異界王

登録日:2020/07/26 Sun 00:38:41
更新日:2025/03/25 Tue 22:32:28
所要時間:約 26 分で読めます






覚悟を持った人間は強い

だがそれゆえに、

絶望を知った瞬間から脆くもなる


出典:バトルスピリッツ 少年激覇ダン第27話「メテオヴルム散る・異界王VS激突王!」/サンライズ(バンダイナムコピクチャーズ)・メ~テレ・ADK/2010年3月21日放送

()界王(かいおう)とは、TCGバトルスピリッツシリーズのアニメ『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』に登場するキャラクター。
同作のラスボスを務め、以降の続編にも存在感を示す。

CV:オーマジオウ小山力也、坂東尚樹(老人時)

●目次

【概要】

地球とは違う異世界、6つの世界からなる「異界グラン・ロロ」を支配する人間の男。
元々はスペイン出身で本名は「 ラミロ・アルフォンゾ・カルリートス・デ・フェルザドゥリーア *1


地球と異界グラン・ロロは、様々な時代・場所と『ゲート』を超えて繋がっているが、
後に「異界王」と呼ばれるようになるある男は、遥か古代のグラン・ロロに来訪。
グラン・ロロに文明をもたらして支配者となり、魔力を異界魔女マギサから奪い魔術を習得して長い時代を生きて君臨している。
グラン・ロロにおいて「全てはバトルスピリッツで決める」ルールを定めた。
また、バトスピの力の源であるコアのエネルギーを使った「コアシステム」を実用化し、様々な技術に転用している。

配下には、異界人、ゲートを超えてグラン・ロロにやってきた過去の人間&現代人&未来人などがいる。
中でも百瀬勇貴・灼熱のパンテーラ幻惑のレオンら3人の異界王配下最強カードバトラーは()(かい)三巨頭(さんきょとう)と呼ばれる最高幹部となっている。

6つの世界の一部では、異界王の圧政に苦しむ民もおり、異界グラン・ロロを守る「コアの光主」に選ばれた馬神弾は、
異界王を倒すための冒険を決意することになる。


【人物】

フィールド全体に目を向けよ

されば己の未熟を思い知るはずだ

異界グラン・ロロを統治しているが、バトルスピリッツでは6色全てを使いこなし、バトルは勿論、
バトル以外でも発揮されるその頭脳や知略から、部下達には「全能」と評される。
人間の本質や見抜いた発言をすることも多く、ダンとの初戦では彼の異界王を倒したいという「情熱」「まっすぐさ」を逆手にとって完勝している。

その行動の原点には、人間の愚かさや無理解を経験した故の人間に対する失望があり、
それゆえに人間が有する“矛盾”を変えるべく世界の変革を考えている。
時には「進化」のために必要と考えたならば「犠牲」もいとわない。
そうした姿勢ゆえ、弾たちは彼を当初単なる悪人と見なしていたが、異界王は世界の行く末を見据えて統治・行動しており、
後に弾も彼のビジョンを理解することとなった。

全てはバトルスピリッツで決める」ルールも、異界において無駄に血を流することなく争いごとを決めるためのルールとして機能している。
そうしたこともあり、ある者は「バトルスピリッツは、異界王が異界人に授けた知恵の象徴」と評している。

◆異界見聞録

我、星導くままに暗き海を彷徨い、ついに未踏の地に達す。

この世ならずあの世ならず、数多の異形の棲み人たちに、

知恵なる光を灯し続けた日々をここに記すものなり。

心して旅立たれよ、己の見るものが世界の全てではない。


ラミロ・アルフォンゾ・カルリートス・デ・フェルザドゥリーア


出典:バトルスピリッツ 赫盟のガレット第2話「決意」/バンダイナムコピクチャーズ・バンダイ/2020年9月25日配信

異界グラン・ロロから一度祖国に帰還した異界王が、グラン・ロロの話を誰にも信じてもらえなかったこともあり、
グラン・ロロについて啓蒙すべくグラン・ロロのことについて著した書。
しかし、「人々を惑わす書物」として焚書の憂き目に遭い、現存しているものは少ない。

地球でグラン・ロロの存在が明らかになってからは一転して後の世で再評価され、現存している書は研究対象となっている。

単なる本では無く、この書物に導かれて異界グラン・ロロにたどり着いた者や、書物を読み解いて魔術を習得した者などもいる他、
超古代文明の遺産である『神々の砲台』起動のためのキーにもなっている。


【活躍】

バトルスピリッツ 少年激覇ダン

過去

1451年スペイン生まれ。後に異界王と呼ばれる男は、大航海時代の一船乗りだった。
命がけの旅を繰り返して未開の地に挑み、富と名声をもち帰ったこともあった彼だが、ある航海にて嵐に巻き込まれ、
いかなる運命かゲートを超えて太古のグラン・ロロへと漂着。
そこで見聞を広めた彼は、獣同然だった異界人達に文字・言葉・数学・哲学といった“知恵”を授け、後々文明を築き上げる基礎を築いた。
そして異界から祖国に帰還した彼は、異界に無限の可能性を見て「グラン・ロロを植民地にしてはどうか」と王に進言するも、妄言扱いされてしまう。
真実を伝えようと自分の経験を、『異界見聞録』という書物にまとめて出版したものの、人々を惑わす危険思想として,
まともに読まれることも無いまま焚書の憂き目に遭ってしまった。

誰も自分が見たこと・聞いたこと・真実を信じてくれない、理解者のいない孤独の中、
やがて異界王は人間の冷酷さ・見識の狭さに気づき失望。祖国を捨てひとり海に出て、異界グラン・ロロへ向かった。
自分の授けた“知恵”によって文明ができた時代のグラン・ロロにたどりついた彼は「異界王」を名乗り異界を侵略・支配。
異界魔女マギサから魔力を奪うこと・コアシステムの構築によって寿命を延ばし、現代にまで至った。

ダンとの出会い

異界人には、異界王の庇護の元平和を謳歌する者達もいる一方で、ホライゾンラダーなる建造物を建てるために強制労働させられたりしている者がいる現場を見たことから、
「異界王の圧政をやめさせて、異界グラン・ロロを異界人に返してほしい」と考えるダンは、紆余曲折を経て異界王の元にたどり着く。

その時の異界王の姿は、車椅子に腰掛けた老爺であった。
異界王は、ダンと「異界王の異界からの撤退」をかけてバトルを行うことになるが、異界王が使うデッキは、“あえて”ダンのデッキと同じ構築のものを使用。
ダンは自分のデッキそのものを易々と使いこなす異界王に動揺する中、異界王は更に魔術を応用してダンから与えられるライフダメージを力に変えて、若返ってかつての偉丈夫へと姿を変える。

そして、異界王は明かす。
バトルスピリッツの6色のシンボルと対応した、ダンたち6人のコアの光主が守る6色の光。その6つの光の根本である、グラン・ロロの太陽にして命の源「マザーコア」は地球と連動しており、
人間の起こす戦争・貧困・疫病・環境の激変…そうした業によって地球が病めばマザーコアも病み、マザーコアが病めば地球も病む共生関係にあること。
地球の人間達の影響で病みかけたマザーコアだが、マザーコアを研究し尽くした自分がホライゾンラダーのシステムを通じて管理・守護することでその光が保たれており、
異界王が倒れればマザーコアは光を失い、グラン・ロロは滅びる運命にあることを。
異界人達にマザーコアの管理を任せても良いのでは無いかと言うダンだったが、はるかな高みから見ていると語る異界王は「お前は何も分かっていない」と拒否。

自身の読み違いで「雷皇龍ジークヴルム」を失っていたこともあって熱くなったダンは、自分のエース「龍星皇メテオヴルム」で異界王の「龍星皇メテオヴルム」を仕留める。
だが返しのターン、メテオヴルムを仕留めることに集中しすぎたあまり、バトル全体の流れを見損ねていたダンは防御もままならず異界王に完敗してしまった。

6色のホライゾンラダー攻防戦

一命を取り留めたダンは、同一デッキをあえて用いて完勝する格の差を見せつけた異界王に挑むことを諦めかけるも仲間達のおかげで再起し、二度と異界を荒らす人間がやってこられないようゲートを閉じる計画を立案。
その計画とは、ゲートを開いてしまうマザーコアの力を絶つべく、マザーコアに力を注ぐホライゾンラダーの核である6つのグランドコアを破壊。
コアの光主であるダン達が命を犠牲にしてグランドコアを無くしたホライゾンラダーを制御し異界グラン・ロロの新たな太陽となることでグラン・ロロを守るというもの。
ダン達は覚悟を決めてその計画を実行に移そうとする。

対する異界王は、ホライゾンラダーを守るべく灼熱のパンテーラをはじめ人形「クグッツ」達を配置してダン達コアの光主6人をバトルで迎え撃つ。
覚悟を決めた光主達にクグッツは敗れ、グランドコアを破壊したダン達は自分の命であるシンボルのエネルギーをホライゾンラダーに注いで新たな太陽にしようとする。
しかし、本物のグランドコアはクグッツ達の体内に内蔵されており、コアの光主達のアタックによってグランドコアにはエネルギーが蓄積されていた。コアの光主達の死の覚悟も情熱も全て利用されていたのである。

はじまる!世界の真実だ!

異界王は、グランドコアにたまったエネルギーと、光主達がホライゾンラダーに注いだシンボルのエネルギーも利用し、グランドコアを通じてマザーコアを操作することによって異界グラン・ロロと地球の融合を成し遂げてしまった。

第7の異界「地球」

異界王はこの世界を治める王となる!
そして、全ての秩序は、バトルスピリッツによって決まる!

異界グラン・ロロと地球が融合してしまったことで世界は大混乱に陥る。
一方の異界王は自身がこれから世界を導くことを宣言。
世界征服に向けて世界中に武力侵攻を開始…するわけでもなく、自身の居城にて悠然と待ち構える。

パニックになった世界各国の首脳陣は対立を一時的に停止して一つになる皮肉な事態も発生。
各国から全権を任せられた(責任を押しつけられた)アメリカ大統領ジョージ・トールマンは地球代表として異界王との交渉に赴くが、
ガソリン臭もせず音もほぼ立てずに空を飛ぶコアシステムを用いた戦艦の姿に驚く。

このままでは疲弊した地球は破壊の道を進むのみ

だが我々の持つコアを使えば問題は解決する

大統領に、異界王はコアシステムを使えば、地球のエネルギー問題・環境問題・食糧問題全てを解決することが可能と説く。
そして、異界王がその気になれば逆に地球を蹂躙し尽くすことも。
魅力的な提案と脅しを交えた交渉を前に、大統領は一度屈するほか無かった。

トールマン大統領は対峙したダン達に感化されて信念を取り戻し密かにダンの味方となってしまうが、その間にも異界王は、
コアシステムを欲する世界各国・大富豪などと交渉を進め条約などを締結するパフォーマンスを行う。
砂漠を緑の大地に、水無き土地に湧き水を生み、北極の氷を元通りに、そうしたコアの力を前にして世界は異界王に魅了されていく。

だが異界王にとってはそれらも茶番に過ぎなかった。目的は、上記の交渉を通じて自分の影響力を高めて政治的・経済的に無視できない存在にすることで、闇の権力者「フィクサー」から接触を受けること。
フィクサーは、エネルギーシステムをはじめ、世界経済を統制することで、世界のマスコミ(世論)・軍事・政治を影から支配・コントロールしている軍産複合体のトップ達であり、
彼らにとってコアシステムを用いた技術革新を行う異界王は既得権益を破壊しかねない存在だった。
そうして異界王は世界の真の支配者であるフィクサーから接触を受け、彼らと協力関係になることで、事実上の世界征服も達成。
更に、マザーコアの光主である百瀬華実から、彼女の命と共にマザーコアの光を奪い、マザーコアの光主となることでマザーコアも自身の完全なる制御下においた。

決戦

世界は今変わる!

しかし、地道な交渉とマザーコアの光主になることによってほぼ戦うこと無く世界征服も達成した異界王だったが、大航海時代から変わらず他者を排斥する精神的に成長が無い人類に対する怒りを再燃させ、
マザーコアの力を用いて地球に天変地異・氷河期を起こすことで、人類の強制的な進化を促そうとする。
ダンはマザーコアの光主の座をかけて異界王とバトルを行い、その光景を中継することで世界の人々は異界王の本性を知る。
異界王は「幻羅星龍ガイ・アスラ」を用いてダンを追い詰めてくるが、ダンは「超神星龍ジークヴルム・ノヴァ」の力で勝利。
敗北を認め、ダンにマザーコアを明け渡し朽ちていく異界王。
マザーコアの強すぎる力にダンが苦しむ中、死の間際の異界王はダンに言い残す。

激突王よ…

俺はグラン・ロロを変え地球を変えた…

俺が消えても俺が変えた事実は残る…

ダン「あんたの勝ちだって言いたいのか?」

フッ…お前たちが生きるこれからの時代は

俺が創った時代だ…忘れるな…

ダンのマザーコアは異界魔女マギサが引き受け、人間も異界人も互いを怖がって世界が混乱している状況を鑑みたマギサの意志で地球とグラン・ロロは再び分離し、世界は元に戻ったかに見えたが…。

第51話「(あかつき)(やみ)

「バトルスピリッツ サーガブレイヴ コレクターズ BOX」特典の冨岡淳広シリーズ構成書き下ろし小説。

ダンら元コアの光主達は、冒険や異界王との戦いを通じて、平和の裏で終わることのない紛争・飽食の一方での飢餓といった『世界の矛盾』の存在、世界を影からコントロールするフィクサーの存在に気づいていた。
一方のフィクサーは、異界王が死んだことでコントロールできなくなったコアシステムを秘匿し、なんとか自分たちが使えるようにして独占したいとも考え、コアシステムの行方を探る者については社会的に抹殺していた。

ダンは、世界をよりよいものにしたいという思いから、フィクサーの存在や「世界の矛盾」の存在を訴えはじめるが、それを疎ましく思うフィクサーはダン達の迫害を開始。
異界王との戦いでダンを支援したトールマン大統領を「性的スキャンダル」という冤罪でマスコミや世間にバッシングさせて辞任に追い込み、ダンたちについても「コアの光主達は成り代わった異界人で、地球侵略を目論む尖兵」といった噂や記事を流したり彼らの親の関係者に圧力をかけ仕事が上手くいかないようにしたりしていった。
そうした噂が人々の間で広がり勝手にねじ曲がっていき、ダンは世間から白眼視・敵視されて、いきなりそうした状況になって何を信じればいいのかも分からなくなり悩乱したダンの両親は喧嘩が絶えなくなって離婚を選択し孤立。更にダンの仲間だったコアの光主の百瀬勇貴も、「飛行機事故」で命を落としてしまう。
その「事故」がフィクサーの仕業だったらしいことは後の調べで分かったが、ダンはまた仲間が命を落とす危険性を考えたこと・怒りのあまり異界王のようになってしまいかねなかったことからフィクサーと戦うことを諦め、唯一残されたバトスピにのめり込んでいった。

世間一般が誰もコアシステムも異界王のことも気にしなくなったその後、ダンは改めて、異界王が起こした事件を調べ、異界王がコアシステムでエネルギー問題に一石投じて各国の政治家達と渡り合った以外庶民に圧力をかけたことは無かったことに気づいた。
事件を調べ上げたダンは、異界王が怒りのままに氷河期を起こして人類の進化を促そうとしたのは、大航海時代と現代の人間が他者に対しての無理解や敵意といった変化のなさに業を煮やしたからでは無いか。一度フィクサーと手を結ぶ所までわざわざ行ったのは、グラン・ロロを変えたように地球を変えるべく、地球を支配する彼らをコアシステムで信用させて引きずり出すことで、フィクサーの既得権益を壊して新しい秩序を作るためだったのでは無いか。
そう改めて考えて推測したが、もう異界王はおらず、戦いをやめたダンはその答えの出ない推測を頭から振り払った。

後のダンは、この時はじめて、異界王の感じた、自分の体験したことを信じてもらえない孤独・人間への失望と怒り等をようやく理解できたと振り返っている。


バトルスピリッツ ブレイヴ

西暦2650年の地球が舞台。
本来の未来の地球はグラン・ロロに来ていた未来人によれば、「環境破壊で人類が滅亡寸前の未来」だったが、異界王が地球に介入したことにより歴史が変化。
「異界王がもたらし実用化されたコアシステムにより環境破壊が無くなり、代わりに地球に取り残された異界魔族が、人間の支配者であるフィクサーも暴力によって滅ぼし、異界魔族と人類がグラン・ロロの決闘法であるバトルスピリッツで代理戦争する未来」となっていた。
つまり、環境破壊で人類が自滅する最悪の未来は異界王の手で回避されたこととなる。

しかし、その未来では異界魔族が地球の中心近くに打ち込んだコアの影響で、自浄作用による大天変地異が迫っていた。
未来に現存していた『異界見聞録』に記載された伝説によれば、地球とグラン・ロロの6つの世界は、古代の神々が闇の勢力に勝利した記念として創造されたものであり、神々の似姿として「 12宮Xレア」が生み出されたという。
そしてその12宮Xレア全ての力で起動する「神々の砲台」を用いれば、地球中心のコアを破壊して天変地異を避けられるかもしれないという希望が見つかり、未来に招かれたダンたちは12宮Xレア探しに奔走することになる。

未来の冒険の中で、荒んでいたダンは「救える者は全て救う」という情熱を取り戻し、広い視野を持って物事を見ていく。
12宮Xレアも全て見つかり、魔族と人類の対立も収まりかけていく中、人間を嫌悪する魔族達を影から扇動し、世界を混乱に陥れようとする暗闇のザジを見つけ出してダンはバトル。
ザジの仮面を割り、その正体であるイザーズに目的を問うダン。イザーズの目標は「全てが無茶苦茶になればいい」という破滅願望だった。
イザーズは逃げること無く、自分の動機を知りたがるダンに己の過去を明かす。イザーズとその仲間は、貧民街の生まれながら子供の頃から“顔がきれい”ゆえに魔族の金持ちにめぐんでもらえたが古代魔法の実験台として虐待され、
やがて覚えた古代魔法でその金持ちを殺害して自由の身になったが、直後にその国を人間が制圧し“顔がきれい”ゆえに奴隷として虐待されてしまった。ゆえに、イザーズ達は自分たちの心を壊した魔族にも人間にも憎しみと怒りしかもっておらず全てを壊したいのだと。

そんな憎しみと怒りを秘めて世界を混乱させていくイザーズを、ダンは「異界王のようだ」と評するが、
同時に「だけど、異界王の足元にも及ばない。お前には壊した先のビジョンがない。ただ壊すだけならわがままな子供と同じだ」「コソコソ裏でやってないで表に出ろ。異界王のようにな」とイザーズの目標を一蹴。
同時に逃げること無く自分に過去を明かしてくれたイザーズの覚悟・生き方を「逃げずに壊したんじゃ無い。お前は戦ってきたんだ」と慰め、イザーズの心を開いた。

バトルに勝利後、異界王を回顧し異界見聞録に手を伸ばすダン。
異界見聞録に触れた瞬間、精神世界にて異界王とダンは再会する。


異界王…!あんたと、ずっと話したかった…

俺が創った世界の居心地はどうだ?

最悪だ…だけど、戦う価値のある世界だ

いい答えだ
お前は俺の野心を砕いた。
あの瞬間、お前は他の全ての連中よりも、
一段高い場所に上がってしまった

お前の言葉で言うなら“強さの深み”
だが俺に言わせれば、“深み”にはまったんじゃない
強さなど、とうに超越してしまったのだ


出典:バトルスピリッツ ブレイヴ第47話「男たちの闇 アスクレピオーズ慟哭」/サンライズ(バンダイナムコピクチャーズ)・メ~テレ・ADK/2011年8月21日放送

この時代に来てお前は考えた。
俺の作った時代をどう生きるか、どう変えるか
考え、そして実行した

バトルスピリッツという対話で、
魔族も人間も、ひとりひとりの心に語りかけた

俺を断ち切った時代を創る準備をしていたんだ

もう準備は出来たよ。後は引き金を引くだけだ

その覚悟は、出来ているな?

ああ…。

俺を一番理解しているのはお前だ
世界のために何が出来るか、どうすべきか。
もう…言うまでもないな

見方を変えれば、あんたが一番、
世界の未来を案じていた英雄だった

時間はかかったけど、新しい世界を築く瞬間はもうすぐだ

……男の顔になったな

そうかな…

戦え!馬神ダン!!もう引き返せないぞ

…分かってるよ

様々な戦いを経験したダンは、異界王をかつてのように単なる悪と見なさなかった。
異界王はダンの成長を喜びつつ、異界魔族と人類が共存する新たな時代のための、『神々の砲台』を起動させる最後のバトルへ向かうダンを激励した。

バトルスピリッツ サーガブレイヴ

西暦2661年の未来で魔族殲滅を目論む過激派テロ組織『人類至上戦線カーディナル・サイン』の首魁レオス・ギデオン。
ギデオンの正体は現代の人間であり、彼はかつて無秩序な地球で、異界王が「全ての秩序は、バトルスピリッツによって決まる!」と発したことに希望を感じ、
そしてそれをダンが打ち砕いたことがきっかけで再び絶望したことが行動の原点だった。

彼は『異界見聞録』を手に入れて異界王の考えを学び、自らが現代・未来・異界全ての魔族を駆逐しその過程で人類の支配者となることで世界を正しく導く『夢』を抱いたが、
現代にてダンに敗れ、12宮Xレアの力で平行世界を創りだしその世界へ逃亡してしまう。

神霊になったダンと同じ高次の世界で話しかける異界王。
異界王は、その遠大さや現実との葛藤から苦い結果に繋がることもある「夢」を、人間が前進するためには持ち続けなければならないことから「必要悪」と評す。
ギデオンから12宮Xレアを取り戻すべく、平行世界に向かうダンに異界王は忠告する。


出典:バトルスピリッツ サーガブレイヴ第3話「永遠のキズナ」/バンダイナムコピクチャーズ/2020年1月24日配信

────忘れるな。

人間に知恵がある以上、
強き者・弱き者の歪みは生まれ続ける

人間は変わってゆける。智慧はそのための武器だ

アンタが当たり前のように言ってる歪みって奴も、無くせるはずだ

オレは人間を、信じてるよ

人間が成長し、広く深い視野を持ち欲望を超えて互いを慈しみ合えるようになり、人類が抱える『歪み』『世界の矛盾』を克服できるその日まで、世界を守るため戦い続ける覚悟を見せるダンを、異界王は不敵な笑みを浮かべつつも黙して見送った。

バトルスピリッツ 赫盟のガレット



異界見聞録 予兆

第5章13節

紫が調和を揺さぶる
その知恵、言霊と獣を従え
古き時を終わらせるだろう
表は裏に 裏は表に

人類と異界魔族が共存していたはずの未来。
突如、紫の血を持ち頭脳に優れる新たな存在『モーブ』が人間にも魔族にも現れ、世界は再び大混乱に陥り、数世紀が経過。
そして統一政府樹立から約370年が経過した西暦3027年、政府もまた平和の中で腐敗が始まっていた。

モーブの存在は、人類と魔族への福音か、災いか。
現れた新たなコアの光主、ガレット・レヴォとヴァルト・パークス。
『異界見聞録』の予言は革命の時代を告げる。




「動き出したな、コアの光主。
さあ、壊してみせろ」

出典:バトルスピリッツ 赫盟のガレット第1話「転醒」/バンダイナムコピクチャーズ・バンダイ/2020年8月28日配信

コアの光主であるガレットやヴァルトに対し、時折顕現して異界見聞録の予言を語り、警鐘とも導きともとれる言葉を残す謎の少年ヴィザルガ・ベラジオ
異界見聞録に記された伝説の3種のカードをそろえ、カード達の導きによって南極にたどり着いたガレットの前に現れたヴィザルガは、
3種のカードの力でバトルフィールドを顕現させ、「戦ってガレットが勝てばゲートが開く」とガレットにバトルを挑んでくる。
バトルでは「幻羅星龍ガイ・アスラX/幻羅星龍ガイ・アスラX -転醒絢爛-」を切り札とする赤デッキを使用。

武力決起したヴァルト達のことを知ったガレットは「武力をもって戦うヴァルトとは違い、自分はバトルスピリッツのルールの下に戦う」と語るが、
ヴィザルガはそんな彼に異界見聞録を著した「異界王」の過去を語る。

太古の異界グラン・ロロ。異界の人々は獣と同じく本能のままに生きており、そこには「知恵」も人が決めた“ルール”などもなかった。
そんなグラン・ロロへ時空を超えて現れた「のちに異界王と呼ばれる人間の男」は、グラン・ロロの人々に「言葉・数学・哲学・思考・階級・法律」など自分が持つ様々な知識を与え、
知恵」を得たグラン・ロロの人々は自ら考え工夫し文明に目覚めた。
だがその結果、知恵ゆえに、偏見と恐怖による差別・優劣や我欲による争いが生まれる。その争いは暴力を生み、武力を育み、異界には血が流れていった────。
男は後悔した。「自分が知恵を与えなければ、グラン・ロロに争いもなく優劣もなく差別も偏見もなかった…」と。

ヴィザルガは更に語る。
異界王はモーブの出現を予見し、そのことを異界見聞録に記した。それゆえ異界見聞録は焚書の対象となったが、その顛末とは「人間も魔族も、モーブの出現により多くの血を流しながら滅びゆく」こと。
血の色が違う上に暗記力や計算力などの知力が人間を超えたモーブに対して、それを持たない人々が恐怖し偏見や差別をするのも知恵を持つ者として当然であり、そんな偏見や差別に怒りヴァルトが武力を持って決起したのも、
知恵を持つ者達が歴史で繰り返してきたことであり必然である。
知性を持つゆえに偏見・恐怖・我欲が起こり、それにより繰り返される差別や争いを無くすために、「コアの光主としての力を持って、知恵を人から奪いかつてのグラン・ロロと同じ『知恵無き世界』を作れ」とヴィザルガはガレットに言う。

だが、ガレットは「智慧あるからこそ人は過ちを正すことも出来る」「モーブと人間と魔族が手を取り合う未来を信じ、自分の生き方を持って憎しみあう人々の心に“革命”を起こす」と新たな道を突き進む決意を固め、
その提案を拒否してヴィザルガにバトルで勝利。
ヴィザルガの正体は少年の姿を取った異界王の魂と理解したガレットは、膨大な経験と知恵を持つヴィザルガに力を貸して欲しいと頼む。

その申し出を受けたヴィザルガは3種のカードの力でゲートを開き、時空を超えてガレットを古代の異界グラン・ロロへと導いた。
「人々の心・在り方に革命を起こす」夢を持ったガレットに人の歴史を学ばせ、その上で意志を貫けるか見定めるために────。



智慧あるからこそ、人は過ちを正す
お前が知る知恵なき時代には戻らない

お前のような理想を掲げて
命を落とした者は無数にいる

忘れるな、ガレット・レヴォ…


バトルスピリッツ ミラージュ

異界グラン・ロロを支配し始めた時期の過去の異界王が登場。

後に異界王となる男は、太古のグラン・ロロに渡り知恵を授けた後、祖国に帰還しグラン・ロロについて報告するも世迷い言と切り捨てられ、
啓蒙のために「異界見聞録」を著したが焚書にされてやがて人間に失望。
人間に見切りにつけて彼は、異界王の授けた知恵により文明ができはじめていた時代のグラン・ロロに帰還。支配者となるべく行動している。
ヴィザルガは「この時代の異界王は怒りが全て」と評した。

そしてヴィザルガの導きでガレットがたどり着いた古代グラン・ロロは、地球を捨て異界に帰還した異界王が怒りのままに武力を持ってグラン・ロロを侵略している時代。
異界王が武力を持って白の世界を治める白の王を打倒したことで、有無を言わさぬ暴力・武力の前には対話しようとする試み・高潔さも全てが無力という事実に悩むガレットに対し、
ヴィザルガは「考えろ」と言い放つのだった。

白の王を殺害した直後の異界王は、初めて“コアの光主”の青年と出会う。
異界王はガレットに「それではお前が嫌う人間の在り方と変わらない」と非難され、「人間を変えることがお前の目的ならば、まずお前が変われ」と「カードによる対話」を提案される。
が、異界王はガレットの言葉を受け止めつつも「支配するには、武力と知恵をいかに使い分けるかが肝要」「時代と戦うには未熟。未完成な理想は聞くに値しない」と一蹴し、
ガレットのコアの光主としての赤のシンボルを砕き、退けた。

出典:バトルスピリッツ ミラージュ第4話「世界」/バンダイナムコピクチャーズ・バンダイ/2022年4月1日配信

もっとも異界王としてもガレットの言葉は響いたようで、苦い顔をしながらガレットが残したカードを拾い上げていた。
グラン・ロロにて異界王の手で「全てはバトルスピリッツが決める」としてバトルスピリッツが広まったのは、これ以降だった様子。



そして白の王の魂との対話を経たガレットは、人々の価値観を根本から変える必要があると結論を出す。
ヴィザルガの導きでグラン・ロロの歴史を学び、姿形が違ってもバトルスピリッツを通じて理解を深めあった歴史を知ったガレットは、
異界人達が協調しあう未来のグラン・ロロに理想を見て、そこで多くの仲間を得た。
その場所でガレットは仲間達と共に、異界と地球を再び融合し、異界人の在り方を地球に伝える「グランリセット」という計画を考える。
地球に帰還したガレットはマザーコアの女神マギサの力も借りて自分の想いを地球上の人々に伝え、6色のコアに光主の力を結集して「グランリセット」を決行。
ガレットの起こした革命により地球は異界と改めて一つとなり、新たな歴史を刻み始めた。

出典:バトルスピリッツ ミラージュ第4話「世界」/バンダイナムコピクチャーズ・バンダイ/2022年4月1日配信


異界見聞録の記述無き時代が始まった

理解と寛容の時代を経て、
人類と魔族はいずれ、新人類モーブに淘汰される


だが、大きな争いにはならない

…彼ら次第だ

ガレット・レヴォの革命を経た世界は、
いたずらに血を流さない

対話によって、成熟するからだ

高次の世界で、全てを見届けた異界王の魂は予見する。人類の進化種であるモーブはこれからも数を増やし、やがて赤い血の人間と魔族はいなくなることを。
赤のコアの光主の魂は、マジック「ブリザードウォール」を携えながら、その道のりはいたずらに血を流さないものだと語るのだった。

【使用デッキ】


真の王の守護者!星統べる天空のドラゴン!

幻羅(げんら)星龍(せいりゅう)ガイ・アスラ召喚!

出典:バトルスピリッツ 少年激覇ダン第50話「さらば、激突王!」/サンライズ(バンダイナムコピクチャーズ)・メ~テレ・ADK/2010年9月5日放送


普段のバトルではデッキを選ばず、6色全てを使いこなす。
本気でバトルする際は、「幻羅星龍ガイ・アスラ」を切り札とする赤中心のデッキを扱う。
また、サポートの中型として、「蛇竜キング・ゴルゴー」「飛鋼獣ゲイル・フォッカー」「獄獣ガシャベルス」を用いる。
いずれも星座編に先駆けて混色軽減を持ち、「系統:「星竜」を持つ自分のスピリット」「自分のフィールドにコスト7以上のスピリットがいるとき」「BP8000以上の自分のスピリットがいるとき」と、
幻羅星龍ガイ・アスラがフィールドにいれば発揮できる効果を持つ。

特にアニメ版での「ガイ・アスラ」は、「初のBP30000」「初のLv4」「Lv4になると姿が変わる」など衝撃的な登場を果たし、高い人気を誇った。


【異界三巨頭】

異界王配下最強と謳われる3人のカードバトラー。表面上は異界王の腹心として行動するが、動機は様々。

百瀬(ももせ) 勇貴(ゆうき)

CV:いつも通り胡散臭い櫻井孝宏
白のコアの光主。
白デッキの使い手。
マザーコアの光主である妹の百瀬華実が、マザーコアの強すぎる力に身を痛めていた為、
その苦痛を取り除くべく、マザーコアを管理下に置く異界王を利用しようと彼の配下となっていた。

幻惑のレオン

CV:宮内敦士
黄金の鎧を身につけ、ひげを蓄えた大男。
当時は混色デッキを使うのは難しい環境の中、構築が難しい様々な混色デッキを扱い、
対戦相手はレオンの戦うデッキを読めずに混乱することから「幻惑」の二つ名を得た。

元々は、アメリカのゴールドラッシュ終わりかけのしがない砂金取りであり、『異界見聞録』を信じ親友と共にグリーンカレーを愛する変わり者だった。
しかし栄達を夢見、全てを捨てて異界見聞録に導かれてグラン・ロロに到達。
異界王の下、副官として出世するがその野心はいずれ異界王を超えることも考えており…。

詳細は項目参照。

灼熱のパンテーラ


異界王が、余興代わりに自分を倒させるために作った人形(ロボット)。しかし今まで38279691回異界王に挑みながらも全て敗北している。
バトルでは、赤デッキを使用し相手スピリットを破壊し尽くすことから「灼熱」の異名を得た。
異界王を倒そうとする先代コアの光主達もほとんど退けており、その中で学習や好敵手との出会いを通じて熱い感情を身につけている。
馬神ダンに対しても、お互い友情に近い感情を抱きつつも「ダンをバトルで倒したい」という思いもありあえてダンの仲間になることは選ばなかった。

詳細は項目参照。


【漫画版(ケロケロA)】

若返るが、その際、青年ほどにまで若返る。目的は、バトルフィールドに縛られたスピリット達の解放。

バトルでの切り札は「魔帝龍騎ダーク・クリムゾン」。
召喚時効果で「魔龍帝ジークフリード」2体を展開しダンを圧倒した。

【余談】

  • 幻羅星龍ガイ・アスラ
幻羅星龍ガイ・アスラLv4は、アニメ作中において破壊されたことが無い。ダンは、ガイ・アスラにこだわらず「フィールド全体を見た」ことで勝利できたが、
結果として「ガイ・アスラは倒せていない=根本的な問題(世界の矛盾)は解決されていない」ともとれる。
また、『ブレイヴ』最終回のバトルにて、ダンは、光龍騎神サジット・アポロドラゴンのBPを、ガイ・アスラのBP30000を超えるBP36000にまで上昇させる輝きを見せた。

  • 初期案
作画監督の湯本佳典によれば、初期案では異界王が老人から偉丈夫に留まらず少年にまで若返る案もあったとのこと。

  • 異界見聞録
元々「異界見聞録」は、バトルスピリッツの背景世界において「放浪者ロロ」が著した記録だった。
サイト『異界見聞録シリーズ』でのアニメ『少年激覇ダン』初期設定によれば、製作当初は「異界はカードの『異界見聞録』そのものの世界」という構想もあった様子。

  • サンライズフェスティバル2018光焔
2018年7月7日開催。緒乃冬華・阪口大助・冨岡淳広によるトークショーと『激覇』『ブレイヴ』のオールナイトセレクション上映を実施。

トークショーでの冨岡氏は、「『激覇』の人気が出たので続編『ブレイヴ』が作られたが、
当初の予定通り『激覇』で終わっていれば、最後はダンが地球とグラン・ロロという二つの世界を導く新たな異界王となるラストの予定だった」と明かしている。
そのため、続編である『ブレイヴ』は「激覇の長い最終回のような気分」と語った。


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最終更新:2025年03月25日 22:32

*1 アニメ『少年激覇ダン』『ブレイヴ』本編で名前は明かされず、『激覇ダン』の終了から約9年半を経て2020年5月2日に公開された『異界見聞録シリーズ』公式サイトにて判明した。