シアゴースト/レイドラグーン

登録日:2023/02/16 Thu 22:16:10
更新日:2025/05/03 Sat 14:43:24
所要時間:約 3 分で読めます





シアゴースト及びレイドラグーンは特撮テレビドラマ『仮面ライダー龍騎』及び『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』に登場する怪人である。
本項目では、最終形態であるハイドラグーンも記載する。
特にレイドラグーンは終盤のある出来事に大きく関わっている怪人として今なお記憶に残っている視聴者が多い。

【シアゴースト】

データ

身長:225cm
体重:145kg
特色/力:口から吐く粘着性のある糸、集団での行動、レイドラグーンへの成長
声:宗矢樹頼、柴本浩行、千田義正、塩野勝美(『EPISODE FINAL』のみ)

概要

白いヤゴ型モンスター。
常に群れで行動する、従来の戦闘員のような怪人だが、その数はギガゼール種やバズスティンガーとは比べ物にならない。
他のモンスターに比べて特殊であり、周囲の環境に対応して、レイドラグーン、ハイドラグーンへと進化する。
鳴き声がキモい。
「ぶぇwwwゔぇぺwwwゔぇwww」

雑魚敵らしく個々の攻撃力や耐久力はパッとせず、火属性の攻撃にはほぼ無力。従って、人海戦術で獲物を襲撃する。
倒しても倒してもすぐに増殖するので、いちいち相手しているとミラーワールドの制限時間切れで消滅する恐れすらある。
かといって放っておくとレイドラグーンに進化して手が付けられなる、ミラーモンスター屈指の害悪さを持つ。

そして、捕食シーンが冗談抜きでトラウマもの。戦闘時には口から吐いた糸を用いるが、これは捕食時にも使う。
どうするかというと糸の「種子」となる物を口から飛ばして獲物に打ち込み、「発芽」した糸が獲物の体内に根を張った後、全身の各所から突き出してシアゴーストの方へ伸びていき、それを使って獲物を引き寄せるのである。まるで冬虫夏草である。
しかも酷いことに糸を植え付けられた獲物の意識ははっきりとしているため、標的にされたら最期、苦しみながらシアゴーストの元に連れて行かれる他ない……。
おそらく折り畳まれた下唇を伸ばして先端の鋭い牙で獲物を捕獲し、折り畳んで引き寄せるヤゴ特有の「捕獲仮面」と呼ばれる捕獲器がモチーフと思われるが、どうしてこうなった。

【レイドラグーン】

データ

身長:232cm
体重:140kg
特色/力:飛行能力、手足の鉤爪、ハイドラグーンへの変態

概要

シアゴーストから羽化する青いトンボ型モンスター。
トンボの身体のような頭と人型の胴体が合体したような身体を持つ。
シアゴースト同様集団戦を得意とするが、新たに飛行能力と鋭いかぎ爪を手に入れたので、面倒くささは段違いとなっている。また一部の個体に至っては槍型の武器まで持っている始末。
厄介なことに、現実世界にも対応した身体になった為制限時間が無くなった。
単体ではさほど強くないので、10体程の群れならベノサーベル一本で殲滅することも可能。

【ハイドラグーン】

データ

全長:240cm
体重:125kg
特色/力:飛行能力、鋭い爪と牙、腕部を射出

概要

レイドラグーンから進化する青いトンボ型モンスター。
この状態から完全にトンボのような身体になり、空戦型モンスターになる。端的に言えば、ドローンのような姿。
レイドラグーンのように羽ばたくことなく浮遊するように飛行する。速度はなんと時速900km。新幹線の3倍以上である。
そしてこんなに強くなっても集団で行動する習性は変わっていない。

武器は強靭な牙や直径30cmの鉄骨を軽々と切断できるカギ爪。
戦闘時には腕からミサイルの要領で手を発射し、獲物に突き刺す。さらに連射も可能。

劇場版で登場したモンスターであり、『龍騎』本編では唯一未登場。

【劇中での活躍】

EPISODE FINAL

本編に先駆けて登場。シアゴーストは本作における野良モンスターの代表格で、結婚詐欺師の水岡やショッピングモールにいた人々を先述のグロテスクなやり方で捕食した。
ライダー達との戦闘を経て生き残った個体は脱皮してレイドラグーンに進化。そして終盤では、ほぼ全ての個体がハイドラグーンとなる。
ハイドラグーンの群れが街中のガラスを突き破って侵攻する光景は、世紀末といっても過言ではない。

1体だけならナイトでも何とか対処できる強さだが、大群は手の施しようが無い。最終的には龍騎サバイブとナイトサバイブと激闘を繰り広げたが……。

本編

シアゴーストは佐野満/仮面ライダーインペラーの参戦に前後して出現するようになり、彼と東條悟/仮面ライダータイガの退場に合わせて映画同様に大量発生するようになり、ライダー達を苦戦させた。
第47話終盤ではレイドラグーンに進化し、第48話でミラーワールドが終わりに向かいつつあることを悟った彼らは現実世界へ移住すべく活動を開始し現実世界で無差別に人々を襲い始める。
そんな中49話では、ある個体が咄嗟に少女を庇った真司の背中を鋭利なカギ爪で突き刺した。
真司は血反吐を吐きながら龍騎に変身するも、明らかに様子がおかしい。そして、戦闘を終えると蓮に看取られながら息を引き取った……。


そう、レイドラグーンは主役ライダーを直接殺害した初の怪人である。
仮面ライダークウガ』のメ・ギノガ・デのように死の一歩手前まで追い詰めた怪人はいれど、完全に命を奪ったのはレイドラグーンが初。
しかも幹部のような重要なポジションではない、単なる一般怪人である点も異質さを際立たせる。生態なら異質と言えば異質だが。

ただし、勘違いされやすいがレイドラグーンは「主人公を殺したキャラ」であっても「主人公に勝ったキャラ」ではない
本編の個体はハイドラグーンに進化する前に龍騎とナイトに一掃されており、真司を殺害できたのも生身の状態かつ少女を庇ってマトモな防御を取れなかったのが大きかったのだろう。

仮面ライダーディケイド』などの他作品では、3種とも大量発生してライダーと戦うことが多いが、いずれも纏めて撃破されやすい。


【余談】

奇しくもこのモンスター達は龍騎ライダー達のように進化(ブランク→通常→サバイブ)しており、名前もドラグーン(竜騎兵)ととことんライダーを意識した存在になっている。

デザインはシアゴースト、レイドラグーン、ハイドラグーンいずれも篠原保氏が担当。
当初のオーダーでは、群体で登場する点は映像作品と同じだが、合体融合して巨大なCG造形のモンスターになることが想定されていたとのこと。
トンボ(ドラゴンフライ)モチーフになったのは、その初期案から最終的に異質な龍の姿になって龍騎とドラゴン同士で相対する想定だったそうだが、
これについては篠原氏も「龍騎が最後に残ると決まっていたわけでもないのに(苦笑)」と本編終盤の展開を受けて述懐している。
シアゴーストのデザインは「仮面ライダーの亡霊」というコンセプトで、顔の透明パーツに昭和ライダー的な複眼の膨らみが盛り込まれている。

第49話で真司が身を挺して守った少女*1を演じたのは当時はまだ無名の子役だった志田未来。
後の作品で龍騎で蓮を演じた松田悟志氏演じる人物を志田未来氏演じる人物が優勝トロフィーで撲殺するというドラマ*2があり、『仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル』への龍騎・ナイト・王蛇の参戦を記念した座談会では「須賀っち(真司役の須賀貴匡氏のあだ名)が守った少女に殺される」とネタ混じりに回想するという一幕があった。

海外リメイク作『KAMENRIDER DRAGON KNIGHT』では、シアゴーストがホワイト・ミニオン、レイドラグーンがブルー・ミニオンの名前で登場。
こちらではレッド・ミニオン(『龍騎』におけるゲルニュート)がゼイビアックスの能力で変異した強化形態という設定で、原作同様終盤に大挙して出現する。イモリがヤゴやトンボになることを深く考えてはいけない。
『龍騎』本編の映像も一部流用されており、終盤では問題のエピソードの映像も使われたが、こちらは「ドラゴンナイト(龍騎)を物量差で一時的にダウンさせる」というマイルドな形に変更され、最後は主題歌をバックにファイナルベントで全滅した。


追記・修正はレイドラグーンの猛攻から一人の少女を守れる覚悟のある方にお願いします。

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最終更新:2025年05月03日 14:43

*1 劇中で母親が「ミライ」と名前を呼ぶシーンはあったものの、書籍等では役名は長らく未表記であった。東映公式サイトの『仮面ライダー図鑑』にてようやく表記。

*2 2009年のドラマ『BOSS』第6話と思われる