巌見恒雄(龍が如く)

登録日:2022/08/19 (金) 13:45:30
更新日:2025/03/24 Mon 00:19:20
所要時間:約 15 分で読めます




『龍が如く6 命の詩。』の登場人物。

広島県の造船会社『巌見造船』の代表取締役社長。先代社長にして現会長・巌見兵三の実の息子。

巌見造船は世界でも有数の造船会社で、巌見グループとして病院や学校など広島中の様々な事業に手を伸ばしており、『巌見に弓を引いたら広島では生きていけない』と言われるほどの影響力を持つ。巌見造船からの圧力には広島最大の極道組織・陽銘連合会本家ですら逆らえない。
巌見家分家の子女ですら庶民とは住む世界が違うとまで言われるほど。サブストーリーで彼氏と入れ替わったお嬢様のこと。

彼は、会長として一線を退いた父の兵三に代わってその実権を握る人物であり、いわば広島の『表のボス』と言える。

見た目はビジネススーツに眼鏡といったサラリーマンを思わせる質素なもので、口調も冷徹さを感じさせつつも基本的には穏やか。総じて、『堅気』であることを全面に押し出した造形をしている。

CVとモデルは俳優の大森南朋。























巌見造船のこういった姿は、あくまで表向きのもの。
巌見造船の正体は陽銘連合会のフロント企業であり、会長・巌見兵三は陽銘連合会会長にして伝説の極道『来栖猛』と同一人物。

恒雄はその実子として、陽銘連合会の『表の顔』を担当する人物。
だが今の現状に満足せず、組織内で台頭して大きな派閥を持ち、次期会長の地位を虎視眈々と狙う野心家。
そして本作のラスボスである。


概要

元々来栖は『息子には日の当たる道を歩かせたい』との親心から恒雄に裏の稼業を継がせず、彼を巌見造船の社長に指名。
陽銘連合会の会長の座には若頭の小清水寛治を指名していた……のだが、こともあろうに恒雄は小清水を手懐け、自分の派閥に抱き込んでしまった。

そのため彼は立場上は完全な堅気でありながら、実質的に来栖に次ぐ陽銘連合会のナンバー2であり、組織内でも大きな影響力を持つ。
本家の内情に詳しい広瀬徹曰く、「ありがちな野心家の二代目だが、無能ではない」とのこと。

裏社会の均衡を保つために徹底して中立を貫く保守的な父に反発し、独自に他の組織と関係を結ぶなど来栖の意に沿わないことも平然と行うため、来栖も手を焼いているという。


人物像


伝説の極道 来栖猛の名は

俺が名乗るべき名だ!

冷徹ながら穏やかな見た目とは裏腹に、抑えきれない野心と凶暴性を秘めた危険人物。端的に言うとインテリヤクザ
そのビジネススーツの下にはコラ画像と勘違いしそうなほどはちきれんばかりの屈強な筋肉が隠されており、背中には白沢の刺青が彫られている。形から入るタイプ……?
そのため『所詮は堅気』と舐めていたプレイヤーは大きく裏切られることになる。

自分の才能は裏社会でこそ生きると確信しており、ヤクザに強い憧れを持っている。
そんな彼の目的は、陽銘連合会の跡目になり、伝説の極道『来栖猛』の二代目を襲名すること

父・来栖猛のことは超えるべき壁として尊敬しているが、同時に息子の自分に跡目を譲ってくれなかったことを憎んでもいる。
そのため父親への感情は愛憎入り混じった複雑なものになっている。少なくとも表面上の関係は冷え切っており、淡白な対応をすることが多い。

父との関係がここまで拗れた原因は、陽銘連合会のトップシークレット『尾道の秘密』にある。
来栖は政界のフィクサー・大道寺稔と繋がりがあり、大道寺のあるスキャンダルの物証を隠蔽する見返りとして政界に影響力を持っていた。
約40年前、来栖は懐刀の広瀬に命じ、『秘密』を知る古参幹部全員を口封じに抹殺させるという決断を下した。そのため現在は『秘密』を知る者は来栖しかいない…はずだった。

だが恒雄は、『尾道の秘密』の正体を知っていた
彼がそれを知ったのは子供の頃、松永という本家の幹部を通してだった。
松永は『尾道の秘密』を知る者が次々と消されていることに勘付き、次は自分が消されると恐れた。そして来栖の実子である恒雄に秘密の内容を教え、来栖への命乞いの交渉材料にしようとしたのである。
その後まもなく松永は消されたが、恒雄は幼いながらに『尾道の秘密』は陽銘連合会会長だけが知ることができるものだと理解してしまった。そしていずれ、父が自分に全てを託すとき、父が自分から『秘密』を明かしてくれるのを待つようになった。*1

だが恒雄が父から与えられたのは、陽銘連合会の表向きの姿である巌見造船の社長の地位。何十年待っても父は『秘密』を自分に話してくれなかったため、『自分は父から認められていないのではないか』と思い詰め、陽銘連合会の跡目として相応しい功績を積むために裏社会に手を伸ばすようになった。

恒雄が父と本音をぶつけ合い、父から『世界屈指の造船会社の社長になれれば満足すると思っていた』と言われたときは、自分の進む道を一方的に決められたことに激昂し、それ以降は自分の極道としての才能を誇示するような言動が多くなっている。

大企業の社長という誰もが羨む地位にいながら裏社会での覇権を目指す彼の真意は、単純な野心や強欲さではなく、『父親に認められたい』 という歪んだ愛情が根底にあると言える。
一方で、父が自分を跡目にしなかったのもまた愛情によるものだったと知った後も、反省するどころか開き直って悪事を繰り返すその姿は、龍が如くシリーズで度々見られる 『バカ息子』として描かれている。


謀略

『裏社会でこそ生きる才能』を自称するだけあって、謀略に関しては非凡な才能を持っている。
本編では『東城会再生計画』を掲げて神室町の利権を乗っ取ろうとしていたが、この複雑な計画をほぼ一人で取り仕切っていた。

ざっと並べてみても、

・中国マフィア『祭汪会』の跡目であるジミー・ロウの若さゆえの無鉄砲さにつけ込んで、総帥のビッグ・ロウに無断で神室町に進出させる。

・ジミーを酒で酔わせ、祭汪会が陽銘連合会に強く出られない理由を聞き出す。これにより祭汪会の弱みを握り逆らえなくする。*2

・名ばかりの地位にあり鬱屈していた東城会本家相談役・菅井克己を唆し、神室町亜細亜街で大火事を起こさせて焼け跡に祭汪会を引き込む。

・神室町で東城会vs祭汪会の見せかけの抗争を起こし、大吾真島が責任を追求され逮捕されるように仕向ける。これにより、自身の傀儡である菅井が会長代行として東城会の実権を握る。

・用済みとなった祭汪会を排除するため、ジミーの命を奪って東城会の仕業に見せかけ、見せかけだった抗争を本物にする。*3

・韓国マフィア『ジングォン派』の頭目ハン・ジュンギを金で釣り、ジミー暗殺の実行犯に仕立て上げる。その後も関係を維持し、東城会と祭汪会の抗争を煽らせる。

・どの勢力も疲弊してきたタイミングで陽銘連合会と東城会の盃交渉を進め、陽銘連合会が神室町に介入できる大義名分を手に入れようとする(ただし、これは来栖がわざと桐生を介入させたことで失敗)。

と、多少の粗はあったとはいえ、神室町で抗争を繰り広げていたほぼ全ての勢力の背後に恒雄がおり、桐生が戻ってくるまで神室町はほぼ詰んでいた

また、これらの勢力を抱き込むために巧みな人身掌握術を駆使しており、俗物である菅井には安易に手に入る地位を、功を焦る未熟者のジミーには手柄を、基盤さえあれば充分シマを持てるほど有能なハンには金をちらつかせ、警戒心の強いロウに対しては弱みを握って脅迫するなど、相手が求めるものを的確に提供し味方に引き込む能力を持っている。
恒雄の見た目もあり、この様子は次々に企業買収を行う有能な営業マンを彷彿とさせ、堅気出身である恒雄の大きな強みと言える。

特に注目すべきは本家若頭の小清水を自分の派閥に抱き込んだこと
小清水は武闘派ながら筋の通った男であり、しかも余計な真似をしなければ次期会長の地位が約束される身分でありながら、なぜか恒雄の下に降った。理由は明かされていないが脅しや甘言に屈する人間には見えないため、何か恩があったのかもしれない。

また、祭汪会と接触したときは中国語を日常会話レベルまで仕上げてきており、必要とあれば相応の努力も辞さない模様。

しかも厄介なことに完全に謀略頼りではなく、敵と相対することがあれば自ら戦いに臨むことも辞さない血の気の多い面もある。このときは口調も荒く暴力的になり、堅気らしさは完全に無くなる。
スーツの下に隠された肉体から放たれる打撃は半端ではなく、後頭部をビール瓶で殴打されてもノーダメージの桐生を、抵抗できない状況にあったとはいえただの拳でダウンさせている。

経営者として穏やかに振る舞う「表の顔」と、謀略と暴力で全てを支配する「裏の顔」を使い分ける自身が思い描く『二代目・来栖猛』になるためのスキルを極めた男だと言えるだろう。

卑劣さ

巌見恒雄という男を表す最大の特徴
目的のためならどんな手段も厭わない卑劣な面があり、実際堅気の人間を拉致して人質に取る外道の行いを作中で2回も行っている。
しかも用済みとなれば見せしめも兼ねて平然と人質を殺害しようとするなど、一切の慈悲はない。

だが同時にこれは彼の弱点でもあり、卑怯な手段を使って敵に勝てればいいものの、敵を倒しきれないばかりか必要以上に敵を怒らせてしまい、思わぬ反撃を食らうことが何度かあった。

特に桐生は、遥を的にかけられたことでかつてないほどブチギレており、『お前さえこの世から消えてなくなれば』『地獄まで付き合ってもらう』などと、彼を『殺す』ことを視野に入れた発言を、あろうことか遥の見ている前でしている
桐生がここまではっきりと殺意を抱いたラスボスは『0』の渋澤啓司以来である。

このあまりの卑劣さには桐生と同じく激しい怒りが湧いたプレイヤーも多く、シリーズのラスボスの中でもぶっちぎりの不人気

その飛び火は脚本のみならず、彼を演じた大森氏にまでも批判*4が来てしまう事態に発展してしまった。*5

これに関しては当時、本作が大人気主人公・桐生一馬の最後の物語であると銘打たれた作品だったため、そんな彼の『最後の敵』が恒雄のような卑劣漢だったということも批判が大きくなった要因であるのは否めない。
恒雄以下の小悪党染みた詐欺師は改心して評価が変わったというのに……。

一応擁護すると、本作では来栖やロウのように旧来のやり方に囚われたヤクザ達が凋落していく様と、染谷巧やハンのように新しいやり方に手を伸ばしたアウトロー達が台頭する姿、すなわち『時代の移り変わり』が描かれている。
以前のシリーズで極道のことを『必要悪』と表現したキャラクターがいたが、戦後の混沌の時代ならともかく、日本が国として安定した現代においては肝心の『必要性』は消失し、極道はただの『悪』に成り下がった。
言うなれば恒雄は、そんな『侠客』ではなく『悪党』となるべくしてなった新世代の代表であり、旧世代の代表である桐生と雌雄を決するために戦いを挑んだとも取れる。強さや格はどうあれ、そういった意味ではシリーズの節目を飾るラスボスとしては相応しい……かもしれない。

来歴

陽銘連合会との盃交渉のため尾道を訪れた東城会幹部・染谷に会うため桐生が迎賓館に殴り込みをかけたとき、陽銘連合会側の首脳部の一人として初登場。
この頃から、立場上は堅気でありながら組の重要な決定にも口を挟める油断ならない人物であることが描かれていた。

本人の本格的な登場は最終章まで待つことになるが、彼の謀略に関与した人間からの伝聞で彼が黒幕であることと、その本性が明らかにされていく。
桐生は本来、遥とその子ハルトを狙う者を突き止めるのが目的であり、陽銘連合会と事を構える理由は無かったのだが、桐生の子分同然である大吾を嵌めて刑務所送りにしたことから桐生にとっても無視できない相手になっていく。

そして桐生が諸事情により『尾道の秘密』の秘密を暴いてから本格的に動き出す。
秘密を暴かれることはさすがの彼でも想定外だったようだが、これを好機と捉えすぐさま大道寺に連絡を取り『秘密が暴かれたのは来栖の責任』と吹き込む。実際には、秘密に繋がる手掛かりを持っていたロウを怒らせた恒雄の責任の方が遥かに大きいのだが。
『尾道の秘密』は暴かれたものの、そこに繋がる陽銘連合会と政界の癒着を引き続き隠蔽し続ける『新たな番人』としての地位を確立し、秘密を守れなかった制裁として小清水に来栖を殺させた。

大道寺はもはや余命幾ばくもない危篤状態だったが、秘密を暴いた桐生を彼が死ぬ前に始末すれば恒雄を二代目来栖猛と認めるとのお墨付きをもらい、恒雄は桐生の首を狙う。
染谷からの情報で自分だけでなく協力者である広瀬一家、遥とハルトまで狙われていると知った桐生は、身内全員を連れて陽銘連合会と東城会から逃げ切るのは不可能だと判断してこちらから攻め込むことを決める。
恒雄の腰巾着である東城会会長代行・菅井を狙ってミレニアムタワーの事務所に殴り込みをかける桐生だったが、そこで待ち構えていたのは菅井でも恒雄でもなく、染谷だった。

実は桐生と染谷の密会は目撃していた小清水を介して恒雄の耳にも届いており、裏切り者の染谷への制裁として、恒雄は染谷の元妻である笠原清美を拉致して人質に取り、染谷を桐生を倒すための捨て駒に変えたのだった
そして映像越しに人質の清美を見せつけ桐生に染谷を殺害するように迫る。桐生には自分を殺せないと察した染谷は、日本刀で切腹して致命傷を負う。だが恒雄は、瀕死の染谷の前で小清水に清美を撃ち殺させるという鬼畜の所業でそれに応えた。
戦友・染谷と恩人・清美の余りにも救いのない最期、それを目の当たりにした桐生は、既に映像の消えた液晶画面を拳で割り、悲痛な声を発したのだった……。

その後、恒雄が来栖の葬儀の後、まだ桐生を倒せてもいないのに二代目来栖猛の襲名式を開き、広島中の極道を召集していると広瀬一家若頭の南雲から聞いた桐生は、広瀬一家の若衆たちを神室町に残し、清美を愛していた南雲1人だけを連れて決死の特効を仕掛ける。
(大道寺が死にかけてるのに何やってんだとツッコミたくなるが、大道寺のシンパたちは国政の中枢に入り込んでいるため、大道寺本人に拘らなくてもいいと判断したのかもしれない)

決死の二人相手に雑魚など相手にならず、腹心の小清水まで倒されてしまうが、ここに来て恒雄は最後の切り札を出す。
なんと、東京で伊達明が匿っていたはずの遥とハルトを人質として連れてきたのだ。
実は恒雄は、政界とのパイプを使って警察上層部に圧力をかけ、『伊達が監禁している少女と赤ん坊を保護せよ』という正規の命令を出させるという反則技を使ったのだ。*6

女とガキを死なせたくなきゃ
指一本動かすな!

背中の刺青を顕にした恒雄は、抵抗できない桐生を一方的に殴打しながら自分こそが来栖猛を名乗るに相応しいと勝ち誇る。
だが、神室町に残してきたはずの広瀬一家の面々が乱入し遥たちを奪還したことで形勢は逆転。怒りの桐生と巌見恒雄の最後の戦いが始まる。

俺と一緒に
地獄まで付き合ってもらうぜ

巌見のぼっちゃん

貴様…!

所詮は実戦経験のない堅気が伝説の龍に敵うはずもなく、あっさり敗北。
息も絶え絶えになりながら命乞いするも桐生は止まらないと分かると、道連れに遥とハルトを撃ち殺すよう菅井に命じる。
恒雄は桐生の追撃で気絶するが、菅井の放った弾丸から遥を庇った桐生は…。

恒雄が破れたのと同じ頃、大道寺もひっそりと息を引き取った。誰も看取る者もなく豪華な部屋で一人寂しく死んでいくその様は、権力に溺れた者の末路を感じさせるものだった…。


全てが終わった後、恒雄は警察に逮捕された。具体的に何の罪で捕まったのかは不明だが、『尾道の秘密』を知っている以上、彼に明るい未来は無いだろう。
陽銘連合会の跡目は小清水に決まった。元々彼が若頭なので元鞘に収まったと言える。巌見造船の跡目はあの入れ替わったお嬢様だったりして…。

また、小清水に殺されたはずの清美は実は生きていたことも明かされた。小清水が空砲を使って彼女を殺したように見せかけ、密かに匿っていたらしい。
卑劣な命令を下したあの時点で恒雄は既に腹心からの求心力すら失っており、もし恒雄が二代目を襲名しても伝説の極道を名乗れるだけの男になれたとは思えない。どっちみち三日天下だっただろう。
そう言った意味では『5』の青山に通ずるところもある。


戦闘面

弱い。本当にシリーズ最弱の弱さ。
ラスボスにしては攻撃力がやや高いこと以外は特筆すべき点が無く、攻撃含むあらゆる動作も相沢並みの大振りで見切りやすいうえに強化具合によってはいずれも食らってもそこまで痛くない。
『6』の仕様で体力ゲージが1本しかない上、直前に戦う小清水と違って復活もしないため耐久力も低く、桐生の強化が十分だとアッサリ終わってしまう。
単純な強さやキャラクターとしての格の面でも、広瀬や染谷の方がラスボスとして相応しかったのでは、という声も多い。
対決時に表示される肩書きが「陽銘連合会会長」ではなく、あくまで「巌見造船代表取締役社長」である点や、小清水のように復活しない点も、所詮彼では本物の極道にはなれないという限界を示しているとも取れる。


余談

作中では徹頭徹尾外道として描かれている巌見恒雄だが、実は細かく見てみると桐生と対照的な要素が非常に多いキャラクターでもある
単純に人間性や格の違いといった面でも真逆だが、まずざっと挙げてみると桐生は、

  • どうあがいても裏社会との繋がりが切れず、堅気に成り切れない極道者
  • 非常にタフで腕っぷしが強いが、細かい策を立てたり相手の目論見を見破るのは苦手
  • 精神的に大人で子をもつ親であり、義理の親へも深く感謝している

それに対して恒雄は、
  • 背中に墨まで入れるほど極道に憧れ、自分から裏社会にどっぷりと浸かっていった堅気
  • 周到な陰謀を張り巡らせて人を操る能力に長けるが、単純な腕力はシナリオ的にもゲーム的にも弱い
  • 実の親からの愛に飢え、認めて欲しいあまり手にかけるほど憎んでしまう

特に3つ目の要素は大きく、遥やアサガオの子供達と関わって名実ともに『親』となった桐生に対し、父親から「裏社会の地位」という欲しいものが与えられないと激昂し暴走する恒雄はまさしく『子供』のようであり、本作全体のテーマである『家族』を総括する意味では相応しいラスボスとも考えられる。

なお、作中では母親(来栖の妻)についてまったく触れられてないが、染谷一家・遥とハルト母子への執拗かつ異常なまでの殺意を見るに、どうも『母親』という存在そのものに強い憎悪を抱いているかのような傾向が見受けられる。
一説では「恒雄は母親から捨てられたか、(教育虐待や過保護・過干渉などの)虐待みたいなものを受けて、母親の愛情を一切知らずに育ったのではないか?」という声も。
それを考えると、劇中で来栖があまり息子に対して強い声で叱責できず、煮え切らない態度を取っていたのも、来栖自身もその事に対して息子に負い目を感じていたから……と考えると、納得がいくものがあるだろう。
父の愛情は上手く伝わらず、母からは愛されず……恒雄の精神が歪んでしまったのは、そうした家庭環境も要因の一つであった可能性もあり、
ある意味では巌見恒雄という男は、恵まれた地位や富とは裏腹に、シリーズトップクラスに「寂しい」男だったと言えるのかもしれない……。


龍が如くONLINEでは

後に配信したソーシャルゲーム『龍が如くONLINE』には2021年のイベントで実装。そして本編に語られなかったシナリオ(時系列は菅井の自殺後)が補填された。

戦いに敗れて意識を失っていた恒雄は、桐生達が場を離れる途中で意識を取り戻す。だが、いち早く回復した小清水がハルトも桐生も始末できず、離れる様子を見て敗北したと悟る。
しかし、事態を隠蔽するためにどうしても始末したいと諦めの悪さを見せて小清水に命令するが……。

「警察操って人質まで用意して、卑怯な手まで使うてそんでも負けたちゅうに、まだそげな事を言うとるんか? 引き際察して自害した菅井の方が、アンタよりよっぽど立派な極道ですわ……」

そう言って、一蹴。
自分の保身しか考えず、極道の生き方を知らない坊ちゃん育ちの恒雄に陽銘連合会会長は務まらないと、冷たく告げるのであった。

また、来栖が恒雄へ陽明連合会を継がせなかった理由について、彼はこういった事態を前々から予見していたためと明かした。*7
上述のある通り、恒雄に務まる器ではないと来栖は大方理解していたのだろう。小清水が知っている口ぶりはそのため。

そして器関係なしに継がせなかったもう一つの理由は法律で、厳しくなった極道社会のバランス。
来栖は法律によって近々極道が支配する力が薄まると把握。そこで巌見造船を発展するための表の力、極道社会で支配する裏の力を均等にするよう今まで合理的に広島を支配していた。
つまり恒雄が知らずとはいえ、合理的なやり方を潰した(潰す)こととなる。

恒雄は諦めた表情で「もう全て手遅れだ…」と告げて逮捕されていった。

ちなみに、前日譚ではオマール海老が好物であることが発覚した。
また、『0』にはオマール石川と呼ばれるキャラが出ていたりする。恒雄と同レベルの小物だけど

龍が如く7 外伝では

キャッスルの闘技場をすべてクリアすると挑める『南田グランプリ』にて巌見をモデルとしたロボット、M-IWMが登場する。
…が、他のラスボスに対応したロボットの顔には全てラスボスの顔が表示されているのに対し、巌見のロボットのみ眼鏡だけとなっている。
メタ的な事情で言えば、巌見のモデルである大森氏を使用できなかったからと推察されるが、「何でコイツだけ眼鏡なんだ?」「(桐生の記憶から生まれた敵という設定から)桐生にとって眼鏡しか印象に残ってなかった」とネタにされた。
なお強さとしては体力ゲージが増えた関係上、巌見よりも強い。故に「投げ捨てた眼鏡が本体だった」と言われることも…





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最終更新:2025年03月24日 00:19

*1 完全に余談だが、この松永という幹部は本編で登場する広瀬一家組員・松永孝明の父親。恐らく広瀬の回想で登場した戦艦大和のプラモデルを持った男だと思われる。本編で松永が戦艦大和のプラモデルを作るシーンは後から見ると色々な意味で感慨深いシーンである。

*2 これは恒雄の功績というより、ジミーがアホすぎたことによる棚ぼたの可能性が高いが……。

*3 本当はボスのロウを殺すつもりだったようだが身代わりになったらしい。ロウは息子を殺した黒幕に勘付いていたが、抗争が大きくなりすぎて抑えきれなかった。

*4 言うまでもないが大森氏はあくまで彼を演じただけにすぎず、とんだとばっちりである。大森氏の演技自体にも賛否は分かれているが、中には単なる批判を通り越した誹謗中傷や所属事務所である『アパッチ』へ誹謗中傷する者も現れ、両者は切り分けて考えるべきである。

*5 余談だが、宇佐美勇太を演じた藤原竜也氏も同じような批判を受けていた。芸能界まで巻き込む事態に発展させてしまった龍が如くスタジオ(セガ)はこの反省を機にゲスト俳優を演じるキャラ設定を細かく作るような安全への配慮が施され、製作の提供方針が変更された。

*6 実際、伊達が匿っている二人は未成年であり、本人の同意があっても罪が成立するおそれがある。また本来それを許せる保護者の桐生も、遥の養子申請をしておらずあくまで養護施設の管理人という立場故、法律上親と言えるかどうかグレーであるということは本作序盤で示されている。伊達を立件することは難しくても、遥とハルトを確保する口実としては割と理にかなっている。この辺りは1作目から指摘されており、痛いところを突かれた形になる。

*7 元から小清水は口止めされており言わなかった。