ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

登録日:2022/11/18 Fri 05:56:21
更新日:2025/01/18 Sat 10:07:07
所要時間:約 23 分で読めます


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◆ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー







想いは、受け継がれる。

















『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(Black Panther: Wakanda Forever)』とは、2022年11月11日に日米同時公開された米映画。
MARVEL社のコミックヒーロー「ブラックパンサー」の実写映画化作品第2弾であり、2018年公開の映画『ブラックパンサー』の続編。
MARVELコミックヒーロー映画化シリーズ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の映画通算30作目にしてフェーズ4の映画第7弾。また、フェーズ4の最終作として製作された。*1




概要


前作は、公開当初、全世界から絶賛の声が寄せられ、予想を遥かに上回る大ヒットを記録。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を上回る勢いだった。
そして、主役であるティ・チャラ/ブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンには惜しみない称賛が浴びせられた。

そして、続編である本作は当初、『アベンジャーズ/エンドゲーム』後のティ・チャラ統治下のワカンダを描く予定だった。
無論、主演はボーズマンが続役し、脚本の準備も着々と進められていた。


……しかし、信じられない悲報が飛び交った。
2020年8月28日、チャドウィック・ボーズマンが大腸がんで急逝したというのだ。
実はボーズマンは2016年の時点で大腸がんに冒されていたことが発覚しており、治療を並行しつつ映画の撮影に臨んでいたのだ。
そして、アニメ『ホワット・イフ…?』のアフレコを終え、本作の脚本の直しの最中、発病。治療の甲斐なく、この世を去った。

アメリカ中のヒーローであったボーズマンの死にはファンのみならずMCU関係者からも深い嘆きの声が上がった。
殊に、黒人にとってのアイコニックヒーローであるブラックパンサーを演じた彼は、多くの人の支えになっていたからだ。

同時に、既に製作発表がされていた『ブラックパンサー』続編の行方がファンの間では様々な噂となった。
「代役を立てるのか?」「別のキャラクターに継承するのか?」「CGによって本人を再現するのか?」等々……。

そして、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは声明を出した。
それは、「ティ・チャラのリキャストは行わない」ということ。

ブラックパンサーの功績はチャドウィック・ボーズマンによるもの。そして、今の世界はまだ彼を失った最中であり、リキャストは時期尚早なのだと。

こうして、『ブラックパンサー』の続編の計画は大きく見直され、物語のテーマの一つに「ティ・チャラの死」が加えられた。
今作では徹底して「ティ・チャラの喪失」と、その影響から目を背けられない現実が描かれており、否が応でも「ブラックパンサー」の不在を痛感させられる作品となった。
そのために、遺されたシュリやラモンダ、ナキアやオコエといったワカンダの人間達の関係が大きく変化し、その悲しみが大きな壁となって立ち塞がっていく。

ワカンダに立ち塞がるのはティ・チャラの死だけではない。諸外国からの圧力、そして同じヴィブラニウムを保有する海底国家「タロカン」の存在だ。
地上への攻撃の第一目標とされたワカンダは危機に瀕し、世界から孤立していく。
そんな中で、シュリをはじめとするワカンダの人間達はどうするのか。その真価が問われる。
ゆえに、今回は国家間の政治劇、そして戦争映画としての側面が強くなっており、ただでさえチャドウィック・ボーズマンの死を痛感させられる作風と相まって終始重苦しい雰囲気が充満しているが、最後にはその「死」を受け入れることで希望を抱かせる作品となった。

これまでの作品ではサブキャラにして快活なキャラクターだったシュリが主人公に昇格。兄の死により心に影を落とし、今までとは異なる魅力を出している。
出演陣には、レティーシャ・ライト、アンジェラ・バセット、ルピタ・ニョンゴ、ダナイ・グリラ、ウィンストン・デュークら前作のキャストが勢揃い。
さらに、ヴィランであるネイモアには、メキシコ人俳優のテノッチ・ウエルタ・メヒアが抜擢された。

監督は前作に引き続きライアン・クーグラー。ティ・チャラの死から目を背けず、その喪失に真摯な作風を貫いた。

主題歌はリアーナの「LIFT ME UP」。





ストーリー


世界最強の金属「ヴィブラニウム」を有するアフリカの秘密国家・ワカンダ。
父の死や復讐鬼キルモンガーの国家転覆といった困難を乗り越えたティ・チャラ王は、鎖国状態だったワカンダを開国することを決意。
世界中に支援センターを設け、サノスとの戦いでもアベンジャーズを支援し、ワカンダの新たな一歩を踏み出した。

……だが、サノスとの最終決戦から間もない頃、ティ・チャラの体は病魔に蝕まれていた。
妹のシュリが懸命な治療法の模索を行うも間に合わず、偉大なる国王ティ・チャラは無情にもこの世を去ってしまった。

その後、ワカンダは母のラモンダが女王として統治し、シュリは自分の無力さへの悔しさを拭いきれず、研究に没頭していった。
だが、守護神ブラックパンサーを失ったワカンダは無防備であるとして、諸外国からヴィブラニウムの技術を狙われることにもなってしまう。

そして、ティ・チャラの死から1年後、ワカンダの海から突然一人の男が現れる。
その男とは、大西洋の奥深くに存在する海底国家「タロカン」の指導者のネイモア。彼は「我が国タロカンのヴィブラニウムが地上の国に狙われている。ヴィブラニウム探知機を作り出した科学者を我々に引き渡せ」とラモンダに要求。
タロカンはもう一つのヴィブラニウム鉱山の恩恵で圧倒的な兵力を有していたのだ。

やむなく、件の科学者、リリ・ウィリアムズを探してワカンダに連れ帰り、保護することにしたシュリとオコエ。
そこでタロカンの襲撃を受けたシュリは、誘拐されるリリを助けるために一緒にタロカンへと向かった。
タロカンの人々の暮らしと垣間見、ネイモアとの対話で彼の国への慕情と地上への憎しみを知ったシュリは複雑な心境となる。
やがて、ラモンダの命を受けて救出に来たナキアにより二人はワカンダへと逃げ込む。

しかし、タロカンとの同盟をシュリが拒否したことにより激怒したネイモアが軍を引き連れてワカンダを強襲する。
圧倒的な戦力になす術もないワカンダ。そして取り返しのつかない悲劇が起こる。

激動の世界に揺れるワカンダとタロカン。その中で、シュリが取る道は?彼女は偉大なる兄の死にどう向き合うのか?

今、新たなるワカンダの守護神が誕生する。





登場人物



ワカンダ王国


  • シュリ
演:レティーシャ・ライト/吹き替え:百田夏菜子
今作の主人公。
ワカンダの王女にしてティ・チャラの妹。そしてワカンダ一の頭脳を持つ天才科学者。
兄の病を知り、自分の持つ頭脳を懸命に活用して治療方法を確立させようとしたが、その甲斐なく兄を失い、失意の底に落ちてしまった。
そのために、兄が生きていた頃の快活な性格は鳴りを潜め、研究に没頭しながら世界に行き場のない怒りと悲しみを抱くようになった。
その度に母ラモンダからは「死の受け入れ方」を教えられるも、それを窮屈に思ってきた。
オコエの発案でヴィブラニウム探知機を開発したリリを探しにアメリカへと向かい、彼女と意気投合したのも束の間、
タロカンに誘拐されそうになったリリを助けるために自分もタロカンへと連れて行かれる。
そして、ネイモアの国への慕情と母親への愛、そして地上の世界への憎悪を知り、自分と重ね合わせ複雑な気持ちになる。



  • ラモンダ
演:アンジェラ・バセット/吹き替え:幸田直子
ティ・チャラとシュリの母でワカンダの現女王。
息子を失った悲しみに耐えながら女王の仕事に邁進し、諸外国の脅威にも恐れることなく威風堂々と対応し、彼らを圧倒していた。
ティ・チャラの死を受け入れられないシュリにも、「別れの儀式」を済ませることで悲しみから立ち直らせようと助言するなど、愛情を注いでいる。
女王と母親の二足の草鞋を立派にこなしているようにも見えるが、反面、唯一の肉親であるシュリに執着しており、彼女が関わると目が曇り、
  • 反対したにもかかわらず押し切ってシュリを外に出て行かせた結果、タロカンに攫われた失態を犯したオコエを問答無用で解雇*2
  • 「どんな手を使っても構わない」とナキアにシュリ奪還を命令し、結果タロカンの侍女が死んで事態を致命的に拗らせる
……といったような暴走してしまう危うい面もあった。
しかし、タロカンに命を狙われるリリを見殺しには出来ないと、彼女を匿い守ることを誓っている。
別れの儀式の最中には、生前のティ・チャラについてシュリに言ってなかった事があるとして、
彼女にそれを告白しようとしていたが、ネイモアの出現により言う機会を逃してしまう。




  • ナキア
演:ルピタ・ニョンゴ/吹き替え:皆川純子
ティ・チャラの恋人で工作員組織ウォー・ドッグの一員。
サノスの「指パッチン」でティ・チャラが消滅した際、その辛さに耐えられずにワカンダを去り、
ティ・チャラの復活とその後の病死の時も、ワカンダから離れ続けていた。
彼女にとってはティ・チャラは「王」ではなく、「一番大切な人」であり、唯一無二の存在だったのだ。
現在はハイチの小さな町で小学校の校長をしており、沢山の子供達に囲まれて戦いから離れていた。
だが、シュリがタロカンに攫われて打つ手がなくなったラモンダに、彼女の奪還を依頼され、再び工作員としての仕事に復帰。
工作員とだけあって、潜入の腕と殺人に躊躇のない様子はまさしくプロと言える。



  • オコエ
演:ダナイ・グリラ/吹き替え:斎賀みつき
ワカンダ王族親衛隊ドーラ・ミラージュの隊長。
相変わらずスキンヘッドが凛々しい最強の槍使いで、アーマースーツをシュリに勧められているが「槍こそ最強」と拒否している。
私服は若干派手で、本人はあまり自覚がなく浮世離れしてお茶目な面が目立った。
シュリとは軽口を叩き合う仲で、彼女の破天荒なところには苦労している様子。
また、前作から相変わらず諸外国の技術や文化を見下しがちな良くない一面も。
シュリに気を遣って気分転換させるため、科学者探しとしてアメリカへと同行させるが、結果リリとシュリをタロカンに連れ去られ、激怒したラモンダによりドーラ・ミラージュを解雇されてしまう。
この時、前作でキルモンガーの側に就いたことを少なからずラモンダから恨まれていたことが発覚している。
その後はワカンダの一般市民となるが……。



  • エムバク
演:ウィンストン・デューク/吹き替え:木村昴
ワカンダの山奥に住む部族・ジャバリ族の族長。
かつては除け者にされていたジャバリ族だが、現在は評議会への出席も許可されている。
いかにも脳筋に見えるが、こう見えても族長らしく博識かつ事態を冷静・現実的に見ている面もある。
当初はあくまで穏便に進めようとする他族長とは異なり、「横暴に対して譲歩すれば相手は付け上がる」と徹底抗戦を主張していた。

ワカンダ代表6部族の一つを率いる身としてこう見えて国と市民を守る為には全力を尽くす構えであり、
タロカンのワカンダ襲撃の際には溺れかけた市民の救出にいち早く駆け付けている。
ネイモアは当初「自分が倒す」と殺る気満々だったが、真っ先に立ち向かうも自慢の杖をへし折られた挙句ワンパンで吹っ飛ばされた。
甲冑を着なかったらやばかった…



  • アヨ
演:フローレンス・カサンバ/吹き替え:織部ゆかり
ドーラ・ミラージュの副隊長。
オコエが解雇された後は後釜の隊長へと昇格した。
実は同性愛者であり、隊員のアネカと結婚している事が発覚した。


  • アネカ
演:ミカエラ・コール/吹き替え:平野夏那子
ドーラ・ミラージュの隊員。シュリとも仲が良い模様。
槍ではなくシュリが作成した『エナジー・ダガー』という電磁ナイフの二刀流を愛用し、オコエからは伝統の非遵守をたしなめられている。
アヨとは結婚しており、戦闘でもタッグを組む仲。



  • グリオ
声:トレヴァー・ノア/吹き替え:川島得愛
シュリのサポート用人工知能。
シュリ専用ではなく、ワカンダの王族関係者なら誰でもアクセス権がある。
研究のサポートだけでなく、遠隔操縦、戦術分析等、多機能に富んでいる。
早い話、シュリ版ジャーヴィス。


  • 部族の長老達
ジャバリ族・王族以外の4部族を代表する4人の長老。ボーダー族のウカビを除き前作から引き続き登場。
諸外国の脅威に憂いているものの、悪く言えば保守的なのでロクにいい解決策を導き出せずにいる。
エムバクからは「キルモンガーを受け入れた」ことで責められており、ラモンダもそれを内心思うところがあったようだ。


  • ティ・チャラ
演:チャドウィック・ボーズマン
父ティ・チャカの後を継いでワカンダの国王となったシュリの兄。
高潔にして愛国心に満ちた、まさしくワカンダの希望となる王だった。
しかし、サノスとの戦いの直後に難病を患い、長らく隠していたが、深刻になった時にシュリに治療を依頼。
だがそれは手遅れで、彼女が治療法を見つける前に逝去した。


  • ウカビ
オコエの恋人でボーダー族の元族長。
直接は登場せず、言及のみされた。
前作でティ・チャラに見切りをつけてキルモンガー側に就き、国家反逆の罪で逮捕された。
演じるダニエル・カルーヤは『NOPE/ノープ』の撮影があったため参加出来なかった。





タロカン帝国


  • ネイモア・ザ・サブマリナー
演:テノッチ・ウエルタ・メヒア/吹き替え:浪川大輔
タロカン帝国を統治する「神」である「ククルカン(翼ある蛇)」。
名前の「ネイモア」は自分を初めて見たスペインの宣教師の罵声である「愛のない子供(El niño sin amor)」から取られた。
ヴィブラニウムに生えた草を飲んだ人間の母親から生まれた最初のタロカン人であり、遺伝子の突然変異により普通のタロカン人とも異なる特徴を持ったミュータント
ハルクやソーに比肩するパワーと凄まじい戦闘スキルを併せ持ち、水中では生身でも地上以上のスピードで泳げるうえ、更には足首に生えた小さい羽で縦横無尽に空を駆ける。
陸海空全てを制覇する戦闘シーンはまさに圧巻。

タロカンの国も想うとともに、自分を育てた母親を愛していた。
しかし、幼少期に母を弔うため地上に上がった際に奴隷を酷使するスペイン人に絶望。
彼らを焼き尽くした上、部族を村から追放し母の死の遠因となった地上の大国に激しい憎しみを抱き、地上の征服を夢見ている。
それらは全て「タロカンを守るため」ではあるが、そのためには手段を選ばず、如何なる残虐な手段も平然と使う冷酷さを持つ。
愛する人を失い、世界に憎しみを抱いているシュリに共感し、彼女に期待を込めてワカンダと同盟を組んで大国を滅ぼそうと持ち掛けるが拒否され、更には侍女も殺されて激昂。
シュリやワカンダを敵とみなし、全面攻撃を仕掛ける。

ほかのタロカン人とは違って水上に上がっても肌が青くならず、皮膚を使って呼吸をしており、そこが弱点となる。

  • アットゥマ
演:アレックス・リヴィナリ
  • ナモーラ
演:マベル・カデナ
ネイモアの補佐を務める、大柄な男アットゥマと、細身の女ナモーラの二人組の将軍。
いずれも、ネイモアを慕っているが、敵に対しては容赦なく、格下相手でも残虐に殺す強敵。



アメリカ合衆国


  • リリ・ウィリアムズ/アイアンハート
演:ドミニク・ソーン/吹き替え:早見沙織
MIT(マサチューセッツ工科大学)に通っている19歳の少女。お喋りで人懐っこい性格。
まだ未成年にもかかわらず天才的な工学の才能を持っており、今回の騒動の発端となったヴィブラニウム探知機を科学の授業で開発した。
昔から継父の教えで機械いじりが好きで、ジャンク品を趣味で改造するうちに大の得意となった。しかし、教授からは若い才能をやっかまれている模様。
普段は課題の代行で高額な報酬を得つつ、ガラクタを駆使しての発明に没頭している。
自信作はトニー・スタークさながらのアーマースーツであり、高機動の飛行やブラスター砲を装備させている。
タロカンの存在を脅かす者としてネイモアから狙われ、ワカンダが保護することになるが、誘拐されたり命を狙われたりと翻弄される。
タロカンとの戦争が決定的になるとワカンダへの協力を決意し、同国の技術を併用してのアーマースーツ「アイアンハート」を自ら完成させ、抜群の戦力となった。


  • エヴェレット・ロス
演:マーティン・フリーマン/吹き替え:森川智之
ティ・チャラを助け、また彼に助けられ恩義に感じているCIA捜査官。
今や「ワカンダの専門家」として一目置かれている一方で、世界から孤立を深めるワカンダとの接点から上層部から危険人物扱いされており、任務外のワカンダとの接触があると即逮捕されるという状況にある。
今作でヴァレンティーナの元夫であると判明。離婚した現在も上司の彼女からいいように翻弄されている。
ヴィブラニウム探査機の科学者探しへの協力をシュリ達から依頼され、秘密主義の多いワカンダに困惑しつつも協力。
やがて、ワカンダを襲う別の脅威の存在にも気付くが、上層部がワカンダの弱体化を狙っていると知り、徐々に追い詰められていく。

  • ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ
演:ジュリア・ルイス=ドレイファス/吹き替え:藤貴子
フェイズ4から何度も登場している謎の女性。今作でCIAの長官であると判明。
また、原作ではニック・フューリーの妻だったが、MCUではエヴェレット・ロスの元妻だった。しかし元夫に対しても容赦なく、自分の目的のために利用しようとしている。
ヴィブラニウム掘削船の惨殺事件やボストン周辺の事件を全てワカンダの仕業と見なし、ロスに詮索を入れている。
そんな彼女の最終目標は、ヴィブラニウムをアメリカの手中に収めるため、ワカンダに戦争を持ち掛けることらしい……。


  • グラハム博士
演:レイク・ベル/吹き替え:林真里花
アメリカの海底ヴィブラニウム掘削作業の責任者の女性。
掘削船がタロカンの襲撃を受け、ヘリで逃走しようとしたが、ネイモアにヘリごと海に叩き落され死亡。
ちなみに、演者は『ホワット・イフ…?』でナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウの声を担当していた。





キーワード


  • タロカン帝国
大西洋のユカタン半島付近の海底に位置する海底人の国。
16世紀、メソアメリカ文明の先住民がスペインの征服者に村を追放され、また彼らが持ち込んだ疫病に苦しんでいたところを、
シャーマンが得たお告げで海中に生えた「青い草」を発見、薬にして飲んだことから肉体が変質。
海中でしか生活出来ない体となり、海に落ちたもう一つのヴィブラニウムの隕石を使い、海底に文明を築き上げた。
ヴィブラニウムを使って開発した人工太陽が街を照らしており、人々は豊かな生活を育んでいる。
しかし、戦闘となると海生生物を駆使した機動力や圧倒的な歩兵数、そして高い回復力を利用した絶大な戦力で敵を蹂躙する。
ネイモア以外のタロカン人は水中でしか呼吸ができない為、基本的に地上で活動する際には口元と鼻を海水を含んだ半透明の青いマスクで覆わなければいけない。
母語はユカテコ語*3で、挨拶する際にはおそらくサメか何かの口を模したと思われる顔の前で両手を揃えて掌を見せるドラゴンボールかめはめ波を打つ時のようなポーズを取る。

なお、原作では伝説の国「アトランティス」だが、恐らく『アクアマン』と被ることを避けたため変更されたものと思われる。


  • 催眠音波
タロカン人が発する特殊な音波。
歌声のように聞こえるそれは、地上の人間を催眠状態にし、自分から海へと飛び込みさせ溺死させる恐るべき能力を秘めている。


  • 神秘の草
タロカン人に力を与えたヴィブラニウムの隕石の上に生えている草。
これを飲んだ人間は高い回復力と強靭な肉体を与えられる代わりに、鰓が生えて水中での生活のみが可能となる。
タロカン帝国の始祖の一人であるネイモアの母は当時ネイモアを身籠っていたため胎児への悪影響を心配して飲むことを拒否したが、
「生まれた子をタロカンの最初の王とする」と説得された事で最終的に承諾、結果産まれた彼には他のタロカン人とは異なる特徴が生じた。
彼女の形見であり、件の「王の証」のブレスレットにも、この草が使われている。


  • 水爆弾
タロカン軍最大の武器。
これを投げつけ、爆発させると中から大量の水が噴き出してくる。
強い水圧と共に大量の水が叩きつけられるので、強化ガラスを吹き飛ばし、巨大戦艦をも傾かせる絶大な威力を誇る。


  • ワカンダ王国
前作において国の過ちに気付いたティ・チャラが開国したアフリカの超大国。
しかし、ティ・チャラの死によって一気にヴィブラニウムを手に入れるための格好の標的となり、諸外国への警戒心を強めてしまった。
さらに、タロカンからの圧力と諸々の悪事の濡れ衣を着せられ、ますます世界から孤立していく。


  • ヴィブラニウム
ワカンダが世界に公開したために世界のバランスブレイカーとなった宇宙最高級の金属。
金属探知機をすり抜ける性能があるためいくらでも密輸が可能となり、
また武器に使えば大量破壊兵器の製造も容易になるとして、諸外国が血眼になって狙っている。
ワカンダはそれを阻止しようと牽制を続けていたが、もう一つのヴィブラニウムの隕石を持つタロカンの存在が、ワカンダの立場を更に危うくさせることとなる。


  • ヴィブラニウム探知機
リリ・ウィリアムズが開発した、如何なる場所のヴィブラニウムの場所を探知出来る装置。
元はリリが科学の授業で、「絶対に無理」と教授から馬鹿にされたため、躍起になって開発して見せたもの。中にはジャンク品も材料に使われている。
結果、CIAに利用され、タロカンの知ることとなったため、国の脅威となるリリは狙われることとなった。


  • ミッドナイト・エンジェル
シュリが開発中のワカンダ防衛用のアーマースーツ。カラーリングは青緑。
「オコエ用に」と開発したものの、オコエ本人は「ダサい」と気に入っていない。


  • アイアンハートスーツ
リリが開発した戦闘用アーマースーツ。心なしか、アイアンマンスーツとよく似ているが、「参考にはしていない」とのこと。
マーク1はDIY感溢れる代物であり、飛行能力、火力は十二分にあるものの、酸素マスクが付いていないため、高高度の飛行には不向きだった。
マーク2はワカンダにて開発され、大型のスラスターを背中に装着した高機動のスーツとして戦場で活躍した。
どことなくバーナビーのヒーロースーツに似てる


  • 新型の合成ハーブ
シュリがティ・チャラの治療のために開発中だったハーブ。
元のハーブが全てキルモンガーに燃やされたため、唯一の助かる可能性として未完成にもかかわらず兄に使おうとしたが、
それすら間に合わず、未使用のまま放置されていた。




  • 別れの儀式
ワカンダに伝わる死者への弔いの儀式であり、喪服*4を焼くことでその未練を断ち切る。
ラモンダはこの儀式を「終わりではなく始まり」とシュリに促すが、兄の急死を割り切れない彼女は儀式を受け入れられなかった。



余談

日本では11月11日に新海誠監督のアニメ映画『すずめの戸締まり』とバッティングする形で上映された。
偶然にも、両映画も『女性主人公』『今まで当たり前に存在していたものの喪失』『残された者たちの再起と再生』という部分が共通している。





Dedicated to our friend

CHADWICK BOSEMAN


我らの友 チャドウィック・ボーズマンに捧げる




追記・修正は別れの儀式を済ませてからお願いします。




































































  • トゥーサン
演:ディヴァイン・ラブ・コナドゥ=サン/吹き替え:織田碧葉
ナキアがシュリに紹介した、彼女とティ・チャラの息子。
サノスの「指パッチン」の時点で誕生しており、王家とは無関係のところで成長して欲しいために、ナキアに密かに育たせていた。
とはいえ、死期がここまで早くなるとは思っていなかったようで、葬式もナキアと二人で独自に行っていた。
実はラモンダも知っており、序盤で彼女がシュリに告白しようとしていたのは彼のこと。

……そして、彼の本名は「ティ・チャラ」。力強い、どこか面影のある少年の姿に、シュリは安堵したような笑みを浮かべるのだった……。












BLACK PANTHER WILL RETURN

ブラックパンサーは帰ってくる






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最終更新:2025年01月18日 10:07

*1 厳密に言うと、Disney+配信の短編映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』がフェーズ4の「エピローグ」となるので最終作ではない

*2 無理を言って連れ出した王女をみすみす誘拐された事が王女の護衛としては言い訳しようの無い失態なのは確かであるが、タロカンの戦士が勝手に出て来るという想定外の事態やその異常な回復力を考慮しない、本人の嘆願と周囲の意見を一切聞き入れない、「お前の恋人は生きてこの国に居るが自分の唯一の家族たるシュリは生きているかも分からない」と私情剥き出しで糾弾するなど、冷静さを欠いた面も確かにあった

*3 ユカタン半島の先住民が使用する言語で、マヤ語の一種

*4 ワカンダに於いては白色