アットウィキロゴ

武道

登録日:2026/01/13 Tue 21:30:03
更新日:2026/07/13 Mon 18:52:51
所要時間:約 15 分で読めます


タグ一覧
ストロング・ザ・武道 ビッグ・ザ・武道 七帝柔道 伝位 体術 分銅鎖 剣術 剣道 十手術 半弓術 古武術 古武術家 古武道 古武道家 合気 合気道 含針術 吹矢術 和術 契木術 宗家 小具足 小太刀術 少林寺拳法 居合術・抜刀術 居合道 師範 師範代 弓術 弓道 心技体 手裏剣術 抜刀道 拳法 捕手術 捕縄術 教育 新体道 日本拳法 杖術 杖道 東洋 東洋哲学 東洋武術 柔術 柔道 棒火矢術 棒術 槍術 武人 武芸十八般 武術 武術家 武道 武道家 段位 殺生 水練 水術 沖縄相撲 沖縄空手 泅水術 泳法術 流派 游泳術 現代武術 現代武道 琉球古武道 用語項目 相撲 相生道 短刀術 短剣道 砲術 空手道 空道 競技化 組討 脇差 薙刀 薙刀術 護道 躰道 踏水術 軍馬術 鉄扇術 鉄鞭術 銑鋧術 銃剣道 錑術 鍛錬 鎖鎌術 長巻術 隠形術 馬術 騎馬術



(目的)  第一条
武道は、武技による心身の鍛錬を通じて人格を磨き、識見を高め、 有為の人物を育成することを目的とする。

(稽古) 第二条
稽古に当たっては、終始礼法を守り、基本を重視し、技術のみに偏せず、心技体を一体として修練する。

(試合) 第三条
試合や形の演武に臨んでは、平素錬磨の武道精神を発揮し、最善を尽くすとともに、勝っておごらず負けて悔まず、常に節度ある態度を堅持する。

(道場) 第四条
道場は、心身鍛錬の場であり、規律と礼儀作法を守り、静粛・清潔・安全を旨とし、厳粛な環境の維持に努める。

(指導) 第五条
指導に当たっては、常に人格の陶冶に努め、術理の研究・心身の鍛錬に励み、勝敗や技術の巧拙にとらわれることなく、師表にふさわしい態度を堅持する。

(普及) 第六条
普及に当たっては、伝統的な武道の特性を生かし、国際的視野に立って指導の充実と研究の促進を図るとともに武道の発展に努める。

日本武道協議会『武道憲章』より


本項目では日本『武道』ついて記載する。



【概要】

大前提として明治時代以前に徒手もしくは鈍器や刃物、火器などの武具の使用法や水泳、乗馬など戦闘に関わる日本の伝統的な技術を体系化したものを古武道(武術、古武術)」、明治時代以降に古武道を基に西欧的なスポーツに対抗して近代的に再編して成立したものを「武道(現代武道)」と称する。

「古武道」は日本の伝統芸能の一つにも数えられている。

格闘技やスポーツとの違い

武道と格闘技、スポーツの大きな違いはその目的と重視する点にある。
そもそも武道は精神修養や道徳的な価値観を重視し、自己の心身を磨くための「道」である一方、格闘技は勝敗を目的とした競技性や身体能力向上を重視する傾向にあり、スポーツは勝利や記録といった競技性を重視する傾向があるなど、格闘技やスポーツはその競技性から鍛錬よりも「見せる」ために行われることが多い。

現代武道は競技偏重になったことで各種目が徐々にオリンピック競技に追加されていくなど本格的なスポーツ化が囁かれている。
一方で武道の形稽古は未だ多くの種目で基礎となっているが、それもが「演武」として競技に取り込まれている。


【特徴】

現代武道の特徴

戦場の格闘・戦闘術などだった古武道から発展した歴史があり、競技に勝つことが命題ではないと考える風潮は歴史的に強かったが、柔道のオリンピック競技への導入以降、多くの武道で競技性が重視されるようになった。

武道の理念は時代、組織、個人により様々だが、日本武道協議会「武道は、武士道の伝統に由来する日本で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化で、心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、人間形成の道であり、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の総称を言う。」と定義している。

古武道との違い

現代武道がスポーツ系の競技試合を重視して技術の体系を構築しているのに対し、古武道は基本的に試合での勝敗決着をを目的とせず*1合戦・決闘・護身や戦闘で使命を果たすための心身鍛錬が本来の目的とされていた。
そのため相手を殺傷することも想定され、流派によっては危険として現代武道から除かれたわ各種技法や隠し武器、薬方、呪術が含まれている場合もある

多くの古武道が戦乱の時代に戦うための術や心身鍛錬のために生み出されたもののため、戦闘技術を身に着けるという大義名分から、一種の教養・学問・芸能として武家文化の担い手として重要な役割を果たしてきた。


【歴史】

鎌倉時代〜安土桃山時代

鎌倉時代からそれまで日本を支配していた貴族に代わるように武士が台頭するようになると、時代が下るごとに白兵戦の比率が増えていき、武器もそれまで主流だったから日本刀・薙刀、へと変化していった。

室町時代になると、陰流神道流念流からなる「兵法三大源流」が興り、神道流の祖・飯篠家直はそれまで決まった形の無かった日本武芸に百般もの形の原型を創ったことから、「日本兵法中興の祖」とされた。
更にそれらの影響を受け新陰流新当流一刀流中条流等が派生して剣術が爆発的に広まり、柔術としても竹内流が誕生し、他の武芸でものように芸とみなされ理論の確立や深化が進められた。
そうしたことで合戦よりも武芸をメインに行う兵法家となる者たちが現れ、各地を回って必要な知識・技能・精神力を獲得して己の資質を高める武者修行が隆盛した。

江戸時代

江戸幕府の成立により断続的に起きていた内戦が収まって時代が平和になると、人を殺めるための「武術」ではなく、人格形成のための「道」として捉えられるようになった。
また武術の様々な流派はこの頃に発生し、流派の細分化や芸道化がより顕著に見られるようになり、それまでにあった戦国時代さながらの流派にも礼法が積極的に摂取されたり所作も洗練されるなどして、様式化がなされていった。

しかしいくら流派が増えても各流とも互いに交流を試みることなく、むしろ他流試合を禁止して封鎖的、排他的であり、その結果行き過ぎた形式主義に流れて一部で華法化*2(華美化)も見られるようになった。

そんな中、18世紀半ばに剣術における打ち込み稽古が広まると、他の武芸にも波及し*3、理論・技術研鑽の気運が高まり、松平定信による寛政の改革もその気運を大きく伸長発展させた。
この頃になると武術は武士以外にも積極的に開放され、町人や農民にとって余暇の楽しみともなり、都市部や農村地帯で広く行われるようになったが、幕府は関東取締出役を設置した1805年に農民間の武芸稽古を禁圧する令を出している。

やがて江戸時代後期〜幕末にかけて本土への外国船の接近が相次ぎ、これまで以上に武芸教育への関心が高まるようになる。
藩営の武芸稽古場・演武場が増加したほか、様々な流儀で交流が行われ、剣術や槍術、柔術などで打ち込み稽古が主・形稽古が従となっていき、稽古道具や試合方法が共通化していき、全国で武者修行や他流試合、武術留学が流行し、各地の師範名をまとめた書物が発刊されるなどした。

明治時代〜昭和時代(戦前)

明治維新後の文明開化で西洋文化の流入により、武術は時代遅れとされ衰退の一途を辿りだしたため、武術家たちは見世物興行を行い武術を振興しようとした。
そんな中、明治10年(1877年)の西南戦争で警視庁の抜刀隊が剣術で白兵戦を優位に戦った影響により、警察に武術世話掛が創設され、武術の絶滅の危機は脱せられたとされる*4が、兵器や戦術の近代化によって活躍の場は徐々に失われていった。

明治15年(1882年)、教育者としても知られていた嘉納治五郎柔道を創設したことで、その思想は後の武道家に強い影響を与え、明治28年(1895年)には各種武道の統括組織となる大日本武徳会が設立され、多くの地方流派が大日本武徳会に加盟して剣道や柔道を取り入れ、伝来の形、口伝、掟等の伝承が徐々に失われていった。

大正8年、当時の警視総監だった西久保弘道は大日本武徳会の副会長と武術専門学校長となり、武術の名称を「武道」とするよう主張し、武徳会各支部で「武道」を用いることとされた。

戦後〜現代

太平洋戦争により、多くの流派で継承者が戦死するなどして失伝し、昭和20年(1945年)に日本が無条件降伏後すると、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)指令により大日本武徳会は解散し、武道の組織的活動は禁止された。
これにより、剣道が撓競技と名を変えたように、武道は戦闘技術色を払拭したスポーツとして復興を図ることとなった。

1950年(昭和25年)に文部省の新制中学校の選択教材に柔道、1952年(昭和27年)に剣道が解禁され、1958年(昭和28年)の中学学習指導要領で、柔道、剣道、相撲などの武道が格技の名称で正課授業となる。
そして2012年(平成24年)4月から、中学校の体育で男女共に武道とダンスが必修となり、武道は原則として柔道、剣道相撲からの選択制する。

また現代に伝承されている古武道は、古式の形態を守りつつも時代に合わせて変化している例も多く、中には現代武道化したところもあるが、現代においても様々な形で受け継がれている。
日本古武道協会日本古武道振興会など多くの団体が古武道の保存・振興に力を注いでおり、都道府県や市町村の無形文化財に指定されている流派も少なくなく、特に近年では情報技術の発達も相まって、古武道の認知度は徐々に回復しつつある。


【武道・古武道の継承】

流派

それぞれの分野においてどう行うか(どう戦うか、ある戯曲をどう演じるか等)ということについて、一定の論理に基づく技術を集団的、伝統的に共有していく技能共同体。
ひとつの様式化された内容を、世襲制度や師弟制度でもとに家元・宗家・師範などを頂点として継承する。

日本の伝統的な指導体系として、武術や芸術をはじめとする芸道から俳句や琴のような趣味領域に至るまであらゆる分野で見られる。

●目的等

基本的に流派の目的はその武術・武芸の同一性とそれらを受継いでいくことがある。

弟子が師匠から技術を伝授されたことを示す証として与えるものに免許(免状、目録など)があり、初伝、中伝、奥伝などの等級(伝位)に分けられる。
免許は技量に応じて段階的に授与されるのが一般的となっているが、段階の数や名称、弟子や生徒への指導許可が下りる基準などは分野や流派によって全く異なり、段級位制を採用している流派もある。

武術以外の芸道流派ではひとつの体系化された内容を開祖の家系である家元・宗家とその門弟により継承されていき、開祖の家系のみが家元・宗家の地位を世襲する一子相伝の継承と門人への免許を与える家元制がとられている。

●分派・独立

流派内に武道や芸道に対する考え方の相違によってグループができる場合にはこれを「派」と呼び、○○流△△派となる。
ただし、派がどの程度の位置を占めるか(たとえば免状の発行権を持つか否か)はそれぞれの分野によって千差万別であり、派が大規模になったことで新たな流儀となる場合もある。

また高弟・師範級の者が本家の許可を得た上で独立し、新たに分派や全く新しい武道を興すこともあるが、仮に分派・独立したとしても門弟が集まらなかったり仮に集まったとしても他流試合等で名前を広めるなどが出来ないなどで経済的に立ちゆかないことが多い。

●宗家・家元

基本的に武芸の流派の頂点のことは「家元」と呼ばれるが、能楽などの伝統芸能や古武道などでは「宗家」と呼ばれる。
宗家の継承は基本的に長兄に対して行われ(嫡流)、他の子族は庶流(庶家、傍系、分家)となったが、長兄が様々な理由*5で宗家を継がなかった場合は長幼の序にしたがった弟が宗家を継承する場合もあった。

日本武術では弓道の小笠原流のように家元制を取り入れている流派もあるが、おおむね家元制度はとっておらず、最もその道に長け人物ともに申し分ない高弟の中から免許皆伝者(独立・指導を許可される)が1人あるいは複数人選ばれ、この師範を頂点としてピラミッド式に広がって継承される方式であった。


古武道の伝承

古武道では技術の進歩段階や人格を見て目録、中極意、免許、指南免許といった各種の許しが発行され、指南免許を得た者は独立し、新たな師匠となることができた。

段位・称号

大日本武徳会が柔道・剣道・弓道に段級位制を採用して以降、他武道も採用して現在に至っている。
区分けはそれぞれ武道により異なり、実力によらず寄付や宣伝等の功績により与えられる名誉段位が存在する武道団体もある。
空手のように段級位が分かるように帯の色等で区別している場合もある。

主に「級」と「段」に分けられ、級は昇級する毎に数が減り1級、段は逆に昇段する毎に数が増え十段に近くなるにつれ上位となる。

それぞれ以下の流れとなっている。

十級→九級→八級→七級→六級→五級→四級→三級→二級→一級(→初段へ)

(一級から→)初段→二段→三段→四段→五段→六段→七段→八段→九段→十段


また武術に精励した者へ精錬証として範士・教士・錬士の称号が制定され、現在は各武道の統括団体が称号を授与する。
称号名 基準
範士 八段以上
教士 七段以上
錬士 六段以上


【代表的な古武道と武道】

誕生した経緯などにより素手のものから刀や槍など武器を用いたものまで様々な種類がある。

また格闘技にて打撃や組み技、寝技等様々な格闘技の技術を取り入れ一つの競技としての地位を確立している「総合格闘技」があるが、武術としての打撃や投げ技、寝技、武器術などの技術を取り入れて一つの武道とした「総合武術」という武道は実は存在しない。
最も近いものとしては日本拳法がある他、太平洋戦争末期の日本では本土決戦に備えて歩走、手榴弾投擲、打突、体当を4要素とした「綜合武術格闘術」が軍人や教師、役所に普及されていたが、戦争終結に伴い一般には普及しなかったとされる。


なお全ての武道・古武道を記載すると流派も含め物凄い量となるため、ここでは主要な古武道、現代武道を記載する。

武芸十八般(古武道)

武門に生きる者が修得すべきとされた18種類の武技の総称。
この18武技の内容は時代や集団により異なっているが、概ね下記の18分類にまとめられる。

こちらも参照。

  • 弓術、半弓術
  • 馬術、騎馬術、軍馬術
  • 槍術
  • 剣術
  • 水術(泳法術)、泅水術、水練、踏水術、游泳術
  • 居合術・抜刀術
  • 短刀術、小具足、脇差、小太刀術
  • 十手術、鉄扇術、鉄鞭術
  • 銑鋧術
  • 含針術、吹矢術
  • 薙刀術、長巻術
  • 砲術、棒火矢術
  • 捕手術、捕縄術
  • 柔術、和術、拳法、体術、組討、合気
  • 杖術、棒術
  • 鎖鎌術、契木術、分銅鎖
  • 錑術
  • 隠形術

現代の武道

  • 柔道
  • 剣道
  • 弓道
  • 相撲(沖縄相撲等)
  • 空手(伝統派空手、沖縄空手等)
  • 合気道
  • 少林寺拳法
  • なぎなた(薙刀)
  • 銃剣道
  • 居合道
  • 杖道
  • 短剣道
  • 抜刀道
  • 日本拳法
  • 琉球古武道
  • 手裏剣術
  • 棒術
  • 躰道
  • 空道


【問題点】

とはいえ長い歴史があれば当然問題点も生じてくる。

形式化と誤った捉えられ方

武道では「形稽古」を基本としているのだが、形を意識しすぎるあまり見栄え重視になり、演武の競技でも型の完成度が高まると期待される一方で、勝敗を重視するあまり難易度の高い型を選んだり同じ型でもより見栄えのするように演武するなど問題も指摘されている。

加えて近年では、漫画やアニメ、ゲームなどで歪曲された日本文化像・殺陣が多く見られる影響から、本来の武道・武術とは全く異なる技術・創作武術が「本来の古武道」として若者や外国人に誤解されることも多い。

継承問題

更に先述の通り、現代に於いては多くの団体が古武道の保存・振興に力を注いでいるが、一子相伝とされるような小さな流派では大っぴらに道場を構えたりせず一族だけで伝承されてきているため、少子化の影響もあり次世代に継ぐべき人間がいなければ容易に途絶えてしまう。
そもそも人を集めるために流儀を宣伝することがないため、親との話の流れや親族の集まりに参列してはじめて「一族相伝の武術があった」ことを知るなどの事例もある。

また各流派での分派・独立が相次いだ結果、所属する流派本家の許可を得ずに勝手に宗家を名乗ったり分派して新たな団体を創設する、除名・破門されているにもかかわらず勝手に流派を名乗るなどの問題も多く発生している。
特にかつての極真会館のように宗家のカリスマ性で成り立っていた流派の場合、宗家が後継者を指名する前に急逝してしまうと後継者を巡っての泥沼の争いに発展することがある。

更に流派の法人化が進むと流派名の法人を勝手に登記したり、本家よりも先に商標権を取得して流派名の権利を主張したりする者もいる
当然これらの中には技術レベルの圧倒的低下が露見したり、逆に別系統批判が平然と行われていることもある。










追記・修正は全ての武道をマスターしてからお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2026年07月13日 18:52

*1 流派によってはそもそも他流試合を禁じていた。

*2 見栄え重視になること

*3 柔術や槍術における乱取り・地稽古の導入など。

*4 当時の陸軍は当初フランス式剣術を採用していたが、後に日本式の軍刀術、銃剣術を制定した。

*5 廃嫡や他家へ養子に出される、仏門への出家などで。