退場(創作)

登録日:2021/08/18 Wed 21:22:00
更新日:2025/05/03 Sat 12:05:51
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退場 とは以下を指す言葉。

1.競技場や舞台などから退いていくこと。類語: 退席 退出  対義語: 入場
2.スポーツ等で反則を犯したり怪我をするなどして、競技から離脱させられること。退場処分の略。類語: レッドカード
3.創作作品全般において、キャラクターが作中に登場しなくなってしまうこと。

当項目では3について説明する。


◆概要


漫画、アニメ、ゲーム、ドラマ、映画、小説など、創作作品は様々な登場人物たちによって彩られている。
それら登場人物が何らかの理由で作中からいなくなってしまうのは珍しいことではなく、非常に多種多様な登場人物の 退場 が、創作の世界には存在している。
当項目では、それら登場人物の 退場 の様子についてを紹介していく。


「退場したキャラクター」の該当は創作界隈内では多数存在しているため
具体的なキャラクターの紹介を伴う追記を行う場合は、必ずコメント欄での相談を通じてください。
コメント欄での相談なしで上述に該当する追記が行われた場合、項目の肥大化が懸念される際には、該当の追記が削除される可能性があります。


◆どのようにして退場するか


偏に退場するといっても、その流れは千差万別。
創作作品における 退場 の代表的な流れを以下に記載していく。


【作中で退場の流れが明確に描写される】

物語の流れを踏まえた上で、それまで登場していた人物が本筋から離脱する描写を描かれることで、以降は作中に姿を現さなくなる。一般的には最もよくあるパターン。
これらの場合は物語の進行上できちんと筋道が立ったうえでの退場のため、キャラクターとしてきちんと役目を果たし切った上での退場と言える。
もちろん、後々の物語で再登場したり、「過去には存在していた」として回想に出てきたりしても不自然なことはない。

別れ

何らかの理由で主人公達から離れ、物語の視点上から退くパターン。

いちばんシンプルなのは作中で死亡した場合
バトルものや戦争ものでは戦死する、推理ものでは殺人事件の標的にされるといった形で死んで離脱するパターンがよく見られる。

死亡させるのが作風に合わない場合、引越し・転校・栄転・別任務・療養等々、何らかの理由をつけて主人公パーティから離脱させたり、別の場所に移らせたりする。

物語の舞台の変更

物語の舞台そのものが別の場所に移ったために、元の舞台にいるキャラクターは登場しなくなるパターン。

【徐々に出番が減る】

いわゆるフェードアウト。影が薄くなり、次第に口数が減り、姿を見せることがなくなり……いなくなった理由はなくとも、いつの間にか描写されなくなる。
読者のほとんどがこれに気づかないとなると、当人からすれば悲しい話である。
「もとよりたまに作中に顔を出す程度だったのが最近めっきり出てこない」という意味での出番が減る、は、退場というより 登場してこない といったほうが適切かもしれないが。


【理由もなく忽然といなくなる】

それまでは目立って登場していたのに、いきなり説明もなくいなくなるというケース。
物語の区切り目を境に姿が見えなくなるなど、場の空気的に違和感がないこともあるが、本当に理由も説明もない場合、読者・視聴者に「あれ?」と思わせたり、「あのキャラはどこにいったのだ」と問い合わせが殺到してしまう。そのためこれはあまり見られないパターンである。まあ主人公の友達の解説ポジションキャラや、はてはヒロインまで突如消し去る漫画もあるんやけどなブヘヘ

◆退場する理由


キャラクターが登場しなくなるのには、大抵何らかのメタ的な理由が伴っている。
理由が明確にされないこともあるが、後にその理由を作者や関係者から明言されたり、いなくなった理由を読者・視聴者が推測できる場合がある。

【最初から退場するタイミングが決まっていた】

作者から明言されているかどうかに関わらず、そもそも退場のタイミングがストーリーボード上であらかじめ決まっており、それを満了したために予定通り作品からいなくなる場合。

退場することまで含めてキャラクター

劇的な別れをする仲間、ついに倒された悪役などなど、そのキャラクターの退場が物語において役割を果たす。

退場するのが自然な流れ

例えば学園などが舞台で物語上で進級が発生したのならば、最上級生が卒業しお別れするなどは自然。むしろそうしないほうがおかしい、といった理由での退場。
たまにOBが我が物顔で居座り続ける部活モノもあったりするが)

期間限定のゲストキャラクター

レギュラーキャラクターではなく、いわゆるゲストキャラクター。ゲストなのだからいつまでも居座るわけではなく、出番が終われば当然、退場する。
長期連載のゲームのコミカライズなどでは定石のパターンと言える。
例えば、コロコロコミックで連載しているスーパーマリオくんは現在進行形でマリオシリーズの作品を追っているので、一つのゲームタイトルを舞台とした物語が終了すれば、物語は次のゲームタイトルへと移っていく。そのため、ゲームタイトル固有のキャラクターは次の物語へとバトンを渡し退場していくのである。
他にはアニメオリジナルエピソードのために組み込まれたオリジナルキャラクターならば、そのエピソードが終結し原作の話に戻るとなれば出し続けることはできず、完全に退場させるという流れも非常に多い。
これらの場合は、後にゲストとしてチョイ役登場したり、後に別のゲームタイトルで復帰したので漫画でも復帰したり、時には原作側に逆輸入されたり…と柔軟な再登場を果たすこともある。


【現在の進行と噛み合わなくなった】

長期連載などで発生しやすいケース。
物語が長くなると作中の状況や空気は変化していくものであり、そうすれば当然、それについていけなくなっていく既存キャラクターも出てくる。
そうすると、物語の進行を優先させるために、それにあわなくなったキャラクターは姿を消してしまう。
最初は西遊記モチーフだったのがいつのまにか国民的バトル漫画になったので元のキャラも設定もどっかいったなどという現象はあまりにも有名な話である。

インフレ

バトルやスポーツなどを題材とした作品の場合、途中まではレギュラーキャラクターだったのがインフレについていけなくなって出番を失うケースは非常に多い。

能力の調整

逆に、そのキャラクターの能力や存在が「強すぎて」ストーリーの根幹に影響を及ぼしかねないケース。
例えば該当キャラに真面目にフル活動されたり特殊能力を使われたりするとその後のストーリーがあっという間に解決してしまうような場合など、何らかの理由をつけて退場させる事が多い。
理由が理由なので、ストーリーの変化なり周囲が追いつくなりして(メタ的原因が)解消されない限りは、その後も物語の本筋にはまず関わらない。むしろ関わらせてはいけない。
このケースだと、後に「(この場に○○がいてくれれば)」とメインキャラクターの脳内に姿がよぎる事もある。結局いないものは仕方ないと割り切って話を進ませるのだが。

製作者側の判断

物語の進行において存在が不要、あるいは障害になると作者や編集者に判断されて退場させられる場合もある。

路線変更

上記の西遊記モチーフの例と被るが、ストーリーの路線変更をした際に新しい路線にあわないキャラは退場するケースが多い。
大抵は色んな意味で別人化するが、中には存在ごと変更されるなんとも言えないパターンもある。
中には下ネタ中心の作風だったのがほのぼの路線になったのでいなくなったソープ嬢も。


【存在する必要がなくなった】

上述の「現在の進行と噛み合わなくなった」を内包する、身も蓋もない理由。
平たく言えば、ストーリー上にそのキャラクターを作中に置いておく意味がなくなってしまったケースである。
酷いといえば酷い話だが、やはり物語全体がグダグダになるよりは、キャラクターの整理が優先されるというのは致し方ない事である。

代替する新しい登場人物が現れた

このケースでいちばん分かりやすい具体的な例は、より個性的な登場人物が出てきたことで、既存のキャラクターが没個性となり出番を減らされるケース。
新しいキャラクターの個性に負けて影が薄くなり、相対的に出番が減ったり、新顔の出番を増やして引き立てるために、古参は席を譲ってひっそりと退場していく。老兵はただ去り行くのみ。
これとは逆に、新登場したキャラが既存のキャラほど強い個性を発揮できず、出番を失ってしまうなんてこともある。中にはよりによって主人公とキャラが被っていたために、大した活躍もなく退場というケースも……。

読者・プレイヤーからの不評

特に漫画やゲームなどミーハーな層を重視しなければならない媒体の場合、ユーザーの人気というのは非常に重要。
ユーザーから不人気、あるいは飽きられたなどの理由で、まだ出番があるはずだった登場人物が退場させられるという場合もままある。

作者がキャラクターに飽きた

素人創作やネット小説に多い。
幼馴染や世話焼きなどの属性の女の子が、作者が執筆中にツンデレや無口キャラなど他の属性にハマってしまったばかりに出番がパタリと止んでしまうというもの。
作者のモチベーションこそ大事なのでしかたない、作品を書くことを飽きてしまうよりは遥かにマシである。

【大人の事情】

本来は退場する予定など全くなかったのに、キャラクターの演者やモデルとなった有名人が問題を起こしたり、PTAから苦情が来たなど外部の理由で物語から強制退場させられるケース。演者の逝去など悲しい理由で惜しまれつつも登場しなくなるというケースも。
大人の事情により、次回作でキャラクターごと差し替えられ、既存キャラクターの退場と入れ替わる形でオリジナルキャラクターが登場するというケースもある。


【出番がないというキャラ付け】

奇妙な話だが「出番が与えられないというキャラ付け」「全く言及されないが存在はしているというキャラ付け」をされている場合もある。なんだか不憫に思えてならない。
また、出番がないというイジりをファンがしているので、作者がそれにあわせてあえて出さない、などということもある。
特にギャグマンガなどでは、本編には全く出てこないのに、漫画の巻末など作品と関係のないメタ的な場所でやたら顔を出してくるという「お前退場してるんじゃないのか」状態のキャラクターなども存在している。


【特に理由はない】

ここまで散々考え得る理由を述べてきたが、ぶっちゃけて特別な理由がなくとも、いつの間にか出てここなくなったというケースもある。
もともと影が薄すぎて本当に出番をなくしているだけだったり、喋るタイミングがずっとないせいでいつまでも出て来なかったり、本当に「近頃は顔を出さなくなっただけ」など。
酷い場合は作者に忘れられていることも。(手塚治虫さえもやったことがある*1ので、あまり目くじらを立てないであげよう)


【猿空間送りにされた】

タフシリーズではよくあることです。


◆退場した後の扱い


キャラクターが退場したとて、そのキャラクターが作中にいたという事実がなくなるわけではない。
では、その後の物語の進行と、退場したキャラクターはどうなるのだろうか?

【存在していたことは確認できるが出てこない】

死亡した、今は別の場所にいるなど、いなくなった理由が明確に示されている場合は、過去にいたという事実を作中の登場人物たちが認識し、話題に挙げたりする。
そういう意味では、姿かたちはなくともまだ舞台上には存在しているといっても間違いではない。


【全く触れられない】

単に物語の進行が忙しくて過去にかまっている暇がない、あるいは物語の本筋に関係がないので誰も話題に挙げない、という場合もあるが、
特に大人の事情で強制退場してしまったキャラクターの場合、アンタッチャブルな要素として存在自体がなかったことにされるような不当な扱いを受けてしまう場合もある。


【細々と姿が見える】

レギュラーではなくなったものの、存在は確認できる、あるいはモブの中にちゃっかり紛れているなど。
退場したキャラクターのファンは、そういったものを見つけるだけで大歓喜ものである。また、それが後の再登場のフラグであったりすることも。


【ゲスト扱いで再登場する】

生存が確認できる状態で退場した場合、そのキャラクターは姿が見えずともちゃんとその世界には存在しているため、懐かしいキャラクターとして作中に顔を出してくる場合も珍しくない。
最終話あたりでキャラのその後が紹介されるときなどは典型例。


【レギュラーに返り咲く】

明確な理由がついていなくなった後に、また明確な理由がついて再登場し復帰するケース。「俺は帰って来たぜ」的なノリで戻って来る場合もある。
大人の都合などでいなくなったが、ファンの後押しが十分で再登場を果たす場合もある。
場合によっては、その「退場していた期間がある」という事実も踏まえてそのことをイジられたりすることもあるし、第四の壁を理解したメタ発言が許される作品の場合「一度は消えたが読者のおかげで帰って来た」ということをキャラクターが自ら豪語するなどということも。



◆余談

ファン

読者・視聴者が登場人物の退場に納得するかしないかもまた場合によって様々である。
特に、退場した登場人物に根強いファンが残っていたりすることもあり、作中からいなくなったといっても多くの人がその存在を忘れがたいということは全く珍しいことではない。
それらのキャラクターについては二次創作で盛り上がったりすることもあるし、ファンの要望に応えて公式でスピンオフが描かれたり、本編の再登場の後押しとなることも。作品を動かしているのは作者一人だけではないのだ。
他方、キッチリと退場理由が描かれた人物について、後述のようなトリックを抜きにしたご都合で再登場させることについてはファンから賛否両論が起きやすい。

叙述トリックでの「退場」

かなりレアケースだが、読者や視聴者の裏をかくためにあえてキャラクターを消すという叙述トリックを用いる作者も存在する。
「あえて退場させておいて、裏では綿々と再登場の伏線をはっておき、皆が忘れた頃にドでかい出番を背負わせ登場させる」というケースや、
一見忘れ去られてフェードアウトしたと見せかけて「知らない間にキャラクターが減っているというホラーチックな仕込みだった」「実は物語がいつの間にかそのキャラクターの視点にすり替わっている」など斜め上な描写をするために退場を演出として利用する場合もある。




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最終更新:2025年05月03日 12:05

*1 『火の鳥 太陽編』で、炎隆寺七人衆という敵役がいるのだが、その中の一人の日壇だけ倒されていないのに途中から出て来なくなった