キー坊(ドラえもん)

登録日:2023/05/04 Thu 00:38:00
更新日:2024/10/07 Mon 23:20:58
所要時間:約 7 分で読めます





「キー坊」は、漫画ドラえもん』に登場するキャラクター。

●目次


【概要】

声優は、島本須美(大山版)、丸山詠二(のび太と雲の王国)、吉越拓矢(のび太と緑の巨人伝)。

『さらばキー坊』(『小学四年生』1984年4月号掲載。てんとう虫コミックス33巻、藤子・F・不二雄大全集14巻収録)で初登場。
ひみつ道具『植物自動化液』によって自由の身となった幼木の子で、のび太ドラえもんの友達となる。

現在ネット・ミームになっているタフ・シリーズとの関連は全くないのでタフの話題はお控え下さい。


【特徴】

元は学校の裏山に生えていた幼木に過ぎなかったが、宅地開発を目的とした森林伐採の影響で掘り起こされてしまうことを哀れに思ったのび太が野比家の庭へ持ち帰る。
ところがママから「庭に木を植えてはいけない」と待ったをかけられてしまったため、ドラえもんは「植物自動化液」を幼木に与え、自由に動き回れる植物生命体として生まれ変わらせた。

以来、名付け親ののび太と野比家で暮らすようになる。

人懐っこい性格だが、自動化液の影響で高い知能や学習能力を備えており、積極的に人語や文学などの教養を身につけようとする。
勉強好きな反面、あまり外で遊ばないインドア派で、のび太からもその事を注意されていた。
とはいえ、元が植物なだけに自然(同族)への愛を喪失したわけではなく、のび太とドラえもんが久々に故郷の裏山へ連れて行った時には大いに喜ぶ様子を見せていた。

まんがや新聞が読めるなど言語への理解力も少しずつ身につけていくものの、話し言葉は「キーッ」としか喋れないままだった。しかし、ストーリーの終盤では彼の大きな成長を窺うことができる。



その後、大長編『のび太と雲の王国』にて、ある重大な役割を持った人物として再登場する。
(詳細は『ドラえもん のび太と雲の王国』を参照)

わさドラ版映画『のび太と緑の巨人伝』では、キャラクターデザインが大幅に変更され、より人間の子供に近い姿となった。
(詳細は『ドラえもん のび太と緑の巨人伝』を参照)


【原作「さらばキー坊」】

当時盛んに話題となっていた「自然保護」や「エコロジー」をテーマとした作品で、植物と人類の関係性や共存についてわかりやすく描かれており、短編でありながら大長編を想起させるようなSF(「サイエンス・フィクション」の方)マインドあふれるストーリー展開も見もの。

◇グリーン・ドラえもん

本作は、1984年当時、「映画ドラえもん」シリーズ5周年と「自然保護憲章」制定10周年を記念して展開されていた「ぼくたち地球人・グリーンキャンペーン」の一環として執筆された作品である。
キャンペーンのシンボルマークにもなった、おなじみの青色から緑色に塗り替えられたドラえもんの姿は当時多くの読者にインパクトを与えた。

月刊コロコロコミック」1984年7月号には、同じくこのキャンペーンと連動した短編『ドンジャラ村のホイ』が掲載された。
この2作は、7年後に発表された大長編第13作『のび太と雲の王国』のストーリーにも大きく関与する。
より深くストーリーを、そしてテーマを理解するのに重要なため、ぜひとも読んでおきたい。

余談だが、2021年3月22日に、緑色のドラえもんが「ドラえもんサステナモード」として、ユニクロ グローバルサステナビリティアンバサダーに就任した。 かつての「グリーンドラ」を思い出した当時の読者も多いことだろう。


【アニメ版】

これまでに大山版で1回アニメ化されている。

わさドラ版では本作を原案とした映画『のび太と緑の巨人伝』が製作されたこともあってか、現在までアニメ化されていない。
ただし、2005年から2007年4月まで使用されていたオープニング『ハグしちゃお』の映像にはキー坊(もちろん原作準拠のデザイン)が背景に登場しており、ロボ子とハグをしている。一応「緑の巨人伝」公開より約10ヵ月前にオープニングが「夢をかなえてドラえもん」に変更されたため、両者のキー坊のキャラデザが同時に登場してしまうという事態は回避された。

◇大山版

1984年4月6日のスペシャル「春だ!一番 ドラえもん祭り ぼくたち地球人」で放送。エンディングテーマでおなじみ「ぼくたち地球人」はこの回でお披露目となった。
番組内ではドラえもんとのび太が実写による日本各地の自然風景を紹介するブリッジが挿入されている。

放送日が原作の掲載時期と同月であり、先述した「グリーンキャンペーン」用の作品として漫画とアニメが同時進行で制作されていたことが窺える。
脚本として原作者・藤子・F・不二雄の名前がクレジットされているのもそのためだろう。

さらには「演出:原恵一」「コンテ:芝山努」と、大山版映画ドラえもんの多くに携わった巨匠が名を連ねる。
まさしく劇場版さながらのストーリーを壮大なスケールで楽しめる。

1989年1月6日の特番、2003年4月5日の特番でそれぞれ再放送された。


【余談】

  • 『ドラえもん』はこの回および上記の関連作品以外にも、「モアよドードーよ、永遠に」「酒の泳ぐ川」など自然保護を題材としたエピソードがいくつか存在する。
    前述の「グリーンキャンペーン」の他、教育的な内容であることから積極的にアニメ化されているため、「ドラえもん=エコ」というイメージを抱くファンも多いようだ。
    とても「地球はかいばくだん」なんて物騒なモノが登場する漫画とは思えない。
  • 基本的にペットの飼育を許さない*1ことで有名なのび太のママだが、キー坊については特に反対しておらず、テレビや新聞に興味を示す様子にも感心している。
    イヌやネコなどありふれたペットやのび太が過去に飼育したことのある生物*2よりも知能が高く世話をする上でほとんど手間がかからないことから、「ペット」というよりもドラえもんのような「居候」あるいは(ドラえもんが表現したように)「のび太の弟分」のような存在として見ていたのかもしれない。
  • 学習まんが『ドラえもんふしぎ探検シリーズ13「ドラえもん 植物大探検」』に収録されているオリジナルまんが「世界のびっくり植物」(作画:さいとうはるお)では、「植物のあらゆるチャンピオン」を説明する案内人としてキー坊が登場する(再会するまでの経緯は不明)。
    また、同巻には「さらばキー坊」も収録されているため、キー坊を知らない人も問題なく読むことができる。


追記・修正は、自然を大切にできる人にお願いします。

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最終更新:2024年10月07日 23:20

*1 金魚(ただし何匹か死なせている)やカメなどの飼育は認めていたことがある。

*2 フタバスズキリュウ、台風、子ゾウなど。