていた彼らを保護したり、旅の助けを行う等協力的かつ友好的に接しているが、独自の意志も持っており、完全な味方とは言いきれない。
移民船をそのまま首都ネオヘリックとして構えており、その下には第2都市ニューホープを築いている。

  • ダン・クレストウッド
CV:江原正士
入植第二世代
共和国の大統領。
ジェノスピノの暴走騒動について、フィオナと会談した。

  • クライブ・ディアス中佐
CV:三上哲
入植第二世代
相棒ゾイド:トリケラドゴス改→ワイルドライガー改・オメガレックス
第3話終盤から登場。
ライガーを一目見てレオ達を軍が保有するゾイド遺跡に案内したり、彼らに船舶を手配するなど彼らを積極的に支援している。
ギレル中尉とは因縁浅からぬ関係で、彼のスナイプテラに傷を負わせた数少ない人物であるが、ジェノスピノが復活した後は共闘していくようになった。
母親は共和国でも有名な料理上手。

  • シェリー・ハント大佐
CV:浅野まゆみ
入植第二世代
ディアス中佐の幼馴染。
男勝りな凛々しい口調で話す。
人当たりは良いが職務に関してはアイセル以上に生真面目な性格で、当初はジェノスピノを下したライジングライガーが帝国軍に渡ることを危惧するあまり、本人に密かにレオと引き離そうとしていたが、中佐がアイセルを再び監視役に付けることを提案した際には、それを快諾していた為、根は決して冷酷な人間ではない。

  • ジェイク・ラモン
CV:興津和幸
入植第二世代
相棒ゾイド:ソニックバード
嘗てレオ達が出会った、21世紀の廃墟で暮らす青年。
空を飛ぶことを夢見て、偶然見つけたマグネッサーシステムを使ったマシンで飛行実験を繰り返していた。
マシンの製作技術はあまりうまくないものの、そのマシンを操る手腕は確か。
飛行実験中、運悪く共和国軍の領空に入ってしまい、不審人物として囚われるが、レオ達おかげで釈放。
その後、帝国軍の襲来で基地が倒壊し、誰も乗れなくなったクワガノスを操って帝国軍を退けるという活躍を見せた。
一度レオ達とは別れたが、後に正式に共和国軍に入隊し、新型ゾイドのソニックバードのパイロットに選ばれた。

  • モーガン・ギャレット少将
CV:土師孝也
入植第一世代
ネオヘリックに身を置くディアスの上官。
大統領代理官の役を担い、帝国との交渉や折衝に奔走する。

帝国軍

本作の敵対勢力。シンボルカラーは赤。
勢力拡大の鍵となるボーマン博士及びその研究成果を知るサリーや彼女と行動を共にするレオ達の身柄確保に躍起になっている。
ゾイドの自我を制限するアイバイザー型の「Z-O(ゾイドオペレート)バイザー」を保有し、ゾイド自体にもより本格的な兵器化を施すなど、技術面では共和国軍を上回る。
一方、所属人物達は過激で好戦的な人物が大多数を占めており、バイザーがゾイドに負担を強いることからも分かる通り、ゾイドを兵器扱いしている輩が殆ど。
但し、これは「任務遂行にあたっての心構え」という面が大きく、意外にも共和国軍に対して明確な敵意を持っている者は少ない。
その為、必要とあらば共和国軍と手を結ぶことにも特に抵抗は無い模様。
共和国軍と同じく、移民船を首都ネオゼネバスシティとして使用している。
後に一部が「真帝国軍」を名乗り、離反することになる。(名前の後ろに★が付いた者が該当者)

  • フィオナ
CV:古賀葵
入植第二世代
帝国を収める若き女帝。
シーガル准将の起こしたジェノスピノの暴走騒動について、クレストウッドに謝罪した。
その生まれ故に大の世間知らずで外の世界への憧れが強く、後にギレルを自分の話し相手兼付き人に任命した。
シーガルらの謀反でネオゼネバスシティを占拠された際にはメルビルとの邂逅を果たしたが、彼女自身に対しては唯一の親族として好意的に接している。

  • リュック隊長
CV:岸尾だいすけ
入植第二世代
相棒ゾイド:キャノンブル
第1話から登場。記念すべきレオとライガーの初陣の相手。
立ちふさがるジャミンガを射殺してを足蹴にするような攻撃的な性格だが、軍人としての使命感は本物であり、味方に対しては一定の気遣いを見せることもある。
サリーを守ろうとするレオと不完全なライガーを圧倒するが、サリーのペンダントの力でライガーが完全覚醒すると形勢逆転し、角をへし折られて敗北した。
シーガルらの謀反の後は帝国兵士としてレオや共和国軍と共闘する。

  • シェル軍曹
CV:浜田賢二
入植第二世代
相棒ゾイド:バズートル
第2話から登場。階級はリュックより下らしい。
自ら駆るバズートルの性能に並々ならぬ自信を持つ。
住んでいた町を離れようとするレオ一行の前に立ちふさがり、バズートルの高火力で猛威を振るうが、ライガーの機動力には一歩及ばず、砲塔をへし折られて機能停止した隙をつかれて逃走を許した。

  • クリストファー・ギレル中尉→少佐
CV:増田俊樹
入植第二世代
相棒ゾイド:スナイプテラ、ジェノスピノ
第3話から登場。
スナイプテラによる空中狙撃を得意としており、一人で共和国軍の一個小隊を壊滅させたこともある高い実力とスナイプテラの体の色から「赤き死神」の異名を持つ。
冷静沈着だが自信家で傲岸不遜。ディアスとは因縁浅からぬ関係。
帝国軍の演習場を通り抜けようとしたレオ達を襲撃し、ライガーを空中戦で圧倒し初めて黒星を付けた。
一度はその腕前を見込まれ、コリンズ准将の推薦もあってジェノスピノの将来のライダーに指名されたが、彼の死後、その資格をアルドリッジに奪われてしまう。
その後は、コリンズの汚名を返上すべく、独断で共和国軍に接触し、ディアスにスナイプテラを貸し出した。オメガレックスが復活した後はディアスの仮病を利用した推薦もあって、ジェノスピノのライダーに選ばれた。
後にフィオナの直属の部下となり、同時に階級も少佐へと昇進した。

  • ダグラス・アルドリッジ少佐
CV:三木眞一郎
入植第二世代
相棒ゾイド:スティレイザー→ジェノスピノ→ファングタイガー
第4話から登場。
共和国軍や民間人ゾイドを見下している。
一見すると冷静な人物だが、実際はギレルの態度を苦々しく思ったり、自身を下したレオに憎悪を燃やすような激情家。
共和国軍のゾイド遺跡をガブリゲーター隊を率いて襲撃し、その火力と頑丈さでディアスを下し、ライガーや共和国軍を追いつめるが、レオの機転で地下に設置された爆弾によって機体が埋没した隙にスティレイザーを半壊させられると撤退していった。
その後、コリンズの死に乗じてジェノスピノのパイロットの資格をギレルから奪った。
その後はジェノスピノを操って共和国の領地で破壊の限りを尽くすが、戦いの中でジェノスピノに飲まれていき、暴走。
やがてその負荷に耐えられなくなって気絶し、戦いの終結後、共和国軍に回収された後、意識不明のまま帝国軍に返還された。意識を取り戻した後は刑務所に直行されたが、フランク・ランド博士に身柄を引き取られ、ファングタイガーを与えられると同時に、サリーのペンダントを奪って来いと命令される。ジャミンガを操る者の協力を経てオメガレックスが復活した後、精神をむしばまれる危険をスピーゲルに指摘されながらオメガレックスに搭乗。荷電粒子砲なしでも共和国・帝国の合同軍を圧倒したが、レオがライジングライガーに装備させた古代兵器により沈黙させられ、「真帝国に栄光あれええええ!」と泣いて叫びながら帝国軍に拘束された。

  • ビクター・スピーゲル
CV:高橋広樹
入植第二世代
相棒ゾイド:ドライパンサー→ハンターウルフ
ジェノスピノの暴走で破壊された町のリジェネレーションキューブを回収すべく送り込まれた。
ドライパンサーの高い隠密性でバーンとガトリングフォックスを翻弄したが、ライジングライガーとレオのコンビネーションの前に敗れる。
その後、ランド・シーガル陣営に与してジェノスピノ復活の妨害工作任務に就くが、バーンとガトリングフォックスとの戦いに敗れる。トラモント基地に移動する際はハンターウルフに搭乗し、ディアスのワイルドライガーを圧倒した。
ゼログライジスが復活した後はシーガルに失望していき、最終的にはシーガルと共に逮捕される。

  • ハンナ・メルビル少尉
CV:内田真礼
入植第二世代
相棒ゾイド:スナイプテラ、オメガレックス
ランド博士の助手を務める女軍人。
常に冷静で、博士に対しては敬語を常用する。
因みに結構「ある」。そしてシリーズ屈指のリョナ担当
兵士ではあるが、無益且つ過剰な殺傷は決して望まない等、根は慈悲深い人物。
元々は孤児であり、ランド博士が親代わりとして彼女を教育したという。
その為、博士には従順だが、義理の姉妹とも言えるとある人物との接し方については思うところがある様子。
尚、ギレルからはその姿にフィオナの面影を重ねられているが....?

  • コリンズ准将
CV:速水奨
入植第一世代
ギレルの直属の上司にして、傲岸不遜な彼が唯一尊敬する相手。
今でこそ帝国軍人らしからぬ穏やかな人物だが、惑星ziにいたころは「黒い荒鷲」の異名を持つ実力者ながら、ギレル以上の問題児だったらしく、そのせいで出世が遅れていた模様。
ジェノスピノのことはあくまでも「抑止力」として認識している。
実は大病を患う身であり、ギレルをジェノスピノのパイロットに推薦するも、第11話にて容体が急変し、病死してしまった。

  • ジョナサン・ヴィンセント・シーガル准将
CV:堀内賢雄
入植第一世代
アルドリッジの直属の上官にあたる帝国軍将官。
タカ派で共和国を滅ぼすべき存在として見ており、ハト派のコリンズとは権力闘争上で敵対していた。
コリンズの死に乗じてジェノスピノ復活計画の指揮権を手に入れてアルドリッジをライダーに指名し共和国への攻撃を仕掛け、それをコリンズ陣営の独断・暴走とうそぶいて責任をなすり付けようとした。
しかし、結局はレオ達の奮戦によってジェノスピノは破られ、計画は破綻。
後日軍法会議にかけられ、禁錮500年を言い渡された。
しかし、後にランド博士の権限により釈放。
更にはそのまま博士と結託して帝国軍に離反し、帝国、共和国を相手取った戦争を開始する。オメガレックスが敗れた後は身動きがとれなくなるが、ジャミンガを操る者と結託したことで再び反撃を始める。しかしゼログライジスが復活し、ジャミンガを操る者に捨てられたも同然の存在となった後は、スピーゲルと共に逃亡。その間に手に入れていた最後のジェネレーション・キューブを交渉材料として合同軍に対して罪状の撤回と合同軍の最高地位の保証を要求したが、当然聞き入れられなかった。ゼロファントスからの襲撃を受けた際はキルサイスに乗って自爆しようとしたが、メルビルに助けられ、罪を償うことになった。

  • フランク・ランド
CV:稲葉実
入植第一世代
帝国軍の最高技術顧問。
元々は共和国軍に属していたが、「最強のゾイドを生み出すには帝国の方が都合がいい」と判断して離反した過去を持つ。
その後、先述の帝国の装備の数々を発明した。
経歴や目的からも分かる通り自身の目的の為なら非情な手段も辞さず、ゾイドのことも自身の欲望を満たす道具扱いして弄ぶ絵にかいたようなマッドサイエンティスト。
当初は嘗て実在した超大型ゾイド「ジェノスピノ」の復元に躍起になっており、パーツの復元・回収を周囲にせかしていた。
一方、ジェノスピノの完全復元後はその扱いは軍に一存している。
現在はデスレックスが変異し荷電粒子砲を扱えるゾイド・オメガレックスを復元させるため、リジェネレーションキューブかサリーのペンダントを欲している。
ボーマンとは嘗て惑星ziに居た頃に共にゾイドを研究していた仲であったが、ゾイドの力に「再生」を見出した彼とは対照的にその力に「破壊」を見出したために、現在は袂を分かっている。
老体だが、レオとの力比べで彼を手こずらせるほどの腕力を持つ。
姓がサリーと同じなため、彼女との血縁関係を示唆する描写がある他、サリーの母親・クリスタの名前を知っている。

その他

  • バーン・ブラッド
CV:古川慎
入植第二世代
相棒ゾイド:ガトリングフォックス
第5話から登場。
元帝国軍の二等軍曹。
出世欲の強い性格の一方で、ゾイドが道具扱いされることを良しとせず、ゾイドを救う為なら自らの野心も捨て去るなど、根はゾイド愛に満ちた人物。
度重なるフォックスの暴走に頭を悩まし、暴走したフォックスが辿り着いた森でボーマン博士と出会う。
そこで彼の話に心動かされると、自身の出世よりもフォックスの安全と自由を優先し、帝国軍から離反。
ピンチに陥っていたレオ達を救うと、以後はフォックスと共に帝国軍からの逃亡生活を送ることとなった。
その後は、ジャミンガ退治の依頼を受けながら生計を立てている様子で、時折レオ達と合流しては彼らに助力している。
ジェノスピノとの戦後に共和国に招かれたが、帝国軍と似たようなものとして拒否し、逃亡生活を継続していくことになった。オメガレックスが復活した後で合同軍に合流し、かつての上司と共にオメガレックスと戦い、帝国軍からお咎めなしとされても、ガトリングフォックスを取り上げられるのは目に見えてるとして逃亡生活を継続。ゼログライジスとの戦い後は正式にガトリングフォックスのライダーとして認められた。

  • ウォルター・ボーマン
CV:安原義人
入植第一世代
本作のキーマンにして最重要人物。
サリーの祖父(名字が違うため恐らく母方)である科学者で、彼女からは「おじいさん」と呼ばれている。
一年前に地球に帰還して以降は共和国とも帝国とも繋がらずにziフォーミングを完了させるための研究をしていたが、帝国に気づかれると、自身の研究成果が込められたペンダントをサリーに託し、自ら囮となって彼女を逃がした。
ゾイドが道具扱いされることを良しとせず、ゾイドを生命体と認めた上で大いなる可能性を見い出している。
「何事にも良い面と悪い面がある。悪い面だけを見てはいけない」という言葉は作中屈指の名言。
碌な移動手段が無い為にバズからは帝国に捕まっていると思われていたが、実際は今なお逃げ延びていた。
どうやら、自身の持ち物と引き換えに壊れた乗り物を周囲から譲り受けては何らかの方法で復元して使用しているようだが...?
オメガレックス起動に際して遂にレオ達と合流し、帝国共和国連合軍に協力し、サリーと共にペンダントを無力化するデフレクターを開発した。

本作のゾイドについて

前作が基本数メートル程の小柄な機体が殆どだったが、今作では従来のシリーズのように10メートル近くにまで巨大化している。
また、前作ではゾイドは野生のまま使用されていたが、今作では軍隊のゾイドには火砲やミサイルポッドなどの武装が後付けされており、より兵器らしい見た目になっている。
他にもコックピットが復活しており、ライダーが所定の位置に跨ると自動でコックピットのキャノピーが展開される仕組みなっている*2
ziフォーミングの影響でマグネッサーシステムも使用可能になっており、飛行ゾイドはマグネッサーウイングを装備している。

ワイルドブラスト

前作から引き続き導入されたゾイドのパワーアップ機能。(詳しくは前作の項目を参照)
今作ではゾイドキー等の専用アイテムは不要で、コックピットの操作で行われる。
発動中はパイロットに凄まじい負荷がかかるため、ワイルドブラストの衝撃から肉体を守る「耐Bスーツ」無しでは危険とされている。
また、未改造のゾイドが放つのは「進化解放(エヴォブラスト)」、兵器を取り付けられたゾイドが放つのは「兵器解放(マシンブラスト)」と区別されている…という設定だが、劇中ではZ-Oバイザーの有無で区別されている節があり、更に一度ギレルのキャタルガが発動した際にはエヴォブラストでもマシンブラストでもなく単に「ワイルドブラスト」と称されたりと、実際のところ両者の違いはかなり曖昧。
後半より登場した骨格構造のないゾイドのワイルドブラストは「原始解放(ゼロブラスト)」と呼ばれる。

一覧(初登場個体のみ)

●ビーストライガー
レオが自ら発掘したライオン種ゾイド「ライガー」が、サリーのペンダントの力で急速進化を遂げた姿。
ぱっと見は白と赤になったワイルドライガーで、パーツ形状はより曲線を多用したものになっている。
たまに外付け火器も使うが、やはり基本的には素のままの状態での格闘を得意としている。
エヴォブラストによって背中の「レッドタテガミクロー」が展開し、必殺の斬撃「ビースト・オブ・クロー」を繰り出す点もワイルドライガーと同様だが、内部に真の刃「ゴールドタテガミクロー」が隠されており、これで繰り出す「ビースト・オブ・クロー・(ブレイク)」が最強技。
…まぁここまで読んで頂ければ分かる通り、ぶっちゃけワイルドライガーとの機能的な違いはタテガミクローが伸びることくらい。
出番も全50話中僅か1クールと短く、歴代主役機と比べるとどうにも印象の薄い不遇な機体。
後に元のライガーも「プロトビーストライガー」名義で商品化された。
『ゾイドワイルド2』でも主役機に抜擢されており、こちらはビースト・オブ・クロー壊の他、脚部に追加されたブースターで体当たりを繰り出すオリジナル必殺技「ビースト・オブ・ロケット」も持ち味である。

●ライジングライガー
ジェノスピノに敗れ大破したビーストライガーがリジェネレーションキューブの力で一度ライガーに戻った後、レオによる武装強化とエヴォブラスト発動を経て再び進化した姿。
全身が堅牢な黄金の装甲「ライジングアーマー」に覆われており、特に光学兵器に対しては極めて高い耐性を持つ。
背中には破壊されたレッドタテガミクローを再利用して作られた銃剣「A-Zタテガミショット」、炸薬が内蔵されたシリンダー「インパクトリボルバー」、及び副砲となるA-Z機関砲から成る巨大な複合武装ユニット「ライジングユニット」を装備している。
尻尾もバランスを取るためにより重い「ヘビーテイル」に変化し、テイルアタックの威力が大幅に向上した。
同時に本体のパワーも強化されたため、ビーストライガーを裕に超える重装備でありながら機動性はほとんど落ちていない。
恐ろしいことにこれでも積載量には余裕があるらしく、オメガレックス戦では巨大なロングバスターキャノンを背負った状態でも普段と変わりない瞬発力を発揮した。
エヴォブラストを発動するとタテガミショットが前方に展開し、必殺の斬撃「ライジングガンスラッシュ」を繰り出す。勿論射撃も可能。
こちらもレッドタテガミクローと同じく真の刃「タテガミブレード」が隠されており、これを敵に突き立ててからインパクトリボルバー内の炸薬に点火し、爆発の勢いでより深く突き立て打ち砕く「ライジングバーストブレイク」が最強技。
流石に規格外の超大型機相手にはパワー不足が目立ったものの、同クラスのゾイドの中では間違いなく最強格であり、ジェノスピノやオメガレックスの取り回しの悪さを踏まえれば共同軍の実質的な最大戦力と言っても過言ではないだろう。

●ラプトリア
ラプトールが灼熱の大地に対応するために変化した亜種。
アイセルからは「ラプちゃん」の愛称で呼ばれる。
原種と同じく俊敏な動きと優れたスタミナが持ち味であり、加えて腕に「クレセントクロー」、脚と背中に「スラッシュクロー」と計6本の巨大な爪を装備。これらは戦闘だけでなく壁の登坂等にも使用でき、生息地によって生え方が異なるという。
エヴォブラスト発動によって全身の爪を一斉に展開して飛びかかり、ラプトール譲りのドスクローと共に突き立てる「ヘキサスラッシュ」が必殺技。ドスクローも加わったら7本になってヘプタスラッシュなんじゃないか、とか言ってはいけない
序盤はほぼアイセルの専用機だったが、配備が行き渡ったのか、はたまた単純に登場していなかっただけか、後半からはモブのラプトリアもやられ役として多く登場するようになった。

●ガトリングフォックス
寒冷な高原に生息するキツネ種ゾイド。
帝国に捕獲され、ステルス用ゾイドに強化されたが、Z-Oバイザーによる制御に激しく抵抗した末にバーンと共に逃亡した。
全身を覆う銀色の装甲「オプティカル・ステルスアーマー」と骨格を形成する「インビジブルボーン」による透明化が可能で、これで身を隠しつつ、格闘と肩の2連ソードオフショットガンで敵を仕留める。
マシンブラスト用装備として背中の「A-Zインフィニティガトリング」とその側面の「ダブルバスターライフル」、及び尻尾のミサイル発射管「マルチプルランチャー」が一斉に展開し、これにショットガンも加えてフルバーストを放つ「幻影機関砲(ファントムガトリング)」が必殺技だが、Z-Oバイザーが外されたことにより、マシンブラストではなくエヴォブラストとして発動される。
本作のワイルドブラスト区分を曖昧にしている主犯その1
終盤にはA-ZインパクトレーザーガンとA-Z10連装マニューバミサイルポッドが追加され、更なる火力アップがなされた。
「ガトリングガンを背負った透明化できるキツネ種ゾイド」という点からして、恐らくかのシャドーフォックスのオマージュ機体。

●クワガノス
クワーガが森林地帯に適応して誕生した亜種。
体内に取り込んだ樹液を結晶化させ、未知の金属に変化させることができる。
体色がオレンジ色に変化し、琥珀色の翼「アンバーウイング」は斬撃武器としても使用可能。
クワーガの特色だったデュアルシザースもより巨大な「アンバージョー」に変化しており、エヴォブラスト発動によって展開したこれで敵を真っ二つにする「ストーム・シザース」が必殺技。
スピード、旋回性能、攻撃力共にクワーガの倍近い数値をマークしており、発掘数が多いおかげで迅速に量産出来る。
性格が大人しいので操縦も簡単であり、素質のある者であれば素人でも正規兵が乗ったクワーガ部隊を単独で蹴散らせるという、色んな意味でクワーガ涙目な代物。
本機の登場により、空中戦では帝国軍に押され気味だった共和国軍も制空権を大きく拡大することとなった。
なお、クワーガのライバルであるカブターの亜種は登場しておらず、原種もチョイ役。カブトムシと比べて妙に扱いがいい辺りもまさにダブルソーダの後輩といったところ

●ソニックバード
スナイプテラに煮え湯を飲まされ続けた共和国軍が2年かけて発掘・復元したアーケオプテリクス種ゾイド。
洞窟の奥深くを巣としていたため、発掘当初はラプトル種と思われていたようだ*3
巨大な両翼「ソニックウイング」による羽ばたきと背部のツインジェットエンジンによる超高速飛行が持ち味であり、速度を保ったままでも器用なマニューバを実現している。
エヴォブラストを発動すると両翼部の「A-Zウイングソード」と尾翼の「ラダーソード」が展開され、高速で間合いを詰めてすれ違い様に斬り裂く「スカイスラッシュ」が必殺技。
配備から間もないこともあってか数は少ないらしく、クワガノスを引き連れたハイローミックスで運用されることもあった。

●ワイルドライガー改
ジェノスピノ戦で相棒のトリケラドゴスを失ったディアスが新たに乗り込んだカスタム型ワイルドライガー。
タテガミクローが撤去され、代わりにA-Z対空速射砲砲とA-Zチャージミサイル、そしてキャノンブルの9連キャノン砲*4を装備している。
キング・オブ・クローこそ使用不能になったものの、そもそも本体が極めて高い格闘能力を持つため、むしろ重火器の搭載によってあらゆる間合いに対応出来るオールラウンダーとなった。
走力も時速170kmをマークしており、火力と機動力を高いレベルで両立しているが、装備が重いため長時間の高速機動は負担が大きい。
エヴォブラスト発動によってキャノン砲が展開され、機関砲と共にフルバーストを叩き込むのが必殺技。本作のワイルドブラスト区分を曖昧にしている主犯その2
後に『列伝』にて「クライブ・ディアス専用ワイルドライガー」の名で商品化されており、9連キャノン砲との干渉を防ぐためにたてがみの造形が若干変更されている。
また、実はディアスが怪我でゾイドに乗れなくなった上官から託された機体であり、対空速射砲がトリケラドゴスの形見であったことも『列伝』にて判明した。

●キャノンブル
大柄なバッファロー種ゾイド。
中距離砲撃用の改造を受けており、胸の三連ミサイルランチャーを主武装とする。
持ち前のパワーと特徴的なツノ「超硬角」による格闘戦も得意で、正面きっての力比べならライジングライガーをも押し切れるほど。
その優れたパワーと出力から拡張性も高く、リュック機はバズートルのA-Z対空レーザー砲を追加装備している。
マシンブラスト発動によって背中の9連キャノン砲が展開し、ここから一斉射撃をお見舞いするメガロマックス9連装徹甲弾(ナインバーストキャノン)」が必殺技。
こちらは恐らくディバイソンのオマージュ機体。ディバイソン乗りのトーマの相方であったバンと同じ声帯の持ち主が乗り込むのは何の因果か。

●バズートル
刺々しい外見が印象的なワニガメ種ゾイド。
発掘当初はガノンタスの亜種と思われていたが、爪の鋭さが決め手となり新種に認定された。
生来の頑丈な甲羅を更に複合装甲化されており、高い防御力が持ち味。
長距離砲撃機として、甲羅にA-Z対空レーザー砲、体側面に270口径4連ミサイルを装備されており、通常形態でもその火力は高い。
装甲強化と重火器の搭載が優先されたため動きは鈍重だが、そもそも接近戦はスティレイザーやギルラプターの仕事なので大した問題ではないだろう。
マシンブラスト発動によって背中に折り畳まれたA-Z680口径バズーカ砲が展開し、上記した火器と合わせて一斉発射する「全弾発射(アヴァランチファイア)」が必殺技。

●スナイプテラ
空中からの狙撃を得意とするプテラノドン種ゾイド。
元々はモデルであるプテラノドンと同じく滑空によって飛行していたようだが、帝国にジェットエンジン追加と骨格の補強を施され、飛行性能が大幅に向上した。
翼の内側にはフォースバレルガトリング、胸にはドラム型ミサイルランチャー、尻にはスマートボムの投射機を備え、小型ながらかなりの重武装。
翼は刃が備わったカッターウイングとなっており、ストームソーダーよろしくすれ違いざまに斬り裂くことも出来る。
マシンブラストを発動すると口を大きく開き、喉奥に隠されたA-Zスナイパーライフルが出現。額のスコープクレストとセンシングビジョンで標的をロックオンし、必殺の狙撃「絶対狙撃(アブソールートショット)」で一撃のもとに射抜く。
戦争のかなり初期から登場していたらしく、ソニックバードが登場するまでは空の帝王として君臨していた。
皇帝親衛隊の青い機体はインペリアルガードと呼ばれ、A-Zスナイパーライフルを撤去して要人護送用のサブシートが増設されている。メルビルがランドを運ぶのに使っていたのもこのタイプ。
玩具は翼を折り畳んで四足歩行させることも可能になっている。

●スティレイザー
その優れた積載量を活かし、重武装に改造されたスティラコサウルス種ゾイド。
体内に強力な発電装置「ハイパワーアキュムレイター」が搭載されており、接近戦では放電攻撃を繰り出す。
頭部にはA-Zショートレーザーガンと放電器官を備えた複合武装「エレクトフリル」と、射撃も可能なツノ「A-Zガンソード」が搭載され、中距離戦でも申し分ない火力を発揮できる。
マシンブラストを発動するとエレクトフリルが中央のスタンホーンと共に前方に飛び出す。A-Zガンソードを敵機に突き立ててからこれを叩きつけ、衝撃と高圧電流により機能を停止させる「電撃の壁(プラズマウォール)」が必殺技。
初登場時はディアスのトリケラドゴスと対決したが、残念ながらフォースインパクト対プラズマウォールは実現せず。

●ドライパンサー
背中に大型複合武装ユニットを背負い、単独での工作任務を得意とするパンサー種ゾイド。
骨格構造がライオン種やサーベルタイガー種と酷似しているため、発掘の際は爪の形状で識別される。
漆黒の特殊装甲「ホリゾンタルアーマー」であらゆるセンサーから身を隠し、特殊加工された脚は足音を大幅に低減。これで標的に忍び寄り、銃声を立てない3連サイレントガンで音もなく仕留めるのを得意とする。初登場時は本当に無音なので、編集ミスと誤解した視聴者もいるものと思われる*5
更に頭部には熱源探知式の暗視ゴーグルが備わっており、ガトリングフォックスの光学迷彩も通じない。
武装ユニット肩部に円盾「シャドウシールド」を備えており、マシンブラストよってその内部に隠された回転式の刃「A-Zドライブレード」が露出。敵集団に突っ込み、ドライブレードを高速回転させてバラバラに斬り裂く「地獄の三連刃(ドライスラッシュ)」が必殺技。ステルス機の必殺武器としてはかなり目立つ部類な気がするが、「聞こえた時にはもう避けられない」ということか。
武装ユニットはパージも可能で、万一破損した場合もデッドウェイトにならないようになっている。
共同軍に拿捕され一度は退場したが、終盤に重火器を満載した拠点防衛仕様で再登場した。
スピーゲルは本機を気に入っているらしく、解説コーナーでは「色々乗り換えた奴もいたが、俺は結局こいつに戻った」と語っている。
『戦記』では共和国軍鹵獲機も登場した。

●ジェノスピノ
かつてのゾイドクライシスにおいて単独で地上の1/3を焼け野原にし、「地獄の破壊竜」の2つ名で呼ばれる伝説のスピノサウルス種ゾイド。
水陸両用であり、巨体がもたらすパワーで立ち塞がる障害物を粉砕しながらあらゆる場所に進撃する。
口のウェーブファングと脚のスパイククローで繰り出す格闘もさることながら、火器もA-Z魚雷ランチャーA-Zロングキャノン、口内のA-Z高熱火炎放射器、対空用のソーザーバルカンと充実しており、並のゾイドならこれだけで一方的に蹂躙出来る。
マシンブラスト発動によって背中のヒレが巨大ディスクソー「ジェノソーザー」に変形し、超高速回転させて敵を両断する「殲滅破壊(ジェノサイドクラッシャー)」が必殺技。ジェノソーザーの支持アームは伸縮可能かつ柔軟にしなるため、間合いを取っても避けるのは難しい。
多彩な攻撃パターンを持つ強力無比なゾイドだが、その強大な力でライダーを魅了し戦いに取り憑かせる、ある種の魔力のようなものを秘めた二重の意味で危険な存在である。
一度はライジングライガーに敗れてゾイドコアを破壊されたが、対オメガレックス用の切り札として修復を受け、ゾイドクライシスとは反対に人類最大の希望としてギレルの乗機となった。
なお、キットの体型がデスレックスとよく似ているため、しばしばリデコ扱いされがちだが、実際は完全新規造形。両者を見比べると造形そのものは大幅に異なっているのが見て取れる。

●オメガレックス
ゾイドクライシスの際ジェノスピノと共に暴れ回っていた、デスレックスの突然変異種。デスレックスはこの世に1体しか存在しないはずなのだが…
背中に荷電粒子強制吸入ファンを備え、大気中の荷電粒子を取り込んで凄まじいパワーを発揮することができたが、急激な進化に伴う消耗に機体が追いつかず自滅してしまい、100年の時を経て復元と強化改造を受け完全な姿になった。
極めて凶暴性が高く、Z-Oバイザーを装着されて尚、パイロットの意思を無視して勝手にマシンブラストを発動することも可能
ジェノスピノ同様、絶大なパワーと鉄壁の防御力を備え、水中でも活動出来る。
2門の対地対空両用速射砲と背中のA-Z3連誘導ミサイルによる火力も高いが、最強の武器は口に備えたシリーズ伝統の超兵器、荷電粒子砲。マシンブラスト発動によって体側面の収束シールドが機体正面に展開して砲身が形成され、喉奥から迫り出した砲口より発射する。その威力は山や海すら吹き飛ばすほどで、ゾイドなどひとたまりもなく蒸発してしまう。
懸念事項だった燃費の悪さも、サリーから奪ったペンダントを組み込んで製作されたペンダントシステムによって克服しており、リジェネレーションキューブからのエネルギー供給によって無制限に荷電粒子砲を撃ちまくれるようになった。
発射時にはジェノザウラーよろしく構えを取る必要があるが、通常火器による牽制と機体そのものの防御力により、ほぼ問題にはなっていない。荷電粒子強制吸入ファンもペンダントシステムによる堅牢なシールドによって守られており、突破は極めて困難である。
唯一の弱点として、動力チューブが体内に収められていない喉元に強い衝撃を受けると機体保護用リミッターが作動して全機能停止する点が挙げられるが、これも一撃で山を吹き飛ばすロングバスターキャノンを至近距離から3発撃ち込んでようやく作動するほどであり、通常のゾイドとの戦闘では弱点として全く機能していない。
終盤には共同軍の切り札として修復されたが、ペンダントシステムが失われたため、荷電粒子砲発射にはある程度のインターバルが必要になった。

●キルサイス
集団での接近戦を得意とする小型のカマキリ種ゾイド。
単独での戦闘能力は低いが、飛行出来る上に攻撃力も高く、群れで襲い掛かれば大型ゾイドさえ苦しめることが出来る。
両腕の電磁サイスがメイン武装であり、瀕死になると腹に埋め込まれたタイムボムを敵に落とす。
化石は大体タイムボムが失われているが、万一これが無事な状態だと発掘作業に倍の時間を要するという。
マシンブラストを発動すると腹に隠されたもう一対の武器「チェーンソーナイフ」が姿を現し、電磁サイスと共に振るって四刀流で斬りかかる「キルスラッシュ」が必殺技。
更に、頭部のツインレーダーアンテナからの指令電波で他のキルサイスを遠隔操縦することも出来、多数の無人機を引き連れての数の暴力が真骨頂。隊長機の指令で一斉にマシンブラストし、敵機に集団で纏わり付いて八つ裂きにする。
その小ささと物量から、警備や破壊工作にも使用可能であり、汎用性も高い。
金色に塗装されたシーガル専用機も存在し、反乱防止用の対Bスーツ遠隔拘束装置が搭載されている。
キットは完全新規造形であり、骨格構造を持つ機体としては現状最後の新造ゾイドとなった*6
余談だが、タイムボムのモチーフはハリガネムシ。「瀕死の際に起こす行動」という点がヒントになったようだ。

●ファングタイガー改
シーガルがアルドリッジを抱き込むにあたり、見返りとして用意したカスタム型ファングタイガー。
濃紺のベースカラーに毒々しい赤が加わり、Z-Oバイザーの追加もあって分かりやすく悪役然とした風貌になった。
背中にA-Zレーザーガン、後ろ脚にA-Zロケットランチャーが追加されて火力が増強され、更に腰部の全天候型ハイパワーブースターSによって元々高かったスピードも更に強化されている。
頭部に高性能レーダー、装甲に光学迷彩機能が追加され、特殊工作を得意とする。
一方でマシンブラスト用武器はツインドファングがそのまま使用されており、敵機と斬り結びながらA-Zレーザーガンで銃撃する戦法も可能になっている。本作のワイルドブラスト区分を曖昧にしている主犯その3
ワイルドライガー改と同じく『列伝』で「ダグラス・アルドリッジ専用ファングタイガー」の名で商品化された。

●ハンターウルフ改
拿捕されたドライパンサーに替わる乗機としてスピーゲルに与えられたカスタム型ハンターウルフ。
スナイプテラ用のフォースバレルガトリングを主力火器として前脚に装備しており、更にレゾカウルに全天候型ハイパワーブースターA-Z超電磁ブレードを追加。さながら翼を背負っているかのような姿となった。
元々地上最速のゾイドだったハンターウルフにブースターによる加速力が加わり、地形次第ではスナイプテラを空中で翻弄することも可能
ファングタイガー同様、マシンブラスト用装備としてはソニックブースターが継続使用されており、勿論セカンドギアによるハウリングシャウトも繰り出せる。本作のワイルドブラスト区分を曖昧にしている主犯その4
前作のソルト機が無数のソニックシックルを周囲に連射する範囲攻撃を得意としていたのに対し、こちらは大型のソニックシックルを正確な狙いで単発発射する。
やはり『列伝』で「ビクター・スピーゲル専用ハンターウルフ」として商品化された。

●ゼロファントス
6500万年前の地層から突如として出現した、地球外を起源とするゾウ種ゾイド。
真っ白な装甲に血管のような紫のリアクターラインが走っており、さながら亡霊や死体のような不気味な雰囲気を漂わせている。
最大の特徴は骨格構造を持たない特異な構造と、リアクターラインを流れる猛毒バイオアシッド
過去にも何度か発見されたことはあったものの、バイオアシッドのせいで死者が続出したため発掘に成功した者はおらず、「禁忌のゾイド」として恐れられているという。
Z-Oバイザーによく似た目もアイブレインと呼称される独自のもので、ゾイドコアと直結した眼球を多数並べることで広い視野を誇っている。
攻撃手段は先端にマニピュレーターが付いた強力な鼻「パワーノーズ」で、打撃攻撃だけでなく相手を拘束することも出来る。
銃は搭載していないが、巨大な牙「A-Zアンカーファング」はアンカーショットとして射出可能であり、中距離攻撃にも対応。
装甲もソニックバードのウイングソードを刃こぼれさせるほど頑丈であり、接近戦では無類の強さを誇る。
更に、電波撹乱効果を持つ霧を発生させる機能も持っており、これで物理的にも電子的にも視界を奪って一方的な攻撃を加える戦法を最も得意とする。
ゼロブラスト用武器として、背中のコンテナにバイオアシッドが詰まった爆弾「A-Zスリングボム」を備え、これをパワーノーズで掴んで投擲する「破滅爆裂弾(ディゾルボム)」が必殺技。威力は凄まじく、小さな基地くらいなら軽く吹き飛ばせる。
頑丈な装甲のおかげでコンテナ内のスリングボムが誘爆しても大したダメージはないが、投擲直前のタイミングで誘爆させられるとパワーノーズのマニピュレーターが破損してディゾルボムを使えなくなり、火力がガタ落ちするのが弱点。
『戦記』でもゼログライジスの配下として登場した他、帝国軍も黒く塗り替えた鹵獲機を投入した。やはり圧倒的な性能を誇ったものの、同じ地球外ゾイドに更に改造を加えたゼノレックスやバーニングライガーには一方的に蹴散らされた。

ゼログライジス
太古の昔に恐竜を絶滅させ、21世紀にもエリクトラを通してゾイドクライシスを引き起こした最強最悪のギガノトサウルス種ゾイド。
詳しくは個別項目を参照のこと。


ジャミンガ

ラプトル系ゾイドの骨格のみのような姿の機械生命体。かなり希少だがティラノサウルス骨格の個体も存在する。
21世紀の廃墟の中に生息しており、自分たち以外の生物やゾイドに襲い掛かってくる。
その正体は未だはっきりとは分からないが、リュック曰く「ゾイドのなりそこない」らしく、ゾイドと同じくziフォーミングの際に生まれた存在である模様。


余談

本作から放送局が再びテレ東系列になったが、これはTBS側の番組改編による事情が大きく、本来であればシンカリオンと同じくワイルドは続く予定であった。
このため前作から番組を変更、約1クール3か月ほどのインターバル期間がある。
また、月刊コロコロコミックの方では本作のコミカライズではなく、『ワイルド』の世界の500年後の未来を描いた『ゾイドワイルド2』とその続編『ゾイドワイルド2+』が連載された。
時系列的にはZERO→戦記→ワイルド→ワイルド2→ワイルド2+となる。



追記・修正はゾイド因子を身体に取り込んだ方がお願いします


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年05月31日 19:08

*1 新作用のデザイン自体は制作されていたらしく、『戦記』で登場するバーニングライガーの母艦も元は主人公達の母艦としてデザインされたものだったことが、デザイナーの森木靖泰氏の口から明かされている

*2 ただし玩具では再現されておらず、前作と同じく剥き出しのシートに騎乗する仕組み

*3 キットも実際にギルラプターのフレームが流用されている

*4 出所については特に言及されていないが、恐らく合同軍編成の際に帝国から供与されたものと思われる

*5 スタッフの間でも問題視されたのか、再登場時には非常に小さい効果音が鳴るようになった

*6 骨格構造のない機体も含めるなら『戦記』のゼノレックスが該当する