深見東州 (ワールドメイト) 情報事典
歌って踊る教祖の華麗な人脈と金 AERA.2016.1.25
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深見東州とは何者なのか
新聞や電車で見かけるナンセンスギャグ満載の広告。必ず写っているのが太い眉毛と濃い顔で明後日の方角に視線を向ける男性だ。一体何者なのか。

年の瀬も迫った先月13日、千人収容の東京ビッグサイト国際会議場からは人が溢れ出していた。人身取引(売買)に関する人権サミット。主催するNPO法人「世界開発協力機構(WSD)」の総裁は、神道系の宗教法人「ワールドメイト」(本部・静岡県伊豆の国市)を率いる深見東州(本名・半田晴久)。歌って踊れて、多彩な人脈を誇る64歳である。
人権サミットは、ASEANの元事務局長や大使、欧米の研究者らをパネリストに、英語に堪能な深見が司会、それを同時通訳が聴衆に伝えるスタイルで進行した。
主にアジアが直面している人身売買を世界的戦略で解決しようという重厚なテーマを、楽しく分かりやすく伝えるのが主眼といい、壇上には競泳界の大スター、イアン・ソープも姿を見せた。高村正彦自民党副総裁が来賓として挨拶しただけでなく、パンフレットには安倍晋三首相が挨拶文を寄せるなど、硬軟取り交ぜた深見の人脈が垣間見える催しだった。
「本人はゴルフ好きでおしゃべりな親しみやすいオッサンですよ。予備校や出版社も経営して成功しているし、宗教団体の教祖というのは彼の一面にしか過ぎない。クリントン元大統領など世界中のセレブに人脈を広げたのは、英語に堪能で物怖じしないユーモアセンスがあるからでしょう。初対面の外国人と話し始めて10秒以内に大概爆笑させてますよ」(深見の知人)
謎の広告・奇抜なコピー

電車でよく見かける広告。実際の深見はボディービルで鍛えたという分厚い胸板と、おどけた口調が微妙にマッチした能弁な「教祖」だ
深見を謎めいた存在にしているのは、年間500本を楽に超える、奇抜な広告の数々だろう。
「進撃の阪神巨人ロックコンサート!日本武道館」「街角にいる万能の天才深見東州の音楽作品 モーツァルトやパヴァロッティに、「”劣るとも勝らない” 作曲力、歌唱力、作詞力」等々。
「進撃の阪神巨人ロックコンサート!日本武道館」「街角にいる万能の天才深見東州の音楽作品 モーツァルトやパヴァロッティに、「”劣るとも勝らない” 作曲力、歌唱力、作詞力」等々。
広告の中身はコンサートやチャリティーイベント、書籍の宣伝など多岐にわたる。広告自体はワールドメイトとは関係ない。
派手な広告展開はここ数年のことだが、「コスモコア」の名称で宗教団体を設立したのは1984年と活動歴は長い。
全国紙国税担当記者によると、90年代初頭に現世肯定派の神道系新興宗教として台頭、東京国税局査察部が93年12月に査察に入り、関連会社に34億7800万円の課税処分を行った。このため当時計画していた静岡県への宗教法人認証手続きを断念したという。
「しかし、06年5月の東京高裁判決でこの処分の取り消しが確定した。分派活動の首謀者の偽情報に踊らされ、深見が税金逃れの隠れ蓑に宗教法人を設立しようとしていると疑った国税当局が、13年がかりで完敗したんです」(前出の記者)
神道は「お祭り騒ぎ」
約20年の年月を経て改めて文科大臣所管の宗教法人の申請を出し、2012年に念願の宗教法人格を得たワールドメイトは会員数約7万5千人。月会費は正会員2500円、準会員1200円で年間の会費収入だけで約10億円という。その宗教活動とはいったいどのようなものか。
「年末に伊勢神宮で一年の稼れをはらい翌年の国運と会員の運勢を上げる神事を行い、そこから年始の神業会場に移動します。
今年は鹿児島県の大隅半島にスペースを借りて5日の早朝まで続きました。深見先生が祝詞をあげ、神楽をしたり、その土地土地に伝わる奉納行事を行ったりしますね。例年5千人ぐらいが参加します。月祭もあるし、お盆の灯籠流しや花火大会などもあります。基本的に神道はお祭り騒ぎですから、派手に思い切り楽しく『ケガレ』をはらい『ハレ』の状態を取り戻すんです」(ワールドメイト会員)
今年は鹿児島県の大隅半島にスペースを借りて5日の早朝まで続きました。深見先生が祝詞をあげ、神楽をしたり、その土地土地に伝わる奉納行事を行ったりしますね。例年5千人ぐらいが参加します。月祭もあるし、お盆の灯籠流しや花火大会などもあります。基本的に神道はお祭り騒ぎですから、派手に思い切り楽しく『ケガレ』をはらい『ハレ』の状態を取り戻すんです」(ワールドメイト会員)
深見の実家は兵庫県西宮市の酒樽製造業だったが、高校時代に父が兵庫県議選に出馬して落選、深見自身は母親が信仰していた世界救世教に幼い頃から触れ、大本教にも学んだ。
同志社大学ではESS(イングリッシユ・スピーキング・ソサエティー)の代表を務めて英語を体得した。76年に卒業、大和ハウスに就職し、公益社団法人「日本紅字会」で出会ったメンバーらと前身組織を立ち上げた。
一方、本名の半田晴久として大学進学予備校「みすず学苑」を78年に東京都杉並区内に設立、現在は首都圏で8校舎に拡大。
他にも「たちばな出版」やコンサルタント会社「菱法律経済政治研究所」(菱研、会員約5千人)、高級腕時計の輸入販売を手掛け、経営者として成功を収めている。
民間信用調査会社の調べでは、グループ企業の年間売上高は国内だけで約70億円、ワールドメイトとしての売上高は昨年3月決算期で120億円に達する。
政治家に多額の献金
安倍首相ら大物保守系政治家とも親しく、多額の政治献金をしてきた。自民党や国民新党の団体献金窓口に例年1千万円単位で献金するだけでなく、政治家個人に対してもパーティー券購入で支援。総務省が公開する最新の政治資金収支報告書でも、13年には亀井静香(1回150万円)、小沢一郎(4回計500万円)、鳩山邦夫(4回計350万円)といった具合だ。
鳩山議員はこう語った。
「多才で演説がうまく、人を魅了するオーラの持ち主。私が野党時代の安倍晋三さんと再会したのも東州さん主催の高校生美術展で、この人なら自民党を復活させてくれると総裁選の応援を決めた経緯もあります」
「多才で演説がうまく、人を魅了するオーラの持ち主。私が野党時代の安倍晋三さんと再会したのも東州さん主催の高校生美術展で、この人なら自民党を復活させてくれると総裁選の応援を決めた経緯もあります」
編集部 大平 誠
深見東州・ワールドメイトリーダーインタビュー
宗教家と経済人の間には何の矛盾もない
深見は昨年末、アエラのインタビューに応じた。世界中のあらゆる宗教に知悉し、特にユダヤ教に造詣が深いという深見は、6時間半にわたって語った。

ーー予備校を経営しているのはなぜですか。
迷える子羊を救えという天啓を受けて始めたんだけど、そもそも自分が大学受験で苦労しましてね。数学が苦手なのに父親が国立大しか進学を認めないと言い張るので大喧嘩になり、浪人1年目からは毎日1冊ずつ本を読むようになりました。それから数学で有名な予備校に2年通って、入学したのは結局数学と関係ない同志社大学経済学部。
しかし、その時代の経験が生きている。英語に特化した少人数制の指導方法を確立し、無理に全国に拡大せず展開を首都圏にとどめたことが成功しましたね。
ーーなぜこんなにたくさんのことに取り組むのですか。
そもそも、宗教家と経済人であることには何の矛盾もない。エスエス製薬の元社長の泰道照山は出家得度した天台宗の僧侶だし、両立していた人は枚挙にいとまがありません。特に神道はユダヤ教と一緒で「生業と家とコミュニティーの繁栄を求める」、そして聖俗を明確に区別して共存するという宗教ですから。こうした伝統は聖徳太子に遡る。
そして神人合一、つまり神と一体化するためには万能性がなければならない。文化芸術活動の研鑽を続けているのもそのためです。
そして神人合一、つまり神と一体化するためには万能性がなければならない。文化芸術活動の研鑽を続けているのもそのためです。
ーーあれだけたくさん広告を出す理由は?原資はどこから。
還暦を機にした高校の同窓会で、同級生が私のやってきたことをあまりにも知らなくて衝撃を受けて(笑)。それと、露出が増えると会員の親御さんたちが安心するそうなんですよ。
ワールドメイトの会費収入は全てカンボジアの病院など世界中の弱者救済のための福祉に充てていますので、広告費等は菱研の会員さんや、関係する財団や社団、NPOなどの会費や寄付で賄っています。それでも費用対効果を考えて、決して高いことはありませんよ。
ーー政治家に献金するのはなぜですか。
パレスチナ問題にしても、あらゆる揉め事は政治決着するしかない。そのために有用な政治家に頑張ってもらわないといけません。しかしそれは超党派でなければならない。だから選挙運動は一切しません。
落選議員のつらさは父親を見てわかっているので、菱研で顧問料を払って面倒をみることもします。みなさんが思っているほど政治家に力はありませんけど、人脈作りには役立ちますね(笑)。
神道なので、基本的には右寄りですが、今は野党が弱すぎて与野党のバランスが悪い。私が最終的に目標としているのは、日本を中心とした世界平和の実現です。それ以外のことには興味ありません。
Asahi Sinbun Weekly AERA 2016.1.25