ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー

登録日:2023/11/23 Thu 23:46:00
更新日:2025/04/21 Mon 12:07:32
所要時間:約10分で読めます





「首が・・・ある!? 幼く・・・なってる!?」
小心者で、保身上等 自分ファーストの元ポンコツ姫が、自分のために大奮闘。まさかの奇跡を引き起こす
歴史改変ファンタジーが始まる。



ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』は、餅月望によるライトノベル作品である。

「COMICOチャレンジ」で投稿され、そのリメイクで「小説家になろう」にて2018年8月から連載が開始された。TOブックスより2019年6月から刊行されている。

また、コミカライズが「コロナEX」で連載されている。作者は杜乃ミズ。従者たちの物語を描いた「ティアムーン帝国物語~従者たちのお茶会」が2023年1月より「コロナEX」で連載開始。原作の短編の話のコミカライズが、2024年8月1日より「コロナEX」で連載されている。


2025年1月時点でシリーズ累計部数は245万部突破。
「このライトノベルがすごい」単行本・ノベルズ部門では2021年版で6位を獲得。


【概要】

知らぬうちに姫が統治していた帝国は飢饉や疫病で苦しむ民衆が増え、やがて革命運動にまで発展してミーアはギロチンで処刑されてしまう。
目を覚ましたら、なぜか12歳の頃に戻っていた。残されたのはギロチンで処刑されるまでにしたためた数多くの出来事や姫の振舞を記した日記。この日記を読んだミーア姫がギロチンで処刑されるのを回避するため、国のために西へ東へ奮闘するサクセスコメディである。

主人公であるミーアの性格はそこまで大きく変わっていない。帝国のために様々動いていくのも自身がギロチンで処刑されるのを回避することが目的であり、こうしたミーアの振舞・言動が逆に周囲からは「叡智」ともてはやされており、コメディとしての面白さに反映されている。なお、これらミーアの振舞と評価のギャップに関してはナレーションなどで突っ込まれている。


書籍

TOブックス   既刊17巻+短編集(2025年1月現在)
TOジュニア文庫 既刊6巻 (2024年9月現在)
コミカライズ   既刊9巻 (2025年1月現在)
スピンオフ    既刊1巻 (2024年5月現在)



【あらすじ】

ティアムーン帝国の皇女、ミーア・ルーナ・ティアムーン。彼女は、20歳の頃、民衆の革命によって断頭台で処刑された……はずだった。だが、なぜか処刑直後、12歳の頃にタイムリープする。突然の出来事に困惑しながらも、生きていることに安堵の表情を浮かべるミーア。今までの出来事は全て夢だった思うことにするが、処刑される直前に自らが綴った血染めの日記帳を発見。さらに以前の時間軸で世話をしてくれたメイド、アンヌ・リトシュタインと再会をして……。

(アニメ公式HP 第1話あらすじより引用)



【キャラクター】

(主人公)

ミーア・ルーナ・ティアムーン
CV:上坂すみれ
本作の主人公。
大国であるティアムーン帝国皇帝の一人娘。17歳の時に革命が起こった際に捕らえられ、3年間幽閉された後にギロチンにて処刑されてしまった。
しかし、目を覚ますとどういうわけか、12歳の誕生日を迎える前の時期に戻っていた。
なお、前時間軸の記憶はそのまま引き継いでいる。

元居た時間軸では疫病や飢饉、ルールー族の反旗を発端とした国内情勢の混乱を経て革命が発生することになる。その際多くの民衆から怒りの矛先を向けられることになってしまった。
なお、革命が起こった際、上位の貴族が逃げ出す中で自身は帝国にとどまり、何とか状況を打開すべく帝国崩壊の阻止に向けて奔走していたが、時すでに遅しといった状況にまで追い込まれていた。のちに疫病と飢饉を除いてサンクランドの風鴉によって仕組まれた革命と判明した。

このことから無能で無責任な人物ということではなく、帝国の姫君としての矜持は持っていた

12歳を迎える前の時期に戻ってからは、前周に残された日記を辿り、未然に疫病や飢饉、革命の火種になりそうな争いをなくすために奔走することになる。
こうした言動は、多くの者からまるで国の現状を把握し、未然に問題になるのを防ぐために先見の銘をもって対応している様に見て取られ、「帝国の叡智」として帝国内外ともに名が知れ渡ることになる。

併せて、自身に尽くしてくれた者や才能あるものを厚偶したり、死に戻り前に革命に寄与した者に対して、極力衝突を避けるべく仲を取り持ったり、民衆のために奮闘したりする様から、周囲からは慈愛に満ちた姫君として評判を高めることになった。

普段はポンコツだが、地頭は良く、わざと木を蹴ってルールー族に攻撃させることで自身の護衛という理由で、ディオンの部隊を撤退させたり、レムノ王国の革命を最初の時間軸で起きた自国の革命と照らし合わせ、裏でサンクランドが糸を引いてる事を察したりと、本当に叡智を発揮する事もある。

死んで必ず戻れるかはミーア自身も分からない。そして「自分が死に戻れるんだから、他人が死に戻れない理由はない」「敵対者に死に戻られて過去改変されたらたまったものではない」と言う理由から不殺を貫いており、それが結果的に慈悲深さとして働いている。

ただし、本人からすれば行動原理はあくまでギロチンによる処刑回避のために動いていることから、あくまで性格は自分ファーストを貫いている。

一方で最初の世界線から振舞に関しては反省している節があり、直すように努力していた。目の前に困っている人がいると放っておけない所がある。
併せて今帝国で何が起こっているのか、因果関係を把握して分析するのも得意である。このことから権力者としての民衆を導く素質も潜在的に有していることが分かる。
議論・交渉の場面でも不意の窮地に陥っても表情には出さず、即座に状況を整理して最適解を出すことが多く、意外と政治的なスキルも高い。

また、本質的には「他人の不幸で飯が不味い」タイプであり、前周でもティオーナくらいしか積極的に他者を虐げた事はない。*1
加えて、貧民街で行き倒れている薄汚れた(病気の可能性もある)子供を誰よりも早く助け起こしており、根の部分では心優しい性格。
実は前周においても、裏切り同然で自分の元を離れた者が革命後に行き倒れているのを見かけた際に躊躇なく雇いなおし(という名目での看病)ており、貴族的な立ち回りが目立っていただけで困っている者を放っておけない性格は元来のものといえるだろう。また革命時からではあるが学ぼうとする姿勢はあったらしく、ルードヴィッヒからは処刑当日まで助命を嘆願されていたり、ミーアの性格を良く知っていた近衛騎士団もほとんど裏切ることなく最期までミーアの指示を守っていたりとまったく味方がいない状況ではなかった。

好きな食べ物は甘い物とキノコ。
キノコは前の時間軸でサバイバル生活を送っていた関係で好物になったが、食用キノコの目利きはついぞ身に着かなかったため、幾度も毒キノコを引き当てて災難に遭いかけている。
料理は経験がないが、巨大な「ウマパン」なるものを作成したことがある(ウマを可愛く模した巨大なパン。あまりに大きすぎて 中まで火が通らない という致命的な欠点がある)。

ミーアベル・ルーナ・ティアムーン
CV:内田真礼
もう一人の主人公。
未来から来たミーアとアベルの孫娘。第二部から登場してる。
ミーアとアベルの三女パトリシャンヌの娘として誕生。ミーアベルが居た未来の世界線(二部初頭時点)ではミーアは既に死んでおり、育ての親であるアンヌやエリス、教育係のルートヴィッヒの影響でミーアを尊敬している。ミーアが死んだことによるラフィーナの暴走で追われており、追い詰められミーアのいる本世界線に来ている。
おばあちゃんっ子で、ミーアが生存し女帝となった未来でも自分が嫌な思いをしたりすると、すぐにミーアの寝所に逃げ込んで彼女のベッドに潜り込んだりする。

見た目はミーアそっくりで中身はミーアを少ししっかりさせた感じである。ミーアの事をお姉さまと言うように言われてるが、ついお祖母様と言ってしまう事もある。
名付け親はミーアであり、ミーアとアベルの名前をくっつけただけである。

その一方でシオンの熱狂的ファンであり、シオンに出会えば密かにフィーバーし、ご機嫌になったりしている。そのため作内でよく地の文から「お祖父ちゃんは泣いていい」とツッコまれている。

(ティアムーン帝国関係者)

アンヌ・リトシュタイン
CV:楠木ともり
帝室に勤めている平民のメイド
赤い髪にそばかすがチャーミングな女の子。ミーアとは5歳年上。年上だがミーアと接しているときはあまりそんな感じはしない。ミーアが死に戻り後の世界で再会した時、転んでケーキをぶちまけたりするなどドジっ子属性あり。
アニメではミーアのことについてあれこれ考えるとき脳内会議を展開する。複数のちびキャラがとても可愛らしい。

ミーアが処刑された時間軸では、牢獄の中にいるミーアに定期的に会いに来てくれた唯一の人物で身だしなみを整えたり、世間話をしたりと世話をしていた。
ミーアはこうした経緯から彼女に恩義を感じており、死に戻り後の世界では彼女をミーア専属のメイドにすることにした。*2
彼女は当初戸惑うところがあったが、重用してくれたミーアに感謝しており、誰にも優しさと叡智で物事を解決している(ように見える)ミーアに期待と信頼を抱いている。併せて、最も身近な年頃の同性としてよき相談相手になっている。ミーアのお相手が誰になるかについても興味津々のようだ。

自身を腹心と称してくれたミーアの役に立つべく日々奮闘しており、しばらくするとドジっ子な部分は改善されている。
もっともあくまで努力によるものなので、新たに物を覚える際は要領が悪く相当に苦労している模様。
物語が進むにつれてミーアの学業をサポートするためセントノエル学園で授業を受けたり、ミーアに従ってさまざまな国に行く事で様々な文化に触れ体験をする事で作中トップクラスの教養を持つ人物になっている。

エリス・リトシュタイン
CV:羊宮妃那
アンヌの妹。
眼鏡をかけている。生まれつき病弱で普段はベッドにいることが多い。彼女が執筆した「貧しい王子と黄金の竜」は、処刑される時間軸にいたミーアにとって獄中楽しみにしていた数少ない娯楽の1つであった。しかし、飢餓で満足な食事がとれない環境下にいたため、執筆途中で死去。ミーアにとっても心残りになっていた。

本編の時間軸ではミーアにその文才を認められて彼女のお抱え芸術家になった。当初は姉のおこぼれにあずかっているだけだと感じ辞退していたが、ミーアの説得も相まって受け入れることになった。
また、アンヌがミーアの専属メイドとなったことで給金が増えた結果、家の経済状況も改善してエリスも栄養を付けたことで体質も改善している。
ミーアからは城の一室を作業所として与えられそこを自身の職場としている。またその作業所は他のリトシュタイン家の家族を入れることができる。これは万が一が起きた際に家族がエリスに会いに来たという名目で城に避難できるようにするためのミーアの計らいでもある。

なお、ミーアに文才を認められた際に過剰ともいえるほどの敬意の念が生まれた結果、ミーアの伝記「ミーア皇女伝」を書くことになるのだが、ミーアの描写に対してすさまじい脚色が加えられた物となっておりナレーションに「妄想(フィクション)」とツッコまれている。
もっとも脚色を除けば記録自体は正確らしく、後の世には信頼のおける正史扱いとされているようだ。*3

ルードヴィッヒ・ヒューイット
CV:梅原裕一郎
ティアムーン帝国の文官の1人。元々は商家の出で平民。アンヌ同様、ミーアの忠臣の1人で、絶対的な信頼を寄せている。
頭のキレる秀才ではあるが毒舌家で、周囲の敵を作りやすい性格でもある。
ミーアも当初はあまり良い印象を抱いておらず、「くそメガネ」という蔑称を用いる程であった。

ミーアが処刑されてしまった時間軸では、上司との関係がうまくいかずミーアが12歳の頃に左遷させられてしまっていた。*4
後に戻ってきてからはミーアとともに帝国の財政健全に向けて尽力していたがすでにある組織や風鴉によって手遅れ状態となり、帝国の崩壊を見届けるほかなかった。しかし、その中で獄中にいたミーアの助命を嘆願していたこともあり、忠臣だったことも明らかになっている。また、「部下にならないか」というシオンからの誘いもシオンがミーアの内面を知ろうともしなかった為「俺はあなたやティオーナ伯爵令嬢に仕える気にはならない。失礼する」と断った。その後の消息は不明。

本編の時間軸では、ミーアは彼の能力と前時間軸での忠義も鑑みて、彼を重用するようになった。
一方でルードヴィッヒ自身もミーアの先見の銘を思わせる采配に絶対的な忠義を見せ、「帝国の叡智」として畏怖するようになる。ちなみにミーアが状況を整理できるようになったことには前時間軸でのミーアへの教育が有効に働いた部分もあり、回りまわって自身のおかげでもある。

ディオン・アライア
CV:古川慎
ティアムーン帝国の百人隊の隊長。強者と戦うことに喜びを感じる変わった感性の持ち主。
剣士としての才能に秀でており、その実力は帝国最強と謳われる。

ミーアが処刑された時間軸では、ルールー族の反乱により自分以外の部下を死なせてしまったことに責任を感じると共に、その原因を作ったミーアに一矢報いる機会を伺っていた。
その後の革命に乗じて革命軍に鞍替えし、最終的にミーアをギロチンで処刑した張本人であったことから、彼女からすれば恐怖の対象として恐れられている。

本編の時間軸ではミーアの機転と叡智を目の当たりにして彼女に忠誠を示すようになる。だが、当のミーアからは、処刑執行人であったことへのトラウマが消えず、恐れている姿勢に変わりはない。

ティオーナ・ルドルフォン
CV:高尾奏音
ティアムーン帝国の辺境地域を治めるルドルフォン辺土伯の長女。
帝国において一族の地位は相対的に低く、本人はその逆境を跳ね返すために、勉学・剣術・貴族の振舞など多岐にわたって努力と研鑽を重ねてきた。
後に革命軍を率いて帝国打倒に動き、ミーアの処刑を先導したことから、ミーアからすればティオーナはある種仇敵ともいえる存在である。

しかし親の敵はミーアではなく、サンクランドの風鴉によるものでこれを知ったのはミーア処刑後だった為に生涯に渡り後悔することとなる。弟のセロが父の復讐(冤罪)という私怨で新開発した小麦を世間に出すのを意図的に遅らせた事により国の多くの人々が餓死した事も発覚しティアムーン帝国分裂を起こしてしまいルドルフォン家は周りから敵対され、無実で皇女を殺した売国女と地の底まで転落し、共に革命軍を導いたシオンともミーア処刑後は疎遠となった。 ティオーナは「あの時ミーアに会って話してれば・・・」とミーア処刑前に「ミーアに会って話してみて下さい」とルードヴィッヒに言われ強く断った事を生涯悔やんだ。

本編の時間軸では、ミーアは当初距離を取ろうと考えたが、とある虐めトラブルに陥った彼女を間接的に救ったことから、前世の世界軸とは真逆で、自身を救ってくれたミーアに希望を見出し心酔するに至る。ミーアからすれば仇敵だった過去から、未だに距離を取ろうとはしているようだが…
ある事件がきっかけで身辺整理を始めたように見えたミーアに「もっとミーア様と話したいです」と本音をぶつけ、今までティオーナに対して無意識に壁を作っていたミーアと本当の意味で友達になる。そしてその友情によりミーアのピンチを乗り切る助けになるのである。

料理は包丁さばきが得意で、千切り・みじん切り・桂剥きなどなんでもできるが、ミーアからすればギロチンへの当てつけではないかと思えてしまう。

セロ・ルドルフォン
CV:関根明良
ティオーナの弟。
植物に対して聡明で、よく花の世話をしている心優しい少年。
ミーアが処刑された時間軸ではその知識を活かして寒さに耐える新種の小麦の開発に成功する。しかし王族や貴族に復讐する為にわざと新種の小麦を世に出すのを遅らせ王族・貴族と民の分断を計るのもそれが裏目となり多くの民の餓死者を出してしまいティアムーン帝国分裂の最大の戦犯となってしまう。周辺勢力から復讐の対象と見られる事となった。セロはルドルフォン伯爵地には帰れなくなった。


本編の時間軸では、上記の事情からミーアとしては彼の協力を欲している。飢饉が発生した際に協力してもらえる下地作りに向けて動くことを目的に、彼を帝国の国立学校に入れてもらえるよう、ルドルフォン家に交渉することになる。

リオラ・ルールー
CV:斎藤楓子
ティオーナに使えるメイドの子。
ルールー族の出身。大陸の共通語には不慣れなようで、話す言葉はたどたどしい印象を持つ。弓の名手で身体能力は高い。
ティオーナにはよくなついており、信頼関係は深い。

前の時間軸ではミーアはリオラのことを認識していなかったが、同族を失ったルールー族の反乱を引き起こした要因であることから、リオラはミーアに対して殺したい程の憎しみを抱いている。
本編の時間軸では、ティオーナ共々、ミーアが虐めから救い出したこともあり、好感を持って接している。

肉を焼くのが得意だが、調理法がワイルド過ぎて、突っ込みどころが多い。(マンガ肉とでもいうべきか)

マティアス・ルーナ・ティアムーン
CV:松山鷹志
ティアムーン帝国現皇帝でありミーアの父親。
とにかく親バカであり、ミーアにはうざがられている。ミーアが好き勝手に改革していても何も言わないのも娘可愛さのため。
それ以外に特徴はなく特別圧政などは行わないため平凡な君主といえる。

エメラルダ・エトワ・グリーンムーン
CV:Lynn
ティアムーン帝国の門閥貴族である四大公爵家の一角・グリーンムーン公爵家の長女。四大公爵家は皇帝の親戚筋であるため、皇女ミーア・ルーナ・ティアムーンとも縁戚関係である。
典型的な貴族令嬢でワガママな性格であり、昔から自分に仕えている専属メイドの名前を覚えていない。一方で臆病な小心者でもあり、内面はミーアと似たり寄ったり。ミーアの一番の親友を自称しており、あの手この手で気を引こうとする構ってちゃんで、ミーアが常に自分の方を向いていないと気が済まない。イケメン好きで自分の護衛も顔を第一に決めている。四大公爵家のお茶会「月光会」の発案者。

最初の時間軸の時、帝国で革命が起きた際にグリーンムーン公爵家は一族郎党揃って国外に逃亡してしまう。その前日、エメラルダはミーアに対して「我が家で開くお茶会で、誇り高き帝国貴族としてこの帝国のために力を尽くすことをともに誓い合おう」と約束を交わしており、傾きつつある帝国の建て直しに東奔西走していた当時のミーアにとって非常に心強い言葉だっただけに、自分を見捨てて真っ先に逃げたエメラルダとグリーンムーン公爵家に対する失望は大きく本編の時間軸では全く信用されていなかった。
しかし実際は、彼女がミーアに対して抱いている友情は本心であり、最初の時間軸においての逃亡は彼女の父親が行ったもので、彼女の意思によるものではなかった。(エメラルダ本人は帝国に残るつもりだったが父親に無理矢理連れて行かれ、その後なんとかして帝国に戻ろうとしたが結局戻れずミーアが処刑されてしまい後悔した)

夏休み無人島事件で実はミーアの貴族の常識に囚われない生き方を羨ましがっていることが判明。自分のメイドの名前もちゃんと覚えており、ミーアを真似て名前で呼んでいたが父親に貴族らしくないと咎められてしまい覚えていないふりをしていた。また、前時間軸の事を夢で見ており、その時にミーアを裏切ってしまった事をずっと後悔していたと打ち明けた。その話を聞いたミーアはエメラルダに気にしなく良いと伝え今度お茶会を開こうと約束し、二度と裏切らずミーアを支えようと固く決心した。

サフィアス・エトワ・ブルームーン
ティアムーン帝国の門閥貴族である四大公爵家の一角・ブルームーン公爵家の長男。婚約者であるレティーツィアとは相思相愛。彼も典型的な貴族の性格で平民や辺土伯のティオーナを見下す小物のような男。意外な事に料理が得意。
生徒会長選挙でミーアに接近し裏工作などをしてミーアが有利になるようにするかわり、自分を生徒会に入れてもらうよう取引を持ち掛けた。しかしミーアを手伝っていたティオーナが断ってしまい、さらにサフィアスを糾弾し憤慨する。(ミーアは取引を受けるつもりだったが)その後ラフィーナに裏工作をしようとする事がバレてしまい獅子の怒りに触れたことに震え部屋に引きこもってしまう。
しかし選挙後生徒会長になったミーアから生徒会に誘われ、婚約者に情けない報告をせず自分の名誉を守ってくれたミーアに多大なる恩を感じ、心を入れ替え四大公爵家としてミーアを支えることを決意した。

ちなみに生徒会にはラフィーナもいるが上記の件もあり若干苦手意識を持っている。またミーアが料理が不得意な事も気づき、彼女達が料理をしようとするとキースウッドと共に阻止しようとする。(この事でキースウッドとは友情を結んでいる)

(レムノ王国関係者)

アベル・レムノ
CV:松岡禎丞
軍事力に優れたレムノ王国の第2王子。周囲への気配りができる優しい青年である。女性に対しても紳士的な態度をとることが多いことから女性的な人気も高い。一方で軍事国家である王国の王家の人間として、その優しい性格が裏目に出てしまい、「軟弱者」と後ろ指を指す者もいたとされる。このため、自身の実力に対して自信を持てない日々が続いていた。

ミーアが処刑された時間軸ではそうした女性人気から女遊びに現を抜かしてしまい、希代のプレイボーイとして名を馳せた後に暗殺されてしまった。

また、少し変わった世界では、ミーアを助けるべく、馬術クラブの先輩である林馬龍に逃走の協力を要請し一人で城に乗り込み多くの革命軍を道連れにして死んでいる。

本編の時間軸では、ミーアが万が一革命を防ぎきれなかった際、亡命先としてレムノ王国を頼ることを考え、アベル王子に接近した。第1王子であるゲインへのコンプレックスなどもあったが、ミーアの励ましにより奮起して彼を圧倒するまでに至る。こうした経緯も相まって、お互いに相思相愛になっていくが、正式な恋人同士かと言えば微妙なところである。

ミーアベルがいた未来世界ではミーアと結婚しており、8人の子どもがいる。

ゲイン・レムノ
CV:深町寿成
レムノ王国第1王子。
第2王子であるアベルを馬鹿にするような言動が目立ち、
王国の思想に染まっており、男尊女卑の言動が目立っている。
アベルからすればある種のコンプレックスのような存在であったが、剣術大会でアベルがゲインを破ったことにより、アベルは自信を持つようになる。

(サンクランド王国関係者)

シオン・ソール・サンクランド
CV:堀江瞬
大陸屈指の国力を有するサンクランド王国の第1王子。
正義感に溢れ、あらゆることにおいて才能に秀でた大人顔負けの実力者。 「公人あるいは主君としては」ある種理想的な人物と言える。
しかし短略的思考の持ち主でもあり、情報収集や調査についても自分からはロクに調べる事もせず、
正義と悪を自分の中で一方的に断じてしまう所がある。

以前の時間軸では、"ある組織"と風鴉の偽の情報と妨害工作に踊らされ、ミーアを「無能な統治者」として断罪し、革命軍を後押ししてティアムーン帝国を滅亡へと追いやった。ティオーナと共にミーア処刑を主導したことから、ミーアとしては仇敵の1人として警戒されている。
一方でミーア処刑をめぐってはミーアの人となりや背景事情を知ろうともせず、ルードヴィッヒよる助命の嘆願を一蹴したことで、視野が狭く短慮な一面が露呈してしまった。この時ルードヴィッヒの能力を買って召し抱えようとするも「あなたやティオーナに仕える気はない」と断られている。その後反乱を起こした弟エシャール*5や弟の助命をしていたキースウッドさえも処刑し、ティオーナとも向き合えなくなり、ティオーナとの関係もここで終わってしまう。
ついに誰も彼に寄り添う人間は居なくなり、「断罪王」と恐れられ生涯孤独となった。なぜ1人になったのか分からずに...*6

本編の時間軸では「帝国の叡智」と称されるミーアを高く買っている。ミーアの振舞から様々学ぶこともあるようだが、当のミーアは仇敵である事実を踏まえ、距離を取ろうとしている(...が、なかなかそうはうまくいかず、戦々恐々の日々を送っている)。

キースウッド
CV:増田俊樹
シオンに仕える従者。偏屈で皮肉屋な一面があるが、シオンへの忠誠は厚い。
元々は戦災孤児で、現国王に引き取られて息子同然に育てられた。

最初の時間時間軸では、ミーアの処刑後に、シオンの弟エシャールと共に断罪される事となり、シオンにエシャールの助命を求めるものの断られ、処刑される。

本編の時間軸では、ティオーナが監禁された事件をアンヌと共に解決したのが縁で、ミーアとも関わり合いを持つようになった。
料理を得意としており、ミーアたちが剣術大会のお弁当を作っているのを聞き、様子見していたが、あまりにも奇抜な内容の献立であり、一からレクチャーした。基本的には彼もミーアを信頼しているがキノコに関する事については全く信用しておらず、料理については何でもキノコを入れようとするミーア、妙な珍味を追加するクロエを特に警戒している。
他にも様々ミーアに振り回されていることが多く、気苦労が絶えない。

(聖ヴェールガ公国)

ラフィーナ・オルカ・ヴェールガ
CV:東山奈央
ミーアたちが通うセントノエル学園の生徒会長
ヴェールガ公国の侯爵令嬢。慈愛と正義感に満ち溢れており、身分に対しても貴族と平民を平等に扱っている。一方、悪人に対しては容赦なく裁くシビアさも持ち合わせている。
ミーアが処刑された世界軸では、ミーアとの接点を持つこと自体を避けていた節があり、革命軍の後ろ盾となっていた模様。このためミーアからすれば仇敵の1人と認知しており、敵に回ると厄介な存在として、恐れられていた。

上記のこともあり、本編の時間軸では、ミーアは彼女と距離を取ろうとしていたが、普段、貴族と平民との身分差を気にしないとする彼女の言動が共感を呼び、友人として迎えられることになる。(ミーアからすれば複雑である)
実は過去に肩書目当てで近寄ってきた「友人」絡みでちょっとしたトラウマを負っており、その反動もあって自分を聖女としてではなくひとりの友人として接してくれるミーアを大変大事にしており、頼られたりすると嬉々として助けたりミーアが侮辱されたり悪意に晒されそうになると獅子の如く怒ったりとミーアを大変気に入っている。実際ミーアが暗殺された時間軸では司教帝となり"ある組織"を過激な方法で討伐していくが、その理由がミーアの仇討ちの為。

ミーアベルがいた最初の未来では、セントノエル学園で毒殺事件が発生。その後、ティアムーン帝国でミーアが皇位を継がない事で、後継争いが起き、ミーアが毒殺される。その事でラフィーナの精神はボロボロとなり、司教帝となる。ミーアを暗殺したと思われる混沌の蛇(ジェムらがいる組織)を皆殺しし、庇う人間も皆殺し。また村ごと焼き払う事も。そしてミーア親族にも混沌の蛇の関係者がいるかもと疑心暗鬼となり、ミーアの娘や孫らも殺すようになる。

(フォークロード商会)

クロエ・フォークロード
CV:高橋李依
ミーアが通うセントノエル学園の同級生。ふわふわした黒髪と丸眼鏡が特徴の少女。
読書家ということもあり、本好きなミーアと接点を持つことができ、読み友になった。
前の時間軸ではミーアとの接点はほぼ皆無ではあったが、剣術大会の際に身分の低さを同級生の貴族令嬢に揶揄われていたところシオンに弁当を断られボッチだったミーアに助けられていた。それ以降特に交流があったわけではないが、ミーアが処刑されたと聞いた時は心に僅かな痛みを感じていた。

(その他)

ギロちん
CV:長谷川玲奈
デフォルメされたギロチンに手足が生えたようなキャラクター。
厳密には登場人物ではなく、ミーアの空想でのみ登場するトラウマが自律化したもので、彼女の頭の中で処刑という文字がよぎると決まって登場する。
時には彼女の処刑にかかわったティオーナとタッグを組んでミーアに迫りくることも。

元々原作には登場しない、コミカライズにおけるギャグ描写の一環に過ぎなかったのだが、その妙に愛嬌たっぷりな姿が読者にウケたのか、キャラクター人気投票で並みいるキャラクターを抑えて上位に君臨*7後に原作にも逆輸入される形で公式マスコットキャラへの昇進を果たし、グッズ化もなされた
いずれにせよミーアからすればいい迷惑である

ナレーション(地の文)
CV:成田剣
舞台及び状況の説明を行うナレーション。
本作においてはそれだけでなく、ミーアの挙動に対して逐一ツッコミを入れてくるのが特徴。
このツッコミが本作の人気の一つとなっており、コミックやアニメにおいてもナレーションによるツッコミが入れられるようになった。感覚的にはあの国民的作品に近い。



【世界観】

  • ティアムーン帝国
肥沃な三日月地帯に成り立つ大陸一の勢力を誇る大国。
貴族の中では「農業を行うものは他の仕事ができない無能者」という強い農業蔑視の思想が根付いている。

漫画やアニメで明かされた国旗は涙が三日月(ティアムーン)に落ちる図柄となっている。国家成り立ちの経緯を知っている読者はその絵の意味するところに大いに唸った模様。

  • サンクランド王国
ティアムーン帝国と並ぶ大国。
正義と公正を強く重んじており、ともすれば「民を苦しめる無能な他国の統治者」を攻め落とすことも厭わないほど。

優秀な諜報機関を有しており、各国に諜報員を潜伏させている。

貴族の中でも伝統的な保守層「領土拡大派」は「無能な王に統治されるより、栄光あるサンクランド国王に統治されたほうが人々の幸福になるだろう」という思想を持っている。
これらの他国を軽視する思想こそが"ある組織"に利用される原因でもある。


  • レムノ王国
ティアムーン帝国からサンクランド王国を挟んで反対側にある軍事力が充実した国。
男尊女卑の思想が強く根付いている。

  • 聖ヴェールガ公国
大陸の民に古くから信仰されている中央正教会の本拠地。
軍事力は有していないもののその発言力は非常に強く、国を治めるヴェールガ公のみならずその娘ラフィーナも強い権力を有しており「聖女」と呼ばれている。
現実でいえばバチカン市国とローマ教皇みたいなものといえるか。

  • セントノエル学園
ヴェールガ公国内、巨大な湖に浮かぶ島に立地する近隣諸国の王侯貴族の子弟が集められた学校。
島内にあることから生徒を始め訪れる者は船によって入島している。*8
諸国の王侯貴族の子弟を預かっている以上、公国と聖女ラフィーナの威信にかけて島内の警備は万全。
野暮用で訪れたディオンも簡単に暗殺者なんか送り込めないとお墨付きを与えている。なお当の本人は警備をかいくぐって剣を持ち込んだ模様。

さらに中立国であり絶大な権力を有するヴェールガ公国内では王侯貴族といえども好き勝手はできず、各生徒が連れていける使用人も1人のみ。
なお、基本的に生徒は上位貴族がほとんどなので使用人もそれなりの家柄(=貴族)である場合が多い。このため寮の部屋は生徒とその使用人の相部屋となっている。
ちなみに主人にその気があれば使用人に授業を受けさせることも可能。
学業以外にも諸国の貴族が集まることから国内外の重要人物と友誼を築く場にもなっており、将来国政にかかわるうえで重要な期間といえる。

【用語】


  • 血染めの日記帳
ミーアが処刑の際に唯一持つことが許された使い古した日記帳。そのページはミーアの血で赤黒く染まっている。
どういうわけだかミーアと共に過去に跳んできていた。
中には革命前から処刑前までミーアがつけた記録が書き記されているのだが、本編の時間軸のミーアがとった行動によって内容が改変される不思議な性質を持っている。
これによってミーアは将来起こることの確認とそれに向けての対策を立てられるようになった。
ただ、日記である以上当然ミーアが知っていることしか書かれていないため、ミーアのあずかり知らぬところで起きた事件に対しては確認が不可能という欠点がある。

  • 辺土伯
ティアムーン帝国の辺境を治める者に与えられる爵位。「辺"境"伯」ではなく「辺"土"伯。」
本来農業が盛んな三日月地帯において、帝国にとっての「僻地」は農地となることが多いため、そこを治める者も自然と農民のまとめ役などとなる。
地方を治める者は本来伯爵の位が与えられるのだが、農業蔑視の思想によって「元農民」を伯爵とすることは周囲の貴族が認めず、「辺土地方の伯爵」転じて「辺土伯」と呼ばれるようになった。
このため「辺境伯」*9とは違い「辺土伯」の地位は不当に低い。なお、こう呼ばれていることから察せられると思うが帝国にはこれまで「辺境伯」は存在しなかった*10

【舞台版】


2020年3月に舞台化が決定し、特設サイトが開設された。ちなみになろう作品では初めての舞台化作品である。

第1弾は、新宿村LIVEで「ティアムーン帝国物語 THE STAGE」のタイトルで2020年9月9日から9月13日に上演された。

第2弾は東京・六行会ホールで『ティアムーン帝国物語 THE STAGE II」のタイトルで2021年7月14日から7月19日に上演された。

第3弾は飛行船シアターで『ティアムーン帝国物語〜断頭台(ギロチン)姫on the stage〜』のタイトルでアニメ版が放映されていた2023年11月9日から9月16日に上演された。


【テレビアニメ版】


2023年10月~12月までTOKYO MXにて放送。
監督は伊部勇志 シリーズ構成は赤尾でこ キャラクターデザイン・総作画監督は大塚舞。
アニメーション制作はSILVER LINK。

主題歌


OP:「ハッピーエンドプリンセス」
ミーアを演じる上坂すみれによるオープニングテーマ
ミーアのキャラソンともいえるくらいに生き生きした歌詞で、ギロチン回避に向けて前向きに取り組むミーアの姿が想像できる内容である。
ED:「Queen of Night」
カノエラナによるエンディングテーマ。こちらは歌詞がミーアの内面をシリアスに歌ったものとなっている。




追記・修正はギロチンによる処刑を回避できてからお願いします。

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最終更新:2025年04月21日 12:07

*1 なおティオーナへの仕打ちをミーアは我ながら愚かなことをしたと思っているが、ティオーナ本人は全然痛くない為全然覚えてなく、父親を殺された事で恨んでた模様

*2 皇女専属のメイドはそれなりの家柄の者が務めるのが慣例であり、能力以前に平民が就くのは本来あり得ないことである。

*3 現実にも古代や中世の史書において統治者に神話人物的な脚色が施されることはままあるので、その点ではさほどおかしくないといえる。

*4 つまり死に戻り直後。引き留めにはものすごいギリギリのタイミングであった。

*5 「正義と公正を成す為だけの覇王という装置」へと変貌していくシオンを人の道に引き留めるべく反乱を起こした

*6 なお、シオンはレムノ王国革命未遂事件の中で「勇を持ち、主君の誤りを諫める者こそ忠臣だ。それに、民を代弁するような立場の者を害すればどうなるのか、わからなかったというのか……」と言った事があるが、皮肉にもキースウッドを処刑したシオン自身へのブーメラン発言にもなっている

*7 ギロちんという正式な名前が付いたのはこの人気投票から。

*8 以前は橋があったが馬車の渋滞がひどくなったため撤去され船で入ることになった。船は船で貴族達が部屋割りで揉めるため、馬車ごと入れるフェリーのような船が用いられている。

*9 字面から田舎に左遷された底辺貴族のように誤解されやすいが、国防上の要地である国境付近を任される辺境伯は一般に普通の伯爵よりも広い領地と強い権限を持つ

*10 ぶっちゃけると、なろう連載で初めて登場した際は「辺境伯」と書かれており、読者からの突っ込みを受けて即座に修正された。そうした経緯ゆえに「よくある辺境伯の勘違いテンプレ」的な立場になっている。