ギガント(未来少年コナン)

登録日:2020/06/05 (金曜日) 21:42:58
更新日:2024/12/29 Sun 10:01:22
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ギガントとは、『未来少年コナン』に登場する爆撃機である。


■概要

本作における文明崩壊の原因。西暦2008年に勃発した世界戦争にて用いられた機体で、核兵器をはるかに上回る超磁力兵器を搭載している。
アバンタイトルに登場する、空を覆うほど展開されている無数の機体はギガントの小型量産機
その絶大な破壊力により地表の半分は一瞬で消滅。地軸はねじ曲がり、五つの大陸はことごとく裂かれて海に水没した。
ギガント自体もこの大変動によって全て失われた、とされていたが…。


■スペック

全長:85m
全幅:176m
全高:60m
武装:超磁力兵器
   カノン砲×30
   レーザー×60
   ロケット兵器×12
   その他諸々*1
主燃料:太陽エネルギー

ギガント(巨人)の名に相応しい巨体を持つ。最大乗員は250名で、乗員全員が3年間生活できるだけの設備を有している。
大気圏外からの攻撃を想定しているため、武装のほとんどが機体下部にあるのが特徴。また、これほどの巨体にもかかわらず、コントロールルームには窓が多く、計器類が少ない。
機首には飛行中に地上部と連絡を取るための交通艇が格納されている。機体はブロック構造になっており、損傷部位を速やかに切り離すことが可能である。
ひとたび飛び立てば衛星軌道上で太陽エネルギーを吸収し半永久的に活動できる超兵器であり、静止衛星軌道上に3機を配備すれば地球全域に対する攻撃が可能となる。
レプカ曰く「難攻不落の空の城」。ラオ博士曰く「一匹でも世界を滅ぼせる力を持っている毒蛾」。あの世界の2008年には、こんなのが小型量産機含めてうようよ飛んでいたのだ。


■活躍(ネタバレ注意)

大変動から20年後の本編。生き残った人類の居住区の一つであるインダストリアの地下にて、最後の一機が安置されていた。
このギガントには燃料である太陽エネルギーが入っておらず、ただでかいだけの置物であった。
解体せずに残っていたのは、インダストリアにそれだけの余裕が無かったか、安全に解体できる技術が失われたかのどちらかだと思われる。

しかし、インダストリアの行政局局長であるレプカが、ギガントによる世界征服を目論むようになる。さすがムスカの子孫、ろくなこと考えない。
レプカの暗躍によって太陽エネルギーを与えられたギガントは、その巨体を大空へと飛び立たせるのであった。この離陸シーンの重量感は日本のアニメ史に残る大迫力である。

だが、コナン、ジムシー、ダイスの三人の侵入を許してしまったのが運の尽き。ギガントは三人によって内側から破壊されることになる。更には三人を迎撃しようとするレプカとその手下たちの銃撃も結果的にギガントを傷つけることになり、ギガントは機体全体が爆発炎上、メインエンジン停止、更には尾翼まで失い墜落寸前となる。
もはやこれまでと交通艇で逃げようとしたレプカだったが、自分だけ助かろうとしたために失敗*2。ギガントとともにに沈み、機体は海底で爆散した。

結局、世界を滅ぼす力を持った毒蛾は、世界ではなく、自分と、自分を悪用しようとした人間だけを滅ぼしたのであった*3


■玩具

本放送当時バンダイからキット化されているが6話に登場したような外見での立体化、ただ他のギガントは24話以降のデザインばかりなためある意味希少。
他にもキットでは青島文化教材社により『空中要塞ギガント』名義で1/700スケールでキット化されている。
食玩ブームの頃にはボトルキャップフィギュア、コナミのトレーディングフィギュアで立体化され、海洋堂も塗装済みモデルを発売している。
…と宮崎駿の巨大メカでは
  • 長らくガレージキットしかなく2019年にファインモールドのキットが登場したラピュタのゴリアテ
  • 様々な飛行メカが登場するもメーヴェや風の谷のガンシップ以外立体化がない、後述のバカガラス含めたナウシカのトルメキア軍などの巨大機
など割と立体物に恵まれないメカが多い中では割と恵まれている方だったりする。


■関連する機体・兵器

以下、元ネタと、宮崎駿作品でも特にギガントに近しいものを抜粋。

  • Me323
外見上のデザインの元ネタ。メッサーシュミット社が第二次大戦中に開発した大型輸送機で、こちらもその巨体から”ギガント”の愛称で呼ばれていた。ただしサイズはギガントの半分もない*4
当時実用化されていた輸送機としては驚異的な輸送力を持っており、軽戦車程度の車両や100人の武装兵士などを運ぶことができた*5
ギガントや下記のバカガラスだけではなく、『機動戦士ガンダム』に登場するガウ級攻撃空母もMe323が元ネタである。

  • バカガラス
『風の谷のナウシカ』に登場する、トルメキア軍の輸送機。ギガントと同じくMe323を元ネタとする。ダイスと同じ声のミトから「なんちゅー脆い船じゃ…」とぼやかれる程柔い。
映画ではペジテのガンシップ一機に翻弄され四機が撃墜。漫画ではカボの基地、南進作戦、宿営地、シュワ攻防戦で登場するが、生き残ったのが確認されたのは巨神兵に追い返されて本国に逃げ帰った艦のみという有り様である。元ネタのMe323はコックピットかエンジンに被弾しなければまず撃墜されなかったというのに…。
もっとも、『風の谷のナウシカ』においてはエンジンはロストテクノロジーであり、発掘したエンジンに外装を取り付けて飛べるようにしただけのバカガラスが簡単に撃墜されるのは技術水準的に致し方ない面もある。

『風の谷のナウシカ』における文明崩壊の原因。ギガント同様量産されており、"火の七日間"において世界を焼き尽くした。本編に最後の一体が発見され、それを巡って争いが起きた点もギガントと共通している。
映画ではレプカと同じ声のクロトワが「腐ってやがる。早すぎたんだ…」と口にするほど不完全な状態で復活させられ、ギガント同様、すぐに崩れ去った。
漫画では"ほぼ"完全な状態で復活。最期までナウシカを母と慕い、彼女のために尽力した涙腺崩壊兵器と化した。


■余談・考察

  • ギガントのデザインは、当時としては不評を買っていた。まあ『めちゃくちゃデカい蛾みたいな飛行機』なので当然か。

  • コナンたちの活躍で撃墜されたギガントだが、ギガント撃墜の決定打となったのは、ダイスによる尾翼からの砲撃である。ギガントは半ば自分自身によって撃墜されたと言っていい。ぶっちゃけあの位置から撃てる目標ってギガント本体以外ないと思うが

  • 大変動でめちゃくちゃになった地球だが、大変動(2008年)からコナンが誕生(2016年)するまでのわずか8年の間に人間以外の動植物が自力で復活したことから、超磁力兵器には、核兵器のような環境を汚染する効果が無い、もしくは汚染しても短時間で自然に清浄される可能性がある。太陽エネルギーもそれ自体はクリーンであり、それらがメリットとして見なされた結果、人類はギガントの製造・量産化に踏み切ったのかもしれない。核兵器を上回るという時点でどうあがいても危険物です!

  • ダイアクロンのテレビマガジン版コミカライズ最終回の展開が、そのまんまギガントのパロディである。




追記・修正はギガントの離陸シーンを模写で再現できる方にお願いします。

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最終更新:2024年12月29日 10:01

*1 確認できただけで機体全身に隠顕式の砲塔、対侵入者用の青酸ガス、尾翼の砲座。

*2 コナンもレプカの逃亡を妨害したが、とっさに助けようと手を差しのべた。結果は蜘蛛の糸だったが。

*3 インダストリアにも一撃をお見舞いしているが、インダストリアが海に沈んだのはあくまで地殻変動の影響で、ギガントは関係無い。

*4 全長:28.2m、翼幅:55.2m、全高:9.6m。

*5 資料によっては、25tもあるIV号戦車を輸送できたとするものもある。