登録日:2023/01/19 Thu 13:05:02
更新日:2025/03/17 Mon 02:56:43
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「ボーシは何ゆえ、やつらの味方ばすっと?ルパンの友達ではなかとね」
「友達ぃ?そんなんじゃねぇ」
「アイツとは生まれも育ちも全然違う。何考えてんだか分かんねぇしよ」
「ガキっぽいくせに妙に大人びてたり…そりゃ最初は羊の群れの中に狼がいるなって…」
「一緒に洋子さんを助け出すのもわくわくした。認める」
「けどあの野郎、大人びた騙しをかますくせに焼きそばパンで勝負しようとか、ガキみてぇなこと言いやがって」
「ボーシ」
「あん?」
「そげん顔で話す相手の事ば、ウチん国では『友達』という」
「……フン」
LUPIN ZEROとは、ルパン三世シリーズの
スピンオフ作品である。
【概要】
ルパン三世の少年時代を描くオリジナルアニメで、シリーズ初となるWebアニメ作品。話数は全6話。
原作漫画で断片的に描かれているルパンが一世の後継者となった頃の姿を描くシリーズをベースとしているが、基本的な内容はオリジナル。
ルパンと次元の出会いから始まり、ルパンが三世を名乗り大泥棒への道を歩みだすまでを描く。
原作や
1stシリーズを強く意識しているため、「ルパン帝国」の設定がちらっと出てきたり、
オマージュ強めな作風になっている。
本作はDMM.comのサブスクリプションサービス「DMM TV」にて配信され、同サービスの大規模リニューアルの目玉として宣伝された。
従来のルパンシリーズと異なり配信専門となったのは、作中で中学生が飲酒喫煙や無免許運転をする場面が存在するため、テレビ放送が難しかったのが理由とされる。
その後、2023年6月にDVDが発売され、2024年1月にはアニマックスでテレビ放送された。
【制作】
アニメーション制作は
PART5を担当したテレコム・アニメーションフィルムが担当している。
なお、テレビシリーズや映画版と異なり制作にテレビ局が関与しておらず、これは1987年に制作された声優一新作品「風魔一族の陰謀」以来となる。
監督はPART5の副監督で、ルパンファンの酒向大輔氏、脚本も同作のシリーズ構成を担当した大河内一楼氏が参加。
キャラクターのデザインは大塚康生氏が担当した初期作品をベースに逆算しているとのことで、年代も必然的に1960年代(昭和30年代)が舞台となった。
ルパンと次元のキャスティングについてはオーディションで決められた。
決定を聞いた畠中氏と武内氏はこれまで制作されたシリーズを見直して役を作っていったとの事で、それぞれのキャラクターを掴んだ演技は好評。
また、酒向監督は二人の掛け合いを重視しており、コロナ禍で個別でアフレコをせねばならなかった状況の中、あえて二人一緒に収録を行ったことを明かしている。
- 過去作においてもそうだったが、本作の設定が必ずしも公式というわけではなく、監督も「全ての作品を好きになる必要はない。自分の好きなように取捨選択して楽めばいい」と語っている。
【音楽】
音楽は国内外の映画やテレビドラマの劇伴で腕を振るう大友良英氏が初参加。
山下毅雄氏が担当した1stシリーズの楽曲をリメイクして使用している。1stシリーズの楽曲は完全な形では残っていないため、「LUPIN ZERO」らしさを加えつつ欠けている部分を補って制作された。
オープニング主題歌は1stシリーズの挿入歌であり、シリーズでは第4話〜第15話まで使用された「AFRO "LUPIN'68"」をカバー。
映像も初代OPの特徴的な止め絵演出を再現している。
エンディング主題歌も初代ED「ルパン三世主題歌Ⅱ」を七尾旅人氏によるカバーで使用。
こちらもルパンと次元が
バイク(ヤマハYDS−1)に二人乗りするオリジナルを強く
オマージュした映像となっている。
【登場人物】
・ルパン
CV:畠中祐
後に天下の大泥棒となる13歳の少年。アルセーヌ・ルパンの孫。まだ何者でもない「ただのルパン」。
日本の中学校に通っているが、幼い頃から祖父に盗術を仕込まれ、すでに一級品の腕と明晰な頭脳を持つが、祖父の跡を継ぐ気は皆無。
学校ではトップの成績を持ちながらも悪友たちと賭けに興じたり、親の金でクラブに通う金持ちのお坊ちゃん。
思いつきだけで行動する刹那的なところがあり、また未完成な身体能力や経験不足からくるミスも多い。
自分と同じにおいを持つ次元と出会い、彼につき纏うようになる。
第1話の時点では煙草を吸ったことはなかったようだが、次元から貰い煙草をして以来、吸うようになる。
デザインは原作第37話「ルパン三世とアルセーヌ・ルパンの対決」に登場した詰襟の
学生服姿がベースになっている。
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ネタバレ |
ガウチョの野望を阻止し、洋子を救い出すために三世を継ぐことを決意する。
二世から ワルサーP-38を受け継ぎ、 緑のジャケットを着てガウチョと対決する。
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・次元大介
CV:武内駿輔
後にルパンの相棒となる13歳の少年。
傭兵の父に幼い頃から仕込まれており、この年にして拳銃を持ち歩くヘビースモーカー。
すでに裏社会で生きており、父親の仕事を手伝わされ密輸品の取引や貨物の護衛などを請け負うため学校は休みがち。
使用する拳銃はS&W M36チーフスペシャルっぽいオリジナル(銃身に「38 S&
M
SPL.」と刻印されており、照星の形状が異なるといった違いがある)。
当初はつき纏ってくるルパンを鬱陶しがっていたが、心の中ではルパンが起こす騒動を楽しんでおり、
お互い親に振り回される身の上にシンパシーを感じて友情を築いていく。
実はすでに殺人の経験もあり、裏社会に染まっていないルパンを遠ざけようとする場面も。
原作で一言言及された「ルパンと
幼なじみ」という設定をベースにデザインはオリジナルとなっている。
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ネタバレ |
原子砲を盗み出した二世の行方を捜索するために政府から依頼されたヤクザに雇われる。
三世を受け継いだルパンによって
心を盗まれ
、最初の仕事に協力する。
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・ルパン一世
CV:安原義人
ルパンの祖父にしてかの怪盗アルセーヌ・ルパンその人。年齢不詳。
息子との仲は悪いらしく、ルパンを自らの手で育て上げ、家業を継がせようとしている。
原作漫画同様の身内であっても騙そうとするクソジジイっぷりは健在。
第3話ではルパン達を呼び出し、跡目を継ぐ人間を選ぶため奇厳城を舞台にした争奪戦を仕掛けるが…。
ほぼ原作通りの役回り。
担当声優の安原氏は、初代ルパン三世役・山田康雄氏の死去時、後任の候補に挙がっていた人物。
・ルパン二世
CV:
古川登志夫
一世の息子でルパンの父。年齢は40代。
自身も泥棒で、仕事のためか息子の世話は全てしのぶに任せて離れて暮らしており、ルパンには「泥棒になるな」と告げている。
第3話ではある人物に化け、密かにルパンを支援。最後に正体を明かす鮮烈な初登場を果たす。
第5話にてガウチョの依頼で米軍が密かに持ち込んだ原子砲を盗み出すが、その真意は不明。
原作では刑務所に収監されていたが、ルパンが三世を継いだとの話を聞きつけて脱獄し、ルパンの実力を見定めようとしていた。
担当声優の古川氏はあの声優が総入れ替えされたOVA『ルパン三世 風魔一族の陰謀』でルパン三世を演じた経験がある。
・しのぶ
CV:行成とあ
ルパンのお目付け役をしている家政婦にして二世の相棒。
常に表情を変えることのないクールビューティーで、その筋の人間とも渡り合える実力者。
ルパンに対しては非常に過保護で、次元との付き合いも良く思っていない。
ルパン曰く「親父の女」とのことだが、それがルパンの母親という意味なのか、二世の愛人という意味なのかは定かではない。
原作に登場するルパンのお目付け役の女性がベースと思われる。
原作の女性は
不二子に似た性格で、ルパンを裏切って復讐されるという展開もあったり、
二世と親しい間柄であることが描写されているが、何者なのかは最後まで明かされなかった。
・アルベール
CV:
小林ゆう
ルパンが一世のところから出て行った後、跡継ぎの一人として育てられた少年。
すでに盗術をマスターしているというほどの自信家。
PART5での話からすると、この後も何度もルパンと三世の座を争うことになる模様。
・洋子
CV:
早見沙織
ナイトクラブの歌姫をしている女性で、ルパンの運命に大きく関わる本作のキーキャラクター。
危ない裏稼業を行っており、そのせいで男たちに絡まれていたところをルパンと次元に助けられ、親しくなる。
・ガウチョ
CV:
東地宏樹
洋子の恋人らしき男。本名年齢国籍すべて不明。
「狼狩りのガウチョ」と呼ばれる革命家。ベトナムなどの独立運動に関わっていた経歴を持ち、裏の世界では有名人。
各国を渡り歩きながら革命運動を起こしているが、これといった思想があるわけではなく己が起こした革命で世界が変わることに全能感を感じている狂人。
二世に依頼して米軍から原子爆弾を撃ちだせる大砲を盗み出し、日本政府を脅迫する。
【余談】
- 第1話での次元の台詞が同時期に放送された某ガンダムと似ていると指摘する声がある。シリーズ構成が同じ大河内一楼なので被った模様。
追記・修正はチャンネルを決めてからお願いします。
- 本当のルパン三世になれなかった声優を他キャストに据えるって何か皮肉なものを感じる -- 名無しさん (2023-01-19 15:09:06)
- 何気にルパン一世と二世の声がダルタニアスの弾児と剣人じゃん! -- 名無しさん (2023-01-19 20:02:03)
- まさかのアルベール。 -- 名無しさん (2023-01-19 20:07:33)
- ルパンと次元子供のころから仲良すぎて和む -- 名無しさん (2023-01-23 16:01:48)
- 第1話後半の次元の台詞は確かにあれに少し似てるけど、追い詰められた主人公が一人語りで家族の事情を仲間に打ち明けながら敵に反撃開始するってくだりもキンゲや水星の初期でも見かけた流れ。さらに最終話ではアルセーヌルパンが、ギアスのユフィ暴走回でのルルーシュパパと全く同じ台詞を同じように笑いながら叫んだりするw -- 名無しさん (2025-03-17 02:56:43)
最終更新:2025年03月17日 02:56