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vol.2⑤Lost virgin

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taka18r

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vol.2⑤Lost virgin


 その日は『春』と呼ぶにふさわしい、うららかな陽気だった。日差しは暖かで、やわらかい。歩きながら目に飛び込んでくるのは、7分咲きの桜たち。花見をしているのだろう、あちこちで楽しげな声が聞こえる。
 きょうはとても気分がいい、と晶良は思った。それは生理が終わったから、ばかりではなかった。この前よりも気温が上がり薄着になったのと同じように、心の衣も脱ぎ捨てたような気分だったからだ。
 愛されてる──。
 彼の、自分を想う気持ちが、心の緊張を解き放ってくれた。ただ、体がすんなりと彼を受け入れてくれるかは、かなり不安ではあったが…。
 待ち合わせの場所に着くと、いつものように彼が待っていた。買ったばかりだとすぐわかる、見たことのないシャツを着て、小走りに近づいてくる。晶良も駆けだし、彼の胸に飛び込む。いつもなら人目を気にする晶良の大胆な行動に戸惑う彼。
「どうしたの? 晶良さん」
「ん~。きょうのアタシは、とってもゴキゲンなのっ!」
「…お酒、飲んでたり、する?」
「飲んでないわよ! アンタに会えて、うれしいの!」
「あ、そおなんだ。わ~い」
「セリフ、棒読みなんだけど」
「いやあ、春だなぁ…」
「ちょっとぉ。おかしくなっても、いないわよ。んもう、素直に喜びなさいよね」
「うん。ぼくも晶良さんに会えて、とってもうれしいよ。1週間、長かったぁ」
「でしょ? さ、行きましょ」
 そう言って腕を組んでくる晶良。必要以上(?)の明るさに、どうしたものか逡巡していると、それに気づいて、
「ねぇ。アタシ、無理してないよ? きょう、ね。ちゃんとアンタのものにして…」
 頬を赤く染め、小声でつぶやく。腕に力を込めてくる。
「うん」
 いとおしい、という言葉しか思い浮かばない。胸を締めつけられるような感覚。抱きしめてキスしたい、そんな衝動に駆られる。


「ねえ、この前と同じところでいいかな?」
「んなこと言われても、ほかなんか知らないでしょ」
「そ、そうだよね」
(いやあ、新宿にいいホテル、あるんだ…とは言えないよね)
「さっ、行きましょ。男のコなら、ちゃんとエスコートする!」
「はぁ~い」
 電車の中でも楽しい会話が続いた。もちろん、うわの空なんてことはない。いつもどおりのデートだ。
 駅に着いても、過度の緊張は2人ともしていない。
「ねえ、帰りにお花見、してこっか?」
「いいね。でも、晶良さんの後じゃ、桜も色褪せちゃうんじゃないかなぁ」
「ばか言わないの。…じっくり見られたら、アタシ、恥ずかしい…」
 顔を赤らめ、俯く晶良。ここまできて話題を変える必要はない。
「だって、きれいで、かわいいんだもん、晶良さん」
 耳元でささやく。ますます赤くなる晶良。そうこうしてる間にホテルの入り口をくぐる。きょうは晶良も部屋のパネルを見ている。
「あんまり派手なとこはイヤ…」
「うん。わかってる」
 そう言って彼が選んだのは、オーソドックスに見える2階の一室だった。キーを取って手をつなぎエレベーターに乗る。さすがに2人とも無言だ。互いの呼吸音だけが、やけに大きく聞こえる。
 部屋に入り、引き寄せられるように抱き合う。キス。
 彼に唇を強く吸われる。たまに唇がずれて透き間が生じ『チュゥ、ヂュル』と音がする。
(こんなの、初めて…)
 と、唇をこじ開けるようにして、彼の舌が入ってくる。
(えっ? えっ?)
 驚きつつも、
(イヤじゃない…。気持ち、いい)
 頭が痺れてくる。ボーっとしてくる。彼の腕をつかんでいた手から、すぅっと力が抜けていく。彼に強く抱きしめられクラクラする。


 彼の舌が迎えにきていると感じ、遠慮がちに舌をさしだす。嬉々として絡んでくる彼の舌。吸い込まれてしまいそうだ。湧き出る唾液を残さず嘗めとろうとするかのような彼。
 出てくるのは唾液だけではなかった。『じゅんっ』っと音を立てたかと思えるほど、股間が濡れていくのが晶良にはわかった。
「んん、ぅん、ぅぅん、ぅ~…ん」
 呼吸が、吐息が速くなり、それが口から漏れ出す。
 半分だけ目を開けている晶良。その目を見つめながら、キスだけで追い込んでいく彼。舌が後退したかと思ったら、次は唇が攻めてくる。晶良の上下の唇を交互にはさみ、合間に舌を這わしてくる。
「ぅぅん、ぅん、ぁぁぁ、ぃぃょぉ」
 一度、唇を離し、呼吸を整え、再び彼に唇を強く吸われる。次の瞬間、ふっと体が浮き上がる。彼に抱き上げられベッドに運ばれる。いつの間にか唇は離れている。それすらも気付かなかった…。
 ベッドに座らされる晶良。彼は後ろから抱きしめ、耳に熱い息を吹きかけてくる。快感が走る。
「あぁっ、あっ」
「愛してる」
「ああんっ」
 動けない。耳への刺激、言葉による脳髄への刺激。彼はなおも、
「愛してる。愛してるよ。晶良さん。大好きだよ。愛してる」
 ささやき続ける。
「ア、アタシもぉ。アタシも愛してるぅ」
 耳を嘗められる。軽くだが、噛まれる。熱い息がかかる。そのすべてが晶良を感じさせた。気持ちよく、させていった。耳たぶを吸われ、歯を当てられ、声は大きくなるばかりだ。
 彼は服の上から両胸をやさしく撫で、不意に力を入れて揉んでくる。唇は耳への攻めを終え、いまは細い首を愛撫している。
「は…ぁぁ、あっ、あんっ」
「気持ちいい?」
 彼が耳元で聞いてくる。
「ぅん…。うんっ! 体が、熱くなってるのぉ」


 壁一面の鏡で晶良のとろけそうな表情を観察。彼女の恥じらいを考えて照明は落とし気味にしているが、暗さに目が慣れてよく見える。もちろん、唇も舌も手も、間断なく動かしている。
 いつの間にか、彼の指がシャツのボタンを全部外していた。シャツを脱がされ、ブラも取り去られる。向かいあってキスをする。今度は晶良が彼のシャツのボタンを外していく。
 2人、上半身裸になって見つめ合う。
「晶良、さん。とても、かわいいよ」
「抱いて」
 抱き合って、彼はそのまま体重をあずける。晶良を寝かせ、上から見下ろす。頬を赤く染め、恥ずかしげに目をそらす晶良。ゆっくりと距離を詰め、唇を重ねる。
(焦っちゃダメだ)
 いったん顔を離し、目を合わせて、ニコっと微笑みかける。それを見て晶良も笑みを浮かべ、
「信じてるよ」
 小さい声だけれど、はっきりと言った。
 彼はスカートに手を伸ばし、器用に脱がした。続いて靴下を脱がす。それから、体を重ねてくる、と思ったら、太腿に唇を寄せ、舌を這わせてくるではないか。
「はあぁっ」
 意表を衝かれ、思わず大きな声を出してしまう。足の力が抜けていく。彼はパンティの上から音をたててキスをして、攻撃目標を上半身に変えてきた。
 あまり大きくはないけれど、柔らかで魅力的な弾力を持つ晶良の胸。手と唇、舌を駆使して愛撫する。
「はぁ~ん、ぁぁあっ、あっ」
 晶良の声は、乳首を軽く吸ったとき、ひときわ大きくなった。
「んあっ!」
 舌で嘗め上げ、唇ではさむ。右、左、交互に。
「はぁっ、あっ、あっ、ぅんっ」
(どこが感じるのか、いろいろしてみよう)
 胸から唇をそらし、わきの下を攻める。晶良はくすぐったそうに身をよじる。
(う~ん、この反応、微妙だ…。じゃあ、次は、と)
 脇腹に舌を這わす。ビクっとして、声を上げる晶良。
「あっ…、はぁぁぁ」


 反対側を攻めてみようと、唇と舌を休まず動かして晶良の体を横断していく。途中、かわいらしいおへそにキス。
 愛撫を続けながら、お尻のほうに手をまわしパンティに指をかける。
「ぁぁん」
 恥ずかしげな吐息。しかし、すぐに腰を浮かしてくれる。するりとパンティを足から抜くと、彼女はもう何も身につけていない。ゴクっとツバを飲み込み、見惚れてしまう。
「…そんなに、見ないでぇ」
「きれいだよ。晶良さん」
「は、恥ずかしぃ」
 自分も裸になるべく、Gパン、パンツ、靴下と順に脱ぐ。ポケットからコンドームを取り出し、枕元に置く。
(用意してくれてたんだ)
 晶良はなんとなくホっとする思いがした。この1週間で、彼はずいぶん大人びた、そう感じた。その理由を、こんなにも自分は愛されてると考え、つかの間、幸せな気分に浸った。
 2人、裸で抱き合い、唇をむさぼるように吸い、吸われる。彼の舌が口の中をかきまわす。彼は左の肘で自分の体を支え、右手で胸を揉んでいる。乳首は硬くしこり、彼の背中にまわした腕には力が入りっぱなしだ。
「んぁぁぁ、あぁっ?」
 キスに夢中になっているうちに、彼の右手が胸を離れ、『隠されし 禁断の 聖域』におかれていた。指が割れ目に沿ってなぞってくる。
「あぁっ、はあぁ~ん」
 これまでとは違う晶良のあえぎ。さらに別の指を動員して、その部分を押し広げる。
(濡れてる…。感じてるのかな、気持ちいいのかな)
 指で愛液を絡めとる。ピチャっと小さいが淫靡な音が聞こえた。その指を少し上の突起に当てる。
「ぅああぁぁっ! あぁぁっ、あぁ~っ」
 晶良がたまにする指遊び、そのためらいがちな快楽の境界線など、すぐに越えられてしまう。上下にゆっくりと撫でていたかと思うと、今度は円を描くように指を動かされる。微妙に変化する強弱がくるおしいほどだ。
「あ───っ、あぁぁぁあっ、あっ! あーっ、ぃぃ、いいのぉぉ」
 晶良の声は大きくなるばかりだ。目をぎゅっと閉じ、たまに堪えられないといったふうに、顔を左右に振る。
(どんどん染み出してくるよ…。晶良さん、すっごく濡れてる。どんなふうになってるんだろう。見てみたい…)


 指での愛撫の次は…。
(えっと。クンニリングス…って言うんだっけ、口でするのって。さあ、味見、味見)
 晶良の両足の間に体を入れようとする。
「ぃ、いやぁっ」
 と抵抗するが、力は抜けてしまっているようだ。両膝をつかんで軽く力を入れただけで目的は達成された。"そこ"に顔を近づける。息が荒くなるのがわかる。それが感じられるのか、それとも恥じらいからか、晶良は身をよじり、
「ぁぁああぁ、だめぇ…」
 と切なく漏らす。太腿を押し開き、剥き出しになった秘所に唇をつける。
「っはぁぅぅ」
 ビクっと体を震わす晶良。続いて発せられたのは
「ぁ~っ、恥、ず、かしぃょぉぉ」
 そんな言葉に、ますます興奮していくのを自覚する。唇を押しつけたまま舌を伸ばしていく。晶良のあえぎが激しく波打つ。
「んぁあっ! ぁあっ! あぁあぁあ~っ!」
 これ以上差し込めないほど深く舌を入れ、そして、ゆっくりと、こねまわすように動かす。晶良の愛液を吸う、嘗めとる。
 次は、クリトリス。舌を尖らせてツンツンと軽くつつく。
「ひあっ! はぁぁあ、…あ─────っ」
 跳ね上がったかのように背中を弓なりに反らせ、シーツを握りしめる晶良。これまでに聞いたことのない大きな声だ。
 休む間を与えず攻め続ける。指も使いながら、ピチャピチャと音をたてて嘗めまわす。軽くチュっと吸ってみる。唇ではさんでみる。
「はぁっ! はっ、はっ、あっ! はあぁぁぁあっ」
 声を出すのをこらえているかのような晶良のあえぎ。その微妙な変化も興奮をそそっていく。
(そろそろ、いいかな)


 晶良の愛液で濡れた口をシーツで拭って、上体をずり上げる。コンドームを手にしたとき、思いついた。晶良の左手を取って、ムスコに導く。
「晶良さん、握って」
「ぁぁっ、…これが、入るの?」
 そう言いながら、しごくように手を動かす晶良。
「うん。晶良さん、力、抜いて。ぼくのこと、しっかり抱きしめて」
「…やさしく、して。お願い…」
「うん」
 ニコっと微笑みを投げ、上体を起こしてコンドームの袋を破く。
(焦るなっ! 落ち着いて…)
 自分に言い聞かせて、丁寧にコンドームをムスコに被せていく。"練習"の成果か、思いのほか、うまくできた。
 晶良と体を重ねる。晶良は目を閉じて、その時を待っている。右手でムスコを握り、"晶良"に押し当てる。位置は間違っていない。そのまま前進。ズブっと亀頭が埋没した。
「んあっ! いやっ、怖いっ」
 ここでやめられっこない。ゆっくりと進む。肩をつかんでいる晶良の指に力がこもる。さらに数㎝挿入。
「いやぁっ! いたっ、いたぁぁぃ、だめぇ、やめてぇぇぇっ!」
(やめない、やめちゃいけない、もう、とまらないっ)
 無意識に逃げようとする晶良。その肩を押さえつけ、そろそろとだが挿入していく。
(き、きつい。締めつけられる…。それに、とても、熱いよ)
 晶良は唇をぎゅっと噛んで、痛みと戦っている。
「んん、んぐぅっ、っつぅ、ん、ん~っ、あぁぁぁあぁ~っ」
 自分の中に熱くて太い棒が押し入れられている。体を裂かれるような痛み、全方位に押し広げられている痛みが、さっきから走り続けている。
(い、痛い…、痛いよぉぉ…、やだ、よぉ)
 根元まで、ではなかったが、"彼"は晶良に収まった。動きを止める。手の力も緩める。
 相変わらず痛みは続いているが、少したって彼が侵攻を止めたのがわかった。
「はぁ、はぁあ…、はぁ、あぁっ」
(貫かれている…。ぅぅん、違う…、彼を包み込んで、いるんだ…)


 晶良は静かにまぶたを上げた。目に飛び込んできたのは、彼の微笑んだ顔。涙が一筋、流れ落ちる。
「痛い?」
 心配そうに聞いてくる彼。
「…う、ん。…ぁはぁ、はぁ、はぁっ。…い、たいけど…うれしい、の」
 彼は返事をする代わりに、涙を吸ってくれた。そうして、
「晶良さん、愛してる。これからも、ずっと…愛してる」
 やさしく、力強く、言いきった。
「うれしい。アタシも、アタシもずっと愛してる!」
 キスをしようと顔を近づけたら腰も少し動いたみたいで、途端に晶良が、
「痛っ! んぐっ、ん~っ。…あぁ、動かさないでぇぇ」
「あっ、…だいじょぶ?」
「うん…。さっきよりは…」
「晶良さんの中、とっても熱い。すごく、気持ちいいよ」
「そ、そおなの? アタシ、アンタが気持ちよくなれば、うれしい、よ。…痛いのも、きっと我慢できる」
「晶良さん…」
「だから、ね。もう少し、じっとしてて…。お願い」
「うん」
 そう答えたものの、苦痛にゆがむ晶良の表情は、どえらく興奮させられる。めちゃくちゃにしたい衝動に駆られてしまうのだ。いまも、晶良は痛みをこらえている。額には汗をかいていて、たまに唇を噛んで耐えているのが、たまらなく、そそる。
(動いちゃおっかな。早くイッたほうが、晶良さんのため、だよね?)
 決意を示すように、晶良の唇をむさぼる。そっと、ホントにそっと腰を動かす。
「ん────っ! んんんんっ!」
 悲鳴の出口はふさいでいる。突き入れる。
「んっっ!」
 ゆっくり、出し入れする。晶良は横を向いて唇を外し、苦痛を訴える。
「んあっ、いたっ! いたぁ…い、やっ、やぁぁっ」
 体を起こして動きやすい体勢をとる。腰のスピードを上げていく。
「あっ、あっ、あぁっ、ぐぅっ、んぐっ、はぁっ、あぁっ」
(晶良さん、もう少し、もう少しだから、ね。辛抱して、ね。でも…、最っ高に、気持ちいい~)


「はぐぅっ、あ~っ、激しく…しない…でぇぇ、あぁっ、壊れる…、壊れ…ちゃうぅぅ…よぉぉ」
 涙声で訴えかけてくる晶良。でも、そのお願いは、きけない。
「も少し、だからね…。晶良さん、いいよっ! すごくいいよっ!」
 晶良の両足をさらに押し広げ、だんだんと奥へ侵入していく。抽送のピッチも、だいぶ速くなっている。突くたびに晶良は短く吐息を漏らす。
「あっ! あぁっ! あっ! あぁぁっ、あっ!」
(レイチェルのもよかったけど、晶良さんの中、すごくきつくて、いいっ。締めつけられるよぉ~)
 行為に夢中なのと、痛がる晶良への配慮もあって、深く入れたり浅くしたりとか、腰を回転させるなどのテクニックは使っていない。
(本で読んだり、ビデオで見たりした腰の動かし方って、そうそうできないなぁ)
 ちょっぴり残念に思うが、直線的な動きだけでも十分な快感を得てはいる。
(そろそろ…、昂まってきたぁ。出、出そう)
 少し前かがみに体勢を変える。左手で晶良のウエストを押さえ、右手は胸をもてあそぶ。ムスコはグイグイと晶良を犯し続けている。
 フィニッシュはかわいい顔にブチまけるか、くわえさせて口の中に放出するか…、そんなことを考えられるほど、すれてはいない。
「晶良さんっ! 出すよっ! 晶良さんの中に、…出すよっ!」
 いっそう腰の前後運動を大きくし、限界まで奥に突き入れ、最後の瞬間を迎える。
「あ、晶良ぁぁぁああっ!」
「んあぁぁぁぁっ! あぁ…」
 ビュっ、ドピュぅぅ、ドクンっと音を立てるかのように射精。薄いゴムの皮膜に邪魔されて、精子たちの思いはかなえられはしないのだが…、ともあれ、頭の芯を強烈な快感が貫いていった。
 晶良は、彼の動きが急に止まったのに気付き、
(ああ…、終わったんだ…)
 そう思い、ほっと息をつく。彼はぐったりと晶良に覆い被さり荒く息をしているが、それでも体重をかけないようにしていてくれる。
(やっぱり、やさしい、な)
 心が温かくなる。それでも、"彼"が脈打つたび、痛みが走った。


「ねぇ…、お願い、あるんだ」
 息が整ってきて顔を上げると、晶良に言われる。
「えっ、何?」
「早く、抜いて…」
「うん…」
(もうちょっと、晶良さんの中の感触を楽しんでいたいけど…、しようがないか)
 入れたときと同様、ゆっくりと引き抜く。晶良の顔が痛さでゆがむ。ムスコがヌプっと外に出た。
「あぁ…。つぅ~っ。…ねぇ、まだ、アタシの中にアンタがいるみたいだよ」
 目を見つめられて言われるが、抗議とか怒りの色はない。
「うん」
 とだけ言って、ふとんをかけてあげ、その上からやさしく撫でる。晶良の目から涙があふれ、首に抱きつかれる。
「だいじょおぶ? まだ痛いの?」
 心配そうな声で聞いてみる。
「ううん。なんか、さ。なんか、うまく言葉にできない…」
「うん。ねぇ、晶良さん。キス、していい?」
 黙ってうなずき目を閉じる晶良。そのまぶたにキスをしてから、流れた涙を口で拭ってあげる。それから晶良の唇を吸った。
「アタシ、きっと、幸せなんだ、と思う」
「ぼくも、とっても幸せ」
「アンタも、ふとんに入りなさいよ。風邪、ひくわよ」
 ふとんにもぐりこむと、晶良は体を反転させてきた。ショートカットの髪が鼻をくすぐる。その髪をやさしく撫でる。
「1週間会わないうちに、ずいぶん大人になったよね、アンタ」
 一瞬、レイチェルとのことが頭をよぎり、ドキっとする。
「毎日、晶良さんのこと、考えてたんだ。それで、もっとしっかりしなきゃいけないって思った」
「アンタが初めての人でよかった」
「ぼくも。ぼくも晶良さんと初めて経験できて、うれしいよ」
(あ~っ、ぼくってウソつきっ! ちょっと自己嫌悪。でも、ほんとのこと言ったって、だれにもいいことなんてないよね)

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