ファナティック(キン肉マン)

登録日:2025/09/23 Tue 17:18:58
更新日:2025/10/02 Thu 12:30:54
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新機軸を得た超人 それはもはや超人ではないのかもしれません

あえて言葉にするなら 現人神とでもいったところですかねぇ──っ!




ファナティックとは、漫画キン肉マン』に登場する超人。

  • 戦績
vsネメシス○(アヴァランチ・デスロード)


●概要

下天した刻の神から全宇宙を滅ぼす使命を与えられた時間超人の大幹部、超人強度1億パワーを誇る五大刻(ごたいこく)の一人。
与えられた二つ名は「終焉の刻」(しゅうえんのこく)。

エンデマンからは「(慇懃な口調が)癇に障る」、パピヨンマンからは「マグネット・パワーを好き勝手に使う」、エクサベーターからは「何を企んでおるかわからん」等、他の五大刻からもよく思われていない様子。
よって、立場的には五大刻のリーダー格なのかとも思われていたが決してそうではないというか、予想以上に一枚岩の勢力では無いということが明らかになってきている。


●人物

完璧超人始祖の一人だった完璧・拾式サイコマンに酷似した容姿や立ち振る舞いが特徴。口癖も同じ「ニャガニャガ」
85巻の背表紙にパピヨンマンと共に描かれた時は青い肌をしていたが、「サイコマンと瓜二つのはずなのにここまで違うのはおかしいだろう」と気付いたのか、86巻の表紙では白い肌に修正されている

下等超人もとい「旧式超人」を見下した嫌味で慇懃な態度も共通している。
しかし本人は別人でありそもそもサイコマン(およびグリムリパー)などという超人は知らないと主張している。
帽子など服装のほか涙腺模様が波打つようになっている等外見に僅かな違いがあり、思想や性格についてもサイコマンと正反対な部分もある。
五大刻としても、他の四人が「黎明」「燦然」「黄昏」「宵闇」と時間帯の移り変わりとも解釈できる二つ名を持つ中で彼は全ての終わりを示す「終焉」の名を持ち、特別な立ち位置であることが見て取れる。
「ファナティック(fanatic)」とは名詞では「狂信者」、形容詞としては「熱狂的」「狂信的」等の意味を持ち、彼が刻の神に忠実な狂信者であることを示していると考えられる。


当人は頑なに否定しているが、矢張りサイコマンとは関連が深い(或いは同体と見なされている)のか完璧超人の内情にも詳しいようで、ネメシスの名前や完璧超人始祖のダンベルの意味や役割も知っていた*1
特に、この知識のお陰で時間超人達は一人でも厄介な完璧超人始祖と戦うリスクから逃れられたのは大きい。*2
事実、上記のダンベルを封じた効果もあってか動きを封じれたものの、ファナティック自身も相対したジャスティスマンの危険性と鍛え上げられた超人としての完成度の高さへの驚嘆は素直に口にしていた。
一方、圧倒的な力で「下等超人」を蹂躙してきた完璧超人の在り方を非難するような言葉も口にしている。


●活躍

時間超人の試作品であるエル・ドミノスが倒された後、五大刻の中で最初に正体を現した。
その場にいたマリキータマンマリポーサ達はどう見てもその容姿が消滅したはずのサイコマンに酷似していることに疑問を抱いていた。
しかし、この場にいる大半がサイコマンと面識のない超人なのでリアクションとしては少し微妙。しかも完璧超人のケンダマンは何故かノーリアクション

その場をパピヨンマンに任せマグネット・パワーの研究施設が残るサグラダ・ファミリアに向かった彼はジャスティスマンの襲来を受ける。
しかし、それを予期していたファナティックは以前にこっそりすり替えていた始祖のダンベルの効果*3で彼ら始祖の動きを封じ、ジャスティスマンを時間超人量産のためのサンプルとして確保していた。
そこに今度はネメシスが現れ、捕らえられたジャスティスマンの姿やファナティックの態度に激昂した彼と戦うことになる。

持ち前のスキルの高さに加えてかつての盟友グリムリパー(として正体を隠していた頃のサイコマン自身)とのスパーの経験を活かして善戦するネメシスだったが、ネメシスの6800万パワーを優に超える1億パワーの壁は如何ともし難く追い詰められてしまう。
しかしファナティックがキン肉族、そしてネメシスが敬愛する兄タツノリを侮辱したことがネメシスことキン肉サダハルの火事場のクソ力を目覚めさせてしまい猛反撃を食らうことに。

キン肉サダハルとして覚醒したことで繰り出された二つのキン肉族局中秘伝に加えて、完璧超人ネメシスとしての最大奥義である「“完肉”バトルシップ・シンク」でKOされるかと思われたが、マグネット・パワーを石のリング内の鉱物に作用させリングを変質させたことで衝撃を和らげギリギリで生還。
サイコマンの最大奥義である「輪廻転生落とし」と瓜二つの奥義、「永遠の最終楽章」を炸裂させる。

しかし、奥の手にして初公開である筈の最大奥義を受けても尚、ネメシスはファナティックならばサイコマンと同じ技を使う筈と見切っていたことから、先のシルバーマン戦で披露された際に目撃していた「輪廻転生落とし」を受けた場合を想定した神業的な受け身によって、ネメシスもまたギリギリで生き残る。

こうして、互いに甚大なダメージを受けてダブルダウンとなるが、エル・ドミノスも見せていた能力にして“刻の神”からの贈り物である「超回復」能力でファナティックはほぼ万全の状態にまで持ち直す。
ネメシスも気力で立ち上がり最後の一撃にかけようとするがあっさりとかわされ、ならばサイコマンとは共通していない自身の本当のオリジナルの技として繰り出された、二発目の「アヴァランチ・デスロード」でKO。

しかし試合決着後ネメシスの「俺と同様、貴様も過去からは逃れられん」「サイコマンという名前はずっとお前について回る」という言葉には何か思うところがあったらしく、苛立った様子を見せていた。

キン肉族の力を警戒していた刻の神は正しかったと実感したファナティックはネメシスをサンプル第2号として回収し時間超人量産のための研究に戻っていった。
このため読者の間ではジャスティスマンとネメシスの能力をコピーした時間超人が新たな強敵として立ちはだかる展開が予想されている。


●能力

容姿だけでなくサイコマンの技を自在に操り、マグネット・パワーを使いこなす点も同じ。
何故だが超人レスラーとしての癖や奥の手にして得意技の超握力まで共通している。
ただし、マグネット・パワーについては能力に溺れてしまった(と評されていたが自身としては同志達に必死で有用性を示したかった)サイコマンと異なり、技自体の錬度が鈍るリスクを熟知しており防御はともかく攻撃には使わない。
その上で超人強度1億パワーと多数のオリジナルホールドも兼ね備えている強敵。

必殺技

  • アヴァランチ・デスロード
サイコマンにはないオリジナルの落下技。
空中でハーフネルソンの体勢で相手を捕らえ、着地と同時に相手の脳天を自分の左膝に叩きつける。
体勢的にはショルダーバスターをリストクラッチ方式にして肩口ではなく脳天を叩きつける形としたもの。
ネメシス戦では当初は痛め技として繰り出していたものの、後述の最大奥義「永遠の最終楽章」がサイコマンが以前に同じ技(輪廻転生落とし)を見せていたから耐えられたという理由で決着とならなかったために、自身の完全なオリジナルホールドとしてダメ押し的に繰り出してネメシスへのトドメとした。

なお決着後はネメシスに対して「あなたなら生き残ってくれると思いました」等と述べており、始祖編でのシルバーマンとサイコマンの会話と対比になっているようでもある。

  • 終焉のスピア・クロス
装束の裾を針のように尖らせ、高速で突進を繰り返して相手を切り裂く。
見た目は完全にサイコマンの「完幻殺法スピア・ドレス」と同じ。
超人強度1億パワーによりネメシスのパーフェクトディフェンダーによるガードでも完全には防ぎ切れない威力を誇る。

  • 八つ裂きハット(?)
サイコマンと同様、帽子に仕込まれた複数の棘を高速回転させ相手を切り裂く。
正式な技名はコールされていないので不明。
一応この技の直後に「1億というパワーの壁」と発言しているが、絶対違うと思う。

  • ソンブレーロ・スパイラルショット
リング上の相手めがけて空中から錐揉み回転しつつ頭から急降下する。
しかし、これは命中する前に空中に飛び上がったネメシスにカウンターでネメシスドライバーの体勢で捉えられて未遂に終わった。

サイコマン同様、マグネット・パワーを自在に使いこなす。
……恐らくは、その練度もサイコマンと同等なのだろうが、本来のクソ真面目な性格もあってか同志達への有用性を示したいとして、自身の超人レスリングにも取り入れてしまっていった結果、始祖としての技の精度を落とす形になってしまっていたサイコマンの末路を反省するかのように、自ら自由に使えることを見せつけた上で攻撃に使うことはないと宣言していた。
しかし、火事場のクソ力の発動もあってかギリギリまで追い詰められたネメシス戦では、確かに攻撃には使用しないものの防御に集中させて使用。
浮力でネメシスドライバーの威力を殺したほか、戦いの舞台である古代リングに含まれる鉱物の組成を利用、磁力で変質させて磁力場のクッションを作り上げて、火事場のクソ力による強烈なGの力をを込めて増大させられたバトルシップ・シンクの威力を軽減させて生き残ることに成功した。

  • ファナティック・ビリーバーロック
サイコマンにはないオリジナルの全身関節技。
右手で相手の左足を掴み自分の首裏に掛けるマフラーホールドの体勢を取りつつ、左手で相手の又越しに左腕を掴む。
この状態で相手の背骨を反らせ、さらに右足で相手の首をロックし締め上げるという複雑怪奇な技。
極められている関節部分はもとより、掴まれてる手足もファナティックの握力により激しいダメージが生じる。
ファナティック・ビリーバーとは「狂信者」を意味する。
ちなみに何やらわけのわからないオリジナルホールドということでキン肉スペシャルに喩えられたりもしたが、
同じ試合でネメシスに完璧キン肉スペシャルみたいな技をかけられることをこの時はまだ誰も知らなかった。

  • 歓喜のべサメ・ムーチョ
オリジナル技。
右腕を相手の首に掛け、自分の右膝に相手の頭部を叩きつける。

  • 超回復
時間超人に備わった能力で、時間を操作することで肉体の治癒を大幅に早める。
ネメシスと互いに満身創痍となりダブルダウンとなったが、この能力により即座に復活した。
実質この時点で勝負はついてしまったと言える。
とはいえこの能力を使うまでに追い詰められるのはファナティック自身も予想外だったとのこと。

  • 永遠の最終楽章(エターナル・コーダ)
ブリッジの反動で相手もろとも空中へ大きく跳躍。
相手の両足を自分の両足でロック、相手の両腕を前で交差させつつクラッチ。
相手をエビ反りにした体勢のまま急降下する。

これもサイコマンの完璧・拾式奥義「輪廻転生落とし」(グリム・リーインカーネーション)と同じ形だと言及されている。
マグネット・パワーなしで発動する形が披露されたのはこれが初めてである。
ただし、最終的な形は一緒なれども“技の入り方が違う”という指摘もある。
例によってファナティックは自分のオリジナルホールドであると主張しており、周りが「輪廻転生落とし」にそっくりだと驚いている事に「見せた事はないはずですが」と本気で困惑していた。


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最終更新:2025年10月02日 12:30

*1 更に言えばダンベルを奪ったのはファナティック自身であり、その時にも完璧超人以外はすんなりとは通れない筈の「天への歩道」の防御システムが働いた様子がなく、墓守鬼達も反応から「サイコマン(或いはグリムリパー)として」通していたようである。

*2 現世代超人や超神との戦いには参加しない旨を表明しているザ・マンだが、全くの別方向からの“侵略者”である時間超人相手には出陣の可能性がある。事実、状況を確かめるためとはいえ慎重なジャスティスマンが即断的にファナティックの正体を確かめに向かっている。

*3 始祖達が“神器”としてザ・マンから譲り受けていたダンベルの正体とは、修行を終えて真にザ・マンの同志として共に不老不死の運命を受け入れると共に超人の未来を見守ることを決めた際に、始祖達が代わりに差し出した彼等の本来の魂。つまりは肉体とは別の己自身と言ってもよく、詳細な方法は明かされていないものの、それを利用されてジャスティスマンも動きを封じられたのだと考察される。