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窮奇(中国神話)

登録日:2026/10/17 Sat 21:11:34
更新日:2026/10/28 Wed 22:43:51
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■窮奇

『窮奇(きゅうき)(拼音:qióngjī)』とは、古代中国神話にて言及される魔物や霊獣の類。四凶の一つに数えられる。

【概要】

現代の創作では翼を持つ虎の姿で描かれることが殆どであるが、これは『海内北経』や『神異経』での描写である。
『山海経』中の『西山経』ではハリネズミのように全身にトゲの生えた牛のような姿だとされており犬のような声で鳴くという。
因みに、何方の場合でも邽山(けいざん)に住むとされている。

なお、中国語の発音では「チョンチー」だが、別にチョウチンアンコウめいた姿ではない。

日本では、妖怪画で有名な鳥山石燕が妖怪図鑑として知られる自作の『画図百鬼夜行』中にて“かまいたち(鎌鼬)”の対訳語として当てていることでも有名。
……尤も、これは石燕が独自に行ったものではなく、当時の大陸の文献からも学んでいた江戸の知識人達はどうやら中国神話に登場してくる怪物(動物)は日本にも居ると思い込んでいたのがデフォだったよう。
例えば、『産女』(出産で命を落とした女の姿を知らせるもの)に『姑獲鳥』(女と鳥の姿を使い分けて他人の赤子をさらう魔物)を当てたなどがある。
そのせいである時期までは日本独自の妖怪と『山海経』などの中国の怪物が混同されて紹介されていた原因となっていたようである。

窮奇の場合も属性の一つとして風神の類として見なされていたとする伝承が『淮南子』に記されており、これが日本で鎌鼬と窮奇とが混同されていた理由であるようである。
また、後漢の高誘は窮奇を天神であり北方に居て道足、雨竜に乗ると注釈を付けている。

【性格】

何れの伝承でも人喰いの性があると伝えられる。
『神異経』では人語を解し、善行を嫌い悪人を好むと伝えられる。
善人と悪人が争っていると善人は喰ってしまい、悪人には獣を差し入れるなどして加勢すると伝えられる。

【神話上の姿(歴史的側面から)】

同じく四凶に数えられる「饕餮(とうてつ)」「渾沌(こんとん)」「壔杌(とうこつ)」と同様に、邪神や魔物の類ではあるものの非常に高貴な出自を持つとも伝えられていることから、恐らくはやんごとなき血筋にあるどうしようもない悪漢を揶揄して語られるようになった存在であるとも予想されている。

窮奇の場合は「三皇に数えられ歴代の皇帝の祖とも言われる黄帝」の子である「五帝に数えられる少昊」……の不肖の子(子孫)とされている。
即ち、共に英雄であり共に三皇五帝に数えられている祖父と父に対して、孫(子孫)は家名を貶める位のとんだドラ息子だった……ということなのかも知れない。

この歴史的な側面からの姿と、前述の魔物/怪物としての姿の齟齬を埋めるためか、この少昊の不肖の子が邽山に残された後に怪物の姿になったと解説されている例もあるとのこと。

また、四凶は字面通りに恐ろしく人々に害を与える怪物として捉えられていたのは確かで、それ故に舜帝により揃って辺境に追いやられた……とされつつも、その辺境の地では魑魅を追い払う役目に就いたともされている。

……その更生した後の姿ということなのか、後の日本での節分の原型となった追儺(大儺)の鬼祓いの儀式にて、方相氏に率いられる十二獣/十二神の一つにも窮奇が数えられており、此方では一転して悪を喰い滅ぼす存在とされている。


【創作での窮奇】

鏢を主人公とした外伝「桃影抄 ~符咒師鏢~」に登場。
桃花源*1の周囲に生息する妖怪(バケモノ)で、その姿は翼の生えた虎(とらではない)。
しかし、『西山経』の方の記述も採用されているようで、針状のタテガミを持ちそれを飛ばすこともできる。
最後は、浄眼が覚醒した鏢の十五雷正法を受けて滅びる。

窮奇の名前を冠したデジモン「キュウキモン」(完全体・妖獣型・ウィルス種)が存在。
しかし、説明にも「“カマイタチ”のような姿をした~」と書かれている通り、カマイタチの要素が強めで、イタチ顔で両腕も鎌になっている。
一応、タテガミはヤマアラシの針のような雰囲気なので、窮奇要素がない訳ではないが…。

後に中国のみで展開されているアプリ「デジモン新世紀」で、『邪邽山に住む四凶獣』と呼ばれるデジモンたちが登場。
上述の様にキュウキモンは使用済だったため、『イーフーモン(翼虎兽)』というデジモンが登場。
腕に大鷲のような翼を生やした虎の姿の獣人型デジモン。
風を操る能力を持ち、一挙手一投足にその力を乗せた格闘技を得意とする、

司馬懿の最強武器「窮奇羽扇」に名前が用いられている。
ライバルの諸葛亮の最強武器が「朱雀羽扇」なので、南方を守護する朱雀と北方に関連付けられる窮奇で対応させたのであろうか?

カテゴリ【エレキ】に属するモンスターの1体に「エレキュウキ」が存在する。
見た目のベースは赤い牛だが、トゲトゲや翼が生えていたり虎のような縞模様があったりするので『海内北経』『神異経』での姿と『山海経』での姿をミックスしてデザインされたと思われる。

「四凶」にカテゴライズされる超機人の1機「窮奇王」という名称で敵キャラとして登場。
無数の棘でできた翼を持つ赤銅色の虎という、『山海経』や『海内北経』のビジュアルを組み合わせたような姿を持つ。

  • 少年陰陽師
シリーズ初期の大ボスとして登場。「異邦の大妖怪」。有翼の虎としての姿。
日本在住の妖怪のみならず、配下の妖怪をも食ってしまう残忍性と凶暴性を持つ。
単独でも強大な妖怪だが、さらに多数の中国妖怪を引き連れており、ヒロインである藤原彰子にも決定的な傷をつけた。
それほどの妖怪だが、同時に九尾の狐に敗北し、その傷を癒やすために日本に逃げてきたという一面もある。逆に言えば、負傷して本来の力を出せない状態でさえ、あまたの妖怪たちを圧倒する力を持つと言うことでもある。





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最終更新:2026年10月28日 22:43

*1 要は桃源郷