登録日:2025/03/01 Sun 00:13:46
更新日:2025/04/08 Tue 20:53:46
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『全修。』はMAPPA制作によるオリジナルテレビアニメである。
監督は山﨑みつえ。シリーズ構成はうえのみきこ。
2025年1月から3月にかけてテレビ東京系列にて放送された。
【概要】
「巨匠」と持て囃されたアニメ監督の主人公が異世界へ転生し、その異世界は主人公が過去に見ていた憧れのアニメの世界だったというのがおおまかな流れである。
転生した主人公はなろう主人公のようにレベルが上がったり肉体強化されたり、スキルを得たりすることはない。
代わりに前世がアニメ監督だった技能と知識を活かして、タップから描かれるアニメーションが具現化され、強大な魔物を打ち倒していく展開が見どころである。
加えてこれらの描き出される具現化されたアニメーションは、過去のアニメ作品のパロディであることが多い。これらの元ネタを探すのも楽しいだろう。
監督曰く、ナツコが何を召喚するのかを楽しみにしてもらえればと考えている様子。
また召喚されるものには1つ1つそれぞれもアニメスタッフのこだわりもあるようなので、そのあたりも見て欲しいとのことであった。
◆「全修」とは?
「オールリテイク」。
一度描いたカットをやり直しすること。
アニメーション作成は知っている人は知っているが、1カットを描くだけでも大きな負担になるのは有名な話である。
本作では敢えて業界的にもゾッとする単語である「全修」を用いることで、主人公であるナツコが、憧れだった昔のアニメをいかに「全修」して改編し、ハッピーエンドに導くかが見所になっていると言えよう。
ちなみに本作の山﨑監督も全修の経験は当然あり、「
進撃の巨人」で自身が演出担当した部分を「全修」したらしい。
【あらすじ】
新進気鋭のアニメ監督、広瀬ナツ子は、初恋をテーマにした長編ラブコメ映画のコンテに取り掛かっていたが、初恋を経験したことがないナツ子は絵コンテが描けなくなる。
【キャラクター】
・広瀬ナツコ
CV:永瀬アンナ
本作の主人公でアニメ監督・アニメーター。
彼女が描く
アニメーションは見る者を引き付ける。これは幼少期から才能があったようで、彼女の描く絵・アニメーションに影響を受けた人も多い(一方一部男子の「初恋」を奪ってしまったという罪深き一面も)
好きなものに対してとことん追求するタイプ。
このため、夢中になると周囲がみえなくなることも多い。
まるで
貞子のように髪が伸びきっているが、
これは劇場作品を仕上げるまで願をかけていたためだという。
劇場作品を手掛けていた最中、食中毒(?)によりかつて自身が憧れ、その全てを知っている『滅びゆく物語』の世界に転生する。
その際、「ナツコ、描け」「描くんだ、ナツコ」というタップの声に応じて、ハイクオリティにアニメーションを具現化させ、勇者たちのピンチを度々救うことになる。
ちなみにナツコのデザインの初期案はショートヘアのクールビューティーという今のデザインとはかけ離れたものだったようだ。もしそれが実現していたらどんなものになるか興味深い。
・ルーク・ブレイブハート
CV:浦和希
映画『滅びゆく物語』の主人公。
勇者の家系に属しており、先祖代々から受け継がれたキングブレイブソードで魔物たちと戦っていく勇者パーティー『ナインソルジャー』のリーダー。
仲間たちの信頼は厚いのだが、幼い頃から訓練ばかり続けてきたこともあり、恋愛、もっと言えば人の気持ちを把握したり、感情表現することにおいてズレが見られたりする。
そんな不器用な彼であるが、ナツコの存在が気になるようである。
キャラデザするうえでは反抗期で斜に構えた勇者をイメージしたという。
・ユニオ
CV:
釘宮理恵
ルークの守護獣で彼にとっては家族のような存在である。
女好きで、事あるごとに美女にナンパを仕掛けるというやや軽い一面がある。
一方で、普段はマスコットのようなデザインだが、通常戦闘時にはユニコーンのような形状で戦う。
本来であれば途中でヴォイドに殺され途中退場するキャラなのだが、ナツコの生み出したアニメーションで命を救われる。
なお、ユニオの髪型はナルシスト的なものを意識したものらしい。
基本的に戦闘スタイルは魔法による後方支援が多い。
その魔法は高等なレベルの魔法を使いこなすことが出来る。
街の聖歌隊に所属していることから、歌唱力は高い(
中の人もマクロスシリーズのヒロイン経験者)
実はこの聖歌隊。表向きは聖歌の練習をしているのだが、実際は「超空洞ヴォイド」を召喚させる儀式をしており、メンバーに対して裏切り行為をしていたのだったが……?
・QJ
CV:陶山章央
ナインソルジャーの一員で機械仕掛けの国出身
まるで土偶のような形状をしているメカっぽい風貌が特徴的である。
ヴォイドの反応があるといち早く知らせてくれる。
・ジャスティス
CV:朴璐美
元ナインソルジャーの一員である。
過去の戦闘で翼を負傷し、飛翔能力を失い、戦闘に参加することが困難になってしまった。
以降はメンバーとは距離を置き、やさぐれた生活を続けるものの、ルークとは互いに本音を語り合うなど通じているところもある。
・デステニ―・ハートウォ―ミング
CV:
石見舞菜香
『滅びゆく物語』ではヒロインを演じている。
映画の中ではルークと恋に落ちるが、ヴォイドに殺されるという「悲劇のヒロイン」を演じる役回りであるはずが、ナツコのアニメーションにより救われる。
それどころか、彼女の生み出したアニメーション(タイガーマスクを模したもの)に触発されてか、それ以降は肉体改造を施し、女子プロレスラー顔負けの強靭の肉体を手に入れることになる。
ヒロインの面子丸つぶれである。
【劇中で披露されたアニメーションネタ】
・巨神兵
言わずと知れた「
風の谷のナウシカ」に登場した人類の切り札ともいえる人口生命体。
1話にてナツコが召喚し、大量のヴォイドを「
薙ぎ払った」。
作中のビーム兵器も健在である。
・板野サーカス
アニメーターである板野一郎氏が考案した演出手法。
高速で動く物体を高速で動くカメラが捉え、スピード感のある演出で見る者を圧倒させる。
おもに追尾式ミサイルや多数のミサイルを高速かつ洗練させた軌道で攻撃する演出などで採用される。
本作では第2話で登場。
なお第2話で本家本元たる板野氏本人が演出を担当し、視聴者を驚かせた。
・タイガーマスク
第3話で登場。本作では「サーバルキャットマスク」と呼称されている。
これによりヴォイドは倒され、触発されたデステニーは肉体改造するに至った。
・うたの☆プリンスさまっ♪
第4話にて裏切ってしまったメルルンを取り戻すために召喚した。
作中では「
うたう☆メンズアイドル」と呼称されており、その中のキャラの1人である「超実在イグジスト」を召喚した(ちなみにCVは
宮野真守)。
メルルンとミュージカルに興じる演出は宮野氏と鈴木氏の歌唱力も相まって大きな盛り上がりを見せつけた。
第8話で登場。国民的ロボットアニメということで、
本作でも「移動戦士イクダス」という名のパロディネタとして登場した。
作中ではレーザーを発射するヴォイドに対抗するために描き出された。
戦闘中、頭部を破壊される描写が明らかに「たかがメインカメラをやられただけだ!」で有名なラストシューティング描写を彷彿とさせる場面も存在する。
※他にも、7話にてナツコが大学の学祭で協力したサークルの部長が島本和彦氏デザインを模したキャラだったりと小ネタが多い。
そうしたものを見てみるのも面白い。
【主題歌】
オープニングテーマ:「Zen」
BAND-MAIDによるオープニングテーマ。
エンディングテーマ:「ただ、君のままで」
Souによるエンディングテーマ。
追記・修正、お願いします。
- 最初字面だけ見た時、林修みたいな人名かと思った -- 名無しさん (2025-03-01 21:32:24)
- オリジナルアニメなのに何らかのパロディ頼りだったり、主人公の名前がナツ子だったり、どうも細かいところが鼻につく作品。 -- 名無しさん (2025-03-03 10:41:05)
- 遂に本来の結末が明かされたけど、なるほど確かにこれは大ヒットしないわ。そして今なお根強いファンがいるのも納得した。 -- 名無しさん (2025-03-03 10:51:00)
- 巨神兵モドキのビームが「口から撃つと思わせて目から出す」だったり、メルルンは「メル・ルン」でフルネームだったりと小ネタも楽しい -- 名無しさん (2025-03-03 15:22:22)
- ガ◯ダムが出ちゃった。右腕が破壊された状態からのラストシューティング再現付きで -- 名無しさん (2025-03-04 12:40:16)
- タイトルだけ見てると、90年代-00年代あたりのアニメかなと思ったけど、キャスト石見さんがいたり、パロディもとにうたプリが入ってるって時点で比較的最近のアニメなんだと認識した -- 名無しさん (2025-03-23 17:14:15)
- BGM集が配信されたけど、なかなかにトガった選曲してんな〜 -- 名無しさん (2025-04-08 20:53:46)
最終更新:2025年04月08日 20:53