魚住純

登録日:2024/02/18 Sun 13:47:48
更新日:2024/08/28 Wed 21:13:19
所要時間:約6分で読めます





ウチには点をとれる奴がいる

オレが30点も40点も入れる必要は無い 

オレはチームの主役じゃなくていい



話の主役であれば…


魚住(うおずみ) (じゅん)とはバスケットボール漫画の金字塔『スラムダンク』の登場人物。
CV:岸野幸正

【概要】


陵南高校3年生でバスケ部キャプテン。
通称は『ビッグ・ジュン』で桜木が付けたあだ名は「ボス猿」
ポジションはセンター(C)を担当。背番号15(1年)→4(2年)→4。
身長202cm(1年時は199cm)、体重90kgという作中でもトップクラスの巨漢。

入学時から県で一番デカい中学生として注目され、魚住が入部した時から田岡監督はリクルートに力を入れ始めたが、が多く続いた

当初は体力がなく練習中も先輩達の足を引っ張り田岡からも度々叱責される有様で、「ただでかいだけ」と陰口を叩かれていた。
そんな境遇に心が折れ、涙ながらに「自分はただでかいだけ」と自ら卑下してバスケ部を辞める事を訴える。
それを聞いた田岡が投げかけた言葉は...



「でかいだけ?結構じゃないか。体力や技術はつけさす事は出来る。だが...」

「お前をでかくしてやる事はできない。俺がどんな名コーチでもな」

「立派な才能だよ」

そして、魚住が3年になった時にこそ陵南の初の全国進出という田岡の夢と、そのために期待をかけていることを告げられ自信とやる気を取り戻す。
この時の田岡のセリフで彼のファンになった読者も多いのではなかろうか。

その後は厳しい練習により体力と技術を身に付け試合でも注目される存在となる…が、そこに湘北赤木が立ちはだかる。
魚住に迫る体格を持つ赤木はチームメイトに恵まれず試合には勝てないながらも魚住を圧倒するプレイを見せ、以後この2人のライバル関係が続くこととなる。

熱くなりやすい性格だがその一方でギャグシーンとも取れるシーンが散見され、
フリースローを外してギャグ顔になったり、神の質問に「はらたいらさんに3000点……!*1」と答えて真意をはぐらかしたり、単行本版では冒頭の台詞の後に「話の主役であれば…」と余韻を台無しにするセリフを呟いたりなど、「赤木よりいかついが愛嬌がある」という形で赤木との差別化に成功している。
特に後述する「山王戦での赤木へのアドバイスシーン」は作中屈指の名シーンであり、間違いなく作中で最もトンチキな迷シーン。現在も折に触れては話題になる。
どうしても人気キャラに「華麗なスタープレイヤー」が多くなりがちな今作においてとても泥臭く人間味あふれるキャラをしているため、大人の男性、特に中年が近づいてくるにしたがって評価が上がり人気が集まっていくという、まさしく刺身のつまやしょうがみたいな位置づけのキャラクター。

【選手としての特徴】


見た目通り、ゴール下での威圧感とブロックは強烈。
高校生どころか日本人離れしたその長身はそれだけで唯一無二の武器となっており、リバウンドやダンクシュートのような高さを生かしたプレーで存分に強みを発揮する。
しかし、彼を育てた田岡の目から見ても総合的に赤木よりやや劣る所があるようで、ファウルトラブルとも縁が深い。
赤木の天性であるゴール下での得点感覚が魚住にはなく、1on1でやり合う時も赤木が怪我の影響を気にしている場面等一部を除き魚住の方が押されていることが多い。
キャプテンとしての素質の面でも、決してチーム内での求心力が無いわけではないが「本当は自分よりも仙道の方が向いている」と認めている通り、本来は他のチームメイトを諌める立場にもかかわらずカッカしやすい性格のため、肝心な時に冷静さを失い後述する敗因にも繋がっている。
またフリースローを極端に苦手にしており、作中でエアーボール(リングやボードにかすりもしないこと)を見せたのは桜木と魚住だけである。
こうした欠点こそあるものの、やはりそのパワーと体格は別格であり、赤木、翔陽の花形、海南の高砂らと共に県内最高峰のセンターとして名前を挙げられている。*2

【本編での活躍】


湘北との練習試合では仙道の活躍もあり勝利するが、ライバルの赤木に30点も取られてしまう。

県予選の決勝リーグでは最初に武里に当たるも所詮かませ犬なので問題なく圧勝。

海南戦ではここでも仙道がと互角に渡り合えたこともあり序盤は陵南が優勢だが、自身が清田にダンクを決められた辺りからも流れが変わり始める。
ここまではまだ良かったが、3ファウルになった時に牧のターゲットにされ高砂が審判に誤認させる形で魚住から4つ目のファウルを奪取。
そしてこの時、身に覚えのないファウルを取られた魚住が必死に審判に抗議したことでテクニカルファウルとなり、『5ファウルで退場』となってしまう。
この後も陵南は仙道を中心に必死に追い上げるものの唯一の逆転策は寸前で牧に看破され、魚住のいないまま延長戦に入った時点で陵南の敗北は事実上確定していた。
心情的には同情できるところはあるが、直後に赤木が指摘する通り魚住のこの行動がチームの敗北を決定づけ、ひいては全国行きを逃す致命傷となってしまった*3。またこのことは次の湘北戦で「あっちの2メートル(魚住)みたいになるぞ(=審判と揉めてファウルをもらいたいか)」と桜木に忠告した流川のセリフに乗る形で5試合連続退場の経験がある桜木にまで『バカ』呼ばわりされてしまう*4

そして湘北との最終戦、魚住はまたしてもファウルトラブルに陥ってしまい桜木のシュートを無理に止めようとしたことで4ファウルを取られベンチに下げられてしまう。
結局、控えの菅平がまるで赤木の相手にならなかったため*5予定より早くコートに戻ることになるが、逆境の中でかつてないほど集中力の高まった魚住はプレイが冴え始める。
1on1では赤木に敵わないまでも他の選手たちを活かすプレイを見せ始め、牧からも賞賛される精度のフェイクで赤木を翻弄する場面もあった。

しかし点差を逆転するには至らず最後の1on1でも赤木に敗れ陵南は敗北、魚住ら3年は自分達が果たせなかった全国行きを後輩達に託すことになった。
試合終了後、しのぎを削ってきた赤木と握手をし、互いに感極まって涙を流しながら抱擁を交わした。
冬の選抜まで魚住が残ることへの期待は当然あったものの、魚住は親と18歳になったら家業の料理店を継ぐため板前としての修業を始める約束をしていた*6ため、県予選敗退をもって部活からは引退。

だが山王戦では湘北の応援に現れ*7河田に圧倒され自分を見失っていた赤木の目を覚まさせるファインプレーを見せる。
それはかつて自力では赤木に敵わなかった魚住と同じ窮地に赤木も陥り、そして彼の開いた悟りの境地へと辿り着いた瞬間だった。

ちなみにこのシーン、ポケモンアニメで言えばシゲルやシンジがサトシに戦い方の助言をしてくれるようなとても熱いシーンなのだが、

  • 板前姿の2メートル越えの巨漢が突然コート内に侵入する
  • コートの中で大根の桂剥きをはじめる(刺身のつま、つまり「引き立て役」の暗喩)
  • そもそも取り出した包丁が銃刀法違反で警察のお世話になりかねないレベルの立派な刃渡り
  • 赤木を見下ろすときの聖母のごとき落ち着いた笑顔
  • 板前なので仕方ないとはいえ、なぜかたとえ方が魚。バスケの真剣勝負の真っ最中にタイとかカレイと言い始める

という作中屈指の迷シーンでもある。これによって赤木は困惑するが、それによって焦りがリセットされて魚住の伝えようとしていた内容を理解するに至った。
作中では警備員にしょっぴかれただけですんだが、『インターハイ会場で試合中に刃物を持った巨漢が乱入』と書くと単なる警察沙汰である。こんな闖入者がいても「赤木の父兄か」で流す山王の選手陣のメンタルが強い。
劇場版ではさすがに無茶すぎること、平成一桁の頃ならギャグシーンとして流された描写が今では受け入れられなくなっていること、話の流れをかなりぶった切る迷シーンであること、さらに尺の都合などもあってかカットされた。
一応観客席には魚住の姿があるが、セリフはない。

旧アニメ版では湘北戦後にバスケとは完全に縁を切るも、『赤木との決着を付ける』との想いから引退を保留し、全国に行く前に行う陵南・翔陽の混成チームとの練習試合に魚住も参加することを決意する。
キャプテンの責務から解放されたことで地区予選でのうっぷんを晴らすほどの活躍を見せ、試合後に「これでもう思い残すことはない」と退部後と黒板漫画で隠し切れなかったバスケへの未練を断ち切ることに成功。魚住の真の引退を見届けた彦一は涙を流していた。
結果的に原作とは真逆の方向性で救済された恵まれたキャラクターであった。

作中の選手たちの後日談を描いた『あれから10日後』ではバスケへの未練から『様子見』として毎日顔を出しては2年生組に煙たがられ、
釣りにかまけて練習をサボっていた仙道を呼び戻す際に『バカタレェ そんなに魚がすきなら… 俺とかわれ!! そして俺がキャプテン続投』と非常な未練をあらわにした。
この前に湘北の後日談として「あっさり顔を出す木暮と、一度やめると決めたので行きたくても必死に我慢する赤木」が描かれており、巧い対比が成り立っている。
ちなみに「ディフェンスに定評のある池上」はまったく出ていないが、池上のネタキャラ性を増すというよりは「1コマも顔を出さないことでバスケへの未練のない池上と、未練だらけで煙たがられる魚住」という形で巧く対比ができている。池上の激励シーンをさらに極端にした感じ。


【余談】


赤木以上のものすごい老け顔と巨体ゆえ、山王戦では乱入してきた彼を見た河田に『赤木の父親か……?』と間違えられるシーンがある*8この漫画の3年生はこの2人といいどうしてこうも老け顔揃いなんだろうか?

なお令和版映画こと「THE FIRST SLAM DUNK」では、出番を丸々カットされてしまった。
これは自らの悟った境地をライバルへと教えるという名シーンなのだが、上述の通りツッコミどころの嵐でもある。
そのためファンからの反応は「なぜカットしたんだ!?」という批難ではなく、「まぁカットされてもしょうがないよね」という割と肯定的な意見であった。
魚住の出番が削られたのは残念だが、『リョータと三井のシリアスな過去回想や男同士の真剣勝負の熱い流れを断ち切りかねない』『コンプライアンスにうるさい令和だとツッコミどころにしかならない』というのも理解した上での反応であり、
改めて例の説得シーンのネタっぷりが増すこととなったのだった。
「ダメなシーンのカットを受け入れられる」「良シーンのカットで嘆かれる」ということは数多くあれど、「良シーンのカットを受け入れられる」ということは珍しいのではないだろうか。




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最終更新:2024年08月28日 21:13

*1 当時のテレビ番組「クイズダービー」でよく見かけた言葉。詳しくは各自検索してほしいが、要は「古畑任三郎でした」「ピカチュウ、かわせ!」「逃げろジャイロ!これはスタンド攻撃だ――――ッ!」などの、「その番組を特徴づける看板台詞」「これを言っておけばだいたいあの作品だなと通じる台詞」と言えるもの。

*2 これ以外に登場したセンターというとほぼモブの三浦台の川崎、劇場版での登場のみで原作ではダイジェストにされた津久武の南郷くらいだが

*3 ただ湘北戦で4ファウルとなった魚住が覚醒したのは「自身もチームも後がない(負けたら終わりの最終戦)」からこそらしいので、ここでテクニカルファウルを取られなくても同じように良いプレイができたかは不明

*4 ちなみに流川と桜木はその場面を見ていない。また、桜木は「まったくの素人なのでファウルになるラインが理解できていない」ことで次々とファウルをもらって退場してしまっていただけであり、あくまで『審判ヘの暴言によるテクニカルファウル』で退場したわけではないことにも留意すること。

*5 まだ1年な上に身長差も大きいので仕方ない所もあるが

*6 板前は魚住自身の夢でもある

*7 なお湘北側の応援席のど真ん中に立って赤木への失望のセリフを呟くまで晴子たちは最初誰もすぐ隣にいた魚住の存在に気づかず、タイムアウトで戻ってきた赤木たちも気づいていなかった。

*8 観客側からも「父兄か!?」という声もあった。