登録日:2020/05/16 Sat 07:47:24
更新日:2025/01/30 Thu 13:02:01
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「ピアノと同じだ、2人一緒ならいいことがあるよ。シンジ君」
-Activation Signal Confirmed-
概要
おおよそのボディカラーや各部の意匠などは
エヴァンゲリオン初号機のそれを踏襲しているものの、よく観察してみると初号機との差異もそれなりに多く見受けられる。
主な違いとしては、左右それぞれ2段ずつの計4つの眼を備えるほか、通常の腕に加えて、必要に応じて胸部に隠されたもう一対の腕が展開、4本腕の異形となる。
コックピットには五線譜を思わせるディスプレイ表示がされ、本作にてシンジとカヲルが交流するきっかけにもなったピアノの連弾をイメージさせる独自の意匠となっている。
また、特異な特徴としてエヴァでありながら
A.T.フィールドを持たない。そのため、装備された小型の防御ユニット「RSホッパー」が代わりにA.T.フィールドを展開、攻防一体のサポートを行う。
冬月コウゾウ曰く「
最後の執行者」。
カヲルの認識していた本機の建造目的としては、「セントラルドグマを鎖ざしたリリスの結界の突破」。
また、「ドグマ最深部にある
ロンギヌスの槍とカシウスの槍、2本の槍を持ち帰るには2つの魂が必要」だとされ、そのため本機には2人のパイロットが2つのエントリープラグで搭乗する「ダブルエントリーシステム」が採用されている。
これらの認識は正しい一方、建造したネルフ側にはまた別の隠された思惑が存在した。
碇ゲンドウと
真希波・マリ・イラストリアスの言葉から、『Q』本編通り(あるいはそれに近い形)の流れでカヲルをトリガーとして「フォース・インパクト」を発動させること。その後「ゼーレ」の面々と併せてカヲルを排除し、トリガーとなったカヲルが失われても、もう1人のパイロット=シンジを乗せていることでフォース・インパクトを続行させる “保険” としてのダブルエントリーシステムであったことが判明。
最終的にはヴィレの介入で最悪の事態は阻止されたものの、この結末すらもネルフ……ゲンドウにとっては想定通りのものであった。
「セカンド・インパクト」の映像に登場した4体の光の巨人「
ADAMS」との関連性は不明。
アヤナミレイ(仮称)が搭乗するエヴァンゲリオンMark.09が「
アダムスの器(正式名称・第1のアダムスの器(移行中間形態・ゼーレ仕様))」と呼ばれた一方、本機は「
アダムスの生き残り」であるとされた。
劇中での活躍
前作『
破』のラストで引き起こされた「ニア・サード・インパクト」によって荒廃した世界のネルフ本部・ジオフロント内部でゲンドウらによって建造される。
ダブルエントリーシステムの第13号機と、ドグマにある第2の使徒「リリス」の骸に突き刺さったロンギヌスの槍とカシウスの槍、2本の槍を用いれば “
世界の修復” も可能になる……。
本編中盤、そこに至るまでの出来事で精神的に限界まで追い詰められていたシンジはカヲルの説得により前を向き、世界への贖罪と、何より
葛城ミサトたちに今一度認めてもらうべく、カヲルとともに第13号機を起動させる。
監視として随伴するMark.09とそのパイロットをシンジは疎ましく思いつつも、2人を乗せた第13号機はドグマへと降下していく。
14年間誰の侵入も許さなかったというリリスの結界を第13号機はいとも容易く突破する。
足を踏み入れたドグマの最深部には、リリスとみられる白い巨人の骸と、それに突き立てられた2本の槍ーー1本は自立型に改造されたエヴァンゲリオン・Mark.06の躰ごと貫かれている--が確かにあった。
目的を果たすため順調に歩を進めていく中、目の前の光景にどこか違和感を覚えるカヲル。
そこに現れたヴィレのエヴァ、
式波・アスカ・ラングレーの
改2号機、マリの8号機と交戦。慌ててシンジが呼びかけるも、違和感の正体を掴めずにいるカヲルは応えない。
防御ユニット・RSホッパーによる支援にくわえ、必死の気迫もあってか、戦闘技術で上をいくアスカを相手に善戦。8号機がMark.09の相手に掛かり切りだったのも幸いし、改2号機が活動限界を迎えた隙を突いて大きく吹き飛ばすことに成功、そのままリリスに突き進む。
「槍があれば、全部やり直せる。世界が救えるんだ!」
カヲルはシンジを説得して進行を止めようとするものの、もはや一縷の希望に縋るしかない彼の耳には届かない。さらにはシステムから切断され、操作系に一切の干渉が出来なくなってしまう。
エヴァの覚醒を危惧した8号機から特殊弾頭アンチA.T.フィールド弾を撃ち込まれ、直撃するも、それを吸収・
無効化。第13号機が特殊なエヴァであることの証左であった。
そしてついにリリスの許まで辿り着いた第13号機。カヲルがようやく感じていた違和感の正体に気づき、シンジに制止を促すも、時すでに遅し。解放された4本の腕は、一対の槍…… “
2本のロンギヌスの槍” を引き抜いていた。
リリスの巨体が膨れ弾けると、Mark.06の中に潜んでいた第12の使徒が活動を再開。Mark.09によって斬首されたMark.06から噴き出すように現れると、たちまち第13号機を包囲、搭乗していたカヲルを侵食。
それによって第1の使徒だった彼が第13の使徒に堕とされると、第13号機は第12の使徒を捕食。肩部から翼状の突起が生え、純白の姿に二重の光輪を背負った疑似シン化第3+形態(推定)へと覚醒。
これに伴い「ガフの扉」が開かれたことで、フォース・インパクトが始まってしまう。
一体何が起こっているのか? 呆然とするしかないシンジ。一方、すべてを悟ったカヲルは、自身が犠牲となればこの災厄を止められることを告げる。起動するヴィレの覚醒抑止装置・DSSチョーカー。
こうなることを予期していたのか、「覚醒のリスクは僕が背負う」と、あらかじめシンジからチョーカーを引き受けていた。
シンジの望まない結末を阻止するため、エヴァの体に自ら槍を突き立てると、作動したチョーカーによってカヲルは死亡する。何もできず、崩れ落ちるシンジ。
ダブルエントリーシステムの “保険” によって、なおも止まらないフォース・インパクト。それを察したマリの8号機によってシンジの搭乗するエントリープラグが強制排出されると、ようやく第13号機は機能を停止。ガフの扉は閉じられ、最悪の事態はその初期段階で防がれたのだった。
ヴィレの戦艦「AAAヴンダー」が所属のエヴァとそのパイロットを回収、戦闘区域を離脱していく一方、パイロットを失った第13号機は瓦礫の山へと墜落していった……。
劇中終盤にて登場。セカンドインパクトの爆心地へ移動中のネルフ本部内にて、2本のロンギヌス槍が刺さった状態で磔にされ安置されていた。
対するヴィレ陣営は、フォースインパクトの不可逆的な阻止のためネルフ本部を強襲し、儀式のトリガーとなる13号機を無力化することを目的とする「ヤマト作戦」を決行。
ネルフ戦艦群やエヴァンゲリオンMark.7の大群などの迎撃を掻い潜った新2号機とアスカが13号機のもとへ到達。事前に建造されていた停止信号プラグを用いて13号機の無力化を行おうとするも、新2号機自身のATフィールドによりこれを阻まれる。(アスカ曰く「新2号機が13号機に怯えている」)
これを突破すべく、アスカはアスカ自身の内で眠っていたを第九使徒の力を解放。新2号機は4本の腕を持つ巨大な異形の姿となり、アスカ(第九使徒)のATフィールドで新2号機のATフィールドを打ち消す。障害がなくなり、今度こそ13号機を無力化せんとする刹那、13号機が覚醒。圧倒的な力で新2号機を退け、13号機の覚醒に必要な使徒を確保するため、使徒化してしまったアスカをエントリープラグを引き抜き、新2号機は崩壊した。
その後、再建造されたMark.9によりヴィレによる制御ができなくなったヴンダーの甲板上に登場。先述の使徒化したアスカの乗るエントリープラグを噛み砕くことにより覚醒し、黒き月を素材にして作成した新たな2本の槍を用いてフォースインパクトを発動させた。
ヴンダーの主機とされていたエヴァ初号機を奪還し、ゲンドウと初号機、そして2本のロンギヌスの槍を伴い、「(初号機に取り込まれている)妻のユイと再開する」というゲンドウの願いを叶えるべく、アディショナルインパクトを発動させるためにガフの扉の先に広がるマイナス宇宙へと消えていった。
マリとオーバーラッピングした8号機の助けを借り、マイナス宇宙へ13号機を追撃しにきたシンジにより初号機と1本の槍を奪われる。
そのまま両者は取っ組み合いになりながらアディショナルインパクトの要となるゴルゴダオブジェクトに到達。ゲンドウとシンジの決戦が幕を開ける。
記憶から再現された世界で13号機と初号機は激しい戦いを繰り広げ、13号機は優勢に立ち回っていたが「暴力は我々の決着の基準ではない」とゲンドウの方から戦いを中断する。
シンジもそれを受け入れ、両者は対話を始める。
ゲンドウはゴルゴダオブジェクトに鎮座するエヴァンゲリオン・イマジナリーをシンジに見せ、温存していた二本の槍を突き刺してアディショナルインパクトを始動した。
その目的は失った妻ユイに再会することであったが、ここまでやってもなおユイを見つけられなかったゲンドウは絶望しシンジに自らのあまりにも等身大すぎる過去と苦悩を吐露。
そこへヴンダーの脊椎を元に作り出したガイウスの槍がミサトの命と引き換えに届き、他者の死を受け止められるようになったシンジの姿とシンジの中にいたユイを見つけたことでゲンドウはアディショナルインパクトの主導権をシンジに明け渡した。
シンジは13号機の中にいたカヲルとアスカ、さらに初号機の中にいた綾波を助けて送り出し、最後にエヴァの無い世界の創生【ネオンジェネシス】を望んだ。
シンジは自分もろともガイウスの槍で全てのエヴァを貫くことでそれを為そうとしたが、ユイが身代わりを引き受けてシンジを初号機から解放。
13号機もそれに寄り添い、一対の腕で初号機を抱きしめながらもう一対の腕で初号機と共にガイウスの槍で全てのエヴァを貫いてネオンジェネシスを完遂し消滅した。
世界を翻弄し続けた「絶望の機体」の最後の姿は、愛する妻と共に息子を送り出す夫という誰もが予想しなかったものであった。
武装
防御ユニット「RSホッパー」
第13号機の両肩に備え付けられたウェポンラックに計4機装備している。
小型ながら1つ1つがA.T.フィールドを展開し、体当たりの要領で直接攻撃することもできる。ガンダム世界でいう「
ファンネル」のような武装。
ラグビーボールのような形状をしており、高速移動時には先端が傘が開くように変形しているのが確認できる。
A.T.フィールドを展開できない第13号機にとっての攻防の要。
シンジにとってはもちろん初めて扱う武器であり、カヲルが手伝わなかった戦力低下も重なってか、場数を踏んでいるアスカの改2号機の猛攻で全機破壊されてしまった。
周りの静止も聞かず急ぎすぎたシンジが抜いてしまった2本の槍。
正確には本機の武装ではないが、持っているシーンが印象的なため外部作品でも起用されるほか、フィギュアなどのグッズでも付属している。
『Q』本編で槍は手に持っているだけで、武器として振るうシーンはないが、クロスオーバー作品ではその見栄えの良さからか使われることが多い。
スパロボシリーズにおいては、主役の搭乗する機体にしては武装が前述の防御ユニットだけだと武器数が少なく、決め技も無いのでパレットライフルと共に追加されたのだと思われる。
相手に朱槍をねじ込む姿はなかなかの迫力。投擲するなど、参戦作品ごとに攻撃方法が変わっている。
『Q』を観た後だと2人してノリノリで槍を振るう姿の違和感がすごい。
『シン』本編では初号機との決戦でロンギヌスの槍を振るう。新世紀の槍投げ以来久々に武器として使用された。
他作品での活躍
『
第3次スーパーロボット大戦Z 天獄篇』にてシリーズ初参戦。
本作では『Q』は所謂「いるだけ参戦」でストーリーにはあまり絡んでこない都合上、擬似シン化等の要素はない。
武装も防御ユニットや槍を使ったものだけと少なめだが、ALL武器はないものの近距離・遠距離の武装を両方持つため、汎用性は高い。
パイロットは原作通りシンジとカヲルの二人で、防御ユニットによるATフィールドも持つが、アンビリカルケーブルがないので意識的なEN管理が必要となる。
ボス戦向きの精神コマンドを持つシンジと、サポート特化の精神コマンドを持つカヲルの二人がパイロットなのもあって性能的には優秀。
グレンラガンや
マジンガーZなどの他のスーパー系ほどは火力を出せないものの、プレイヤーの好みで使い続けられるだけのスペックは持っている。
ちなみに
寺田貴信プロデューサー曰く、「
13号機の味方参戦は駄目って言われるかと思ったら快諾された」とのこと。
『
スーパーロボット大戦V』では隠しユニットとして登場。
一応隠されてはいるのだが、共通ルートの39話で第9の使徒、第10の使徒をシンジが撃墜するだけでOK(しかもエースボーナスを取得していると片方だけで良い)と非常に楽に取得可能。
同作にて初登場したシン化エヴァからシンジを乗せ替えることで運用可能な選択式。
シン化に比べて最大火力は劣るものの、手数の少ないシン化に対して遠距離、中距離、近距離の全てをカバー可能な強力な技の数々に、
サポート向け精神コマンドが非常に優秀なカヲルとの複座式となり、汎用性に富む便利なユニットとなっている。
ロンギヌスの槍を使う戦闘アニメーションが特徴的。怖い。メチャクチャ怖い。まるで悪役レベルに怖い。
なお、シンジを本機に乗せている場合、一部イベントにおいてユニット内なら紫のプラグスーツを着ているものの、インターミッションでは白のプラグスーツを着ている不具合が発生する事がある。
エヴァコラボでは疑似シン化第3+形態(推定)が登場し、槍を振るうほか
使徒のような十字状の
ビームを放つ。
攻撃力・体力共に非常に高い上、ふっとばし・5秒間停止・25秒間攻撃力低下という強烈な妨害まで備えている。
コラボキャラという立ち位置でありながら、本
ゲームにおいて誇張抜きで最強クラスの強さを誇っており、コラボキャラ限定の特殊能力「使徒キラー」を保持しているユニット無しでは勝ち目はない。
なお、「使徒キラー」は初号機や零号機を始めとしたエヴァが所有している特殊能力だが、何故かシンジやアスカ等のエヴァパイロットも所有している。そのため擬似シン化第3+形態(推定)にシンジやアスカがトドメを刺すといったシュールな光景も見ることが出来る。
余談
『新世紀エヴァンゲリオン』から『新劇場版』に至るまでエヴァのメカニックデザインを長年担当している山下いくとによると、元ネタは氏の著作である「それをなすもの 新世紀エヴァンゲリオン コンセプトデザインワークス」に描かれている「エヴァフォウチュン」。
追記、修正はダブルエントリーでお願いします。
- 「第」13号機なのは「第」13の使徒になる伏線だって考察を読んだことがある -- 名無しさん (2020-05-16 09:09:53)
- 岸田メルって言われてるから何じゃそれって検索したら… -- 名無しさん (2020-05-16 09:55:53)
- 明らかに初号機に似せてるのに明らかに初号機じゃない、こういう不気味の谷的な偽物って本能的にゾワゾワ来る、4本腕ならかけ離れ過ぎるから平気なんだけど二本腕だと怖い -- 名無しさん (2020-05-16 10:54:05)
- 胸に腕をもう一対しまってますよ、とわかりやすいデザインは秀逸よね -- 名無しさん (2020-05-16 13:05:37)
- スパロボVの槍の悪役感…というより無機質な恐怖感は異常 -- 名無しさん (2020-05-16 20:56:21)
- ↑ロンギヌス二本持ってじりじりとにじり寄って来る主人公機… -- 名無しさん (2020-05-17 12:48:16)
- 死んではいなかったのかな -- 名無しさん (2020-12-25 12:03:13)
- ノーガードカイリキー -- 名無しさん (2020-12-25 12:31:02)
- 少しの手間で加入できてシン化より使いやすいスパロボVの印象が深い -- 名無しさん (2020-12-25 12:52:57)
- 本当に悪役になろうとは… -- 名無しさん (2021-03-15 23:08:26)
- 13(とうさん)号機は間違ってないけど草しか生えない -- 名無しさん (2021-03-16 01:43:55)
- スパロボvで悪役に見せていたのは……伏線? -- 名無しさん (2021-03-17 21:31:37)
- 今までのスパロボでは味方機だったけど、こうしてシンエヴァの最後までを見る限り、次は版権ボスとしての出番だろうな -- 名無しさん (2021-03-17 22:15:29)
- 主人公が先に乗った後ラスボスになるというガンダムエピオンみたいな機体 -- 名無しさん (2021-04-01 02:44:06)
- スパロボVのラストとかマジでシンエヴァの奴の伏線だったんじゃないのかって思えてしまう罠。まぁメタフィクションネタを活かしたEDとか真マジンガーZEROの影響受けていただろうね -- 名無しさん (2021-06-22 20:30:50)
- 銃もナイフも装備してないATフィールドないとかナメてるだろって思ったけどインパクト起こす専用の機体だろうし戦闘面はMark. 09に任せてたんだろうなとも思う カヲルとシンジがフルパワーだったらRSホッパーだけでどれだけ戦えてたんだろうか -- 名無しさん (2021-08-15 23:11:44)
- マンガ版仮面ライダーblackみたいだなと個人的に思った。 -- 名無しさん (2023-03-10 17:47:32)
- シン仮面ライダーでラスボスに仮面ライダー0号名乗らせたり、これも見た目主人公機そっくりのラスボスだったりとか庵野氏はひねくれているようで結構王道が好きなんだな -- 名無しさん (2024-09-23 21:14:01)
- ↑01ガンダムも4つ目だったな -- 名無しさん (2025-01-30 13:02:01)
最終更新:2025年01月30日 13:02