ベムラー


『ウルトラマン』の記念すべき第1話「ウルトラ作戦第一号」に登場した怪獣。別名「宇宙怪獣」。
身長50メートル、体重25000トン。
その名前は『ウルトラQ』に続く新たな特撮番組として当初企画されていた『科学特捜隊ベムラー』に由来する。*1
武器は口から放つ青色の熱線「ペイル熱線」。他にも青い球体のような姿になって自由に飛行する事ができ、
データカードダスの『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』ではこれで体当たりする必殺技を持っている。
ウルトラマン曰く「宇宙の平和を乱す悪魔のような怪獣」で、性格は凶暴で残忍。
ちなみにベムラーは第1話の怪獣ではあるが、この当時の怪獣ものに「二足歩行の爬虫類をモチーフにした怪獣」は何度も出てきたため、
「全体的にスマート」「顔が前後に長くない(獅子舞がモチーフらしい)」「前足は退化して小さくなっている」などよく見ると結構捻った造形になっている。

「死刑囚」として護送されている途中に脱走。*2「青い玉」となって地球に飛来し、竜ヶ森湖にその身を潜めた。
そして「青い玉」の知らせをうけてビートル機で調査に向かっていた科学特捜隊員のハヤタ隊員は、
青い玉=ベムラーを追ってきた赤い玉と衝突し命を落とす。
赤い玉の正体である宇宙人(=ウルトラマン)はハヤタに自らの命を与えて一体化し、共に地球を守るため戦う事を約束する。

その後、ベムラーは科学特捜隊の「ウルトラ作戦第一号(ハヤタの潜水艇と他のメンバーの空中からの挟み撃ち攻撃)」によって遂に湖からその姿を現す。
しかし、ベムラーの攻撃によってハヤタも窮地に陥る。
ハヤタは「困ったときにこれを使うのだ」と宇宙人から渡されたベーターカプセルをかざす。
するとベムラーの前に、赤と銀の巨人がその姿を現した。

M78星雲の宇宙人からその命を託されたハヤタ隊員は、
ベーターカプセルで宇宙人に変身した。
マッハ5で空を飛び、強力なエネルギーで、
あらゆる敵を粉砕する不死身の男となったのだ。
それ行け!我らのヒーロー!

格闘の末、ベムラーは青い玉の姿で逃亡を計るが、巨人は腕を十字に組んで光線を発射。それを浴びたベムラーは遂に撃破された。

ハヤタ「キャップ、ところでベムラーは、どうなりましたか?」
ムラマツ「うん、宇宙人が追っ払ってくれたよ」
ハヤタ「やっぱり、が出て来てくれましたか。僕も、そうじゃないかと思って安心してたんですよ」
フジ「すると、あなたを助けてくれたのも」
ハヤタ「彼だ!」
イデ「ちょ、ちょ、ちょ、ちょい待ち!彼、彼って親しそうに言うけど、一体、名前は何て言うんだい?」
ハヤタ「名なんか無いよ」
イデ「よせやぁ~い、名無しの権兵衛なんて、あるもんか」 

ハヤタ「う~ん、そうだなぁ…じゃあ “ウルトラマン” ってのはどうだ?」

こうして、「ウルトラマン」の名を冠された巨人と科学特捜隊の地球を守る戦いが始まったのである。
……まあ英語版だと「アイム ウルトラァマァ~ン」と自分からハヤタに名乗ってるんだけどね

初代ウルトラマンがゼットンに敗れ地球を去った後も、様々なウルトラ戦士が地球を守るためにやってきた。
…それはベムラーが地球に逃亡し、それを追ってきたウルトラマンとハヤタの邂逅があってこそだったと言えるだろう。
そう言う意味では、皮肉にもウルトラ一族と地球人の間に橋渡しをした存在でもある。

ウルトラマンが地球で最初に戦った怪獣というだけあってシリーズでもその扱いはそれなりに大きく、
ウルトラマンティガ』や映画『ULTRAMAN』ではベムラーのオマージュである怪獣が登場する。
この他、様々なメディアミックス作品において「ベムラー=何らかの始まりを表すもの」という記号的な扱いを受ける事も多い。
もっとも、公式作品で一番初代へのオマージュ度が高い『ウルトラマンパワード』に限って、バルタン星人にその役を取られてしまっているのだが。

+ その後のシリーズでの活躍
映像作品においては、上記のようにオマージュこそされどベムラーそのものは中々登場していなかったが、
2009年の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』において遂に着ぐるみが新造され*3
冒頭でウルトラマンメビウスと戦うという出番を与えられた。
なお、宇宙空間でメビウスがベムラーを追いかけるシーンは初代のオマージュである。
『ウルトラゼロファイト』第一部ではバット星人グラシエによって蘇った怪獣としてウルトラマンゼロと戦い、
新形態ルナミラクルゼロのミラクルゼロスラッガーによってテレスドン共々倒された。
あっさりやられてしまったが、初代同様第1話を盛り上げ、ヒーローを引き立てる役目は十分果たしたと言えるだろう。

『ウルトラマンギンガS』ではガッツ星人ボルストが変身し、ベムスターとタッグを組んで「ベムベムコンビ」を結成。
ベムスターに変身しているのもボルストの分身である為、完璧なコンビネーションを発揮して二大ウルトラマンを苦しめた。
本作ではチブル星人による強化装置チブルサーキットの影響か、敵を捕縛する金縛り光線を放つ能力を見せた。
ウルトラマンX』では第1話冒頭に登場した他、第20話「絆 -Unite-」に登場。
防衛チームXioの橘さゆり副隊長が新宿で等身大の怪獣バグバズンブルードと交戦している最中、
突如カナダに出現して副隊長の娘達を襲撃した。
しかし、その絶望的な状況下でも諦めなかった橘副隊長はウルトラマンネクサスの適応者として覚醒。
ネクサスに変身して新宿のバグバズン達を叩きのめしたあと、カナダへと急行して娘達をベムラーから護った。
ちなみにネクサス客演のこの話でベムラーが起用されたのは、先述の映画『ULTRAMAN』におけるオマージュが由来となっている。

2016年の『ウルトラマンオーブ』ではシャプレー星人カタロヒによって強化された個体が登場(公式資料での呼称は「ベムラー(強化)」)。
背中のトゲが青く、熱線も「ハイパーペイル熱線」にパワーアップしている。
そして頭部に新たに生えた、巨大な2本の角には光線を吸収する能力があり、
光線技が中心のフュージョンアップ形態・スペシウムゼペリオンで戦いに挑んだオーブを苦戦させた。

+ その他の作品におけるベムラー
漫画『大怪獣バトル ウルトラアドベンチャー』では、初めは敵として登場するが、
主人公のイオ少年が操るゴモラとの戦いに敗れた後バトルナイザーに回収されて仲間となった。
ウルトラマンジャックを苦しめた強豪である用心棒怪獣・ブラックキングを(相手が弱っていたとはいえ)倒したりと、中々の活躍を見せる。
戦闘面以外にも、球体形態でイオ達の乗ったキングジョースカーレットの頭部を運び宇宙飛行用に使われた事もあった。
ピグモンに「イオの怪獣の中では弱い方だッピ」と言われて拗ねるユニークなシーンも。
最後はデスフェイサーに憑依したレイブラッド星人との最終決戦にて、
放たれたネオマキシマ砲からゴモラを庇って直撃を受け、後を託して消滅した。
以前は本作は刊行停止で絶版だったが、2018年に上下巻構成でイオが主人公の部分が綺麗に終わる箇所まで復刊されている。
ベムラーの戦いと最後の活躍までがきちんと読めるようになったので読んでみてもいいかもしれない。

『月刊ヒーローズ』にて連載中の漫画『ULTRAMAN』では始まりの敵 ベムラーが登場。
モーションコミックでの担当声優は『魔法戦隊マジレンジャー』で魔導騎士ウルザードを演じた磯部勉氏。アニメ版では曽世海司氏が担当。
数十年ぶりに地球上に出現した異星人であり(後に「同盟」を結んだ事により多くの異星人が移住している事が判明した)、
パワードスーツを着用したハヤタや息子の進次郎と夜のビル街で激突した。
その際、ハヤタや進次郎に流れる「ウルトラマンの因子」の存在を危険視する発言をしている。
牙やトゲなどベムラーを連想させる装甲服を着ているが、手足は長く色は銀色。
科学特捜隊に所属するゼットン星人のエド曰く「我々が抱える大きな問題をよそに個人的な理由で動いている」らしく、
冒頭で一般の旅客機を撃墜した疑惑があるものの、別の異星人から「むしろ守ろうとしていたのではないか」と指摘される等、
正体・真意いずれも謎が多い存在だったのだが……
+ 以下ネタバレ
エースキラーと進次郎の戦いを見て進次郎への危険視を止め、協力することも増えたベムラー。
「暗黒の星」首領ペダン星人との戦いではハヤタの呼びかけに応え、スペシウム光線でハヤタと進次郎に加勢。
その正体は、かつてハヤタ隊員と一体化していたウルトラマン本人だった。
全宇宙の知的生命体が属する組織・星団評議会と戦う為に現在の姿になったようだが、その真意は未だ不明である。
つまり、ベムラーはベムラーでも『科学特捜隊ベムラー』の方だった

『ウルトラ怪獣擬人化計画』では褐色の肌に青白い髪というデザインで擬人化されており、
所々に青色が散りばめらているのもあって上記の強化体に通ずる点も多いが、こちらの方が先に出ている。
小説版ではかつて竜ヶ森湖に飛来したベムラーの魂を受け継ぐ少女・天城ミオとして登場。
「地球上で初めて存在の確認された怪獣娘」であり、世界観のリンクしたアニメ版でも作中人物からその存在が語られている。

+ ゲーム作品におけるベムラー
SFC版『ウルトラマン』では、当然のごとくステージ1のボスを務める。
リーチの長い尻尾攻撃や飛び道具のペイル熱線など、足元を狙ってくる攻撃が厄介だが動きは遅く、急降下キックの連発だけで勝てる。
最初のボスらしい楽な相手なので、熱線をバリヤーで跳ね返すなど技の練習台にすると良いだろう。

ソーシャルゲーム『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』では、最初の怪獣としてベムラーを入手する事が出来る。
固有スキル「追いたてる悪魔」は、
  • 相手を倒した時、攻撃力・必殺技攻撃力・命中率が中アップ
  • バトル中1回のみ移動力がアップ
など攻めに特化した性能となっている。
また、必殺技「ペイル光線」は次のフェイズ終了時まで相手の防御力(近距離タイプ)が中ダウンする。
相性「力」のアタッカー型としては些か他と見劣りするものの、スキルが主に自己強化で癖が少ないため、戦力が少ない内はそれなりに頼りになるだろう。
どちらかと言えば、ゲーム中で見られる必殺技紹介ムービーで相手役をさせられている姿の方が印象に残りやすいかもしれないが


MUGENにおけるベムラー

這い寄る混沌氏によってSFC版を基に製作したものが2009年9月5日に公開された。
現在はムゲぎこ氏によって代理公開されている。

長らくMUGENにいない状態であり、ウルトラマンの記念すべき最初の敵という事で待ち望んでいたファンも多いと思われる。
登場シーンも青い球の姿で降りてくるという、凝ったものになっている。
氏の怪獣キャラにしては能力が低めで技も熱線のみと地味だが、リーチが長く斜め下に発射され、更に地面からは火柱も上がり、
後には判定の付いた炎も残るので意外と広範囲をカバー出来る。
この他に対空版や超必殺技版もあり、超必版は持続が非常に長いうえに火柱部分だけでも約5割、
熱線部分がクリーンヒットすればなんと9割持っていく
AIは現在の所試作用との事だが、それでもゴッドルガールが相手にならない辺りやはりというかなんというか。

出場大会

削除済み

出演ストーリー

その他



*1
常識を越えた事件を専門に扱う科学特捜隊と、彼らのピンチに駆け着ける烏天狗のような謎の宇宙生物、
「ベムラー」の活躍を描いた作品が想定されていた。
なお、同企画の主役怪獣ベムラーは、2009年の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』にて、
ラストに登場する百体怪獣ベリュドラを構成する怪獣の一体に組み込まれている。

*2
『ウルトラマンひみつ大百科』に掲載された漫画ではこの時の様子を詳しく描いており、
ウルトラマンは友人である宇宙警備隊員クロードと2人でベムラーを護送していた際に隕石群と接触、脱走を許してしまう。
ベムラーは逃亡先の星で自分を追ってきたクロードに深手を負わせ、またも逃げ出す。
ウルトラマンが駆け付けた時にはクロードは既に虫の息であり、今際の際にベーターカプセルをウルトラマンに託す。
これが本編第1話に繋がる……という顛末になっている。

*3
スタッフのインタビューによれば、厳密には新造では無くアトラクション用スーツの改修らしい。
改修前は相当損傷が酷い状態だったらしく、曰く「一から新造した方が手間がかからなかったかも」との事。


最終更新:2024年02月04日 14:25