エルガイム/ガイラム

登録日:2014/07/19 (土) 23:12:54
更新日:2025/04/14 Mon 09:07:14
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ドッキングセンサー!



エルガイムとは、アニメ『重戦機エルガイム』前半における主役メカ。
本項目は、このメカの前身にあたるガイラムについても記載する。





◆エルガイム/L-GAIM


《スペック》

分類 A級ヘビーメタル
所属 なし → 反乱軍
開発者 ダバ・ハッサー
頭頂高 20.7~22.5m
全高 24.1m((ランドブースター・ライト装備時))
本体重量 19.1t
全備重量 31.1t((スパイラルフロー・フリッカ含む))
動力 電力+ソーラーパワー
装甲材質 ジーンプラ
ムーバルフレーム Mサイズ
武装 セイバー ×2
ランサー ×2
アキュート
Sマイン ×2
パワーランチャー ×2
バスターランチャー
ソーラーバインダー
ランドブースター・ライト
スパイラル・ブースター
ヘッドライナー ダバ・マイロード
ファンネリア・アム
ミラウー・キャオ
セムージュ・シャト



《概要》

ペンタゴナワールドでも辺境にある、コアム星の若者ダバ・マイロードが所有するハンドメイドヘビーメタル(HM)。
その実、ダバの正体はかつてミズン星に存在したヤーマン族カモン王朝の王子カモン・マイロードであり、エルガイムの正体もヤーマンが生んだ傑作HM・ガイラムの21号機「アーメス」をダバの養父で技術者だったダバ・ハッサーがカスタムした機体である。

しかしカスタムといっても、機体の出自をポセイダル軍から誤魔化す為の偽装と、いつか訪れるであろう打倒ポセイダル・ヤーマン族復興の日に向けての量産化を意図したデチューンである*1
事実、オリジナルたるガイラムにあった人造人間型コンピューターであるシンボライズド・コンピューター*2や、かのブラッドテンプルに対抗出来たというオリジナル程の性能は無く、同じA級HMで共通点の多いバッシュとの比較では「ヘッドライナー*3の技量が同じなら必ずバッシュが勝つ」とされる。
また、変わった設定として「マーキングの類が全くない」というものがある。出自を隠す為だろうか?

但しヤーマン系HM特有の柔軟なフレーム稼働部が生み出す運動性と機動性の高さは抜群。
脚部側面の展開機構は「ランダムスレート」というもので、HMに搭載されたフロッサーシステム*4の補助的役割を果たす安定板となっている。
ランドブースター・ライトを装備すれば飛行も可能となるが、長距離の飛行や移動には有人ランドブースター・スピリットとドッキングする必要がある。


エルガイムは数あるA級HMでも運動性と機動性以外に突出した部分がなく、本編後半では息切れ気味であった。
だが、ダバやアムの愛機として戦いを潜り抜け、難敵を撃破していった姿からも解るように、平凡であるが故に、A級の中でもバランスのいい機体であったと言えるだろう。


そして、このエルガイムを基にして量産化された物が反乱軍の主力となったディザードであり、更にポセイダル正規軍に漏れたディザードのデータから得たヤーマン系の技術とポセイダル軍のガストガル系の技術を合わせて開発されたのがヌーベル・ディザード(クルツ・テンプル)*5、更にヌーベル・ディザードと別部署で企画された同一コンセプトがアモンデュール・スタックで、アモンデュール・スタックを反乱軍が奪って修復・完成させた機体がエルガイムMk-Ⅱなのである。

このように実はMk-Ⅱとは直接的な繋がりはないかと思われたが…?(修復改造の際に部品は移植されているが)。


ちなみにエルガイムやディザード1号機、エルガイムMk-Ⅱ、ヌーベルディザードなどの操縦にはスパイラル・フローシステムというヤーマン系特有のスパイラル・フロー*6がコックピットに合体してパイロットシートとなる機構が搭載されている。
スパイラル・フローはコックピット内に収納されるとカバーを展開し、その内側に映像を投影することで周囲210度という高い視認性を発揮することが可能となっている。
また、コックピット内でも常に浮いているので衝撃やGを軽減する役割も持つ。

エルガイムにはフリッカというスパイラル・フローが用いられるが、Mk-Ⅱで使用されるスパイラル・フローであるビュイでも代用可能。
というかビュイは元々エルガイムのコックピットの360度スクリーン化を目指して組み立てていたものをMk-Ⅱに流用したものである。
但し360度スクリーン自体はMk-Ⅱ側のコックピット機能なのでスクリーンとして機能するのはビュイの細長い前面カバーのみで左右方向の視界が全く利かず、視認性は極度に悪化してしまう。

一応補助操縦システムが付いているのでスパイラル・フロー無しでも動かせるものの、スクリーンはほぼ機能しない上に対衝撃機能をフリッカに依存しているので機体の振動がダイレクトに伝わることから、なんとか歩かせるだけで精一杯である。

劇中ではドッキング時にダバが「ドッキングセンサー!」と叫んでいる姿が印象深いが、実はダバ個人のルーティーンであり声紋認証とかそういう機能ではない。



《主な装備》

  • セイバー
レーザー式の光剣。HMの白兵戦の基本武器。ちなみに人間同士の白兵戦でも小型の物が使われる。
所謂ビームサーベルライトセーバー

両腕部の内側に搭載されており、手元に射出し握って使う。
また腕に付けたままでもハンドランチャーとして使用出来るが、パワーランチャーに比べて火力は低い。

  • ランサー
柄が長く、両端からレーザーの刃を発するタイプのセイバー。
バインダーの内側に2基装備している。

  • パワーランチャー
右腕に装備しているレーザーキャノン。
HMの標準的な武装でもあるが、エルガイムのそれは一般的なB級HMの物の数段上の威力を持つ。

プラグ付きのエネルギー供給ケーブルをMH本体に接続してエネルギーを供給するのが特徴だが、実はケーブル無しでも発射は可能(威力は落ちるが)。

  • アキュート
前腕部を折り曲げると現れる打撃武器。影が薄い。

  • Sマイン
6つに分裂可能な円盤状の吸着or投擲用爆弾。
化学反応で起爆するので、投げる前に攻撃を受けても誘爆の心配がない。

  • ソーラーバインダー(シールド)
板状の
表面に吸収効率の高いツインメリットコーティングが施してあり、本体よりも強力なレーザー耐性を持つ。
内側にはランサーやSマイン、パワーランチャー2門などを懸架可能で、バインダーからもエネルギー供給されるのでパワーランチャーの発砲も出来る。
また、先端部には打突用のアキュートも備えている。

  • バスターランチャー
ペンタゴナワールド最強の火器と評される大口径砲。
高出力のパワーランチャーとして使用する「ランチャー」とより強力な「ブラスター」、そしてエネルギーを物質化直前まで圧縮して放つ「バスター」の機能があり、特にバスター砲は一挙に40~50機ものHMを薙ぎ払い着弾点には巨大なクレーターが出来るとされる程の威力を持つ。

但しバスター砲は使用に制約も多く、「エネルギー供給ケーブルを3本要するので基本的に単独での使用は接続ジャックを3基有するA級HM以上限定」だったり「反動が強烈」「扱いが難しくしばしば整備不良で威力が発揮されない」といった面がある。
他にも劇中では「機体の消耗が激しく母艦からのエネルギー供給を受けてようやく撃てる」「撃てても機体の状態によっては発射後にバーストして行動不能になる」といった場面も見られた。
とはいえこの点は案外融通が利き、バスター砲以外はB級でも普通に使用出来るし、複数機掛かりでエネルギー供給すればB級だけでもバスター砲を撃てる。

エルガイムは腰部の接続ジャックが3基あるので単機で使用出来るが、本機の出力では1発撃つと全エネルギーを消費してしまうとされる。

反乱軍は「ヘッケラーのバッシュが整備不良で投棄した物」と「アモンデュール・スタックごとパクってきた物」を改修してMk-Ⅱを中心に使い回しており、エルガイムは最終回でギワザを討つ際に使用した。

  • ランドブースター・ライト
背部に装着するブースター。
フロッサーシステムを内蔵しており、これを装備すると飛行能力や宇宙空間での高機動能力を発揮出来るようになる。

物語初期は組み立てが出来ていなかったのか、飛行機タイプのランドブースター・スピリッツに掴まって空輸してもらったり、グライアなどが装備している汎用品のスパイラル・ブースターを使っていた。
スーパーロボット大戦シリーズに登場するエルガイムはデフォルトでこの姿。



《主な活躍》

中盤までの主人公機。
より強力なA級が複数現れるようになった中盤以降はMk-Ⅱ製作の為に無断でパーツを取られたり、自爆攻撃で大破したりとあまりいいところが無く、ダバがMk-Ⅱに乗り換え、アムがメインパイロットになってからは更にやられる場面が増えた。
腕がもげたり蜂の巣にされたりする姿は前主人公機の悲哀を感じずにはいられない。

しかし、最終決戦ではアムが13人衆リィリィ・ハッシーのグルーンを撃破。
更に最終回のラストで大破・破棄されたMk-Ⅱに代わって再び主人公機に返り咲き、ポセイダルやギワザとの長い戦いに終止符を討った。


スーパーロボット大戦シリーズにおいて》

やはりダバの乗機で、エルガイムMk-Ⅱの前座ポジション。
参戦回数はそれなりに多いのだが、バスターランチャーの有無で火力の印象が全く変わる機体。無いと派手な攻撃がなく、地味の一言に尽きる。
ヘビーメタル全体としても、一番の取り柄はサブパイロットとして精神コマンドが充実したリリスを伴えることに等しいので多くの出撃枠は割きにくい。
ツインメリットコーティングはビームコート(ビーム兵器のダメージを減少する能力)扱いのケースが多く、ビーム兵器を撃つ敵ばかりではないのが苦しい。
格違いに堅牢なオーラバリアATフィールド持ちとの共演作品では、尚更お役立ち感が乏しかった。
後半加入のMk-Ⅱはエルガイムに無いマップ兵器+Ζガンダムのように移動力重視のプローラー変形が可能という完全上位互換ポジションなので、本機を使い続ける理由はなく、強化費も出し渋られてしまう立場。
例外の1つが『COMPACT』。上位下位逆転の強化パーツ・V-UPユニットの恩恵により単純性能でMk-Ⅱを上回れた。
また『OE』ではダバ(リリス付き)&アム&レッシィのグループ編成のバランスが良く、Mk-Ⅱの入手が非常に遅かった上に乗り換え不可で単騎限定=グループ分割するアム&レッシィもほぼ倉庫番化してしまうので、上記グループ優先で最後まで使い続ける選択も十分有望だった。それはそれで、終盤ようやく手に入るMk-Ⅱが倉庫番化してしまう寂しい話になったのだが…。
30』では決定力不足を補う「連続攻撃」が実装。近距離戦仕様のイメージが強めというスパロボでは異色のエルガイム。だが、後半ではやはり厳しくなる。


◆ガイラム/Gayrahm


《スペック》

分類 オリジナルヘビーメタル
所属 ヤーマン王朝
サートスター
開発 ヤーマン王朝
全高 22.2m
重量 16.1t
動力 電力+ソーラーパワー
装甲材質 ジーンプラ
ムーバルフレーム Mサイズ
装備 セイバー
アキュート
パドルスピアー
パワーランチャー
グランドバインダー
ランドブースター・ライト
ヘッドライナー フル・フラット
スー・アザン



《概要》

劇中から過去の時代にあったガストガル星の王朝によるペンタゴナワールド統一戦争第一次聖戦(ファースト・セント・ウォー)の時期にダバの曾祖父であるヤーマン王朝のカモン・ワーラー3世が開発したHM。
かつて存在したHMの中でもブラッド・テンプル、オージェと並ぶ高性能HMとして「ペンタゴナ3大ヘビーメタル」と称された程の名機であった。
但し、コックピットはヤーマン系のスパイラル・フロー方式ではない。

旧時代の戦争はHM同士の一騎打ちで決着が着く事が多く、劣勢でも一発逆転のチャンスがあった。
しかしポセイダルが率いるガストガルの王朝が開発したHMはより攻撃に特化しており、とりわけ近衛師団テンプルナイツにのみ与えられていたブラッドテンプルは無敵・最強と謳われ、全てを焼き尽くす必殺の火炎放射器フレームランチャーは敵対勢力にとっては恐怖の代名詞であった。

対してヤーマン系のHMは防御・防衛に優れ、恐怖のブラッドテンプルを打ち破るべく開発されたのがこのガイラムである。
その性能もさることながら、ダバの実父カモン・ワーラー5世によって改良が加えられ、新たに大型の盾グランドバインダーとパワーランチャー内蔵の長槍パドルスピアーが追加された。
グランドバインダーで火炎を防ぎつつ、パドルスピアーで死角から突き破る戦法はまさしくブラッドテンプルの天敵であり、実際にガイラムは大いにポセイダル軍を苦しめたという。
その結果、第一次聖戦においてペンタゴナの各惑星が次々と制圧されていった中でヤーマン族の治めるミズン星のみがポセイダル軍の撃退に成功した。


だが、ブラッドテンプルと対等に戦えるガイラムの登場はポセイダルに危機感を抱かせてしまった。
第一次聖戦ではポセイダル軍の侵攻を食い止めたものの、続く第二次聖戦(セカンド・セント・ウォー)(ミズン戦役)」においてポセイダル軍は戦略をHMによる制圧戦から惑星爆撃艦(プラネットボンバー)による衛星軌道上からの絨毯爆撃による殲滅戦に切り替えたことでヤーマン族は都市ごと焼き払われ、却って滅亡までのスピードを早めてしまう結果となってしまった。
結局、ヤーマン族は僅かな生き残りを残して根絶やしにされてしまい、ミズン星に栄えたカモン王朝は逃げ延びた一人の王子を残してペンタゴナワールドから姿を消した。

残された30機余りのガイラムは人工惑星サートスターに保管され、本編終盤で引っ張り出されるまで長い眠りに就いたのであった。


ちなみにエルガイムの原型となったのは先述のようにカモン王朝滅亡時にダバの養父ダバ・ハッサーが持ち出したガイラム第21号機「アーメス」とされるが、そのアーメスのヘッドライナーこそダバの実父カモン・ワーラー5世であったという。
ダバ・マイロードは2人の父の遺産を受け継いでいるのである。

更に余談だが、アモンデュール・スタックのプロトタイプとして開発されたヌーベルディザードも一部の資料ではガイラムをベースにアマンダラ・カマンダラが改装したとするものもある。
その場合、スタックを改造して造り上げられたエルガイムMk-Ⅱもまたガイラムの血統ということになる。



《主な装備》

  • セイバー、アキュート、パワーランチャー、ランドブースター・ライト
基本的にエルガイムと同じ物だが、一部は本体に合わせて色が薄紫になっている。

  • パドルスピアー
長射程のパワーランチャーを内蔵した長槍。
ブラッドテンプルのフレームランチャーよりも射程が長く、グランドバインダーで防御しながらパドルスピアーで隙を突くのがガイラムの基本戦法だった。

  • グランドバインダー
フレームランチャーをも防ぐ巨大な盾。
設定のみで本編には未登場。



《主な活躍》

先述したようにサートスターに保管されていた物をフル・フラットが引っ張り出した。

……が、ぶっちゃけ殆ど活躍していない。
一度ダバのエルガイムMk-Ⅱ&ギャブレーのアトールと戦ったが圧倒的に強かった訳でもなく、最後はガストガルのスヴェートに潜入する際に使われ、物語からフェードアウトした。

但し、鹵獲されてから50年放置されて全く整備されていなかったものであったにもかかわらずA級HMと渡り合っていたので、そのあたりはオリジナルHMの面目躍如と言えるだろう。



余談

『スーパーロボット大戦』シリーズのプロデューサーだった寺田貴之氏は大のガイラム好きであり、『エルガイム』参戦の際にはどうにかねじ込もうと努力していた。
が、それが叶ったのは『F完結編』だけで、味方してくれる展開でもNPC止まりであった。
また、同じくウィンキーソフト開発の『リアルロボット戦線』では正式に自軍で使える。地味な性能だが。


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最終更新:2025年04月14日 09:07

*1 ヤーマン独自規格の部品ばかりでは当然現ペンタゴナでの運用は覚束無い

*2 一時期は『FSS』のファティマとされたが、現在は「エルガイムの世界にファティマは存在しない」とされる。

*3 所謂パイロット。A級HM乗りに与えられる称号

*4 ペンタゴナ・ワールドに広く普及している反重力装置

*5 より直接的にガイラムを開発ベースとする資料もある

*6 フロッサーを用いたエアーバイクの一種