竜騎兵

登録日:2017/12/18 Mon 06:11:30
更新日:2024/11/24 Sun 17:30:13
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竜騎兵(ドラグーン:dragoon)とは以下のものを指す。

1.ヨーロッパにおける騎乗銃兵。

2.ファンタジーにおける文字通り「の代わりに竜に騎乗した騎士」。

3.稀に「竜騎兵」からの連想で上記以外の物を指すこともある。
代表的なのがタクティクスオウガのドラグーンで、こちらは「竜狩りの戦士」という1とも2とも似つかない独自のスタイルになっている。
他には「竜の力を借りた戦士」など。
ファイナルファンタジーシリーズでは「竜騎士」の名で登場しているが、こちらもシリーズ作ごとに設定が異なっている。

4.『爆転シュート ベイブレード』における青龍の守護獣「ドラグーン」。キャラクターの固有名詞である。詳細はリンク先を参照。

この項目では1及び2について解説する。

1の概要

名前の由来は「火器(dragon)を扱う兵士」…というのが一般的だが、実際の所語源は使っていた武器の名前から採られたなど諸説ある。
和訳が「ドラゴン」由来なのは間違いないが。

出自は16世紀ごろのフランスと見られる。当初は騎兵扱いではなくあくまで「戦場まで馬に乗って移動する歩兵」であり、騎乗したまま戦うことはほとんどなかったようだ(流鏑馬などをイメージしてもらえばわかるが、馬に乗ったまま射撃武器を扱うというのは非常に難しい)。

18世紀ごろから馬から降りないまま戦うことが多くなってくるが、同時にこの頃から各国における扱いも独自性が強くなってくる。

例えばオーストリアやプロイセンでは重騎兵扱い、フランス(ドラゴーンと呼ばれる)やロシアでは軽騎兵扱いである。これは各国において胸甲騎兵(胴体を保護する鎧を着た騎兵)など竜騎兵以外の騎兵がどのような装備をしているかが基準になっているようだ。

同時にその権威ある姿から近衛兵として町の警備や治安維持に当たることも多かったようである。

日本では大坂夏の陣で伊達政宗が騎馬鉄砲隊を組織した、とされているが恒常的な部隊として整えられた形跡は見られない。鉄砲がそこまで普及する前に江戸時代に突入したのが大きかったのかもしれない(権威付けの武器としては日本刀の方が一般的になっている)。
というより、火縄銃の段階で銃器の発展が止まったのが主原因だろうか。ヨーロッパでも騎乗したままの射撃ができるようになったのはマスケット銃が普及してからである。そのため予備の武器としてサーベルも使用していた。

戦力として使われていたのは実質的に第一次世界大戦ぐらいまでで、それ以降は陸上戦力としての戦車などの発達に伴い儀礼的な存在として以外は現存していない。
ただし、その歴史にあやかり名前だけは各種部隊に残っていることもある。

こっちの竜騎兵がメインを張るフィクションはかなり少ない。どちらかと言うと歴史物の方がよく登場する気がする。

2の概要

アニヲタ的にはこっちの方が一般的だろう。文字通りの竜騎士である。
ただし、この用法で使われるのは実質的に日本だけで海外では「ドラゴンライダー」「ドラゴンナイト」と呼ばれる方が普通 なので注意。
もっとも、全く通じないというほどでもないようだが。

竜騎士と言ってもやはりそのカテゴリはいくつかあり、

A.ドラえもん のび太と竜の騎士に登場したような馬の代わりに陸上型ドラゴンに騎乗したタイプ
B.ゼロの使い魔のようにワイバーン型ドラゴンに騎乗したタイプ

に大別できるだろうか。水棲型ドラゴンに騎乗したタイプ?いや、なんか地味だし、数も少ないし、溺れそうだし…

Aは馬の代わりに竜に乗っているだけなので、運用的には普通の騎兵とほとんど変わらない。
作劇的にはあまり凝った運用を考えなくて済む反面、「わざわざ馬ではなく竜に乗せている理由」を説明しないとやはりカッコ悪い。
まあ、単純に馬より強いからとか、馬より早いからとか、馬に乗った普通の騎兵と対峙したときに相手の馬を脅えさせられるからとか、その世界にはそもそも馬がいないとか、理由はいくらでも考えられるだろうが。
二足歩行タイプ(ヴェロキラプトル系の奴)の肉食竜が見た目的にはカッコイイが、肉食動物を騎獣にするのは現実的にはリスクが高いため、作品によっては四足歩行の雷竜タイプを採用していることも。

Bはやはりファンタジー的には花形職と言っても過言ではない。飛竜に跨り戦場を駆け巡るその姿に興奮しない奴などいないだろう。
「強固な鱗による防御力」「翼による機動力」「爪や牙、作品によってはブレス攻撃による破壊力」と三拍子揃った高級戦闘クラスである。
ただし、主人公でない場合噛ませ犬率が恐ろしく跳ね上がる という大変リスキーな役職でもある。
この場合大抵は「鼻持ちならないエリート」として描かれることが多く、ドラゴンの能力に頼り切った末、あっさりと蹴散らされることが非常に多い。
同時に作劇的にはかなり運用が難しい職業でもある。この手のファンタジー作品では中世ヨーロッパぐらいの平面的な戦場をイメージしていることが多いが、その状況で「空を飛べる兵士」というのはほとんどチートに近い。
竜騎兵前提の全く新しい戦場を描かなければならず、創作者的には結構面倒くさい職業なのだ。
結局「空を飛べる」というメリットがあんまり生かされず、と鎧で武装した竜騎兵がチャージ(突進)するだけ、という作品は数多い(実際の所空を飛べるなら上空からレンガや手斧でも投げ落とした方が確実かつ強力なのだが)。
昭和ゴジラなんかによくあった「戦闘機で怪獣に接近戦を挑んであっさり叩き落される防衛軍」に通じるものがある。
ドリフターズ(漫画)」は珍しく「大型ドラゴンによるヘリボーン作戦」など現実的な形での竜騎兵運用が描かれている。
その他に「ベルウィックサーガ」では隣接マスでも0距離と1距離の区別をつけていて竜騎士側は近接相手には投擲(1距離攻撃)で一方的な攻撃が可能、その他諸々特徴があり、かなり現実的且つ強く設定されているが、貴重な存在であることやパラメータによってゲームバランスとの兼ね合いを上手く調整している。


追記・修正はドラゴンに乗りながらお願いします。

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最終更新:2024年11月24日 17:30