ノワール星人

登録日:2021/11/26 Fri 21:31:43
更新日:2025/05/25 Sun 19:32:14
所要時間:約 5 分で読めます






君に、見せたい物がある。


我々がこの星で捕獲し、改造した怪獣だ。

何故そんな事を!?


“何故”!?

地球人はどうしてこんな生きた資源(・・・・・)

有効利用しないのか!?



ノワール星人は、『ウルトラマンコスモス』に登場する宇宙人

基本的に友好的だったり、暴れるにしても何かしらの理由があったりする者の多い『コスモス』に登場する知的生命体の中でも、ワロガサンドロスと並ぶ同情の余地の無い、シリーズ屈指の外道宇宙人である。


【データ】

別名:宇宙狩人
身長:185cm
体重:78kg
演:ボブ鈴木(第43話)、稲田徹(第53話、声のみ)


【概要】

J34星系ノワール星出身。
青色と緑色が混じった装甲を身に纏い、目つきの悪い顔付きに加え額には短い角が生えているといった如何にも怪人じみた姿をしており、角からは光線を発射できる。
一方で身体の耐久力は優れていないようで、銃弾一発で絶命している。
地球人の姿に擬態する能力も持っているが、どういう訳かには本来の姿が映る。

性格は総じて強欲で傲慢、極度の自分本位であり、後述する地球への来訪の理由やムサシとの交渉の態度からそれが窺える。
ノワール(黒)の名に違わない性格がドス黒い宇宙人である。


◆目的

彼等の目的は地球怪獣。彼等は怪獣を“生きた資源”と認識しており、怪獣を捕らえて様々な文化を築いてきた。その為に生まれたのが生物をサイボーグ化するメカレーター技術であり、都合がいいように改造し使役していた。

改造は怪獣の身体の負担を計算せず行われるようで、劇中改造されたテールダスネルドラントは改造に適応出来ずにいずれも死亡している。適応出来たのは劇中ではラグストーンのみ。

それに加え相当無茶な乱獲を行っていたようで、必然的に自星の怪獣は絶滅したため怪獣が棲息する別の星を探しており、そこで地球を発見し、“資源”調査と共に原住民である地球人を調査する為にインキュラス、ラグストーンを送り込んだ。

調査がいつ頃から行われたのかは不明だが、ムサシに向かわせた工業地帯でホログラムと思われる遊んでいた子供達の遊びの内容から、昭和半ば頃から行っていた可能性がある。


【劇中での活躍】

第43話「操り怪獣」

ここで登場した星人は黒ずくめの髭面の男性に化けていた。

改造したテールダスを交渉相手として選んだムサシの真下から出現させて暴れさせた後、でムサシに交渉場所に来るよう伝えた。
コーヒー牛乳が好物なのかムサシに薦めて断られた後自分で飲んでいる。また、必要ない筈なのに紙芝居を用意していた。
指定した場所に来たムサシを銭湯に連れていき、まず地下に「保管」していたネルドラントを見せ、自分達の目的を語った。

ムサシを選んだのは彼が宇宙人と対話できる人間=ウルトラマンコスモスの正体ということを知っていたから。
当然ながらムサシは要求を拒絶、逆上したノワール星人は力ずくで行こうとしたが、駆け付けたフブキに銃を向けられる。
ムサシを盾にしたが、鏡を反射させた事で命中し致命傷を負い、の間際にネルドラントを暴走させた。


第53話「未来怪獣」

ノワール星人の別個体が登場。
何処からかアラドスの事を聞き付け、衰弱したアラドスの治療をするから引き渡すよう要求。
代わりに地球から手を引くと取引を持ち掛けたが、前回の事で彼等への信用は一切抱いていないヒウラは断固拒否の姿勢を見せた(一応ノワール星人のテクノロジーならアラドスを救えるかも知れないと考えてはいた)。

案の定返事を待たずアラドスを強引に奪おうと宇宙船でアラドスの保護している場所にやって来て連れていこうとしたが、テックスピナーの妨害に遭い交戦。
更にメカレーター化を施したラグストーンを召喚し、上空からサポートを行ってエクリプスモードのコスモスを圧倒する*1が、ラグストーンがアラドスの文字通りその命を代償にした攻撃によって時空の彼方に飛ばされ、それを目の当たりにして烈火の如く激怒したコスモスのエクリプスブレードによって星人の円盤も両断され、諸とも爆死した。


【解説】

他の生物を資源として利用するという行為は地球人も現在進行形で行っている行為であるの自体は事実である。動植物に品種改良という人間にとって都合のいい改造を施して生まれたのが現在の家畜や野菜等である。
もはや「ヒトと共に働く動物」なのが社会常識であるイヌ、『ウマ娘』のブームやイクイノックス号にウシュバテソーロ号といったごく直近の強豪の活躍でオタク層にもよく知られるサラブレッドだって、人間がやったこと自体は正直に言えばサイボーグにするかどうかを別にすれば、ノワール星人と大差のない行為ではある。

更に嘗ては同種の人間であっても資源として公に利用してきたのは歴史を少し調べればすぐに分かる事であり、地球人を合理的で貪欲と評したノワール星人からすれば「他の生き物は資源扱いするのにどうして怪獣をそう扱わないのか」という意味合いならその疑問を抱くのは理解出来なくはない。
方向性は違うがコスモスも毒花のアブトシアや毒ガスを出すエリガルⅡをを出さないよう=都合がいいように「改造」している。

ノワール星の怪獣が絶滅した経緯についても、現在でも数が減っていると知っていながら我欲を満たす為に密猟したり住み処となる森や川等を開発の名目で破壊して数多の動植物を絶滅させてきた地球人も決して他人事ではない。

しかしノワール星人は原住民に無断でその土地に侵入し勝手に調査を行い、勝手に現地の生物を捕まえて改造して原住民に直接的な被害を与えている。密猟や「よそのコミュニティの森や海を子の目的で荒らす行為」は…少なくとも地球においては…ほとんどのコミュニティで重罪である。みんなはちゃんと遊漁券買おうな。

その後で一応現地人との交渉は行ったが、それが佐原司令官*2やヒウラキャップと言った各組織のトップなら兎も角、ムサシはあくまでEYESという部隊の一隊員でしかなく、そんな相手だけでこの交渉が成り立つ訳がない。つまり交渉は始まる前から破談していたのだ。
しかもノワール星人は一方的な主張を押し通すばかりで相手にも怪獣捕獲技術やメカレーター技術の提供といった相手側へのメリット*3や折衷案は一切提示しておらず、断られるとすぐ力で訴えており、相手への信用や印象を何一つ考えていない。
先述したイヌなら「人間の友人としてもすぐれた生物種になる*4」、サラブレッドなら「軍馬など他の『産業動物としてのウマ』の進歩につながる*5」「競馬運営は大きな収入源となる*6」などがメリットとして提示できるが、『コスモス』の世界観で怪獣を意のままに操れたところですでに運営ができている保護施設に送った方が工数の面でもいいという結論になるのは、よほどのタカ派(あるいは同作「かっぱの里」のようにすでにコミュニティ内で怪獣と共存しているため選ぶ必要がないケース)でなければ目に見えているだろう。

フブキは交渉失敗の理由として一番そんな提案に乗らないムサシを交渉相手に選ぶという「人選ミス」を挙げ、実際その通りだが、彼等の交渉に乗る者を見つけ出す方が難しいだろう。


【余談】

着ぐるみは『ウルトラマンダイナ』に登場したファビラス星人(穏健派の方)の改造。
改造と言っても口元のデザインが変わったぐらいで殆ど原型そのままであるため、着ぐるみが流用されたことは一目で分かる。

第53話の個体の声を演じていたのは稲田氏だが、何の因果か後の劇場版ではコスモスの掛け声を演じることになった。ちなみに稲田氏は次回作『ウルトラマンネクサス』のダークファウストや『ウルトラマンメビウス』のマグマ星人兄弟の声を演じている。

追記・修正は怪獣だって地球の一部なんだと高らかに叫ぶことができる人がお願いします。

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最終更新:2025年05月25日 19:32

*1 第30話の初登場以来、常に白星だったエクリプスモードが初めてまともなダメージを受けた。

*2 ただ佐原は「防衛軍の立場も考えてほしいし、顔は立ててほしい」という考えのもとにEYESを制止しているだけで、実は「害なきものはそれが怪獣であってもそっとしておけばいいじゃない。たいていは実被害が出てるという結果があるのでEYESに意見を出さないといけないだけ」「我々は殺すことそのものを目的として軍備をしているわけでは断じてない」という方針の人なのが示唆されている(ムゲラが帰れたことをEYESメンバーと一緒に喜んでいる、など)。そのためノワール星人の考え方や行為は「それは流石にやりすぎではないのか」と考える可能性も十分あり、結果はムサシ(あるいはヒウラ)と変わらないかもしれないが

*3 メカレーター技術に関しては手に入れても何の役に立つのかは疑問だが…。作中で役立ちそうなのはその後の回で出てくるヘルギキング改の制御プログラムのサポート程度だろう。

*4 単に「家族」以上に役目を求めない飼い犬が家にいる・いた、あるいは知人宅がそうであるwiki読者は多いであろう

*5 副次的なものも含めれば、テンポイント号の闘病記録がその後ウマの仲間全体の獣医学の進歩「には」寄与したケースの実例があることから、ムサシの本来の分野のひとつとも重なる「動物を守るための獣医学」についても重要な実例となりうる。…テンポイント自身は長く苦しんだ挙句結局は絶命する、という悲惨な最期とはなったが。

*6 例として90年代にも関わらず、事実上たった1レースで馬券売上が480億円を超えたことがある