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更新日:2025/02/17 Mon 18:14:30
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韓遂とは、後漢末期の武将・群雄。字は文約。
中国の
三国時代の涼州の
梟雄…というより狂犬みたいな人物である。
叛乱ばっかり起こす変な人とか何を目指していたのかわからないとか色々言われているほど叛乱を起こしている。
ウィキペディアでは涼州のために戦ったとか言われているが、そうとは言い切れない。
しかしその実は異民族との関わりが非常に強く、一言で言い表せない英傑である。
【叛史】
韓約という男
韓遂は元の名を韓約と言い、同郷の辺允と共に洛陽に仕事で来たところを何進の目に留まった。
その際に韓約は何進に十常侍ら
宦官を誅滅するよう進言したものの、何進は従わなかったのでそのまま二人で帰った。
後漢末期となると涼州のような辺境は真っ先に治安維持ができなくなってしまったため、異民族や盗賊が次々と叛乱を起こした。
184年頃、辺允と韓約もこの時北宮伯玉という賊徒に捕まってしまったが、官吏である二人は逆に賊徒を心服させ逆にその頭領になり名を辺章と韓遂に改めたという。
ただこれについては、最初から辺章と韓遂が担ぎ出されていたという説もある。
こうして軍と権力を得た韓遂は、それに憑りつかれたかのような行動を取るようになる。
韓遂の叛乱その1
185年頃。辺章と韓遂らの叛乱軍は涼州の州都を焼き払い、長安周辺にまで達しようとしていた。
反乱軍の勢いは凄まじく一度は司空・張温と
董卓ら討伐軍を大敗させたものの、撤退時に追撃を受け大敗。
韓遂は翌年には仲間だった辺章と北宮伯玉を殺害し軍を完全に掌握、涼州の独立勢力として割拠するようになった。
韓遂の叛乱その2
187年頃。涼州刺史に
耿鄙という人物がいたのだが、彼は無能だった。ていうか前々から涼州刺史は無能揃いだった。
耿鄙の統治の失敗により異民族が叛乱を起こすと韓遂はこれに便乗、耿鄙は敗北した上に部下に殺害される。
更に叛乱軍には耿鄙の部下の
馬騰もこれに参加し、叛乱軍は大きく膨れ上がったが烏合の衆。まとまりを欠いている。
そこで
王国という人物を盟主に戴くことでまとまり、またも長安周辺に達し陳倉城を攻撃する。
だが陳倉城は後年
諸葛亮率いる蜀の北伐軍を何度も退けるほどに堅く、まず落ちない。
ここで漢王朝は対涼州ということで名将の皇甫嵩と
董卓を送り、王国軍は大敗し四分五裂。
盟主王国が追放されると韓遂も含めそれぞれが争い合うようになり、ここに叛乱は終結した。
韓遂の叛乱その3
190年頃。董卓が天下を取り、涼州により近い長安に遷都される。
その董卓が
呂布によって殺され、王允・呂布政権が三日天下に終わり、李傕・郭汜政権が発足すると、韓遂は馬騰と共に出仕し恭順の意を示した。
そして韓遂は鎮西将軍という役職を戴いて涼州に帰還したが、馬騰は征東将軍というもうちょっと偉い官職を得て郿に駐屯するようになった。
だが馬騰が李傕・郭汜に反感を抱き、反李傕・郭汜勢力や益州牧の
劉焉と共に長安を攻めようとする。
韓遂は馬騰と李傕・郭汜を和解させようとしたが失敗したので、馬騰について三度の叛乱を起こすことになった。
しかしこの計画が事前に漏れてしまい、馬騰・韓遂軍は樊稠・郭汜軍に敗れてしまう。
敗走中には樊稠に追いつかれたが、旧知の仲だったので見逃して貰ったという。
韓遂の叛乱その4
197年頃。馬騰とともに涼州に帰還した韓遂は馬騰と仲良くなり、義兄弟の契りを結ぶようになった。
だが馬騰は異民族に畏れられる武断派であり、対して韓遂は異民族とズブズブの融和派でありこの対等な関係が長続きするはずがない。
結果として馬騰と仲違いしてその妻子を殺害するなどの蛮行に及び、両者は殺し合うようになる。
これを止めたのが
曹操だ。
彼は鍾繇を派遣し、その鍾繇は長安から張既を派遣して両者曹操に人質を出すということで両者は和睦。
今度の叛乱もなんとか治まった。
韓遂の叛乱その5
曹操の下についた韓遂は逆に叛乱を鎮めるなどきちんと仕事をしていた。
が、211年頃。曹操が張魯を討伐しようと軍を差し向けると韓遂は自分が何度となく叛乱を起こしてきたことから自分を討伐しに来るのではないかと疑念を抱いた。
ついでに中央には犬猿の仲となった馬騰もいたので、
馬鹿馬超と関中の有力者を集め叛乱を起こし曹操軍と激突した。世に言う潼関の戦いの始まりである。
これで自身の子孫は犠牲になるだろうが、憎き馬騰とその子馬鉄馬休は確実に殺してもらえる。
その後は戦いを続けつつ落としどころを探るだけであるが、ちょうど曹操から会談を持ち掛けられたので喜んで乗り、曹操と親しく話した。
だが曹操とは本当に親しく話しただけで、表裏は全くなかった。
もちろんこれは曹操軍の参謀・賈詡が仕掛けた計略であった。
疑念を抱いた馬超は韓遂を疑うようになり、信頼しなくなる。
そして統制を欠いた馬超・韓遂の軍は曹操軍の罠にかかり大敗。
馬超も韓遂も逃走し、馬超と韓遂の一族も予想通り誅されて潼関の戦いは終結した。
最後の叛乱
214年頃。馬超は張魯を頼って南へと逃げたが、韓遂も
劉備を頼り南へ落ち延びようとしていた。
落ち目となった韓遂は部下の閻行(かつて馬超を
一騎討ちで半殺しにした恐るべき武将)にも叛かれたが、同じく部下の成公英に励まされ韓遂は涼州を諦めまいと劉備でなく羌族の下へと向かい叛乱を起こして閻行を破る。
だが歴戦の名将である夏侯淵は異民族とジジイ如きが通用する相手ではなく、あえなく敗れてしまった。
その後西の果てである西平に逃げた韓遂であったが、齢70超という年にも勝てず病死したという(なお、最期には諸説あり、討たれた説もある)。
残党は曹操に降伏し、涼州は夏侯淵や張郃によって統一され曹操の支配下に収まったのだった。
性格
とかく涼州の権力に拘り、生卵を食べて常に女を侍らせているなど豪胆なところを見せている。
その反面自分の所業を顧みて曹操軍にビビっている辺り、内心は小心者だったのかもしれない。
しかし彼は常に氐や羌といった異民族と共に叛乱を起こしている。
これは韓遂が親異民族の代表、漢民族側の大使というべき存在となり一体として行動していることを意味している。
涼州における異民族が持っている不満に漢民族を巻き込んで叛乱という形で体現させ表立って戦う、同じ融和策を取った
劉虞とは一味違った英傑と言えよう。
そして英傑としての能力は確かなもので、何度となく敗れても涼州の中で築いた地盤は崩れていない。
部下を見る目もあり、成公英に弱音を吐いてもしっかりと激励で返してもらっている。閻行には叛かれたが。
ただこの方向性により、同格以上の相手とは最終的には誰とも上手く行っていない。
つくづく妥協ができないというか、人の下についておけない男である。
三国志演義
馬超同様悪いところが省かれたため綺麗な義叔父として登場。しかも若返っている。
涼州の有力者らは全て手下扱いされ、結構な大物にもされている。
離間の計に嵌まってしまうのは同様だが、その後馬超から裏切り者として襲われ、左腕を切り落とされてしまう。
しかし命は何とか助かり、曹操に降伏して曹操からも迎えられてフェードアウトという結末に収まっており史実以上に恵まれた最後を迎えている。
創作での韓遂
初代より登場。武力・知略が高く政治がやや低いが全体的に高めで整ったハイバランス型。
各軍の超一流武将には劣るものの十分に一線級であり、また単純なステータス以外のスキルなどで優遇されていることが多い。
あと年齢は史実同様のくせに不審死扱いのためやたら寿命が長い。なんだかんだで脳筋ばかりの馬騰軍においては貴重かつ優秀な知将であり、頼りになる。
演義設定が採用されており馬騰とは義兄弟なので親愛補正が付くのも魅力的。
唯一の欠点は高野心・低義理、つまり非常に叛乱を起こしやすいという点。
部下にするなら適当に扱わずきちんと面倒を見てやったり、太守に据えないように注意する必要がある。特に後者は能力の高さからつい高い官職を与えてしまい発生することも。
演義における黒塗りの書イベントもしっかり実装されており、潼関の戦いシナリオでは勝手に馬超と仲違いするが、作品によっては馬超が韓遂を信じ抜く選択肢を選べる場合もある。
三国志大戦2になり涼勢力の追加と共に登場。兵種は騎馬で計略は当然というべきか汎用の叛逆の狼煙。
しかし半端な能力のせいか今一つ伸び悩み、3では卑屈な急襲になるもののやはり伸び悩む。
新版でも叛逆の狼煙だったが、バランス型の能力との噛み合いが悪く相変わらず伸び悩む。
しかし6になって計略が専用の叛騎の狼煙というものにエラッタされ一気に大躍進。それまでの半端さが嘘のように大暴れした。
叛逆の狼煙の武力そのままに移動速度と迎撃無効も乗ればそりゃ暴れるよ
もちろん弱体化されたが、ようやく個性を手に入れたのだった。
また6では2枚目がバランス型能力と独自計略の西涼之武・奇を引っ提げて登場。兵種は槍。自分ともう1人の能力を上げるが、そのもう1人が馬騰であれば強力な能力アップが得られる。
馬騰も西涼之武・正という計略を持った新カードが登場したので、まさしくセットで使えと言わんばかり。
新シリーズの英傑大戦ではバランス型の叛逆の狼煙に戻ったが、また相変わらず伸び悩む。
一応、斬る相手は範囲式になったため雑に誰かの首が吹っ飛ぶ事はなくなった。
現在に至るまでモブ武将。
基本的には潼関の戦いで出てくるのみで、どのシリーズでも曹操と旧知の仲ということから離間の計イベントが発生する。
曹操軍の場合は成功させておくことで他の相手連合軍武将も寝返らせたり撤退させたり、何より馬超軍の士気を大きく下げることが出来るので成功させておきたいところ。
逆に失敗してしまうと連合軍の士気が上昇して馬超が本陣へ突撃してくることもあるので一気にピンチになる。
条件は曹操が韓遂に接触してから一定時間経過する、韓遂を一切攻撃しない、韓遂配下の武将や兵士を一定数倒しておく、韓遂の寝返りを疑い彼の元へ向かおうとするホウ徳を接触させない等、シリーズによって様々。
特に最後の条件は敵兵を沢山倒してホウ徳の注意をプレイヤー側に向けさせないといけないので結構難しい。
馬超率いる連合軍の場合は、曹操軍の武将を撃破していけば寝返りを阻止できることもあるが、シリーズによっては必ず裏切る。
ただ、韓遂寝返りイベントの成否がシリーズによっては隠し武器や隠しアイテム入手に関わっており、わざと寝返らせないと入手出来ないものも存在していることから、この戦いにおいては割と重要な武将だったりもする。
演者は
ディザート・ザク。漫画版にのみ登場。
馬騰の部下だったが
やっぱり叛乱して
曹操軍配下になる。
最終的には馬超にフルボッコされて爆散した。
馬超が主役のエピソードで登場。
「死ぬまで乱の夢を見続ける」を宣言して憚らない生涯現役おじいちゃん。
董卓の死体を前にして感極まっていた若かりし日の馬超を見て、将来彼が乱を起こすであろうと予見。
果たしてそれは的中し、「これが自分の生涯で最高の乱になる」と歓喜し自らも参戦するに至る。
高齢故、武人としての活躍は望むべくもないが、反面精神面が円熟しており、
「人の心は是か非か、善か悪かで割り切れるものではない事。故に人の営みも清濁入り混じるのが自然である事」をよく理解している。
そしてそれを理解しているからこそ、
「世に完璧な潔癖さだけを求め、そうでないものは徹底的にこの世から根絶する」事で自分を成立させようとしている馬超の心に、
一度でも私情が入り込めば彼の全てが破綻するかもしれない、という危惧も抱いていた。
そして彼の予見は再び、今度は最悪の形で的中することになる…。
追記・修正・叛乱お願いします。
- 蒼天航路の韓遂が反乱大好きおじさんって感じで好きだった -- 名無しさん (2024-08-28 18:16:34)
- もし当初の予定どおり劉備軍に加わってたら・・・いや、やっぱりどっかで叛乱起こして粛清だろうなw -- 名無しさん (2024-08-28 19:03:42)
- 日本史だったら、床次竹二郎みたいな奴だな。 -- 名無しさん (2024-08-29 02:23:15)
- 万事無事…とは言い難いが、この時代に5度も反乱起こして生存し、そんだけのことして敗死でも獄死でもなく病死だし、この時代に70迄生きれれば割と天寿を全うしたほうなのでは? -- 名無しさん (2024-08-29 15:10:45)
- ↑あれだけ危険な人生を歩んでなおかつ天寿を全うしている時点でただ者じゃない。 -- 名無しさん (2024-08-29 16:17:23)
- ↑2確か韓遂の最期って敗死説もあったような気がする -- 名無しさん (2024-08-29 19:37:21)
- なぜ枕を高くして死ねたのか不思議な人なので逆に敗死していて欲しい(錯乱) -- 名無しさん (2024-08-29 21:31:55)
- 三國志シリーズでは確かに涼州では唯一と言っていい知将なのだが所詮脳筋どもの中での知将なので他の知将と計略でやり合うと負ける。とは言え馬騰のところは他に知略担当いないからマジで貴重な人材なのだが -- 名無しさん (2024-08-29 22:34:39)
- 夏候淵にジジイ如き通じなかったと言うと演義黄忠が笑ってそう -- 名無しさん (2025-02-17 18:14:30)
最終更新:2025年02月17日 18:14