太平風土記

登録日:2020/08/18 Tue 11:34:26
更新日:2025/06/06 Fri 19:24:55
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太平風土記とは、ウルトラシリーズに登場する古文書。
『日本太平風土記』とも。


概要

ニュージェネレーションヒーローズの作品でよく出てくる大昔に書かれた歴史書で、主に地球各地の様々なウルトラ戦士や怪獣関連の伝説・伝承が記載されている。
世間からの知名度は少ないものの、原本は一般的に町の郷土資料館に保管されており、インターネットからも本書の一部を画像として閲覧できる。

当初は昭和ウルトラシリーズによく出てくる大昔に姿を現した怪獣について説明する歴史書程度に扱われていたが、後の平行世界で独立している作品にもたびたび登場しており、
凶悪な脅威への対抗策やウルトラ戦士のパワーアップアイテムについて書き記した重要かつ謎めいたアイテムのような存在になってきた。
後の作品では宇宙にも出回っていることが明らかになり、宇宙人の言葉で翻訳された文献も存在している。

登場した作品は、2020年10月時点では『ウルトラマンX』以降のすべてのシリーズだが、確認されているのは『ウルトラマンオーブ』『ウルトラマンジード』『ウルトラマンタイガ』『ウルトラマンZ』。
ただし『タイガ』では本当に小道具としての登場で、しかも持っていたのは敵方。
スタッフのXによれば『ウルトラマンR/B』にも登場自体はしているらしいが、ピックアップはされておらず、「多分まだ見つけた人はいない」とのこと。
『R/B』にはグルジオ伝説が絵本という形で残されているので、そちらに気を取られがちなのも見つかっていない一因か。

特に『オーブ』では魔王獣に関する情報源という重要な立ち位置となっており、終盤では「過去に起きた事件についてではなく未来に起こる出来事について書き記した予言書ではないのか?」と推測されている。『ジード』でも明らかにジード・グクルシーサーとギルバリスとの戦いが描かれていることから、他の宇宙に於いても予言書の類と推測できる。
ちなみにオーブ7話に登場した少女・霧島ハルカは予知夢を見る能力を持っているが、彼女と太平風土記の作者に何らかの関係があるのかは不明。
また、複数の世界を跨いで同名の書物が存在してはいるがその内容自体は各世界ごとに差異があり、
ファンの間では並行世界の同一人物が記した物が各世界に同じ名前で存在するのではと推測されている。

しかし、誰が何のために『太平風土記』を作成し、何故多くのマルチバースの世界に存在しているのかは判明されておらず、未だに謎が多い古文書である。


書き記されたもの

ウルトラマンX

天目亜牙

天が妖光を纏いし刻
地を燃やす荒ぶる神 天目亜牙目覚めん 太平の世を焔と共に滅ぼさん
天空より出でし光の巨人 此れを封印す

『X』第1話に登場した熔鉄怪獣デマーガについて記載されており、鉄の魔獣として全体像の絵が載っている。
ちなみにXの世界の太平風土記は8世紀に書かれている。
また、デマーガを封印したとされる光の巨人がエックス本人なのか、それとも同族なのかは不明であり、公式サイトでは「虹の巨人」とされている。
これが『オーブ』同様の予言書とするなら「過去に光の巨人がデマーガを封印した」ではなく「将来光の巨人=エックスがデマーガをスパークドールズとして封印する」という趣旨の内容であり、虹の巨人についてもエクシードXとツルギデマーガとの戦いを示していると考えられる。
なお、アスナからは「役に立たない情報」だと一蹴された。


ウルトラマンオーブ

禍翼

巨大な怪鳥禍翼来たりて嵐呼び 地上の全てを滅ぼさん

風ノ魔王獣マガバッサーについて書き記されており、嵐を引き起こして昔の小屋や人々を吹き飛ばすマガバッサーの姿が描かれている。

禍土王

角持ちし赤き巨人が 土を禍々しく乱せし巨大な魔物を
龍脈を以て 地の底に封印せしり

土ノ魔王獣マガグランドキングについて書き記されており、金色の龍と周りにある寺に囲まれながら、赤い炎を纏った角を持つ巨人がマガグランドキングを叩きのめしている様子が描かれている。
赤き巨人はおそらくウルトラマンタロウのことであり*1、龍は龍脈を意味し、寺は『オーブ』本編にてマガグランドキングが沈めていた龍脈の要となっている場所を指していると思われる。

禍邪波

むくつけなる巨大な魔物禍邪波が現れ 水を禍々しく乱す
海の悪しき臭いを数多合わせたるようにて 井戸からも悪しき臭い漂う

水ノ魔王獣マガジャッパについて書き記されており、マガジャッパが海から現れ人を襲っている風景が絵になっている。
また、タツノオトシゴに似た姿をしているマガジャッパは太平風土記では巨大なタコのように描かれている。

禍破呑

空に二つの日輪昇りし刻 地上の者皆焼き尽くされ
偽りの日輪 此れ災いの炎 禍破呑の仕業なり

火ノ魔王獣マガパンドンについて描かれており、江戸の町を焼き尽くす二つの太陽と炎で象られたマガパンドンの姿が挿絵で載っている。

紅蓮騎

怨霊鬼 戀鬼(紅蓮騎)についての記述。
戦国の世、悲恋の末に死を遂げ、怨霊と化した後に守り神に転じた武士「紅蓮騎」の伝承が物語調で記されている。
『オーブ』では珍しく魔王獣と全く関わりの無い存在に関する記述でもある他、筆跡や文体、使われている言葉などから、
一部ファンからは太平風土記が複数人による合作である可能性や、一部は後から付け加えられた原本には無い記述である可能性が指摘されている。

カマイタドン

その魔物カマイタドン 禍々しき風にて 有りとし有るものを切り裂きにけり

邪悪な顔つきをした犬に似た外見で、「禍々しき風」であらゆるものを切り裂いてしまうとされているその名の通りかまいたちのような怪獣。
太平風土記に出てきた怪獣の中では唯一登場していないが、該当する人物が登場し、彼の犯行がカマイタドンの仕業ではないか?と疑われる形で言及された。予言書とする仮説が正しいのならば…?
元ネタは渋川一徹役の柳沢慎吾氏の持ちネタである「そこのカマイタチ!いやお前たち!」というセリフ。

禍岐大蛇

天の雷に似たる矢 悪しき気を持ちて 大蛇蘇らせたり

超大魔王獣マガタノオロチについて書き記されており、最終話でオーブ最強の必殺技・オーブスプリームカリバーを食らい爆散する寸前に見せた8つの首の姿に似ている紫の八岐大蛇の挿絵が載せられている。
また、もう一つの挿絵があり、そこには鎧を着た光の巨人胸に三日月をつけた赤い魔人がマガタノオロチに立ち向かっている姿が描かれている。

ウルトラマンジード

赤き鋼

鉄の悪魔を打ち負かす赤き鋼
その力は人の手には負えず 大地の守護神が封印した

惑星クシアで生み出された無敵のアイテム・ギガファイナライザーの別称。
挿絵には赤い棍棒を持った武神が鉄釜の甲羅を持つ亀の化物を抑え込んでいる姿が描かれている。
武神はウルティメイトファイナルに変身したウルトラマンジード、大亀はラストジャッジメンター ギルバリス完全態に当てはまるものと思われる。
また、大地の守護神としてグクルシーサーが挿絵で登場しており、ギルバリス討伐後には以前にはなかったグクルシーザーに寄り添う巫女のような女性が居る。

ウルトラマンタイガ

ヴィラン・ギルドの所有する宇宙語版が第23話にちらっと登場。ここでは怪獣図鑑のようなものらしく、なんとウルトラマンベリアルについても記述されている。
ただし、これが『太平風土記』であるとは明言されていない。
後の『Z』においてピット星人の姉妹が「神秘の力」冒頭で所持しているゴルザ・メルバ・超コッヴの描かれた古文書は恐らく同じもので、ギルドの壊滅に伴い流出した様子。

ウルトラマンZ

獅子ヶ丘伝説

金烏の陰りし時 午の刻 荒ぶる滅幌主(ホロボロス)目覚めるなり
(金烏=太陽)

ホロボロスに関しての記述。獅子ヶ丘町に伝わる伝承でもあり、『Z』の宇宙のホロボロスは滅幌主という名の荒神とされている。
鎮めるための方法と、それに関する古代の楽譜が書かれている。ユカ隊員が解読し、解決に向かうと思われたが……

ちなみにこの回の監督は太平風土記のイラスト担当の越知靖監督である。

ウルトラマンブレーザー

深海怪獣ゲードスに関する記述が記された古文書が登場するが、これが『太平風土記』と明言はされていない。
こちらには「江戸時代中期にゲードスが出現した記録がある」と記載されている。
また、似たようなフォーマットでドルゴについて記載された古文書が科学博物館の資料からの引用という形で登場している。

ウルトラマンアーク

劇中で明言はされてはいないが、『太平風土記』にも似た「森の物の怪伝説」の古文書が登場。
里汚土……古代怪獣リオドに関する情報が記されており、「八十八種の薬草を混ぜ合わせて作った丸薬をリオドに飲ませ、弱ったところを封印した」という記録が残されている。


余談

  • 太平風土記のイラストを担当しているのは、主に助監督を務めている越知靖氏であり、『Z』の第5話「ファースト・ジャグリング」に出てきたアラスカの部族に伝わる伝承の絵も担当している。

  • ちなみに太平風土記は脚本家の小林雄次氏が自作でよく使っている名称でもあり、ウルトラシリーズ以外にも中野貴雄氏が参加した日本バカ映画の巨匠河崎実監督の作品『大怪獣モノ』にも登場している。


天の雷に似たる追記・修正 悪しき荒らしコメを持ちて 冥殿蘇らせたり


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最終更新:2025年06月06日 19:24

*1 クレナイ ガイも「封印していたのはやはりウルトラマンタロウさんでしたか」という発言をしているため、ウルトラマンに詳しい者なら簡単に予想がつく模様。