異世界もう帰りたい

登録日:2020/04/03 Fri 22:39:08
更新日:2024/10/01 Tue 21:31:59
所要時間:約 3 分で読めます





トラックの荷台を抜けると、そこは異世界でした…


異世界もう帰りたい」とは、2019年から2021年まで「月刊ヒーローズ」および「ヒーローズ」で連載された漫画である。
作者は水木しげるドリヤス工場。単行本は全三巻。

本作は、いわゆる「異世界もの」である。
「異世界もの」といえば、どこにでもいるような人物が勇者や英雄になったり、異世界の住人が知らない知識や技術を使って無双したりするようなお話が定番だが、この漫画はそうではない

平凡なサラリーマンだった主人公は特別な知識や技術もないし、優れた身体能力があるわけでもない。
異世界に来てもやっぱり同じような生活を送る事になる、何とも残念な異世界ライフストーリーなのである。


あらすじ

平凡なサラリーマン、下山口一郎は仕事でトラックの荷台に入った時に異世界に英雄として召喚される。
思わず期待した下山口だったが、何と星1のハズレ扱い。
果たして、下山口の異世界ライフはどうなってしまうのか……?


【登場人物】

下山口(しもやまぐち)一郎(いちろう)

平凡な生活を送っていたサラリーマン。
仕事でトラックの荷台に入った時に、異世界に英雄「聖訪者(フレムダ)」として召喚された。
このライトノベルのような展開に思わず期待して「我が名は下山口一郎である」なんて名乗ってみたが、実は「ドブ」と呼ばれる星1の最低ランクであり、ハズレ扱いでいきなり帰るように言われる始末。
しかし、国王をはじめとして誰も帰る方法を知らずにあちこちたらい回しにされた挙げ句、結局雑用として異世界に残る事になった。

しばらくは雑用として働きながら、スライムを退治したり後から召喚された星3の後輩にジェラシーを感じながら生活していたが、近くの街に出向にされた事をきっかけに元の世界に帰る方法を探すため召喚魔術を世界にバラまいた「魔法都市帝国」を目指して旅に出る事を決意する。

タイプとしては前衛・戦士タイプだが、これはろくに魔法も使えないために消去法でそうなっただけ。
一応、の魔法を練習しており練習を続ければいずれ使えるようになると言われていたので、もしかしたら化けるかも?


鷺ノ宮(さぎのみや)悠人(ゆうと)

下山口の後に召喚された、星3聖訪者。
星1の下山口と違って強力な魔法を使いこなし、知識を活かしてシャワーやタピオカミルクティーを作ったり王女や女騎士とロマンスをしたりと、まさしく異世界モノの主人公といった活躍をしている。



アルカンタの街に使いに出た下山口が、道中出会った人物。
何と、あの戦国武将織田信長本人で、天正10年の本能寺からやって来た。
現在はまだ一国の主だが、いずれは天下を統一せんとしている。

……当然だが、本物の織田信長ではなく5年前(平成26年)にやって来たただの星1聖訪者。
最初に召喚された城からは役立たずとして追い出され、放浪しているうちに今の城にたどり着いた。
以前板前だった腕を活かして味噌や醤油を作ってちやほやされているうちについ調子にのって織田信長を名乗ってしまっただけで、もちろん本気で天下統一などする気はない。

平成が終わったと言う下山口の話に思わず反応してしまった事で正体がバレてしまい、下山口に口止めを頼んだ。


■冒険者ギルド

下山口がアルカンタで組まされたパーティー
第一印象こそイマイチだったが、一緒に過ごすうちになかなかのチームワークを見せるようになった。
しかし、ある人物がパーティーに加入した事をきっかけにパーティーは崩壊してしまう。
ただし、ケンカ別れしたわけではないので、解散後も友人として交流している。


中井(なかい)

パーティーで唯一の星3聖訪者。
賢者タイプで、魔法は攻撃も回復も得意。最初にいた城からは、待遇が不満で自分から出てきた。
以前はシステムエンジニアだったが、ブラック企業でゴミのような生活をしていたために異世界の生活を天国と感じており、元の世界に戻る気はない。
パーティー解散後は魔術道具の工房を開いた。


秋津(あきつ)

軽い感じの馴れ馴れしい性格で、身が軽く素早い狩人タイプ。前職は営業職。
上石神井の魔法を纏った矢で攻撃していた。
パーティー解散後はウェイターとして働き、マスターに気に入られて娘と結婚して店を継がないかと誘われている。


上石(かみしゃく)神井(じい)

坊主頭で口数の少ない暗めの男。
前職は事務員で、補助魔法が得意な魔術師タイプ。
パーティー解散後は木工職人の修行をはじめ、見違えるほど明るくなった。


◆クナハ

パーティーが盗賊団を退治しに行った城跡で出会ったトレジャーハンター。
後に、パーティーに加入するが男ばかりのパーティーに現れたはじめての女性だったためにオタサーの姫のようになってしまい、挙げ句に彼女の紹介で騒がしい若者グループをパーティーに入れるはめになってパーティーは解散してしまった。
ちなみに、中井だけは学生時代にこの手の女性はさんざん見てきたという事で、はじめから距離を取っていた。
部屋の戸棚を全て調べる癖がある。


【用語】

◆禁断の秘術

いわゆる召喚魔法。
遠く西にある「魔法都市帝国」が世界中にバラまき、これによって召喚される「聖訪者」によって覇権を争う「聖訪者戦争」が勃発する事になった。
召喚儀式には宝石のような魔法石が10個必要だが、この魔法石は魔法都市帝国が管理していて取引には莫大な金がかかる。
このため、貧しい国はなかなか買えずごくまれに帝国が配る石をこつこつ貯めなければならない。


聖訪者(フレムダ)

儀式によって召喚される異世界人。
ランクは星1つから3まで登場しており、能力はそれによってピンキリ。
誰が召喚されるかはランダムで、伝説クラスの聖訪者が召喚されれば一人で国が守れるほどだが、星1では完全にハズレ扱いで雑用か城を追い出される事もある。
星1聖訪者はあちこちの城を追い出され、アルカンタの街に吹きだまりのように集まっており、中には盗賊に身を落とす者さえいる。
何故か、召喚されるのは日本人ばかりである。


◆聖霊

聖訪者がもらえる、通訳や案内をしてくれるツールのようなもの。
質問すれば何でも答えてくれる便利なもので、くっついているだけで看板の文字なども自動で読めるようになる。
これにもランクがあり、下山口のもらった下級聖霊(モノシリ)は通訳や案内しかできないが、中井の中級聖霊(ワケシリ)は、遠くまで偵察に行かせる事もできる。
星1聖訪者は、これさえもらえない場合もある。


◆アルカンタ

下山口が召喚されたサンキルガルの城から、まっすぐ西に5日ほどの場所にある交易都市。
商人ギルドや冒険者ギルドがあり、あちこちから追い出された星1聖訪者が日銭を稼いで暮らしている。
南北の山脈と南の砂漠に囲まれたオアシスの街で、砂漠の街だが山脈からの地下水が豊富で運河もある。
かつては小さな街だったが、大陸の東北と砂漠の向こうの西方の国々を結ぶ交易で栄えていて、聖訪者も多く訪れるので日本語の看板があったりする。
カラオケもあるが、この世界に著作権管理団体はないので日本語の歌詞を歌っても大丈夫。
「グディヤン」という人形紙芝居を見せる見世物小屋があり、日本人の入知恵で指定席や芝居が始まる前には無断で内容を記録する事が犯罪である事を呼び掛ける「ノーモアグディヤン泥棒」という寸劇が上演される。


◆異世界

下山口が召喚された別の世界。 
いかにも異世界というか、と魔法、モンスターが存在するファンタジー世界である。 
服装や建物などは中世ファンタジー風で、食べ物は元の世界とそう変わらない。 
気候や生態系もよく似ているが地理歴史は全く違い、当然ネットやGPSもつながらない。
魔法都市帝国による召喚魔法によって、各国が聖訪者をめぐって争っている。


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最終更新:2024年10月01日 21:31