制圧(遊戯王OCG)

登録日:2024/09/09 Mon 00:01:09
更新日:2025/05/01 Thu 01:50:35
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ここでは、遊戯王OCG(以下OCG)における「制圧」を解説する。


概要

12期現在、今日の勝ち筋は「相手を妨害するカードを複数並べることで、相手の勝ち筋を潰す」が主流となっている。
そうした「妨害」ができるカード効果、および十分に妨害を構えられる盤面のことを「制圧」と呼ぶ。
「制圧力が高い」と評価する場合、より相手を厳しく妨害でき突破が困難な様を指す。

基本的に昨今は「テーマ」の段階で、理想の展開を成した最終盤面である程度の「制圧」ができるよう設計されている(または外部の制圧カードを用意するだけのリソースを確保している)。
またそのテーマそのままの運用で妨害個数が足りない場合、他テーマや汎用カードを取り入れることで妨害数を補うこともできる。

これらの要素は、相手のカードに一つ一つ対処するというよりも、相手が何か出すより先に自分が一枚でも多く展開する。
極端な話が相手にカードを出す暇を与えない為の立ち回りなので、必然的にゲームをワイワイ楽しむよりも「相手に完封勝ちする」ことに重点を置いたプレイングになる
特に大会などの真剣勝負で勝ちたいとなれば、もはや避けて通ることはできない程度に当たり前となっている。
「相手の自由を奪う」性質上、カジュアルなデュエル(フリー対戦)では使用を敬遠する人も少なくない。
しかし、9期以降は大会環境では話題にすら挙がらないデッキでもそれなりの妨害・制圧ができることは当たり前と化している。
そのため、どこまでの妨害・制圧を許容できるかは人によって異なり*1、度々論争の種にもなっている。
念のためフリー対戦で使用する場合は、相手に確認を取ってから使用する方がトラブルを避けられるだろう。
また、相手が魅せプレイや珍コンボを目的とした場合は、制圧を控えるほうが双方盛り上がるだろう。


制圧の種類


大前提として、現代のOCGでは「強力な効果の発動とモンスターの特殊召喚を駆使し、強い布陣を整える」動きが一般となっている。
つまり「制圧」と認められる効果は、この動きを妨害または阻止できる必要がある。
また、直接相手の行動を妨害する物ではないが、場合によっては突破が困難な「耐性」なども合わせて紹介する。


発動無効/効果無効/発動できない

12期現在のOCGは「1枚に強い効果を複数積載したカード」が珍しくなく、それらを駆使して盤面を形成する。
しかしそんな強力な効果も、使用できなければ意味がない。
そこで「発動・効果を無効にするorそもそも発動させないことで、強力なカードをただの紙切れにする」ことができ、有力な制圧手段として働く。
主に「万能無効」と称される魔法・罠・モンスター効果の全てを無効にできる効果と、特定の効果のみ無効にする効果がある。
よほど範囲の狭いものでなければ後者でも大体何かしらに刺さるので(出しやすさなどにもよるが)双方採用率は高い。

この妨害だが、主に
  • 「1度限り使用できる単発妨害(特定の1枚の発動・効果を無効にする、いわゆるカウンター効果)」
  • 「相手が無効・破壊しない限り永遠に適用される永続妨害(全てカードの発動を無効にするor発動できなくする、いわゆるロック効果)」
の二種類がある。
前者は使い捨てや「1ターンに1度発動できる」効果、後者は《スキルドレイン》(フィールドでの効果を無効にする)などが該当する。
回数制限がある前者よりも恒常的に相手を縛る後者の方が影響力は高いのは事実だが、その分「自分にも甚大な影響が及ぶ」「召喚・使用条件が厳しい」などの制約が齎されているものも多い。

「相手に効果を使わせない」という点ではいずれも同じ役割を持つが、制圧札としての効果は概ね強い順から
「発動できない(発動禁止)」>「発動無効」>「効果無効」
「発動禁止」が上位に来るのは「発動を禁止しているカードをどかすまで一切行動できない」のが理由であり、特に相手のみ禁止するタイプは特に強い拘束力を持つ。
自分にも影響が及ぶ発動禁止効果は、それが存在している間は発動コストによる除去すら不可能になるため、ロックを外して攻めに行く場合は「発動を禁止するか否か」が時に重要になってくる。
効果を発動するためのコストを支払う事もできなくなるため、《カードガンナー》《ジェネクス・ウンディーネ》などの効果そのものよりも発動コストを支払う事に意義があるモンスターの対策にもなる。
「発動無効」は発動した事実自体を無効化出来るため、安定性が高い。環境に出てくるカードであれば1ターン内の回数制限を持つことが多い。
「効果無効」は発動した事実を残す関係上「発動」をトリガーとする効果に突破される可能性がある。
また、「発動無効」・「効果無効」は一部の捲り札が持つ「このカードの発動(と効果)は無効化されない。」効果による妨害耐性で突き破られるため、過信しすぎると制圧し返されるなんて事態も起こる。


特殊召喚メタ

多数のデッキでは、素材となるモンスターを「特殊召喚」し、強力なモンスターを「特殊召喚」する勝ち筋を持つ。
つまりこの「特殊召喚」を止めることで、相手は目標とする盤面を築けず本領を発揮させないことになる。

こちらもまた、
  • 単発妨害(1回の特殊召喚を無効にする)
  • 永続妨害(そもそも特殊召喚できない)
の二種類が存在する。
永続型の方が影響力は大きいが、その分自分にも妨害の手が及ぶという部分も概ね同じ。
ただし一つ異なる点があり、それは「特殊召喚メタの永続型は発動時点を調整することで自身への影響を低減できる」点。
自分が既に必要な特殊召喚を終えた後に永続型を発動すれば、確かに自身もそれ以降は特殊召喚はできなくなるものの
場にいる自分のモンスターは問題なく効果を使えるため、実質的に相手だけ被害を被る格好にできてしまう。
ここは後から発動しようが結局自分の制圧効果も纏めて無効にしてしまう「永続型の効果無効」には無い利点である。
王宮の弾圧》《虚無空間》《烈風の結界像》といった「お互いに及ぶはずの特殊召喚メタ」は、まさにそうした使い方が跋扈したために禁止カードに指定された。

この特殊召喚メタは「こちらの制圧盤面を崩させない」という防衛の役割も大きい。
例えば前述の「効果無効・発動無効」を持ったモンスターがいた場合、発動を伴わない方法で高攻撃力モンスターを特殊召喚し(例:《獣王アルファ》)戦闘破壊する糸口がある。
あるいは発動を伴わずに除去・妨害効果を持ったモンスターを召喚し、相手の制圧効果を無効にし破壊して盤面の突破も成しえるだろう
(例:適当な星2チューナを通常召喚し、《獣王アルファ》と共に《フルール・ド・バロネス》をS召喚)。
しかし特殊召喚自体を止めた場合、「戦闘破壊/効果除去を行う解答モンスター」すらも出せなくなる。

前述の「効果無効」と同等に高い影響力を持つが、ごく稀に有効には働かない敵もいる。
「効果を使わずに戦う」ことは無くとも「特殊召喚を使わずに戦う」ことは僅かながらできてしまう。
通常召喚で展開する【ふわんだりぃず】、そもそもモンスターカードにはほとんど頼らない型のバーンや特殊勝利系デッキが該当する。


展開制限

上述の「特殊召喚メタ」と似通るが、こちらは「召喚行為を制限しない代わりに、条件を満たすとモンスターを追加で出せなくなるもの」が対象である。
代表例としては
などが該当する。
自分にも影響を及ぼす「特殊召喚を禁止する効果」は、制圧目的で運用する場合「影響を低減するために最後に出して蓋をする」ことが多いが、こちらの場合制圧カード側の条件に反しない限りは自由に展開を行えるため、先出ししても自分への影響を少なくしやすいのがメリットとなる。
属性・種族を統一したテーマであれば《群雄割拠》・《御前試合》は汎用制圧として使っていけるため、メインデッキに雑に放り込んでもそれなりの仕事を期待できるだろう。

このタイプに該当する制圧カードは永続カードに偏っているため、使われた際は直接除去・無効化するか効果の穴を突いて突破するしかない。


フリーチェーン除去

破壊や除外、バウンスなどで「相手フィールド上からカードを消す」行為を指す。
ただの除去効果ではなく「相手ターン中(さらに言うとメインフェイズ)でも使用できる除去効果」が該当する。
盤面構築は自身のターンで行うため、「素材モンスターを排除してEXデッキからの特殊召喚を阻止する」などの妨害を目的とする
(【スネークアイ】【ヤミー】などのように相手ターン中に展開できるテーマであっても、その展開の下準備を自分ターンで行うため、そこを妨害できる)。

効果や召喚自体を無効にするわけではないため、召喚時の誘発効果などは素通ししてしまうのが欠点。

大事になるのは「相手ターンでも発動できる除去」であること。
相手が盤面を完成した後に除去効果を発動しても、耐性やカウンター効果で防がれてしまい勝利という目的を果たせない。
サンダー・ボルト》などの手軽な全体除去であれば後攻捲り札とはなる(後述)が、それは用途が異なる。


裏側守備表示に変更

フィールドに表側表示で存在するモンスターを、カード効果により裏側守備表示にしてしまう。
一見モンスターをそのまま残しただけの状態だが、これはルール的に「モンスター効果の実質的な無効」「融合以外の素材利用の阻止」「攻撃不可」「装備されたカードの除去」「ステータスの変化のリセット」を兼ねている。
フィールド上で使用するほぼ全てのモンスター効果は、それが表向きの時に使用できるため、裏向きになった場合にそれらの効果は使用できない。
素材利用についても、融合を除いた各種召喚法は裏側モンスターを素材として使用できないルールになっているため、相手の大型モンスター展開を抑制できる。

ただし融合召喚の素材には使える点、手札や墓地で発動する効果には意味がない点、A召喚やリリースコストには普通に使えてしまう点、効果発動時に裏側守備表示に変更しても効果が使われてしまう点には注意。

直接の除去と比較した場合、上記の注意事項にある通り「フィールドにモンスターが残る」「除去し損ねた場合は再利用される」部分は欠点になる。
その代わりに「耐性などで阻止されにくい」「相手の場にモンスターを残せる」という利点もある。
例えば直接的な破壊であれば、破壊耐性を持ったモンスター相手に全く意味をなさない。
しかし裏側守備表示化を防げる耐性は破壊耐性よりずっと少なく、相手の足を止める手段として機能しやすい。
後者についても、フィールドにカードが無いことを条件とする効果や特殊召喚条件を使わせないで済む。

ややマイナーな方法ではあるものの、妨害の効果は大きめであり活躍した事例もある。
例えば【導師ビート】は裏守備効果を使いこなすメタビートデッキで、お互いのモンスターを裏守備にすることで相手の妨害と自分のリバース効果使用を可能にする。


墓地メタ

遊戯王では墓地を活用した効果が豊富で、その墓地効果を駆使して戦うデッキも多い。
そこで相手の墓地利用を阻害することも妙薬になる。
ここでは主に
  • 「墓地に関する効果限定で無効にする」
  • 「相手の墓地のカードを除外orデッキに戻す」
の二通り。前者は「効果無効」と同じなので、そちらを参照。
後者の例は、例えばモンスターを墓地から特殊召喚される前にそのモンスターを除外、墓地で発動するカードを発動前にデッキに戻すなどが該当。
また、《マクロコスモス》《次元の裂け目》など、「墓地に行くカードは墓地に送られず除外される」という永続効果を持つカードは、《増殖するG》のような墓地に送ることを要求するカードをも封殺することができる。
「手札から捨てて発動する→捨てる先は墓地でも除外でもよい」《灰流うらら》と、「手札から墓地に送って発動→墓地に送れない状況では発動できない」《増殖するG》などは特に遭遇しやすい事例だろう。


除外メタ

OCGには、除去手段の他に「何らかのコストとして墓地のカードを除外」する効果/召喚条件が複数存在する。
もし相手がそれを多用するデッキだった場合、「除外できない」制約は悲嘆に暮れるするほどの「制圧」効果になる。
「除外できない」カードの具体的には《カオスハンター》《王宮の鉄壁》《アーティファクト-ロンギヌス》が該当する。
そして「カード除外を受けて苦しむ」デッキの例は、墓地から除外して効果を発動するカードをいくつも持つ【征竜】【幻影騎士団】【エルドリッチ】などが該当。


サーチ封じ

デッキのカードを手札に加える効果(サーチ)を封じること。
コンボの完成を未然に阻止すれば、相手の逆転の芽をつぶすことができる。
現環境ではサーチを全く行わないデッキは少ないため、影響が非常に大きい。
主に
などがある。


ハンデス/手札破壊

多くのカードは手札から使用する効果設計になっている。
つまりそれらのカードを手札から墓地・除外・デッキ戻しをしてしまえば、折角のカードを使用できなくなる
リンク先の記事に解説があるが、手札の枚数はそのまま選択肢に直結するため相手の動きを大きく制限できる。

一方で妨害手段としてみた場合、「先攻制圧限定」かつ「多少のハンデスでは大きな被害は与えられない」という面も見えている。
前者については、盤石の制圧を完成させた相手にハンデスを仕掛けても、盤面を崩せていない事を考えれば一目瞭然だろう。
後者については、例えばランダムに1枚捨てるだけという効果だったとしても、意外と相手は何とか動けてしまうことも多い。
というのは、昨今のデッキは「1枚初動」という、少ない手札枚数で展開できることが標準となっている*2ため。
仮に捨てたカードが重要なモンスターカードだったとしても、残りの手札でそれを蘇生する手立てを完成させ効果を使用できる状態に持っていくのは難しい話ではない。
なのでハンデスが妨害手段として機能させるには、以下のいずれかの条件が必要。
  • 的確に相手のマストカウンターや後攻捲り札を「選んで」排除できる
  • 多量の枚数をハンデスさせ、相手に抵抗の余地を与えない

この「ハンデス」もまた効果調整が難しく、特に後者のタイプは
《盗人の煙玉》《トポロジック・ガンブラー・ドラゴン》などなどオイタが過ぎて禁止カードになる事例も多い。
また、汎用性の高いハンデス効果を持つカードは軒並み禁止カードに指定されている。


ドローロック

カードの供給を行うドローを封じるまたはドローしたカードを墓地に送るというもの。
大きく分けて
  • ドローフェイズのドロー(またはドローフェイズそのもの)を封じる効果
  • カードの効果によるドローを封じる効果
  • ドローしたカードを捨てさせる効果
に分かれる。

ハンデス同様に手札の枚数はそのまま選択肢に直結するため相手の動きを大きく制限できる。
ハンデスに無いメリットとしては、引いたカードで逆転される(所謂今引き)を防げることが挙げられる。
また、ハンデスと併用することで相手の逆転の芽を高確率で潰すことができる。

一方で、妨害手段として見た場合、「今持っている手札で逆転される可能性がある」「サーチを防げない」といった欠点もある。
またドローロックの効果を持つカードは、条件が厳しかったり、手札に加える手段が少なかったり、半永久的な運用が困難であったりとピーキーな物が多く、考えなしでデッキに投入できる物ではない。
ドローロックに関するカードが軒並み規制緩和されていることから分かるように、現在の環境とはマッチしておらず、メジャーな戦術とは言えなくなっている。

耐性

戦闘破壊や上述した「除去」を受けず、フィールドに留まることが出来る効果の総称。
例えば「破壊耐性」といえば、そのカードを戦闘や破壊効果でフィールドから退かすことができない(どちらかだけの場合も多い)。
あらゆるカードの効果を受けない耐性を「完全耐性」と呼ぶこともある。
耐性を持ったカードは除去手段が無い(あるいは限られる)状況になり、相手の優位を崩せないまま敗北する恐れがある。

注意したい点は「耐性それ自体は、相手に何ら影響を与えていない」こと。
直接的に効果無効やカード除去をしていないので、相手の展開を直接的には妨害できていない。
耐性モンスターを放置されて相手にガチガチの制圧を行われてしまい、モンスターが残っていたところで焼け石に水で終わったり、
戦闘によほど強い場合を除けば、極端な高攻撃力モンスターなどを召喚されればライフが0になる危険が発生する。
また、戦闘破壊耐性を持っていても、貫通効果持ちやダイレクトアタッカー、効果ダメージ持ちなどを出されて、無視されるという状況も起こり得る。

耐性が真価を発揮するのは「制圧効果と耐性効果を兼ねているor制圧効果を持ったモンスターに耐性を付与している」状態である。
相手にとっては攻略難度が跳ね上がり、一方的な進行になってしまうため。
禁止カードになった例でいえば
が該当する。

ただし、あまりにも強固な耐性であれば、他に制圧効果を持たずとも時間稼ぎとして有用な場合もある。
例としては《ライトハンド・シャーク》または《アストラル・クリボー》をX素材とする《No.59 背反の料理人》を駆使したコンボがある。
この条件でX召喚された、《No.59 背反の料理人》は「戦闘・効果で破壊されず、相手のカードの効果を受けない」という極めて強力な耐性を持ち、
その耐性を活かして時間稼ぎをしつつ、《終焉のカウントダウン》やデッキ切れによる勝利を狙うというもの。
ただし、完全耐性であってもコストで除去できる「壊獣」や相手プレイヤーに効果を強要する《痛み分け》などで除去される可能性はある。
また、ダイレクトアタッカーやバーンなどを使われて半ば無視されるといった状況も起こり得る。
特にマッチ戦ではサイドデッキからこうしたカードを投入されて辞去される可能性が高くなるので過信は禁物。


攻撃力・守備力が高い

上記「耐性」と地続きの話で、高い攻撃力・守備力を持つことも場持ちのよさに繋がる。
他の要素と比較して軽んじられがちだが、攻守が低いモンスターは戦闘破壊という欠点を残しており、それが突破口になってしまう。
12期現在では、効果の発動と特殊召喚を妨害するカードが採用されがちなため、「適当なモンスターを通常召喚して攻撃」という行動は止められないケースも多い。
一応バトルフェイズに移行させることで、相手のメインフェイズ1を実質スキップさせたというメリットもあるが、ここからメインフェイズ2に制圧返しを受ける危険の方が大きい。

例えば結界像は特殊召喚に纏わる高い制圧力を持ったモンスターだが、その攻守はわずか1000。
そのままでは適当に通常召喚したモンスターに戦闘破壊を許してしまう確率は高い
そうしたモンスターを要とするなら戦闘破壊から守る手段と併用するなど、何らかの補助が必要となる。

また、攻撃力が高いということは、戦闘やダメージレースでも優位に立てるということでもある。
「壁モンスターを出してその場しのぎ」という行動を許さなかったり、少ない攻撃回数で相手のライフを0にすることができる。

一方で耐性と同様に「攻守の高さ自体は、相手に何ら影響を与えていない」ことには注意が必要。
耐性が無ければ適当な除去カードで処理されてしまう可能性があったり、無視して展開されてしまうということは十分に考えられる。
こちらも他の制圧効果と組み合わせた状況でこそ真価を発揮する。


ステータスの変動

何らかのカードの効果でステータスを変動させるというもの。
攻守だけでなく、レベル・属性・種族の変動させることで、相手の計算を狂わせる。

主に
  • フィールド魔法・装備魔法・永続効果などによる変動
  • 速攻魔法や誘発効果などによる使い切りのカードによる変動
がある。

攻守の変動も一見地味に思えるかもしれないが、僅かな差でモンスターの戦闘破壊を困難になることもある。
また、ダメージステップ中でも発動できるカードも多いため、奇襲を仕掛けることもできる。

レベル・属性・種族の変動に関しては、各種素材にすることを妨害したり、属性・種族サポートを受けられなくする(またはメタカードの範囲を広げる)ために使用される。

ただし、「漠然とステータスを変動させるだけでは、意味がない場合もある」ことには注意が必要。
こちらも他の制圧効果と組み合わせた状況でこそ真価を発揮する。


攻撃できない

戦闘破壊耐性にも似るが、こちらは「戦闘そのもの」を行えないようにするもの。
戦闘に弱いモンスターを守るだけでなく、リクルーターの自爆特攻や天盃龍など戦闘をトリガーとする効果を阻止することができる。

ただし、現環境においては、漠然と戦闘を阻止するだけでは意味がない状況がほとんどである
こちらも他の制圧効果と組み合わせた状況でこそ真価を発揮する。


妨害(単位)

そのデッキの制圧力を図る指標として「妨害」という単位がある。
つまり「展開した結果、いくつ相手の行動を妨害できるか」という基準のこと。

数え方としては以下の通り。
例1:
自分が《神の宣告》だけを伏せてターン終了。
この場合、妨害できるのは《神の宣告》1回なので「1妨害」となる。

例2:
以下は全盛期(2022年4月~7月)の【ガエルスプライト】における最終盤面の一例である。

この場合、2度の《餅カエル》と1枚の《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》があるため、「3妨害」とカウントされる。
《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》は《餅カエル》と異なり永続の妨害なので、適当なデコイで退かすことはできないが、それでも「妨害の種類は1つ」と見なして計算される。
ただし、使い切りの妨害と永続の妨害を区別して考える場合もあり、その場合は「2妨害+永続妨害(EXデッキから特殊召喚不可)」とカウントされる。


制圧の対策

何種類か存在するが特徴として、相手フィールドに干渉するため先攻では発動できない場合が多い。
これらは「後攻捲り札」とも呼ばれる。

1.チェーン発動を許さないまたは効果が無効化されない除去・無力化

例:《超融合》《禁じられた一滴》《冥王結界波》

主に「このカードの発動に対して効果を発動できない。」等が書かれたカード群を指す。
メジャーな制圧効果である「効果の発動を無効にする」は相手の効果発動に対してチェーンして発動する。
であればこれを躱して突破する方法として、そもそも相手が無効効果をチェーンして発動できない効果を使おうという発想である。
いくら強力な無効効果を持っていても、発動そのものをさせないのであれば意味はなくなる。
ここで制圧モンスターの排除・無力化に成功すれば自分で制圧仕返し逆転の糸口が見えてくる。
ただし永続効果相手だとこの手段は使えないため、その効果の穴をつく必要が出てくる。


2.召喚のためのリリースで除去


こちらは「強力な相手モンスターを『召喚(特殊召喚)のためのコスト』という方法で排除する」カード群になる。
この「コスト」という部分が重要で、ルール上後から特殊召喚を無効にしても既にコストとしてリリースされたモンスターは帰ってこない。そのため効果無効でカウンターしても実質的に除去を止めることができない。
また、このリリースは効果ではなくルールによる処理であるため「カードの効果を受けない」といった強固な耐性を持つモンスターも除去することが可能
これらのカードを使わせないためには、「特殊召喚を無効にする」ではなく「特殊召喚できない」「リリースできない」といった永続効果が必要。
相手がモンスター効果による制圧をしていた場合は効果が高いが、魔法罠によるロックには対応できないことが多いので注意。


3.除去カードで盤面崩し

例:《ハーピィの羽根帚》《サンダー・ボルト》《ライトニング・ストーム》《ブラック・ホール》《大嵐》《拮抗勝負

一枚で複数のカードを除去できるカードで一気に盤面をぶち壊し、制圧から解放する算段。
素通しすれば1:N交換となるため「崩されたくない相手にカウンター効果を消費させる囮」という側面も含んでおり、相手に「カウンター効果を消費させるか、除去を受け入れるか」という選択肢を迫ることになる。
カウンター効果を使わせ無効にされた場合でも、その後に本命のカードを使用して逆転すれば良いという訳である。
また、複数枚引いていれば連発してゴリ押しすることもできる。

一方で、ほとんどが「破壊」であるため破壊耐性持ちや墓地効果持ちなどに無力であるという欠点も持ち合わせており、破壊耐性持ちや墓地効果持ちが多い環境では評価を下げることもある。
そうした場合では、裏側で除外できる《拮抗勝負》や墓地で発動できる《ブレイクスルー・スキル》などの対策として魔法・罠を除外する《コズミック・サイクロン》などが優先されるケースもある。

また、これらの除去カードは先攻では役に立たない状況が多いため、無暗にデッキに投入すると先攻時の事故要因になり兼ねない。
かつて、強力とされていた全体破壊カード達が評価を落としている要因の一つでもある。
なので、マッチ戦ではサイドデッキに採用されるケースが多い。


4.耐性付与

例:《盃満ちる燦幻荘》《地獄人形の館

相手の制圧カードは掻い摘むと「こちらのカードに効果を受けさせる」類になっている。
そのため先に自分場のカード全体に耐性を付与した状態にしておけば、相手は先攻で立てた妨害効果が機能しなくなる。
天盃龍】が後攻1ターンキルを得意としているのも、この耐性付与の要素が一因。


5.力づくで突破

何のことはない、相手が妨害してくるなら妨害の手数を超える物量の暴力で無理矢理踏み越えるだけである。早い話、相手が4回妨害してくるなら5回展開してやれば突破できるというわけ。
実際非常に手数が多く、数度妨害した程度では簡単に止まってくれないテーマは環境クラスのテーマに限らずともかなり存在しており、あれこれ考えるよりも相手に妨害の手数を使い切らせてしまった上で強引に展開に繋げてしまったほうが有効な場面もある。
カードパワーのインフレが進み、リソース回収の手段が増え、さらに一枚でも本命を通せば逆転から勝利まで持っていける事もザラになってきた現代遊戯王ならではの対処方法。

一方で、適切なカードの使用タイミングを見極める必要があり、豪快な解決方法に見えて極めて繊細なプレイングを要求される
相手も当然マストカウンターを見極めて撃とうとしてくるため、こちらが動いたとして素直に妨害のカードを切ってくれるとは限らない。
確実に手数を使わせるためには「これを通されたら間違いなく敗ける」と相手を確信させられるような動きでなければならない。
また、「このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。」といったテキストが多いデッキやノイズ*3が多いコンボデッキでは、微妙に手数が足りないといった状況も起こり得る。


6.手札誘発で盤面完成を阻止する

例:《エフェクト・ヴェーラー》《灰流うらら》《増殖するG》《無限泡影》「マルチャミー」モンスター

上記5つは、「既に完成してしまった相手の盤面を突破する方法」となる。
それに対してこの方法は「相手の先攻1ターン目であっても妨害して、盤面を完成させない方法」であり、12期現在もっともメジャーな対策手段でもある
それは、「手札から発動できる誘発効果・誘発即時効果」を持つモンスターを使用して、相手の計算を狂わせることである。
転じて《無限泡影》《レッド・リブート》といった、手札から発動できる罠カードも手札誘発に含めることがある。

相手の盤面を未完成の状態にできれば、後攻プレイヤーにも反撃の可能性は十分にある。
難点としては「相手のテーマの動き方を熟知していないと見当違いなところに手札誘発を消費してしまう可能性があること」「相手の手札次第では手札誘発1枚程度では止めきれない場合があること」が挙げられる。
こればかりは何度もデュエルするなり、動画などを見て撃つべきタイミングを知るしかない。

詳細は手札誘発の記事を参照。


制圧の変遷

第12期現在、こうした制圧戦法は、比較的「近年(具体的には第9期以降)」のものとして扱われることは多い。
制圧という言葉が広まったこと自体は近年で間違いないのだが、相手の行動を高濃度で制限する制圧自体は古くから存在する
例えば、
などが挙げられる。
他にも
  • 相手の攻撃を止めながらバーンで削りきる【ロックバーン】(第2期)
  • 相手の盤面(と手札)を破壊した後にドローを封じる【八汰ロック】(第2期)
  • 環境デッキを徹底的に対策する【メタビート】(第3期)
  • カウンター罠に関する天使族モンスターを使って戦線を維持する【エンジェル・パーミッション】(第4期)
なども近い存在と言えるだろう。
「テーマ(カテゴリ)」という単位で見れば
なども挙げられるか。
※括弧内は登場時期を記載。

遡れば、《王宮のお触れ》《神の宣告》など第1期から、相手の行動を強く妨害できるカードは存在している。

今日の意味と近い「制圧」が流布されるようになった転機は、第9期に登場した【EMEm】辺りだろうか。
これら古の制圧と現代の制圧の違いは「多くのデッキが使える」「デッキの安定性が高い」「妨害の数が格段に増えた」「高確率で先攻1ターン目から完璧な盤面が作れる」「妨害の質と展開力の向上」した部分か。

先の例の時代では、まだ制圧とはごく限られたデッキでのみ使うものであった。
例えば、【お触れホルス】と同時期のデッキと言えば、【サイカリバー】【除去ガジェット】【黄泉帝】【次元斬】といった、「主に自分ターンで除去して殴る」系のデッキが中心。
そしてこれらのデッキに対して善戦したり苦戦したり、といった温度感の存在であった。
しかし第9期以降では、多かれ少なかれ制圧能力を持っていることは、デッキとして当然となる。

続いて「デッキの安定性が高い」の面。
昔のデッキでは制圧に必要な妨害カードは、運よくドローフェイズや《強欲な壺》で素引きできることを祈って使用するか、
《キラー・トマト》《クリッター》《黒き森のウィッチ》などのひと手間かかる方法で確保することが多かった。
翻って現在では、素材さえ揃えばEXデッキから召喚できる制圧モンスターと、テーマカードでサーチできる魔法・罠カードによる制圧が主で、相手からの妨害を度外視した運要素はかなり小さい。

安定性向上と繋がる部分も多いが、昨今は妨害効果の質が向上している。
例えば除去効果一つ見ても、今では相手ターンで発動できるか1:多交換ができることが、採用の水準になる。
しかし上記の例ではそうしたカードは規制済みで希少であり、何なら《ならず者傭兵部隊》が制限カードですらあった時代である。

そして現代では、この制圧の流れはより色濃くなっている。
この手のパワーインフレは不可避的なので、制圧の水準が下がることはないのだろう。

特に少ない枚数や制約で妨害数を追加できるカード群は「出張セット」と呼ばれ、コンパクトに纏まった制圧セットは出る度に注目を集めている。
そのため昨今強いとされるデッキは「コンパクトに纏まっているメインのギミック」+「隙を補う手札誘発や出張」の組み合わせが多い。
過去の例(後に禁止カードに指定されたものも含む)としては、以下のようなセットが存在している。
とはいえこれらの「出張セット」もデッキの相性や環境の様子によって、評価はがらりと変わる。
よい例として《D-HERO デストロイフェニックスガイ》は、登場からしばらくの間は優秀な除去効果と墓地へ逃げるしぶとさを持っていたため大活躍していたのだが、
墓地メタ効果を持つ【ビーステッド】や「イシズカード」が登場した結果、急速に活躍の場を失ってしまった。

第9期以降の制圧の一般化や、それに伴う対策としてデッキの三分の一以上が汎用カードで埋まる環境について否定的な意見も存在する。

ただし、デッキスロットの固定化については、昔も汎用カードが大量に詰まれていており、使用されるカードが変わっただけともいえる。
昔の汎用カードと比較すると
  • 魔法・罠で駆け引きする時代から、奇襲性の高い手札誘発で駆け引きをする時代になった。
  • 同名カードが複数積みされてデッキに投入されるカードの種類が減った*4
といった違いが挙げられるだろうか。

コナミも商売的な都合もあり、どちらかといえばパワーインフレを重ねていく形の調整を行っている。
「弱いカードを作っても環境で通用しない=売れない」なのでやむを得ない面もあるが……。
抜本的な規制やルール変更があれば、環境を激変させれる可能性もあるが、それを行うと混乱が起こるというのは過去にも証明されいるため、積極的には行われていない。


余談

相手に何もさせないと言う意味の「制圧」は、公式からも使用されている。
2024年の例では、タクティカルトライデッキのキャッチコピーに「制圧」という単語が用いられ、
またリミットレギュレーションの理由文にも散見されている。




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最終更新:2025年05月01日 01:50

*1 例を挙げると、「フリーでトップメタを使われても気にしない」「1~2枚程度の妨害・制圧であれば駆け引きとして許せる」「カジュアルなデュエルでは妨害・制圧自体が許せない」といった意見がある。

*2 一昔前でも「2~3枚初動」が基本であった。

*3 サーチやリクルートなどでの使用を前提として、素引きしても役に立たないカードのこと。また素引きでも使えるカードだったとしても、そのカードのサーチに使うはずだったカードの方が死に札になることもあり得る。

*4 昔の汎用カードは規制されているカードが多かったため、同名カードの複数積みができなかった。