☆成功した例
おそらく大胆な路線変更を行った作品の最古参である。
今では野球漫画の金字塔として知られている本作、当初は
柔道を題材に扱っていた。
作者の水島御大は最初から野球漫画を描きたかったのだが、当時、
ライバル誌「
週刊少年サンデー」で別の野球マンガ「男どアホウ甲子園」を既に連載していたために仕方なく柔道マンガとしてスタート。
程なくして「男どアホウ甲子園」が終わると、野球へと題材を変更。
無事、路線変更は成功。気が付いてみれば続編含めて数十年続く大人気漫画となった。
週刊少年サンデーに連載された中年親父主役のギャグ漫画。
前半(アケボノコミックス版)では作者が所属していた「フジオ・プロ」とそこのトップ赤塚不二夫らの協力により
「
バカボンのパパと真逆の、
ポンコツで鬼嫁にフルボッコされる威厳のない父親」の悲惨生活が描かれた。
しかし作者が「フジオ・プロ」を離れしばらくたった連載中盤では会社倒産等がありつつも表現が緩和されだし、主人公の駄目っぷりが「ギャンブル中毒・左遷・精神崩壊」と
リアルにきつい方に行った後、普通の(?)恐妻家レベルまで生活が安定。
そして電子書籍版で「マイ・ウェイ編」と命名された後半(少年サンデーコミックス版4巻以降)では主人公が社長令嬢と知り合ったことで一気に出世し、
結果
マイペースで包容力のある男性の休暇と仕事を描いたコメディ&大人のDIY趣味漫画へと変化。鬼嫁はいい嫁になるも単身赴任や旅続きで家族の出番が激減してしまった。
また「マイ・ウェイ編」後半では主人公が旅に出たことで再度物語のスタイルが変化。
終盤では「しゃべる動物」や「次男が
忍者に弟子入り」等普通のギャグ話も描かれており、その中で主人公が悲惨時代に
タイムスリップして過去の自分を振り返っていた。
ちなみに主人公は前述したように後半では頼れる親父になるのだが、名前が「
ダメ助」なせいか社長令嬢等からも「ダメおやじ」と呼ばれていた。
なお、1974年に
ナックにより
テレビアニメ化されているが、その時は原作が路線変更前だったため、悲惨なまま終了している。
(ちなみに放送時期はあの
チャージマン研!と同時期。)
作者によると、路線変更の理由は奥さんから
「まだダメおやじを描いていたの?」と言われたので「十年変えなかった設定を変えてみようと思った」との事らしい。
序盤こそ、貧乏な家庭環境やいじめっ子に負けずに青春を送っていく高嶺姉弟の人情ものとして始まり、
ライバルである
剣崎との出会いから次第に科学的なトレーニングを行っていくシリアスなストーリーとして進んで行った。
しかしながら試合がインフレするにつれて、だんだん敵を場外どころかドームの外まで吹っ飛ばさなければ試合が終わらないような超人ボクシング漫画になり、
遂には100対1の野試合やら手に
ダイヤモンドを埋め込んだヤツやらが出てくる完全なバトル漫画にシフトした。
そういったシナリオの中で
伏線を拾っていく中、いつの間にやらレフェリーすら登場しない
SF決闘が展開されていくこととなり、後の車田漫画の源流となった。
この路線変更について、同時期に連載を持っていた
小林よしのりは「
ヤツ(車田)は突然何かを悟りやがった」と評している。
ちなみに後述の『キン肉マン』においても、主人公の高嶺竜児が2コマだけ登場するシーンがある。(※この時キン肉マンも日米対決をテーマにしたエピソードだった)
始めは怪獣と闘うために
ニンニクを食べて
巨大化するダメ超人・キン肉マンを主人公にしたギャグ漫画だったが、
作者がプロレスファンだったことから、いつしかプロレステイストのバトル漫画へシフトチェンジし、弱かったキン肉マンもどんどん強くなり途中から全く巨大化しなくなった…というかこの時期の技が顧みられることはほとんどなくなった。
矛盾やトンデモ理論が多いことで有名だが、それも魅力の一つとなり続編が現在も連載中。今や日本を代表する超大作の一つとなった。
そして話のスケールと比例するようにゆで理論のスケールも大きくなった。ウルルとグロロとか
ジャンプではすっかりおなじみのバトル化路線への変更を行った最古参の作品のひとつ。
後年、あらゆるジャンプ作品がバトル化に突っ走ったきっかけとも言える。
ヒットしたとはいえ本来のギャグ路線を変えたのが心残りだったらしく、アニメ化が決定した際は
作者の要望でアニメは第一回超人オリンピック編以降もギャグが増える形となった。
キン骨マン&イワオやナチグロンのような最初期のメンバーを「キン肉マンの応援団」と扱うことがあるのも、この理由からアニメでは王位争奪編まで普通に出番があったため。
『Ⅱ世』のキン骨マンⅡ世たるボーン・コールドはどういうことになるの?と言ってはいけない。元々あれ『スグル期アニメ』の設定をスルーしてる部分めっちゃ多いし。
ちなみに矛盾やトンデモ理論について作者の二人は
「最初の連載の時は新人であり、そのあたりの理解が足りなかった」「(当時『リングにかけろ』を掲載していた)車田先生が似たような作風だったので、こんな感じでいいんだろうと判断してしまった」
と発言している。
現在は「これが僕たちの作風だから」という面が大きいようだ。
ジャンプにおけるバトル路線変更で、最も有名な作品であろう漫画。
西遊記風の冒険漫画から、格闘バトル漫画へとチェンジした。
でも初期は「まるでストーリー漫画のような眼」と
亀仙人が
メタ発言をかましたりと、ギャグ要素も強かった。
最後までギャグてんこもりだったじゃんは禁句。
そもそも一話ごとのページ数からも分かるように、ジャンプ誌面では「ギャグ漫画枠」で連載がスタートしている。
元々は路線変更することなく終了する予定だったのだが、担当に「人気がない」と言われた作者は連載続行を決意。
「強さを追い求める主人公」という要素を重点化し、結果バトル漫画として大成功を収める事となる。
ちなみにしばしば勘違いされやすいが、この「人気がない」というのはあくまで前作『Dr.スランプ』の全盛期と比べた場合の話である。
実際はアンケートで下位になる事もあったものの、中堅ポジションはキープしており、
良いときにはアンケート4位を取った回もあるとの事(当時の編集長の発言より)。
実際、当時の掲載順を見ると、そこまで下位に掲載されてはいないことがわかる。
最初は様々な
闇のゲームで悪人を懲らしめる漫画だったが、
その中で扱った(当時はまだ珍しかった)「
トレーディングカードゲーム」を題材にした話が読者の大反響を呼ぶ。
その後しばらくしてからカードゲーム路線にシフト。本作が生んだ「
遊戯王OCG」は、後にTCG界のトップに登り詰める事となる。
前半部をアニメ化した東映版のオリジナルストーリーすらもデュエルが多めであることからも、当時のカード人気がわかる。
ちなみに原作では、意外にもカードのみを題材にした長編は2本しかない(数え方によるが本作の中長編は7本ほど)。
カードゲームにシフトした後も別のゲームを題材にしたり、カードメインではない完結編を行ったりしている。
またこの手の路線変更を行った作品にしては珍しく初期がなかったことにされず、登場人物が初期のエピソードに関する言及をしている場面も存在する。
本作は路線変更というよりは、方向性のシフトと言った方が正しいのかもしれない。
(もちろんの事カードを扱っていた期間の方が長い)
尚、この手の漫画で即座に忘却の彼方に流されていくか、もしくはただの
噛ませ犬になりがちな「第1話の敵」だが、
本作に登場する「第1話の敵」の
牛尾哲はなんと次々作『
遊戯王5D's』にまで登場しており、
原作と比較したときの年齢はともかくなんやかんやで変わってなかったりさりげなく成長していたり、それ以降の作品にも彼のオマージュと思われるモブがさりげなく紛れていたりする。
今なお連載の続く人気カード漫画。
元々上記の『遊☆戯☆王』がカードで人気を得始めた直後に始まった漫画であり、
当初は遊戯王内のカードゲーム「マジック&ウィザーズ」の元ネタでもある「
Magic the Gathering」を題材にした漫画だった。
ところが、当初の
ラスボスとの最終決戦を境に、MTGのウィザーズ社制作のオリジナルのカードゲーム
デュエル・マスターズの漫画となる。
その後はマジックが登場しなくなり、死に設定が多発してしまった。
後にアニメ化された際はMTGの部分はデュエルマスターズに変更された。
ちなみに「デュエルマスターズに路線変更したから人気が出た」という訳ではなく、
元々MTG時代中期頃から
コロコロ読者からの支持がどんどん伸びていき、
MTG時代末期の牛次郎戦付近で遂に読者アンケート一位を獲得した為に
「コロコロの読者相手でもカードゲーム人気出るじゃん!」と編集部が判断、
コロコロの読者層に合わせてMTGの制作会社がルールを簡略化したデュエルマスターズを急ピッチで制作した…という事情だったりする。
それほどまでに編集部の権限が強く、カードの売れ行きなどによってドンドン設定変更を強いられるらしく、『VS』の一時期は鬱に陥ったこともあったようだ。
そんな中で産まれたキャラクターはダーティな設定を持つ者も多いが、最終的には読者に無事受け入れられている。
因みに低年齢層向けTCG漫画だからといってデュエル描写が単純なんて事はなく(尺の都合上の描写の省略は多いが)、むしろ結構リアル寄りで、当時のガチコンボやジャッジキル、メタ読みなんかも描かれている。
連載初期は軍国主義をテーマにしたギャグマンガであったが、
連載3ヶ月程という短い期間で超人的身体能力を有す塾生達による格闘バトル漫画に路線変更。
6年という長期連載作品となり、
スピンオフや続編も作られた。
ただし最終章の「風雲羅漢塾編」だけは(作者が当初から決めていたようで)最初のようなギャグ路線に戻した上で、打ち切りの煽りにより多少の短縮はあったものの、卒業式の最終回で綺麗に完結させた。
え?この漫画は最後までずっとギャグマンガじゃないかって?そうですが何か問題でも?
元々はバトルが絡まない1話完結作品だったが人気が振るわず、バトル漫画への変更により人気作となった。
なお、実は本作のバトル漫画化は、作者によると連載開始前から予定していたとの事。
タイトルもバトル路線変更後の事を考えて「幽☆遊☆記」という西遊記のもじりにしていたとか。(名前が変わったのは直前に
漫☆画太郎の『
珍遊記』が始まったため)
一話完結のギャグ漫画として始まったが、タイトルを「新-」と改めてからはバトル路線に移行。
なお、路線変更といっても従来の1話ギャグも続けて書き、長編バトルと交互に書くという両立スタイルである。(他だとサンデーの『
GS美神 極楽大作戦!!』もこのタイプ。バトル漫画として人気が確立されてからもギャグ的なキャラ設定や描写が多いのもこのため)
無印のキャラがそのまま『新-』でも登場することがあるため、「こんなキャラいたかな?」と『新-』の単行本を読んでも見つからないことがしばしば。
最初は1話完結式のギャグ漫画だったが、路線変更の定番であるストーリー形式のバトル漫画になった。
一方で初期から伏線が巧みに張られており、ギャグ時代のキャラや設定が度々サプライズ的に用いられ、ラストではまさかのネタが…
…準レギュラーだったにもかかわらず後半ほぼ出番が無くなり、アニメでも存在を抹消された内藤ロンシャンは泣いていい
おそらくこの記事にある作品の中で最も特殊な路線変更を成功させた
サンデーの漫画作品。
アイスホッケーの漫画が、全くスポーツ要素のない下ネタギャグ漫画になるとは誰が予想できただろうか?(ホントです)
作画も当初はあだち充の影響を色濃く受けた作風であったのだが、
最終的に記号的なデフォルメの利いた画風となり、同じ作者の漫画とは思えないレベルに変貌している。
久米田康治のサンデーにおける次々作。こちらも連載初期と末期で作風が全くと言っていいほど変わっている事で有名である。
当初は『南国』後半の作風を引き継いだ下ネタギャグ漫画だったのだが、単行本9巻あたりから日常の「あるある」を羅列し、ブラックジョークや猟奇的なネタで〆るかなり毒の強いブラックコメディとなった。
それに伴って当初はツッコミ役だったヒロインの名取羽美が猟奇的な性格に、被害者役だった坪内地丹が内弁慶の気持ち悪いオタクキャラに変化していき、2人の作中のヒエラルキーが相対的に低下したことから元はボケ役だった勝改蔵はツッコミ役になっていった。
画風も『南国』からさらにデフォルメが進行し非常にさっぱりとした絵柄になり、現在の久米田康治の作風はここで完成されたと言える。
なお、衝撃的な
最終回を迎えたことでも有名な漫画でもあるが、その布石は連載開始当初から打たれていた。
- 宇宙鉄人キョーダイン(1976年~1977年、成井紀郎)
『
仮面ライダーストロンガー』のコミカライズも手掛けた成井紀郎が『テレビマガジン』で連載した漫画版。
当初は映像作品の雰囲気を踏襲したシリアス路線だったが、連載が進むにつれてキョーダインが低頭身になり、
敵とのやり取りにギャグが挿まれるなどされた結果、連載第6回を境目に
完全にギャグマンガに転向。
街中を舞台にキョーダインもとい
ジョーダイン達と、同じく頭身を下げられてしまったダダロイド達がドタバタギャグ風味に激突するという内容で最終回まで通した。
(ただし、丁度作風転向の時期に増刊号に掲載された、デビルアトラスのエピソードは完全シリアスである)
成井氏は単行本完全版のインタビューで、映像作品の方が結構遊びが入っている感じだったから
漫画の方にもそういった要素を挿んだ結果、受けが良かったため最終的にギャグ路線で固まったとコメントしており、
実際最終話は普段より増ページされるなど、連載漫画としての待遇はそれなりに良かったことがうかがえる。
第1話は作者の前作『イヴの息子たち』のようなSFコメディにゲイの怪盗エロイカがからむという感じだったが
2話に登場した少佐こと「鉄のクラウス」の人気を受けて、それ以降は彼とエロイカを中心にした少女漫画なのに女性レギュラー皆無のスパイアクションへと変更した。
冷戦期の終わりという根本設定の危機に見舞われつつもガチの軍事アドバイザーをつけて40年以上連載中。
人呼んで(?)少女漫画界の
ゴルゴ13。
青年漫画誌である『漫画アクション』連載のためか、「夜の営み」など大人向けの描写が結構多く描かれるなどブラック色が強い内容だった。
アニメで『クレヨンしんちゃん』を知って、原作を読んでいろんな事を知った人も少なくないはず。
アニメ化を機にファミリー路線へと徐々にシフトしていき、そういった描写もなくなっていったのは有名(一応、アニメ版と同程度の下ネタはたまに出てくる)。
ただし、原作のほうでは死の描写もある為、アニメでは放送されないものもある。
漫画の方も4コマ誌である『まんがタウン』へと
移籍しており、これも作風の変更の一因であろう。
当初は一部登場人物が共通するだけの一話完結型オムニバス作品だったが、作者がその路線に行き詰まりを感じた事から、
後半の主人公に当たる九段九鬼子先生とその教え子達が日常の中で遭遇する怪異を描く方式に変更された。
また、内容もオーソドックスなホラーから、バトルありコメディありゲストキャラありのバラエティ豊かな作風へとシフトしていった。
ちなみにあまりにも自然に切り替わったため、編集者ですら4話目まで路線変更に気が付かなかったらしい。
当初は下町人情漫画として始まったが、ほどなくして本格麻雀漫画に転進(一応、ごく初期でも
麻雀は取り扱ってはいたが)。
その後、ラストも
赤木しげるの死を描くなど、麻雀してない回も結構目立っている。
福本氏は本作を境にそれまでの人情物から麻雀やギャンブルを題材とした漫画が増加しており、
話も長くなりがちになるなど良くも悪くも氏のターニングポイントとなった作品だろう。
上記の『遊☆戯☆王』と似たような方針転換を行った作品。
当初はぼっち女子である「もこっち」こと
黒木智子の残念な日常を延々と描いていく漫画として始まりアニメ化もされたが、二年の
修学旅行編から女子レギュラーが大幅に増加。
内容も彼女たちの噛み合っているようで噛み合っていない残念な人間模様・青春群像劇を描く方向へとシフト。
アニメ終了後人気は落ち込んでいたが、この路線変更でネットではそれまで以上に多くの人気を獲得する事に成功する。
上記の路線変更に違和感を覚える意見が少な目なのは、「登場人物が増える=ぼっちの主人公が精神的に成長し、他人への視野が広がった』と無理なく解釈できる事と『成長して尚主人公の捻くれた性質は何ら変わらない」という一貫性の賜物だろうか。
- トイレット博士(1970年~1977年、とりいかずよし)
当初はタイトル通りのスカトロギャグ漫画であったが、やがてネタが枯渇した為に主人公を交代し人情ギャグ漫画へと路線変更を行った。これが大成功し創刊間もないジャンプの人気漫画として当時としては異例の長期連載となった。
一方、タイトルにもなっている
元主人公のトイレット博士は元々影が薄かったのもあってほとんど出番がなくなり、やがて出番がないことそのものをネタにされるようになり、最終回には影も形もなかった。
- のぞみ♡ウィッチィズ(1986年~1996年、野部利雄)
当初は演劇漫画として始まったものの、「演技力勝負」という絵的に映えない路線から人気が出ず、4巻からなんとボクシング漫画に転向。
約10年に渡り連載され単行本全48巻からなる人気作となり、OVA化も果たした。
自我を持つ文具やその持ち主のドタバタを描いたギャグ漫画であり、2000年代からコロコロコミックの看板となっている作品。
連載初期は自我を持つお調子者な消しゴムのケシカスくんがボケ役として持ち主の人間であるボウズを振り回す話が多く、文具同士のおふざけな関係や下ネタや顔芸を売りとしており、ある意味コロコロのギャグ漫画のテンプレを抑えた作風だった。
ところが連載途中からツッコミ役だったボウズがボケ役も兼任するようになるキャラ変が起こり、主人公と相棒が互いにボケとツッコミを兼任するようになったため、この2人が何かしらの悪巧みをして周囲のキャラを振り回すパターンの話が激増。
やがて、初期の作風で見られた下ネタや顔芸などの要素は残しつつも「小学生の日常あるある」や「世間の話題をネタにしたブラックジョーク」を取り扱う日常系ギャグ漫画へと路線を変えた。
元々連載初期の時点で人気はあった漫画だったのだが、この路線変更以降は人気も一層増してアニメ化やグッズ化なども果たし、同じ連載雑誌の『
絶体絶命でんぢゃらすじーさん』に続く長期連載作品としての立場を確立している。
艦これメディアミックス作品最古参の一角。
最初は「『艦娘の育成学校』である鎮守府を舞台に、新造艦である駆逐艦娘達が正式に着任するまでの訓練模様を描く」というオリジナル色の強い内容でスタートしたものの、
途中で進水式カッコカリが行われて駆逐艦娘達が正式に配備されて以降は、主にイベントの模様や新規実装されたキャラ及び改二の紹介などを中心とした内容にシフトした。
このためか初期にはゲーム版でもかなり曖昧だったためとはいえ明言が避けられていた「戦勝国側艦艇」が、艦娘として実装された時に普通に登場するなど、実質的には公式の広報4コマに近い側面も持っていた。
その後は一応舞台となる鎮守府こそ変わっていないものの、新造艦が来ても訓練は行われず、駆逐艦や駆逐艦の後輩枠にあたる海防艦であっても登場してすぐに配備される等、『艦娘の育成学校』という設定は完全に形骸化している。
(掲載サイトでのあらすじは最後まで「ほのぼのどたばたスクールライフ」だったが)
また、連載期間も当初は1年で終了する予定だったのが、路線変更に伴い延長され、全230話・8年弱の長期連載となった。
- バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ(2020年~、陸井栄史)
烈海王が死後に異世界ファンタジーの世界に転移するスピンオフ。
ちょうど当時連載中だった「
八神庵の異世界無双」が好評だったこともあり、同じように濃い人気キャラである烈海王が異世界でどう活躍するのか期待する声も大きかった。
しかしいざふたを開けてみると烈が異世界モンスターらと戦う場面は殆ど描かれず、あろうことか烈を差し置いて
担当編集者と同名の狂言回しナカムラばかりが活躍し、烈は地球から転生した「世界を変えるような能力を持っていながらも志半ばで命を落とした」過去の偉人(通称「あがく者」)の一人で、それらが集合した
どこかで聞いたような格闘大会で天草四郎と戦う、という烈海王でも異世界転生でもある必要がない
魔界転生と間違えているのではないかと疑われる程の展開が繰り広げられていた。
この展開は作画の陸井栄史も相当不本意だったようで、自身のブログに「闘技場はあかんて。もし1話かけてノリノリで偉人達の選手入場とかやるようなら僕はこの漫画に板垣先生っぽい神を降臨させて世界を火の海にするしかなくなってしまう(意訳)」と不満を述べるなど、内部分裂の様相を呈し、もはや連載そのものの続行を危ぶむ読者まで現れた。
……のだが、こうした数々の不満の声がきちんと編集部に届いたのか、2巻終盤においてナカムラも格闘大会もまるっきり投げ捨てて改めて烈海王がファンタジー世界で冒険(やりたいほうだい)する漫画として仕切り直しを図り、以降は読者からの評価も好転している。なので路線変更と言うよりは、本来の路線に軌道修正したと言うべきか……
ちなみにこの元凶は前述した担当。あるインタビューで『原作が「異世界テンプレの中で活躍する烈海王」というプロットを持ってきたのを「そんなのは刃牙らしくないじゃないですか!」「考えて書いたら刃牙じゃないでしょう!」ということで没にした』という、序盤の酷さの裏付けとなる発言をしていたことが判明した。
なお、単行本ではドラゴンスレイヤーはドラゴンを滅ぼしていないことになっている、ナカムラは過剰に持ち上げられていない、とセリフを変えたことで内容がかなり修正されている。それでも酷いけど
ただし、人気が安定している現在では「偉人トーナメントはあまりに時期尚早過ぎただけで、展開としてはさほど悪くはない」「それはそれとして烈海王VS偉人は見てみたい」「異世界モノとしてのノウハウを掴んだ今なら偉人トーナメントも面白くなりそう」「異世界ネタを一通り描き終わった後ならやってもいい」という冷静な意見もしばしば聞かれるようになっている。
作者側も丸っきり投げっぱなしにした訳ではなく、あがく者の設定と伏線も少しずつだが丁寧に回収されてきているので、今後の展開に期待したい所である。
ただしナカムラテメーはダメだ
good!アフタヌーンで連載されていた、バドミントンを題材にした漫画作品。
元々作者は本作を「ゆるふわ系のスポ根作品」にするつもりだったのだが、担当から「アンケートで票が伸びていない。打ち切りの候補に挙がってしまっている。」と伝えられた事で、思い切った路線変更を決断。
単行本が3巻までと4巻以降とで作風が全く異なるのは、それが理由である。
その結果、本作は一転して大ヒットを記録し、6年間も続く程の長寿作品へと成長を遂げたのだが…問題なのがその路線変更の「内容」である。
まさかスポーツ漫画で主人公が絶望の末に闇堕ちしてラスボス化するとか、主人公の母親が癌で死ぬとかいうパンチの効いた鬱展開が繰り広げられる事になるとは、誰が想像しただろうか…。
それでもアニメ化もされるなど、「商業的には」成功した好例だと言える。
とは言え流石にそのままアニメ化したら倫理的にまずいと判断されてしまったのか、アニメ版は一部のキャラの設定が大幅に変更になるなど、最早全くの別物だと言える程のテコ入れがされてしまったのだが。
ちなみに作者はアニメには、ほとんど関わっていないとの事。