紅蓮の指名者(遊戯王OCG)

登録日:2023/07/30 Sun 00:02:50
更新日:2025/02/09 Sun 19:33:30
所要時間:約 5 分で読めます




紅蓮の指名者
通常罠
(1):2000LPを払い、手札を全て相手に見せて発動できる。
相手の手札を確認し、その中から1枚を選んで、次の相手エンドフェイズまで除外する。

《紅蓮の指名者》は、遊戯王OCGに存在するカードの1つである。


概要

全身が真っ赤な人物が険しい表情とともに相手を指さす、インパクトの大きいイラストが特徴のカード。

ライフコストと使用者の手札の公開を条件に発動する通常罠。
相手の手札を1枚除外する「ハンデス」効果を持つ。

相手の手札を全て確認し、任意の1枚を一時的に消し去るという強烈な効果を持つ。相手の手札を見たうえでもっとも重要度の高いカードを奪いつつ、相手の次の行動も読めるため、ハンデス効果としては特に強力な部類に入る。

その証拠に、同じく相手の手札を見て1枚を飛ばす《強引な番兵》や《押収》、《ダスト・シュート》はいずれも禁止カードとなっている。

墓地送りではなく除外なので、相手の墓地アドバンテージを稼ぐ心配もない。

このカードの一番有効な使い方は「先攻での制圧盤面の形成に成功した際に伏せ、ダメ押しとして相手の 後攻捲り札 および展開の要を消し飛ばす」ことである。
ライフコストも手札公開も、制圧で相手の自由を奪えば一切デメリットとして機能しない。
複数の妨害を構えることに成功したならば、LPが減っていようが自分の手の内が知られていようが問題ないのである。

相手が次のターンでの盤面崩しに失敗すれば、実質的なターンスキップとなる。そのまま次の自分ターンで止めを刺せるため手札の帰還も何の意味もなさない。

ハンデス効果ながら先攻では相手の手札誘発を潰すことができないものの、他の妨害札であれば潰すことはできる。
後攻捲り札、特にチェーンして発動できないカードや壊獣系統による除去を「事前ハンデス」で対策できるのは大きな強みになる。
1枚のカードから連鎖的にカード・アドバンテージを増やす効果も増えたために、その最初の1枚を葬れる重要性も高い。
同じく先攻制圧を補助できる《抹殺の指名者》《墓穴の指名者》が規制されたことも、相対的にこのカードの地位を上げている。

難点はこのカードが罠カードである点。
そのため手札誘発を消して自分の展開を有利に進める「展開補助」の役目は持っていない。
また相手を仕留めることに失敗した場合は、手の内を明かしライフも削ったため逆転のリスクにもなり得る。

他には発動条件の関係上、自分の手札が0枚の時は発動自体ができない。
そのため《命削りの宝札》など一部のカードと相性が悪い。

あくまで「自分が有利な立場にいるときにダメ押しで用いるカード」なので、劣勢にいるときは一転して役に立たないカードになる。
その性質上先攻をとった時にこそ最大限に効力を発揮できるため、サイドデッキに忍ばせておくことが一般的。
2020年以降は徐々に評価を上げ、特に墓地送りがリスクになる【スプライト】【ティアラメンツ】環境からは、有効な対策カードとして注目を集めている。

海外環境では日本よりも早い段階から注目されており、【アダマシア】【エルドリッチ】が活躍している頃から出番が増加していた。
その結果2023年6月に禁止カードに指定されることになった。
先攻有利を助長する要因として、普通に許されない程に脅威と評価されている。


尚『遊戯王マスターデュエル』では最初期を除き、イベント専用レギュレーションでは禁止指定されている事が多い。
これは近年に於ける再評価を受けて……というより、時間差はあるとはいえ2000ものLPを自発的に減らす事ができる事を利用もとい悪用し、
自爆デッキで多用された事が原因と考えられる。
一枚で初期ライフの1/4を消費する事ができるものの、手札を使い切っていると発動できないため、自爆要員にしては使い処を選ぶカードとなっている。

因みにレアリティはN。
マスターデュエルのリリースは2022年1月であるため、近年の評価向上の影響を受けていない格好となる。


昔の評価

今でこそ高い評価を得ているものの、登場当初はあまり評価されていない1枚だった。

実はこのカードが初めて収録されたのは、第6期にあたる2009年7月18日発売のパック「STARDUST OVERDRIVE」。
セイヴァー・スター・ドラゴン》が神々しく表紙を飾っている通り、まだ遊戯王5D's放送期の頃のカードである。
当時はシンクロ召喚の導入でゲームの高速化が進んでいたものの「1ターンで相手に何もさせない制圧盤面」「3ターンもしないうちに決着」といった、第9期あたりの水準までには達していなかった。
(「3ターンもしないうちに決着」はそれが できてしまう 全盛期の爆撃機が存在したが、このカード登場からほとんど間を置かず禁止カードに指定さている)。

「除外したカードが後々戻ってくる」「手札をすべて見せる」という点が、しっかりとデメリットとして機能。むしろ「ハンデス効果そのものは強力だが、それに見合わないくらいに使用条件が重く、結局損をしてしまう」という評価であった。
ハンデスによって事故を誘発させて1ターン稼いだとしても、そこからデュエルを決め切れるほどのゲームスピードではなかったのである。

一枚ピーピングハンデスする罠カードという括りならば、発動条件があるとはいえ、
ほぼ上位互換の《ダスト・シュート》が2012年に禁止指定されるまで制限カードとして使えたことも痛い。

それが10年以上の月日を経て再評価され、ダメ押しの一枚として機能するという、珍しい遅咲きカードである。

前述の通り日本より先に海外で評価されたカードであるが、日本ではその活躍からあまり間を置かず2020年11月に氷結界ストラクに再録されている。
まだ日本ではさほど注目されていなかったが、同様の評価を見越しての再録であったことは想像に難くない。


余談

前述のとおり、このカードは氷結界のストラクに再録されている。
カード効果やイラストは特に氷結界と関連は見れないが、
その名前やイラストの人物の全身が真っ赤になっている事から、「紅蓮地獄」に掛けたネタとみられる。
「紅蓮地獄」とは、八寒地獄の七番目の地獄のことで、寒さのあまり皮膚と肉が裂けて血に染まり、紅色の蓮のような様相となってしまうとされる。



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最終更新:2025年02月09日 19:33