悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~

登録日:2024/08/30 Fri 20:33:23
更新日:2025/04/25 Fri 11:17:58NEW!
所要時間ならこの項目が約 28 分で読めるわね






わたくしはお前たちを許さない。



悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~』とは、「小説家になろう」にて2020年に連載されていた小説作品。著者はまきぶろ。
元は短編で、その後加筆して連載されている。

書籍版は一迅社から刊行されている。元が中編程度の長さなのもあって本編自体は1巻の中ほどで完結しており、番外編や後日談を収録した2巻が2024年に刊行された。


【概要】

タイトルの通り、「ゲームの悪役令嬢に転生憑依した女性」がテーマの物語である。
これだけならよくある「悪役令嬢転生もの」だが、本作はその「転生者」が主人公ではなく、転生された悪役令嬢自身が主人公という珍しい作品。
転生者に肉体を乗っ取られた悪役令嬢が、肉体の外から転生者の人となりを見るうちに彼女に好意を抱くようになり、唯一無二の存在となっていく。
転生者は悪役令嬢の運命を変えるための努力を重ねていくが、本来のゲームのヒロインもまた転生者であり、性悪になってしまったヒロインに貶められ、追放刑となり、絶望。
それをきっかけに悪役令嬢は自身の肉体の主導権を取り戻し、転生者の無念を晴らすためにヒロインとその攻略対象の男達への復讐を開始する。

そして本作の肝となるのは、主人公の悪役令嬢は転生者に好意を抱いているものの、性根は「悪役」のまま変わっておらず、復讐手段は狡猾な計略、すなわち邪道そのものである点。
というのも、「本来物語のラスボスだった人物が真実の愛に目覚めた」だけでその先が「世界の破壊」か「個人への復讐」かの違いというだけなのだ。
巷では、「自身を鎮めた巫女に恋をした邪神が、彼女を無下に扱った人間達を祟る物語」として例えられることも。
このため、決して悪役令嬢を「正義側」の人物としては描いておらず、寧ろ悪辣な内面描写を濃密にしており、結果的に善行を為す裏で復讐の根回しを進めるというピカレスクロマンの色合いが強い。

また、白梅ナズナ氏によるコミカライズが、一迅社がpixiv内で運営するcomic LAKEにて連載中。
画力が非常に高く、レミリアやピナの顔芸が濃く描かれている他、神々やクリーチャーの造形についても評価が高い。
構成についてもサイドストーリーも回収したアレンジで高評価を得ている。
ちなみに本項目では一緒に扱っているが、「~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~」の副題が付くのはコミカライズ版のみである。

【ストーリー】

公爵の令嬢、レミリア・ローゼ・グラウプナーは幼い頃、謎の存在に肉体を乗っ取られた。
当初は憤ったレミリアだったが、やがて、その肉体を乗っ取った「エミ」の、自分に対する慈愛を感じるようになり、彼女もまた愛情を抱き始める。
そして二人は、「レミリア」がエミが好きだったゲーム『星の乙女と救世の騎士』に登場する悪役令嬢であり、やがて破滅の未来が待ち受けていると知る。
レミリアを愛するエミは彼女の運命を変えるため、様々な努力を重ねて攻略対象者である王太子達との関係を改善し、レミリアもエミを肉体の外から応援するが、一人の女の登場でその平穏は壊された。
本来のゲームのヒロインだった「星の乙女」ピナ・ブランシュである。
エミと同じく転生者だったピナは、魅了のアイテムを駆使して男達を自分の虜にし、更には悪辣な裏工作を講じてエミに悪行の濡れ衣を着せ孤立させてしまう。
とうとうピナに傷害事件をでっち上げられたエミは、婚約者のウィリアルドからゲームの通りに追放を言い渡されてしまい、全てに絶望した。

……だが、それが始まりだった。
エミの絶望をきっかけにレミリアは自分の肉体の主導権を取り戻したのだ。
愛するエミを貶めたピナとウィリアルドら王太子達に激しい憎悪を抱いたレミリアは、追放された小村から行動を開始する。
彼らに最悪の生き地獄を味わわせるという復讐のために……。

【登場人物】

◆主人公

  • レミリア・ローゼ・グラウプナー
グラウプナー公爵の令嬢で、『星の乙女と救世の騎士』の悪役。
なお、追放に伴い親から分籍という形で縁を切られたため、爵位としては準男爵となっている。
それ故当人もグラウプナー姓は名乗っていない。

生まれつき自分に対して無関心な両親の下で育ち、極上の魔力や才能に恵まれながらも愛情に飢えている。
そんな中、幼少期にエミに肉体の主導権を奪われたことで彼女の自分を想う心に触れ、初めて愛情を感じた。
エミの幸せを何よりも優先し、陰ながら応援していたが、ピナの謀略によってエミが孤立・追放させられた時を境に肉体の主導権が戻り、エミを貶めたピナ達に復讐を誓う。

エミに対する愛を第一に、「エミが安心して戻れる世界」のために行動しているものの、レミリア当人の冷酷な性根は何一つ変わっておらず、エミの敵には全く容赦しない。
しかし、エミが築き上げた「心優しい令嬢レミリア」=「エミのレミリア」としての振る舞いを最大限に尊重し、弱者の救済や政治問題の解消に積極的に取り組み、復讐への布石として善行を為したうえで敵を追い詰めていく。
その演技力は完璧といってよく、他者から見れば聖女以外の何者でもないレベルだが、「エミならもっと上手くやれた」と振り返るなどその姿勢は非常にストイック。
さらにその振る舞いを称賛されると非常に気分を良くするが、それも自分ではなく「エミのレミリア」が褒められて嬉しいからと、どこまでもエミ第一な人物である。
「エミのレミリア」が本心から褒められると思わず施しの量を多くしたりするので、そのへんやエミを想起させる善人に対しては最早ちょっとチョロいレベル
原作者によると、もしエミが「こんな世界に転生しなければよかった」と思っていた場合、「ならこんな世界存在する方が間違ってるわね」とそのまま世界を滅ぼしたとのこと。まあ正直そうなって当然な仕打ちをエミは受けているが……
一方で「エミのレミリア」とは関係なく彼女自身の感情として、奔放かつ直情的で自分の予想を超えた行動を起こすスフィアや、私情を抜きに為政者としての判断が下せるアンヘルに対してはそれぞれおもしれー部分、ヘタレな部分も含めて好感を抱いている。

ゲームにおけるラスボスキャラであっただけに基本ステータスが高いだけでなく、ほぼ一人でありとあらゆる事件を起こすという設定の整合性を取るべく、使い魔と転移魔法を筆頭に数多の才能を与えられた「公式チート」とも言うべき存在であり、復讐のためにその能力をフル活用することとなる。
また、エミの記憶・知識はエミが眠りについて以降も変わらず確認することができ、その前世と攻略のノウハウも有効活用している。*1
そもそも肉体の主導権を取り戻すまで他人と直接コミュニケーションが取れず、エミの情報と感情などを知覚するのみの一方的な状況に約11年囚われており、「レミリア」としての人生経験は殆どないはずなのだが、
上記の通りエミの振る舞いを完璧に引き継いで人心を掌握する傍らで、誰にも見せることのない策略を進めていく姿は、ある意味転生者に並ぶチートである。

ちなみにゲームではカラスを使い魔にしていたらしいが、本編では「こっちの方が便利」ということで無数の蜘蛛を使役している。
そのためビジュアル面での悪役度合いは大幅に増している。
虫嫌いな人や群体恐怖症の人は漫画版を読む際には注意して読んでほしい。いやマジで。



漫画版では白梅ナズナ氏による画力の高さで「エミのレミリア」を演じるレミリアと素のレミリアがしっかり描き分けられており、深い怒りを湛えているシーンは本気で怖い
一方、内心すげぇ悪い顔しながらとんでもない善行をしているというシュールな場面や、「エミのレミリア」を慕う領地の子供達やアンヘルの言動に好感を持つシーンが分かりやすくなってるのも好評。

  • エミ
ゲーム『星の乙女と救世の騎士』のプレイヤーだった日本人の女子大学生。}Web版の解説では本名は「小林恵美」
ゲームの悪役だったレミリアの大ファンであり、ゲーム内外の公式で救済されることのなかった彼女の不遇を嘆いていた。*3
そんな折に交通事故で命を落とし、推しだったレミリアの幼少期に転生してしまう。
レミリアの破滅の運命を変えるために自己研鑽を欠かさず行い、攻略対象者の幼馴染達との関係をことごとく改善し、「完璧な淑女」と呼ばれるまでに成長させる。
だが、同じく転生者となっていた「ゲームのヒロイン」のピナに嫉妬され、魅了のアイテムで男達を虜にした上でやってもいないいじめをでっち上げられ、周囲から孤立。
努力も空しく、傷害事件の狂言まで起こされ、それを機にウィリアルドから婚約破棄と追放を命じられた。
それによって絶望し、エミの魂はレミリアの肉体の中で眠りにつく……。

性格は筋金入りのお人好しにして博愛主義、そして凄まじい努力家。
前世での家族仲も非常に良好で、自分が事故死して見ず知らずの貴族令嬢の身体を乗っ取ってしまったという現状を認識するや否や、まず娘の死を悲しんだであろう家族を想って泣きながら謝罪し、そして本来の身体の持ち主(レミリア)を気にかけ心配する。
そして自身が『星の乙女と救世の騎士』のレミリアに転生・憑依してしまったことを認識したエミは、「自分がレミリアを幸せにする」と決意し発奮する。

当初は身体を奪われたことに激昂していたレミリアもこれにはあっさり毒気を抜かれて「こんなことをしでかした神だか悪魔だかは呪ったが、エミのことは容易く許してしまった」と早々に怒りを鎮め、また「エミのレミリア」の幸せを望み応援するようになる。
それと相まって温かい愛に満ちた人生の記憶も、愛すること・愛されることを知らない幼きレミリア自身の心を癒やした。
なおエミはレミリアが自身の精神世界に閉じ込められていることは知らず、ここまでの流れは完全に無自覚かつ一方通行。とんだ人たらしである。

生前の努力の賜物か非常に教養豊かで、この世界でも様々な道具や技術を再現しており、その知識は後のレミリアのアイデア出しにも有効活用されている。
よくある「現代知識チート」の一環ともいえるが、ピナやクロードの知識が表面的な理解に留まっており失敗したことを考えると、「前世の農業や家電をどう再現できるか・その際何が問題になるか」までを考慮していたエミがそれだけ抜きん出ていた、というのが正しいだろう。
ぶっちゃけ知識チートというか頭脳チートである。この地頭の良さを思うと、ゴシップを利用した奸計への対抗策だけは身に着けていなかったのが惜しまれるところ。この辺りの対応の悪手についてはレミリアですら苦言を呈していたが、それがエミの領分ではないことも後に悟っている。

漫画版では「エミのレミリア」として活動している彼女は本当に正統派美少女で、レミリア本人との描き分けが綿密になされている。
反面エミが追い詰められるシーンが追加描写もあって本気でキツく、レミリアに感情移入しやすくなっている。

ちなみに、推しであるレミリアに対する呼び方は「レミリアたん」であり、そこらへんの限界化っぷりはまぁ想像に難くない具合である。

また、レミリアはゲーム知識については「世界を救った乙女の記憶がある」と説明している。実際ゲームをクリアしているので「世界を救った乙女」というのも一切間違っていない

◆復讐対象者

レミリアの主な復讐標的はゲームにおける本来のヒロインと必須加入キャラ4人。
その他レミリアの罪を捏造するのに協力した者達も軒並み副次的な復讐対象に含まれる。
ピナはともかく他の者は薬で好感度を操られていたので同情できなくもない……と言えなくもないが、これらの薬はあくまで「ピナを好きになる」だけで洗脳して行動を強制させるわけではない。
つまり「レミリア(エミ)への信頼はそのまま」であるにも拘らず、その信頼を裏切り「レミリア(エミ)が罪を犯した」と決めつけたことで同情の余地なしとレミリアは断じている。
特にウィリアルドとクロード、自身の従者達に関しては、後述のような醜い本心をレミリアからは完全に見透かされているのも、より強い怒りを買う一因であった。

なお、必須加入キャラ4人の読者からの通称は四馬鹿
ちなみに、作中描写や判明した設定からすると(特にコミカライズ版では)、実際は一諸悪の根源一馬鹿二被害者といった側面も強かったりする。少なくとも私欲を優先して裏切った一名が諸悪の根源扱いなのは、誰もが頷くところだろう。

  • ピナ・ブランシュ
『星の乙女と救世の騎士』のヒロインで、世界を救うと言われていた「星の乙女」。
本来はどんな逆境でも努力を怠らず、攻略対象とされる男達に真摯に向き合う健気な少女だった。

しかし、転生者により肉体を乗っ取られたことで醜悪な人格(嘘つきヒロイン)に変貌。読者からの通称は「偽ピナ」
全てが自分の思い通りにならないと満足いかないという幼稚かつ自己中心的な性格だが、あのレミリアでさえ演技力と陰謀の才覚だけは認めざるを得なかったほどの正真正銘の悪女

ヒロインの立場に胡坐をかいて攻略対象達に色目を使うも、碌に中身が伴っていないため変人扱いされる一方だった。
だが、課金ショップのアイテム「魅力の香水」と「恋の秘薬」で周囲の人間達を魅了させた挙句、自分の立場を奪うと思い込んだレミリア(エミ)を孤立させ、傷害事件をでっち上げて婚約破棄に追い込んだ。
一転して勝ち組となった彼女だったが、目覚めたレミリアはダンジョン攻略と魔族の問題解消など次々と先手を打ち続けたことで、自分が主人公として行うべき冒険といったイベントを実行できなくなり*4、ただの「穀潰し」として次第に腫れ物扱いされていく半詰み状態となる。
エミ同様に現代の知識で地位を得ようとも目論んだが、どれも中途半端な知識で失敗を重ね*5、貧困層への炊き出しで好感度を上げようとするがあっさりと魂胆を見抜かれた挙句、炊き出し目当ての浮浪者で治安を余計に悪化させて謹慎処分まで受けている*6この上でなおも自分の行いの何が悪かったのか気づいていない
最終的に秘薬の効果がまだ効いているウィリアルドからすらも「犬より聞き分けが悪くてイライラする」とまで評される始末*7

漫画版では外見こそ美少女だがその醜悪な性根が浮かび上がる表情や言動が丹念に描かれており、思わずムカつく読者や、むしろ面白がる読者も多い。


  • ウィリアルド・アーク・クライゼン
王国の第二王子で、ゲームのメイン攻略対象者。
レミリアの婚約者だが、ゲームでは「星の乙女」に惹かれ、彼女とは関係を破綻させていく。

エミの努力により成長していく「レミリア」に内心嫉妬心を覚えるようになるが、エミの真摯な態度で関係は改善。
だが、結局それも上辺のものに過ぎずいまだに劣等感が燻っており、ピナが接近するたびに見せる完璧なレミリアの嫌がる表情に愉悦を感じる、薄暗い精神を肥大化させていった。
ピナが使った秘薬により彼女に恋し*11、レミリアを謝罪させるつもりで彼女を表向きの追放刑に処すが、「目覚めた」レミリアは謝罪を拒絶。*12
やがて、レミリアの行動によって人知れず世界の厄災は解消されたため、自身が剣士として旅に出るきっかけもなく政治の職に務めるが、何をやっても上手く行かず追い詰められていく。
エミやピナの未知の知識を取り込んで有効活用しようとするなど決して無能ではないのだが、レミリアの先手を打った妨害のみならずピナの知識の中途半端さ(前述のようにエミとレミリアが凄すぎるのもあるのだが)が失敗を招いている*13

過去に世界を救った勇者の血を引いているという設定があり、ゲームではレミリアが世界の危機を引き起こしたことで星の乙女たちと共に先頭に立って戦うことになるのだが、
本作では前述のとおり世界の危機自体が未然に無くなっているため、王子自ら先頭に立って戦う理由も、ピナが攻略対象たちの好感度を上げる機会もすべて失われている。
実のところエミに嫉妬していたのも自分より才能がある者に嫉妬するという悪癖によるもので、自らを正しく、優秀であるように律していたために本来は大きな問題になる事はなかったとされており、それがピナによって表に引きずり出された形になっている。*14

コミカライズで屈辱にゆがむ表情が素晴らしいと一部の読者(と作者)から評価されている。
一方で番外編では立派に成長した世界線が何度も描かれているため、その姿を知る読者は成長の機会もなく堕ちるところまで堕ちた本編のウィルの姿に曇る

  • クロード
王太子の側近の一人で、レミリアの従弟であり義弟。
エミの行動によって本来苦悩していた父親*15の死がゲームよりも遅くなったために不仲が未然に解消され、
グラウプナー家に引き取られた後はエミに愛情を注がれ、彼女を慕っていた。
実はレミリアを異性として愛しており、ピナと親密になったウィリアルドが婚約解消したのち、自分が次期グラウプナー公爵としてレミリアを伴侶に迎える展開を期待していた。
レミリアの行動開始後は王室の政務官に就くが、ウィリアルド同様にピナの中途半端な現代社会の知識を取り込もうとして失敗しており、碌な成果も上げられずにいる。


  • デイビッド
王太子の側近の一人で、騎士団長ドミニッチの息子。
剣聖と称される兄シルベストの名声にコンプレックスを抱いており、女性ながらも剣士としての腕を磨いていくレミリア(エミ)にも劣等感を抱いていたが、彼女のウィリアルドを想う心に胸を打たれ、対等に競い合っていた。
なお、本人はレミリアに心惹かれているのを墓まで持っていくつもりだったが、婚約者含めた周囲にはバレバレで空気読んでくれただけだったとか
だが、ピナの魅了によりレミリアへの劣等感を刺激させられ、彼女を疎んじることで優越感に浸るようになり、レミリアを擁護する婚約者のスフィアをも嫌うようになった。
なお他3人と違いデイビッドだけはピナへの好意に対して一切疑っていない。
レミリアの行動開始後はピナに構うばかりで、やがて周りからピナへの世話を押し付けられるようになる。これによって剣の鍛錬を怠ることとなり、みるみるうちに堕落していく。幼少期にせっかく和解できた兄との関係まで再び疎遠になってしまった。
さらに秘薬解除後もレミリアの騎士の立場を貫いたスフィアに対して「ピナに呪われなかったら俺があの立ち位置だったのに」と妬み続けて読者からのもともと底値割っている株を落とし続けている。
ちなみにノンデリなところはゲーム本編でも最後まで直らなかった模様

  • ステファン
同じく王太子の側近の一人で、レイヴァ王宮魔導士長の息子。
魔術師としての才能を持ちながら、音楽家の夢を諦めずにいたが、レミリア(エミ)に応援され、父親の理解も得られた事でどちらも両立させるよう努力した。
だが、ピナの件で悩むレミリアに優越感を抱き、彼女に頼られることを望むようになった。
レミリアの行動開始後は魔術師としても音楽家としても危うい立場でどっちつかずとなり*21、学園卒業後も定職にも就けずにいる。


  • ロマノ・ドール・マルケロフ
学園に通っていた頃のレミリアの護衛を務めていた男。
兄は護衛先の令嬢の愛人になれたのにレミリアはそれを許さないから*23」というピナ以上に醜悪な理由でエミを陥れた。レミリア失脚後はピナの護衛に就く。
コミカライズ版でもいやらしい笑みを浮かべて積極的に協力している。また、エミを陥れる際にも「レミリアに言い寄られて断ったが家族の事を持ち出されて嫌々奉仕していた(意訳)」という悪質な噂話まで流していた。
ゲームだとレミリアの手先として登場するらしく、小物というのは既定路線であると思われる。



  • グラウプナー家の従者・侍女達
ロマノも含め、恐らくレミリアが作中でピナと同等かそれ以上に怒りを向けている者達
グラウプナー家に雇われた身でさらにエミからも気にかけられ友達以上に想われていたのだが、「そのいい子じみた態度が気に入らない」といったあまりにも身勝手な逆恨みをしており、隠れてピナに協力して証拠の捏造や工作に協力していた。
ちなみにウィル達の読者からの通称である四馬鹿に対し、ロマノと侍女達は読者達から「裏四馬鹿」と呼ばれる事もある。



  • 糸目の貴族令嬢
コミカライズ版オリジナルキャラ。最後まで本名不明だったが、その容姿から読者からの通称は「糸目(ちゃん)*25
学園在籍中はレミリアと一緒に生徒会に所属していた親友で、ピナに追い詰められるエミに「自分だけはレミリアの味方だから」と勇気づけていた…のだが、裏ではピナと通じてエミを陥れるのに加担していた。
その内容もレミリアの私物やアリバイのない時間帯情報を提供という非常に直接的なもので、所業としてはロマノ達と同レベルである。
スフィアと全く同じ親友ポジションでありながら率先して裏切ったという、四馬鹿よりもはるかに悪質な立ち位置にもかかわらず異様に出番が少なく、断罪劇でもピナと通じていた事だけが明かされるだけで終わるなど読者をやきもきさせていたのだが……


◆レミリアの協力者

  • ソーン
課金アイテムショップの店長。猫目が特徴的な青年。
実は瘴気から逃れるために王国へ移住した魔族の一人。
表向きには魔族であることを隠していたがレミリアにそれを見抜かれ、国に潜伏している魔族の村を作るという彼女の提案に乗り、村長としても信頼を置かれる。
彼がレミリア領に移ったことにより王都の課金アイテムショップは閉店。レミリアの進言で秘薬・香水の取り扱いも止めたことでピナは要である課金チートアイテムを入手できなくなり、以降の逆ハーレム作りが行き詰まることとなった。
ソーンが行方を晦ました直後に、店の跡地には(彼と課金アイテムを確保しようとしたピナの思惑で)違法薬物取締の名目で騎士団による捜査の手が入っており、レミリアの見立てではあのまま商売を続けていればいずれピナに監禁されていたとのこと。
もっとも、課金アイテムを製造しているのはソーン本人ではなく、魔国に在住している別の職人であった為、彼を監禁していたところでアイテムは手に入らなかったというオチまで用意されていたのだが*27

  • スフィア
デイビッドの婚約者だった女性騎士でラウド伯爵家令嬢。学園におけるレミリアの先輩でもある。
なお、婚約者ではあるもののデイビッドの事は憎めない弟分のように思っており、恋愛感情は持っていない。
web、書籍版ではレミリアとは入れ替わりに卒業したため互いに面識がなく、デイビッドからレミリアの話を聞いて素晴らしい女性だと感動し、婚約者がレミリアに心惹かれている事に納得し、
婚約者がレミリアへの想いを胸に秘めて誠実に忠義を尽くそうとしていたのも素敵だとすら思っていた。
が、デイビッドがピナの毒牙にかかってからは明らかに話の整合性が取れなくなったことで異常を感じ独自に調査を始めた。

漫画版では生徒会でレミリア(エミ)と親交を深めており、友人関係を築いていた。
実は、第2話の時点で名前こそ出ていないもののレミリアやウィリアルド達と一緒に登場しており、生徒会室に突然乱入したピナに対し驚愕する一幕もある。
こちらでは、ピナの編入とほぼ入れ替わりに王妃の近衛兵に抜擢され外遊に同行していたので、ピナの毒牙にはかかっていない。

いずれの媒体においても、レミリアの醜聞よりも彼女の元々の優しい人柄を信じ、独自に調査して冤罪である事を突き止め、断罪に賛同したデイビッドを見限り(スフィア曰く「くず」)婚約を解消したのは同様。*28
そして、レミリア専属の騎士として志願し、彼女に忠誠を誓う。
レミリアも(裏取りをする間もなく)想定外の方向から接触してきたスフィアを(特に面識のないweb、書籍版では)当初は警戒していたものの、裏取りや彼女との交流を進める内に信用に値する人物と認め、
またピナの課金アイテムが尽きてその毒牙にかかる心配もないと踏んだ事もあり、味方に引き入れた。
漫画版では時折見せる奔放さと行動力にレミリアですら唖然とするおもしれー女としての評価を確固たるものとする*29

攻略キャラの婚約者というどう考えても乙女ゲーに存在していると面倒な立ち位置故、ゲームでは死亡しているのではないかと読者からは心配されている。

  • サラスティリ
ドワーフ国の第二王女でレミリアと意気投合し、愛称でサラと呼ばせている。
レミリアを相当に気に入っているようで姉のプシュークがレミリアをほめたときには焼きもちを焼き、レミリアの役に立つことを誓った。


  • プシューク
火の神を宿すことができるドワーフ族の姫巫女。
天啓を受けたというレミリアの力と胆力を認め火の加護と聖鎧を授けた。


  • ドレリアス伯爵夫人
漫画版オリジナルキャラ。ソーンの店の顧客だった貴族のひとり。
慎重ながら好奇心旺盛、そして強かな女傑。
肥満気味の体を気にしているのか痩身薬の愛用者であり、ピナのせいでソーンが雲隠れしていたことで
薬を手に入れられない時期が続いて困らされたことから、ピナのことを嫌っている。
店の商品を切望しており、後にソーンの紹介でレミリアから商売のための領地貸し出しを提案される。
ピナに目を付けられる危険性から当初は慎重な姿勢を崩さずレミリアの提案を受けた直後に即座に一蹴するものの、
彼女の説明により魔国産の改良痩身剤の効果や容姿に優れた魔族の集客力などの極めて魅力的な要素に着目すると共に、
彼女が備え持つ魔道具開発の手腕などを踏まえた上で、
「この女のやろうとしていることに一枚噛んだ方が面白そう」という理由で彼女に全面協力する。

  • ロレーヌ子爵
漫画版オリジナルキャラ。後にweb版の番外編にも名前のみ登場している。
社交界きっての道楽家と名高い貴族で、美しいものと芸術に目がない。
濃い顔で動作が激しくコミカルな人物ではあるが一方で人や物を見る目も確か。
魔族の姿を見るなりいたく感動した様子で「美しい」と評すと共にその素性を察しながらも商品価値を見出し、レミリアがエミの知識から得たミュージカル劇の提案に乗り、興行をプロデュースした。
さらに国交樹立パーティーではレミリアによる断罪劇をノリノリで盛り上げており、ドレリアス伯爵夫人が国が荒れかねないことを予想している横でそれを平然と流す豪胆さも見せている。
あまりにノリノリで馴染みすぎており「原作にもいなかったっけこの人?」と勘違いすること請け合い

◆魔族

  • アンヘル
魔族の王として敬われている。
ゲームではレミリアと契約した魔王であり、「星の乙女」パーティの敵として立ち塞がるが、最終的には救済される隠し攻略対象的なキャラ。

瘴気による狂化現象に悩まされる魔族ら同胞を守ることを第一に考え、安住の地を求めてきた。
そんな中で、瘴気の元凶を絶つための創世神討伐の許可をレミリアから依頼され、監視という名目で彼女と共に創世神と戦ううちに大きな信頼を寄せる。
彼女の冤罪の事情も知ってからは、潔白の証明のために自ら動き、やがて彼女に恋心を抱くようになる。
境遇が境遇ゆえに恋愛どころではなかったので非常に奥手途中から弟にヘタレと叱られるほどで、そこに妹とスフィアまで加わった気ぶり勢が結成される始末。

プライベートでは結構頼りない部分もあるが、覚悟を決めて狂化した同胞を涙ながらに殺して回っていた*30という壮絶な経験もあり、為政者としては非常に偉大な人物。
レミリアも「仮にピナに好感度を弄られたとしても好意を感じる女よりも国に必要な自分を選ぶ」と信頼しているぐらいには合理的思考ができる。
また、「天眼」と呼ばれる嘘を見抜く目を父親から継承している。
もっとも見抜けるのは相手の発言が真か嘘か(嘘を吐いた自覚があるか)というだけなので、言い回し次第で誤魔化すことは可能。
特にレミリアはその口八丁で自分の発言が嘘判定を受けないよう立ち回り続けている。
この能力に頼ってることもあって、「相手が冗談としか思えないことを本心で言っている」という意味不明な状況には戸惑うことも。
とはいえ能力の欠点はアンヘルも承知しており、明確に害意はあるがボロを出さない相手には「はい」か「いいえ」の二択でのみ返答を迫り、言い逃れを封じるなど機転も利く。

漫画版ではゾッとするほどにカリスマ溢れる美形な魔王スタイルと、ヘタレだが純情な一面を見せるギャップが見られる。

  • クリムト
アンヘルの弟。6人兄弟の末弟。
兄を敬愛しており、彼が信頼を寄せるレミリアにも心を許していく。ちなみにコミカライズ版では、レミリアの村で魔族たちが作った食糧が転送された事で兄より先に心を許している。かわいい
アンヘルの狂化を抑えるための役割(アンヘル自身が万一狂化した際の生贄)を担っている。境遇だけ見れば相当悲惨だが本人は必要な事として受け入れており、役割を抜きにしても兄のためなら命を捨てる事も厭わない覚悟を持つ。
その忠節に満ちた姿勢にはレミリアも好感を持っており、内心で親しげに「クリムト君」と呼んでいる。

コミカライズ版では瘴気問題解決後の復興描写が増え、魔物を使役する能力で魔国各地を巡っての資源や動植物の現地調査を買って出る。
その調査にスフィアも同行して以来一緒にいる場面が多く、番外編では彼女の過去の人間関係を気に掛けるなど、フラグが順調に進行している様子。

ゲームでは役割通り、140歳の誕生日と同時に狂化した兄に殺される。


  • ミザリー
アンヘルの妹。6人兄弟の2番目。
優秀な魔術師であり、瘴気の問題解決のために研究を行っている。
転移魔法が使えることから瘴気に耐性のない魔族の子供たちを人間の国に送っていた。
瘴気問題解決後はレミリアにその腕前を見込まれて、魔国と王国を結ぶ転移門の建設に尽力する。



◆王族関係者

  • グラウプナー公爵
レミリアの父。
妻共々娘に愛情を抱いておらず、彼女を出世のための駒としか思っていない。
無論、追放刑の際にも擁護することをせず、彼女に廃村同然の領地を与えた程度で後は放逐した。
ちなみにエミは前世での両親のみを「親」と認識していたため、縁を切られてもエミは悲しまないとレミリアも気にしていない。
それはそれとして、簡単に裏切るようなろくでなし共を使用人につけていたので軽く報復は行っている。*32


  • 国王
ウィリアルドの父。
追放刑に処されたレミリアに失望し、ピナを重宝するが、悉くそれが裏目に出て狼狽していく。


  • 王妃
国王の正室でありウィリアルドの母。
原作者によると国王よりも有能な人物とのこと。
息子の婚約者だったレミリア(エミ)のことを実の娘のように可愛がっているうえに、初めからピナを嫌っていて近づけさせなかったことで、篭絡を受けることもなかった。

同時に、レミリア(エミ)を見捨てた挙句にピナのような女を側に置いている息子には完全に失望している。
コミカライズ版において、1話での幼いウィリアルドとレミリアを慈しむ表情と4巻でのウィリアルドに一切期待を向けていないような目の落差は読者を戦慄させた。
また、コミカライズ版では出奔前のスフィアと主従関係となっており、さらに出奔する直前にスフィアが王妃に何かを報告する場面が挿入されている事から
この時点でスフィアが調べた情報を全て把握していたと思われる。

  • エルハーシャ
ウィリアルドの異母兄。第一王子だが正室の子ではないため、ウィリアルドより王位継承権は低い。
普段は部下や護衛、メイドと遊び呆ける道楽王子を演じているが、実際はかなり頭の切れる人物*36
当初は弟に王位を譲るためにそういった演技でダメ王子を装っていたようだが、レミリアを見捨てて以降落ちぶれていく弟を見限り、自ら傾きかけた王家を立て直すべく行動を起こし始める。
実は母親が魔族で、魔族との交流開始を機に己の出自を公表し、外交役として出世していく。
ピナが使った課金アイテムは魔族の血を引く者には効果が無いため、*37ピナに篭絡されていない。

web、書籍版の本編では名無しのチョイ役*38だったが漫画版で出番が急増
急に生えてきた黒髪ロングのイケメンに原作者含む読者は脳を焼かれたとかなんとか。

なお、彼の護衛はスフィアと旧知の関係であり、断片的に明かされた情報*39から読者には「剣聖と称されるデイビッドの兄ではないか」と囁かれていた。
そして24話で本当にデイビッドの兄シルベストだったと判明した。
なお、エルハーシャの放蕩に付き従っていた頃は剣聖と呼ばれているのが嘘みたいにチャラい印象だったが、
24話ではデイビッドに対して心底失望したと言わんばかりの冷たい表情を向けている。

コミカライズ版24話公開後にweb版にて放蕩時代のエルハーシャとシルベストを描いた番外編が公開されており、
長い事子宝に恵まれなかった国王に母方の後ろ盾がない魔力の強い子として計画して生み出された*40という出自と
ウィリアルドが生まれるまで王妃に我が子の様に愛されて育てられた事、大恩ある王妃のように国のために身を捧げたいと願っていた事、
だからこそ国王夫妻が諦めていた実子が生まれた事を心から喜びウィリアルドを兄として可愛がっていた事、
そしてそんなウィリアルドと国を二分にする争いが起きないようにするために道楽王子を装って担がれる事がないよう振る舞っていた内心が明かされた。
この内心が明かされたことでコミカライズ版におけるエルハーシャと王妃の行動にお労しさが加わる事になった。人の心とかないんか?
その弟への情愛のために日陰者を選んだ光のような生き様はそれを知る人々を惹きつけ、シルベストもまたエルハーシャの輝きに魅せられた一人であった。
なお、ゲーム本編ではその真意を知ったウィリアルドと共に自らの悲劇を繰り返さないためにも王国の貴族制度の改革に乗り出したという。つまり本来はウィリアルドの心もエルハーシャの光に焼かれるはずだった。人の心とか(ry

◆神々

  • 創世神
世界に人間を見出した神。web版の外伝によると白い龍の姿をしている。
世界を安定させるために力をふるっていたものの、浄化の女神が幽閉されたことで力をふるう際に発生する瘴気が世界に溢れ、魔族の狂化現象が発生する原因となってしまった。
邪神になりかけた状態で魔界の中心の神殿で眠っていたが、瘴気の問題を解決するためにレミリアとアンヘルのパーティに討伐される。
その後はレンゲの手で浄化されて正気を取り戻し、神殿に残ったレンゲの助けを得つつ弱った体の回復に努めている。

コミカライズ版では単眼の魚の身体を肥大化した泥の様な物体で覆った姿で、各所から生えた蓮根の様な触手を打ち付けたり頭頂部から蓮のコラ花托を生やして実を弾丸の様に飛ばしたり、撃った実を発芽させて蔦で拘束する搦め手も用いてきた。
レミリアたちとの戦いで核を残して浄化されたのち、レンゲにより蓮の花を頭に生やした単眼の小さな魚の姿となって再生する。ちょっとゆるキャラっぽい
瘴気に蝕まれて狂った状態でも自意識は僅かに残っており、自らを討伐しに来たレミリアたちに涙を流しながら「コロしテ」と懇願していたとても優しい神様。
神は人々からの信仰が力になるという設定があり、魔族は自分たちを愛し育んでくれた創世神への信仰を(邪神になりかけていると知っていても)保ち続けていたため、その信仰によって最後の正気を保っていたのかも知れない。

  • レンゲ
瘴気を浄化できる浄化の女神。創世神の末娘でもある。
天界の主に幽閉されていたが、レミリアに救出され彼女を称賛する。
創世神を救った際には感謝の意を込めてレミリアに「浄化の乙女」の称号を贈った。だがゲームではピナに贈られるものだったため、レミリアは「(エミの愛してくれた「レミリア」に、星の乙女の手垢が付いたものを贈られた気分よ)」と内心でかなり不服だった様子。

コミカライズでは蓮の花を擬人化したような姿をした神々しい姿。

  • 火の神
プシュークがその身に宿す神。
彼女の身を借りて話す際の一人称が「わらわ」である*41あたり、恐らくは女神。
火と関わりの深い鍛冶仕事も司っており、神の裁きをも退ける「聖鎧」を勇者にもたらす。
その聖なる炎には瘴気を払う浄化の力があり、レミリアも火の加護を授かったことでそれを身に付けた。

  • 天界の主
レンゲを幽閉していた神。
本来ならば「星の乙女」パーティに討伐されるところを、レミリア一人に討ち滅ぼされた。
浄化の女神に惚れ込んだ挙句一方的に求婚して、断られると幽閉したうえ異論を唱える他の神を滅するという非常に身勝手な神であり、
果ては「レンゲが応えてくれないのは世界が汚れているからで、世界を水で洗い流して綺麗にリセットすれば想いにこたえてくれるはず」と、妄想にすがり世界を滅ぼそうともしていた。
コミカライズ版では、レミリアとの戦闘と同時にこの身勝手な思いが詳細に描かれており、レミリアからも「そんなんだから振られるのよ気持ち悪い」ゴミを見るような顔で吐き捨てられた。
ゲームストーリーにおける、魔族の問題から世界破滅まで全ての元凶ともいえる。
後にアンヘルによって人間の国と魔国双方に、「創世神を苦しめ、魔国に瘴気を溢れさせた邪神(=創世神は瘴気と関わっていない)」というカバーストーリーが広められることになり、公的に全ての元凶扱いとなった。*42
ついでに偽ピナもこの「邪神」の手先の「悪魔」ということにされた。*43

なお、エミが対峙していた場合はエミのストーカーになっていた可能性があったそうで、レミリアが激怒していたのもそれが理由とのこと。

【用語集】

  • 星の乙女と救世の騎士
エミの世界で流行していたソーシャルゲームで、本作の舞台。
ゲームプレイヤーからの通称は「オトキシ」。
ジャンルは乙女ゲーム風のRPGで、学園での好感度育成を目的とした第1章、冒険の旅に出てバトルメインとなる第2章の2部構成となっている。
好感度を左右するための課金アイテムも豊富だが、然るべき場面でイベントを見たい・観られなくなるイベントがあるといった理由で邪道扱いされることもあった。
6年ほどで円満終了したらしいが、最後の方は結構駆け足で取ってつけたような設定も多かった模様。

  • 星の乙女
世界の瘴気を浄化できる力を持つとされる伝説の少女。
ピナ・ブランシュがそれに当たるが、転生憑依を受けた彼女はそれに見合う努力を完全に放棄している。

  • 魔族
人間の国とは海で隔たれた魔界にある魔国出身の人種。
格段に魔法に秀でるが、本来は温厚で人間に危害を加えない。
人間と比べると長寿な傾向にあり、容姿も優れた者が多い。
魔界の瘴気から逃れるため、国策として魔力の弱い者が人間の国に送り込まれ、隠れ住んでいる。
頑健故か、あるいは瘴気の影響の強さゆえか、後述の「狂化」が事実上の寿命のような扱いになっている。

  • 狂化
数百年前から魔族を悩ませている、瘴気に長く触れた魔族が変貌する現象。
理性を失い狂暴化し、その力も増大する。
同胞を喰らうことで正気に戻るが、大抵の魔族は仲間を喰らったことと再度狂化することに絶望して自死を選ぶ。
実質的に魔族の寿命のようなものであるが、いつ狂化するかはわからないため魔族達は怯えながら暮らしていた。
結果として魔族の国では「魔族が狂化したのが分かり次第、王を始めとする武力の高い者が殺しに行く」「狂化した王をすぐに正気に戻すための生贄として兄弟を侍らせる」という恐ろしい制度が存在しており、それがシステムとして成立するくらいには(魔族から)恐れられている。
ちなみに魔力の低い人間でも数を喰らえば正気に戻れるため、本能で瘴気の少ない地を求めた「悪魔」が狂化で発現した転移魔法により、人間のいる大陸へ飛んだのち正気に戻って余生を過ごした例もあるらしい。

  • 瘴気
神が地上で力を振るった際に放出される負のエネルギー。漫画版では「人間で言うところの疲労が蓄積して発生する老廃物の様なもの」とも評される。
これに触れた魔族は狂化され、人間から「悪魔」と呼ばれる存在となってしまう。時には人間のいる大陸に飛んで猛威を振るうこともあったが、「悪魔」の正体は国交が成立してからも魔族の間でしか知られていない。
また、神ですら瘴気の影響からは逃れられず、創世神は自身の瘴気の蓄積により天界へ戻れなくなったうえ、浄化の手段も断たれた結果(原作ゲームでは)邪神と化してしまった。
なお、魔力の弱い魔族ほど狂化しやすい事は経験則として把握していたが、瘴気が狂化の原因だと判明したのはアンヘルが王位に就いてからクリムトが出した統計によるものである。

  • 魔物
RPGには欠かせない敵モンスター。
本作における魔物は、浄化の女神レンゲの幽閉に伴って浄化の術を失った創世神が、魔物の討伐という形で浄化を人間に肩代わりさせるために自分の体から噴き出す瘴気を加工して作ったもの。本来なら人間の生活圏に影響を及ぼさせないよう建設されたダンジョンの最奥に放出されていたのだが、事態の悪化に伴って人間の手による討伐が追いつかなくなり、地上に溢れ出してしまった。

  • 恋の秘薬、魅力の香水
舞台となるゲームにも登場した課金アイテムで、いずれも攻略対象者の好感度に影響を及ぼす。
恋の秘薬は摂取した相手の好感度を5%上昇という破格の効果。ちなみに通常のプレゼントでは0.1%以下。
魅力の香水はそれを付けた状態でのプレゼントやイベント等による好感度上昇が2倍になる。
この効果はあくまでも利用者(この場合はピナ)に対する好感度を上げるだけに過ぎず、対象者(王子たち)の意思や行動を操って強制/抑制させるような効果は無い。*44
ピナの言い分を信じてレミリアを断罪したのは純粋に王子たち自身の意思と判断である。作中でもレミリアの冤罪疑惑が深まった際に、自身の行いがおかしかったことに気づいた人物が複数現れている。
香水には好感度を0から上げる効果はない。王妃のように元からピナを嫌っている場合や、スフィアのように関わりのない人間には効果はなく、そのため「何故あいつらはあの女に肩入れしているんだ」という違和感すら抱くことになる。

ちなみに、王子たちは学園にいた頃から嗜みとして魅了を防ぐマジックアイテムを身に着けていたが、このアイテムには効果が無かった。
これについて作者がWEB版の後書き一文で某携帯獣シリーズに例え、
●魅了=わざによる状態異常の「メロメロ」
●好感度上昇=なつき度ステータスの上昇
と、性質そのものが別物であると説明している。

なお、Web版においてこれらは魔族の血を引く者(第一王子やアンヘルなど)には効果が無いが、魔界産の素材で作る魔族用の好感度上昇アイテム、好感度を下げるアイテム*45も別に存在する。当然、ピナの先手を打って行動し続けるレミリアがそれらを見逃すはずも無く…。





追記・修正は自分の中の人を幸せにしてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 小説
  • 漫画
  • 小説家になろう
  • まきぶろ
  • 白梅ナズナ
  • 悪役令嬢
  • 転生
  • 悪役令嬢の中の人
  • 復讐
  • 乙女ゲーム
  • 断罪
  • ファンタジー
  • ピカレスクロマン
  • 一迅社
  • 異世界転生
  • 異世界モノ
  • 百合?
  • 2020年
  • 顔芸
  • ダークファンタジー
  • 星の乙女と救世の騎士
  • オトキシ
  • comic LAKE
  • 憑依
  • 悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~
  • web小説
  • 転生ヒドイン
  • 濃すぎるキャラクター達
  • 濃すぎるキャラクター性
  • まきぶろの本気
  • 白梅ナズナの本気
  • comic LAKEの本気
  • 異色作
最終更新:2025年04月25日 11:17

*1 ちなみにエミが意識して記憶していなかった事柄までも詳細に確認できるという、これまた地味にかなりのチート能力である。

*2 本編ではエミのおかげで愛情が充足したため、ウィリアルドに対して「自分は彼の事を何とも思っていない」と恋愛対象として考えていなかった。それはそれとしてエミと結ばれるのを願っていたが。

*3 運営はレミリア実装ネタをエイプリル企画でやってしまったのだが、それを真に受けて抗議の声も上げたという。

*4 実際はレベル上げのためのダンジョン攻略自体は出来るのだが「自分の気に入った逆ハーレムじゃないと嫌」といった我儘で拒否しており、魂胆を見抜いている王妃は余計に嫌悪している。

*5 原作ではチョコレート開発のためにカカオを大量に購入させるが作り方を知らなかった、マヨネーズ開発にも着手したが消毒や保管方法に問題があったため大量食中毒を起こしている。なお、レミリアは材料の消毒に改良した魔族の魔法を用いて安全なマヨネーズ開発に成功。使い切りやすい小瓶詰めで販売することで、日持ちしにくい点もクリアしている。

*6 コミカライズ版では大規模食中毒がマヨネーズ開発ではなくこの炊き出しで発生し、王都のメインストリートが治安悪化からのコンボで汚物まみれになる惨状となった。この顛末に対して貴族側からは「貧民を救済するなら就労支援とか保護とかをセットにしろよ(意訳)」とツッコまれている。

*7 レミリアからもその態度やマナーの悪さを「5歳児未満」「珍獣」と評されている

*8 リィナの収監先を突き止めて以降は、管理している人間を誘導して自身の思い付いた罰を与えたり、それらへのリィナの反応が薄くなってきた際は夢を操り、全てが上手く行きかけた光景を見せた上で現実に引き戻し改めて絶望させるくらいの事はやっているが。

*9 流石に特定の1人がモデルという訳ではなく、複数人物の印象深いエピソードをまとめ上げた結果とのこと。

*10 レミリアが得た「憑依した転生者の記憶や知識を覗くことができる」という能力はピナも同様であったが、このせいでより深く苦しむ事になった。

*11 一応ピナに急に惹かれたことを疑問に思い調査を依頼しているが、王の側近に「思春期にはよくあること」と言われてしまっている

*12 一応レミリアが「謝る」という行動を取っていればそれ以上のお咎めは無くなるよう庇う算段だったのだが、レミリアからは「完全無欠のレミリアに傷をつけて自分と釣り合いを取らせたい」という本音まで察知しており、その上で「肝心な場面でレミリア(エミ)を庇わなかったことでエミを絶望させた」との理由ですでに見切りを付けられていた。コミカライズ版では「謝れば許してやったのに」「僕を愛したくせになぜ戻ってこない」など、よりわかりやすく傲慢な思考を読み取られてレミリアを心底激怒させている。

*13 レミリアも流石にそこまで自爆するとは思っていなかったため、ピナとウィリアルド双方に呆れてしまっている

*14 この悪癖は「勇者の末裔として優秀であれ」という周囲の期待に応え続けて自らを追い詰めていった事による歪みであり、ゲーム本編のウィリアルドも持っていたものであると番外編で説明されている。同時にゲームのウィリアルドは自らの歪みを乗り越えて昇華する展開が用意されており、ピナが乗っ取られる事がなかった世界線においてもウィリアルドは己の歪みを乗り越えていると思われる事からも本編のような展開になる事は本来はあり得ないと思われる。

*15 領地経営で多忙なために息子にかまってやれない罪悪感からぎこちない態度を取ってしまい、クロードにはそれが母親の命を奪って生まれた自分を冷遇していると誤解されてしまった。

*16 ただし、読者からはそれを利用しようとした時点で秘薬の影響を受けているのでは?と指摘されている。

*17 というか回想でその描写を完全に省かれているため、その事を覚えてすらいないと思われる。

*18 即座に「違うのだ!」とツッコまれたネタ元と違い、こちらは本当に何の違いもない、違いがあったとしてもより酷いだけのクズっぷりであるため余計にヒドい。

*19 少なくともウィリアルドとステファン、特にウィリアルドは好意増幅の初期の際に違和感に気付いて対策を取ろうとしていた事が明示されている

*20 そもそも断罪劇に姿を現すまでレミリアが何をしているのか調べすらしていない。

*21 もともと「平時では金食い虫」と揶揄されていたが、エミの発明のおかげで地位が向上した魔術師側からはエミを追い詰めたこと、音楽家サロンでは問題児のピナの取り巻きであることから肩身が狭くなっており、結局どちらにも中途半端にまずい立場となってしまっている

*22 周囲の発言的には「(暇だろうからと言う前提こそあったとは言え)音楽にも精通しているからミュージカルなら使えるだろうし声をかけようかと思われる程度には本人の能力はある」が、「ピナの取り巻きである事から王太子派と取られて敬遠されて結局「いらん」と言われる」状態であると思われるが、それとは別に芸術のない人間を見下す内面をロレーヌ子爵に見抜かれていたのではないかと考察する声もある。

*23 要するに、次期王妃の愛人枠を狙っていたという発覚時のリスクがあまりにも高い事をやらかそうとしていた

*24 該当の場面をレミリアは削除していたのだが、わざと痕跡を残してアンヘルたちに気付かせて復元させた。何故そんな回りくどいことをしたかというと、こうすることで周囲から「悪人相手とはいえ流石にデリケートな部分は見せないように、レミリアが気を遣った(エミならばそうした)」という印象を抱かせるため。

*25 ただし顔が写るコマではちゃんと目が開いている事が多い。下記のレミリアを慰めつつ不穏な雰囲気で笑う表情がほぼ糸目になっているので、そこからのネーミングと思われる。

*26 なので結局自分に靡かなかったレミリアに失望してすっかり忘れていたのだと思われる。

*27 ちなみに、X上で作画の白梅ナズナ氏が趣味で描いた、ピナに監禁されていた場合のIFイラストが投稿されている。

*28 同様にそんな相手と結婚させようとした家族にも国にも愛想をつかして貴族の地位を捨てている。ただしコミカライズ版においては出奔直前に、同じくレミリアの人柄を信じていた王妃にピナについての報告となんらかのお願いを申し出ている事から、王妃だけは全てを了承した上でスフィアをレミリアの下へ送り出していた可能性が高い。

*29 ちなみに「レミリアが唖然とするほどの人物」という点は漫画版限定の設定というわけではなく、原作でもスフィアが移住だけでなく騎士に志願してきたのは予想外だったとレミリアが振り返る一幕がある。彼女が主役の外伝では、貴族の子女とは思えないほどフリーダムな彼女の内面を見ることができる。

*30 自らの手で殺した同胞全てを忘れないように、彼の部屋には同胞一人一人の名前を刻んだオブジェが並んでいる。

*31 魔族の寿命は魔力量に依存しており、魔力の少なかったアーリャは「普通の人間よりちょっと長生き」程度になったようだ。

*32 公爵領の収入源とバッティングする特産品を流通させる、公爵領で解雇された人材を積極的に再雇用するなどの手段を用いて、じわじわと財力や発言力を奪って衰退させている。

*33 これが意図的な演出であるならば、公爵は「国政から遠ざけられている無能」もしくは「会議をサボった怠け者」のいずれかであると思われる。

*34 実は公爵に情報が行かないようにレミリアが妨害&貿易にも公爵家を関わらせないようアンヘルがやんわりと締め出していたのだが、それも「才覚があるならばどうとでも食い込める(byレミリア)」程度のものだった。

*35 下記通り王妃は完全にレミリアの方をウィリアルドの嫁に相応しいと思っており、コンプレックスのせいで逆張りした形

*36 後述するweb版の番外編では幼いころは神童と呼ばれていたとされている。

*37 web・書籍版に曰く、ストーリーが魔界編まで進む=魔界産の素材が手に入れば魔族用の好感度アイテムも手に入るはずだったが、ピナはその段階まで進められていなかった。

*38 「魔族の血を引く第一王子」というだけで、数行しか出ていない

*39 第一王子の護衛に抜擢されるほどの人物でスフィアが「第一王子の武器」とすら評している(故に傍を離れているのならエルハーシャはレミリアに害意はないと判断した)事、スフィアが実家を飛び出した事を心配していたと思しき発言をしている事、クリムトに関係を問われたスフィアが微妙そうな顔で「友人ではないが親交がある」と語った事など。

*40 つまりエルハーシャの母親は「国王が一方的に熱を上げた踊り子」というカバーストーリーがあるだけで側室ですらない。

*41 プシュークの本来の一人称は「私」。

*42 創世神が瘴気の発生源で邪神となりかけていた事実は、討伐を成したレミリアとアンヘル以外ではクリムトのみが知るところである。またweb版の描写では、天界の主を討伐したレミリアに天罰が下るのではという心配を人々に抱かせないため、天界の主自身も邪神と別の存在として扱われている

*43 これは「世界が大きく乱れる時に星の乙女が現れる」という言い伝えと整合性を図るため。本来は創世神が邪神と化して世界の危機がもたらされるはずが、大事に至る前にレミリアたちが解決してしまったため世間に認知されておらず、その代わりの「世界の危機」として偽ピナを当て嵌めた。

*44 実際にウィリアルドも、ピナのお願いであっても明らかに正当性が無いもの(婚約者のいる身でありながら他の男性と一緒に旅に出たい、など)はきちんと拒否している

*45 好感度をわざわざ下げるメリットなんてあるのか? と思うかもしれないが、好感度が最大まで上がりきっていない段階での会話イベントやツンツンした反応をアーカイブ以外から楽しみたいコアなファンの需要があったとのこと。なお、漫画版では代わりにアンヘルに恋の秘薬への耐性をもたらしている彼の魔力を利用することになる。