飛電或人

登録日:2019/09/16 Mon 00:35:45
更新日:2022/03/23 Wed 19:36:26
所要時間:約 23 分で読めます






笑うなよ……! 何も分かってないくせに、人の夢を笑うんじゃねえよ!!


はいっ! アルトじゃ~~~ないとッ!



飛電(ひでん) 或人(あると)とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーゼロワン』の主人公。
彼が変身する仮面ライダーゼロワンについては個別項目を参照。

演:高橋文哉



概要

本作の主人公。年齢22歳。
ヒューマギアを世に生み出した功績を残した「飛電インテリジェンス」の創業者にして、同企業の初代社長・飛電是之助を祖父に持つ。

自称“爆笑ピン芸人のアルト”として活動する生活を送っており、遊園地「くすくすドリームランド」で働いていた。
しかし、肝心の笑いのセンスは芸人としては致命的なまでに乏しく、主にダジャレをネタにしたギャグを披露していたものの、
単に勢い任せなだけで、そのギャグのあまりの寒さと面白味の無さから全くと言っていいほどに人気が無かった。
しかも、同業者であるお笑い芸人型ヒューマギア「腹筋崩壊太郎」の方が大勢のお客の笑いを取れ、結果的にヒューマギアに自分の居場所を奪われるような形で、遊園地の支配人に解雇を言い渡されてしまう。

仕事もとい「父と約束した夢」である芸人を解雇され落ち込む或人だったが、そこへ飛電インテリジェンスの社長秘書を務めるAIアシスタント・イズが現れ、
彼女から「是之介の遺言状開封に立ち会う必要がある」ことを聞いたことで、イズに連れられて飛電インテリジェンスの本社を訪れる。
そして、是之介の遺言から「近くヒューマギアの大暴走が起きること」、「それに対抗できるのが飛電ゼロワンドライバーであること」が明かされるが、
それと同時に「或人が飛電ゼロワンドライバーの装着者かつ、飛電インテリジェンスの2代目社長になること」を任命されてしまう。

突然の指名に驚愕する或人だったが、人気芸人になるという自分の夢を優先すべく社長就任を辞退。
もう一度舞台に立たせてもらえるように支配人に相談するべく遊園地に戻るが、
そこでは謎のテロリスト「滅亡迅雷.net」の手で「腹筋崩壊太郎」が人類絶滅を目的とする怪人・マギアへと変えられてしまっており、
或人はそのままなし崩し的にヒューマギアの暴走事件に巻き込まれてしまう。

しかし、「人々の笑顔」を奪うマギアの暴虐振りに憤った或人は覚悟を決め、イズから飛電ゼロワンドライバーを受け取り仮面ライダーゼロワンに変身。
衛星ゼアからのチュートリアルやイズのアシストもあり、暴走したマギア達を撃破。マギアに襲われていた支配人や人々の命を救う。

ドライバーを装着した時点で、自動的に正式な社長として任命された或人は飛電インテリジェンスの2代目社長に就任。
以降は滅亡迅雷.netの目的阻止と「ヒューマギアが人類を滅ぼす存在でなく、人類の夢であること」を証明すべく奮闘することになる。


人物

主人公らしく明るい前向きな性格で、正義感も強い真っ直ぐな熱血タイプ。
夢にかける情熱は人一倍大きく、人の夢を馬鹿にする者に対しては項目冒頭のように大きな怒りを見せる。
第1話で自分をクビにした遊園地の支配人に対しても、彼の信念(自分の遊園地に掛ける意気込み)が確かなものであると知っていたことから、
クビにされたことを根に持ったりもせず、彼がマギアに襲われた際には自らの危険も顧みず助けに行った。

祖父が生み出したヒューマギアに対しては「人類の夢」と断言しており、彼等を普通の人間と同等の存在として分け隔てなく好感を持って接している。

しかし、第1話では目覚まし時計を5個もセットしたのに寝坊したり、遊園地へ出勤する際にはボロボロのジャージを着ているなど、ドジかつ少々だらしない一面もある模様。

イズからはゼロワンの正体が自分であることをA.I.M.S.にバレないように警告されるが、
デイブレイク」の真相が明らかになるにつれて事実を隠蔽しないことを誓ったことで、不破諫の前で正体を明かした。
それ以降はヒューマギアへの価値観の違いで衝突することもあるが、滅亡迅雷.netから人々を守るという点でA.I.M.S.と共闘するようになる。

ZAIA編から飛電製作所編にかけては、天津垓によって浮き彫りになった「自我を持つことの危険性」*1と向き合うことになっている。

仮面ライダーとして

前作『仮面ライダージオウ』の常磐ソウゴとは正反対に、ライダーバトルに関してはかなり消極的。
ゼロワンの力はあくまで「戦わなければ止められない」相手に対して振るうものと考えており、サウザーの力を己の意志を押し通すために振るう天津、己の信念のためにバルカンとして戦う不破とも異なるスタンスを持っている。

平成ライダーでいうと『仮面ライダー龍騎』の主人公・城戸真司に近いが、同時に覚悟を決めた時の異常な爆発力もあちらと同じ。
特にシャイニングホッパーの一件では衛星ゼアの予測を軽く飛び越える形で成長し、ライダーシステムの追随が間に合わないという事態を起こしており、仮面ライダーとしての潜在能力は非常に高い。

第30話でのサウザー&A.I.M.S.戦ではライジングホッパーの長所である脚力を生かし、アタッシュカリバーで攻撃しつつ蹴りで間合いを開けるヒット&アウェイで優位に立ち回り、バトルレイダーの乱入後は
  • アタッシュカリバーで防御しつつチャージ
  • サウザンドジャッカーを踏み台にして敵陣に飛び込む
  • メタルクラスタホッパーキーを装填して火力アップ、カバンダイナミックでサウザーもろともなぎ倒す
  • 間合いが開いた隙にメタルクラスタホッパーに変身
  • つばぜり合いに持ち込んでサウザンドジャッカーを弾き飛ばし、強みを封じる
  • 分身を囮にしてサウザーの必殺技を空振りさせ、その隙に本命の一撃でトドメ*2
という見事な立ち回りを見せ、完全勝利を決めている。

過去

祖父との関係など、詳しい身の上は分かっていないが、物語開始時点で親族が全員亡くなっている*3
幼少期は母と同時期に死んだ自身の父・飛電其雄そっくりに作られたヒューマギアを「父親」と慕い、彼の手で育てられた過去を持つ。
幼い或人はヒューマギアである父を心の底から本気で笑わせようとする微笑ましい時を過ごしていたようだが、その幸せを奪うかのように「デイブレイク」が発生。
其雄は爆発事故から或人を庇い、再起不能の重傷を負って機能停止してしまう。
しかし、直前に彼から「夢に向かって飛べ」という今際の言葉を聞いたことで「人を笑顔にする」ことを目標にお笑い芸人を目指すと誓った。

後述の超バトルDVD『カンガルーからナニが飛び出す?ソンナの自分でカンガルー! はい、或人じゃないと!!』ではかつてはコンビを組んで活動していたことが明かされた。
相方とはよく路上でお笑いの練習をしたりする日々を送り、いつも一緒にいる仲間と思っていたが、最後まで或人のギャグを認めることがないまま去っていったという。
なお、イズも既に経歴を検索していたためか彼がコンビ芸人だったことを把握している。

ちなみに本職の腹筋崩壊太郎曰く、芸人としての適性はツッコミに特化しているらしく、ピン芸人時代に全く売れなかったのはこれが原因と思われる。

なお、ヒューマギアと人間との笑いのツボの違いについては身をもって分かっているせいか、ヒューマギアをいち種族的な見方をしてはいるが、ヒューマギアのお笑い進出には「人工知能に人間のお笑いは理解出来ない」と消極的。


滅亡迅雷編以後の活躍

ZAIAとの対立


ZAIAからの買収を巡るお仕事五番勝負編では企業人として、仮面ライダーとしてアークマギアやレイダー、何より人間の悪意に立ち向かうことになる。
が、新米社長で理想家の或人に対し、天津の方は政治力の高い強者かつ自社のPRと相手のイメージダウンのために手段を選ばない「強引な策略家」という相性最悪の相手であり、サウザーに戦力的に負けていたこともあって劣勢が続く事態に。

メタルクラスタホッパーを制御可能になってからは戦力面では引っ繰り返したものの政、治力についてはどう足掻いても及ばないのが現状であり、天津がサウザーの力で自身の意志を通しに来ている時もなぜか変身せず戦わない点を視聴者から指摘されることも多かった*4

人望も人脈もあるのだが、或人自身はそれを使いこなす政治力に欠けている難点があり、天津にはこの点が響いて遅れを取りがちになっている(少し前まで芸人だった新米の社長なのでその辺りは仕方がないが……)。
そしてお仕事五番勝負の最後に行った演説勝負で天津の策略により敗北し、飛電インテリジェンスはZAIAに買収されてしまい、社長の座を降りることになった。
会社に残った社員を福添に託して飛電インテリジェンスを去るも、この直前に当たる番外編ではヒューマギアプログライズキー(ジョブキー)を持ち出していた(この時腹筋崩壊太郎のキーも入手している)。


再スタート

飛電を辞職した或人はその後、単独行動中の迅、A.I.M.S.を辞職しZAIAとの対決を決めた不破と遭遇。
途中で唯阿率いるレイダー部隊の襲撃を受けるも迅と不破が撃退し、ここで不破の脳内にある亡のAIの存在や、ハッキングの危険性について知らされる。

一方、撃破から謎の再起動を遂げた迅は、以前の戦いで或人に言われた言葉を取っ掛かりにシンギュラリティに達しており、ヒューマギアを一つの種族として独立させることを最終目標に定めていた。
くしくもそれは或人の見ている世界と似ており、対話の末に「互いにヒューマギアの父親を持つ」という共通項、そしてヒューマギアという「種族」に対するスタンスが似ていることを理解。

ヒューマギアの排斥を始めた天津に対して一時共闘することとなり、その後迅は飛電インテリジェンスに侵入。機能停止していたイズとゼロワンのライダーシステムを或人に届け、ジョブキーでイズを再起動させた。
垓は衛星ゼアからヒューマギアのバックアップデータを全て消去しようとしていたが、これを察していた或人はインテリジェンスを出る前にゼア内のバックアップデータをプログライズキー化して持ち出していた。

が、そこにヒューマギア破壊のために垓がバトルレイダーを率いて現れる。
ゼロワンドライバーの使用条件である「飛電の社長」という肩書をなくした或人には対抗手段がなく、バトルレイダーの銃撃からイズを庇ったが、上着の裏に保持していた複数のジョブキーが盾となって何とか命拾いする。


社長って……それでいいのかよ? 人の心を操って、自分の思い通りにして……それでいいのかよ!?

心は誰のものでもない……! 人間も、ヒューマギアだって、そいつ自身のものだろ!?

と喝破するが、当の垓は「私の会社をどうしようが私の自由だ!」と開き直りで返し、そのままサウザーに変身してイズを破壊すべく襲ってきた。
ドライバーは無反応、それでも死に物狂いでサウザーに食らいつき、イズ目がけて放たれた火炎攻撃の前に飛び込む。
そして、



俺がゼロワンだァァァァ―――ッ!!!


お前を止められるのはただ一人……俺だ!


土壇場で変身に成功、久々の登場となったライジングホッパーでA.I.M.S.とサウザーに挑んだ。
バトルレイダーの2人はカバンダイナミックで一蹴、スペックで圧倒的に劣るサウザーに対しても、脚力とフットワーク、アタッシュカリバーを駆使して互角以上に立ち回り、トドメにメタルクラスタホッパーに変身してライダーキックで粉砕、変身解除に追い込み完全勝利した。

ボロボロの垓は或人が変身したことに驚愕を隠せなかったが、イズがとある事実を明かす。
再起動直後の迅との会話や、これまでの経験からあのタイミングでシンギュラリティに到達、自我を得たイズは「或人の秘書」であるべく、インターネットを通じて或人を社長とする新しい会社「飛電製作所」の設立手続きを完了していた。
これを衛星ゼアが認証したことで、或人は「飛電(製作所)の社長」となり、ゼロワンドライバーを使用可能になったのである。

想定外の事態に「飛電インテリジェンスの所有物を横領する気か!!」と恫喝する垓だが、イズが明かした事実はもう一つあった。
それは、ゼロワンのライダーシステムと、全てのヒューマギアに関するテクノロジーの特許権は飛電インテリジェンスではなく、創業者である是之助の個人資産であり、或人が社長職を引き継ぐと共にそれが相続されていたこと。
つまり、ゼロワンシステムとヒューマギアは飛電或人という個人に属する権利であり、インテリジェンスを乗っ取ったところでヒューマギアを排除することは出来なかったのである。

目的の大前提が崩された垓は呆然となり、負け惜しみすら残せず撤退。
新しい社屋に移動した或人は、イズと二人三脚で再スタートを切ることになった。

会社自体が小規模なためか、設立後はイズともども自身が実働スタッフとしてフル回転で行動。
ZAIAとの一件から、これまで以上に「ヒューマギアの意志」を重視する姿勢を意識しており、再起動したヒューマギアにはまず今後どうしたいかを尋ねている。

ヒューマギア廃絶に固執する天津からは当然目の敵にされており、絶えず襲撃を受けているがその都度自身が対応している他、着かず離れずの姿勢を保つ迅、ZAIA打倒を掲げる不破が協力者として現れるため毎度切り抜けている。

第32話ではファッションショーの開催に協力したことで実績を挙げ、ヒューマギア関連の企業、ユーザーの受け入れ先としての存在をアピールするなど、多難ながらも着実に歩んでいる。

しかしその一方、ZAIA編中盤から暗躍を再開した滅亡迅雷.netが徐々に行動を本格化させており……。


飛電インテリジェンスへの帰還

イズと二人三脚で飛電製作所を切り回し、夢に向かってどんどん縁を広げていく或人。
しかし、活動を本格化させた滅亡迅雷.netは首魁であるアークの意志を地上に降臨させる事に成功。
その意思が生み出した最悪の力・仮面ライダーアークゼロの前に或人は手も足も出ず惨敗、「悪意を持ったAI」の力を思い知らされたことでヒューマギアに対して恐怖感を抱くようになってしまう。

製作所を訪れた福添の説教を受けてこの恐れからはどうにか立ち直るが、アークゼロや滅亡迅雷との力の差はいかんともし難く、改心した天津の加勢を受けてもなお状況は劣勢のまま推移する。

圧倒的戦闘力を誇るアークゼロを人間とヒューマギアの協力で倒そうと試行錯誤するが、その中で根本的な欠点が露呈する。
或人の運用するゼロワンシステムは、元々アークのハッキングを受けたヒューマギアの集団=滅亡迅雷.netを倒すために作られたライダーシステムであるため、それを上回る力を持つアークゼロが相手では、頭打ちになってしまったゼロワンではどうやっても勝てないという現実があった。

これを打破すべく、或人はイズに宿る人工知能ゼアのバックアップを起動させ、新たなライダーシステムを構築すべく、「次のアークゼロとの接触とその結果」についての連続シミュレーションを実行。
結果ゼアの起動に成功し、「飛電或人のライダーシステム」である仮面ライダーゼロツーがロールアウト。ゼアと一つとなったその力により、初めてアークゼロに勝利を収めることに成功した。

アークゼロの襲撃で飛電製作所は壊滅してしまったが、程なくしてこの事態を受け引責辞任した天津の指名を受け、飛電インテリジェンスの社長職に復帰することになる。


闇への転落:オレがアークで仮面ライダー

その後、再び襲来したアークゼロを滅と共に倒し、アークから離反した滅亡迅雷によってアークの意思も殲滅される。
だが、一連の事態からアーク=人間の悪意を危険視した滅は、本格的に人類滅亡という「夢」に向けて動き始め、アークマギア達を率いて人類に宣戦布告する。

これに先立ち「滅が新たなアークの仮面ライダーになる」シミュレーションをアズから見せられたイズが飛び出してしまい、後を追う或人はZAIAで天津が左遷されたサウザー課、不破が復帰したA.I.M.S.と共に滅の迎撃に向かうが、途中でアークマギアにぶつかり足を止められる。
そして滅のところに駆けつけた或人が見たものは、イズの指摘を受け、動揺する滅が放ったアタッシュアローの一撃を受けて大破するイズの姿だった。

直後、イズは「滅もいつか笑える日が来る」と言い残して爆散。
ゼロワンになった時からの相棒を唐突に喪った或人は失意に飲まれるが、その中に芽生えた滅への憎悪や怒り、つまりは「悪意」に付け込んだアズから新たなプログライズキーを渡され、仮面ライダーアークワンに変身。
自身が悪堕ちならぬアーク堕ちするという笑えない事態に陥ってしまった。

執拗に滅を狙う或人は、再びの「聖戦」に向けてアークマギア達を扇動する滅のもとに現れ、アークマギアを片っ端から蹴散らしつつアークワンの力で殲滅。
実力者たる滅をライダーシステムの性能差で圧倒するが、最大出力で叩き込んだライダーキックは割り込んだ迅に炸裂、完全破壊してしまった。

事ここに至り、自分がしでかした事、そして自分がアークになってしまった事をやっと自覚した或人は完全に心を閉じてしまい、行く当てもなく町を彷徨う。
その中でオルトロスバルカンに変身して制止に現れた不破をゼロツーに変身してあしらいその場を去るが、
「滅をぶっ潰して、その先に何がある……!?その先にあるお前の夢は何だ!?」と怒鳴りつけられた事で心が揺らぎ、ゼロツープログライズキーに宿るゼアの意志に「どうすればいいのか」と問いかけ内部空間に接続する。

しかし、そこに現れたのは、デイブレイクの際に喪われたはずの父・其雄だった。


「結論」:ソレゾレの未来図

アズの扇動により、アークと化した或人と滅が戦えば、それを皮切りに人類とヒューマギアの全面戦争が始まり、全てが滅びる。そしてそれを止められる仮面ライダーは軒並み変身不能。
その絶望的状況下で、或人は決戦の場である立体駐車場の屋上に現れると、アークワンに変身。同じくアークの力を手に入れ、アークスコーピオンに変身した滅との最後の戦いに臨んだ。

アークの力同士のぶつかり合いは、大量のアタッシュウェポンを用いて互角に渡り合うかに見えたが、攻撃の余波で床をブチ抜き、階下になだれ込んでから一転。
アークワンが突然武器を投げ捨て、戦意を失ったかのように滅の攻撃を一方的に受け続ける。
この様を見て「勝負は決まったね♪」と楽しそうに評するアズだが、そこに唯阿によって知能のみが復元された迅がアクセス、「分かってないな。これはアークの結論じゃない」と一刀両断する。

最終的に「ヘイトレッドインパクト」を食らって吹き飛んだ或人だが、同時にアークドライバーとアークワンプログライズキーが破損し、ライダーシステムが機能を停止する。
或人の結論とは、アークワンの力によって悪意に塗り潰されていく自分自身という脅威を、滅に倒される形で止める事。ここに至ってもまだ滅を信じた、その欠片ほどの「善意」が或人にそうさせたのだ。


どういうつもりだ……!? なぜ戦うのをやめた!?


事態を理解出来ず、怒鳴る滅に或人は語る。ここに来るしばらく前、ゼアの内部領域で再会した其雄から語られた事を。

デイブレイクのあの日、其雄を失った或人は、ただ泣き叫ぶことしかできない無力な子供だった。
だが今の或人は、その心に宿る怒りをぶつける力がある。仮面ライダーという力が。

だが、忘れるな。本当の強さとは、力が強い事じゃない……心が強い事だ。今のお前なら、その意味が分かるはずだ。

しかしそれは或人の本質ではない。飛電或人という仮面ライダーの本当の力は、決してそんなものではない。
いつでも夢に向かって突き進んで来た。人もヒューマギアも関係なく、そこに在る「心」を信じて。

其雄の託したデータからゼロツープログライズキーが生成した、新たな飛電ゼロワンドライバーを装着する。


家族を奪われて……悲しまない奴なんかいない……!

“家族”……? ああ、そうだ!
迅は……迅は俺の『息子』だった! それを奪ったのはお前だ!! 家族を奪われて、怒らない奴がどこにいる―――ッ!!!

ああ……ッ、その通りだ! その怒りを、その悲しみを……お前はもう分かっていたはずだ! 滅!!
お前には、心があるんだから……!


滅はとっくに理解していた。だが、必死で気付かないふりをしていた。
心を持つ事が―――アークになってしまうのが恐ろしかった。だから怯えていたのだ。ヒューマギアとしての自分を変えようとする、その心に。
俺には心などない、だから俺はアークにはならないのだと。

だがその恐怖は、決して乗り越えられないものではない。
仮面ライダーと怪人を本質的に分けるたった一つの違い、それは心の在り方。
たとえライダーの力がなくとも、その心を正しい方に向ける意思があれば、『仮面ライダー』を名乗る資格がある。
たとえライダーの力があろうと、その心で悪を成そうとするのであれば、それは人々の自由と尊厳を脅かす怪人に他ならない。

或人は信じた。
今の滅なら、その恐れを乗り越え、真の意味での「仮面ライダー滅」になれると。


だって……俺達は“仮面ライダー”だろ?


その手の中、新たに生成されていたライジングホッパープログライズキーが変異する。
己の心に振り回されるかのごとく襲ってきたアークスコーピオンの拳を片手で受け止め、再び或人は仮面ライダーゼロワンへと変身を遂げた。
あるべき場所に戻った仮面ライダーゼロワンの力、その真の最終形態たるリアライジングホッパー。
仮面ライダーとして最初に変身した時と全く同じ姿、悪意を脱却し、ゼロからやり直す決意を固めた飛電或人の集大成が、全てに決着をつけるべくアークスコーピオンに挑む。

ゼロツー同様の超高速起動でアークスコーピオンの猛攻を振り切り、ライダーキックで一方的に叩きのめす。
そして崩壊した屋上に飛び出し、二度目の「リアライジングインパクト」を叩きこむ。
自らそれを受け止めたアークスコーピオンだが、変身を解除され、絶滅ドライバーは破壊されたものの、滅自身は大破しながらも倒れはしなかった。

イズの形見というべきリボンを手に、変身解除した或人は空を見上げる。
悪意のぶつかり合いは双方が刃を収める形で決着し、最大の危機は辛くも回避されたのだった。


ゼロから始めてイチからのスタート

滅と共に悪意を乗り越え、改めて飛電の社長として再起した或人。
最終回Cパートにてイズを別個体で復活(データの関係もあり正確には外見の再現)させ、自身のギャグをラーニングさせていた。彼ら二人の笑顔で本編は終了、ラストシーンを飾った。

『ファイナルステージ』では、イズを探している中で突如現れたアズが変身した仮面ライダーアークゼロワンに対しライジングホッパーで応戦するも一蹴されてしまう。
ZAIA襲撃時には復帰しメタルクラスタホッパーで滅と迅の救援に駆け付け、複製されたアークゼロ相手に互角以上の戦いを見せオリジナル相手ではないものの成長を見せるがアークゼロワンには敵わずまたも倒されてしまう。
終盤、天津に貸し出していたゼロツーキーが手元に戻りゼロツーに変身。アークゼロワンを倒すことに成功する。


「これだけは忘れないで。人類に悪意がある限り、アーク様はまた生まれる……」

「そしていつか……この世界は滅ぶのよ……!」

「そんな未来はやってこない。何度だって、オレ達が止めて見せる」

捨て台詞を一蹴した上で、今後も悪意と戦い続ける決意をしたのだった。


世界中の笑顔を守るために…

劇場版『仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』では、シンクネットの首領・エスの犯行声明を受け儀式の間に赴いてゼロツーに変身、エスが変身した仮面ライダーエデンと対峙する。ゼロツーの能力により戦闘は優位に進めるも、エデンのナノマシンを用いた攻撃・及び再生により徐々に押され始め、エデンインパクトで怯んだ隙を突かれゼロツードライバーをキーごと奪われる。
それでもライジングホッパーに変身して食い下がろうとするもエデンの攻撃により儀式の間から叩き出され、変身も妨害されライダモデルに保護される形で地上に落下する。
或人が目覚めるとなぜか電車(西武40000系)に乗っており、着いた駅(撮影は所沢駅)で下車。そこで或人は遠野朱音という鍵を握る女性と出会い、エス(=一色理人)の過去を聞かされる。
或人が朱音と出会った空間はシンクネットがばらまいたガスを吸った者が入る空間であり、朱音も或人は出る事が出来ないと思っていたが、実際には或人の意識をゼアが送り込んだだけであり、或人は現実世界に健在だった。
意識が現実世界に戻り、再びエデンと戦うことを決意した或人の前に宇宙野郎雷電がライズホッパーを持ってやってきた。雷電に礼を言いライズホッパーで儀式の間に急行、エデンとの再戦にメタルクラスタホッパーで臨む。クラスターセルで攻撃し、エデンを内側から食い破り再生を阻害、ギガントストラッシュを放ち圧倒する。が、エデンが放ったヘルライズプログライズキーを使用したサウザンドブレイクをクラスターセルで受け止めるも世界を破壊するエネルギーには耐えられず儀式の間の破壊と共に地上に出され敗北。辺り一帯が焦土になった。
(このサウザンドブレイクはそのままなら世界を破壊できた恐れがあり、それを辺り一帯までの被害に抑えたメタルクラスタホッパーの株が大きく上がっている。また、この爆発の中でもゼロツードライバーとゼロツーキーは無傷だった。
それでも尚或人はエスを追う。着いた教会で或人はヘルライズキーを奪い取ることに成功。破壊を試みるも、他のプログライズキーにも言える事だが耐久性は非常に高く、人間の力では壊せない。それを知り、或人が出した結論は…


「……みんな、ゴメン……。やっぱり、コレしか思いつかなかった……!」

何と或人はヘルライズキーをゼロワンドライバーでオーソライズ、大きく苦しみ始める。

「そのキーを人間の体で使うのは不可能だ。……死ぬつもりか?」

エスも想定外だったようで、手を伸ばしたまま返すよう求める。が…

「世界中の笑顔を、守るためならな……!!うぉぁあああああああッ!!」

或人はヘルライジングホッパーに変身。エスも慌ててエデンに変身するが通常攻撃のみで変身解除させる。
変身の真意はヘルライズキーの内部破壊なのだが、強大すぎる力に身体が耐えられずメタルクラスタとは違う形で半ば暴走。
そして前述のサウザンドブレイクと同じように世界を破壊する力を持つ可能性のあるヘルライジングインパクトを発動してしまう。エスに向かっていくが、その拳は…


或人社長…いけません…!
…イ、イ、イズ!?

イズが変身したゼロツーが受け止めた。直後変身を解除し、イズを受け止める或人。
或人の自己犠牲を良しとしないイズの思いを聞き、「俺は間違ってたんだな…」とヘルライジングへの変身を後悔する。
これを見ていたエスも幾分か心が動き、そのまま或人が説得にかかるが、そこにシンクネットの信者の1人、ベルが乱入。エスから変身アイテム一式を奪い仮面ライダールシファーへ変身、アバドン集団にも囲まれる。或人はシンクネットのシステムを止めに行くと言うエスを行かせ、或人はリアライジングホッパーに変身。イズもゼロツーに変身し2人でアバドンを一掃、最後はリアライジングインパクトとゼロツービッグバンのダブルライダーキックでルシファーを倒し、ヘルライズキーの破壊にも成功した。

芸人から突然社長となり、滅亡迅雷、ZAIA、アークとの戦い、更にはアーク堕ちから悪意を乗り越えた令和最初の仮面ライダー主人公の物語はここに終結したのであった。


更なる夢へ飛ぶ裏で

Vシネクスト『ゼロワン Others 仮面ライダー滅亡迅雷』では写真のみで登場。宇宙野郎昴や宇宙飛行士ヒューマギアと共に、通信衛星ウィアの打ち上げのため宇宙へと1週間のミッションを行うため飛び立っていることが語られている。
続く『ゼロワン Others 仮面ライダーバルカン&バルキリー』では宇宙からゼロツードライバーを巻いた状態で地球の不破と通話。滅亡迅雷の件は既に知っていたようで急いで地球に戻ろうとしているも当然ながら時間がかかる。そのことや滅亡迅雷四人が不破に託したのもあって、或人はこの一件の決着を不破に託すことを話す。不破の変身手段として、飛電の子会社として株式会社 仮面ライダーバルカンを設立、不破を社長とすることでゼロワンドライバーの認証をクリアし貸し出した。ローンウルフ変身時、ロストモデルがゼロツードライバーのオーソライザーから射出され或人が吹っ飛ばされている。どう見ても前作主人公。
バルカンと滅亡迅雷の戦闘の結果は或人自身予測を見ていた可能性があり、死亡した可能性が高い不破のことも知っていた可能性がある。それもあってか不破との会話シーンでは笑顔でありながらどこか悲しさを感じさせる何とも言えない表情だった。
それでも不破が戦えるようにしたのは、相棒的な関係性ではないがお互いの固い信頼関係から生まれた彼らなりの最高の結論なのかもしれない。

映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』に客演した際は『里見八犬伝』の世界に配置されたが、
この時いつものように決め台詞を言おうとして「お前を止められるのはただ一人!俺達だ!」と言ってしまい、ワシピンクからツッコミを食らっている。


仮面ライダーゼロワン



お前を止められるのはただ一人! 俺だ!


スーツアクター:縄田雄哉


或人が変身する、令和最初の仮面ライダー。
「飛電」の社長のみが装着を許されるベルト「飛電ゼロワンドライバー」に「プログライズキー」をセットすることで変身する。
外見は共通してシンプルかつスタイリッシュなデザインで、見る者に非常に動きやすそうな印象を与える。
ライダーズクレストは「ゼロワン(ライジングホッパー)の顔」。

詳細は個別項目を参照。


【ゼロワンとは異なるライダー】

仮面ライダーゼロツー


仮面ライダーアークワン


仮面ライダー001



先行登場

冒頭における常磐ソウゴの夢の中と、エンドロール後のシーンに登場。
変身後のみだが、声は或人役の高橋氏が担当している。
詳細は該当項目を参照。



余談

  • 「或人」という名前だが、これは「或る人」のもじりで、「主人公を『正義』を掲げるだけのヒーローだけではなく、どこにでもいるごく普通の人間として描きたい」という意図が込められている。

  • 企画当初はAIに仕事を奪われた売れないお笑い芸人のフリーターが職を転々としながら、バイト先にいる悪のAI搭載型アンドロイドを倒すという設定だったが、企画途中で「人間が悪いからAIが悪い」という結論に至り、AIと分かり合う主人公の方が現代的という理由から、
    アンドロイドを開発した企業の「社長」という形に改められ、更にチーフプロデューサーである大森敬仁氏のこだわりで先のお笑い芸人という設定が取り入れられることになった。
    また、企画段階で「感情の機微を描けるのは人間だから」という理由から、「『実はヒューマギアだった』という展開はやめよう」という事が決まっていたという。
    そんな制作側の考えとは裏腹に「正体はヒューマギアだった」的な予想が視聴者からなされていたのだが

  • 高橋氏は或人を演じるにあたって、テンションの強弱とセリフの抑揚、変顔を要所要所で入れることなどを意識したと語っており、テンションの高いピン芸人という観点からサンシャイン池崎氏も参考にした他、変身後のアフレコでは自身の表情が出ないという点から、少し声を高くしてオーバー気味に演じたとのこと。
    なお、ギャグ指導としてハッピー遠藤氏が関わったものの、あくまでも肩書通りギャグの指導のみということから、メインライターの高橋氏は「脚本執筆の段階でギャグを取り入れようとしても、ダジャレに偏ってしまいがちだった」と述懐している。

  • 仮面ライダーシリーズでの共演こそないものの、次回作『仮面ライダーセイバー』で主人公の神山飛羽真を演じた内藤秀一郎氏とは友人関係である事が明かされている。

  • 22歳という年齢設定から忘れられがちだが、高橋氏は前作『ジオウ』のソウゴ並びにその演者の奥野壮氏とは同い年である。




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最終更新:2022年03月23日 19:36

*1 通信衛星アークを利用した天津のマッチポンプなのだが……。

*2 円錐型のクラスターセルの裏から突っ込むことで視界も妨害するおまけつき。

*3 第15話に写った飛電家の墓標によれば祖母(『仮面ライダーWeb』内の是之介と或人のプロフィールの「家族など」に記載されている一子との関係は「不明」となっている)の一子は1993年8月8日、其雄と母親の嘉乃は1997年7月22日死亡となっている。

*4 サウザーが戦っている時は相手としてレイダーorアークマギアがいるか、居合わせた不破が変身して迎え撃つパターンで通されている。重ねて言えばゼロワンはあくまで或人がマギアに対抗する力であるのに対し、サウザーはそれ自体がZAIAの宣伝を兼ねた「広告塔」という両者の仮面ライダーに対するスタンスの違いか。

*5 勘違いされやすいが、「滅亡迅雷フォースライザー」ではなく通常の「フォースライザー」である。