バトルスピリッツ 赫盟のガレット

登録日:2022/01/13 Thu 22:25:10
更新日:2025/04/17 Thu 19:10:49
所要時間:約 28 分で読めます




コアの光主は、生まれ変わる。

出典:バトルスピリッツ 赫盟のガレット第2話「決意」/バンダイナムコピクチャーズ・バンダイ/2020年9月25日配信

『バトルスピリッツ 赫盟(かくめい)のガレット』は、バンダイナムコピクチャーズ(BN Pictures)制作のWebアニメ。
TCGバトルスピリッツ』を元にしたアニメ。
本項目では『赫盟のガレット』の続編である『バトルスピリッツ ミラージュ』についても記述する。

●目次


【あらすじ】


異界見聞録 予兆

第5章13節

紫が調和を揺さぶる
その知恵 言霊と獣を従へ
古き時を終わらせるだろう
表は裏に 裏は表に

異界グラン・ロロから地球に出現した異界魔族と人類が戦いを始めてから数世紀。
異界の技術コアシステムを用いて台頭した異界魔族は勢力を拡大し、グラン・ロロでかつて異界の王が定めた バトルスピリッツを用いた決闘による代理戦争で血を流さずに領土争いを行い、勝敗を決めるようになる。
そして、一大天変地異を共に乗り越えた人類と異界魔族は西暦2651年に講和を結んで統一政府を樹立。「争いごとはバトルスピリッツで決める」という手法の元に、人類と魔族は協調の道を歩んでいた。

だが数世紀経ったある日、異変が起き始める。血の色が「紫である者達」が人間・魔族を問わず多数生まれてきたのである。
統一政府によって「モーブ」と名付けられた彼らは、人間・魔族を超える計算力や暗記力などの優れた頭脳を併せ持っていた。
統一政府は、未知の存在であるモーブを、その安全が確認できる日までという名目で「モーブ特別区」へと隔離。モーブ達は差別や偏見にさらされ、自由がなく苦しい生活を余儀なくされた。

約2世紀半が経過した31世紀。モーブがもたらした混乱もあわさって統一政府は腐敗が大きく進行し、モーブ達は今もなお恐れられ、その権利を制限された上でモーブ特別区に閉じ込められたままであった。

そんな状況を憂えるモーブの少年であるヴァルト・パークスガレット・レヴォ
二人は、地球と異界グラン・ロロの魂にして太陽とも言うべき「マザーコア」によってマザーコアを守護する「コアの光主」に選ばれる。
友となる二人だったが、モーブの未来のために考える手段は違った。
ヴァルトは対話をする気が無い統一政府に打ち勝つには武力が必要と考え、モーブが圧政から解放される未来を求めて。
ガレットは歴史の愚行を繰り返さないよう血を流すことなくバトルスピリッツと対話を持って、モーブと人類と異界魔族が手を取り合う未来を信じて。

モーブの未来のために、二人はそれぞれのやり方で行動していく。

【概要】

『バトルスピリッツ 赫盟のガレット』

バトルスピリッツ』アニメシリーズ第10弾。
2020年8月28日から2021年4月23日までYouTubeにて全5話で配信された。
キャッチコピーは「コアの光主は、生まれ変わる。」。

バトルスピリッツ 少年激覇ダン』『バトルスピリッツ ブレイヴ』『バトルスピリッツ サーガブレイヴ』と世界観を共有した続編。
公式は、世界観を共有したこのシリーズを『異界見聞録シリーズ』と呼称している。
そのため、登場人物はほとんど刷新しているものの、世界観などから『少年激覇ダン』~『サーガブレイヴ』を見ていないと分かりづらい点も多いことに留意。相変わらずカードアニメとは思えないあらすじが特徴。

これまでと主要スタッフは変わらず、監督は渡辺正樹、シリーズ構成は冨岡淳広。
冨岡淳広氏は、イベント「サンライズフェスティバル2021」トークショーにて、「(バンダイ側から)馬神弾の世界観で続編をやって欲しいと言われた」「1年やれるキャラクター達を作ったが、5話と聞いて驚いた」と話したという。
たった5話なのは予算の都合と思われるが、完全新作ではないのは少ない話数で新規の世界観を描くのが難しいことに加え、「神煌臨編第4章」「アイツのデッキ」など『サーガブレイヴ』関連商品が大ヒットしたため馬神弾の世界観ならば多くのファンに興味を持って貰いやすいとバンダイに判断されたものと思われる。
そうしたこともあり、スタッフ達は毎話数、相談しながら脚本第一稿が時間内に収まるように削る作業があったらしく、全5話アニメながら、2クールアニメを2時間総集編映画にまとめたようなスピード感が特徴。

主人公ガレット・レヴォについて、公式サイトにてバンダイの里吉純プランニングマネージャー「カードゲームの面白さと厳しさを教えてくれた“彼”に負けない主人公になってくれ」・サイト『異界見聞録シリーズ』にて冨岡淳広シリーズ構成「『サーガブレイヴ』での異界王と弾の最後の答えの一つをガレットは探っていくんじゃないかな」と語るなど、テレビアニメ『ダブルドライブ』終了後バトスピの展開を支え続けた馬神弾に代わるキャラクターを目指して構築された。

主題歌は、作詞・作曲・編曲は尾澤拓実、歌唱は玉置成実による「BREAK THE CHAIN」。仮面ライダーキバ』や後の『デジモンアドベンチャー:』と曲名が被っている。

『バトルスピリッツ ミラージュ』


赫盟(かくめい)の先にある未来(ミラージュ)

バトルスピリッツ』アニメシリーズ第11弾。全4話。

『赫盟のガレット』最終話配信後に、直接となる続編となる『バトルスピリッツ ミラージュ』の制作が発表。
発表されたキービジュアルには、主人公ガレット・レヴォと『少年激覇ダン』の百瀬勇貴の姿が描かれた。
主題歌は、玉置成実&きただにひろしによる「Open the GATE」。

『ミラージュ』配信前の2021年3月から9月までかけて、YouTubeのBN Picturesチャンネルにて『バトルスピリッツ ブレイヴ』『バトルスピリッツ サーガブレイヴ』全話無料配信も実施。

2021年10月29日より第1話を配信。

12月17日には、『サーガブレイヴ』『赫盟のガレット』『ミラージュ』3作品・全12話を、『バトルスピリッツ -コアの光主たち-』と題してTV放送を決定。
2022年1月13日から毎週木曜22:30よりTOKYO MXとBS11にて放送開始。

【世界観・用語】

◆グラン・ロロ関連

  • 異界グラン・ロロ
バトルスピリッツ 少年激覇ダン』にも登場。
地球の各時代とゲートを通じて繋がっている異世界。正確には、地球もまた異界グラン・ロロの一部。過去には異界王の手で地球と融合したこともあり、結果として異界魔族が地球に残る原因となった。
太古に訪れた後に異界王と呼ばれる男によって異界人に知恵が授けられて文明が誕生。その男は一度帰還したが、文明が出来た異界グラン・ロロの地を再び訪れ侵略・支配して「異界王」と呼ばれるようになった。
ゲートは異界グラン・ロロと地球を、時空を超えて結んでおり、かつて太古から未来に至るまで地球人達は色んな時代のグラン・ロロを訪れていたが、現在はゲートが閉鎖されて人間による行き来は困難となっている。
異界グラン・ロロと地球の魂にして太陽ともいうべき「マザーコア」の力によって栄えている。

  • コアシステム
異界グラン・ロロで発展してきた技術で、「コア」を用いたエネルギーシステム。
このコアは、異界のバトルスピリッツでも用いられている。
異界と地球の融合後には地球にも伝わって、異界魔族の台頭と共に環境破壊と無縁のクリーンエネルギーということもあって広まっていった。

  • コアの(ひかり)(ぬし)
地球と異界グラン・ロロの力と調和の源であるマザーコアに選ばれ、マザーコアを守護する役目を持つ6色の戦士達。
選ばれた者は、バトルスピリッツにおける6色に対応したシンボルを魂に宿す。また、2つ以上のシンボルを宿す者もいる。
(ひかり)(ぬし)はコアシステムに干渉するといった能力を持つ。
コアの光主は「世界を変える存在」ともいわれており、その出現の意味はある者曰く「時代が動き出すための準備」。

  • ()界見聞録(かいけんぶんろく)
後に異界王と呼ばれるようになる人間の男が、異界グラン・ロロについて記した書。
グラン・ロロの存在を地球の人々に啓蒙するために書かれたが、「人々を惑わす」*1として禁書指定されそのほとんどが焚書された。現存するのはごく一部だったが、グラン・ロロの存在が地球で明らかになってからは再評価され、31世紀になっても研究が続いている。
単なる本ではなく、異界王が見た未来についての予言・警告に関する四行詩や、特殊なカードや古代文明の遺物を起動させることができる記述も書かれている。



  • 神々(かみがみ)砲台(ほうだい)跡地
南極に存在している、超古代文明の遺産。特殊なカードを用いることで起動する。


◆種族

  • 人間(HUMAN)
異界魔族とモーブの起源である種族。

  • 異界魔族(いかいまぞく) (DEMI-HUMANS)
太古の異界グラン・ロロに迷い込んだ人間が、グラン・ロロに適応する形で進化した種族。寿命は人間より長く、角や尻尾などがあるのが特徴で容姿は個性的な者も多い。

  • モーブ(MAUVE)
統一政府が設立されて数世紀、人間・異界魔族を問わず多数生まれてきた紫の血を持つ存在。血の色以外にも、計算力や記憶力といった頭脳に優れているという特徴を持つ。一方で、愛情といった喜怒哀楽の情緒面では人間達となんら変わりは無い。
突如原因不明のまま生まれてきた異色の血を持つ存存在と人間・魔族を上回る頭脳ゆえに人々からは恐れられ、「安全が確認できるまで」という名目で『モーブ特別区』に隔離されて数世紀が経過している。モーブには『認証服』の着用が義務づけられている。
その頭脳ゆえにバトスピでも無類の強さを誇るが、結果として「全てはバトルスピリッツで決める」という血を流さず公平に物事を決めるルールは、モーブに対する人間・魔族には“不公平”を意味するようになってしまった。そのため、モーブを相手にバトルスピリッツで決める際には、統一政府も手駒にしたモーブを使ったり、バトルシミュレータというサポートを用いてモーブに挑んだりしている。

◆統一政府関連

  • 統一政府(とういつせいふ)
西暦2651年に人間と魔族が講和を結んだことで誕生した新政府。人間代表の人間主幹と、魔族代表の魔族主幹を最高指導者として合議制で運営される。人間による魔族に対するテロ活動などを乗り越え、300年以上続いてきた。
しかし、数世紀を経て高潔な者達は政治闘争に敗れて追放されるなど組織としては末期状態に近く、現在はモーブをはじめ社会的弱者が虐げられる政策が通るようになってしまった。
ついには統一政府議員の策謀により、モーブ解放を賭けたバトルスピリッツでも不正が行われるほどとなってしまっている。

  • モーブ特別(とくべつ)()
辺境の谷底に築かれたモーブの居住区。モーブ達はそこに隔離され、統一政府によって監視やモーブの安全を確認するための実験がされている。特別区の外に出るには厳重な審査が必要であり難しく、出ることが出来たとしても認証服の着用が義務づけられている。

  • 未開発エリア「バニラ」
かつての戦艦コアシップなどが投棄されたスラム街。モーブ特別区を脱走したモーブやわけあって統一政府の街に住めなくなった者達、孤児などが暮らしている。
皮肉にも人間・魔族・モーブが混ざって暮らしている唯一の場所だが、ここでもモーブに対する偏見は未だに根強い。
自治している“顔役“がおり、彼らは腐敗した統一政府上層部から非合法な汚れ仕事を請け負って利益を得ている。

バトルスピリッツ関連

  • 転醒(てんせい)
両面カードの(おもて)面(A面)が持つ効果。条件を満たせば【転醒】し、カードを裏返して裏面(B面)へと切り替わる。このカードの登場により、実際のプレイで転醒カードを使う場合は、基本的に背面を隠す不透明スリーブが必須となった*2
アニメ劇中では普段両面やスリーブ入りカードではなく、【転醒】を発揮した際にカードが変化して裏面が出現する様子が見られる。【転醒】は極めて珍しい効果であり、目撃したカードバトラー達の大半は驚いている。

  • 3種のカード
各3枚ずつ、3種存在している伝説のカード。
ガレットの父アバレス・レヴォが調べた情報と、異界見聞録にその力や所在について記されていた。
アバレスが集めた情報によれば、3種のカードを集めることで何かが起きるようだが…?

【登場人物】

◆主要人物

CV:櫻井孝宏、漆山ゆうき(幼少期)
本作の主人公であるモーブの少年。紫のコアの光主。父を暗殺で失いながらも、人とモーブ達の心をつなぎたいと願った父の夢を受け継いでおり、父の遺した情報を元に、世界を変えるという「3種のカード」を集める旅に出た。詳細は項目参照。
YouTube「【バトスピ公式】アニメ小ネタ&裏話動画<前編>」によれば、名前の由来は「スカーレット」から。


  • ヴァルト・パークス
CV:福山潤
モーブ特別区での指導者ルシアン・パークスの息子であるモーブの少年。
穏やかな物腰で接するが、父が目指すバトルスピリッツという対話によるモーブ解放を不安視していた所、父がモーブ解放をかけたバトスピにて罠にはめられて敗北した挙げ句に暗殺という非業の死を遂げる。そしてその暗殺の首謀者が一部の統一政府議員によるものであると知り、「バトルスピリッツではなく、有無を言わさぬ武力こそ必要」という考えに至っている。
ルシアンの死を契機としてマザーコアとつながり「赤のコアの光主」となった。
父の死を前後としてガレットと知り合い、モーブ特別区の学園にてバトスピで幾度もバトルし友情を育むが、武力蜂起によるモーブ解放の計画を進めるヴァルトにガレットは「歴史の愚行を繰り返す」と反対。ガレットの提案で「自分が負ければヴァルトに従う。勝てば袂を分かつ」という条件でバトルをするが、「ルシアンに自分の歩む道を誇ることが出来るのか」という問いには答えを窮し敗北。ガレットとは別の道を歩むこととなった。
バトルでは赤デッキを使用。キースピリットは転醒カード「爆覇龍エクスプロード・ドラゴン爆覇造神ビックバン・ゴレム」。赤らしく相手のライフを削っていくが、場合によっては【転醒】によってデッキ破壊に切り替える。【転醒】の際には「青のコアの光主」へと変化する。異魔神ブレイヴも愛用。武力を選びこそしたが、カードは捨てておらずモーブと対話する際にはバトルをすることもあった。
YouTube「【バトスピ公式】アニメ小ネタ&裏話動画<前編>」によれば、ガレットとは紫繋がりを意識して名前の由来は「コバルト」から。紫色の顔料でコバルト・バイオレットというものがある。
担当声優は『コードギアス 反逆のルルーシュ』のコンビであり、ヴァルトも体制への反逆者など共通点もあって、YouTube『ミラージュ』1話生配信限定キャストインタビューでは福山氏もそれとなく「革命を立ち上げた者はろくな結末を迎えない」と述べている。ネットラジオ『バトスピ大好き声優の生放送!』2021年11月配信では、ヴァルトの髪型がオールバックになったため阪口大助氏らMC陣から「コロニー落としそう」とネタにされた。


光主の出現は、
時代が動き出すための準備
戦え、そして導け

  • ヴィザルガ・ベラジオ
CV:小山力也
謎の超渋いボイスをした少年。肉体を持っておらず「異界見聞録を語る者」を自称する。まるで観察者のごとく様々な場所に自在に顕現し、コアの光主であるガレットやヴァルトに対し警鐘とも導きともとれる言葉を残す。
第3話以外の『赫盟のガレット』エンディングクレジットでは、「ヴィザルガ・ペルシオ」と表記されていた。
名前の由来は、YouTube「【バトスピ公式】アニメ小ネタ&裏話動画<前編>」によればサンクリット語で「開放」を意味する「ヴィサルガ」から。YouTube「バトスピNight ~2020秋の陣~」では監督が、「肉体を持たず精神体が具現化している。もしかしたら触れられないかもしれない」とのこと。

◆未開発エリア「バニラ」

スラム街であり、治安は悪く孤児達も多い。

  • ライム
CV:佐倉綾音
バニラに住む異界魔族の少女。ダークウェブを含めたネットワークに詳しいハッカーにして機械いじりも得意。ネットワークで調べた情報から水面下で進む陰謀に感づいたり、統一政府議員の不正や汚職の証拠までも集めたりして見せた。
ガレットと仲が良く、彼の依頼があればその技術を活かして様々な情報を集めたり、データを解析したりしている。ガレットからも、ガレットの父の形見である謎のデータが搭載されたペンダントの解析を行う際にペンダントを預けられるなど信頼されている。
3種のカードを集める旅に出たガレットにクックと共に同行し、レストアした水陸両用車でガレット達の足となった。
3種のカードの指し示した地である南極に行き、ガレットとヴィザルガのバトルを見届けた。

担当声優の佐倉綾音氏は、イベント『サンライズフェスティバル2021』で監督やシリーズ構成がした「シナリオ第一稿120枚から25分に収まる70枚程度にするべく、最初にライムやクック達の出番を削っていった」という話をどこからか知ったようで、YouTube『ミラージュ』1話生配信限定キャストインタビューではそのことへの不満を語っており、監督は自身のTwitterで「ライムとクックのカットを増やすか」と述べた。YouTube「バトスピNight 赫盟のガレット 最終回SP」に出演した際は、リイン・ジーヴルという新キャラに対して「ライムにあんな綺麗な光の当たり方したことない」とヒロイン枠として危機感を覚えていた。


  • クック
CV:小平有希
人間の少年で、ガレットを兄貴分と慕いライムとも姉弟のように仲が良い。料理の達人であり、ガレットがバトルで勝ち取ってきた食材を用いて調理をしている。

  • アバレス・レヴォ
CV:喜山茂雄
ガレットの父。自由がないモーブ専用区を飛び出して、世界を変えられるかもしれないという伝説の「3種のカード」を探していた。「人間・魔族とモーブの心を隔てている“ゲート”を開きたい」という理想を持っており、その夢は息子に受け継がれている。
しかし、ガレットがまだ幼い頃に何者かによって銃殺されてしまった。

  • ガレットの母
CV:小平有希
異界魔族型のモーブのようで、耳がとがっている。ガレットの幼少時、バニラの子供達と喧嘩をして怪我をした息子の治療をした。現在の所在は劇中で語られていない。


◆モーブ特別区


  • ルシアン・パークス (Lucian Parx)
CV:増元拓也
ヴァルト・パークスの父。西暦2976年生まれ。モーブ特別区でモーブ達をとりまとめるリーダーにしてモーブ最高のカードバトラー。統一政府に仕えているモーブであるザイファー・トライとは過去何度もバトルをしてきた。
西暦3026年、モーブのモーブ特別区からの解放をかけて、統一政府側代表バトラーであるザイファーとバトル。ザイファーの意表を突くため普段使わない「異魔神ブレイヴ」主体デッキを用意して臨むが、ザイファーは自分のデッキを完璧に対策しており惨敗を喫す。
敗北後、当然ルシアンはザイファーのあまりに不自然なデッキから、不正と第三者委員会による調査を主張するが、その姿は観客である人間や魔族達には「苦し紛れの言い訳」に映ってしまい、乱闘騒ぎへと発展。その最中、ルシアンは何者かに刺されてしまい、非業の死を遂げた。
ルシアンのデッキ内容の流出と死を手引きしたのは統一政府の一部議員によるものとガレットとヴァルトは後に調べ、不正によってバトルの結果を変えたこの出来事はヴァルトに「武力こそ絶対」という考えと統一政府の不正に対する怒りを植え付けることとなった。

  • ロベス・ティエイル
CV:子安武人
モーブの男。モーブ独立を目指して統一政府に対し蜂起したヴァルトに付き従う参謀役。モーブが視線と言葉による暴力にさらされてきたことから、統一政府に対する怒りは強い。
名前の由来はおそらくフランス革命で有名なマクシミリアン・ロベスピエール。行き過ぎた理想と性急な考えからギロチンによる処刑を多く行ってその恐怖政治は「テロリズム」の語源となり、最終的に自身が処刑されることとなった。

モーブの学園


  • アルス・グリンホルン
CV:緒乃冬華
モーブの学園で教師をしている人間の女性。歴史の授業を担当している様子。モーブを差別せず理解を示し、モーブとの協調のために自ら志願してモーブ特別区で働いている。
バトルスピリッツ ブレイヴ』『バトルスピリッツ サーガブレイヴ』で登場したユース・グリンホルンの子孫。統一政府でグリンホルン家は代々働いてきたこともあって統一政府に顔が利き、捕まったガレットとヴァルトを引き取りに来たり、元統一政府人間主幹であるブランドンもアルスには頭が上がらなかったりする。
統一政府の高潔な志を継いだ者達は政治闘争に敗れて追放され、ルシアンの死後、反モーブ勢力によるロビー活動が活発化したり、モーブや弱者を虐げる法案が通ったりする腐敗した統一政府の現状を憂いており、ヴァルトの武装蜂起計画を知っても「人間という立場から届けられる声があるはず」「この世界を変えたい」という思いからヴァルトの仲間になることを選択。

  • モルガン・バクスター
CV:阪口周平
モーブの眼鏡をかけた小太りの少年。ヴァルトの同級生。学園では「倶楽部・ロロ」を創設し、ガレット達と共に異界王が著した「異界見聞録」を研究していた。
声を担当した阪口周平氏は、ネットラジオ「バトスピ大好き声優の生放送!」2020年10月やYouTube「バトスピNight 赫盟のガレット 最終回SP」にて「オーディションで「モルガンはバトル解説や異界見聞録の説明をする」ということで滅茶苦茶早口を言わされる場面があったが本編では無かった」と述べた。前述のように脚本を初期原稿から時間内に収まる半分近くに減らす過程で削られたようで、「生放送!」2021年10月にて監督とシリーズ構成から「我々忘れておりました。『ミラージュ』で早口台詞を入れます」と言われたと明かしている。

  • スノウ・マクレイン
CV:長縄まりあ
モーブの少女。ヴァルトのことを強く信頼している。『革命のガレット』OPで描かれたように、モーブ特別区に幼い頃連れてこられた孤児。その苦労した経歴もあってか、無口ながらわりと毒舌で、ヴァルトの武装蜂起計画に対しても真っ先に賛同した。

2年後にはヴァルトの側近となっており、口数がかなり増えた。しかし、突如襲撃されたヴァルトを庇い輸血が必要なほどの重症を追ってしまう。血が合わず輸血できないまま刻一刻と時が過ぎていくも、ある意外な人物が同じ血液型であったため輸血に成功し一命を取り留めた。


◆統一政府関係者


  • MC健大
CV:田中健大
「モーブ特別区からのモーブの解放」をかけたルシアンとザイファーのバトルでの司会を務めた。

  • リイン・ジーヴル
CV:本多陽子
人間の女性。世界経済の中心とも言うべきコアシステム業界の権威であるジーヴル家の一人娘であり、亡き父から全ての権力を禅譲された。それゆえに統一政府に対して強い影響力を有し、モーブ達からは「一番の権力者」と評されている。

  • ブランドン
CV:新井良平
人間のみが入ることを許可される専用区を治めている男。「俺レベルになると…」が口癖の尊大な自信家。現在は住民達に対してコンサートを開くといった興行をしている。「魔族もモーブも人間が起源」ということで人間至上主義を掲げ、魔族やモーブを露骨に見下している。元統一政府人類主幹。監督が自身のTwitterで掲載した4コマ漫画によれば、人間達の支持を取り付けて人類主幹となったが、人間優遇政策を掲げて他の層からの支持を失い、結果として「統一政府史上もっとも短命な人類主幹」となってしまった過去を持つ。統一政府に仕えた一族として関係が深いアルス・グリンホルンには頭が上がらず、彼女を「お嬢さん」と呼ぶ。
伝説のカードを求めて人間専用区に侵入してきたガレットを捕縛し対面するが、ガレットがコアの光主の力で保管していた「シーズグローリー」を呼び出す。「シーズグローリー」をかけてガレットとバトルを行い、人と魔族とモーブが手を取り合う未来を信じるガレットに敗北。バトル後、自分に手を差し伸べるガレットを見て敗北を認め、人間至上主義を改めその手を取った。ガレット達と親睦を深め、自身がもつ大量の歴史書をガレットに貸し出している。
黄色主体のマジックデッキの使い手であり、キースピリットは「大天使イスフィールX」。青や緑といった他色マジックも採用しており、自信に違わずモーブであるガレットを追い詰める実力者。
YouTube「バトスピNight ~2020秋の陣~」では監督が、直系かは決めていないが『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』クラッキー・レイの子孫と述べている。

レオニード一派

  • グレアム・レオニード
CV:白熊寛嗣
統一政府議員。壮年である人間の男。モーブを支えるモーブ支援委員会会長も務め、人道的議員として次期統一政府主幹の呼び声も高い。
しかし、実際はモーブ支援者という立場を隠れ蓑にして、脱税といった汚職をしたりモーブに不利な法案が通るようにしていたりする悪徳政治家。ついにはモーブ解放をかけたバトルに際して、モーブ代表であるルシアンのデッキ内容を事前に対戦相手のザイファーに教えることをしていた。
一方で、ガレットに対してモーブが憎まれる理由は「モーブの頭脳は未知数であり、人は分からないことに恐怖を抱く」と語ったり、武装蜂起したヴァルトによって自分の不正がリークされた際、その情報を精査せず怒りのままに自分の屋敷に押しかける人々を見て「あれが本物か偽物かは彼らにはどうでもよく、混乱の原因を誰かのせいにしたいだけ」と言ったりする一面も。
レオニードの不正の事実を知ったヴァルトに一度殺されかけ、表向きは健康を理由として政界を引退。しかしその影響力を保持し続けている。

  • ザイファー・トライ
CV:山根雅史
魔族の姿をしたモーブ。専属カードバトラーとして統一政府に仕えており、「モーブの出世頭」と言われている男。モーブとまともにバトルを出来るのはモーブだけと言うこともあり、過去何度もルシアンとバトルをしてきた。
モーブ解放をかけたルシアンとのバトルでは、意表を突いてきたルシアンの「異魔神ブレイヴ」デッキに対し、完璧に対策したブレイヴキラーデッキで完勝。
当人はカードバトラーとして勝利を重ねれば妻子に最上級の暮らしを約束されると言われてきたが、実際には豊かでこそあれ妻子を人質に取られているような状況であり、ザイファー本人の意志と関係なく、事前にルシアンのデッキ情報を渡されて勝利を強制されていた。
ルシアンの死から1年後、武力によるモーブ解放を決意したヴァルトによって呼び出されてバトルし敗北。ヴァルトの仲間によってザイファーの妻子をレオニードの監視下から確保され、ザイファーの不自由な身の上を知っていたヴァルトに仲間にならないかと勧誘される。
モーブとしての誇りを思い出したザイファーは一度レオニードの屋敷に戻り、あるカードをヴァルトの元に転送したが、レオニードのボディガードであるガブラによって粛清された。

  • ガブラ・ダウ
CV:間宮康弘
鬼のような姿をした魔族。レオニードの用心棒。モーブに対する差別意識は強い。カードバトラーでもあるが、モーブとのバトルではその頭脳の差を埋めるため頭にバトルシミュレータというサポートメカを用いる。
モーブ達の武装蜂起の際、ヴァルトによってレオニードによる汚職やモーブに対する不正が告発され、怒ってレオニードの屋敷に押しかける人々の応対をレオニードに押しつけられて彼らの暴行を受ける羽目になった。
緑の系統「樹魔」デッキの使い手。「ガブノハシ(リバイバル)」の効果を十二分に活用する。

◆とある島


CV:浪川大輔
統一政府初代魔族主幹を務めた男。現在は政界からは距離を置き、モーブも人間も魔族も等しく受け入れている島の主をしている。「異界見聞録」も熟読している。
伝説のカード“魔族のカード”を求めて島を訪れたガレット達と対面。ガレットが手に入れた3種のカードを解析している間、ガレットとバトルを行う。「月光龍ストライク・ジークヴルム*3」を使用しており、本人曰く「色々試したが、おれには白の系統『武装』が合う」と述べている。ガレットの「皆それぞれ自分の“色”があるのでしょうか」という問いかけに対し「自分自身の色を変えることは出来ないが、コアの光主なら血の色を変えられずとも未来を変えることは出来る」と語り励ました。
異界見聞録の記述によって起動した3種のカードが示した場所である南極へ向かったガレット達を見送り、ある男を思い起こしていた。

服装のイメージは作画スタッフである石川てつやによれば花魁。脚本段階では初老の姿だったが、石川てつやの要望により姿は余り変わらず肌や髪の色が少し薄くなる程度に留まった他、バイザーが付け加えられた。

  • 執事
CV:神谷伶美
バローネの執事を務めている女性。

◆過去の異界グラン・ロロ

『ミラージュ』に登場。異界王がグラン・ロロを侵略している時代。

CV:小山力也
太古のグラン・ロロに渡り文明を授けた後、祖国に帰還しグラン・ロロについて報告するも世迷い言と切り捨てられ、啓蒙のために「異界見聞録」を著したが焚書にされてやがて人間に失望。人間に見切りにつけて異界グラン・ロロに帰還しグラン・ロロの支配者となるべく侵略している。ヴィザルガは「この時代の異界王は怒りが全て」と評している。
武力を持って白の王を打倒したことに対し、初めて会うコアの光主ガレット・レヴォに非難されるが、その言葉を受け止めつつも「支配するには武力と知恵をいかに使い分けるかが肝要」「未完成の理想ほど聞くに値しないものはない」と一蹴し、ガレットのコアの光主としての赤のシンボルを砕いた。
後の異界王はこの出来事を意識したかは不明だが、グラン・ロロの支配者となってからはバトルスピリッツの手法を重んじ、最期はバトルスピリッツに敗れて正々堂々散ることとなった。

  • 白の王
CV:櫻井孝宏
白の大陸を治め、白銀城の城主だった男。一人称は「余」。領民から慕われる高潔な人物。
異界王の侵略と攻撃の激しさが増し土地や水を巡る民衆の争いも増える中、争いを解決し秩序を保つ手段として武力を用いない手段を模索しており、「民と王がお互い語り合い、強い意志を育むことがグラン・ロロに満ちていく」ことを理想としていた。
王の理想に賛同した緑の姫君と結婚することで、それを平和の象徴として民に安心をもたらすことを考えていた。しかし、婚礼の日に異界王が襲撃し緑の姫君共々死亡した。後に白の王の魂は、「いかなる理想も武力の前には無力だった」と自嘲している。
異界王に赤のシンボルを砕かれ、新たに白のシンボルを引き継いだガレットの前に魂として現れて精神世界でバトル。
白の王の魂はバトル中に、白の光主として世界に目を向けながら志半ばに命を散らした「百瀬勇貴」、魔族と人間の戦争を見届けた「ゾルダー・グレイヴ」と、自分の先の転生の姿を見せる。彼らはガレットに己の教訓を語り、それでも人の心を導き変えていく覚悟を示したガレットを、白の王は新たな白のコアの光主の継承者として認め「人類の変革」を託した。

  • 緑の姫君
白の王の理想に賛同し、白の王の下に嫁ぐことを選んだ。しかし結婚式の日、異界王の侵略を受けて死亡することとなる。



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ましてやこれほどまで詳細な記事が書かれるなどありえない!
直ちに第三者委員会を組織し記事の推敲をお願いしたい。
然る後にこの記事の追記・修正を要求する!

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最終更新:2025年04月17日 19:10
添付ファイル

*1 『赫盟のガレット』5話では、人間とモーブ達の未来を書いたとおぼしき不吉な予言のために焚書に処されたと語られている。

*2 「転醒チェックリストカード」というものをデッキに入れ、転醒カードをフィールドに出す場合は転醒カードと転醒チェックリストカードを置き換えるという手段もある。

*3 現役を退いているためか、月光龍、ペンドラゴン共にリメイク版ではなく星座編当時のものを使用している