登録日:2014/06/17 Tue 03:14:44
更新日:2025/01/16 Thu 23:02:23
所要時間:約 26 分で読めます
なぜなら私は死神の化身
下等超人の技に恐怖など感じないのですから!
【概要】
所属:
完璧超人
出身:不明 (
スペイン)
身長:206cm
体重:102kg
超人強度:不明(
1000万パワー)
+
|
戦績 |
vsディアボロス●(超人十字架落とし)※タッグ戦・負け芝居
vsプラネットマン○(“完幻”ファントムキャノン)
vsブロッケンJr○(リフトアップスラム)
vsシルバーマン●(アロガント・スパーク)
|
グリムリパーとは、『
キン肉マン』に登場する超人。2012年に始まり、現在週プレNEWSでWEB連載中の新シリーズに登場。
完璧・無量大数軍の第二陣として登場した、
『完幻』の異名を持つ完璧超人。
細身の身体に黒のハットとドレスをまとい、顔にメイクを施した
ピエロのような出で立ちをしている。
見た目のイメージに違わず常に芝居掛かった丁寧語で喋るが、態度は完璧超人の例に漏れず傲慢であり他の超人を見下している。
更にその見下す対象は身内の無量大数軍相手でも例外ではなく、失態を演じた者に対して他の完璧超人と比べて嘲ったり足蹴にしたり態度が目立つ。
今シリーズの敵の中でも特にヒール的役割を負っていると言える。
笑い声は
「ニャガニャガ」。
「キン肉マン」のキャラではこういった理知的な
トリックスター的キャラは異質であり、ファンからは
「ニャガさん」とあだ名で呼ばれることも。
頭脳派を自称するだけありよく口が回り色々解説をしてくれるため、彼がメインになる回はだいたいネームが多い。台詞回しの面白さもあってそれほど気にならないが。
【活躍】
無量大数軍の第二陣として鳥取砂丘の迷宮の四階のリングに陣取る。
その際に手持ちのスイッチでオーロラビジョンを弄って正義超人たちに状況を説明したり、移動する際に「観客席はたっぷり用意してありますよー!」と観客に呼びかけていた。親切。
試合では当初
スプリングマンと対決。殆どの時間を彼に締め上げられていたが、
ジャック・チーの掘削によってリングが崩壊したため、上の階で戦っていた
ターボメンと
バッファローマンがリングに乱入。両者の合意を得てタッグ同士で激突することになる。
その際
「下等超人の風習など真似たくもありませんが」と言いつつも、バッファローマン・スプリングマンの
「ディアボロス」に対抗してタッグ名を
「ジョン・ドウズ(名無し)」と名付ける。(「真似たくない」だの「チーム名はいらない」だの言いつつも、ターボメン含めノリノリだったようなのは気のせい。たぶん、いつの間にかやってきてる実況が呼びやすいように配慮してくれたんだろう。
完璧タッグvs悪魔タッグでいいだろうとか言ってはいけない。)
ターボメンとのタッグ技「イグニシォンドレス」や「ジョン・ドウズ・アロー」でディアボロスを苦しめるが、フルパワーで放った「ハイキャパシティ・ジョン・ドウズアロー」をバッファローマンに受け止められると初めて驚愕の表情を見せる。
その後は不自然なまでにターボメンに協力をせず、彼がロングホーン・トレインで打ち破られるまで笑みを浮かべて後方で眺めて半ば見殺しにする。
そしてターボメン敗北後はバッファローマンとの一騎打ちに。
その際にターボメンから超人強度を吸収するアース・ユニットを毟り取って装着し、彼の死体を足蹴にするという外道行為を行う。
曰く本来1000万パワーの超人が受け止められるはずのないジョン・ドウズアローを受け止めてみせたバッファローマンに興味が湧いたとの事。
更に言うなら超人強度で劣る正義・悪魔超人に無量大数軍が負け続けるといった事態に不自然さを感じており、その原因となっている「火事場のクソ力」の解明のためバッファローマンの超人強度の「査定」を行うと宣言。
試合では多彩な技に加えて、その握力でバッファローマンを軽々といなしつつ彼の皮膚を全て毟り取り、七人の悪魔超人時代に見せた傷だらけの古い皮膚を晒す。
更にバッファローマンの闘争本能を限界まで引き出すために挑発を続け、仲間を侮辱されたバッファローマンは遂に覚醒。
旧作でのボス時代に見せた強大な力を呼び起こしたバッファローマン相手に、血みどろの脳筋ファイトを展開。
自身もボコボコにされるもののサンダーサーベルでバッファローマンを拘束。
査定を行うべく超人パワーの通り道と化したアースユニットで彼の超人パワーを吸収するが、耐用上限の8000万パワー以上のパワーがなだれ込んだことによりアースユニットごと腕が自壊してしまった。
結局、あくまで査定に拘った姿勢が災いし、怒り狂ったバッファローマンのハリケーンミキサーからの超人十字架落としのラッシュを食らいリングに沈む。
だが試合後グリムリパーは一見ズタボロにされた身体でまるでダメージなどなかったように立ち上がる。
そして自分を倒したバッファローマンに敬意を表し、自分を殺す権利を与えると言う。
それでも躊躇するバッファローマンに対して更に殺害を煽り、その角で身体を貫かれ消滅する。
こ…これでもうあなたは あ…後もどりはできません…
ではごきげんよう この不思議なパワーをもってしてあなたがどこまでやれるのか
せいぜい楽しませてください
以下、ネタバレ
登録日:2014/06/17 Tue 03:14:44
更新日:2025/01/16 Thu 23:02:23
所要時間:約 8 分で読めます
【真の概要】
悪魔将軍が動き出した
「完璧超人始祖編」で再登場。
その正体は太古の昔に超人界滅亡の際、下界に降り立った神に選ばれた10人の
完璧超人始祖の一人、
完璧・拾式(パーフェクト・テンス)サイコマン。
正体を明かした際に
オーバーボディを破壊し、黒を基調とした衣装から白を基調とした上品な衣装に変わる。
もっとも、顔と体格はそのままなため他のオーバーボディに比べるとそこまで変化は少ないが。
絶対の神器のひとつ、
「雷のダンベル」を所持する(普段は胸飾りに変化させて身に付けている)。
因みに、ある意味では一応は仕事がある
ミラージュマンと
アビスマン以上にバリバリに働いている現役にも関わらず
完璧超人始祖の中でも拾式の名前だけは秘匿されており、無量大数軍にも知らされていなかった模様。
理由は後述の通りなのだが、自らが調査する中で出奔したゴールドマンとシルバーマンの存在を突き止めていたネメシスもサイコマン自らが正体を明かすまでは最後の完璧超人始祖の存在には気づいてなかった。
彼と闘ったバッファローマン曰く、グリムリパーの敗北は「芝居」だったという。
試合中に超人墓場の自分の部屋(かなり少女的かつ悪趣味なインテリア)を
悪魔騎士・
プラネットマンに荒らされている事を察したサイコマンは、
「そのまま離れてはネメシスさんがうるさいので」「消滅」したように見せかける事で、完璧超人によってある秘密が隠されている
サグラダ・ファミリアに戻ったとのこと。
しかし"
弐式"
シルバーマンのマスクの光によって潜んでいた場所を照らされ、見つかってしまう。
ちなみに芝居とはいえ敗北したのに自害の掟に従わなかったことついては、「そもそも完璧を極めている始祖にはそんな掟はなく適用外なんですよ」と臆面もなく言い放っている。
完璧超人とて時と場合によって自害しないこともあるわい。
実際、後述のように完璧思想の根源=“完璧”に至った始まりの10人として神々の粛正より逃れた始祖については、このルールはそもそも対象外であり、後の世代の完璧超人が、その名に恥じない“完璧”足り得るか否かを課す為の教育的ルールだったとのこと。
本人曰く超人閻魔からの信頼も厚く、本来は超人墓場に篭っていければならない始祖の中でも特別に外出を許されているとのこと。
「死神」を名乗っていたのも
「閻魔」の懐刀であることを示す為か。
その際に始祖がおおっぴらに出歩くのは不味い為、
ストロング・ザ・武道とともに無量大数軍を創設し、「グリムリパー」として無量大数軍のフリをしてメンバーに混ざっていたのである。
このことは超人閻魔と他の始祖だけしか知らず、無量大数軍以下一般の完璧超人には知られていない極秘事項。
つまりあの無量大数軍ですらサイコマンが行動するための隠れ蓑でしかなかったのだ。
上記のような理由から、常々
「イレギュラー(普通の超人の枠を超えた力を持つ者)」粛清を訴え、超人閻魔から問題視され行動を禁じられていた"
漆式"
ガンマンとの仲は非常に険悪。彼からは
「クサレ外道」「性格の歪んだ男」と散々。
オーロラビジョンを通して顔を突き合わせた際には悪魔超人そっちのけで口喧嘩を始める始末。
思想から性格まで何から何まで合いそうにない二人の関係は、太古の頃から
サイコマンが煽ってはガンマンや"捌式"シングマンがキレるといった具合であり、それを仲裁していたのがシルバーマンだった。
基本的に自分が「有能」であると憚らず、ガンマンやゴールドマンら他の始祖相手でも見下した態度を取っている。
そのためか、ガンマンやシングマンほどではないにせよ、基本的に他の始祖達からは敬遠される存在であるようだ。
同志の一人である"
陸式"
ジャスティスマンも、始祖の足並みを乱さないよう彼に忠告した他、ガンマンを名前で呼んでいる一方で、彼のことはガンマン同様に「
拾式」としか呼ばない
(始祖の中で本名で呼んでくれるのは超人閻魔とシルバーマンのみで、他は全員「拾式」と呼んでいたようだ)。
しかし、そんなサイコマンもシルバーマンのことは
「他の好戦的な始祖とは違う」と評しており、唯一の理解者・友人として見ていた。
が、上記の通りサイコマンの隠れ場所を明かしたのはそのシルバーマン。
この際、シルバーマンの出奔後は、元々他の始祖とは微妙に距離を置いた関係であり、始祖が集団としての活動を停止していたことについて、サイコマンは自らを指して一人ぼっちと表現。
そして、「だからもう私のことは放っておいてください!」とガンマンとの口論中に激昂した顔を見せており(直後に冗談ですよといつもの調子に戻ったが)友人(自称)に裏切られたことは本当にショックだった模様。
因みに、ここで始祖達は昨日今日別れたみたいな反応を示しているが、シルバーマンが出ていったのは数万年も前である。
上記のように普段は飄々としているサイコマンだが、シルバーマンが絡むと感傷的になる、もしくは飄々さが消えるため、シルバーマンとの対戦フラグが着々と整えられていった。
また回想シーンでは大抵シルバーマンの隣におり、「ニャガさん 安定のキープ」とかコメントされる。
50巻の完璧超人始祖が全員集合した表紙イラストでも、それは変わらない。
【性格】
自らを「天才」「有能」と呼んで憚らない自尊心の高さや、腹に一物を抱えているかのような挑発的で慇懃無礼な言動や立ち振る舞い故に、他者からの評価は非常に割れやすい。
固い絆で結ばれている筈の始祖の中でも賛否両論な評価を下されているので、総じて人を非常に選ぶ性格である。
加えて悪辣な表情を浮かべて「逃げ惑う人間を見るのは楽しい」「思い上がった下等超人を処刑することほどゾクゾクする遊びはありませんよ」と語るなど、相変わらず今作の堂々とした完璧超人らしからぬ残忍な言動も多く、悪役という印象に拍車を掛けている。
おまけに上記の言動や性格を直そうとせず、寧ろ前面に押し出しているのだから尚タチが悪い。
……だが、無軌道な悪や卑劣なトリックスターというわけではなく、
もともと世紀末と化した世界を平和にするために行動していたザ・マンに選ばれただけのことはあり、彼なりに「全ての頂点に立つ完璧超人始祖」として世界を管理するという信念が根底には存在する。
サイコマンの行動言動は始祖の理念から反しているとは言えない。いうなれば「道化を演じるキレ者」という言葉がしっくりくる。
私がこの力を使うのはあくまで世界平和のためのみなのです
と真顔で言ってのける姿からは妙な説得力があるものの、普段の言動からの二律背反ぶりは、己の正義を疑わない狂信的な性格がうかがえる。
しかし実際は、シルバーマンから「真面目過ぎた」と評される責任感の強い非常に生真面目な性格の持ち主。
始祖としての役目と任務、そしてザ・マンと始祖達がかつて夢見た「理想世界の実現」を、始祖としての誇りや美学を捨ててでも実現しようと考えており、
劇中で自身が発見したマグネット・パワーを積極的に取り入れようとしたのも、そういった生真面目な考えがあったからであろう。
口こそ悪いが、「自分個人の誇りや哲学」よりも「仲間に力を認めさせること」を重要視するなど始祖達への仲間意識も高く、
シルバーマンの説得に対し、
目を覚ます?お断りします。これが夢なら私は永遠に眠り続けましょう
この覚めない眠りの果てにこそ、私たち11人が見た夢のつづきがあるのですから
さあ、では行きましょう!
あなたを含めそこへ皆さんを誘うことこそ 最後の始祖であるこの私“拾式”に課せられた最大の使命なのです!
サイコマン、もういい。キミは真面目すぎたんだ
ええ、私はいつでも大真面目です!だからあなたも…永遠の眠りの中へ!
と即座に反論しており、始祖達に共通して見受けられる懐古的思想や仲間意識、かつての理想に対する想いは恐らく始祖の中でも一番高い。
敗者や敵対者に対する慈悲の無さや残虐性、悪辣さの発露は、誰よりも「完璧超人の掟」に拘るが故の高潔さの裏返しか。此処にもサイコマンの生真面目さが表れている。
常に飄々としていたグリムリパー時代では見せなかった表情で、本音が漏れているかのような台詞を吐くなど違った一面も見られており、
「マグネット・パワーを発見した研究者」としての側面を持つ理知的なインテリキャラという性質や、歪んでしまったザ・マンの一番近くで常に接しながらも裏切るような素振りも見せず、「弟子」として最後まで付き従う義理堅さも持ち合わせている。
彼が過激で歪んだ方向性に走ってしまったのは、皮肉にも誰よりも誠実で情に厚い精神を持っていたからと言えるかもしれない。
一方で自分が下等超人と見下す現代の超人たちが持つ「友情」「友達」という概念を「愚劣な下等超人の馴れ合いのような表現」「心の病」と吐き捨ててあからさまな嫌悪と侮蔑を見せる。
シルバーマンに対する執着は天才と豪語する自身が師以外で唯一認めた自分以上に優れており目標とすべき人物としての敬意と憧れの顕れであり、
だから私はあなたに憧れ続けてきた あなたみたいになりたかった 今の自分を超えるために!
私はあなたをひとつの指標とし続けてきた それだけです!
とシルバーマンに憧れていた本心を作中では吐露。
自身の憧れをシルバーマンに友情と呼ばれた時は「たまったものではありませんよーーーっ!」と激昂していた。
上記の通り始祖間でもまともな人間関係はできていなかったようで、彼の友人、理解者と言えるのは超人閻魔を除けばシルバーマンのみという有様。
ガンマンなどの直情的な過激派とは折り合いが悪いが一方的に敵視しているのは煽り耐性皆無なガンマンの方でサイコマン自体は敵意を向けている訳ではない。
むしろ、柔軟で革新的なサイコマンにとって相性が悪いのは頑固な上に「完璧超人始祖」という集団の和、閻魔への忠義よりも自分の信念信条を最優先する傾向にある融通の利かないジャスティスマンの方。
テリーマンとの試合で彼が勝手に敗北宣言した際は内心積もり積もっていたジャスティスマンへの不満や不信が爆発。
「いつか必ず裏切ると思っていた」「あなたのやることは何から何までなぜこうも癪に障る」「私の邪魔をすることにかけては間違いなく天才」「3階のバカ」とマジギレしていた。
ちなみに飄々とした本気か嘘かも判断しかねる言動と態度とは裏腹に、嘘を付くときは瞳が黒くなり、本音を話す際は瞳が白くなるため本心の見分け方は(読者視点で見た場合)比較的容易。
何だかんだで根は他人を騙すこと自体苦手な超人だったのかもしれない。
【戦闘スタイル】
グリムリパーの際は『完幻』の異名通りの、身体を燃やして攻撃・透明になるなどの多彩で相手を幻惑しつつ攻撃も兼ねているような技をメインに使う。
しかし、単なるギミック頼りの超人ではなく、
バッファローマンら超人の皮膚を難なく毟り取りハリケーン・ミキサーすら軽々受け止める握力を主体とする肉弾戦にも長けた実力者としての側面を隠し持つ。
ネメシスの話では、柔軟性に優れて受け身も得意で非常に高い耐久力を誇っていたらしい。
相当に手を抜いていただろうに付き合ってやっていた辺りは閻魔さん共々にネメシスの才能を買っていたのだろう。
サイコマンとしての本性を現してからは、グリムリパー時より発揮していた超握力を更に前面に押し出しつつ、ギミックを抑えた純粋な超人レスリングを基本としたスタイルとなる。
実際、グリムリパー時の『完幻』技は殆ど封印され、握力を利用したスープレックスや豪快かつ華麗な打撃技が主体となり、始祖同士の対決となったシルバーマンとの戦いではねちっこく執拗な寝技を見せている。
……正統派の方が“強い”というのは、如何にも始祖らしい変化である。
一方、正体を現したことで以前から使っていた技の多くの威力が増して見え、同じく握力に長けたブロッケンJr.の指を全て握り砕くなど、容赦の無い、やられる方からすれば残虐にも見えるファイトスタイルとなる。
また、グリムリパー時のギミックを封印した代わりに、正体を現す前は“奥の手”としていたマグネットパワーを解禁し、自在に戦闘で使用する。
具体的には、上記の正統派の超人レスリングの補助としての使い方が主であり、マグネット・パワーを利用しての急制動や何も無い空間での反転といった動きを加えて襲いかかってくる。
やりたい放題だったヘル・ミッショネルズに比べると大人しめの使い方……と思ってしまうが、実際の所はマグネット・パワー一辺倒になったことでパワーを封じられた後は何も出来なくなってしまった彼等に比べると付け入る隙が見つからない。
……以上のようにパワー、特殊能力共に隙が無く、正攻法な戦いや厄介な搦め手もこなせる極めて高い実力の持ち主。
その実力はシルバーマンとのスパーリング戦績が両者ともに五分であったことからその高さが証明されている。
ジャスティスマンが相手の攻撃に全く動じず悉く的確に対処するのに対し、サイコマンは相手の攻撃を受け顔を歪めこそするが常に自身の次の一手に繋げる戦い方が特徴であり、
バッファローマンからは「戦いの天才」と呼ばれ、シルバーマンにも緻密と高く評価されていた。
基本圧倒的な経験と基礎スペックで淡々と確実に圧倒し潰していく塩試合紛いになりかねないジャスティスマンの試合運びとは対照的に、
全体的に表情豊かで目を引くようなエンターテインメント性やパフォーマンス性の強い試合運びも特徴的である。
【必殺技】
帽子についている棘を回転させ、相手を切り裂く。
恒例のコスチュームは凶器じゃないのかというツッコミは厳禁である。
ターボメンとのタッグでも使用。逆立ちした状態で装束に炎を纏い、体を捻り体当たりで攻撃する。
わざわざ逆立ちする意味や回転する意味があるのかは不明。ブロッケンJr.との対戦時には黒雲を呼び寄せるために使用。
ターボメンとのタッグ技。装束でターボメンを包み込み、炎を纏わせながら相手に撃ち出す。
MAXパワーの際は
「ハイキャパシティ・ジョン・ドウズ・アロー」
となる。
身体を透明にさせてあらゆる攻撃をすり抜ける。
かなりのチート技だがお披露目以降使っていない。
装束の裾を尖らせ針のように変え、高速で突進を繰り返し相手を切り裂く。
旧作でヘル・ミッショネルズも使っていた懐かしの技。ただし黒雲を呼び出す際は装束から炎のリングを出したり、「吹けよ~風、呼べよ~嵐」謎の呪文を唱えている。
後にサイコマンがマグネット・パワーを使える伏線となっていた。
マグネット・パワーを全開チャージして放つ応用技にサンダーサーベルを雨のように乱射する
「サンダーサーベルスコール」
や
2本のサンダーサーベルを繋げて巨大な1本の
槍として放つ
「ロンゲストサンダーアロー」
があるが、シルバーマンには全く通じず
まやかしの力と酷評された挙句、マグネット・パワーの攻略に逆利用されてしまった。
この漫画で真面目に考えるのも何だが、デパーミングの原理から考えると「電流が周期的に逆転しながら徐々に弱まっていく」技である可能性があることが判明した。
完璧・無量大数軍としての必殺技。
ジョン・ドウズ・アローと手順は同じだが本来はタッグの相方を撃ち出すためではなく、敵をリングに叩きつけるためにある。
これを食らったバッファローマンは全身の傷から血を吹き出してダウンし、プラネットマンは文字通りバラバラのコナゴナになるなど強力な破壊力を持つ技。
また、パッファローマンとプラネットマンに使った際の威力の差から真の姿(サイコマン)で放った場合には威力が更に上がるとの考察も。
これをタッグ技として何度も掛けられてたターボメンは何ともなかったことから、タッグ時に使用していた際は威力を抑えていたのだろう。
サイコマン時に使用した際に名付けられている、彼の
強力な握力の通称。
バッファローマンとの対戦時はハリケーンミキサーを軽々と受け止め、握力のみで皮膚を毟る、皮膚を掴んで柔道のように投げ飛ばす、突進してきた相手を合気道のように捻るなど、どこぞの
グラップラーのような戦い方を見せた。
その後もプラネットマンとの試合ではネックハンキングツリーやチョークスラムに捉え、(既に死んでいるのに)醜態を晒す無量大数軍への粛清の意味もあってか人面プラネットを次々と破壊。
ブロッケンJr.との試合では、実は元より握力が優れていた上に超人血盟軍時代に猛特訓により隠し玉と呼べる程に鍛え上げていたブロッケンに一度は両腕を掴まれネックハンキングツリーを防がれるなど、自分の得意分野に踏み込まれたことを評価する発言もしていたのだが、(周囲で色々と起こって騒がしくなってきたこともあってか)その後の手四つでは、もう付き合ってる暇は無いとばかりに、一時は互角かとも思われたブロッケンの握力を今度は正面から圧倒するばかりか、そのまま両手の指の全てをへし折っている。
流石に始祖同士の対決となったシルバーマン戦では下等超人達を相手にしていた時とは違い身体能力のみで圧倒することは出来なかったものの、真正面から豪打を浴びせてくるシルバーマンに対しての対抗手段として巨握の掌を用い、シルバーマンですら引き剥がせないねちっこい責めを見せると共に、握力によるダメージばかりかシルバーマンの肉体に磁力を満ちさせるための布石として使用していた。
この展開から考えると、グリムリパー時は(僅かでも)本気にならなければ繰り出さない“奥の手”だが、サイコマン時は自身のスタイルの基本戦術となる“得意技”なのだと思われる。
かつての
宇宙超人タッグトーナメントで猛威を振るった「禍々しい力」「インチキ臭い技」(バッファローマン談)。
時系列的にはアポロン・ウィンドウ・ロックでマグネット・パワーは封じられているはずだが、サイコマンはお構いなしに使っている。
曰く、
「ネプチューン・キングの猿真似と大元である私の力を一緒にされては困りますね」とのこと。
そもそもマグネット・パワーを発見して以来、長年研究していた彼は地球上のマグネット・パワーの地脈を全て把握しており、
任意の土地にマグネット・パワーを照射することで小規模なアポロン・ウィンドウを展開、そこから大量のマグネット・パワーを抽出することも可能。
ヘル・ミッショネルズのマグネット・パワーを封じているアポロン・ウィンドウ・ロックも、マスターである彼にとっては
何ら障害とならない。
キン肉マンと仲間達が死力を尽くし奇跡によってようやく封じたと思っていた力だけに、解禁された時にはキン肉マンも二度目の立ち眩みを起こしてしまった。
ヘル・ミッショネルズ(と
Ⅱ世の
マンモスマン)が基本的に片腕からマグネット・パワーを放つのに対し、彼は両手や両足からも放射できる。
さらにアイアンクローを行いつつマグネット・パワーを照射し続けることで、金属の性質を持つ相手に強力な磁性を帯びさせることも可能。
これにより、帯磁させた相手を自在に引き寄せることができるようになり、更にリング上での支配力を高めることが可能。
相手に投げ飛ばされつつ空中で急制動をかけて反転すると共に、マグネット・パワーを帯磁させた相手を反対に自身に引き寄せることで、勢いを何倍にも増したフライングニールキックを叩き込むカウンター技。
マグネット・パワーを強力に帯磁させたシルバーマンの防具をコーナーポストに取り付け、その後自身の腕とポストの防具からマグネット・パワーを放出。
前後からマグネット・パワーを受け動けない相手に強烈なラリアットを叩き込みながらコーナーポストに相手を激突させる大技。
言わば単独で放つ
クロス・ボンバー。
出した途端に“ぼっちボンバー”とか言われたけどな!
直撃を受けたシルバーマンが血を吐く程の破壊力を誇る技であり、ヘル・ミッショネルズはこの技をヒントにクロス・ボンバーを開発したという。
- 完璧・拾式奥義 輪廻転生落とし
さあそれではご覧に入れましょう!
これより私のマグネット・パワーショーーッ 本日最大の見せ場です!
シルバーマンとの戦いで披露した、サイコマンの最大のフェイバリットである完璧拾式奥義。
まずマグネット・パワーを照射して小規模なアポロン・ウィンドウを開放。
そのアポロン・ウィンドウから噴出させた巨大なマグネットパワーの渦をリングに誘導、リング全体をマグネットパワーの海と化して動きを封じる。
続いてマグネット・パワーで胸に吸い寄せてからブリッジで上空に弾き飛ばし、空中で追い抜くとマグネット・パワーで相手の両腕を交差させつつ全身をエビ反りにさせていき、
高く上げた己の脚でロメロスペシャルのように相手の脚を固め、脚の間から相手の手首を掴んでエビ反らせながら落下し、己とリングのマグネット・パワーを呼応させ加速して叩き付ける。
曲げる向きが逆の
フォーディメンションキル、またはドライバー技に仕上げた
サンドセメタリープレスと言った感じ。
より正確には、ロメロスペシャルの派生技であるクロスアーム式カベルナリアを反転(リバース)させた(横から見ると「∞」の形を描く)技である。
こちらは現実にもあるので画像でも探してみよう(当たり前だが関節技である)。
かつては己の技量のみで仕掛ける技だったらしく、「マグネット・パワーによって技のレベルが上がった」と豪語するサイコマンに対し、
喰らっている最中のシルバーマンはマグネット・パワー前提になったこの技を「言ったはずだ、そんな邪道に頼るなと」と否定。
回想で描かれている姿を見ると、かつての技は手首を脚の外側から掴んで広げ、
シルバーマンの後頭部に座るような形でシルバーマンの顔面をリングに着ける形となっている。
悪魔将軍は今のようにマグネット・パワー頼りになったこの技を見て、
「拾式め……あの技は貴様の誇りだったろうに、始祖の魂すら借り物の力に売り渡したか。ザ・マン共々すっかりあの力に憑かれおって……」
と心の底から惜しみ、ジャスティスマンもどこか悲しそうにしていた。
そんなサイコマンの奥義であったが、ブロッケンJr.戦でできたリングの凹みを見逃していたためにシルバーマンの頭が浮いてしまいとどめを刺すに至らず、
シルバーマンはマグネット・パワーの海にしたせいでリングの状態を見逃すというサイコマンのミスを「君らしくもないミスだ」と指摘し拘束を突破した。
デパーミングでマグネットパワーを攻略された直後に今度は自力で掛けようとするが、マグネットパワーに頼り切り技の仕掛けの研鑽を怠っていたために、単独で技の完成に持ち込むまでの技量が全盛期に遠く及ばないほど落ちており、技の途中で容易く振りほどかれてしまった。
リーインカーネーション(Re・incarnation)とは、「死後の生まれ変わり」の中でも、「魂は不滅で、繰り返し生まれ変わる中で成長し神に近づいていく」という思想。
【サイコマンの姿での活躍】
バッファローマンに
「もう一度殺しに来なさい」とばかりに挑発し、それに応えたバッファローマンと
ブラックホールはサグラダ・ファミリアに移動。
が、超人墓場からサイコマンの部屋に辿り着きその空間からサグラダ・ファミリアに現れたプラネットマンも登場。
先にプラネットマンとの試合開始となる。
太陽系を司り、多彩な技を繰り出すプラネットマンは当初は互角のように渡り合う。
が、氷点下首四の字で凍らされたサイコマンはその握力のみで氷を破って突き出した手の平だけでプラネットマンを圧倒するという離れ業を行う。
更にプラネットマンの宇宙地獄とグランドクロスを食らうが、二度同じ技を仕掛けたところでサイコマンは恐ろしい形相で冒頭の台詞を吐く。
まさかのマグネット・パワー発動。
かつて無量大数軍の古株だった
ネプチューン・キングにそのコツを教えたのはサイコマンであったと明かす(つまり、彼の師のようなポジションにあたる)。
だがキングはそのことから増長・無量大数軍の資格を剥奪され、自ら弟子を率いて始祖から離れその後は旧作タッグ編で描かれた末路を辿る。
そのためサイコマンはキングを
「最低の小物」「調子に乗った小悪党」など散々な評価を下している。
ただ同時に
「彼も昔は有能な完璧超人だったんですがねぇ」とも言っており、マグネット・パワーを伝授したということはかつてはその通りに評価していたのだろう。
太陽系の力を司るプラネットマンが唯一得られなかったのが地球の恩恵。
その象徴であるマグネット・パワーで追い詰められたプラネットマンは最後の足掻きに、「魔技・人面プラネット」で死亡した無量大数軍の魂を人質に取る。
……が、これまでの言動からも明白な様、この男に人質なんて戦法が通用する訳も無く容赦なく潰されてしまう。
その際にポーラマンとターボメンに無量大数軍の真実やストロング・ザ・武道の生存と正体を暴露されかけたものの、
即刻二人の口を封じてプラネットマンを「“完幻”ファントムキャノン」で撃ち出しバラバラにしてK・O。終わってみればサイコマンのほぼ一方的勝利だった。
ちなみに途中でプラネットマンの頭を見て
「ルームランプとして部屋に飾るのもいいですね」とまさにサイコ野郎なことを言っていたが、
プラネットマンの頭は崩れて消滅していったのでそれは叶わなかった模様。
またバルカンのことは知らないのか
月(天体)と呼んでプラネットマンから否定されている。
なお、ジャスティスマンについては、シルバーマンを裁いたことから快く思っていない様子。
また、他の始祖と同じく「下等超人」を見下していたジャスティスマンが
アシュラマンとの対決で心が揺らいだ際には、
そのことにイチ早く気付き、釘を刺す発言をしている。
その後、国立競技場で武道と悪魔将軍が対面し一触即発となったため、武道を守るために彼も競技場に駆けつける。
ここでも彼は「下等超人」を見下す発言をし、そのことに憤った
ザ・ニンジャが襲い掛かってくる。
しかし、カラスマンとの戦いで満身創痍となったニンジャが敵うはずもなく、ファントムキャノンで一蹴されてしまう
(実際にはサイコマンの挑発に乗ったというより、仲間のためにせめて小手調べだけでもと思って挑んだらしい)。
競技場には昔「下等超人」が神々の裁きを逃れるための避難所とした「許されざる世界樹」が埋まっており、
再び地上に出現した世界樹内のリングで完璧超人が待機し、正義・悪魔超人達に対戦相手を選択する権利を与える。
サイコマンとバッファローマンは過去の因縁から互いに再戦を望む発言をしていたが、
ザ・ニンジャの意思を託された
ブロッケンJr.がサイコマンに挑戦することを決断し、
バッファローマンは
スニゲーターの仇であるガンマンに挑むのであった。
ブロッケンは何かと乱入に縁があるため、
シルバーマン乱入フラグでは?と勘繰るファンが続出した。
試合では終始ブロッケンJrを一方的にいなし続け、固め技で長時間放置という屈辱を与える。
他の3試合が終了した時点で、サイコマンは既に自分とブロッケンの試合も終わったようなものだと挑発するが
再三に渡り己の未熟さを突きつけられたブロッケンが遂に覚醒、サイコマンにも匹敵する握力を発揮した。
予想外のパワーにはサイコマンも評価を改め、本気で戦うことをプラネットマン戦以来の恐ろしい形相で宣言。
暫くは死闘を繰り広げるも、やはり自分には到底及ばなかったと途中から確信するや否やブロッケンの両手全ての指を逆方向に折り曲げる致命傷を与えて完封。
ブロッケンJrが両手を失うことは攻め手を失ったも同然であり、この時点でサイコマンの勝利が確定した。
だが突如、サイコマンは信じ難い事実を口にし始めた。
超人墓場を発ったシルバーマンは裏で自分と超人閻魔からゴールドマン説得を依頼されており、
彼がその過程で創立した正義超人はゴールドマンら悪魔超人を抑え込むための対抗勢力でしかなかった。
つまり、正義超人と悪魔超人の対立は初めから完璧超人が仕組んだ事で、正義超人は完璧超人の手先だという。
この突拍子もない暴露に「ホントかよ…」と懐疑的な読者が続出する一方、正義超人の代表キン肉マンにとってはあまりにも受け入れがたい事実であった。
が、その事実はブロッケンJr.にトドメを刺す寸前にやっぱり乱入したシルバーマンから否定されてしまう。
説得を依頼されたのは事実だが、兄のゴールドマン同様に下等超人の可能性に気付き、
しかし兄とは違う道で夢の実現を目指す想いから正義超人を創立した…というのがシルバーマンの語る真実。
完璧超人の手先だと主張するサイコマンの真実は、シルバーマンが完璧超人向けに用意した方便に過ぎなかった。
親友と信じていたシルバーマンのカミングアウトには流石のサイコマンも今までになく狼狽。
「(始祖なんか)11人もいりません。閻魔さんと私とあなたさえいれば夢の実現はまだ可能です!」
「神をやり直しにあの頃へ戻りましょうよ!」と必死に説得を試みるが
シルバーマンは既に始祖として戻る気は無く、遂には2人の直接対決…エキシビションマッチに突入。
先の3人との試合で蓄積した筈の疲労も、復活直後の親友を思いやってか「ノーダメージです!」と言い切り、お互いの信念をかけた試合が始まるのだった。
当初はブランクもあり十全の力を発揮できなかったシルバーマンを追い詰めるも、徐々にシルバーマンが戦いの感覚を取り戻してからは次第に押され始める。
そんなシルバーマンに対抗するべく執拗に顔面へのクローを繰り返し帯磁に成功。マグネット・パワーを利用した多様な技や策で優位に立っていく。
シルバーマンの必死の対話や説得も意に介さず、マグネット・パワーを取り入れたことで完成度が高まったと豪語する自身の奥義「輪廻転生落とし(グリム・リーインカーネーション)」で勝負を決めようとするも、
自身が発見したマグネット・パワーに依存しすぎたが故に、磁気嵐による視界不良のなかブロッケンjr.をめり込ませて出来たリングのくぼみに着地するミスを犯し威力は半減、奥義は不発に終わる。
己のミスやシルバーマンから説かれる友情に動揺を隠せなかったものの、なおもマグネット・パワーとサンダーサーベルスコールの合わせ技で追い立てていくが、
シルバーマンはトドメに放たれたロンゲストサンダーアローを利用して、マグネット・パワーを完全攻略する。
接近を許したサイコマンは自力で拾式奥義に持ち込もうとするが全く通じず、動揺するその隙をシルバーマンが見逃す筈も無く、ついに放たれたシルバーマンの奥義「アロガント・スパーク」の直撃を受けたことで敗北した。
アロガント・スパークにより、全身をくまなく破壊され動けなくなったものの、
シルバーマンが前述のサイコマンの奥義と同じ着弾点のミスを狙って犯したため、一命を取り留める。
試合後にシルバーマンと言葉を交わし、コスチュームのペンダントから変化した雷のダンベルを持って行かれた。
サイコマンの敗北をもって全ての絶対の神器が出揃い、悪魔将軍からそれらを託された
サンシャインによって祭壇へと納められたことにより消滅システムが作動。
生き残った金銀兄弟、及びジャスティスマン、そしてザ・マン諸共消滅し、完璧超人始祖の影響力は宇宙から消え去ったのである。
始祖たる者がこんな仕掛けであっさり消えていいはずないじゃないですか
だから私が…とっくの昔に作り変えておいたんですよ 独自の判断で勝手に…
閻魔さんにすらナイショでね ニャガニャガ
そうです消えるのは…
私一人で十分です
消滅システムは作動した。
しかし金銀兄弟もジャスティスマンもザ・マンも消滅せず、消えて行くのはサイコマン唯独りのみ。
“いつの日にか共に神の座に到達する同志”たる始祖と超人閻魔を神聖視していたサイコマンは始祖の存在を丸ごとこの世から消す消滅システムの存在を兼ねてより危険視。
始祖や閻魔を生かし続けるべく、師であるザ・マンにすら知らせず独断で消滅システムを勝手に改造し、
消滅システムが作動した時、他の始祖を残してサイコマンだけが消え去るように書き換えていたのだった。
システムの影響で身体が消えつつあるサイコマンは、シルバーマンに対し今まで決して明かそうとしなかった自身の本音を静かに語り始める。
当時のザ・マンが作った高度なシステム故に、自らの知識と技術ではどうやっても誰か一人が犠牲になる事までは避けられなかった。
その気になれば自分以外の誰か(それこそ犬猿の仲だったガンマンやジャスティスマンあたり)を身代わりに出来たが、サイコマンはあえて自分だけが消え去る事を選んだ。
ただし、この時に現場にいたジャスティスマンも含めて“誰があなた達を死なせるものですか。完璧超人始祖は神となるべき存在ですよ”と言っているので、後の悪魔将軍(ゴールドマン)vs超人閻魔(ザ・マン)の試合で解ることだが、孤高の精神を持つ始祖達の中でもサイコマンのみは、それこそ下等超人の友情に近い感情で同志達を慈しんでいることが解る。
彼曰く「かわいそう」とのことだが、冗談めかしている部分も大きいとはいえ一番馬が合わないように見えたガンマンも当然のように救おうとしていたことは、未だに彼が太古の昔に共に研鑽を重ねて完璧超人始祖となった記憶を忘れていなかったのと同時に、始祖の中で唯一人だけが未だに付き従っているように見えても、敬愛すべき筈の「超人閻魔」が、もはやかつての「ザ・マン」ではないことも理解していたという事なのだろう。
裏を返せばシルバーマンに叫んだ「始祖は11人もいらない」という言葉も、世界の理を預かる始祖でありながら戻せぬ時の重みを自覚しているが故の悲痛なる思いを隠したすがりつくような本音を虚飾で覆った魂の叫びであった。
後に、悪魔将軍=ゴールドマンが超人閻魔=ザ・マンとの戦いの果てに呟き、ザ・マン自身も認めたように完璧超人始祖たる11人は袂を分けたように見えつつも各々が始祖としての矜持を以て使命を忘れず、億年を経ても同志達と見た夢を忘れていなかった。
……そして、中でもサイコマンこそが、最もその夢を過去の思い出としたくなかった始祖であったことの証とも言える。
また、完璧超人の到達点とも呼ぶべき始祖達は、ザ・マンを含めた同志たる11人への敬意と、共に誓った使命と夢を第一と考える一方で完璧が故に単純な感情の起伏を捨て去った孤高の精神の持ち主達であるが、サイコマンのみは完璧超人……それも始祖でありながら自己犠牲の精神をも見せている。
その理由は前述の様に、そして、恐らくは下記のシルバーマンの言葉の通り……。
消滅間際、サイコマンは自分の背信行為を間違っていなかったと確信しつつ自らが見出だしたマグネット・パワーが世界をより良い方向へと導くと信じていたと吐露。
その事をシルバーマンにだけは理解して欲しかったと語る。
その言葉に対し、「やはり認められない」と返すシルバーマン。サイコマンもその事を分かっていたのか「あなたらしい」と苦笑。
そして…
悪役然としたスタイルを崩さず、周囲に本心を打ち明けず、また周りにも理解されることなく飄々とした態度で憎まれ役やトリックスターを演じてきたサイコマンが真に目指したかったのは、他ならない高潔なシルバーマンの生き様だった。
そして己の消滅を以て全ての責任を取る
自己犠牲の精神は、超人閻魔と化したザ・マンも認める所であり、
彼の行為を
「始祖であっても許されぬ大罪を犯した」と断じながらも、同時に最後の最後まで自身につき従った彼の忠義を労い賞賛。
今まで、私に尽くしてくれたこと 礼を言う
大儀であった!
ええ 私はこう見えて義理堅いんですよ 裏切るなんてできませんよ
こんな私を始祖に選んでくれてありがとうございました
閻魔さん…いや…
ザ・マン
超人閻魔も忠臣に対して最大級の賛辞を送り、消えゆく彼を見送り、その賛辞に対しサイコマンは「ザ・マン」に、
自らを始祖に選んでくれた事への感謝の言葉を述べ、トレードマークだった帽子を残して静かに消えていった。
敬愛する師への義理と恩義。そして何よりも大切だった仲間たちへの信義のために。
最後の最後まで自らの信念の下、たった独りで独善を貫き通した「漢」の姿がそこにはあった。
「時には喧嘩をしながらも、他者を思いやり、時には自身が犠牲になってでも仲間を守った」その姿勢は、
親友シルバーマンが創立しながらも、自身が只管忌み嫌った『正義超人』の在り方そのものであったと言っても過言ではないのが皮肉である。
キン肉マンでは何の説明も無く蘇っている奴がけっこう存在しているが既に超人墓場はその機能を停止しており、
なによりサイコマンはただ死んだのではなく存在そのものが消えてしまったためもはや復活は絶対に起こり得ない、はずだったのだが……。
【マグネット・パワーについて】
サイコマンが研究を進めた末に、始祖達に満を持して披露・プレゼンしたマグネット・パワーであったが、
彼の予想に反し、他の始祖達の評価は全員が否定的であった。
アビスマンやガンマンからは
「ほとんどドーピングじゃねえか!」「誰がきさまの考えに賛同するかー!」と即座に否定され、
穏健派の
ペインマンですら、
「研究自体は否定しないが、借り物の力を闘いに組み込むのは賛同しかねる」と慎重な議論を要求し、同意を求められたジャスティスマンも静かに頷いていた。
おまけに唯一信頼していたシルバーマンからも、
「世紀の大発見だが、この力は理性ある自分たちが永遠に監視し封印すべき」と真っ向から存在を否定されてしまっており、その他の始祖達もマグネット・パワーの存在に対し顔を顰めて難色を示している。
因みにこのときガンマンにむかって
「はい そこ うるさい」とあしらっているが、このシーンはその表情やサイコマンのキャラもあいまって、重要なシーンなのについ笑いを誘ってしまうものとなっている。
四面楚歌の環境の中、唯一この力の存在を誰よりも肯定し、マグネット・パワー実用化への研究と管理を推進したのは、
本来なら他の始祖の誰よりも真っ先に存在を否定する筈であろうザ・マンであった。
サイコマンが現在の過激な方向性へと突き進んでしまったのは、他の始祖達から自分の研究成果を全否定されてしまった過去や、
自身に賛同した師、ザ・マンの存在があったことは確実であろう。
マグネット・パワーの第一人者として数々の技を披露したものの、ヘルミッショネルズ戦で見られた時間戻しなど試合外にも影響するような使い方は一切しておらず、
後に判明した超人強度からも分かるように、マグネット・パワーで超人強度を底上げしていた可能性が高い無量大数軍とは違いサイコマンの超人強度は
完璧超人としては最低限度の超人強度でありドーピングは行っていないことから彼の生真面目さが垣間見える。
ただし始祖は何れも無量大数軍よりも低い超人強度でありながら億単位で鍛え上げた圧倒的なフィジカルをもって試合を圧倒していたため
付け焼刃の超人強度底上げなど意味がないことを理解していた可能性もある。
ただ小物と評しながらも惜しんでもいた元弟子のネプチューン・キングが自身の必殺技であるメガトン・キング落としにマグネットパワーを使用しておらず、キン肉マンたちから「完璧な技」と評価されたのに対してサイコマンの必殺技がマグネットパワー頼りで上記の通り、周囲からボロクソな評価を受けているなど皮肉なことに対照的であった。
オメガ・ケンタウリの六鎗客編では、禁断の石臼(モルティエ・デ・ピレ)は星の力(マグネットパワー)を基にして超人パワーを生み出す装置であり、
この石臼を反転利用することで超人パワーを星に注入することも可能であると発覚した。これによりオメガの民の星終焉問題が一気に解決された。
サイコマンが想定していた「使い方によってはこの世をよりよくできる力」が発揮された瞬間である。
ザ・マンもこのような利用法を模索するために頭から否定しなかった可能性が出てきた。
そして時間超人編(仮)では、マグネット・パワーを使いこなす、五大刻の一人・終焉の刻“ファナティック“が登場した…。
【余談】
『キン肉マン』では珍しいエンターテインメント性溢れる劇場型の悪役であり、ゆで自身も「今までの作品なら絶対に出てこなかったキャラ」と述べている。
一方で、担当と共に道化に徹していた理由を含めた設定を踏まえたのだろう「最初は嫌われるだろうけど最後には好かれるといいね」と語り合っていたそうで、これは見事に読者にも届くことになった。
尚、その見ている者を楽しませるような立ち振舞いは、常に見られていることを意識したアクションにより、遂には米国でもスターとなった現役トップレスラーの
中邑真輔のキャラクターを参考にしたそうで、その内にすっかりとファンになったのか次章では
マリキータマンのアクションに中邑のポーズを取り入れるに至っている。
回想シーンで悪魔将軍と超人閻魔が会話する場面において、始祖の中でサイコマンこそが進化の可能性=友情パワーに最も近い存在だったと語られている。
彼が友情パワーに対して否定的なのはいわば同族嫌悪であり、その事から逃れる為の代替テーマとしてマグネット・パワーの研究に打ち込んでいたというのが実際の所らしい。
また、シルバーマンの「君なら自分と違って真の正義超人になれていたかもしれない」という発言の補完にもなっている。
数々の超人塗装済みのガレージキットを発売しているディーラーが腕を組んだものとマグネット・パワー発動時の手を広げたものを発売したが
約27cmというサイズがあるにしても約7万円という価格ながら即完売している。
追記・修正はせず私のことはもう放っておいてください!
な~んてね、冗談ですよ!からかうと本当に面白い!本気にしました?
最終更新:2025年01月16日 23:02