エヴリン(バイオハザード)

登録日:2022/01/23 Sun 11:14:26
更新日:2024/04/11 Thu 18:33:20
所要時間:約 5 分で読めます






エヴリンとは、『バイオハザードシリーズ』の登場人物。初出は『バイオハザード7 レジデント イービル』。



概要

『7』の舞台であるベイカー邸の住人と思わしき、10歳ぐらいの少女。長い黒髪と黒いワンピースが特徴。
主人公イーサンの前に度々現れては幻のように消えていくが…。





この先は『バイオハザード7』および『バイオハザード ヴィレッジ』のネタバレを含みます。ご注意ください。















お前も家族にしてやる
そうしたらきっと少しはお行儀よくなるよね

その正体は『7』のラスボス
コネクションがH.C.F.の協力の下に開発した生物兵器E型被験体こと『E-001』である。
少女の外見をしているのはタイラントと同じく社会集団に紛れ込ませることを目的としているため。
「他者を殺すことなく支配下に置く」ことをコンセプトに、人間の胚に特異菌のゲノムを組み込んで造られた生物兵器。
『7』本編及び前日譚であるDLC『Daughters』にて、自身の体に組み込まれたE型特異菌を操ってバイオハザードを繰り広げた。

性格はよくも悪くも見た目相応で、最初のバイオハザードを引き起こしたのも「退屈で外に出たかったから」という子供らしい理由。
「家族」というものに対して強い執着を見せており、中米行きの貨物船でミアに懐き「ママ」になって欲しくなる。
そして「家族が欲しかった」という理由で優しくしてくれたミアと、助けてくれたベイカー一家を感染させて支配。
更に家に立ち寄った者を次々に襲わせては「家族」にしようと試みていた。
しかし結果は良くてモールデッド化、最悪死亡というのがほとんどで、成功した例はベイカー一家のみだった。
そのベイカー一家でさえも「家族」というにはかけ離れた、エヴリンに逆らえない傀儡同然の存在でしかない。
ルーカスですら「あれが家族って、お前らあの子にどんな教育をしたんだ?」とコネクションにメールを送る*1ほどに歪な家族ごっこという有り様。
当然エヴリンは満たされることはなく、自分の母親代わりであるミアを利用し、その夫のイーサンを「家族」にするべく行動を開始する。

とはいえ、家族観以外はそれなりにまともな子供であったのも事実であり、嫌われることを人一倍に恐れている。
ミアからはっきりとした拒絶の言葉を投げ掛けられショックで絶句し、イーサンの抵抗にも悲しんでいるようだった。
イーサンをベイカー家に誘い出したのも、イーサンとミアという『パパとママ』が欲しかっただけであった。

能力

自身の体からE型特異菌を生成して操り、感染者の洗脳及び殺害を行う精神支配型B.O.W.
幻覚や幻聴などを引き起こし精神を蝕みつつ自我を奪い、自発的に協力・奉仕する仲間へと変貌させる。
感染した時点で特異菌を通じて離れていても言動などを読まれ、エヴリンに逆らう事が出来ない状態となる。
ただし完全に支配できるまで時間が掛かり、それまでは元々の知能や自我・意識も保たれているが、異常に攻撃的でヒステリックになる。
また自身は真菌の塊であるため、人体破壊で倒す事は不可能に近く確実に殺す方法でしか倒せない*2
菌の特性により精神が保存される為、一度感染した者の精神内で生き永らえ感染者に影響を与え続けることも可能。
感染者の耐性次第ではあるが任意に一気にカビに侵食させて塵と化す事もでき、血清を打った後でも石灰化させられる。
逆にある程度耐性がある者を超人化させたり、死んで間もない遺体からなら死者蘇生のようなことさえ可能。
ただし感染者の耐性が一定以上あると自我を奪えなかったりと、支配能力が効かない場合がある。
他にも人間を後述の「モールデッド」のようなクリーチャーに変えたり、菌を集めて触手を生成したりもしている。
まとまった菌糸さえあればゼロからモールデッドを生成する事も可能である。


まとめると
  1. 自らE型特異菌を無尽蔵に生成して操り、感染させられる。
  2. 特異菌感染者に幻覚や幻聴を見せて洗脳する。
  3. 同感染者の表層意識を読み取る事ができる。
  4. 同感染者に耐性がなければ生かすか殺すかはエヴリンの自由。
  5. 同感染者に少しでも耐性があればモールデッドという怪物に変える事ができる。
  6. 同感染者にある程度耐性があれば不死の再生力と特殊能力を与えられる。
  7. 同感染者に一定以上の耐性がある場合、自我を奪う事はできない*3
  8. 同感染者が特異菌適合者であれば、例え死亡していても菌で補い蘇生する事ができる。
  9. ただの死体を菌床にしてモールデッドに作り変える事ができる。
  10. 菌糸を集めてモールデッドや物理的な触手を作り出す事ができる。
  11. 単純な物理的外傷では死なず、死んでも菌がある限り精神はその中で生き続ける。

…と、めちゃくちゃしつこくて厄介だがB.O.W.としての能力が安定しない。
また「特異菌を操る」「感染源」ということ以外の能力はこれといって見られず、素の身体能力は見た目相応の模様。
一応、幻覚を見せる以外に衝撃波のようなものを放ったりもした*4が、致死の幻覚に比べれば気休め程度の威力ではある。
とは言え過去作で例えるなら明確な自我を持ったレポティッツァのようなものなので、普通の人間からしてみれば脅威以外の何者でもない。

モールデッド

エヴリンの操るカビ状の特異菌によって生み出された「カビ人間」。
従来のシリーズにおけるゾンビの立ち位置となる雑魚クリーチャー。
見た目は一見すると人型だが眼球はなく黒く穴が開いており、鋭く異様に発達した牙と爪で攻撃してくる。
身体は植物の蔦と菌糸が絡み合っているようなもので構築されており、関節等の接合部は非常に脆い。
とはいえ作中では“大型肉食獣に匹敵する“とされているだけはあって、見た目よりも耐久性は高い。
少なくともバイオシリーズの雑魚敵の中ではかなり手ごわい部類に入ると言っていい。
ただし知能は低く弱点である頭部を守る仕草はすれど、ドアを開けたり梯子を上ったりはできない。
また特異菌の集合体故に、モールデッドに少しでも傷をつけられた人間は感染者になってしまう*5

通常の銃撃なら何発も耐えるが、ラムロッド再生阻害弾を撃ち込めば1発で仕留めることができる。


弱点

レポティッツァ同様、放置すると自壊するという性質を持っている。
このため保全用化学物質と安定化化合物を定期的(最長でも六ヶ月以内)に注入しなければならない。
メンテを怠ってしまうと通常の25倍の早さで老化してしまうという致命的な欠陥がある(ちなみに暴走した場合の保険なのか本人は知らなかった)
更にエヴリンを「処分」するため、確実に殺すことができる毒薬として「E-ネクロトキシン」が用意されていた*6
その効果は超即効かつ劇的であり、体内の特異菌を瞬く間に壊死させて短時間で絶命せしめることが可能。肉体は泥のように半液状に溶けて溶解する。

また能力の影響力は非常に不安定で、イーサンやゾイのように感染していても支配が及ばない者もいる。
拉致された行方不明者は皆モールデッド化しており、ベイカー家のように本来のコンセプト通り「奉仕する人間」となる方が極という始末。
特異菌を通じて読めるのも表層の言動のみであり、感染している演技に騙されたりミアの真意も言葉にされるまで見通せていない*7
続編では原種が村全体を100年以上支配している(しかも感染者も普通の人間のまま意識だけ操作)のも、エヴリンの劣化コピー具合に拍車をかけている。

バイオハザード対策に血清による治療方法も用意されており、感染リスクについても対応されている。
ちなみにルーカスは血清を投与した結果、例外的に再生能力はそのままに正気を保つ事に成功した。
もっとも感染が全身に及んでいた場合、血清の効果で感染者自身も死亡してしまうので完璧とは言えないが。
手遅れの患者に血清を注射した場合は細胞が石灰化してしまい、最終的には砕け散ってしまう。
このため劇中のレポートでも「治療というより感染者の処分に用いるのが適当」と書かれている。
尚、ラストのエヴリンにとどめを刺したのは対B.O.W.用拳銃「アルバート-01」に装填された血清弾によるもの。

このように彼女を製作したコネクションはばっちり対策を用意しているなど有能。見習えアンブレラ。もう遅いけど。

総じて不確定要素が多すぎる為、B.O.W.として使うには難がある。


活躍

『7』本編の3年前、BSAAにエヴリンの存在を嗅ぎ付け、奪取もしくは駆除のために動き出したことを知ったコネクションは、エヴリンを別の拠点に輸送すべく彼女をタンカーに乗せた。
しかし監禁期間が長すぎたこと、及び父親代わりの工作員であるアランのミスによりエヴリンは暴走。
「クソガキ」呼ばわりしたアランを殺害、脱走を試み船内でバイオハザードを引き起こすと、ミア以外のコネクション関係者を死に追いやった。

その後、運良く(悪く)ジャックに拾われベイカー邸に侵入。「みんなもらった」とゾイに告げ、一家とミアに菌を感染させて支配下に置いた。
しかし、コネクションの手を離れてしまったことで急激な老化を抑えることができなくなってしまう。
イーサンがやってくるまでの3年間*8に歩くこともままならない老婆になってしまう。
尚、老婆になる以前は監禁状態のミアにたびたび会いに行っており、ルーカスからは「ママが恋しい」と言われていた。

そう、何度も目にした神出鬼没の老婆が今のエヴリンの姿。こちらは諸星すみれではなく田畑ゆりが演じる。

更にイーサンの活躍によりジャックとマーガレットを倒され、ミア*9を血清により解放されてしまう。
それでも『パパとママ』を手に入れるため、ボートで逃げるウィンターズ夫妻を襲いイーサンを拉致する。
だがイーサンはミアにより救出された挙げ句、E-ネクロトキシンを手に入れられてしまう。
廃屋に戻ってきたイーサンに幻覚を見せて悪あがきするが屋根裏まで追い詰められ、遂に最終決戦となる。

廃屋での対決

ボス戦ではまず、幻覚である少女の姿で強烈な風(衝撃波)を放ってくる。
なお、風はまともに喰らうとかなり痛いのでタイミングを合わせてガード。
じりじりと近付いてE-ネクロトキシンを打ち込めば第一段階は終わり。

どうしてみんな私を嫌うの…?

E-ネクロトキシンを打ち込まれると幻覚が解除されて老婆の姿を露にする。
泥のように崩壊していくも最後の悪あがきといわんばかりにベイカー邸中の菌と融合し巨大化
呪詛の言葉を吐きつつ泣きじゃくりながらイーサンに襲いかかり、追い詰めていく。

そこにクリス率いる新生アンブレラの援助を受けたB.S.A.A.が到着。
血清弾が装填されたアルバート-01によって止めを刺され、全身を石灰化させてその呪われた人生に幕を閉じた。

続く『バイオハザード ヴィレッジ』では更なる背景が明らかとなる。
『ヴィレッジ』のラスボスであるマザー・ミランダの目的「死んだ我が子、エヴァとの再会」を果たすために作られたプロトタイプ。
エヴァの器を造り出す実験も兼ねていたらしく、特異菌とエヴァの胚を材料に造られていたことが判明する。
「エヴリン」という名前も「エヴァ」のもじりである。
つまりエヴリンはエヴァのクローン、もしくはミランダの次女とも言うべき存在。
…なのだが、ミランダにとってはエヴァの器以上の興味はなく、エヴリン自身にはほとんど興味を示していない。
そのエヴァの器たりえなかったためか、ミランダからは出来損ないの烙印を押されてしまっている。


余談

バイオハザードシリーズでは珍しい、「造られた命であるが故の悲哀」を押し出したキャラクター。
その境遇から本編での悪行を知ってもなお同情するプレイヤーは少なくなく、某イラストサイトでは『特異菌感染者の聖地』なる巡礼用タグまで作られている。
とは言え、もとから異常者だったルーカスを除き平穏な家庭であったベイカー一家の人生を狂わせ、何の罪もない大勢の人々の命を奪っていったのも事実。
イーサンの「化け物」という評価は間違っていない。

「精神が子供のまま肉体だけ成長しなければならなかった」キャラクターの先輩として、リサ・トレヴァーとアレクシア・アシュフォードが存在する。
前者とは「行動原理が家族に由来」、後者とは「クローン技術によって産み出された人造人間」という共通点がある。
ちなみに、ベイカー邸のダンジョン化にはリサの父親ジョージの関連企業が関わっているという奇妙な縁がある。

ラスボスながらも実質イベント戦であるため、バーキン第5形態サドラーと並ぶシリーズ最弱ラスボス候補としてあげられることも…。
しかしバイオハザードシリーズのラスボスとしては間違いなく最年少*10
最初の外見こそ10歳ほどだが、上記の通り急激に老化するため本当に3〜4歳だった可能性もある。

精神の幼児性に加えて満足に動けない年老いた体、幻覚や衝撃波を喰らっても平然と距離を詰めてくるイーサン…どっちが化けモンだ
更にE-ネクロトキシンと血清弾を装填したアルバート-01……と自身の弱点・欠点を徹底的にメタられた結果であり、万全な状態であればもっと強かったかもしれない。



追記・修正はエヴリンの「家族」にお願いします。

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最終更新:2024年04月11日 18:33

*1 補足しておくと、ルーカスは幼少から友人を騙して監禁して殺すなど危険な男だったが、家族への情や価値観はまともであった。

*2 ただし老化の影響は受けている為、寿命で自然に死ぬ可能性はあったのかもしれない。

*3 ただし菌を侵食させる事は可能で、血清が完全に効く前に体内の特異菌を暴走させて石灰化させられる

*4 放つ際に周囲の菌糸が波打っているので、周りを埋め尽くしている菌を操って物理的に衝撃を発生させていると思われる。

*5 体験版では主人公に耐性がないため、一発でも攻撃を受けてしまうと問答無用でバッドエンドになる。

*6 組織と内通していたルーカスが万が一の手段として用意していたらしく、作中でイーサンはもぬけの殻と化した彼の隠れ家に安置されていた生成装置をコデックスで起動させることで作り出した。材料はエヴリンの体組織+他の被験体の脳神経&末梢神経+血清。

*7 そもそも心を読めたりするのであればエヴリンの処分の件や処分方法、その材料などの資料を用意していればバレてしまうはずなので。

*8 本編やDLCで入手可能なファイルによると、ベイカー家で暮らし始めて約2年間は何事もなかったようだが、その後に体調不良が確認されてから程なく急激に老化現象が起こった模様。

*9 プレイヤーはゾイに血清を打つこともできるが救うことができない

*10 タイラントは成人男性、Gはバーキンでおっさん、ウェスカーもおっさん、サドラーはじいさん、シモンズもおっさん、アレクシアは27歳、女王ヒルですら10年以上生きている。