山崎貴

登録日:2023/10/23 (月) 00:52:06
更新日:2025/01/09 Thu 12:17:58
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この場所から遠く離れた所でVFXを志しているみんな!

ハリウッドが君たちにも挑戦権がある事を証明してくれたよ!

ー第96回アカデミー賞授賞式にてー


山崎貴は、日本の映画監督・脚本家。白組に所属している。
1964年6月12日生まれで、長野県松本市出身。
監督作品は基本的に興行収入が数十億円規模を叩き出すことが多い、疑うまでもなく日本屈指のヒットメーカーである。

妻は専門学校時代からの付き合いで同じ映画監督・脚本家の佐藤嗣麻子。


【経歴】


12~13歳の時期に『STAR WARSシリーズ』や『未知との遭遇』を鑑賞したことで特撮の道に進もうとする。
中学生の時期に自主映画を製作して評判を呼ぶなど実績をあげ、阿佐ヶ谷美術専門学校を経て1986年に株式会社白組に入社し、ミニチュア・VFXを担当。
その後に白組が「受注だけしていても先が無い」ということで社内企画のコンペを出した際に山崎しか案を出さず、その企画も会社の規模の都合で無理となったことでROBOTの阿部秀司を紹介される。
結局阿部との出会いでも企画の実現は無理だったことで撤退を強いられるが、山崎が何としても映画監督をやれることを証明したいという意図から小規模の作品として『ジュブナイル』を提出。これをROBOTが了承したことで2000年に映画監督としてデビューを果たす。

2005年に『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞を初めとして多くの受賞と高い興行収入を得たことで一気に知名度を上げる。
その後も様々な有名原作の映画化を担当するなど、邦画において有名な映画監督としての地位を確立している。

日本国内での彼の評価については後述のように大きく賛否が分かれていたが、監督、脚本、VFXを担当した『ゴジラ-1.0』は世界的な大ヒットを記録し、海外のレビューサイト「Rotten Tomatoes」では2500件以上の一般レビュー、150件を超える批評家レビューにおいて共に98%という非常に高い評価を獲得するなど作品としても絶賛されている。
特にアメリカでは、全米歴代邦画実写での興行収入1位や、『劇場版鬼滅の刃 無限列車編』を抜いて北米におけるアニメ映画含む日本映画の興行収入で歴代2位を達成したほか、日本映画として初めてアカデミー賞視覚効果賞を受賞するなど、正に日本映画の歴史に残る偉業を成し遂げた。


【作風】


基本的にオリジナルの映画を製作する機会は少なく、原作つき作品の映画化を任されることが多い。

日本には決して多くいるとは言えないVFXの技術に優れた監督で、映像の演出などが評価されている。
ただし、山崎はVFXを売りにしている一方で、VFX自体はあくまでも映画において脇役であって主要な要素になれるとは思っていない模様。
あくまでも映画が売れるためには映像技術よりも人間ドラマの方に力を入れて製作することという思想を抱いており、積極的に感動を狙った演出やシナリオを作る傾向にある。

ところが、担当作品の原作ファンからは極端に評価が分かれることが多く、ネット上では議論が起きやすい。
理由としては人間ドラマを重視する作風が原作の演出よりも感動狙いの描写や説明台詞の増加などに繋がる傾向にあり、原作改変が激しくなりやすいためと言われている。
作品毎の評価もバラつきが激しい節があり、『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』はファンの議論がかなり荒れる事態になった反面、『アルキメデスの大戦』は実写化作品の傑作として名高い。
原作を理解しているか疑わしいキャラの扱いや無駄なオリジナリティと、基礎ができずにアレンジばかりしたがる人の典型……というわけではなく「原作に対する熟知度によってクオリティが極端に変化する」「アニメ・ゲーム系の原作は苦手だが、戦争関係など現実寄りのテーマの原作は得意」と分析する声も。

戦争モノが原作の映画を多く手掛けているが、自身の年齢が戦中の世代を直接経験した世代から話を聞けた最後の世代になるという思考から反戦を訴えているとのこと。
しかし、戦争の悲惨なことのみを伝える内容が正しい反戦映画ではあるがそれをすると一般人に反戦が伝わりにくいため、やはりエンターテインメント作品にしながら伝えていきたいと述べている。

なお、山崎の担当する作品はシンプルな英語風のタイトル(田舎の喫茶店風のタイトルと言われることも)になることから「山崎貴メソッド」と揶揄されることがある。
実際にはタイトルに関しては阿部秀司プロデューサーの提案ということで山崎が本来持っていた癖とも言いにくい部分があるが、結果として山崎作品を分かりやすく示す象徴と化している。

ちなみにかなりの仕事を担当している山崎だが、業界に入った当初からチャンスを狙って積極的に周囲にアプローチするなどかなりの営業努力をしていたようだ。
山崎曰く「同じ能力の人が2人いたら、やりたがっている方に任せてくれる」という考えからも、仕事のチャンスに貪欲な姿勢がうかがえる。


【主なエピソード】


  • VFX技師時代は伊丹十三監督の下、通称伊丹組の一員として1987年の『マルサの女2』から1993年の『大病人』までを担当した。山崎は伊丹を映画の師匠と公言しており、伊丹十三関連の特集では必ず氏のインタビューが掲載されるほか、後年自身が監督した『STAND BY ME ドラえもん2』には伊丹の夫人である宮本信子がのび太の祖母役で出演している。

  • 映画監督になっていなければ学校の教師になっていたと語っている。学校という存在が好きなようで、映画の製作現場も文化祭のような雰囲気があるので自分に合っているのだろうとのこと。

  • 中学時代の自主映画製作の際に高級機材だった8mmカメラを友人の叔父から何とか借りようとした際の条件が「お前が将来大物になったら自慢するからサインしとけ」と言われて写真付きでサインすることだった。結果として友人の叔父の勘は的中したことになる

  • 世間で山崎の知名度を上げた『ALWAYS 三丁目の夕日』だが、依頼を受けた当初は「未来と宇宙船を描くSFが撮りたいのに、何故昭和なのか」として消極的な姿勢だった。
    やがて製作を通じて「CGを駆使したVFXなら、未来の空想世界だけでなく実際にあった過去も描いて人の心の奥まで揺さぶる力がある」と考えを改めたという。

  • ゴジラシリーズの大ファンであり、自身も西武園ゆうえんちのアトラクション『ゴジラ・ザ・ライド』や映画『ゴジラ-1.0』を担当することになった。
    なお、『シン・ゴジラ』について「次にやる人はハードルが高くなっちゃいますよね」とコメントしたが、次の新作ゴジラの製作依頼が自分の元に来たので「やってもうた」となったらしい。庵野秀明「よくやるよ」
    ちなみに「『ゴジラ-1.0』公開記念 山崎貴セレクション ゴジラ上映会」において、山崎が上映に厳選した作品は『ゴジラ(1954)』『三大怪獣 地球最大の決戦』『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』『シン・ゴジラ』の4作品。

  • BUMP OF CHICKENのファンであるため、映画の主題歌へのオファーやミュージックビデオなどの映像作品の製作を担当するなど互いに深い関係にある。

  • 近い時期に映画業界に入った縁もあってか樋口真嗣と関係が深く、樋口が『平成ガメラシリーズ』に参加した時期から互いに飲み仲間としての縁が続いている。

  • 映画評論家としても活躍するライムスター宇多丸からは担当作が酷評されることが多く、山崎も彼らの評価を見ているようで、宇多丸との関係が深い『映画秘宝』の取材を受けた際には自虐したことがあった。
    なお、宇多丸は山崎のアンチ的な存在であることは否定しており、『アルキメデスの大戦』に関しては大絶賛している。

  • 『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は堀井雄二やプロデューサーから熱烈なアプローチを受けたが、長らくオファーを拒否し続けるも最終的にその気になってきたので了承したという経緯がある。
    なお、山崎はゲーム作品の映画化について「ゲームは人によっては何十時間もやるメディアですから感情移入の幅が半端ない。それを映画という技法で対抗するのは難しい」「そもそもゲームを映画化してうまくいった作品をあまりよく知らない」と分析していた。

  • 漫画家集団のCLAMPと交流があり、『カードキャプターさくら』の登場人物「山崎貴史」のモデルになっている。お酒に酔うとこんな感じのキャラクターになるらしい。

  • X(旧Twitter)にて太もも繋がりでライザとゴジラを並べた画像の呟きをリポストしたり、藤井亮の「タローマンは出てきません」というポストに自ら「出ない方見ちゃったんですか?」と返信したりと意外とノリの良い一面が見られている。公式が最大手 

  • 『ジュブナイル』の監督以前、元々は『鵺/NUE』というオリジナルの和風SFファンタジーを企画していたが、予算がかかりすぎるということで没になっている。『鵺/NUE』は現在でも山崎の撮りたい作品だという。


【主な参加作品】


映画



テレビドラマ

  • 七瀬ふたたび 超能力者・完全抹殺
  • 動物のお医者さん
  • 初恋.com
  • 世にも奇妙な物語 25周年記念!秋の2週連続SP~映画監督編~「バツ」
  • 勇者ヨシヒコと導かれし七人(魔王ゲルゾーマ最終形態デザイン)


その他

  • ロッテ「エアーズ」
  • CR新世紀エヴァンゲリオン ~使徒、再び~
  • BUMP OF CHICKEN「Good Luck」
  • ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦
  • ウルトラマン・ザ・ライド 世紀の大決闘



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最終更新:2025年01月09日 12:17