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更新日:2026/07/11 Sat 20:55:57
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『ハード・ターゲット』は1993年公開のスーパーヴァンダミングガンアクション映画。
香港ノワールの巨匠、ジョン・ウー監督のハリウッド進出第一作にあたる。
ヴァンダムが敵を撃って蹴って撃って蹴って撃ち蹴りまくる話で、香港映画の火薬と命の安さを直輸入したドンパチ満漢全席な内容に当時の観客は度肝を抜かれた。
100分ある本編の後半はほぼ銃撃戦で、その様はさながら
体術の代わりに火薬を増強したジョン・ウィック、ラストの大銃撃戦は
倉庫内で行われる総火演。
一方で困窮した元兵士が参加するデスゲームという社会派テーマとエンタメの融合した脚本は、単なる脳筋アクション以上の深みも持ち合わせている点も見逃せない。
あらすじ
女弁護士のナットは、音信不通の父を捜しにニューオリンズを訪れる。
捜索の過程で知り合った元海兵隊員のチャンス・ブドローの伝手を辿り、同じく兵士だった父は多くの仲間たちと同様、困窮してホームレスに落ちぶれた上、数日前から失踪している事実を掴む。
そんな二人を影から監視する怪しげな男たちが。
彼らこそは富豪相手のマンハント・ゲームを催す闇の組織『サファリ』の一団。
その獲物はホームレス、それも戦闘能力の高い元兵士ばかり。
ナットの父も彼らの毒牙にかけられていた。
証拠を掴んだブドロー達を、組織の首領フーションは今季の最大の獲物に指定する。
今ここに最強の獲物と狩人の対決の火蓋が切って落とされた。
本当に狩られるのはどっちだ?
登場人物
●チャンス・ブドロー
主人公。商船員だが麻薬密輸犯の船長を半殺しにして現在は求職中。
その腕っぷしを買われ、ナットの父探しに協力することとなる。
実は海兵隊の特殊偵察部隊の出身で、その戦闘力は
はっきり言って異常かなりのもの。
あらゆる銃器の扱いに精通してるのは勿論、
バイクをアクロバット走行させながらの曲撃ち、馬上で上空の
ヘリと互角に撃ち合う、通常は狙いを付けるのも困難な
二挺拳銃で数多の敵を穴だらけにする等の
超人的な射撃テクと運動神経の持ち主。
素手でもめっぽう強く、チンピラ数人程度なら瞬殺、得意の蹴り技の威力は喰らった相手が一撃で吐血するほど。
自然を利用したブービートラップの作成など野戦にも長ずる。
自身と似た境遇の父の身を案じるナットに共感しやがて真相に迫る洞察力や、一見ニヒルなようでホームレスたちの悲惨な実態に心を痛める彼女を逆に気遣う優しさも併せ持つ。
この人なんで無職なの?
登場時はスープ一杯頼むのにも事欠く赤貧ぶりながら、ジョン・ウー系主人公のトレードマークたる黒のロングコートをはためかせていたり、これだけの技能を持ちながら車は運転できずナットに頼るなど、若干
設定が迷走得体の知れない部分もある。
鳩とは大の仲良し。
「チャンスって名前は、お袋が俺に賭けてたんだ」
●ナターシャ・ビンダー
本作のヒロイン。通称ナット。弁護士で目鼻立ちの整った
美人。
両親は離婚しており長らく手紙だけでやり取りしていた父からの音信が途絶えたことから、彼の住む街にやって来る。
スラムに高級車で乗り付けるなど不用心なところがあるが、絡んできたチンピラやサファリの構成員にも果敢に反撃するなど只のお嬢様というわけでもない。
父の死亡が判明した後も街に残り、ブドローと共に真相に迫ったことからサファリの標的にされ、彼と一緒にドンパチ逃避行をする羽目に。
「ぶよ(Gnat)じゃないわ、ナットは愛称よ」
●エミール・フーション
人狩り組織『サファリ』の首魁。
アンドロイドじゃない。
世界中を転戦してきた元傭兵のフランス人。
顧客の富豪たちに自分と同じ兵士だったホームレスを狩らせて大儲けするド悪党だが、殺しには一定の美学を持つ様子で、一方的な狩りに興じる客に顔を顰めたり、圧倒的有利な状況から反撃され負傷した者を助けずその場で処刑したりもしている。
自らのビジネスに勘付いたブドローの経歴を知ると、世界中から常連客を招集し部下たちも総動員して一大ハンティング祭を決行する。
客には金に飽かせた贅沢な装備を提供する一方で、自らの得物は単発式のトンプソン・コンテンダーという点に狩人としての矜持や美学を覗かせる。
豪奢な私邸を構え、ピアノの腕前も中々のもの。
「全額前金にした理由がこれで分かっただろ?」
●ピク・ヴァン・クリーヴ
フーションの右腕である南アフリカ人の傭兵。
現代転生したイムホテップ様。
組織の窓口役を務めつつ実働部隊の指揮もしており、証拠隠滅の際にも自ら出張って後始末をする働き者。
ブドローの思わぬ反撃に熱くなるボスを諌める参謀役でありながら、獲物をいたぶることに喜びを見出す
嗜虐的な面も見せる。
兵士としての能力も相当で、ブドローと同様あらゆる種類の銃器を使いこなし、足跡から獲物の動きを予測するトラッキングの技術にも長けている。
ブドローを好敵手として認め、直接対決で仕留めることに執念を燃やす。
フーションとはビジネス関係以上の繋がりがあったようで、その死は彼を激昂させた。
名前の由来は西部劇の名優、リー・ヴァン・クリーフから。
「お前は決して俺の期待を裏切ったりしない、そうだろ?」
●カーマイン・ミッチェル
ニューオリンズ市警の女刑事。
ナットに父の捜索を依頼され、当初は手がかりの無さに事務的な対応をとるが、遺体が見つかった際には同情を示し、それがアリバイ工作された他殺体と知ると単身再捜査に乗り出す正義感の持ち主。
「お父さんを探すなら案内人を立てて。あなたの捜索はしたくないわ」
●ドクター・モートン
ニューオリンズ市の検視官。肺が悪いのかよく咳をしている。
フーションらに買収されており、犠牲者たちの検視報告を偽装していた。
ミッチェル刑事に検視のやり直しを迫られ、慌てて証拠の隠滅を図るも…
その死にざまというか殺され様は平野耕太の漫画『HELLSING』でオマージュされた。
「この街に長居しすぎたようだな」
●ランダル・ポー
ポルノと葉巻を愛する
肥満体の醜い男。
ホームレスたちにピンクチラシを配るバイトを斡旋する傍ら、獲物を見繕ってフーションらに卸す役割を担っていた。
見た目通りのゲス男だが、獲物の判定を誤りナットを呼び寄せたことでフーションに睨まれた上、面識のあるブドローからも関与を疑われ、物理的な突き上げを食らわせてくる両者に心底怯える日々を送る少々気の毒で憎めない面もある。
「ランダルは来ない。耳が化膿しちまったからな」
●エライジャ・ローパー
黒人ホームレス。
現在のしょぼくれたなりとは裏腹に、
ベトナム戦争では陸軍特殊部隊の英雄だった。
ブドローの知り合いで彼や金持ちのナットにも分け隔てなく朗らかに接し、彼女の父探しにも親身に協力する好漢。
だがその心中ではやはり燻っていたものがあったのか、ランダルの斡旋する「稼げる仕事」を受けてしまい…
「いいのか? 一万ドルあればまた"男"に戻れるんだぞ」
●ドーヴィー・ハバート
ブドローの叔父。ひょうきん者で
密造酒造りが趣味。
ニューオリンズ郊外の湿地帯に住み、サファリの追跡から逃れてきたブドロー達を受け入れる。
彼らに馬と武器を提供すると自らも弓矢で参戦、銃火器相手に大立ち回りを見せる。
かつては遊星から来た物体を研究したりしていた。
ブドローの血族らしくトラップ作りもお手の物で、自前の蒸留設備を用いた即席ナパームで自宅の小屋ごと吹き飛ばしてしまう
豪快にも程があるスーパー爺ちゃん。
「誕生日に貰った銃? ワニが食っちまったよ」
●ダグラス・ビンダー
失踪したナットの父。元海兵隊偵察員。
勤め先からリストラされ家賃を滞納した結果ホームレスとなり、本編冒頭でサファリの餌食となる。
多少面識のあったエライジャ曰く「感じのいい男」で、借りていた部屋の大家にも家賃の支払いを猶予されていたが耐え切れず自ら落ちぶれてしまった。
娘のナットにも自身の窮状を伝えられず、後に白黒写真とはいえやたらリアルな焼死体となって画面に映し出される彼の姿には、作品の掲げるテーマの一端が集約されている。
「俺も道端で暮らしたことがあるから分かる。出来ないんだ、人にすがるのは」
●『サファリ』とその顧客たち
フーションが率いる闇の人狩り組織。
その実態は通常の狩りに飽きたセレブたちに人間の獲物、それも狩り甲斐があり頭数も多く後始末も楽なホームレスの元兵士を供するという、目の付け所が鋭利にも程があるデスゲーム事業者。
主に政情や治安が不安定な土地を狩場とし現地の関係者を買収、足が付きそうになれば彼らごと始末するやり口で世界中の顧客相手に多大な収益を上げてきた。
MP5とバイクで武装した私兵を20名以上抱え、狩りは彼ら猟犬部隊が獲物を追い立て、高級装備を持たせた客が仕留めるというほとんど一方的なもの。
獲物には後腐れが無いよう連絡の取れる親族がいない者で、軍や警察の特殊部隊に属していた古強者ばかりを選定。
さらには狩りの開始時に一万ドルの現ナマという人参を持たせることで潜在能力をフル発揮するよう仕向け、「一定距離を逃げたらそれを持ち帰れる」との条件を出しているが本当に約束を守る気があったかは怪しいところ。
諸々の後始末は勿論、客には事前にオーダーさせた好みの武装を提供し、当日のアリバイ工作まで請け負う至れり尽くせりの内容で料金は全額前金で50万ドル。ぶっちゃけお得では?
ブドローを獲物に緊急開催された大感謝祭では、料金は割り増しの75万ドル。ただし勝者は参加費免除という特典を引っさげ、各地から暇な殺人狂たちを招集した。
●イズマエル・ゼナン
ベイルート出身の富豪。
エライジャを標的とした狩りに参加するが、初っ端からルール違反しかけたり土壇場で止めを躊躇うなど逐一フーションを苛立たせる。
得物は時代を感じる巨大な暗視装置やレーザーサイト等でガチガチにカスタムされた
コルトM725。
●ビリー・ボブ
ジョージア出身の全米に跨るコンビニチェーンのオーナー。
茶色の山高帽を被った恰幅のいい男で、この中でカタギなのは彼だけらしい。
武装は
FN FALと
バイオ4でお馴染みストライカー12。
●ステファン
東側の密輸業者。派手な柄シャツ姿。
常に葉巻を咥えた巨漢で
SVD風に改造したバルメM78/83を使う。
演者は
シュワちゃんのビルダー仲間。
●ミスター・ロパッキ
サモア系の禿げ男。
ナットの父を仕留めた張本人。
愛用の武器はダーツを発射するエアライフルという渋いチョイス。
●ピーターソン
56式を携え帽子をエロ被りした男。
年嵩揃いの参加者たちの中では若く見える。
そのせいかブドローの仕掛けたブービートラップにかかってしまう。
●ジェローム
ピーターソンから引き継いだ56式を使う影の薄い男。
影の薄さも手伝って参加者の中では善戦するが、ブドローの二挺拳銃で滅多撃ちにされ、投げつけようとした手榴弾で自爆するというあんまりな最期を遂げる。
余談
- ガン・フーの名手ジョン・ウー監督のハリウッドデビュー作であり、彼の元には本作と同時に『フェイス/オフ』の企画も来ていた。
- 英語を話せない監督はスタジオに不安がられ、『スパイダーマン』のサム・ライミに現場を監視させた。その縁か本編にライミの弟が出演している。
- ライミ自身はウーを信頼していたので、むしろ本編は監督の過去作のセルフオマージュ、ブローアップ、後続作で見られる演出のプロトタイプが頻出するやりたいこと全部詰めセットのようになっている。
- 当時大スターだったヴァンダムからの干渉の方が厳しかったらしく、やたら脱ぎたがる、蹴り技のシーンを入れたがる、編集にも口を出すなど監督は相当苦労させられたとか。
- 作中のキルカウントは40人程度と当時の映画と比べても突出してるわけでないが、
人が頑丈な香港ウー映画の常として一人の敵が10~30発は被弾するため実際の数字以上のドンパチ感を覚えることは必至。いつまで撃たれとんねん暴力の激しさと痛みを描く彼の作品は死んでからが本番である。
- 本編は2バージョン存在し、日本などでソフト化されている国際版(100分)と暴力描写を短くした米国版(97分)があるが、上記の理由で米国版の方が普通のアクション映画のような編集になっている。
- 117分の試写版と128分のワークプリント版が存在し、後者は近年ドイツで発売されたBDに特典として収録された。ドラマシーンが増強されている他、人が撃たれるシーンもさらに長くなっている。
- ウー映画お約束のハトはいつもの白鳩ではなく普通の種が使われている。
- 2016年にはヴァンダムの弟子筋であるスコット・アドキンス主演で、続編である『ハード・ターゲット2 ファイティング・プライド』が製作されている。
- おお、ヴァンダム映画がガッツリめに紹介されるとは…… -- 名無しさん (2026-03-28 15:58:40)
- 「その男ヴァン・ダム」でヴァン・ダムはジョン・ウーに「ハリウッドデビューをお膳立てした恩を仇で返された」って恨み節だったけど、そもそも自分が嫌われてたことを自覚しなよ・・・ -- 名無しさん (2026-05-26 20:15:49)
最終更新:2026年07月11日 20:55