ボチューン

登録日:2025/04/28 Mon 22:22:25
更新日:2025/05/14 Wed 19:29:53
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ボチューンとはアニメ『聖戦士ダンバイン』に登場する量産型ロボット。


スペック

分類∶オーラバトラー
全高∶7.0メット(m)
重量∶4.6ルフトン(t)
オーラ係数∶1.1
必要オーラ力∶8オーラ
限界オーラ力∶18オーラ
巡航速度∶200リル(約800km/h)
最高速度∶250リル(約1,000km/h)
装甲素材∶強獣の甲羅
所属∶ラウの国・ナの国
主なパイロット∶(ワインレッド)マーベル・フローズン、キーン・キッス、(ネイビーブルー)フォイゾン・ゴウ、(オリーブ)ニー・ギブン、トルストール・チェシレンコ、一般兵、(ホワイト)ナの国本国の警護機




機体概要

ラウの国とナの国の技術陣がドレイク陣営から奪取したダンバインと既にラウの国で開発されていたボゾンを参考にして、共同して開発したオーラバトラー。
さらにショットがバイストン・ウェル世界全体のオーラマシン開発活発化を目論んで意図的に流した技術も採用。
係累的にはビランビーやバストールの要素をボゾンに取り込んだ発展型に位置する(同時期、アの国ではこの世代の高機動型ABから、レプラカーンを経てライネック*1に至る重武装路線に脱却しつつあった)。

随所に独創的な設計があり、剣の鞘が背中上部に水平に取り付けられ、両脚が逆関節になっている。
オーラコンバーターは左右分離型で、流線的な体躯と軽量な機体ということで運動性と機動性に優れている。

また、微弱ではあるが搭乗者のオーラ力をソードに蓄積させ威力を増加させる機能を初めて実装している。

外形は頭部の形状や三本指の手、逆関節の脚部など、明らかに「鳥」を意識した形態となっており、
「虫」を基本とした従来型オーラバトラーと一線を画したスマートなデザインとなっている。

ワインレッドに塗装された一号機はマーベル・フローズンに授与され、彼女がダンバインに乗り換えて以降はゼラーナ隊の数少ないコモンのオーラバトラーパイロットであるキーン・キッスが搭乗。
また母艦ゼラーナを喪ってからオーラバトラー乗りになったニー・ギブンは一般兵と同じオリーブ色の塗装の機体に搭乗した。
他に指揮官機やナの国仕様の機体で塗装が異なっており、前者はネイビーブルー、後者は白色の塗装となっている。
特にナの国仕様の機体は「ナの国の白き守り」「白い女王の戦鬼たち」と呼ばれていた。
この他本編未登場の機体にシーラ・ラパーナ専用機として作られた「ディネ・シー」が存在する。

このボチューン、量産型として見た場合ドレイク軍のそれと比べて色々見劣りする部分があり、所属が同じボゾンと比べてもいろいろ使いにくい部分が見受けられる。

◇武装が貧弱

基本的に武装がオーラソードと、大腿部のオーラバルカンだけ。
特にオーラバルカンは、ドレイク側のオーラバトラー(基本的に腕に装備)と異なり火器の向きが制限されてしまう。

またボチューンの構造上、他機種の携行遠隔武器を流用する事もままならない。
  • ボゾンのガッシュは矢を撃ち出すのに腕内の砲の発射用ガス圧を用いるため、内蔵砲の無いボチューンでは使えない
  • ダンバインのオーラショットは、ワイヤークローが無いため引鉄を引けない
  • そもそも三本の鉤爪状マニュピュレーターは携行火器の使用に適しているとは言い難い

そしてワイヤークローが無いため、ワイヤーによる絡め手戦法(敵に引っ掛けてバランスを崩すとか、投擲した剣をワイヤーで回収するとか)も使えない。

こうした点は特に、オーラ力の作用の増大により砲撃火力が重要になる地上へ浮上した後に大きな問題となっていった。

◇速度自体はそこまで速くはない

本機の速度自体はドラムロの後期生産タイプと(巡航180リル・最高速度220リル)さほど変わらない。
高機動型の中では量産性に優れるビランビーとは巡航速度は同じだが最高速度は300リルと劣勢。

しかし、当時の敵軍主力機の半分程度という軽量により加減速能力など機動性自体には優れており、主眼である近接戦においては後れを取ることはなかった。

◇当然長所もある

この様に問題点も抱えながらも、必要オーラ力の低さと18という限界オーラ力の高さ*2は乗り手を選ばない汎用性に繋がり、
近接戦重視の武装構成も、ドレイク兵に比べてオーラバトラーに慣れない自軍の騎士たちを早急に戦力化する必要に駆られての事でもあった。

結果として、乗り手への間口の広さに反してポテンシャルを最大限に発揮するには「限界オーラ力の高い搭乗者が高機動性を活かし、近接戦闘を行う」という限られた運用方法が求められる形になってしまったが、主力量産機としては及第点にあると言え、オーラマシンの開発・運用で遥かに先行するドレイク陣営へ反抗勢力が抵抗していくうえで大きな力となった。
ボチューンが本当に使い物にならない失敗作だったなら、両軍相討ちに持ち込む事すらできた筈はないのだ。

さらに、同世代機の半分という軽量さは、生産の容易さにも繋がった。
もともとナの国はドレイクをして警戒するほどの「大国」で、国力そのものはアの国を上回ってすらいる。
そんな国が後発とはいえ部分的にでも最新オーラマシンに匹敵する性能のボチューンを
一般騎士レベルに普及するほど急速に量産できたという事実は大きかった。
ビランビー以降のドレイク軍オーラマシンはどこまで行っても指揮官など限定された上級兵にしか配備が行きわたらず、性能向上したとは言え最後まで主力はドラムロだった*3
曲がりなりにもビランビー以上の機体が一般騎士にまで普及したナの国陣営は、決して侮れない戦力だったのである。



武装

  • オーラソード
オーラバトラーの標準装備である長剣。先述の通り乗り手のオーラ力を込めて威力を上げることができる。
この設定のお陰か、後述するスパロボシリーズでは攻撃力にはそこそこ恵まれているケースが多い。

  • 腰部連装オーラバルカン
腰の付け根両側に二基ずつ装備。格闘戦と併用できるかもしれないが、如何せん射角に問題がある。

  • 掌部オーラバルカン
作画ミスで両掌から発射した描写があった。
後にゲームに登場する上位機種ボテューンには、この描写を拾って装備されている。こちらは腰のバルカンが無くなってしまっているが


活躍

概要にある通り、ボチューンはドレイク陣営のオーラマシンと世代的に比較すれば
ビランビー・バストール以上、レプラカーン・ビアレス以下くらいに位置するため、
どうしても見劣りする性能と評価せざるを得ないのも事実である。
むしろ開発力で劣位にある自覚から一芸特化の開発方針が立てられ、
近接戦闘だけでもドレイク陣営と互角に立ち回れる能力を与えられたと考えるべきかもしれない。

本作の自陣営は終始ドレイク側に押され気味で、相討ちに持ち込めたのは富野御大作品ではよくあるドレイク陣営側の内輪もめに起因する足並みの乱れがあったという面も大きく正直あまり活躍していたとは言い難い。
マーベルがオーラソードでトッド・ギネスの駆るビアレスに斬りかかっても篭手に弾かれてしまったり、フォイゾン王がゴラオンの発進時にドレイクとの相討ちを狙うために出撃するもジェリル・クチビのレプラカーンに阻まれ返り討ち。

地上に上がってからもエレ・ハンムに好意を抱いた地上人のトルストール・チェシレンコが彼女のために黒騎士を討とうとするも返り討ちに遭ったり、キーン・キッスがブブリイに突撃でやられたりと、やられメカのような扱いが続く。
中には海中に潜ったらオーラバリアが水圧に耐え切れずに圧壊、なんて悲惨な目に遭った機体も。
数少ない活躍はグラン・ガランの特攻を迎え撃つオーラバトルシップのウィル・ウィプスを囮に、オーラシップ「ブル・ベガー」で脱出を図ったドレイク・ルフトをニー・ギブンが討ち取ったシーン。
ブル・ベガーはドレイク軍の主力オーラ・シップで、重武装と4機のオーラマシン搭載能力を兼ね備えた強力な艦だが、発進直後の警戒が途切れた隙を突かれるかたちでニーの急接近を許してしまった。
とはいえ、ウィル・ウィプスの圧倒的な防御砲火をかいくぐってドレイクの懐に飛び込めたのは、ボチューンの高機動あってのことと言えなくもない(フォイゾン王も、対空砲火に追われるかたちとはいえ、ボチューン単騎でウィル・ウィプス侵入を成功させている)。
しかし結局彼もその直後にドラムロの集中砲火を浴びて撃墜されており、こちらは高機動と引き換えの軽装甲が災いしたと言える。

量産型もボゾンと共に出撃するも敵のドラムロ隊のトリオ・コンビネーションによるフレイボム集中砲火で焼き払われるなど、割といいところはなかった。

この辺りは次回作『重戦機エルガイム』の自陣営の量産機で最終的に自陣営に勝利をもたらした「ディザード」とは真逆といえるかもしれない。
(B級ながらエルガイムと共通する部分が多く、武装やフレームやコクピット周りが充実しており、量産型同士でのぶつかり合いで上回りA級相手でもパイロット次第ではそこそこ粘ることができうまくいけば撃墜する事もあった)



スパロボ

マーベルを筆頭に、ショウ以外の味方キャラの乗機としては(当たり前ではあるが)基本的にボチューンが採用されているため、「登場機会は」かなり恵まれている。
出てこないのは、原作終了後参戦などでマーベルすら出てこないorマーベルがダンバインに乗ってるといったケースくらいである。
なお、今のところワインレッドカラーの1号機しか登場した事がなく、複数機入手できる場合もすべて1号機と同じ塗装になっている。

だが、案の定というか量産型ゆえに限界も低いし射撃武器の火力や射程が壊滅的で、あっさり二軍行きになりやすい。
話が進んでショウがビルバインに乗り換えればお下がりのダンバインが巡ってくるし、さらにスパロボ補正で原作で敵だった機体が自陣営で使えることも多く、一部作品だとサーバイン/ズワウスの参戦のせいでビルバインまで余る場合があり、脇役たちを使うにしてもそれらに乗せればよくね?というのが問題として付き纏う。
特に『第4次』でダンバインどころかドラムロより一回りも薄い紙装甲だったのはある意味語り草。
それでも『第4次』のハイパーオーラ斬りは全てのABで攻撃力が全く同じである事から接近戦の火力は申し分無い…と思いきや、マーベルを除いたボチューンを扱うであろうニー、キーンなどのメインパイロット達はオーラ斬りを使うのに必須の聖戦士技能を持っておらず、貧弱なオーラソードを振り回すのが関の山という始末。
本作のオーラバトラーの優遇のおかげで装甲薄めのスーパーロボットくらいの硬さはあるが、さすがにこれでは……
そしてマーベル機はビルバイン入手時に強制廃棄となるため、ニー、キーンと排他になるガラリアを仲間にした場合、どうあがいてもボチューンは格納庫に残らない。もはや何も言うまい。
シリーズによってはしっかり補強すれば強力な機体に化けることもあり、特にIMPACT』でフル改造時全AB中最大火力になるのも語り草になっているが、
その場合でも「IMPACTはダメージがシリーズ屈指のデフレなため火力だけが高くてもそこまでダメージが出ない」ことや「移動力も射程も低いため単騎無双は難しい」という要因から、
他のより強力な機体に金をかけた方がいいことが多々発生する。サーバインのように運用するには機体スペックが足りなさ過ぎた。あと『α』から戦闘アニメが一切描き直されていないので戦闘アニメがしょっぱ過ぎる
また、『F』ではセガサターン版ではバグにより聖戦士技能がハイパーオーラ斬りの攻撃力に補正がかからない他のABとは違い正常に機能するので実はこちらでもAB中最大火力になっていた。
PS版だとバグが修正されているし、どっちにしろF完結編に入るとバグ修正されてるんだけどな!
とはいえ今回はダンバインと互角くらいのスペックなのでサターン版でバグを避けるために改造した人はマーベルを使うのならダンバインの代わりに使い倒すのも手か。
しかし最終的には(仲間にすれば)トッドが持参するライネックどころか、同じくサターン版だとバグで増殖するビルバインがいるため、ウォンに引き取られるイベントではまず引き取られる筆頭となる。
その辺諸々のバランスを考えた結果、合体攻撃があり、三機も入手する上に機体ボーナスが優秀でシステム上投入する枠もある『BX』が一番優遇されていたと言えるだろう。
なお、これらの優遇の代わりに遂にハイパーオーラ斬りが没収された*4




追記修正は敵に肉薄してオーラ斬りを浴びせてからお願いします。

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最終更新:2025年05月14日 19:29

*1 ライネックはビランビーの重武装化を念頭に開発されたレプラカーンと、ビランビーの素養を正当進化させたビアレスを足し合わせてアの国・クの国が共同開発した次世代量産機の位置づけ。さらにライネックより高位のズワァースもある上、ショットはABの系統自体から脱却したガラバやブブリィにまで開発を推し進めつつあった。

*2 敵軍で言うなら高級量産機にあたるライネックと並ぶ数値

*3 火力面ではボチューンを圧倒していたし、後期型はビランビーに迫るほどの性能向上を果たしていたから、最後まで陳腐化せず一線を張れる機体であったことも間違いない事実である

*4 ダンバインへの乗り換えを控えているマーベルはともかく、合体攻撃が使えるニーとキーン、リムルが悉くほかの機体でもハイパーオーラ斬りが使えるまでオーラ力Lvが伸びないので特段デメリットにはならない。