バイラス

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バイラス - (2020/06/13 (土) 14:59:02) の編集履歴(バックアップ)



「最後の手段…私はどんなことをしてもガメラを殺す…」

1968年3月20日に公開されたガメラシリーズの映画『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』に登場した怪獣
別名「宇宙怪獣」「分裂怪獣」(『宇宙怪獣ガメラ』では「水中怪獣」)。
身長96m、体重120t(共に巨大化時)。デザインのモチーフはイカ
「バイラス」という名前は「2倍、4倍」と巨大化することからつけられたものとのこと。*1

肩書や外見からして怪獣のように見えるが、設定的には怪獣というより宇宙人である。
宇宙一優秀なバイラス人にとって、我々以外の物は全て不必要」という発言もあり、他の生物を見下している。
主な攻撃方法としてはその長い足を使い相手の手足や首を締めたり豪快に投げ飛ばすことができる。
また頭部を閉じて槍状に変化させることも可能で、ガメラとの戦闘時にはこの状態でガメラに突撃し腹部を貫いた。

+ 劇中での活躍
劇中では自身の生命維持に必要な窒素が豊富に存在するとの理由で地球を植民地化しようと宇宙船で飛来するが、
宇宙空間でガメラに遭遇してしまいあっけなく爆発。
しかし間を置かずに二機目の宇宙船が派遣され、こちらは一機目の反省を生かし地球侵略の最大の障害であるガメラの排除を第一目標にする。
こちらは地球の茅ヶ崎市海岸に到着し、更に海底にいたガメラを宇宙船からのスーパーキャッチ光線で捕獲することにも成功する。
バイラス人は捕獲したガメラの記憶を解析し、ガメラの唯一の弱点が「子供」だと知る。
そしてちょうど海岸で行われていたボーイスカウトのキャンプに参加していた、正夫とジムの2人の少年を拉致し人質とした。
子供を人質にされ攻撃できないガメラに対し、バイラス星人は脳波コントロール装置をセットし、
ガメラに黒部ダムや東京などで破壊活動を行わせることに成功する。
人類がガメラを止める方法として、ガメラを操る宇宙船を攻撃する方法が考えられたが、
国連は人質の子供達を犠牲にできないと決定し、バイラス星人に降伏した。
地球侵略もほぼ成功に終わると思われたが、人質となっていた二人によりガメラの解放と二人の脱出を許してしまい、
ガメラに宇宙船を破壊され追いつめられてしまう。
最後の手段として中にいたバイラス星人のボスは、他の分裂体を合体吸収して巨大化しガメラとの戦いに臨んだ。
長い触手や頭部でガメラの腹を貫くなど有利に戦闘を進めたが、頭部が深く刺さることを利用されガメラに上空へと持ち上げられてしまう。
その後低温下で凍り付いた状態で海へと叩き落され粉々となる最期を迎えた。

画像のような姿を見せたのは劇中後半になってからであり、当初宇宙船の内部で主に見られたのは地球人のような姿をした「バイラス人」であった。
その正体は分裂したバイラスが人間に寄生し、行動を支配しているもので、腕がちぎれてもすぐに元に戻るなどもはや人間ではない。
ボスだけは写真と同じ形態のまま人間大で何故か檻に入ってただのイカを装っていた。
最終的にはボスが巨大化するときに首をはねられてしまい、中身のバイラスが正体を現しボスへと融合していった。
ちなみに彼らは目だけを光らせた黒いシルエットのような不気味な姿を見せるが、
電球を仕込んだアイマスクをまぶたに貼り付けて撮影されたため、電球の熱でまぶたをやけどしたらしい。

『ガメラ対ジャイガー』と『宇宙怪獣ガメラ』では、上記の映画の映像を流用する形で登場。
特に『宇宙怪獣ガメラ』では肩書の「宇宙怪獣」がガメラに取られてしまったため「水中怪獣」に変更されていたり、
単独の侵略者ではなく宇宙海賊の手先という設定になっている。

+ 作品についての余談
今作からアメリカでの放映計画が盛り込まれている影響で、中身は前3作よりも勧善懲悪テーマが強調されており、
その結果シリーズ初の子供を主役に置いた子供向けの作風となっている。
主人公も日本人の正夫と外国人のジムの二人になっており、この「日本人の少年と外国人の少年(少女)が主人公」という形式は、
以降の「ガメラ対ジグラ」まで引き継がれることとなった。

予算面で言えばかなり厳しかったらしく前作の3分の1程度しかなかったらしい。そのため多くの予算節約の工夫が見られ、
•火薬の節約のため、後脚のみジェット噴射をするスタイルを新規撮影箇所で多用。
•バイラス星人の円盤の内部はほとんど同じデザインという設定にして全て同じセットで撮影。
•バイラス星人がガメラの記憶を覗き見るシーンやガメラが操られるシーンは、前3作のバンクフィルムを使用。
•物語の舞台がほとんど茅ヶ崎海岸か宇宙船。
など現場は相当苦労したようだ。
撮影期間も短くわずか25日。製作スタッフ一同は本作がガメラシリーズ最後の作品になると考えていたが、子供たちの評判が大変良くて映画は大ヒット。
次作『ガメラ対大悪獣ギロン』の制作が決定された。

+ 映画作品以外でのバイラス(漫画、小説など)
破李拳竜の漫画『大怪獣ガメラ』においてもギャオスの配下としてバルゴン、ギロン、ジャイガー、ジグラと共にガメラを襲ったが、
ガメラ剣法まとめ切りからのプラズマ火球乱れ撃ちで他の怪獣諸共倒された。

1996年刊行のアメコミ『Gamera: The Guardian of the Universe』にも敵怪獣の大ボスとして登場。
外見はほぼ昭和版と同じだが、出自の設定が大きく異なり、高い知能を持つが宇宙人ではない。
本作は平成ガメラ3部作の第1作『ガメラ 大怪獣空中決戦』と2作目の間の時系列の作品である。
本作のバイラスはコントロール可能な怪獣を作ろうとする狂った女科学者のグレタ・カルボーン博士が、
平成版ギャオスの死体から回収されたギャオスのDNAを使用して作り出したバイオ怪獣である。
グレタ博士の脳液や髄液を打ち込まれたため、グレタ博士と精神が繋がっており、
グレタ博士を逆に支配下においてコントロールし始めてしまう。
浅黄の勾玉を強奪してガメラを操り、人類にガメラを殺させた後に全人類を支配しようと企んでおり、
海で怪獣大に成長した後にフランスのパリに上陸して暴れまわる。
強奪した浅黄の勾玉をグレタ博士に持たせてガメラを操り、人類の攻撃を防ぐ盾にしたが、
主人公たちの活躍でガメラは正気に戻り、ガメラとの直接対決の末ガメラに敗れ去った。
本作のバイラスは頭部を閉じて敵を突き刺す技は一切使わなかったが、
代わりに頭部の3本角の中央から放電光線を放つ能力を多用する。
映画では使わなかった能力だが、おそらくは当時の昭和ガメラの怪獣解剖図に掲載されていた、
「頭部の3本角の中央から放つ10億ボルトの殺人光線」の設定を元にしていると思われる。
本作は2018年に株式会社フェーズシックスより『ガメラ 宇宙の守護者』の題で日本語翻訳版が刊行されており、
バイラスの都市破壊、平成ガメラとの怪獣対決が躍動感と迫力のある画で見られるので読んでみてもいいだろう。

また、『小さき勇者たち~ガメラ~』の小説版にはGバイラスとして登場する。


MUGENにおけるバイラス

レイザースゲルカドンを製作したバリ音スクス氏によるバイラスが2015年11月29日に公開された。
2018年11月18日の更新でこれまでのバージョンに存在した不具合の修正や性能調整がされており、
現在は『MUGEN怪獣キャラ総合スレ3』の853にて他の共々公開されている。
氏が以前手掛けたガドルフォドンとバギラジグラをベースに製作されている。
手書きで書かれており、劇中の姿や頭部が槍状に変化するところもしっかり再現されている。
通常技、ゲージ技、超必殺技のいずれも搭載されているが、劇中での使用技よりもバリエーションが大幅に増えている。
相手に突撃する「水平突き」やガメラの腹部を貫いた「急降下突き」が強力であり、
更に円盤からの「スーパーキャッチ光線」や「スーパーキャッチ光線逆回路」や、
誘拐していたという設定でジグラやギロンをストライカーとして召喚することもできる。
2018年11月更新版ではAI戦で相手がガードできなくなる状況が発生する不具合などが修正され、
オプションで技使用後に一定時間使用不能になる技が今使用可能なのかどうかを表示することが可能になった。
同梱のreadmeの記述に従って記述を修正すれば、アイコンで使用不能な技が分かるようになるので人操作向きかもしれない。
AIは未搭載。

出場大会

  • 「[大会] [バイラス]」をタグに含むページは1つもありません。

*1
ウイルス(virus)の英語読みでもあるが直接は無関係(「ウイルス」はラテン語読み)。
日本でもかつては業界によってはドイツ語由来の「ビールス」と発音されていたこともあったが、今では「ウイルス」に統一されている。
そのためそっちの意味での「バイラス」は日本では馴染みは薄く、特撮ではこの後40年以上はしないと出てこない。