#image(車破壊.gif,title=歴代の車の持ち主に同情せざるを得ない) 対戦格闘ゲームにおいて、通常のCPU戦とCPU戦の間に挟まれる、ボーナス得点を獲得するための特別ステージの事。 多くの場合、課題を突破出来なくてもミスになる事はない。 ゲームセンターのゲームには「如何にハイスコアを出し、ネームランキングにその名を連ねるか」の競争がある。 プレイヤーはただゲームをクリアするだけではなく、ハイスコアを獲得するための研究を重ねる事も必要とされ、 またそれがアーケードゲームならではの楽しみ方として、今なお続いている。 (特に、インターネットを利用した全国集計が可能となった現在では、その競争熱は以前よりも高まっているのではないだろうか)。 そのスコアを大きく伸ばす、いわばチャンスとしてのボーナスステージが設定されているゲームが様々なジャンルで存在していた。 こうしたシステムは1987年に稼働開始した初代『[[ストリートファイター]]』でもそのまま取り入れられており、 同作ではCPU戦をすべて勝ち抜くまでの間に瓦割りと板割りのミニゲームがそれぞれ2回ずつ、合計4回挿入されて最終スコアを競うようになっていた。 『[[ストリートファイターII]]』にもこのミニゲームが引き継がれると同時に、 当初『初代』の続編としてプランニングされていた『ファイナルファイト』などのベルトスクロールアクションにも類似したボーナスゲームが引き継がれた。 余談になるが、ベルトスクロールアクションではスコアを一定まで稼ぐと残機が1増えるというSTG譲りの仕様があり、 普通に攻略するにしてもハイスコア狙いにしても非常に重要な要素として据えられている(クリア時の残機はスコア換算される)。 格闘ゲームというくくりでは、90年台中期までのタイトルを中心にハイスコアを狙える要素として存在していた。 以下に一例を挙げるが、後発の物では単なるスコア稼ぎのみならず別の意味が付加されたものもある。 -『[[ストリートファイターII]]』シリーズ:車破壊、樽壊し、ドラム缶破壊 -『[[餓狼伝説]]』シリーズ:ボタン連打による腕相撲や石柱壊し -『[[龍虎の拳]]』シリーズ:ミニゲームをクリアする事で[[超必殺技]]が使用可能になる、[[体力>ライフバー]]・[[気力>ゲージ]]アップ -『[[豪血寺一族 祭 先祖供養>豪血寺一族]]』:「演舞」という形で一定時間トレーニングモードとして操作練習も可能 -『[[ウォーザード]]』:[[ムクロ]]及び[[タオ]]では得点稼ぎのみだが、[[レオ]]と[[タバサ]]では隠し武器が獲得可能 このように、様々な形でボーナスステージが存在していた。[[中にはボーナスと呼べるかどうか疑問なもの>ボーナスくん]]もあったが。 #region(余談) 「ボーナスステージ」といえば真っ先に連想されるのが、 『ストリートファイターII』や『ファイナルファイト』の自動車を素手や鉄パイプでぶっ壊すというインパクト抜群のアレだが、 このボーナスステージでぶっ壊される車はモデルがあり、トヨタのセルシオ、更にナンバープレートは「JAPAN」である。 ここまで書いた時点ですでにお察しの人もいるかもしれないが、 これの元ネタは当時日本と欧米諸国の間で起こっていた貿易摩擦を発端としたいわゆるジャパン・バッシングである。 特に北米では好景気に湧いた50年台が終わりを告げると車の売れ行きが伸び悩むと同時に、 大衆車として安くよく走る日本車が入ってきて市場を奪われるという追い打ちが起こる。 これにより、北米の大手自動車会社も製造の縮小や従業員のリストラ、工場の閉鎖などが相次いだ。 ゼネラルモーターズの企業城下町としての側面が強かった[[デトロイトでは街には失業者が溢れ、犯罪都市になってしまう>ロボコップ]]など、 企業のみならず生活にも多大な影響を及ぼしていた。 特にトヨタが入念なマーケティングの末に投入したセルシオは日本車が強かった大衆車やトラック市場に加え、 それまでアメリカや西ドイツの会社がほぼ独占していた高級車市場を猛烈な勢いで席巻したのだが、 これによって「最後の聖域」まで奪われる格好になった北米・欧米企業からはダンピングとして批判の的となった。 こうした批判の声が高まると、パフォーマンスとして日本製品をハンマーで叩き壊す人が出てきたり、 アジア系全般の技術者・労働者が迫害されたり殺害されるという事件が起こるなど、 貿易摩擦問題は経済のみならず命に関わる問題にまで発展し、結局は日米間で段階的に妥協点を探りつつ折り合いをつける事になる。 こうした一連の出来事を皮肉ったのがこの「車を壊す」ボーナスステージである。 なお、この破壊される車は前述の出来事からトヨタ・セルシオ(II系列)→三菱・パジェロ(3rd)→トヨタ・クラウン(IV系列) …と変遷しており、基本的にはこのバッシングを受けたトヨタの高級車がターゲットである事が多い (ただし、ナンバープレートは「JAPAN」→「CAP」または「CAP-〇〇」に変更された)。 「3rd」で破壊される三菱のパジェロはこの頃日本でRVブームが起こり、テレビ番組などでも景品にされるなど、 知名度が非常に高かったことから%%完全にとばっちり%%ターゲットにされたものと思われる。 「実在の車をぶっ壊して怒られないのか」と心配するかもしれないが、トヨタサイドはむしろ、 SUV、C-HRの宣伝映像として「リュウが自動車に乗って世界中を旅し、[[乗ったままベガに勝利>のりもの]]、ピカピカに洗車して終わる」という 『ストII』とのコラボ動画を公開するなど、&b(){むしろノリノリでネタにする方針}のようである。 &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=ZYOrCYLYp_E){320,240} #endregion しかし、次第に対戦格闘ゲームの楽しみ方として、スコアアタックよりも対戦が重要視されるようになり、 対戦には直接関わらないボーナスステージはゲーム展開のテンポを崩してしまうものとして排除されるようになった。 また、メーカーの側でも90年台中期に差し掛かるとインカムを重視して対戦の回転率を上げるため、 ゲームスピードを上げる事やデモや戦闘前後のセリフカットなどを推し進めるようになった事も排除の一因に挙げられる。 そして対戦に関係のない要素をさらに排除し、純粋な対戦ツールとしてリリースされた『スーパーストリートファイターIIX』や、 『餓狼伝説スペシャル』が登場して以降は、それに準じてアーケード版にはボーナスゲームを入れないゲームが主流となっていく (逆に、意識してボーナスステージを入れるゲームも稀にあるにはあった)。 ただし、アーケードから家庭版に移植されたものや、アーケードと家庭版が同時に開発進行されていたゲームの場合、 家庭版のみのおまけ要素としてボーナスステージが追加されるケースもある。 ちなみに普通の操作キャラクターながら動きが鈍重かつ単調、[[無駄にでかい>巨大キャラ]]、[[スーパー・>スーパーアーマー]][[ハイパーアーマー]]持ち、 そして何より&b(){弱い}キャラクターが&b(){通称で「ボーナスステージ」と呼ばれてしまったりする}。 (『[[マブカプ>MARVEL VS. CAPCOM]]』の[[ザンギエフ]]、『[[アカツキ電光戦記]]』の[[電光戦車]]等) なお[[この方>ボーナスくん]]はそもそもボーナスステージ専用キャラなのでそういう意図はない。 …いや『[[ギャラクシーファイト]]』の頃はそうだったかもしれないけど、修行して強くなったんだからねっ! また、アーケードモードの最終ボスが非常に弱い場合なども「ボスまで行ったらあとはボーナスステージ」などと揶揄される場合がある。 ---- **MUGENにおけるボーナスステージ 本来のシステムの柔軟性を利用してボーナスステージを再現するデータが製作、配布されている。 また独自のボーナスステージを製作、得点を競うデータもある。 [[これを>第一回mugenハイスコア選手権]][[メインとして>第二回mugenハイスコア選手権]][[扱う動画>第三回mugenハイスコア選手権]]もあり、対戦だけではなくこういった楽しみが出来るといった、MUGENの面白さを伝えるファクターとしても機能している。 ***MUGENで配布されているボーナスステージの例 //とりあえずボーナスステージが勝ってしまうものもあるので分けてみました。 -プレイヤーがKOされることのないボーナスステージ --「[[体力鍛錬の行]]」:大量に現れる雑魚をなぎ倒す --「石柱壊し」:石柱を攻撃して破壊 --「[[トレインクラッシャー>Train]]」迫り来る列車を破壊 --「演武」:出てくるカカシを斬り(?)倒す --「[[ダックハント]]」:空飛ぶカモをたたき落とす --「[[Catwalk]]」:DDR風ダンスゲーム --「KFM無双」:[[KFM>カンフーマン]]をなぎ倒し、ポケットファイターのジェムを回収 --「[[Break the targets>ターゲットをこわせ]]」:ステージ内を移動するターゲットを30秒間で何個壊せるか競う --「[[car]]」:用意された車を破壊する --「[[ブロックボーナス]]」:積み上げられたブロックの塊を壊す -プレイヤーがKOされる恐れがあるボーナスステージ(いわば死亡遊戯) --「[[真・三國無双]]」:複数登場する雑魚兵を倒していく。 --「エイリアン無双」:[[エイリアン]]クイーンを上手く捌きながら、雑魚エイリアンを倒す --「サルタバルタ無双」:『ファイナルファンタジーXI』の敵モンスターをなぎ倒す --「ボーナスカンフーマン」:一度に3人出現するKFMを倒し続ける(ただし一定数倒すごとに[[MP>ミッシングパワー]]KFMが出現) --「[[Super Mario Bros Stage 1-1>スーパーマリオ1-1]]」:FC版スーパーマリオブラザーズのステージを模したステージ --「バイオハザード」:『マブカプ2』で[[ジル>ジル・バレンタイン]]の必殺技に登場したゾンビやケルベロス、そして最終的にタイラントを倒す --「ROモンスター」:『[[ラグナ>ゲームマスター]][[ロク>スーパーノービス]][[オン>ナイト]][[ライン>プリースト]]』の敵モンスターをなぎ倒す。&br()&space(38)最初はポリンやスポアなどの低レベルモンスターだが、30体倒すごとにランクが上がっていく。 --「[[自衛隊]]」:怪獣になった気分で戦車や戦闘機を攻撃し、制限時間内の撃墜数を競う。&br()&space(22)ゴジラ映画に登場した超兵器、スーパーXが最後に出現し、これを倒すとクリア。 --「[[にょき]]」:[[カルノフ]]を倒して出てくるハートを5個集め、最後に登場する握り拳のボスを倒す。 -- 「[[SNES_Aliens>エイリアン]]」:左右から襲いかかるSFC版『エイリアンvsプレデター』(非カプコン製)のエイリアン達をなぎ倒す。&br()&space(32)1体倒す毎に体力ゲージが一定量減っていき、ゼロにすればクリア。 //とりあえず自分で確認できる範囲でのボーナスゲーム、またはそれに匹敵するものを挙げてみました。 //他にあるようでしたら追加をお願いします。 -ボーナスステージの有効活用例 --[[第一回mugenハイスコア選手権]] --[[第二回mugenハイスコア選手権]] --[[第三回mugenハイスコア選手権]]