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vol.3-2⑫Temptation

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taka18r

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vol.3-2⑫Temptation


 ドアの外まで出たぼくと千春を追うように、文和が切実な目をしてくっついてくる。ドアが重い音をたてて閉まった。
「千春ぅ。今度はいつ会えるかなぁ。あっ、帰ったらメールしてね。必ずね」
「わかった。カズ、家に着いたら、すぐにメールするから…。じゃあ、ね」
 名残惜しいのだろうな。まだまだ一緒にいたいんだろうな。この状況ではなかなか速水家の門から出られない。ぼくは年若い恋人たちに気を利かせて、
「それじゃあ、ぼくはそこの角を曲がったところで待ってるから、ね」
 そういって2人に軽くウインクしてみせた。文和と千春はともに顔を赤らめて、
「あ、ありがとうございますっ!」
 元気に言ってから、じっと見つめ合っている。そんな2人にあてられて、
「じゃ、あんまり遅くならないでね」
 くるりと後ろを向き、上げた右手を振って速水家を後にした。
 ヒグラシの声に秋を間近に感じていた。ぼくはいらいらしたりすることはなく、2人の愛の交歓が終わるのをゆったりした気分で待っていた。
(きょうはいろいろなことがあったなぁ)
 などと、ぼんやり考えていた。5分ほどたっただろうか、
「文和! 早くウチに入りなさい」
 晶良の声がここまで聞こえてきた。思わずビクっとした自分に苦笑する。と、ドアの閉まる音と同時に、
「お・ま・た・せ・ぇ」
 千春の上気した声が耳をくすぐる。別れのキスは相当熱かったのだろう、泣いているじゃないかと思えるほど瞳は潤んでいた。
「さあ、帰ろう」
 コクンとうなずく千春。ぼくは駅に向かってゆっくりと歩きだす。
「でも、びっくりしちゃったぁ。リビングに行ったら、おにいちゃんがいるんだもん」
「驚いたのは、こっちのほうだよ。それに、ちはる、『おにいちゃん』って言いかけただろ」
「えっへへぇ。ばれてたぁ?」
 小さく舌を出して笑う千春。
(あのかわいい舌にぼくの舌が絡みついたんだ…。あのかわいい舌がぼくのムスコを嘗めた…)
 混乱している。混乱している自分を自覚している。慌てて話題を変えようとあがく。
「ち、ちはる。文和くんとは、その、もう…。あ、いや、なんでも、ない」


「?」
 不思議そうにぼくを見る千春の瞳には、邪気がまるで感じられなかった。ぼくは自分が恥ずかしくなった。千春の潤んだ瞳を見て、文和くんとのキスシーンを想像してしまったのがいけなかった。
 それでもなんとか気を取り直し、深呼吸して涼しくなった空気を胸いっぱいに吸い込んだら、どうやら落ち着くことができた。
 文和との交際は順調なのだろう。幸せそうな千春の表情、態度に、それがにじみ出ている。
 ぼくは妹に接するように千春に話しかける。
「あれっ? 千春、ずいぶん大人っぽくなったんじゃない」
「わかります? 胸は3㎝おっきくなってぇ、お尻も3㎝。逆にウエストは2㎝減ったんだよぉ。あのね、…おにいちゃんに抱かれたから、だよ」
 ぼくは、かなり動揺した。それをごまかそうとして、
「こらっ。そんなわけないでしょ」
 たしなめるように、それでいて強い口調にならないように気をつけて言い、お尻をポンっとたたいた。
「あん、もぉ。晶良お姉さんに言いつけちゃおっかなぁ。おにいちゃんがちはるのお尻、さわったって」
 100%言うわけはないのだが、一瞬だけ真に受けてしまう。
「そ、それ、困る」
(しまったっ、適当に受け流しとけばよかったんじゃ…)
 千春が追い打ちをかけてくる。
「ねぇ、おにいちゃん。ちはるの成長、確かめてみる?」
「そ、そ、そんなことっ! な、な、なんてこと…、だめだよ」
 慌てるぼくを見て、千春は口元に小悪魔の微笑を浮かべる。
「おにいちゃんだって、きょう、晶良お姉さんとするつもりだったんでしょ? それが晶良お姉さんのケガでダメになっちゃって…。だからさぁ、ちはるとしよ?」
 なにが、だからなのか、よくわからない。そんなことないよ、と建前を言うつもりだった。ところが、口をついたのは本音。
「そりゃあそうだけどさ」
(いっけないっ…、つい…。うわ~、『そ』しか合ってないじゃないか)
「ちはる、生理前だよ?」
「な、なにを…」
「ちはる、また、おにいちゃんとしたいなぁ。…えへっ、あのね。お風呂でぇ、うしろから…」
「げほっ」


「おにいちゃんになら、ちはる、どんなことされてもいいのになぁ」
「あ~っ…と」
 千春は前にまわって、ぼくの歩みを止める。抱きついてきて、押しつけてきた腰を左右に揺らし、
「おにいちゃん、おっきくなってるぅ」
 頬を染めてはいるが、うれしそうに言う。
「えっ? …えぇ~っと」
「ねぇ、おにいちゃん。キスして」
「だめだって。それに千春、さっき文和くんとキスしてたんじゃないの? ぼく、ヤだよ、彼の後ですぐにキスするなんてさ」
 恋人同士、仲良くやってるんだから、浮気なんかしちゃいけないよ。そう言いたかったのだが…。
「うん、わかったぁ」
 かわいい笑顔で答えた千春にほっと胸をなでおろす。
(ふぅ~。あきらめてくれたかな。文和くんの名前を出せば、千春も自重してくれるよね)
 ところが。
「じゃあ、おにいちゃん。ホテルで歯を磨いてからならいいでしょ?」
「えっ? ち、ち、ちが」
 慌てて言いかけたぼくを遮って、
「行こ? ね? おにいちゃん、ホテルに連れってって。ちはるのこと、いっぱいかわいがって」
 もはや、ぼくに千春を説得する材料や、その言葉の持ち合わせはなかった。
「んぐぅ…、え…っと…、その…」
 ぼくが口ごもったのを、自分に都合よく「承諾」と解釈した千春は、
「晶良お姉さんに教わったんだ」
「えっ、な、なにを?」
「男のコなら、ちゃんとエスコートする!」
 いままでとは違う強い口調に言葉を失った。まるで晶良に命じられたみたいだった。「気をつけ」の姿勢をとったぼくの反応を楽しむように千春はニコっとして、
「えへへへ。カズがぐずぐずしてたら、こう言いなさいってね。晶良お姉さんに言われたの」
「あ~、びっくりして心臓が止まるかと思ったよ。晶良さんに言われたかと思っちゃった」
 驚いたせいでムスコは縮みあがっている。しかし、千春が腕を組んできて小さいふくらみを押し付けてきたら、すぐに元気を取り戻してしまった。


 気を静めるために歩きだす。次の展開を考える余裕は、ない。千春があれこれ話しかけてくるが、すべてうわの空だ。
「おにいちゃん! ちゃんと聞いてる?」
「え? あ…、あぁ。その、文和くんの話、だよね」
 頭の片隅にこびりついていた単語を引っ張りだし、なんとか取り繕おうとする。
「そお。カズねぇ、とってもキスが上手なの。情熱的っ!」
 どうやら、千春は話すことに夢中で、ぼくがろくすっぽ聞いていなかったことに気付いていない。
(でも、文和くんのことだってのは合ってた)
 ちょっと安心する。女性の話に生返事をすると、とんでもないしっぺ返しをくらう、というのを学ぶのはまだまだ先のことではあるが…。ともあれ、話し続ける千春に耳を傾けることにする。
「ファーストキスはね、カズ、震えてたんだよ。でもね、ちはるが口と舌と唇でレッスンしたら、す~ぐ上手になったの」
「ふぅ~ん。それはさ、愛の力だよ、きっと」
「うん! ちはるもカズのこと、だ~い好き。カズに抱きしめられてキスされると、なにも考えられなくなっちゃうんだ」
 絡めた腕をほどいて、ぼくは千春と手をつないだ。「おにいちゃん」ではなく「お兄ちゃん」として接したほうがいいと判断したからだった。
 駅に近づくにつれ道を照らす街灯が増えて明るくなり、人通りが多くなっていった。ぼくはあることを思い出す。
「あ、そろそろケーキ屋さんだ。ねぇ、千春。晶良さんの友達にこの姿を見られるのは、ちょっと…」
 ぼくは言って手を離そうとする。
「ちはるは見られたって、どってことないよ」
 意味ありげな笑みを浮かべ、ぼくを困らせる小悪魔。
「でも、カズに心配かけたくないし…。ちはる、我慢するね」
 やっと手を離してくれた。もうケーキ屋さんまで10mくらいしかなかった。店の前を通り過ぎるとき横目を走らせると、翔子はちょうど接客をしていて、ぼくたちに気が付いていないようだった。
 駅に着く。乗り込んだ電車は満員に近いくらい混雑していた。千春を自分とドアの間に位置させ、乗客に押されるのをガードする。しかし、親切は裏切られることになる。
 小柄な千春はすっぽりと隠れてしまっている。ゆっくりと首を振り周囲の様子を確認した千春が、意味ありげな笑みを浮かべた。


「ん…んん?」
 股間に微妙な感触。視線を下にもっていくと、襟からのぞく千春の白い肌が目に入った。ドキっとして思わず目をつむった。
 股間では相変わらずなにかが動いている。すぐに目を開けて、さらに視線を下げる。
「!」
 千春の右手がムスコを撫でている。叱ろうにも大きな声は出せない。背中には絶え間なく圧力がかかり、体をずらすこともままならない。それをいいことに、千春はさらに力を込めてムスコを愛撫してくる。
 次の駅に到着。開いたのは反対側のドアだった。人の乗り降りもない。どうすることもできないまま、ムスコは体積を増していくばかりだった。
「んっ! ぅうん!」
 千春をにらんでセキ払いで注意する。しかし、千春は行為をやめない。そればかりか、千春は顔を上げて、口だけ動かして
(おっきい)
 と声を出さずに、うれしそうに言った。それから千春はようやく手をムスコから離した。ほっとする間もなく、電車の揺れに合わせて千春がぼくに抱きついてくる。腕がぼくの腰にまわされる。
 運が悪い日、というものはあるものだ。止まる駅止まる駅、開くドアは全部反対側。おかげでずっと、千春のお腹あたりの柔肌によるムスコへの愛撫が続けられた。
 意識をそらそうとしても無駄な努力。ムスコは欲望に忠実に、その姿を大きく変化させていく。
 そうこうしているうちに終点の新宿についてしまった。
「はぁぁぁぁ」
 やっと千春の体が離れた。ぼくの頭はぼんやりとしたまま。うつろな目でため息を漏らした。千春に手を引かれて電車を降りる。思考停止に陥って歩いていたら、いつの間にか改札をくぐっていた。
「ち、ちはる? ど、どこに行くつもり?」
 向かっている先には覚えがあった。千春は、なにわかりきったことを聞くの? という顔をして、
「もちろん! ホ・テ・ル」
 両足を踏ん張って急ブレーキをかける。
「だ、だめだよ!」
 声が上ずってしまっている。千春は悲しげな目をすると、両手を顔の前にもっていき、
「うっ…、うっ…、ぐすん。おにいちゃん、ちはるのこと、きらいになったのね? ちはる、泣いちゃうぅ、ふえ~ん」


 往来のど真ん中で女のコに泣かれる。これは、男にとってかなりやばい、絶体絶命の状況だ。道行く人たちが、かわいそう、とか、ひどい男ねぇ、とか、小声で言っているのが聞こえてくる。
(ま、まずいぞ、これは)
「ちはる、行こう」
 ぼくは焦って、ちはるの手をつかむと早足で歩きだした。思わず知らず、ホテルに向かっていた…。
「おにいちゃん、手、痛いよ」
「あ、ごめん」
 歩く速度と握力を緩める。と、涙の痕などまるでない千春の顔に気が付く。
(あれっ? 千春、泣いてたはずじゃ…。あーっ、もしかして、ウソ泣き!? …やられたかも…)
 もうホテルは目の前だった。千春はもうしゃべらない。まっすぐにホテルを見て、ぼくの手を強く握り、そうして入り口を早足でクリアした。
 足を止めた千春はぼくを見上げ、目で「あとはよろしくね」と訴えてくる。
(ぼくは最後まで抵抗したんだ。そりゃあ、足はホテルに向いてたけどさ。でも、だって、しようがなかったんだよ、その、きっと)
 自分に言い訳を繰り返す。小さく息を吐いてから、
(まあ、したかったのは間違いないんだよね。晶良さんじゃないのはがっかりだけど。でも、まあ、その、しようがない、よね!? それなら…)
 ぼくはようやく開き直ることができた。そういうことならと、前から興味のあった部屋をさっと選んだ。
「おにいちゃん。どんなお部屋にしたの?」
 キーをつかむと同時にエレベーターに向かったため、千春は部屋のパネルをよく見れなかったようだ。
「かわいい感じの部屋だよ」
 うそをついた。本当は…。
 エレベーターのドアが閉まると同時に、ぼくは千春をきつく抱きしめた。
「ぁっ…、…ん…ぅん」
 奇襲をかけたつもりだったが、千春はぼくの胸に顔を埋ずめ、せつなげに吐息を漏らした。
 選んだ部屋は最上階、5階の部屋。とても、とても時間が長く感じられる。唐突にガタンという音と、ガクンという振動。エレベーターのドアが開く。薄暗い廊下を歩いて一番奥の部屋へと向かう。
 その部屋は、ドアからして淫靡なオーラを発していた。もちろん、すべての部屋が淫靡な空気に包まれているのは間違いないのだが、そこはただならぬ気配を漂わせていた。


 生つばを飲み込む。重いドアを開け、千春を部屋の中に入れる。掌にはじっとりと汗をかいていた。
 その部屋は薄暗かった。照明はロウソクを模したもので弱い光が本もののように揺らめいている。それは淫靡な空気をさらに強めているかのようだ。ぼくは目が慣れるまで、じっとして待った。
「暗い、ね」
 千春のかすれた声。
「明るくできるのかな? でも、暗いままのほうがいいよね」
 ひとり言のようなぼくのつぶやきに、千春は黙ったままコクンとうなずいた。
「さあ、入ろう」
 ようやく目が慣れてきた。千春の腰に腕をまわし、部屋に入っていく。ベッドルームには直行せず、まずは洗面所に入った。ここの照明は普通で、まぶしいほど明るかった。
「歯磨きタ~イム」
 部屋の雰囲気で緊張している千春の気持ちを和らげようと、つとめて明るく言う。備え付けの歯ブラシに小さな歯磨きのチューブを押しつけ、それから口に入れた。
「ひひゃるも、しゃあ」
 歯を磨きながら呼びかけたら、変な発音になってしまった。千春が声を出して笑う。
「あははははは。おにいちゃん、おっかしぃぃ」
 肩を震わせながら、ちはるも歯磨きを始めた。
 ひと足先に歯を磨き終えたぼくに、いやらしい気持ちがむくむくと頭をもたげてきた。
 千春の背後にまわり覆いかぶさる。両手を小さな胸にあて下から上に揉みあげる。この間より揉みごたえを増した胸の感触に興奮する。
「んん! らめぇ」
 歯ブラシを口から出し、身をよじって抵抗する千春。
 左手を大きくまわしてがっちりと千春を抱き、右の胸を攻める。空いた右手はホットパンツのボタンを外し、ジッパーを下ろし、そうして床に落とした。
「あぁん、らめ、は、みがけにゃい」
 正面にある大きな鏡に千春の苦しげで、せつなげな顔が映されている。口元から垂れる唾液まじりの白い液にますます興奮する。
 Tシャツをまくり上げ、ブラジャーのホックを解除。直接胸に指を這わせていく。乳首を軽くつまむ。
「はぁぁあ、らめ、らめぇ」
 持っていた歯ブラシを落とし、洗面台のヘリをつかんで喘ぎ続ける千春。
 ぼくはキスがしたくなっていた。


「口、すすいで」
 コップに水を注ぎ千春に手渡す。左手の掌全体を使って左の乳房を撫でつつ言う。
「あ…はぁ…はぁぁ…」
 途切れ途切れに息を漏らしながら千春は口をすすぐ。
「んくっ、くちゅくちゅ…、んんっ! あ"ーっ」
 人指し指の腹で乳首をなぞり上げた途端、千春は口に入っていた白濁した水をすべて吐き出した。
「おにいちゃ…ん」
 目を潤ませて振り返る千春。その口からあご、首筋にかけて、水が滴り落ちている。千春を自分のほうに向かせ、かけてあったタオルをつかんで千春の顔をふいてやる。
「もぉぉ、おにいちゃん、たまってるのぉ?」
 頬を膨らませて言う千春。言葉とはうらはらに、目には抗議の色はない。返事は口ですることにした。
「ん~、ん…、んん…ぅぁん…」
 唇を重ね、むさぼるように口内を舌でかきまわす。ちょっぴり歯磨きの味がした。千春も待っていたのか、腕をぼくの体にまわし、喜々として舌を絡みつけてきた。
 長く濃厚なキスを中断し、次のステップへと移行することにする。なにせ、ムスコは張り裂けんばかりに怒張し、すぐにでも千春に入りたがっている。
「千春、お風呂、入ろ?」
「ぅん…」
 上気した顔で答える千春。Tシャツを脱がし、肩にかかっているだけのブラを外す。千春は乳首をツンと立たせた胸を隠そうともせず、両腕をぶらりとさせたままだ。
「かわいいの、履いてるね」
 白地に薄いブルーのストライプが入ったパンティを脱がそうと、かがみこんだ。そのとき、目の前にあった乳首を口に含むと、千春は身をよじって喘ぐ。その声は実際の年齢より、はるか上に感じられた。
「は…ぁっ! ぁあぁん、あっ」
 丸裸の千春。白く透きとおるような肌、うっすらと茂る陰毛が目立っている。ムスコは限界まで硬度を引き上げ、そのときを待ちきれない様子で脈打っている。
 素早く着ているものを全部脱いだぼくは、すぐ横にあるバスルームのドアを開け千春の背中を押すようにして入った。
「わぁ~、広いお風呂ぉ」
 入るなり、千春が声をあげた。

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