クイズ$ミリオネア

登録日:2022/03/15 (火) 02:17:58
更新日:2025/03/01 Sat 15:13:04
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あなたの人生を変えるかもしれない
クイズ$ミリオネアへようこそ


「クイズ$ミリオネア」はフジテレビで放送されていたクイズ番組。

日本版の司会はみのもんた。

【概要】

元々はイギリスITVで放送され、世界中にフォーマット(番組の企画及び放送権)が販売されている「Who Wants to Be a Millionaire?」の日本版。

これまでの日本のクイズ番組では最高賞金100万円が限度額だった中で、ゴールデンタイムに最高賞金1000万円という高額賞金*1、そして「テンポを重視した進行」「リバーシ要素の『パネルクイズ アタック25』、ギャンブル要素の『クイズダービー』などクイズ以外の要素を取り入れたバラエティ感」が主だった日本のクイズ番組史の中に「暗いスタジオでクール・ソリッドで重々しい空気感」「小細工なしの真剣クイズ」と新しい空気を入れることとなり、その後も『ウィーケストリンク』『ザ・チーター』など海外のクイズ番組が日本に輸入されるきっかけにもなった。

尤も、これらの番組も日本人の嗜好には合わず半年~1年程度で打ち切られるものが多い中、当番組はレギュラー放送が7年も続き、その後も特番として2013年まで放送が続いた。
「ファイナルアンサー?」が流行語になり、パロディも作られるなど大成功を収めた。

【ルール】

海外では様々なフォーマット(ルール)が作られているが、ここでは日本でのレギュラー放送時代のルールを中心に説明する。

早押し並べ替えクイズ

1回の放送では事前の予選・オーディションを勝ち上がった10人が出場。
まず挑戦者を決める「早押し並べ替えクイズ」に挑戦。提示された4つの選択肢を席のボタンを押して正しい順番に並び替える。

例題

Q.このサイトの名前は「何」wiki?
A.ア B.タ
C.ニ D.ヲ

正解した人の中で一番タイムが速かった人がセンターシート、つまり賞金のかかったチャレンジに進むことができる。

尚、海外では数問行い「正解数が一番多い人の中で合計タイムが一番速かった人」というシステムもある。

ミリオネアへの挑戦

問題は全問4択。例としてこんな問題。

  • 2000年初回放送 1問目(1万円)
Q.現在(2000年時点)の日本の総理大臣は誰?
A.森鴎外 B.森喜朗
C.森進一 D.森光子
*2

解答は口頭で選択肢をコール。その際、司会から「ファイナルアンサー?」と声を掛けられ、それに「ファイナルアンサー」と応える事で解答確定となる。言わなければ確定とならないため、ファイナルアンサーをコールされても悩む解答者もいた。
正解であれば「正解!」「おめでとう!(最終問題)」と言われ次の問題へ進むが、途中一問でも不正解だと「残念…」と言われその時点でチャレンジ終了となる。
シンキングタイムは無制限。思う存分考えても良い*3

日本版の賞金は以下の通り
正解数 賞金
15問 1000万円
14問 750万円
13問 500万円
12問 250万円
11問 150万円
10問 100万円
9問 75万円
8問 50万円
7問 25万円
6問 15万円
5問 10万円
4問 5万円
3問 3万円
2問 2万円
1問 1万円

このうち5問目をクリアすれば10万円が、10問目をクリアすれば100万円が最低保証金となり、以後の問題で不正解でもその分の賞金を手に入れることができる。

尚、特番では最高賞金2000万円・3000万円が登場した他、小学生大会では賞金が10分の1となっている。*4
ちなみに海外版ではアメリカでは最高100万ドル(約1億2000万円前後)、映画「スラムドッグ$ミリオネア」の舞台でもあるインド版では現在7000万ルピー(約10億円)となっている。

また、途中でのリタイア「ドロップアウト」を宣言することもでき、その場合はそれまでに正解した問題数に応じた賞金を手に入れることができる。
つまり「正解して賞金を上積みするか」「不正解で最低保証金まで減るか」「ドロップアウトで現在の賞金を手に入れるか」の3通りの結末が用意されており、3枚の小切手をみのが見せ悩ませるのも恒例だった。
ドロップアウトした場合も必ず「ちなみに、どれ(どちら)だと思ったか言ってみてください」と一応回答させ、不正解なら「止めて良かった」正解なら「正解(だったのに)」などという返しも定番だった。

ライフライン

解答者には「ライフライン」として3つのアイテムが用意されている。
こちらも海外版では適宜新アイテムや調整などが行われているが、日本版はずっと変わらなかった。
ライフラインは一度使うとなくなってしまうが、1問中に複数のライフラインを使うことは可能。

  • テレフォン
待機している解答者の家族や会社の同僚達など仲間4人(テレフォンブレーン・以下TB)に電話をし、30秒間解答を教えてもらうことができる。
受ける側では資料やインターネット検索も利用可能。
電話の声を直接聞けるのは受話器を持った1人だけだが、受話器にスピーカーを接続してTB全員に聞こえるようにするのは禁止されている。

使い方次第で非常に強力なのだが、実際にテレフォンが役に立ったケースはさほど多くない。
まず、高難易度になれば、当然TBも答えが分からないことが普通(大体電話先より出場者自身が一番クイズが得意である)。
何よりも、解答者自身が問題文及び選択肢を伝える時間も30秒に含まれているため、上手く伝えられずタイムアップになることも珍しくはなかった。伝達の四苦八苦も一つの番組の面白さではあるが
解答者が何の気なしに選択肢を「ACBD」順で伝えてしまった所、TBがBCの順番が入れ替っていることに気づかずに記号で答えを教え、不正解になるというトラブルもあった。他にも挑戦者がTBに選択肢を教える時に記号も一緒に言った時、TBは正解は「D(ディー)」と答えた時、挑戦者は「B(ビー)」と聞き間違えてしまい、聞き間違えた選択肢を選択して、不正解になってしまった事もあった。その為、記号も言う時は「D」は「ディー」ではなく「デー」で言った方がわかりやすい。
また、レギュラー放送時代のインターネットは電話回線が主流で通信速度が遅く、今のGoogleのように検索して即座に疑問をトップ表示してくれるような機能は無かったため、わずか30秒でネットを活かせた例はまれである。

とはいえ、訓練や電話先の人選と言った事前準備や使用する問題選択*5によって成果が飛躍的に上昇するものであることも間違いなく、実際に訓練したと思われるケースでは即座に検索して答えを出し、10秒以上残す余裕で答えが出てきたこともあった。

実は海外版と比べてかなり弱体化しているライフラインである。
海外ではその場で(事前登録した枠内なら)好きな知人に電話をすることが可能で、出題内容に合わせて柔軟にアドバイスをもらう事ができた。
なぜ日本版はこんなシステムになったのかというと、原因は法制度にある。実は日本の番組ではテレビ番組の賞金の上限が一人当たり 200万円 しか用意できず、本来ならば賞金1000万円を渡すことが不可能なのである。
そこでテレフォンをこのシステムにすることで、強引に 「5人参加のクイズ番組」 という事にし、最大賞金1000万円を実現しているんだとか。

  • オーディエンス
会場の100人のお客さんに正解だと思う選択肢を投票してもらい、その支持率を参照することができる。
支持率が一番高い選択肢が必ずしも正解とは限らず、序盤の比較的わかりやすい問題で解答者の知識に穴があって分からなかったようなケースでは信頼性は高いが、難問の終盤戦では選択率が割れたり、支持率が一番高い選択肢でも不正解というケースもある。

  • 50:50(フィフティ・フィフティ)
コンピューターが無作為に不正解の選択肢2つを消去し2択にしてくれる。
終盤戦でも確実に2択に絞ってくれ、常に成果が見込めるという意味では解答者にとっての最後の切り札。
消去は完全無作為だが、使用前に「2つ選ぶとしたらその選択肢で迷っているか?」とみのから聞かれ、使用後にその2つが残ってしまったり、逆に消えてしまって余計に頭を抱えるということもしばしば。

オーディエンスとフィフティ・フィフティを同一の問題で使いたい場合、オーディエンスから先に使うのがベターなのだが*6、逆にしてしまう人も少なからずいた。
もっとも、フィフティ・フィフティでうまく当たりが付けばオーディエンスを温存するつもりだったのに、残った肢では当たりが付かずオーディエンスを切るというケースもあるので、やむを得ない側面も大きいのだが…

みの溜めと小切手破り

日本版ではファイナルアンサー後にみのが黙ってしまい正誤をなかなか発表しない「みの溜め」が恒例となっており、解答者の不安と視聴者のドキドキを煽っていた。特に賞金額が上がるほどどんどん溜める時間が長くなっていき、最終問題では一旦BGMが止まり解答者・みの・応援・テレフォンの人たちが映し出された。
ちなみに解答者が不正解を選んだ場合、みのの顔をよくよく見るとちょっと嬉しそうな顔をしている事も

また、12問目(250万円)以上はファイナルアンサーをすると「では、この○○○万円には戻れません!」*7という言葉と共に前の段階の小切手が破られるのも恒例の演出だった。

【番組の歴史】

当初は一般人のみの参加だったが、芸能人大会が好評だったことにより通常回でも芸能人が参加。毎回3人が参加するが「補欠ルーム」に待機し、1人終了後ごとに事前ペーパーテスト上位がスタジオに進出できた。尚、1回の放送につき大体3人挑戦のため必ず1人はスタジオにも行けず終了となる。

その後、芸能人が直接センターシートに座り挑戦する「エキシビジョンマッチ」が主流となり、一般参加も終了。以後の特番もその形態で行われた。
レギュラー放送で1000万円獲得した一般挑戦者は12人。有名人では馳浩が初。

レギュラー放送終了後も長きにわたり放送されたが、シーズン制放送及び定期的なルール変更で目新しさを保っている海外版に対しルールを変えなかったことからマンネリ化も生じ、「10問正解で2000万円」「後半5問は2択」という形にした「スーパー$ミリオネア」や海外版では導入されていた「制限時間制」を導入するも上向かず、2013年の特番を最後に放送されていない。

【余談】

らき☆すた」のとある話ではこのミリオネアが題材となった話があり、「放送の残り時間を考えると『この問題で不正解になるんだな』と分かってしまう」というネタがあった。
が、現在の世界各国のフォーマットでは収録が時間切れになった場合ブザーが鳴り、その場合次回はその人の挑戦の途中から行われる形式となっている。
当初の日本版でも同様のシステムが取られていたが、やはり挑戦者の負担や視聴者も「翌週観ないと結末が分からない」ということもあってか「1放送3人挑戦」というキリのいい形に編集しなおされており、問題カットが行われない海外版に対し序盤の1問目から5問目(成績次第では一気に10問目まで)がカットされ終盤の攻防をピックアップされるという良くも悪くも日本のテレビらしい編集にされていた。それだけに序盤がノーカットで進むと序盤不正解・0円終了フラグ。

また、前述の「みの溜め」もみのが「淡々としたクイズだけでは1時間持たない」ということから取り入れた物であり、本国イギリスのプロデューサーからも気に入ってもらい、イギリス最終回では「世界各国のフォーマットでも溜めが長い一例」として放送された。

トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~』の番組内コーナーで調査されたところによると、一番正解率の高い選択肢は C であると結論付けられた。
(その後、実際に1問だけ『ミリオネア』のスタジオで挑戦し、Cを選んでみたところ 見事に撃沈する というオチがついた。)
ところでこの時の調査では、さりげなく A の正解数が極端に低いことが明かされている(他は30%程度だったのに、Aだけ10%程度)。乱数プログラムの欠陥と思われるが、問題にならなかったのだろうか?

ミリオネア裁判

Q.マヨネーズの語源は?
A.海の名前 B.町の名前
C.人の名前 D.山の名前

と言う問題を出され、Cと答えて不正解となった解答者(正解はB)が、「Cでも間違ってはいない!!」と主張して裁判になったことがあった。
裁判所は正解設定権は番組にあるし、Cと言う答えも不合理とは言えないとして解答者を敗訴させている。

なお、マヨネーズの語源は諸説あってはっきりしておらず、町の名前というのは多くの書籍で採用されている有力な説の一つである。
ただ、人名説もあって紛らわしい問題であったことは間違いなく、裁判所も人名説を選択肢に盛り込んだことは配慮を欠いていたと番組にチクリと苦言を呈した。

派生作品

上述したが、この番組のインド版を題材とした「スラムドッグ$ミリオネア」という映画が存在する。
スラム出身の全く学のない青年がこの番組に出演して高額賞金まで後一歩というところまで到達するのだが、その出自ゆえに不正をしたのではないかを疑われるというストーリー。
後半の難しい問題を正解しているのに、序盤の簡単な問題でライフラインのオーディエンスを使っているという点も疑惑の種となっていた。
「なぜ青年は難しい問題の答えを知っていたのか?」という点がシナリオの軸となる。この番組が好きな人ならば一見の価値あり。


パロディ


当時一世を風靡した番組であるため、様々な媒体でパロディのネタとなった番組である。

同局で放映されていたバラエティ番組のめちゃ2イケてるッ!では
コーナーの一環として本番組のド直球パロディである『クイズ$マジオネア』が不定期に放送されていた。

この番組のセットやBGMなどをおそらくそのまま流用しているので再現度は非常に高く、
最初の早押し並べ替えクイズだけは本家さながらの難易度・臨場感を持って行われるが、
解答者は並べ替えクイズの成績に一切関係なく司会のおかもんたの指名により決定され、
肝心の問題は解答者のプライベート(主に男女関係)を暴露するものばかりで、正解はすべて"D"で固定されている*8

そのため、一部の解答者がわざと不正解の選択肢を答えたりドロップアウトを宣言して降りようと試みたことはあるが、
そのような行為はおかもんたが認めずにDの選択肢での解答を強要して強制的に続行する*9システムであるため、
解答者はわずかな賞金(通常全3問で賞金推移は10円→100円→1,000円、稀に全4問で10,000円)と引き換えに知られたくない秘密を全国のお茶の間の皆さんに暴露されるという、もはやクイズでも何でもない珍コーナーであった。
ちなみに、番組の構成作家であった鈴木おさむが森三中大島との結婚を公表させられたのもこのコーナーである。

なおライフラインのテレフォンが時々強制的に使用させられる事があるが、
電話の先には解答者の協力者どころか浮気相手や合コン相手が待ち構えており
相手の正体を悟った解答者が半狂乱に陥ることもあった。

ちなみにタイトルのマジオネアとは「MAJI・ON AIR」、つまり「マジでオンエアするの!?」という意味。


また昭和シェル石油のCMでもパロディが作られた。
内容はみのもんたに妙に似た司会者が「オイル交換のタイミングは?」と問いかけるもの。正解は「半年もしくは5000km」。
ファイナルアンサーの問いかけは「ファイナルオイルアンサー」と語感が悪くなったことと、みの役の声がやたらイケボな事を除けばかなりの再現度となっている。みの溜めも健在。


他にもミリオネアをオマージュしたと思しき作品として、2008年(深夜版)・2009年(全日帯版)に制作された日本テレビ系ドラマ『ザ・クイズショウ』が存在する。
個性的な司会者・ライフラインポジの「奥義」・会場のスタイルと類似点が多い…が、ドラマ中で「クイズ」となるのは回答者の暗いプライベート*10
いわばシリアスなマジオネアであり、こんな番組をセッティングした制作者の思惑に迫っていくサスペンスドラマとなっている。
ちなみにネプチューンの堀内健は『ミリオネア』・『マジオネア』・2009年版『ザ・クイズショウ』の3つ全てに登場する偉業(?)を成し遂げていたり。



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  • 2000年←日本
  • ファイナルアンサー?→ファイナルアンサー!
  • 視聴者参加型
最終更新:2025年03月01日 15:13

*1 日本における懸賞金額の自主規制が解除されたことによるもので、同時期には高額賞金を目玉としたクイズ番組が多数新設されていた。

*2 答えは森喜朗。

*3 ただし、一部の放送回では、時間制限が設けられていた事も

*4 後述のエキシビションマッチで挑戦者が子役の場合は小学生大会と同じく賞金が10分の1となっていた

*5 例えば、選択肢がなければ答えがおよそ分からないような問題で使うと選択肢伝達に手間取るが、選択肢がなくても知っている人は知っているような問題であれば、問題を伝えるだけでも答えが返ってくる可能性が出てくるので効果が上がる。

*6 フィフティ・フィフティを先に使うと、客席が投票しようと思っていた不正解の選択肢が消えることで適当・無作為に残りの二つの選択肢に票がいってしまい、正確性が著しく下がるため。

*7 もうドロップアウトできず、不正解ならその金額を持って帰れないという意味。

*8 メタ的にはこの選択肢がオチという見方からか。一度だけA,B,Cが正解になったことがあったが、それはD含め全ての選択肢が同じ内容だったため

*9 原口あきまさのみドロップアウトが認められたことがある。

*10 一応前半は普通のクイズだが、中盤になるとプライベートはおろか過去に回答者が関わったが現時点では刑事事件として逮捕・立件されていない犯罪行為に関するクイズが出題される。