「安全性への懸念が高まり、Playtime社はついにキャットナップ人形の回収を発表し、
キャットナップの姿はスマイリングクリッターズのすべての宣伝資料から消えました」
米国のインディーズゲーム制作会社MOB Games開発のホラーアドベンチャー『Poppy Playtime』の登場キャラクター。
原語版では「CatNap」と途中で区切る表記になっている。
なお「catnap」及び「nap」とは「うたた寝、居眠りをする」といった意味の英語だが、同じ「nap」の用法の内、
接尾語として「誘拐する」という意味になる(児童誘拐であれば「kidnap」)用法とも掛けている可能性もある。
ちなみにマタタビのように猫を興奮させるイヌハッカの英名は「catnip」である。
元々はかつての最大のおもちゃ会社であったPlaytime社から販売されていた、
「Smiling Critters(スマイリングクリッターズ)」の一員である紫色の猫。性別はオス。
スマイリングクリッターズは芳香剤が仕込まれたぬいぐるみで、尻尾を引っ張る事でぬいぐるみの口から香りが漂うというギミックが備わっている。
キャットナップの場合は「ラベンダー」の香りが漂うとされているが、おもちゃの口から吐き出されるのは
赤い煙。
スマイリングクリッターズの面々を落ち着かせる役割を担っており、その口から漂わせる
赤い煙でみんなをぐっすり眠らせる。
キャットナップのお陰でスマイリングクリッターズは次の日の朝から元気に遊べるし、キャットナップはみんなの寝顔が大好きなのだ。
しかし、
購入した子供達が酷い悪夢にうなされるという苦情が相次ぎ、Playtime社による回収が決定。
最終的に販売停止となり、スマイリングクリッターズから
キャットナップの存在は抹消されるという曰くつきのキャラであった。
同時にPlaytime社はスマイリングクリッターズの大ゴケにより発生したクレーム対応や賠償などで長らく赤字経営を余儀なくされた。
ゲームではチャプター3「Deep Sleep/深い眠り」から登場。
10年前の従業員大量失踪事件によって閉鎖されたPlaytime社の工場から、「
私たちは此処にいます」という手紙を受け取った主人公は、
事件の真相と差出人を探るべく、かつての職場であった工場に赴くも、そこは恐るべき殺人人喰いおもちゃ達の巣窟と化していた……というのが本作のストーリー。
主人公はチャプター1でHuggyWuggy(
ハギーワギー)、チャプター2でMommyLongLegs(マミー・ロングレッグス)といったおもちゃ達の襲撃を辛くも退けるが、
チャプター2のラスト、道中出会った
生きた女の子の人形Poppy(ポピー)と共に工場から脱出しようと乗った列車が、突如脱線してしまう。
そしてチャプター3冒頭、キャットナップは脱線した衝撃で意識が朦朧としている主人公をトンネルに投げ込み、
起動寸前の圧縮機に転落させよう襲い掛かってくる。
どうにか窮地を脱した主人公が辿り着いたのは、過去にPlayTime社が創設した孤児院であるプレイケアであった。
キャットナップはプレイケアの支配者のような存在として君臨しており、プレイケア各所で暗躍して主人公を追い詰めようとする。
どうやらキャットナップにはおもちゃ達を操っている「プロトタイプ(実験体1006)」という存在によって命を助けられた過去があり、
それ以降プロトタイプを神のように崇めて、プロトタイプを信じない異端者や、プロトタイプの邪魔する者を容赦無く殺すらしい。
元のぬいぐるみの面影がある巨大な四足歩行のモンスターと化している他、能力として吸った者に幻覚を見せる赤い煙を口から吐く。
この赤い煙は多少吸引した程度なら酩酊するくらいで済むが、ガスの充満した場所に居続けると最悪死に至る極めて凶悪な代物。
また、量産型と思われる大量の小型スマイリングクリッターズ軍団を使役しており、これをけしかけてくる事もある。
ただし主人公の協力者Ollie(オーリー)曰く、
「キャットナップは獲物を見付けるとまずは観察し、次に武器を取り上げ、弱らせてから確実に殺す」
という手法を好むらしく、実際に劇中でも当初主人公を赤い煙で妨害しながらも直接襲わなかった事や、
わざわざ「プレイケアから出ていけ、さもなくば殺すぞ!」と主人公を脅す/警告する事、攻撃方法が不意打ち中心である事、
後のチャプターでより単純戦闘能力の高いおもちゃが登場している事などから、真っ向勝負は得意ではない可能性もある。
異様な怪物としての形態も、その変貌度合いがあまりにも誇張され過ぎているため、赤い煙による幻覚に過ぎない線が濃厚。
また、主人公の「グラブパック」から発射される照明弾を受けるとすぐに姿を消してしまうのが弱点となっているが、
これはどうも赤い煙が可燃性の気体で、引火の危険性が高い事が原因らしい。
加えて過去の来歴からか、体内にガスを貯めているその身体構造故か、電撃を苦手としている。
なお、作中でも「ガスを浴びせて幻覚を見せる」「ガスマスクを奪う」「直接攻撃に移る」と、概ねオーリーの予想通りの行動を取っている。
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考察(ネタバレ注意) |
本作の怪異であるおもちゃ達は大半が元は人間であったと思しき描写が散見されているが、
チャプター3の公開前にアクセスできた『Interactable ARG』にて公開されていた情報などから、
キャットナップは孤児院プレイケアのホームスイートホームという宿舎で暮らしていたセオドア・クランベルという少年だった事が示唆されている。
かつては善良なおもちゃ会社であったPlaytime社は、
いつしか孤児達で人体実験を行い、おもちゃに改造するという恐るべき非人道的企業に成り果てていた*2。
後にキャットナップと化すセオドアもまた、そうしたPlaytime社の被害者、犠牲者の一人である。
とはいえ主人公を襲ってきたおもちゃ達はもとより、現在のセオドア=キャットナップは残酷な殺人おもちゃ、プロトタイプの狂信者と化しており、
スマイリングクリッターズの残り七人はキャットナップによって囚われ、拷問の末に 全員処刑されている。
同情の余地はあれど、だからといって許して良い存在ではなく、そして主人公を見逃してくれるような存在でもない。
かつて他の子供達とは馴染めずにいつも一人で居るような孤独な少年だったセオドアに、プロトタイプは見えない友達として接し、
周囲からはセオドアのイマジナリーフレンドと誤解されていた事も手伝って、誰にも気付かれる事無くセオドアを誘導。
プロトタイプは巧妙に身を隠しつつセオドアにPlaytime社の資料を盗ませるなどして、彼にプレイケア脱出を促した。
だが、セオドアは扉の解錠操作を誤って感電してしまい瀕死の重傷を負って死にかけてしまう。
プロトタイプはそのまま見捨てて単身脱出できたにもかかわらずそのチャンスを捨ててまで彼を救い、
セオドアはプレイケアの医療担当者の元に運ばれて、キャットナップに改造された事で一命を取り留めた。
これが、セオドア=キャットナップがプロトタイプを崇拝する切っ掛けとなった出来事である。
ただし断言されていないものの、この事故はプロトタイプが意図的に誤った操作方法を伝えて引き起こした、
セオドアを手駒にするための自作自演のマッチポンプで、主人公との戦いもプロトタイプの思惑通りだった可能性がある。
というのも主人公によって瀕死の重傷を負ったキャットナップが助けを求めた所、現れたプロトタイプによってトドメを刺され、その死骸を回収されており、
加えてキャットナップを倒すための情報を主人公に与えたある協力者の正体が、後のチャプターで実はプロトタイプその人であった事が明かされているのだ。
プロトタイプは工場施設の大半を支配しているが、工場を完全に制御下におけるマスターキー「オムニハンド」を所持しておらず、
善良なおもちゃ達の避難所セーフヘイブンや、同盟相手の支配する「監獄」と呼ばれるエリアなどにまでは手が及んでいなかった。
加えてセーフヘイブンや現在のオムニハンド所有者は強大な戦力を有しており、キャットナップでは対抗できない。
また、オムニハンドを扱えるのは「グラブパック」と呼ばれる特殊装備を身につけた従業員のみ。
そこでグラブパックを駆使して数々のおもちゃを撃破してきた主人公に乗り換える必要があったのである。
プロトタイプは何らかの目的のため他のおもちゃ達の残骸を回収して自分に組み込んでおり、キャットナップが撃破されても何ら問題なく、
逆に主人公が撃破されたとしても現状維持で状況は変わらないため、プロトタイプにとっては何一つ損が無い。
何よりポピーに執着しているプロトタイプにとって、主人公とポピーに協力すればポピーをより精神的に追い詰める事ができるため、
キャットナップを切り捨てる選択したのだろうと考えられている。
あと協力者の言動を鑑みるに、狂信者と化してこっちの話を聞かずに崇めてくるキャットナップを正直鬱陶しいと思ってたっぽい
件の事故がプロトタイプの仕業であったかどうかはさておき、キャットナップがプロトタイプによって都合の良い手駒であった事は確かなようだ。
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MUGENにおけるキャットナップ
Lukibausk氏によるキャラが存在していたが、いくつかの不具合が解消されないまま製作が中断され、
後に許可を得たMarcio araujo氏により不具合を修正された改変キャラが公開されている。
手足や尻尾を伸ばして攻撃する他、
赤い煙を吐く技を使用して戦う。
また、変貌形態と化して攻撃する技も持つ。
AIは未搭載。
「『プロトタイプ』が、我らを救う……!」
出場大会
*1
実際、作中で確認できる「ポピー」「ハギーワギー」や「マミー・ロングレッグ」「ドーイ・ザ・ドーマン」など他のオモチャのCMはごくごく普通のもので、
このスマイリングクリッターズ……というよりキャットナップの販促用アニメーションだけが異彩を放っている。
事実Playtime社から販売されたオモチャ自体は極めてまともなものが大半で、よくある「オモチャに偽装した何かで子供達を洗脳する」といった傾向は一切無い。
「小さい部品が多く子供が誤飲する可能性がある」「加熱パーツのせいでテスターの子供が火傷した」
「下品すぎる」などで開発中止されたオモチャもあり、
Playtime社は(少なくとも一般に販売されるオモチャの開発に関しては)至極真っ当に行っていた事が察せられる。
一方でCMを見る限り、キャットナップの口から
赤い煙が漂い子供達を眠らせてしまうのは意図された設計である事を鑑みると、
何故キャットナップという危険なオモチャが実際に販売されてしまったのか、この不気味なCMも含めてそのあたりの事情は謎に包まれている。
ただ、Playtime社マーケティング部門最高責任者のジミー・ロスは「オモチャの名前に『e』を入れれば売れる」という独自の理論を持っていた事に加え、
「手柄を横取りする」「他人に自分を天才と思わせる天才」など従業員からの評価も低く、有能とは言い難い人物だったようなので、
何も考えていなかった可能性は大いにある。
その一方、事実としてPlaytime社の玩具は基本的に大ヒットを連発しており、他のCMも購買意欲をそそる優れたものばかりのため、彼が無能とも言い切れず、
それだけに何故キャットナップだけが……?という疑問は未だ解決されていない。
まあ、スマイリングクリッターズのライバルチームとして「Nightmare Critters(ナイトメアクリッターズ)」という後発シリーズも展開されているので、
デザインやアニメの演出については、スマイリングクリッターズが「不気味可愛い」路線だったという事で納得できなくもないのだが……。
超絶スパルタ天真爛漫ウサギ娘とか、清楚のフリした腹黒ユニコーン娘とか、ヤンデレ僕っ子クマ娘とか、割と人気出そうだしね
ちなみにロス氏に対する評価を残した従業員PWは、キャットナップの改造に関わった人物でもあったりする。
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企業秘密(ネタバレ注意) |
ゲーム内に残されている資料などからの推測になるが、
Playtime社の創業者であるエリオットは、家族と死別してから死者を蘇生させる研究をしていたようで、
おもちゃに命を与える、あるいは人間をおもちゃとして蘇生させる技術の開発に成功したが、
そのメカニズムを開示する事無くエリオットは変死した。
後に、ハーレー・ソーヤーという科学者によりこの技術は不完全ながら解析・再現されて、人をおもちゃに改造する技術が確立された。
そして同時期に上述した経緯からPlaytime社の業績が悪化した事への対策として、同社が経営している孤児院の孤児達を素材に、
人間の数倍もの巨体と身体能力を持つ「生きた玩具」を量産し無償の労働力として働かせるという、
非人道的な「玩具巨大化計画(ビッガーボディーズイニシアチブ)」が提唱されていたという。
ソーヤー博士曰く「子供などというのは自動ヨダレ製造機に過ぎないのだから、そこに価値と存在意義を与えてやる」との事。
Playtime社内でもソーヤー博士の傲慢で横暴な態度は問題視されていたらしい事がチャプター4で明かされているが、
子供達に対する人体実験とおもちゃへの改造それ自体は大いに推奨され、計画は推し進められていった。
ただ繰り返しになるが、セオドア=キャットナップは哀れな被害者であると同時に、残酷な加害者でもある。
おもちゃに改造されながらも決して人を襲わなかった者や、必死に暴走しないよう自分を抑制している者も多くいる中で、
キャットナップはプロトタイプの信奉者となって、人間だけでなく他のおもちゃ達も殺戮し、処刑しているのだ。
作中ではスマイリングクリッターズの生き残りであるドッグデイと邂逅する事になるが、彼は半壊した状態で牢屋に繋がれており、
プロトタイプに立ち向かう主人公とポピーに激励を送った後、自分は手遅れだから早くこの場を立ち去るように促すも、
直後大量の小型スマイリングクリッターズに襲われ、生きたまま体内から貪り食われて外殻を乗っ取られるというおぞましい最期を遂げている。
他のスマイリングクリッターズも、同様の惨たらしい処刑方法で殺されただろう事は想像に難くない。
またチャプター4で反プロトタイプ派オモチャ達の避難所「セーフヘイブン」で確認できる壁の落書きなどを見る限り、
当初は他の多くのスマイリングクリッターズともども、キャットナップもオモチャ達と共に行動していたらしい事が窺える。
しかしその壁の落書きを負っていくと、プロトタイプとそれに付き従うオモチャ達と、反プロトタイプ派のオモチャ達の決戦時に、
キャットナップは裏切ってプロトタイプ派につき、他のオモチャ達を赤い煙で混乱させ同士討ちを引き起こし、
さらに反プロトタイプ派の重鎮でもあったドッグデイを排除したと思われる内容が描かれている。
キャットナップがプロトタイプの狂信者である事も鑑みると、裏切りというより最初からスパイとして潜入していた可能性も高く、
他の善良なオモチャ達からキャットナップが恐れられているのも頷ける。
もちろんこの過酷で異常な状況下で正気を保てなかった事はセオドアの罪ではないが、だからといって彼を救う術はもはや残されていない。
キャットナップを倒さない限り、あなたが生き延びる事はできないのだ。
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最終更新:2025年04月24日 02:20